JP5108207B2 - 硬化性無機質組成物とその製造方法、及びそれを用いた無機質硬化体 - Google Patents
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また、本発明の第5の発明によれば、第1又は2の発明の硬化性無機質組成物を成型後、40〜200℃の温度で加熱硬化してなる無機質硬化体が提供される。
1.硬化性無機質組成物
本発明の硬化性無機質組成物は、白色度87以上を有するメタカオリン100重量部に対して、1〜300重量部のアルカリ金属珪酸塩と、10〜500重量部の水を配合することを特徴とする。
本発明に用いるメタカオリンの白色度としては、87以上であり、好ましくは88〜97である。すなわち、メタカオリンの白色度が87未満では、これを用いた硬化性無機質組成物から得られる無機質硬化体の長期暴露下の色変化が大きくなる。なお、白色度の値としては、ISO 2470(白色度測定規格)によるものである。
一般に、硬化体の暴露下の色変化は、メタカオリン中の不純物量に大きく影響される。例えば、従来汎用されているアメリカ産カオリンを焼成したメタカオリンでは、主成分であるアルミナ及びシリカ以外の鉄、チタン等の不純物を少なからず含んでいる。これらが、アルカリ金属珪酸塩及び水との組成物から得られる無機質硬化体の長期暴露下での色変化の原因となっているという問題があった。
これに対して、本発明の硬化性無機質組成物では、所定の白色度以上のメタカオリンを選定して使用することによって、この問題を解決することができる。すなわち、白色度が所定値以上に高いメタカオリンは、アルミナ及びシリカ以外の鉄、チタン等の不純物含有量が少ないので、白色度を管理することで、無機質硬化体の長期暴露下の色変化の課題が達成される。
鉄、チタン等の不純物が少ないため、所定温度での焼成により、白色度87以上のメタカオリンを安定して得ることができる。
上記方法に用いる焼成温度は、500〜850℃が好ましく、600〜800℃がより好ましい。すなわち、焼成温度が500℃未満では、得られたメタカオリン中にカオリナイト構造が若干残る場合があり、一方、焼成温度が850℃を超えると、得られたメタカオリンの結晶化が発生するので、組成物の硬化に際してアルカリ金属珪酸塩との反応性が乏しくなる。
上記方法に用いる粉砕方法としては、特に限定されるものではないが、圧縮力、せん断力、衝撃力等の機械的エネルギーをメタカオリンに作用させる方法が好ましい。その具体的手段としては、特に限定されるものではなく、一般に粉砕を目的に使用されている粉砕機が用いられる。例えば、衝撃、摩擦、圧縮、せん断等が複合した粉砕機構を有するボール媒体ミル(ボールミル、振動ミル、遊星ミル等)、媒体攪拌形ミル、ローラミル、乳鉢等、又は衝撃と摩砕が主流であるジェット粉砕機が挙げられる。
上記硬化性無機質組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、上記メタカオリン100重量部に対して、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜500重量部とが混合される方法が用いられるが、例えば、燃焼可能な炭素を含有する1次カオリンを500〜850℃で焼成し白色度87以上を有するメタカオリンを得る工程、該メタカオリンに0.05〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて粉砕しメタカオリン粉体を得る工程、及び該メタカオリン粉体100重量部に対して、1〜300重量部のアルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、10〜500重量部の水とを混合して硬化性無機質組成物を得る工程を含む方法が好ましい。
また、上記アルカリ金属珪酸塩水溶液の調製において、アルカリ金属珪酸塩を水に溶解してもよいが、アルカリ金属水酸化物の水溶液に、珪砂、珪石粉等のSiO2成分をnが所定値になるように溶解してもよい。
上記補強繊維の添加量としては、メタカオリン100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。すなわち、補強繊維の添加量が10重量部を超えると、繊維の分散性が低下する。
上記発泡剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、マグネシウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、スズ、ケイ素、フェロシリコン等の金属粉末と過酸化水素、過酸化曹達、過酸化カリ、過ホウ酸曹達等の過酸化物が挙げられる。この中で、特にコスト、安全性、入手の容易さ等から、Al粉末、ケイ素粉末、過酸化水素が好ましい。
本発明の無機質硬化体は、特に限定されるものではなく、上記硬化性無機質組成物を成形後、加熱硬化してなるものであり、強度特性が良好で、かつ長期暴露下での色変化の小さいことを特徴とする。
(1)硬化体の白色度の測定:ISO 2470(白色度測定規格)に準拠した方法で行った。
(2)硬化体の曲げ強度の測定:JIS A 1408に準拠した方法で行った。
(3)硬化体の色バラツキ(ΔE)の測定:JIS K 5600−7−6に準拠した方法で行った。硬化体を暴露台に設置(茨城県つくば市)して、自然環境下で所定期間処理後、暴露前後の色差を測定した。
(4)組成物のフロー値の測定:混合後の材料を、直径5cm、高さ5cmの円柱状容器に充填し、脱型後の広がり面積を測定した。
(5)平均粒径の測定:レーザー回折法で行なった。
まず、組成物の配合比率(重量換算)を、上記メタカオリンA(実施例1)又はB(実施例2):微粉硅砂:ビニロン繊維:アルカリ金属珪酸塩水溶液=100:200:2:150として調製した混合物を、オムニミキサーに供給し、5分間混合した。なお、アルカリ金属珪酸塩水溶液としては、K2O:SiO2(モル比)が1:1.4、及びカリウム珪酸塩濃度が45重量%のカリウム珪酸塩水溶液を用いた。その後、得られた組成物のフロー値を測定した。結果を表2に示す。
次に、混合物を内寸500×500×15mmの型枠に注入し、鉄板で蓋をして、該型枠を70℃に制御されたオーブン内に5時間処理した後、脱型し、さらに60℃に制御されたオーブン内で6時間乾燥して、無機質硬化体を得た。その後、得られた硬化体の白色度、曲げ強度及び色バラツキ(ΔE)を測定した。さらに、3年間暴露後の硬化体の色バラツキ(ΔE)を測定した。結果を表2に示す。
配合において、メタカオリンとして上記メタカオリンC(比較例1)又はD(比較例2)を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。その後、得られた組成物のフロー値、並びに得られた硬化体の白色度、曲げ強度及び色バラツキ(ΔE)を測定した。さらに、3年間暴露後の硬化体の色バラツキ(ΔE)を測定した。結果を表2に示す。
これに対して、比較例1又は2では、用いたメタカオリンがこれらの条件に合わないので、得られた組成物のフロー値、並びに得られた硬化体の強度特性及び長期暴露後の色変化において満足すべき結果が得られないことが分かる。
2 焼成工程
3 粉砕工程
4 メタカオリン粉体
5 混合工程
6 アルカリ金属珪酸塩水溶液
7 硬化性無機質組成物
Claims (5)
- メタカオリン100重量部に対して、1〜300重量部のアルカリ金属珪酸塩と、10〜500重量部の水を配合してなる硬化性無機質組成物であって、
前記メタカオリンは、燃焼可能な炭素を0.05〜10重量%の割合で含有する1次カオリンを500〜850℃で焼成して得られた、白色度87以上を有する、平均粒径3μm以下のものであることを特徴とする硬化性無機質組成物。 - 前記1次カオリンは、中国産のものであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性無機質組成物。
- 燃焼可能な炭素を0.05〜10重量%の割合で含有する1次カオリンを500〜850℃で焼成し白色度87以上、平均粒径3μm以下のメタカオリンを得る工程及び該メタカオリン100重量部に対して、1〜300重量部のアルカリ金属珪酸塩と、10〜500重量部の水を混合して硬化性無機質組成物を得る工程からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性無機質組成物の製造方法。
- 燃焼可能な炭素を0.05〜10重量%の割合で含有する1次カオリンを500〜850℃で焼成し白色度87以上を有するメタカオリンを得る工程、該メタカオリンに0.05〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて粉砕する工程及び該粉砕メタカオリン100重量部に対して、1〜300重量部のアルカリ金属珪酸塩と、10〜500重量部の水を混合して硬化性無機質組成物を得る工程からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性無機質組成物の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の硬化性無機質組成物を成形後、40〜200℃の温度で加熱硬化してなる無機質硬化体。
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