JP5108479B2 - 燃料タンクにおける溶着ジョイント - Google Patents
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Description
ここで例えば給油口からの燃料を燃料タンクに導くチューブの場合、従来にあってはゴム製のチューブ(ゴムホース)が用いられて来たが、近年、環境保全の観点から燃料がホースを通じて外部に透過することを規制する環境規制が厳しくなって来ており、そこで配管用のチューブとして、ゴムホースに低燃料透過性の樹脂のバリア層を複合化したゴム樹脂複合チューブ,低燃料透過性を有するフッ素ゴムから成るゴムチューブ,或いは樹脂のみの樹脂チューブが採用されるに到っている。
従来、これらチューブの燃料タンクに対する接続構造として、例えば図12に示すような接続構造が採用されている。
溶着ジョイント202は、チューブ差込部としての筒状部204を有しており、その筒状部204の外周面上に突出する状態で環状の鍔状部206が設けられている。
208は給油口から注入された燃料を燃料タンク200に導くための樹脂チューブで、図12(B)に示しているように可撓性を付与するために蛇腹部210が設けられている。
コネクタ212は樹脂製のコネクタ本体214と、同じく樹脂製のリテーナ216とで構成されている。
一方ソケット状のリテーナ保持部230には円弧状の窓部236が設けられており、また対応した円弧形状をなす部分リング状部238が設けられている。
その際、樹脂チューブ208の端部はニップル部218への圧入によって図12(B)に示しているように拡径変形し、強い緊締力でニップル部218を径方向に締め付ける。
そしてその締付力と、ニップル部218に設けた環状突起232の食込作用とで、樹脂チューブ208の端部がコネクタ本体214に固定状態となる。
このとき、コネクタ本体214に保持されたリテーナ216が鍔状部206によって弾性的に拡径変形させられ、そして鍔状部206が係入凹部244に到ったところで再び弾性的に縮径変形して、鍔状部206と係入凹部244とが係合状態となる。
これと同時に、筒状部204の鍔状部206より先端側の部分が、コネクタ本体214の内周側のOリング234に嵌り合った状態となって、筒状部204とコネクタ本体214との間が気密にシールされる。
かかるコネクタ(クイックコネクタ)を接続し又は燃料配管用のチューブを直接接続するための溶着ジョイントは、上記のように燃料タンクに対して熱溶着により一体に接合されるが、溶着ジョイントを燃料タンクに熱溶着により一体に接合してチューブの接続部を構成する場合、次のような問題が生ずる。
図14において、246は樹脂製の燃料タンクでHDPE樹脂から成る外層246-1と内層246-3及び低燃料透過性に優れたEVOH(エチレン―ビニルアルコール共重合体)樹脂のバリア層246-2を積層して構成してある。
248はこの燃料タンク246に溶着一体化された樹脂製の溶着ジョイントで、この溶着ジョイント248はチューブ258の接続部(差込部)となる筒状部252と、その基端部の溶着部250とを有しており、その溶着部250において燃料タンク246に熱溶着されている。
筒状部252は外層254と内層256とが別の樹脂材から成っている。詳しくは外層254が溶着部250と同じ樹脂材で、また内層256がこれよりも低燃料透過性に優れたPA(ポリアミド)樹脂等のバリア材で構成されている。
尚260はチューブ258を嵌込状態にクランプするホースバンドである。
従ってこの請求項5によれば、高溶着層を予定した位置で溶着部に良好に2色成形にて一体化することができる。
このようにすれば、溶着ジョイント全体を実質的に単一の樹脂材で構成でき、成形のための工数を少なくでき、溶着ジョイントのコストを安価となすことができる。
図1において、10は樹脂製の燃料タンクで、HDPE樹脂から成る外層10-1と内層10-3とで、EVOH樹脂から成る低燃料透過性に優れるバリア層10-2をサンドイッチ状に挟んだ積層構造をなしている。
配管用のチューブはこの筒状部14に外嵌状態に圧入され、かかる溶着ジョイント12を介して燃料タンク10に接続される。
この抜止部19は、先端が鋭角を成す各環状突起18をチューブの内面に食い込ませてチューブの抜止作用をなす。
また筒状部14には、抜止部19の図中左側の位置に略環状を成すストッパ部22が形成されている。
このストッパ部22はチューブを筒状部14に挿し込んだときに、チューブの先端に当接してその挿込量を規定する働きをなす。
溶着ジョイント12にはまた、立下り部26の内側において燃料タンク10側に突出する円環状の突出部30が一体に形成されている。ここで突出部30は、燃料タンク10内に配置されるバルブ等の樹脂製のハウジング32との連結用に用いられる。
図2に示しているようにこの実施形態では溶着部16、詳しくは立下り部26の、燃料タンク10側の先端部の全体が、開口部28周りに全周に亘って、燃料タンク10への溶着性の高い高溶着層34にて構成してあり、かかる高溶着層34が、立下り部26の主部36の先端面に全面に亘って2色成形により一体に積層成形されている。
尚この実施形態において、高溶着層34はその厚みが2mmとされている(尚溶着時の溶着代は2mmである)。
本実施形態では、この高溶着層34を除く溶着ジョイント12の全体、詳しくは溶着部16における立下り部26の主部36及びフランジ部24、更に筒状部14を含む全体が以下の材料、即ちEVOH(エチレンビニルアルコール)の水酸基に対して親和性の高い官能基を導入した変性HDPE(高密度ポリエチレン)を単独で若しくは通常のHDPEとともにEVOHとアロイ化して成る樹脂アロイ材、あるいは、PAのアミン基に対して親和性の高い官能基を導入した変性HDPEを単独で若しくは通常のHDPEとともにPAとアロイ化して成る樹脂アロイ材にて構成されている。
尚この高溶着層34として上記の変性HDPE樹脂又は通常のHDPE樹脂と変性HDPE樹脂との混合材を用いても良い。
通常のHDPEはEVOH又はPAに対して親和性に乏しく、従って単にこれをEVOH又はPAとアロイ化しようとしても、それらの非親和性によってEVOH又はPAやHDPEが大きな塊となって部分的に偏在した状態となってしまう。
この結果、この混合材(ブレンド材)は大きなEVOH又はPAの塊をあたかも異物として含んだような状態となって強度的にも弱くなり(ボロボロの状態となる)、また両者の界面で剥離を生じ易くなったりする。
これにより良好な溶着性(燃料タンク10への溶着性)と低燃料透過性(バリア性)がともに実現される。
またHDPEの比率を上げることにより溶着強度を強くし、EVOH又PAの比率を上げることにより低燃料透過性を向上させることができる。このように比率を調整して、溶着強度と低燃料透過性の向上の何れにでも対応することができる。比率としてはEVOH又はPA/変性HDPEを容量比率で80/20〜15/85とすることができる。
なお、EVOH、PA及び変性HDPEはそれぞれ、MFR(メルトマスフローレイト)値が10(g/10分)以下(JIS K7210)であり、溶着ジョイント12の成形時に樹脂アロイ材の流れ性が良好で、成形性にも優れている。
また変性HDPEを単独でEVOH又はPAとアロイ化する外、通常のHDPEと変性HDPEとの両者を用いてEVOH又はPAとアロイ化しても良い。通常のHDPEもMFR値が10(g/10分)以下(JIS K7210)であり、このHDPEを含んだ樹脂アロイ材も流れ性が良好で、成形性にも優れている。
溶着ジョイント12を燃料タンク10に熱溶着し一体化するには、図4(I)及び(II)に示すように燃料タンク10とは別体に成形された溶着ジョイント12と燃料タンク10との間に熱板40を挟み込んで、溶着ジョイント12における立下り部26の先端面、詳しくはここでは高溶着層34の溶着面38と、燃料タンク10の外層10-1の被溶着面とを加熱溶融する。
具体的にはここでは高溶着層34の形状が、上記実施形態とは異なった形状とされている。
詳しくはこの実施形態では高溶着層34の外周面が、燃料タンク10側の先端面から図中上向き、即ち筒状部14側に離れるに従って漸次小径となるテーパ面42となしてある。尚、他の部分については上記実施形態と同様の形状である。
これらの図において44は溶着ジョイント12の成形型で、46はその成形型44に備えられた成形キャビティであり、48は溶着部16における立下り部36の成形部である。
また48-1は立下り部26の外周面の成形面を、48-2は内周面の成形面を、48-3はその先端面即ち立下り部26における溶着面38の成形面を表している。
従って、厳密には高溶着層34を成形部48に挿入セットした状態で、その外周面と成形面48-1との間には僅かな隙間が生じる。
このとき、図2(B)に示す形状の高溶着層34の場合、注入口50から注入された樹脂アロイ材の圧力によって、図7(A)に示すように高溶着層34がめくれ上がりを生じてしまう可能性がある。
このような現象が生じると高溶着層34は、図2(B)に示す予定した正規の位置に形成されなくなってしまう。
従って図5に示す形状で高溶着層34を形成した場合、高溶着層34を含む溶着ジョイント12を2色成形にて成形したとき、高溶着層34を予定した位置に且つ正しい向き及び形状でこれを形成することができる。
図9に示しているようにこの例は、溶着部16における立下り部26の燃料タンク10側の先端部のうち、略半分の内周側部分のみを上記と同じ材料の高溶着層34にて構成した例である。
この場合においても高溶着層34の働きによって、燃料タンク10に対する溶着ジョイント12の溶着強度を樹脂アロイ材単独から成る場合に比べて高強度となすことができる。
この状態で溶着部16を(つまり溶着ジョイント12全体を)樹脂アロイ材で成形するに際し、注入口50から樹脂アロイ材を図中右向きに注入すると、環状の成形部48を図中左側から右向きに周り込んだ樹脂アロイ材が、注入圧力によってリング状を成す高溶着層34の内側に潜り込み、更にその圧力で高溶着層34の図中右側部分を成形面48-3から引き離すように押し広げ、そして高溶着層34と成形面48-3との間に樹脂アロイ材が入り込んだまま高溶着層34が変形状態で溶着部16に一体化されてしまうおそれがある。
図示のようにここでは高溶着層34を成形部48にセットした状態で外周面の成形面48-1に当接する支持部54が、リング状をなす高溶着層34に放射状に突出する形状で周方向に沿って所定間隔ごとに複数設けてある。
また場合によってリング状をなす高溶着層34を外周面と内周面との間の複数箇所に分割して配置しておくといったことも可能である。
また外周側と内周側との中間部分に高溶着層34を部分的に設ける場合には、内周側と外周側との両方に上記のような支持部54を放射状に突出形成しておき、それらを成形面48-1と48-3とのそれぞれに当接させるようになしておくことができる。ここでは、成形された溶着ジョイント12では、支持部54の先端は、立下り部26又は立下り部26の先端部の内周及び外周まで達している。
12 溶着ジョイント
14 筒状部
16 溶着部
34 高溶着層
38 溶着面
42 テーパ面
44 成形型
48 成形部
54 支持部
Claims (6)
- 配管用のチューブ又はコネクタの接続部としての筒状部と基端部の溶着部とを有し、該溶着部において樹脂製の燃料タンクの開口部の周縁部に熱溶着されて一体化される溶着ジョイントであって、
少なくとも前記溶着部が、燃料低透過性のバリヤ樹脂と親和性を有する変性HDPEを単独で若しくはHDPEとともに該バリヤ樹脂とアロイ化して成る樹脂アロイ材を用いて構成してあるとともに、該溶着部における前記燃料タンク側の先端部に、該燃料タンクへの溶着性の高いHDPE樹脂又は/及び変性HDPE樹脂から成る高溶着層が構成してあり、該高溶着層の先端面を溶着面として前記溶着部が前記燃料タンクに溶着されるようになしてあり、
該溶着部における前記燃料タンク側の先端部の全体が全周に亘り前記高溶着層にて構成され、
前記高溶着層の外周面全体が、前記燃料タンク側の前記先端面から前記筒状部の側に離れるに従って漸次小径となるテーパ面となしてあることを特徴とする燃料タンクにおける溶着ジョイント。 - 配管用のチューブ又はコネクタの接続部としての筒状部と基端部の溶着部とを有し、該溶着部において樹脂製の燃料タンクの開口部の周縁部に熱溶着されて一体化される溶着ジョイントであって、
少なくとも前記溶着部が、EVOHの水酸基又はPAのアミン基に対して親和性の高い官能基を導入して成る変性HDPEを単独で若しくはHDPEとともに該EVOH又はPAとアロイ化して成る樹脂アロイ材を用いて構成してあるとともに、該溶着部における前記燃料タンク側の先端部に、該燃料タンクへの溶着性の高いHDPE樹脂又は/及び変性HDPE樹脂から成る高溶着層が構成してあり、該高溶着層の先端面を溶着面として前記溶着部が前記燃料タンクに溶着されるようになしてあり、
該溶着部における前記燃料タンク側の先端部の全体が全周に亘り前記高溶着層にて構成され、
前記高溶着層の外周面全体が、前記燃料タンク側の前記先端面から前記筒状部の側に離れるに従って漸次小径となるテーパ面となしてあることを特徴とする燃料タンクにおける溶着ジョイント。 - 配管用のチューブ又はコネクタの接続部としての筒状部と基端部の溶着部とを有し、該溶着部において樹脂製の燃料タンクの開口部の周縁部に熱溶着されて一体化される溶着ジョイントであって、
少なくとも前記溶着部が、燃料低透過性のバリヤ樹脂と親和性を有する変性HDPEを単独で若しくはHDPEとともに該バリヤ樹脂とアロイ化して成る樹脂アロイ材を用いて構成してあるとともに、該溶着部における前記燃料タンク側の先端部に、該燃料タンクへの溶着性の高いHDPE樹脂又は/及び変性HDPE樹脂から成る高溶着層が構成してあり、該高溶着層の先端面を溶着面として前記溶着部が前記燃料タンクに溶着されるようになしてあり、
該溶着部における前記燃料タンク側の先端部の外周側部分若しくは内周側部分又はそれらの間の中間部分が全周に亘り部分的に前記高溶着層として構成してあり、前記溶着部の前記樹脂アロイ材から成る部分の先端面及び該高溶着層の先端面を溶着面として該溶着部が前記燃料タンクに溶着されるようになしてあることを特徴とする燃料タンクにおける溶着ジョイント。 - 配管用のチューブ又はコネクタの接続部としての筒状部と基端部の溶着部とを有し、該溶着部において樹脂製の燃料タンクの開口部の周縁部に熱溶着されて一体化される溶着ジョイントであって、
少なくとも前記溶着部が、EVOHの水酸基又はPAのアミン基に対して親和性の高い官能基を導入して成る変性HDPEを単独で若しくはHDPEとともに該EVOH又はPAとアロイ化して成る樹脂アロイ材を用いて構成してあるとともに、該溶着部における前記燃料タンク側の先端部に、該燃料タンクへの溶着性の高いHDPE樹脂又は/及び変性HDPE樹脂から成る高溶着層が構成してあり、該高溶着層の先端面を溶着面として前記溶着部が前記燃料タンクに溶着されるようになしてあり、
該溶着部における前記燃料タンク側の先端部の外周側部分若しくは内周側部分又はそれらの間の中間部分が全周に亘り部分的に前記高溶着層として構成してあり、前記溶着部の前記樹脂アロイ材から成る部分の先端面及び該高溶着層の先端面を溶着面として該溶着部が前記燃料タンクに溶着されるようになしてあることを特徴とする燃料タンクにおける溶着ジョイント。 - 請求項3又は請求項4において、前記高溶着層には、前記樹脂アロイ材を用いて前記溶着ジョイントを成形する成形型に予め成形した該高溶着層をセットした状態で該成形型の成形面に当接し、該樹脂アロイ材を該成形型に注入して成形する際に該高溶着層を変形防止する支持部が放射状に設けてあることを特徴とする燃料タンクにおける溶着ジョイント。
- 請求項1〜5何れかにおいて、前記高溶着層を除く前記溶着部及び前記筒状部の全体が単一の前記樹脂アロイ材を用いて構成してあることを特徴とする燃料タンクにおける溶着ジョイント。
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