JP5107785B2 - 光路変換ミラー及びその作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光路変換ミラー及びその作製方法に関し、より詳細には、フォトダイオード、レーザダイオード、平面光導波回路、光ファイバ等の光機能素子および光伝播素子の入出力ビーム制御及び素子間の光結合に用いられる光路変換ミラー及びその作製方法に関する。
光通信、光情報処理の分野においては、平面光導波回路を用いて光機能部品を構成し、集積することが行われている。例えば、平面光導波回路と受発光素子との間には、平面光導波回路の一領域から光波の一部または全部を取り出して、フォトダイオード(以下「PD」という)によって受光したり、または半導体レーザダイオード(以下「LD」という)からの出力光を平面光導波回路に入力させるための結合が必要になる。このような光素子と平面光導波回路との光結合構造として、平面光導波回路の導波路端部の微小部位に、光路を変換するための光路変換ミラーを設け、回路面と垂直方向に光を入出力する垂直入出力構造が知られている。特許文献1には、石英系光導波路をはじめとする各種導波路材料に幅広く適用でき、鏡面精度、光導波路とのアラインメント精度が極めて高く、高性能かつ生産性の高い光路変換ミラーの構造及び作製方法が提案されている。
図22に、従来の光路変換ミラーの構造及び作製方法の第1例を示す。平面光導波路は、シリコン基板2201上に形成され、SiO2を主成分とする酸化物ガラスから成る。光導波路は、コア2202とそれを取り囲むクラッドで構成される石英系光導波回路である。図22(a)に示すように、光導波路の所望の端部に、シリコン基板に達するまで掘り込まれたミラー溝2203を形成する。ミラー溝2203を、環状に閉じた構造とし、その内側には島状クラッド2204を形成する。島状クラッド2204内部には、ミラー溝2203と連接する円形の液溜め2205を設ける。図22(b)に示すように、ディスペンサー(不図示)から液溜め2205に液状硬化樹脂2206を適量供給し、加熱するなど適当な方法で硬化させる。
ここで、ミラー溝2203の底面はシリコン、島状クラッド2204の壁面は酸化物ガラスとなっている。シリコンに対する接触角より酸化物ガラスに対する接触角が小さいので、シリコンに対する濡れ性より酸化物ガラスに対する濡れ性が良い液状硬化樹脂を用いる。液溜め2205に供給された液状硬化樹脂2206は、島状クラッド2204を取り囲むように壁面に沿って回り込み、40〜50度の傾斜角のミラー支持体斜面2207を得ることができる。コア2202の端面と対向するミラー支持体斜面2207上に、金を蒸着するなどして反射膜2208を形成する。図22(c)に示すように、コア2202の光軸y軸をz軸方向に変換する光路変換ミラーを得ることができる。
図23は、このようにして作製された光路変換ミラーの断面図である。ミラー支持体斜面2207の形状について補足説明する。ミラー支持体斜面2207の表面は、凹面となり、平均面曲率は、少なくとも液状硬化物質2206を硬化させる前の時点において、液溜め2205部分の液状硬化物質2206の液面の平均面曲率と等しくなる。特許文献1に図示された例では、液溜め2205を満たさない程度に、すなわち液溜め2205部分の液面が凹面になるように液状硬化物質2206が供給されているため、ミラー支持体斜面2207が凹面となっている。
ミラー溝2203底面に対する液状硬化物質2206の接触角θ、ミラー溝2203の深さすなわちミラー支持体斜面2207の高さDとすると、ミラー支持体斜面2207の幅Wが面曲率に応じて、すなわち、液状硬化物質供給量に応じて変化することとなり、
斜面が凹面であればW<D/tanθ、
斜面が平坦であればW=D/tanθ、
斜面が凸面であればW>D/tanθ
となる。なお、幅Wが島状クラッド2204の壁面からコア2202の端面までの距離よりも大きくなってしまうような場合は、ミラー溝2203全体が液状硬化物質2206で埋められてしまうため、ミラー支持体斜面2207は形成されない。
従来の光路変換ミラーの作製方法は、石英系光導波路をはじめとする各種導波路材料に幅広く適用でき、液状硬化物質の表面張力により高い鏡面精度が自動的に得られる。また、光導波回路と同一基板上に一体的に形成されるので、光導波路とのアラインメント精度も極めて高い。しかしながら、以下のような問題があった。
第一に、上述したように、ミラー支持体斜面の曲率及び幅は、液状硬化物質の供給量に依存する。しかし、従来の方法では、液状硬化物質の供給量を精度よく制御するための構造及び方法を備えておらず、ミラーの曲率及び反射角の制御精度が低いという問題があった。
第二に、液状硬化物質のミラー溝底面に対する接触角は、エッチング加工時の表面粗さ等、製造上制御困難な要因に大きく依存する。このため、ミラー支持体斜面の幅の制御精度が低く、従って反射角の制御精度が低いという問題があった。
そこで、これらの問題を解決する光路変換ミラーの構造及び作製法が、特許文献2に開示されている。
図24に、従来の光路変換ミラーの構造及び作製方法の第2例を示す。図24(a)に示すように、光導波路の所望の端部に、コア2402より深いミラー溝2403が設けられている。ミラー溝2403の内部には、液状硬化物質2406を硬化させたミラー支持体斜面2407が形成され、金など反射膜2408が蒸着されている。ミラー溝2403には、液状硬化物質2406を供給するための液溜め2404が連接されている。また、液溜め2404の近傍には、ミラー溝2403および液溜め2404とは連通しない液量調整溝2411a,2411bが形成されている。ミラー支持体の表面は、液状硬化物質の表面張力により極めて平滑なものとなるため、鏡面精度の高いミラーを得ることができる。また、光導波回路内の溝の中に直接形成されるため、光導波路とのアラインメント精度も高い。
この光路変換ミラーの作製方法について述べる。光導波路が形成された光回路に、ミラー溝2403とこれに連接する液溜め2404を形成し、ミラー溝2403および液溜め2404内部に、液状硬化物質2406に対し大きい接触角θHを呈する高接触角領域2412と、液状硬化物質2406に対し小さい接触角θLを呈する低接触角領域2413とを形成する。
具体的には、図24(b)に示すような方法を用いることができる。液状硬化物質2406に対して大きい接触角θH与える第一の濡れ性制御物を光導波回路の全面に塗布する。次に、液状硬化物質2406に対し小さい接触角θLを与える第二の濡れ性制御物を基板の斜め上方から蒸着する。これにより、図24(b)に示すように、ミラー溝2403底面に高接触角領域2412と低接触角領域2413のパタンを形成することができる。第一の濡れ性制御物としては、油脂類が使用でき、また第二の濡れ性制御物としては金属蒸着膜が使用できる。
液溜め2404より液状硬化物質2406を注入し、低接触角領域2413を濡れさせることにより、図24(c)に示すような斜面を得る。このとき斜面の角度θに対して、θL≦θ<θHが成立している必要がある。液状硬化物質2406は、液溜め2404から溢れるまで供給する。すると、溢れた液状硬化物質2406は、液量調整溝2411a,2411bによって回収されるため、液溜め2404の表面は、自動的に平均面曲率がゼロに近い平坦な面となる。後に述しく説明するが、液面の平均面曲率は、液の内部圧力と外部圧力(大気圧)との差によって一意に決まる。連接されたミラー溝2403内の液の内部圧力は、全体にわたってほぼ等しいため、液面の平均面曲率も全体にわたってほぼ等しくなる。従って、ミラー溝2403部分の斜面の表面も自動的に平坦面となる。このような原理により、再現性良く平坦な斜面を得ることができる。最後に、液状硬化樹脂2406を硬化させ、斜面に金などの反射膜2408を形成することにより光路変換ミラーの完成となる。
この方法では、液量調整溝を設けることにより、液溜めへの液状硬化物質供給量の制御性を向上し、上述した第一の問題を解決している。また、ミラー溝内に高接触角領域と低接触角領域のパタンを形成することにより、上述した第二の問題を解決している。
特開平9−26515号公報 特開平9−318850号公報 特開2008−26484号公報 特開2007−240781号公報 ドゥジェンヌ他著、奥村剛訳、「表面張力の物理学−しずく、あわ、みずたま、さざなみの世界−」、吉岡書店、2003、p32〜33 剣持勝衛著、「曲面論講義 平均曲率一定曲面入門」、培風館、2000、p39〜49
このような光路変換ミラーを用いた光結合系において、導波光は、出力(出射)元からミラーを介して入力(受光)先へ到達するまでの間、導波構造の無い媒質中を伝播することになる。このため、ビームが空間的に広がり、光結合効率が低くなってしまうという問題がある。
このような問題を解決し、高い結合効率を得るためには、例えば、マイクロレンズを光路中に挿入することにより実現可能である。しかし、この方法では、部材のコスト、組立コストが増大し、加えて、界面反射により損失が生じてしまうという問題がある。これに対し、光路変換ミラー自体が適切に制御された面曲率を有する凹面鏡となっていれば、部材コスト及び組立コストを増大させることなく、また過剰損失を生じることなく問題を解決することができる。
しかしながら、特許文献1には、実施例として凹面形状を有するミラー斜面構造が示されてはいるものの、前述の通り曲率、反射角ともに制御手段が低いという問題があった。また、特許文献2では、曲率ゼロの平坦な斜面を有し任意の反射角を有するミラー斜面構造及びその制御性の高い作製法については提供されているものの、任意の面曲率と反射角を同時に得られるようなミラー斜面構造及びその制御性の高い作製方法については提供されていない。一方、上記以外の方法、例えば、機械加工やエッチング加工により任意の面曲率と反射角を同時に得られるようなミラー斜面構造を作製することは困難である。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ミラー面が任意の面曲率を有し、かつ任意の反射角を有する光路変換ミラーであって、再現性良く制御可能で、それにより光素子間の高い光結合効率を達成できる光路変換ミラー及びその作製方法を提供することにある。
このような目的を達成するために、請求項1に記載の光路変換ミラーは、光路に平行する底面と、該底面に連接して前記光路を遮断する壁面とに接して形成されたミラー支持体斜面であって、液状硬化物質の表面張力により凹面形状を呈し、前記液状硬化物質を硬化させて形成されたミラー支持体斜面と、該ミラー支持体斜面と前記光路との交点を含む前記ミラー支持体斜面上に形成された反射膜とを備え、前記凹面形状は、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点における法線と前記光路とを含む前記ミラー支持体斜面の第1の断面と、前記法線を含み前記第1の断面と直交する前記ミラー支持体斜面の第2の断面とにおいて、前記ミラー支持体斜面のそれぞれの断線が凹曲線となるたことを特徴とする。
また、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点において、前記法線が前記光路となす角度が45度とすることもできる。
前記光路を伝搬する光ビームの出射点から前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点までの距離a、前記底面からの前記壁面の高さD、前記法線が前記光路となす角度αとしたとき、前記第1の断面における前記ミラー支持体斜面の断線の曲率半径R1は、
D≦R1≦2a/cosα
であることが好適である。
光路変換ミラーは、前記底面に、前記壁面と接し前記液状硬化物質に対し接触角の小さい低接触角領域と、該低接触角領域に接し前記液状硬化物質に対し接触角の大きい高接触角領域とを備え、前記液状硬化物質により、前記低接触角領域と前記壁面とに接して前記ミラー支持体斜面を形成する。
光路変換ミラーは、さらに、前記壁面に接続された流路を介して前記液状硬化物質を供給するための液量調整用プールを備え、前記液状硬化物質の硬化前の状態において、前記凹面形状の平均面曲率と、前記液量調整用プール内の前記液状硬化物質の液面の任意の点における平均面曲率とが等しいことを特徴とする。
光路変換ミラーは、さらに、前記液量調整用プールの一端部に、液量制御用ダムを介して接続された液排出用プールを備え、前記液量制御用ダムは、前記液量調整用プール内の前記液状硬化物質の液面が一定の高さを超過すると、前記液状硬化物質を前記液排出用プールに排出することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、基板上に、下部クラッド層とコア層と上部クラッド層とが順次積層された光導波回路の一端部に設けられ、光導波路の入出力光を基板上方又は下方に光路変換する光路変換ミラーの作製方法であって、前記光導波路の一端部に上部クラッド上面から少なくともコアよりも深くミラー溝を形成する第一の工程であって、前記ミラー溝の底面に連接して前記光導波路から出射された光ビームの光路を遮断する壁面を形成する第一の工程と、前記ミラー溝の底面に、前記壁面と接し液状硬化物質に対し接触角の小さい低接触角領域と、該低接触角領域に接し前記液状硬化物質に対し接触角の大きい高接触角領域とを形成する第二の工程と、前記ミラー溝の前記低接触角領域と前記壁面とに挟まれた部位に前記液状硬化物質を供給する第三の工程と、前記液状硬化物質の表面張力により凹面形状を呈した状態で、前記液状硬化物質を硬化させてミラー支持体斜面を形成する第四の工程であって、前記凹面形状は、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点における法線と前記光路とを含む前記ミラー支持体斜面の第1の断面と、前記法線を含み前記第1の断面と直交する前記ミラー支持体斜面の第2の断面とにおいて、前記ミラー支持体斜面のそれぞれの断線が凹曲線となること、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点を含む領域に反射膜を形成する第五の工程とを備え、前記第三の工程において、前記液状硬化物質の供給量を制御することによって、前記ミラー支持体斜面の前記凹面形状の平均面曲率を制御することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、基板上に、下部クラッド層とコア層と上部クラッド層とが順次積層された光導波回路の一端部に設けられ、光導波路の入出力光を基板上方又は下方に光路変換する光路変換ミラーの作製方法であって、前記光導波路の一端部に上部クラッド上面から少なくともコアよりも深くミラー溝を形成する第一の工程であって、前記ミラー溝の底面に連接して前記光導波路から出射された光ビームの光路を遮断する壁面に、液状硬化物質を供給するための流路と、該流路に接続された液量調整用プールとを形成する第一の工程と、前記ミラー溝の底面に、前記壁面と接し液状硬化物質に対し接触角の小さい低接触角領域と、該低接触角領域に接し前記液状硬化物質に対し接触角の大きい高接触角領域とを形成する第二の工程と、前記液量調整用プールに前記液状硬化物質を供給して、前記ミラー溝の前記低接触角領域と前記壁面とに挟まれた部位に前記液状硬化物質を供給する第三の工程と、前記液状硬化物質の表面張力により凹面形状を呈した状態で、前記液状硬化物質を硬化させてミラー支持体斜面を形成する第四の工程であって、前記凹面形状は、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点における法線と前記光路とを含む前記ミラー支持体斜面の第1の断面と、前記法線を含み前記第1の断面と直交する前記ミラー支持体斜面の第2の断面とにおいて、前記ミラー支持体斜面のそれぞれの断線が凹曲線となること、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点を含む領域に反射膜を形成する第五の工程とを備え、前記第三の工程において、前記液状硬化物質の供給量を制御することによって、前記ミラー支持体斜面の前記凹面形状の平均面曲率を制御することを特徴とする。
前記第三の工程は、インクジェット装置を用いて前記液状硬化物質を供給することができ、主剤および硬化剤からなる2液性の液状硬化物質を用いる場合は、2本の異なるノズルを用いて供給し、基板上で混合させることができる。
また、前記第三の工程は、マイクロピペットを用いて前記液状硬化物質を供給することができ、前記液状硬化物質の供給中に液量調整用プールにおける液面高さをモニタすることにより供給量を調整することもできる。
以下に、本明細書において用いる平均面曲率の定義、及び本発明において利用する自然原理について説明する。
液体の表面張力γとその表面の面曲率H、および液の内部の圧力と外部の圧力との差をΔPとの間には以下の関係が成立する。
Figure 0005107785
平均面曲率Hとは、着目する曲面上の点pにおける二本の互いに直交する接線ベクトルをそれぞれu、v、また点pにおける法線ベクトルをnとし、u及びnを含む平面で該曲面を切断して得られる断面曲線の点pにおける曲率半径をR1、v及びnを含む平面で該曲面を切断して得られる断面曲線の点pにおける曲率半径をR2とした場合、
Figure 0005107785
で与えられる値である。ここでΔPは、液の内部圧が外部圧より大きい場合にプラスとなるように取り、またR1、R2は液面が外部に対して凸となるときにプラスとなるようにとる。平均面曲率Hは、u、vの選び方に依らず一定の値をとるが、R1、R2はu、vの選び方に依って様々な値をとり、R1、R2の絶対値の差が最大となるようにu、vを選んだ場合の1/R1および1/R2を、該曲面の点pにおける主曲率と呼ぶ。
この式の意味するところを定性的に表現するなら、液表面の平均面曲率は、液の内部圧力と一対一の関係で結ばれ、液内圧が外圧より大きければ液面は凸となり、液内圧が外圧より小さければ液面は凹となるということである。また、ある連続した液面上における平均面曲率の分布については以下のことが言える。平衡状態において、液内部の圧力分布は静水圧のみによって決まる。従って、液面上の各点における平均面曲率は、その点の鉛直方向高さzにのみ依存し、高さzの液面における面曲率H(z)は、ある高さz0における液表面の面曲率をH0、液の密度をρ、重力加速度をgとすると以下の式により一意に決まる。
Figure 0005107785
上式第二項で示される重力による影響は、ここで考えているような光導波路集積ミラーのような構造では無視できる。なぜなら、光導波回路において形成される溝の深さは、一般的に100μm以下である。仮に、|z−z0|=100μmとしても、右辺第二項は2.5×103[μm-1]程度となり、曲率半径4cm程度に相当する。しかしながら、後述の通り本発明を適用して作成するミラーの曲率半径は、数100μm程度のオーダーであるため、重力の影響による溝内での曲率分布は無視できる大きさといえる。
上記の重力による曲率への影響の見積もりにおいては、密度の大きい液体ほど表面張力も大きく、結果として液の種類に拠らず(γ/ρg)1/2〜2mm程度となることを考慮した。この値は「毛管長」と呼ばれる自然界の特徴的長さとして知られている(例えば、非特許文献1参照)。
従って、ここで考えているようなミラー構造においては、連続した液面上の平均面曲率はほぼ一定となる。換言すれば、ある一部分が所望の平均面曲率となるように制御すれば、液面の全体がほぼ所望の平均面曲率を有するような曲面を得ることができる。本発明はこの原理を利用したものである。
以上説明したように、本発明によれば、ミラー面が任意の面曲率を有し、かつ任意の反射角を有し、光素子間の高い光結合効率を達成できる光路変換ミラーを得ることができる。この効果は、液状硬化物質の表面張力を用いることによる高い鏡面精度と、平面光導波回路内に一体的に形成することによる導波路との高いアラインメント精度とによる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。実施例1〜9において、光導波回路については、基板としてシリコン基板上に形成されたSiO2を主成分とするガラスからなる石英系光導波回路を用いる。光導波回路としては、他にも、シリコン系導波路、ポリマー導波路、石英基板上に形成されたガラス導波路などを用いることもできる。クラッド及びコア層は、火炎堆積法により形成することが好ましいが、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成しても良い。本実施形態の光導波回路は、下部クラッド層、コア層および上部クラッド層で構成されるが、リッジ型導波路を用いることもできる。
ミラー形成領域の底面及び壁面、液量調整用プール、及び両者を接続する流路はドライエッチング法により作製する。液状硬化物質としては、ここでは2液性エポキシ系接着剤樹脂を用いる。他にもアクリル樹脂等の接着剤樹脂を用いることができるが、極力硬化収縮率が小さく、温度耐性、湿度耐性に優れるものを用いることが望ましい。また、液状硬化物質として、半田等の溶融金属を用いることもできる(例えば、特許文献3参照)。
また、以下に示す実施例では、便宜上ミラー形成領域の底面に対して、上方に光を取り出す構造を挙げているが、逆に上方から光を入射し光軸をミラー形成領域の底面に平行な方向に変換し、光導波路や導波路型フォトダイオードへ入射させることも当然ながら可能である。
図1に、本発明の実施例1にかかる光路変換ミラーの構造を示す。図1(a)は斜視図、図1(b)は上面図である。実施例1では、シリコン基板101上に、30μmの下部クラッド層、6μmのコア層、20μmの上部クラッド層からなる石英系光導波回路内の光導波路の一端部に、幅X=120μm、深さD=46μmのミラー溝103を形成する。ミラー溝103の深さすなわちミラー形成領域の壁面の高さは、コア102より深ければよいので、光導波回路の上部クラッド厚さを考えると、典型的には20〜100μmである。
コア102の端面と対向する壁面に沿って、液状硬化樹脂106を硬化させたミラー支持体斜面107が形成されている。ミラー支持体斜面107は、コア102から出射された光ビームの光路に平行する底面と、この底面に連接して光路を遮断する壁面との間で凹面形状を呈している。ミラー支持体斜面107上の光路との交点を含む領域には、金を蒸着した反射膜108が形成されている。コア102の光軸の延長線と反射膜108との交点を点pとする。光導波路から出射された光ビームは、点p近傍で反射膜108に当たる。点pにおけるミラー面の法線nは、光導波路の中心軸を含み基板面に垂直な面内に存在し、基板面に対してほぼ45°の角度をなしている。このためコア102から出射された光ビームの光軸は、ほぼ垂直上方に曲げられる。
図2(a)は、コア102の光軸を含み基板面に垂直な面で切断した断面図である。図2(a)中のs1−s2は、図1のs1−s2に対応する。ミラー支持体斜面107の断線の曲率半径R1は、少なくとも点p近傍において200μmとなっている。点pにおける法線nが基板面となす角度、すなわち入射光軸及び反射光軸の凹面鏡軸に対する傾き角は45°である。ミラー支持体斜面107がミラー溝103底面と接する部分の幅Wは、コア102の光軸の上部クラッド122上面からの深さd1、コア102の光軸のミラー溝103底面からの高さd2に対し、次の関係式により決められている。
Figure 0005107785
実施例1では、d1=d2=23μmであり、上式に基づきW=47.3μmとなっている。導波路端部から点pまでの距離aは140μmである。
図2(b)は、法線nを含み、図2(a)における切断面と直交する面で切断した断面図である。図2(b)中のt1−t2は、図1のt1−t2に対応する。ミラー支持体斜面107の断線は、点p近傍において、曲率半径R2=100μmの凹曲線となっている。実施例1においては、ミラー面の2軸方向の曲率半径間の関係はR1=R2/2となっている。これは、凹面ミラーに対して斜め45度から入射してくる光に対して2軸方向の焦点距離を等しくするためである。その設計の根拠を以下に説明する。
図3は、入射光および反射光が凹面鏡に対し斜めから入射する場合の、凹面鏡の曲率と焦点距離の関係を表す図である。ここでは、近軸光線近似を用いて考える。図3(a)に示すように、入射光軸および反射光軸が、凹面鏡軸に対し角度α(0°<α<90°)だけ傾いている状態を考える。ここで凹面鏡軸とは、入射光軸との交点pにおける凹面鏡の法線である。凹面鏡軸、入射光軸および反射光軸に対し垂直な方向にx軸、凹面鏡軸およびx軸に対し垂直な方向にy軸を取る。また、凹面鏡軸およびx軸を含む平面で凹面鏡を切った断線の、点p近傍における曲率半径をRx、凹面鏡軸よびy軸を含む平面で凹面鏡を切った断線の、点p近傍における曲率半径をRyとする。
図3(b)は、Ryとy軸方向の焦点距離fyとの関係を表す。光線が入射光軸からrだけ離れた点で凹面鏡に当たるとき、光線の当たる点における凹面鏡の接線の傾きをφyとすると、光線の当たる点は、凹面鏡軸からはr/cosαだけ離れているため、
Figure 0005107785
となる。入射光軸上の焦点から出射した光線(傾きr/fy)は、凹面鏡で反射され2φyの角度変化を付与され、反射光軸に平行な光線となるため、以下のようにfyとRyの関係を求めることができる。
Figure 0005107785
図3(c)は、Rxとx軸方向の焦点距離fxとの関係を表す。図の簡略化のため入射光線のみ示し、反射光線は割愛した。入射光線は焦点(焦点距離fx)から出射しているものとする。入射光線は、入射光軸からrだけ離れた点で凹面鏡に当たるとき、光線の当たる点における凹面鏡の接線の傾きをφxとする。また、入射光軸及びx軸を含む面をS、凹面鏡軸及びx軸を含む面をS’とする。面S内の入射光軸及び光線を面S’に投影すると、投影された焦点距離fx’について通常の凹面鏡についての関係式
Figure 0005107785
が成り立つ。SはS’に対して角度αだけ傾いているため、結局以下のようにfxとRxの関係を求めることができる。
Figure 0005107785
以上を踏まえ、図1および図2に示した実施例1において、角度αはほぼ45度であるため、fx=fyとするためにR2=R1・(cos45°)2=R1/2とした。R1=200μm、R2=100μmであるため、焦点距離fx=fyは約71μmである。a=140μmなので、コア102からの出射された光ビームは、点pの垂直上方約143μmで焦点を結ぶ。像倍率はほぼ1となるので、焦点における光ビームは、導波路伝播モードのスポットサイズとほぼ同等のサイズまで絞られる。このような設計は、例えば、受光部の有効径20μmφのPDなど、有効径の小さい光機能素子の実装に適している。
以下に、最適な曲率の範囲について述べる。前提として、本実施形態においては、光路変換ミラーへの入射光軸または光路変換ミラーからの出射光軸の少なくとも一方がミラー溝の底面と実質的に平行である。ここでは、便宜上光路変換ミラーへの入射光軸がミラー溝の底面と平行である場合について説明する。光ビームの出射点をo、光ビームの光軸がミラー斜面と交わる点をpとし、oからpまでの距離をaとする。光ビームの空間広がりを抑え、高効率な光結合を得るには、焦点距離f1はa以下であることが望ましい。なぜならば、f1がaより大きい場合、光路変換ミラーで反射された光ビームは、空間的に広がってしまう。R1=2f1/cosαであるから、R1は2a/cosα以下であることが望ましい。
また、R1は、ミラー形成領域の壁面の高さD(ミラー溝の深さ)以上であることが望ましい。なぜならば、後述するように、ミラー支持体斜面は、液状硬化物質をミラー溝に供給し作製されるが、R1がDより小さい場合、必然的に液状硬化物質は壁面の途中までしか濡らしていない状態、すなわち、液の接触線(液体、固体、気体の三相が接する境界線)が壁面上に存在する状態となる。この場合、壁面と液状硬化物質との接触角がミラー支持体斜面全体の形状を決める境界条件となり、接触角は壁面の荒さに依存して大きく変わる。壁面の荒さは制御することが極めて困難であるため、結局、全体の構造も制御困難となる。なお、液状硬化物質が壁面の上端までを濡らしている場合、すなわち液の接触線が壁面とオーバークラッド上面とのエッジと一致している場合には、液状硬化物質と壁面との接触角は境界条件ではなく、他の境界条件すなわち壁面の湾曲形状、液状硬化物質の供給量等に応じて変動するため、壁面荒さによりミラー支持体斜面全体の形状が規定されることはない。以上まとめると、曲率の最適範囲はD≦R1≦2a/cosαである。
実施例1における、液状硬化物質からなるミラー支持体斜面の少なくとも硬化前の形状をより詳しく説明する。ミラー支持体斜面107の面形状は、近似的に、アンデュロイドと呼ばれる曲面の一部である。アンデュロイドは、平均面曲率がマイナス(回転軸から見て外側へ凸)で、曲面全体にわたり一定、かつ、ある点pにおいて直交する2軸方向についての曲率半径をR1、R2としたとき、R1≠0、R2≠0、R1≠R2という条件を満たす回転面である。幾何学的には、平面内で楕円を直線上で転がしたとき、その焦点の1つが描く軌跡をtとすると、曲線tを該直線の周りに回転させることで生成される曲線がアンデュロイドである。曲線tは周期的な波状曲線であるので、アンデュロイドも全体としては回転軸に沿って太さが周期的に変わる筒のような形状となる(例えば、非特許文献2参照)。
図25に、実施例1におけるミラー支持体斜面の形状を与える曲面Uを示す。曲面Uは平均面曲率7.5×10-3μm-1、回転軸まわりの最大半径100μmのアンデュロイドの一部であり、その回転軸は入射光軸および反射光軸に対し45°傾いている。入射光軸および反射光軸が曲面Uと交わる点をpとする。点pにおける曲面Uの法線nは、入射光軸および反射光軸と同一平面内にあり、それぞれと45°の角をなしている。回転軸と法線nは直交している。回転軸から点pまでの距離は100μmである。ここで示した点pおよび法線nは、図1および図2における点pおよび法線nと同一である。
図26を参照して、曲面Uの点p近傍における2軸方向の曲率半径について説明する。図26(a)の斜視図に示すとおり、回転軸をy軸、法線nを含む軸をz軸とし、両者に直交する軸をx軸とする。yz平面で曲面Uを切断した断線をC1、およびxz平面で曲面Uを切断した断線をC2とする。図26(b)に、yz平面上のC1および比較のための半径200μmの円を示す。C1は直線上を転がる楕円の焦点の軌跡tそのものであり、その点pにおける曲率半径R1は200μmである。また、点p近傍においてはほぼ半径200μmの円で近似できるような形状であることがわかる。図26(c)に、xz平面上のC2を示す。C2は半径100μmの円であり、当然ながら点pにおける曲率半径R2は100μmである。
図27を参照して、ミラー支持体斜面を構成するミラー溝の底面および壁面との境界線の形状を説明する。図27(a)は、ミラー支持体斜面107を含む曲面Uの斜視図であり、図27(b)は、x軸方向から見た側面図である。反射光軸を鉛直方向に取ったとき、入射光軸を鉛直下方に距離d2だけ平行移動した軸をu軸、入射光軸を鉛直上方に距離d1だけ平行移動した軸をu’軸とする。d1、d2は図2(a)中のd1、d2と同一であり、d1=23μm、d2=23μmである。u軸及びu’軸は回転軸に対し45°傾いている。u軸と回転軸の交点を通り、u軸および回転軸と直交する方向にv軸を取り、同様にu’軸と回転軸の交点を通り、u’軸および回転軸と直交する方向にv’軸を取る。uv平面で曲面Uを切断した断線をC3とし、u’v’平面で曲面Uを切断した断線をuv平面に投影したもの(すなわち、該断線を鉛直下方にd1+d2だけ平行移動したもの)をC4とする。
図27(c)に、uv平面上のC3およびC4を示す。ここに示すC3およびC4は、数値計算によって求めた。u軸すなわち直線v=0上でのC3とC4の間の距離Wは、図2(a)のWと同一であり、W=47.3μmである。図27(d)は、実施例1にかかる光路変換ミラーの上面図であり、C3およびC4とミラー支持体斜面107の形状との関係を示す。少なくともコア102から入射される光ビームの光軸近傍においては、ミラー支持体斜面107とミラー溝103底面との境界線はC3に沿っており、ミラー支持体斜面107とコア102と対向する壁面との境界線はC4に沿っている。
図1〜3に示したミラー支持体斜面の形状はあくまで一例である。ミラー支持体斜面の形状は、回転面に限る必要は無いので、アンデュロイド以外にも様々な形状が可能である。本発明の原理を用いれば、少なくとも硬化前の形状に関して、平均面曲率が一定であるような曲面であれば、設計次第であらゆる形状のミラー支持体斜面を作製することができる。
図4に、実施例1の光路変換ミラーの作製方法を示す。図4(a)に示すように、ドライエッチングにより、光導波路の一端部にミラー溝103を形成する。光導波路のコア102と対向する、ミラー溝103の壁面は、図27(c)に示した曲線C4に沿う曲線となるよう設計する。
次に、図4(b)に示すように、ミラー溝103の壁面及び底面に、液状硬化樹脂106に対して大きい接触角を与えるフッ素系の表面処理剤131を塗布する。液状硬化樹脂106を停止させるべき線を境に、光導波路と対向する壁面側が液状硬化樹脂106に対して接触角が小さい領域、光導波路側が液状硬化樹脂106に対して接触角が大きい領域となるようパタニングする。液状硬化樹脂106を停止させるべき線は、図27(c)に示した曲線C3に沿う曲線となるよう設計する。ここで、ミラー溝103の湾曲した壁面から撥水パタン境界までの距離Wを、図27(c)に示した適切な値となるようパタニングすることにより、所望の面曲率及び反射角を有するミラーを形成することができる。
表面処理剤131の塗布は、スピンコーティングもしくはスプレーコーティングによって行う。パタニングは、感光性の撥水表面処理剤を、露光マスクを用いて露光・現像する(例えば、特許文献4参照)。また、特許文献4に示されているように、蒸着マスクを用いて撥水処理のための表面処理剤を、蒸着又はスパッタリングする方法等を用いることができる。
続いて図4(c)に示すように、ミラー溝103にインクジェットノズル151から液状硬化樹脂106を供給し、ミラー支持体斜面107を形成する。ここで用いるインクジェット法の詳細は、図5を参照しつつ後述する。インクジェット法を用いれば、液滴の吐出回数の制御により、液状硬化樹脂106の供給量を、数pl〜数十pl単位で制御することができる。実施例1では、ミラー支持体斜面107の体積は、約130plであるため、インクジェットの吐出条件を精密に調整した上で、数発〜数十発の液滴を供給することにより、所望の曲率を有するミラー支持体斜面107を形成することができる。実際には、ダミーパタン等を用いて、あらかじめ最適なインジジェット吐出条件を出しておくことが望ましい。
最後に、液状硬化樹脂106を硬化させ、図4(d)に示すようにミラー支持体斜面107上にCr等を下地としてAuを蒸着することにより反射膜108を形成し、光路変換ミラーを完成させる。
図5に、実施例1にかかる光路変換ミラーの作製方法の一工程であるインクジェット法による樹脂供給の方法を示す。実施例1では、液状硬化樹脂106として2液性の熱硬化型エポキシ樹脂を用いる。インクジェット吐出装置は、熱硬化型エポキシ樹脂の主剤を充填するタンク502aと、熱硬化型エポキシ樹脂の硬化剤を充填するタンク502bと、液を吐出するノズル503a、503bと、タンクとノズルを接続するチューブ504a、504bと、それらを外部から加熱することで液の粘度を調整するヒータとを、それぞれ2セットを備える。表面処理剤のパタンが形成された光導波回路ウェハ506は、ノズル直下に設置されたヒータ付き水平可動ステージ505上に固定する。
主剤および硬化剤の吐出は、ノズル503a、503bをピエゾ素子によって収縮させることにより行う。ピエゾ素子は、電圧パルスによって駆動され、入力されるパルス数により液滴の発数を制御し、それにより吐出量を制御する。液滴一滴あたりの液量は、駆動パルス条件や樹脂の種類、ヒータ温度によって変化するが、最小で5pl程度である。このことから、精度良く曲率制御を行うためには、液の総吐出量、すなわちミラー支持体斜面107の総容積Vは100pl以上とすることが望ましい。
総容量Vの最適な範囲については、主剤および硬化剤の供給手段における供給量の制御精度を±δVとすると、総容量VはδVの20倍以上であることが望ましい。δV<V/20とすることにより、図9を参照して後述するが、実施例2と同様にミラー支持体斜面の曲率のズレを数%に抑えることができる。当然ながら総容量Vは大きければ大きいほど液供給量ずれに対するトレランスが大きくなるため望ましい。従って、総容量Vの最適範囲の上限については、本発明を利用する光回路、光モジュール等のデザインに依存する設計事項である。
熱硬化型エポキシ樹脂の供給時には、タンク、チューブ、ノズルを取り囲むヒータを用いて、主剤および硬化剤を加熱することにより粘度を調整する。インクジェット吐出に適した粘度は、一般的には10cps以下である。主剤および硬化剤の温度を安定させた後、光導波回路ウェハ506上のミラー溝へ主剤、硬化剤を交互に吐出する。このとき水平可動ステージ505のヒータによりウェハも加熱しておき、供給された熱硬化型エポキシ樹脂の光導波回路ウェハ506上での流動性を確保する。供給された主剤及び硬化剤は、液量調整用プールからミラー溝へ流入する過程で自然に混合する。主剤および硬化剤の吐出量(供給量)は、合計量が所望のミラー曲率を得るために適切な量となると同時に、両者の比が硬化に適切な混合比となるよう制御する。
このように2液性硬化樹脂を用い、主剤および硬化剤を個別に吐出し、光導波回路ウェハ506上で混合させることのメリットは、インクジェットノズル内で樹脂の硬化反応が進行し得ない点である。熱硬化型エポキシ樹脂の粘度を、インクジェット吐出に適した値まで低下させるためには、熱硬化型エポキシ樹脂の硬化温度に近い温度、場合によっては硬化温度を上回る温度まで樹脂を加熱する必要がある。1液性の熱硬化樹脂やあらかじめ混合された2液性熱硬化樹脂を用いると、ノズル内で硬化反応が進行してしまう。このため、吐出条件の経時変化やノズルの目詰まり等が発生し、安定した樹脂供給を行うことができない。2液性熱硬化樹脂を個別に吐出すれば、このような問題を回避することができる。なお、ノズル内での硬化反応進行を回避する他の方法としては、UV硬化樹脂を用い暗環境で吐出を行う方法もある。
以上述べたように、実施例1によれば、平面光導波回路内に、面曲率と反射角が任意の値に精度よく制御された曲面状の光路変換ミラーを得ることができる。
図6に、本発明の実施例2にかかる光路変換ミラーの構造を示す。図6(a)は斜視図、図6(b)は上面図である。実施例2の光導波路の構造は実施例1と同様であり、シリコン基板601上に、30μmの下部クラッド層、6μmのコア層、20μmの上部クラッド層からなる石英系光導波回路内の光導波路の一端部に、幅X=120μm、深さD=46μmのミラー溝603を形成する。コア602の端面と対向する壁面に沿って、液状硬化樹脂606を硬化させたミラー支持体斜面607が形成されている。ミラー支持体斜面607は、凹面形状を呈している。ミラー支持体斜面607には、金を蒸着した反射膜608が形成されている。コア602の光軸の延長線と反射膜608との交点を点pとする。
ミラー溝603には、流路604を介して、縦幅X’=100μm、横幅Y’=500μm、深さD=46μmの直方体形状の液量調整用プール605が接続されている。液量調整用プール605の容積は、X’×Y’×D=2300plである。液量調整用プール605内部にも硬化させられた液状硬化樹脂606が存在し、その表面は凹面形状を呈している。この液状硬化樹脂606表面上の点であって、液量調整用プール605を上面から見た場合の中心点にあたる点を点qとする。点qにおける液状硬化樹脂606表面の法線n’は、基板面とほぼ垂直である。
図7(a)は、コア602の光軸を含み基板面に垂直な面で切断した断面図である。図7(a)中のs1−s2は、図6のs1−s2に対応する。ミラー支持体斜面607の断線の曲率半径R1は、少なくとも点p近傍において200μmとなっている。点pにおける法線nが基板面となす角度、すなわち入射光軸及び反射光軸の凹面鏡軸に対する傾き角は45°である。ミラー支持体斜面607がミラー溝603底面と接する部分の幅Wは47.3μm、コア602の光軸の上部クラッド622上面からの深さd1は23μm、コア602の光軸のミラー溝603の底面からの高さd2はD−d1=23μm、導波路端部から点pまでの距離aは140μmである。
図7(c)は、法線nを含み、図7(a)における切断面と直交する面で切断した断面図である。図7(c)中のt1−t2は、図6のt1−t2に対応する。ミラー支持体斜面607の断線は、点p近傍において、曲率半径R2=100μmの凹曲線となっている。
図7(b)は、法線n’を含み、液量調整用プール605の長さY’の長辺に平行な面で切断した断面図である。図7(b)中のs1’−s2’は、図6のs1’−s2’に対応する。液量調整用プール605の長さY’が充分長いため、液状硬化樹脂606表面の断線は、点q近傍でほぼ曲率ゼロすなわち曲率半径R1’=∞の直線となっている。
図7(d)は、法線n’を含み、液量調整用プール605の長さX’の短辺に平行な面で切断した断面図である。図7(d)中のt1’−t2’は、図6のt1’−t2’に対応する。液状硬化樹脂606表面の断線は、点q近傍で曲率半径R2’=67μmの凹曲線となっている。
実施例2の構造においては、ミラー支持体斜面607上の点pにおける平均面曲率Hと、液量調整用プール605内の液状硬化樹脂606表面上の点qにおける平均面曲率H’との間に以下の関係が成り立っている。
Figure 0005107785
このような構造は、上述の原理、すなわち、深さ<100μm程度の溝内において、連続した液面は、全体にわたってほぼ面曲率が等しくなるという原理を利用して作製することができる。
なお、この平均面曲率一定の関係は、硬化前の液状硬化樹脂の形状について成立するものであり、硬化後の形状については必ずしも成立しない。これは、硬化時の収縮等により多少の曲率変化が生じるためである。このような形状の曲率変化は、用いる樹脂の種類や硬化条件ごとに異なるため、実験的に求め、設計にフィードバックすることが望ましい。
図8に、実施例2の光路変換ミラーの作製方法を示す。図8(a)に示すように、ドライエッチングにより、光導波路の一端部にミラー溝603、液量調整用プール605およびこれらを接続する流路604を同時に形成する。光導波路のコア602と対向する、ミラー溝603の壁面は、図27(c)に示した曲線C4に沿う曲線となるよう設計する。
次に、図8(b)に示すように、ミラー溝603の壁面及び底面に、液状硬化樹脂606に対して大きい接触角を与えるフッ素系の表面処理剤631を塗布する。液状硬化樹脂606を停止させるべき線を境に、光導波路と対向する壁面側が液状硬化樹脂606に対して接触角が小さい領域、光導波路側が液状硬化樹脂606に対して接触角が大きい領域となるようパタニングする。液状硬化樹脂606を停止させるべき線は、図27(c)に示した曲線C3に沿う曲線となるよう設計する。ここで、ミラー溝603の湾曲した壁面から撥水パタン境界までの距離Wを、図27(c)に示した適切な値となるようパタニングすることにより、所望の面曲率及び反射角を有するミラーを形成することができる。
続いて図8(c)のように、液量調整用プール605にインクジェットノズル651から液状硬化樹脂606を供給する。ここで用いるインクジェット法は、図5に示した実施例1と同様である。液状硬化樹脂606は、流路604を介してミラー溝603へ流れ込み、ミラー支持体斜面607を形成する。このとき、液量調整用プール605の液面が、図7(d)で示したような曲率半径R2’=67μmの凹曲線となるように、液状硬化樹脂606の供給量を調整する。
上述の通りインクジェット法を用いれば、液滴の吐出回数を制御することにより、液状硬化樹脂606の供給量を、数〜数十pl単位で制御することができる。液量調整用プール605の容積は、2300plと、インクジェット液滴の容量に対して充分大きいため、実施例2においては、インクジェットの吐出回数によって樹脂供給量を所望の値に正確に合わせることができる。これにより、実施例1に比べさらに精度良く液面の曲率半径を制御することが可能となる。
樹脂の供給量を、液量調整用プール605を満たさない、すなわち中央部の液状硬化樹脂606の液面高さが、上部クラッド622の上面より低くなるような量とすれば、液状硬化樹脂606の液面は必ず凹面となる。なぜならば、液量調整用プール605の壁面は、液状硬化樹脂606に対して小さい接触角を与えるガラス面が露出している。このため、液状硬化樹脂606は壁面全体を濡らし、壁面に接する部分では液面は、上部クラッド622の上面まで達する。この壁面に接する部分の液面と、液量調整用プール605の中央部の液面とを含む液面全体の形状は、連続した液面の面曲率が全体にわたってほぼ等しくなることから、凹曲面形状となる。液状硬化樹脂606の供給量と液面の曲率との関係については、図9を参照して後述する。
最後に、液状硬化樹脂606を硬化させ、図8(d)に示すようにミラー支持体斜面607上にCr等を下地としてAuを蒸着することにより反射膜608を形成し、光路変換ミラーを完成させる。
図9に、液状硬化樹脂の供給量と液量調整用プールの曲率半径R2’との関係を示す。図7(d)に示したように、R2’=67μmとするためには、液状硬化樹脂606の供給量は、約1800plとすればよい。また、液量調整用プール605の容積が充分大きいため、液状硬化樹脂606の供給量がインクジェットによる液滴一滴あたりの液量5〜30plに対し充分大きい。しかし、例えば、供給量が所望の値から±50pl外れたとしても、R2’のズレは±6%程度(±4μm程度)と充分小さい。
なお、特許文献4の実施例5および実施例6には、基板平面内で湾曲した光路変換ミラーが示されている。一見、本願の実施例2と類似する構造となっているが、特許文献4では、液状硬化樹脂の供給量の制御及びそれによる面曲率の制御を行うための構造及び方法について言及しているわけではない。より具体的には、特許文献4の実施例5および実施例6においては、ミラー溝の壁面を基板平面内で湾曲させることにより、近似的に本願の図7に示したR2に相当する曲率が規定される。
しかしながら、特許文献4においては、R1に相当する曲率については、任意の値に制御することができない。先に述べた通り、平均面曲率1/R1+1/R2は、液状硬化樹脂の供給量によって決まるため、R2だけを規定した場合、R1が樹脂供給量によって変化するからである。例えば、特許文献2に記載された液量調整溝を用いて、平均面曲率ゼロの平坦面を自動的に得る方法を用いた場合、1/R1+1/R2=0よりR1の符号はR2と逆になる。従って、ミラー支持体斜面は、図2(a)または図7(a)に示す曲率半径R1の斜面が凸面となって、ビーム広がりを助長してしまう。
一方、図2(b)または図7(b)に示す曲率半径R2の斜面は凹面であるため、ミラーアレイにおいて隣接チャネル間の光クロストークを抑制したい場合に有効でいる。しかしながら、本願の目的とするところの任意の面曲率を有する光路変換ミラーを実現することはできない。例えば、受光径の小さいフォトダイオードと、高効率の結合を達成したい場合など、2軸両方向について光ビームを絞る必要がある場合には、特許文献4の構成を適用することができない。
以上述べたように、実施例2によれば、平面光導波回路内に、面曲率と反射角が任意の値に精度よく制御された曲面状の光路変換ミラーを得ることができる。
図10に、本発明の実施例3にかかる光路変換ミラーの構造を示す。図10(a)は斜視図、図10(b)は上面図である。実施例3の光導波路の構造は実施例1と同様であり、シリコン基板1001上に、30μmの下部クラッド層、6μmのコア層、20μmの上部クラッド層からなる石英系光導波回路内の光導波路の一端部に、幅X=120μm、深さD=46μmのミラー溝1003を形成する。コア1002の端面と対向する壁面に沿って、液状硬化樹脂1006を硬化させたミラー支持体斜面1007が形成されている。ミラー支持体斜面1007は、凹面形状を呈している。ミラー支持体斜面1007には、金を蒸着した反射膜1008が形成されている。
ミラー溝1003には、流路1004を介して、直方体形状の液量調整用プール1005が接続されている。さらに、液量調整用プール1005には、液量制御用ダム1012を介して液排出用プール1011が接続されている。液量調整用プール1005と液排出用プール1011の底面の深さは等しい。実施例2と同様に、ミラー支持体斜面1007における平均面曲率と、液量調整用プール1005内の液面における平均面曲率との間には、式(4)の関係が成り立っている。
図11に、実施例3の光路変換ミラーの作製方法を示す。図11(a)に示すように、第一段階のドライエッチングにより、光導波路の一端部にミラー溝1003、流路1004、液量調整用プール1005、および液量調整用プール1005と連接しない液排出用プール1011を、最終的に必要な深さより浅く形成する。光導波路のコア1002と対向する、ミラー溝1003の壁面は、図27(c)に示した曲線C4に沿う曲線となるよう設計する。
次に、図11(b)のように、第二段階のドライエッチングにより、ミラー溝1003、流路1004、液量調整用プール1005、液排出用プール1011、および液量調整用プール1005と液排出用プール1011とを隔離している部分も含めて掘り込む。このように二段階のエッチングを行うことにより、液量調整用プール1005と液排出用プール1011との間に、液量制御用ダム1012を形成することができる。
液量制御用ダム1012の深さは、第一段階及び第二段階のエッチングの掘り込み量によって調整することができる。第一段階のエッチングの掘り込み量は、ミラー溝1003等に必要な深さから、液量制御用ダム1012の深さを差し引いた値である。第二段階のエッチングの掘り込み量は、液量制御用ダム1012の深さそのものである。
次に、図11(c)に示すように、ミラー溝1003の壁面及び底面に、フッ素系表面処理剤のパタニングを行う。この工程に関しては、図8(b)に示した実施例2における工程と同様である。
続いて、図11(d)に示すように、液量調整用プール1005にガラス製のマイクロピペット1051を用いて液状硬化樹脂1006を供給する。2液性の熱硬化型エポキシ樹脂を所定の混合比で混合した後、マイクロピペット1051に充填し、空気圧もしくは油圧で後部から押出すことにより供給を行う。液量調整用プール1005には、液量制御用ダム1012が接続されているため、液状硬化樹脂1006の液面がある高さを越えると、液状硬化樹脂1006が液排出用プール1011へ排出され、液面の高さが自動的に一定となる。
このとき、液状硬化樹脂1006の供給量が多すぎると、液排出用プール1011へ排出された樹脂の液面高さが、液量制御用ダム1012の高さに届いてしまう。このような場合、液量調整用プール1005側の液状硬化樹脂1006の液面の高さに影響するので、液排出用プール1011へ液状硬化樹脂1006がわずかに排出された時点で、供給を停止することが望ましい。なお、この方法では、仮に過剰供給してしまった場合でも、マイクロピペットに後部から負圧をかけることにより樹脂を一旦吸引し、再度供給を行うことで、修正することができる。
最後に、液状硬化樹脂1006を硬化させ、図11(e)に示すようにミラー支持体斜面1007上にCr等を下地としてAuを蒸着することにより反射膜1008を形成し、光路変換ミラーを完成させる。
図12に、液量調整用プールの中心部分の液状硬化樹脂の液面高さと液面の曲率との関係を示す。液量調整用プール1005は、縦幅X’=100μm、横幅Y’=500μm、深さD=46μmの直方体形状とした。図のように、液状硬化樹脂1006の液面の高さが決まれば、液量調整用プール1005における曲率半径R2’が決まる。従って、液量制御用ダム1012の深さを適切な値設定しておけば、液状硬化樹脂1006の供給量の精度に依らず、所望の液面高さを精度良く得ることができる。これによって、所望の面曲率を有するミラー支持体斜面1007を精度良く得ることができる。
図13に、本発明の実施例4にかかる光路変換ミラーの構造を示す。図13(a)は斜視図、図13(b)は上面図である。実施例4の光導波路の構造は実施例1と同様であり、シリコン基板1301上に、30μmの下部クラッド層、6μmのコア層、20μmの上部クラッド層からなる石英系光導波回路内の光導波路の一端部に、幅X=120μm、深さD=46μmのミラー溝1303を形成する。コア1302の端面と対向する壁面に沿って、液状硬化樹脂1306を硬化させたミラー支持体斜面1307が形成されている。ミラー支持体斜面1307は、凹面形状を呈している。ミラー支持体斜面1307には、金を蒸着した反射膜1308が形成されている。
ミラー溝1303には、流路1304を介して、直方体形状の液量調整用プール1305が接続されている。さらに、液量調整用プール1305には、液量制御用ダム1312を介して液排出用プール1311が接続されている。液量調整用プール1305と液排出用プール1311の底面の深さは等しい。実施例2と同様に、ミラー支持体斜面1307における平均面曲率と、液量調整用プール1305内の液面における平均面曲率との間には、式(4)の関係が成り立っている。
図14に、実施例4の光路変換ミラーの作製方法を示す。図14(a)に示すように、ドライエッチングにより、光導波路の一端部にミラー溝1303、流路1304、液量調整用プール1305、液量調整用ダム1312および液排出用プール1311を同時に形成する。光導波路のコア1302と対向する、ミラー溝1303の壁面は、図27(c)に示した曲線C4に沿う曲線となるよう設計する。
液量調整用ダム1312の部分は、ドライエッチングに使用するマスクパタンの空隙の幅を、極端に狭くしておく。これにより、エッチング時にエッチングガスが浸透しにくくなるため、液量調整用ダム1312などの周囲の幅の広いパタンの部分に比べて浅い溝が自動的に形成される。液量調整用ダム1312の溝の深さは、マスクパタンの空隙の幅によって制御することができる。液量調整用ダム1312液排出用プール1311との接続部は、徐々に幅を広げ、溝の深さも徐々に深くなるようにしておく。これにより、液量調整用プール1305から排出された余分な樹脂を、液排出用プール1311へスムーズに流すことができる。
次に図14(b)に示すように、ミラー溝1303の壁面及び底面に、フッ素系表面処理剤のパタニングを行う。この工程に関しては、図8(b)に示した実施例2における工程と同様である。
続いて、図14(d)に示すように、液量調整用プール1305にガラス製のマイクロピペット1351を用いて液状硬化樹脂1306を供給する。実施例3と同様に、液量制御用ダム1312により余分な液状硬化樹脂1306が液排出用プール1311へ排出される。これにより、液量調整用プール1305における液状硬化樹脂1306の液面の面高さが自動的に一定となり、所望の面曲率を有するミラー支持体斜面1307を精度良く得ることができる。
最後に、液状硬化樹脂1306を硬化させ、図14(d)に示すようにミラー支持体斜面1307上にCr等を下地としてAuを蒸着することにより反射膜1308を形成し、光路変換ミラーを完成させる。
図15に、本発明の実施例5なかかる光路変換ミラーの作製方法を示す。光路変換ミラーの構造は、実施例2と同じである。実施例5は、図8に示した作製方法のうち、図8(c)の工程のみが異なる。すなわち、液量調整用プール605に液状硬化樹脂606を供給する方法が異なる。
まず、液量調整用プール605にマイクロピペット641から液状硬化樹脂606を供給する。目視で適当な量まで供給した後、一旦マイクロピペット641を引き上げる。レーザ変位計642を用いて、液量調整用プール605の中央部における液状硬化樹脂606の液面高さを測定し、再び、マイクロピペット641を用いて、液状硬化樹脂606の供給量を調節する。マイクロピペット641にかける圧の調整により、液状硬化樹脂606の供給・吸引の両方が可能であるため、図15(a)および(b)の作業を繰り返すことにより、液量調整用プール605の中央部における液面の高さを所望の値に合せこむ。
これにより、図7(d)で示した液量調整用プール605の液面を得ることができれば、所望の面曲率を有するミラー支持体斜面607を精度良く得ることができる。なお、液状硬化樹脂606の供給量を制御する精度の観点から、液量調整用プール605の容積は大きければ大きいほど良い。従って、ウェハ内で可能な限り流路604および液量調整用プール605を引き回すような構成も有効であり、また液量調整用プール605の液量をモニタするためのプールを複数設けて、供給量を制御する際の精度を向上させることも有効である。
図16(a)に、本発明の実施例6にかかる光路変換ミラーの構造を示す。図6(a)に示した実施例2にかかる光路変換ミラー600a〜600dが、250μmの間隔でアレイ状に配置され、一例として、4チャネルのインラインモニタ回路を構成する。4本の入力導波路を、光カプラによりそれぞれスルー導波路661a〜661dとモニタ導波路662a〜662dに2分岐する。モニタ導波路662a〜662dには、パワーモニタ用のPDを接続し、スルー導波路661a〜661dは、他の光回路に接続される。図に示したように、各スルー導波路661a〜661dの間に、光路変換ミラー600a〜600dを設置する。光路変換ミラー600a〜600dの幅(図6(b)における幅X)は120μmとすると、各光路変換ミラーの間には、幅130μmのスペースができる。
光路変換ミラー600a〜600dの上部に、受光部の有効径が80μmφのパワーモニタ用のPDが250μm間隔で4個集積されたPDアレイ素子を搭載する。モニタ導波路662a〜662dから出射された光ビームの光軸は、ほぼ垂直上方に曲げられ、PDアレイ素子の各PDに結合する。このようにして、多チャネルのインラインモニタ回路をコンパクトな形態で実現することを想定している。
光路変換ミラー600a〜600dの構造は、実施例2と同じだが、図7(a)に示したコア602の端面から点pまでの距離aは71μmである。上述の通り、光路変換ミラーの焦点距離は71μmなので、出射ビームはほぼ平行ビームとなり回折広がりを最小限に抑えることができる。
実施例6のように、受光部の有効径の大きい光機能素子を実装する場合には、必ずしも導波路伝播モードと同等程度までスポットを絞る必要は無い。むしろ、像倍率を大きくし、回折広がりを小さくすることにより、光路変換ミラーからの距離のズレ、回路面内方向の実装ズレに対するトレランスを向上させることができる。さらに、隣接チャネル間の光クロストークを低減することができる点で、メリットが大きい。
図16(b)は、作製工程のうち液状硬化樹脂の供給工程を示している。個々の光路変換ミラーの作成工程は、基本的には図8に示した実施例2の場合と同様である。図8(c)に示した実施例2では、液量調整用プール605にインクジェットノズル651から液状硬化樹脂606を供給する。実施例6では、ウェハを乗せた可動ステージを駆動することにより、複数の光路変換ミラー600a〜600dの液量調整用プールに、順次、液状硬化樹脂を供給する。複数の光路変換ミラーに対して、液状硬化樹脂の供給を1つの工程で行うことができる。手動で液状硬化樹脂供給を行う場合に対して、作業時間の大幅な短縮を図ることができる。
図17(a)に、本発明の実施例7にかかる光路変換ミラーの構造を示す。光路変換ミラー1700a〜1700dが、250μmの間隔でアレイ状に複数配置されている。ミラー溝、ミラー支持体斜面、反射膜の構成は、実施例2に同じである。光路変換ミラー1700a〜1700dの流路1704a〜1704dが、1つの液量調整用プール1705に接続されている。さらに、長い流路を介して液量モニタ用プール1713が接続されている。
光路変換ミラー1700a〜1700dの上部に、受光部の有効径が80μmφのパワーモニタ用のPDが250μm間隔で4個集積されたPDアレイ素子を搭載する。モニタ導波路1762a〜1762dから出射された光ビームの光軸は、ほぼ垂直上方に曲げられ、PDアレイ素子の各PDに結合する。このようにして、多チャネルのインラインモニタ回路をコンパクトな形態で実現することを想定している。
実施例2と同様に、図7(a)に示したコアの端面から点pまでの距離aは140μmである。コアから出射された光ビームは、点pの垂直上方約143μmにおいてほぼ像倍率=1で焦点を結ぶので、受光部の有効径が小さい高速のPDとも、高い光結合効率を実現することができる。
図17(b)は、作製工程のうち液状硬化樹脂の供給工程を示している。マイクロピペット1741を用いて液量調整用プール1705へ液状硬化樹脂を供給する。液状硬化樹脂は、流路1704a〜1704dを介してミラー溝1703a〜1703d及び液量モニタ用プール1713へと流入する。上述の通り、連接されたミラー溝1703a〜1703d、液量調整用プール1705および液量モニタ用プール1713においては、液状硬化樹脂の液面の平均面曲率は等しい。従って、液量モニタ用プール1713の中央部における液状硬化樹脂の液面高さを、レーザ変位計1742により測定し、マイクロピペット1741にかける圧の調整により、液状硬化樹脂の供給量を調節する。このようにして、液量モニタ用プール1713の液面を、所望の面曲率で得ることができれば、所望の面曲率を有するミラー支持体斜面を精度良く得ることができる。
液量調整用プール1705と液量モニタ用プール1713とは、マイクロピペット1741とレーザ変位計1742とが物理的に干渉しない程度に充分離して配置しているので、液状硬化樹脂の供給量を調節しながら、リアルタイムで液状硬化樹脂の液面の高さをモニタすることができ、作業性の向上を図ることができる。また、複数の光路変換ミラー1700a〜1700dが、1つの液量調整用プール1705に連接されているので、各々のミラー支持体斜面の平均面曲率が一定であることが担保され、チャネル間の性能のばらつきを最小化することができる。
図18に、本発明の実施例8にかかる光路変換ミラーの構造を示す。図18(a)は斜視図であり、図18(b)は上面図である。実施例8では、複数のチャネルの光導波路からの出力された光ビームを、1個の光路変換ミラーにより光路変換する。光導波路のコア1802a〜1802dが、125μmの間隔で複数配置されている。光導波路の端部には、湾曲した形状の導波路レンズ1823a〜1823dが設けられている。ミラー溝1803は、コア1802の光軸と直行する方向に長く、ミラー支持体斜面が形成される壁面は、湾曲せず直線状になっている。
ミラー溝1803には、流路1804を介して、直方体形状の液量調整用プール1805が接続されている。さらに、液量調整用プール1805には、液量制御用ダム1812を介して液排出用プール1811が接続されている。図中のs1−s2に沿った断面は、図2(a)と同じであり、R1=200μm、a=140μmである。図中のt1’−t2’に沿った断面のR2’は200μmである。
光路変換ミラーの作製方法は、図14に示した実施例4と同じであり、マイクロピペットにより液状硬化樹脂供給し、液量制御用ダム1812および液排出用プール1811によって、液量調整用プール1805における液状硬化樹脂の液面の面曲率が、所望の値に保たれる。
実施例8では、ミラー支持体斜面が形成される壁面が湾曲していないので、ミラー支持体斜面、液量調整用プールともに1軸方向にしか有限の曲率を有しておらず、従ってR1=R2’となる。光導波路の光軸に直行する方向のビーム広がりについては、導波路レンズ1823a〜1823dで抑制され、光軸に平行な方向のビーム広がりについては、光路変換ミラーで抑制される。このような構造とすることにより、各チャネルごとに独立したミラー溝を設けることが難しい場合においても、出射ビームの広がりを抑制し、光機能素子と光導波路との高効率結合を実現することができる。
図19に、本発明の実施例9にかかる光導波回路の構造を示す。図19(a)に示すアレイ導波路格子は、入力スラブ導波路1902に接続された入力導波路1901と、入力スラブ導波路1902と出力スラブ導波路1904とを接続する複数のアレイ導波路1903とを有する。実施例9では、出力スラブ導波路1904に接続される出力導波路を設ける代わりに、光路変換ミラー1905を用いて出力を取り出す。
アレイ導波路格子の出力スラブ導波路1904は、アレイ導波路1903からの多光束干渉によって、それ自体がレンズとして機能している。アレイ導波路1903からの出力光は、出力スラブ導波路1904の端部に設けられた光路変換ミラー1905上の一定の高さで集光され、集光点の面内位置は光波長に応じて変化する。
図19(b)に、光路変換ミラー1905の詳細を示す。光路変換ミラー1905は、出力スラブ導波路1904のアレイ導波路1903と対向する側の端部に設けられている。ミラー溝1913には、流路1914を介して、液量調整用プール1915及び液量モニタ用プール1921が連接されている。ミラー支持体斜面1917が形成される壁面は、出力スラブ導波路1904の端部に沿って緩やかに湾曲している。図中s1−s2に沿う断面は、図2(a)と同じであり、R1=200μm、a=140μmである。
光路変換ミラー1905の作製法は、図17に示した実施例7と同様であり、マイクロピペットを用いて、液量調整用プール1915へ液状硬化樹脂を供給する。液量モニタ用プール1921の中央部における液状硬化樹脂の液面高さを測定し、マイクロピペットにかける圧の調整により、液状硬化樹脂の供給量を調整して、所望の面曲率を有するミラー支持体斜面1917を作製する。
この構造により、アレイ導波路格子1903によって波長分波した光信号を、基板垂直方向に取り出すことができ、かつ、光信号のビームの広がりを抑制することができる。基板上部にPDアレイ素子を搭載すれば、光チャネルモニタを構成することができ、液晶などを用いた可変反射素子アレイを搭載すれば、可変光減衰器、波長ブロッカ等を構成することができる。
従来の光チャネルモニタでは、一旦、出力導波路アレイに光信号を出力させ、各々の出力導波路と光機能素子とを光学的に接続していた。従って、接続部におけるモード変化損失、出力導波路間の干渉による損失等が発生していた。実施例9の構造によれば、これらの問題を回避することができる。さらに、スラブ導波路の長さ及び導波路端部からミラーまでの距離aを目的に応じて適切な値とすることで、搭載する光機能素子との高い光結合効率を得ることができる。
図20に、本発明の実施例10にかかるレーザダイオードの構造を示す。シリコン基板2001上にレーザダイオード(LD)2002が実装され、LD2002から出射された光ビームの光軸上に光路変換ミラー2003が形成されている。これにより、LD2002から出射された光ビームを、シリコン基板2001に対して垂直上方に変換しつつ、光ビームの広がりを抑制し、または一定の高さで集光させることができる。光路変換ミラー2003は、実施例1に示した光路変換ミラーを作製し、光導波路側の部分を取り除いて、LD2002等を実装する。
このように、光路変換ミラーの適用先は、平面光導波回路の導波路端部に限られるものではなく、レーザダイオードの実装基板など様々な用途に適用することができる。なお、レーザダイオードの出射ビームは、垂直方向への広がりが水平方向への広がりに比べて大きく、ビームプロファイルは扁平な形状となる。そこで、これを補償するように、光路変換ミラーの曲率のうち、図2(a)に示したR1に相当する曲率半径のみを小さく設計して、出射ビーム形状を円形に近づけるような構造とすることもできる。
図21に、本発明の実施例11にかかるレーザダイオードの構造を示す。シリコン基板2101上にレーザダイオード(LD)2102が実装され、LD2102から出射された光ビームの光軸上に光路変換ミラー2103が形成されている。これにより、LD2102から出射された光ビームを、シリコン基板2101に対して垂直上方に変換しつつ、光ビームの広がりを抑制し、または一定の高さで集光させることができる。光路変換ミラー2103は、実施例2に示した光路変換ミラーを作製し、光導波路側の部分を取り除いて、LD2102等を実装する。これにより、図6に示した実施例2と同様に、光路変換ミラーの形状をより精度良く制御することができる。
本発明の実施例1にかかる光路変換ミラーの構造を示す図である。 実施例1の光路変換ミラーの構造を示す断面図である。 入射光および反射光が凹面鏡に対し斜めから入射する場合の、凹面鏡の曲率と焦点距離の関係を表す図である。 実施例1の光路変換ミラーの作製方法を示す図である。 実施例1のインクジェット法による樹脂供給の方法を示す図である。 本発明の実施例2にかかる光路変換ミラーの構造を示す図である。 実施例2の光路変換ミラーの構造を示す断面図である。 実施例2の光路変換ミラーの作製方法を示す図である。 液状硬化樹脂の供給量と液量調整用プールの曲率半径R2’との関係を示す図である。 本発明の実施例3にかかる光路変換ミラーの構造を示す図である。 実施例3の光路変換ミラーの作製方法を示す図である。 液量調整用プールの中心部分の液状硬化樹脂の液面高さと液面の曲率との関係を示す図である。 本発明の実施例4にかかる光路変換ミラーの構造を示す図である。 実施例4の光路変換ミラーの作製方法を示す図である。 本発明の実施例5にかかる光路変換ミラーの作製方法を示す図である。 本発明の実施例6にかかる光路変換ミラーの構造を示す図である。 本発明の実施例7にかかる光路変換ミラーの構造を示す図である。 本発明の実施例8にかかる光路変換ミラーの構造を示す図である。 本発明の実施例9にかかる光導波回路の構造を示す図である。 本発明の実施例10にかかるレーザダイオードの構造を示す図である。 本発明の実施例11にかかるレーザダイオードの構造を示す図である。 従来の光路変換ミラーの構造及び作製方法の第1例を示す図である。 従来の光路変換ミラーの構造を示す断面図である。 従来の光路変換ミラーの構造及び作製方法の第2例を示す図である。 実施例1におけるミラー支持体斜面の形状を与える曲面Uの斜視図である。 曲面Uの点p近傍における2軸方向の曲率半径について説明するための図である。 ミラー支持体斜面を構成するミラー溝の底面および壁面との境界線の形状を説明するための図である。
符号の説明
101,601,1001,1301 シリコン基板
102,602,1002,1302 コア
103,603,1003,1303 ミラー溝
604,1004,1304 流路
606,1005,1305 液量調整用プール
106,606,1006,1306 液状硬化樹脂
107,607,1007,1307 ミラー支持体斜面
108,608,1008,1308 反射膜
1011,1311 液排出用プール
1012,1312 液量制御用ダム
121,621 下部クラッド
122,622 上部クラッド
131,631,1031,1331 フッ素系表面処理剤
641,1051,1351 マイクロピペット
151,651 インクジェットノズル

Claims (8)

  1. 光路に平行する底面と、該底面に連接して前記光路を遮断する壁面とに接して形成されたミラー支持体斜面であって、液状硬化物質の表面張力により凹面形状を呈し、前記液状硬化物質を硬化させて形成されたミラー支持体斜面と、
    該ミラー支持体斜面と前記光路との交点を含む前記ミラー支持体斜面上に形成された反射膜とを備え
    前記凹面形状は、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点における法線と前記光路とを含む前記ミラー支持体斜面の第1の断面と、前記法線を含み前記第1の断面と直交する前記ミラー支持体斜面の第2の断面とにおいて、前記ミラー支持体斜面のそれぞれの断線が凹曲線となることを特徴とする光路変換ミラー。
  2. 前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点において、前記法線が前記光路となす角度が45度であることを特徴とする請求項に記載の光路変換ミラー。
  3. 前記光路を伝搬する光ビームの出射点から前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点までの距離a、前記底面からの前記壁面の高さD、前記法線が前記光路となす角度αとしたとき、前記第1の断面における前記ミラー支持体斜面の断線の曲率半径Rは、
    D≦R≦2a/cosα
    であることを特徴とする請求項に記載の光路変換ミラー。
  4. 前記底面に、前記壁面と接し前記液状硬化物質に対し接触角の小さい低接触角領域と、該低接触角領域に接し前記液状硬化物質に対し接触角の大きい高接触角領域とを備え、
    前記液状硬化物質は、前記低接触角領域と前記壁面とに接して前記ミラー支持体斜面を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の光路変換ミラー。
  5. 前記壁面に接続された流路を介して前記液状硬化物質を供給するための液量調整用プールを備え、
    前記液状硬化物質の硬化前の状態において、前記凹面形状の平均面曲率と、前記液量調整用プール内の前記液状硬化物質の液面の任意の点における平均面曲率とが等しいことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の光路変換ミラー。
  6. 前記液量調整用プールの一端部に、液量制御用ダムを介して接続された液排出用プールを備え、
    前記液量制御用ダムは、前記液量調整用プール内の前記液状硬化物質の液面が一定の高さを超過すると、前記液状硬化物質を前記液排出用プールに排出することを特徴とする請求項に記載の光路変換ミラー。
  7. 基板上に、下部クラッド層とコア層と上部クラッド層とが順次積層された光導波回路の一端部に設けられ、光導波路の入出力光を基板上方又は下方に光路変換する光路変換ミラーの作製方法であって、
    前記光導波路の一端部に上部クラッド上面から少なくともコアよりも深くミラー溝を形成する第一の工程であって、前記ミラー溝の底面に連接して前記光導波路から出射された光ビームの光路を遮断する壁面を形成する第一の工程と、
    前記ミラー溝の底面に、前記壁面と接し液状硬化物質に対し接触角の小さい低接触角領域と、該低接触角領域に接し前記液状硬化物質に対し接触角の大きい高接触角領域とを形成する第二の工程と、
    前記ミラー溝の前記低接触角領域と前記壁面とに挟まれた部位に前記液状硬化物質を供給する第三の工程と、
    前記液状硬化物質の表面張力により凹面形状を呈した状態で、前記液状硬化物質を硬化させてミラー支持体斜面を形成する第四の工程であって、前記凹面形状は、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点における法線と前記光路とを含む前記ミラー支持体斜面の第1の断面と、前記法線を含み前記第1の断面と直交する前記ミラー支持体斜面の第2の断面とにおいて、前記ミラー支持体斜面のそれぞれの断線が凹曲線となること、
    前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点を含む領域に反射膜を形成する第五の工程とを備え、
    前記第三の工程において、前記液状硬化物質の供給量を制御することによって、前記ミラー支持体斜面の前記凹面形状の平均面曲率を制御することを特徴とする光路変換ミラーの作製方法。
  8. 基板上に、下部クラッド層とコア層と上部クラッド層とが順次積層された光導波回路の一端部に設けられ、光導波路の入出力光を基板上方又は下方に光路変換する光路変換ミラーの作製方法であって、
    前記光導波路の一端部に上部クラッド上面から少なくともコアよりも深くミラー溝を形成する第一の工程であって、前記ミラー溝の底面に連接して前記光導波路から出射された光ビームの光路を遮断する壁面に、液状硬化物質を供給するための流路と、該流路に接続された液量調整用プールとを形成する第一の工程と、
    前記ミラー溝の底面に、前記壁面と接し液状硬化物質に対し接触角の小さい低接触角領域と、該低接触角領域に接し前記液状硬化物質に対し接触角の大きい高接触角領域とを形成する第二の工程と、
    前記液量調整用プールに前記液状硬化物質を供給して、前記ミラー溝の前記低接触角領域と前記壁面とに挟まれた部位に前記液状硬化物質を供給する第三の工程と、
    前記液状硬化物質の表面張力により凹面形状を呈した状態で、前記液状硬化物質を硬化させてミラー支持体斜面を形成する第四の工程であって、前記凹面形状は、前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点における法線と前記光路とを含む前記ミラー支持体斜面の第1の断面と、前記法線を含み前記第1の断面と直交する前記ミラー支持体斜面の第2の断面とにおいて、前記ミラー支持体斜面のそれぞれの断線が凹曲線となること、
    前記ミラー支持体斜面と前記光路との交点を含む領域に反射膜を形成する第五の工程とを備え、
    前記第三の工程において、前記液状硬化物質の供給量を制御することによって、前記ミラー支持体斜面の前記凹面形状の平均面曲率を制御することを特徴とする光路変換ミラーの作製方法。
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