JP5105749B2 - 潤滑剤供給ローラ - Google Patents
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Description
そこで、ワークWを搬送する際には従来技術として特許文献1に示す潤滑装置が発明されているが、この特許文献1に開示された装置を図8〜図10に示している。
図8に示した潤滑装置1は、軸通し孔2を形成した支持板3に、一対の保持部材4を設けている。そして、これら一対の保持部材4は、チャネル状にした潤滑部材保持部4aを備えるとともに、この潤滑部材保持部4aの開口を互いに対向させている。このようにしたチャネル状の潤滑部材保持部4aには、潤滑剤を含浸させた潤滑部材5を保持させている。
また、潤滑装置1を軸受Cに取り付ける際に、潤滑部材5と外輪8との間に適切な密着力を保たなければならない。なぜなら、その密着力が強すぎると外輪8に対して回転抵抗になり、逆に、密着力が弱すぎると外輪8の外周面をしっかりと潤滑できなくなってしまうからである。そのために、潤滑装置1は、潤滑部材5を含めた全体の寸法管理を厳密に行わなければならないので、その管理コストも高くなってしまう。また、潤滑装置1の取付位置などが不正確だと、この潤滑装置1がワークWに直接接触して、ワークWの搬送の妨げになったりするという問題もあった。
第2の発明は、前記軸部材を前記潤滑剤含浸リングよりもその幅方向に突出させ、この突出させた前記軸部材に、外周中心と内周中心とを偏心させた偏心リングを嵌め合わせて固定した点に特徴を有する。
また、潤滑剤含浸リングを被潤滑面に接触するように設けるだけで簡単に潤滑できるので、寸法管理を厳密にする必要がない。
しかも、潤滑剤供給ローラは、被潤滑面に対して転がり接触するので、潤滑剤含浸リングが部分的に摩耗することがなく、また、潤滑剤含浸リングに含浸された潤滑剤は、回転による遠心力で常に外周面側に供給されるので、被潤滑面との接触部分が常に潤滑剤に満たされる。したがって、潤滑剤供給ローラの製品寿命が非常に長い。
そのうえ、潤滑剤供給ローラを、例えば、搬送装置に使用する場合には、軸部材を軸受の軸と共通化するだけで、軸受の取付孔に簡単に取り付けることができる。また、軸受における軸受機構に代わって、潤滑剤含浸リングを取り付けることもできるため、潤滑剤供給ローラ用に、新たな取り付けスペースが必要なく、しかも、潤滑剤含浸リングのみをストックすることができる。
特に、潤滑剤含浸リングを形成する樹脂材と潤滑剤との混合比率を25:75とすることによって、加熱成形後の均一性、硬化性に優れたものを形成したり、混合比率を30:70とすることによって、強度が向上した潤滑剤含浸リングを形成したりすることができる。
図1に示す潤滑剤供給ローラRは、上記軸受Cが用いられる搬送装置に用いられるものである。
この潤滑剤供給ローラRが備える軸部材12は、一端にフランジ部12aを有するとともに、他端に雄ネジからなる取付部12bを形成している。この取付部12bにおける軸部材12の外径は、上記軸受Cの取付部7aにおける軸7の外径と等しくしている。
まず、所定の寸法を有する金型に、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂材の粉末と、油あるいはグリースからなる潤滑剤とを混合し、樹脂の融点以上に加熱する。すると、潤滑油中に分散した樹脂の粒子は、加熱によって溶融し、他の粒子と結合する。この結果、混合物は全体的に高温ゲル状物質になり、これを冷却すると樹脂分が微細な多孔質構造を作るが、この多孔質構造の内部に多量の油が含有される。なお、加熱成形後の均一性、硬化性からみると、樹脂材と潤滑剤との混合比率を、25:75前後とすることが最も好ましいが、強度向上を考慮した場合には、樹脂の量を増加させて、混合比率を30:70にするとよい。
上記小径内周面13bの内径は、軸部材12の外径よりも大きく、しかも、フランジ部12aの外径よりも小さい。したがって、潤滑剤含浸リング13を軸部材12に挿通させると、一方の段面13cがフランジ部12aに当接するとともに、小径内周面13bと軸部材12の外周面との間に隙間が形成される。
また、上記大径内周面13aの内径は、フランジ部12aの外径よりも大きく、一方の段面13cがフランジ部12aに当接した状態では、大径内周面13aとフランジ部12aの外周面との間に僅かな隙間が形成される。
ただし、フランジ部12a,14bと両段面13cとは、圧接させているわけではないので、厳密にいうと、両者間に微妙な隙間が形成されていることになる。また、固定用ブッシュ14の円筒部14aの外周面と、潤滑剤含浸リング13における小径内周面13bとの関係においても、厳密にいえば、上記と同様、両者間に微妙な隙間が形成されている。したがって、潤滑剤含浸リング13は、固定用ブッシュ14及び軸部材12に対して相対回転することができる。
まず、潤滑剤供給ローラRを、搬送装置に用いた場合について、図2を用いて説明する。図2は、搬送装置において、ワークWの搬送経路両側に設けられた取付機構Aを部分的に示している。上記した従来の搬送装置と同様に、取付機構Aには、互いに対向する一対の軸受Cを複数備えるとともに、それら一対の軸受Cを直線上に整列させている。そして、ワークWの搬送方向最上流となる位置に、上記潤滑剤供給ローラRを設けている。
潤滑剤供給ローラRは、軸部材12に形成した取付部12bを、取付機構Aに形成した取付孔aに固定している。このように、軸受Cを取り付けるための取付孔aに、潤滑剤供給ローラRを固定することができるのは、潤滑剤供給ローラRの取付部12bの外径と、軸受Cの取付部7aの外径とを等しくしたためである。
したがって、潤滑剤含浸リング13が含浸する潤滑剤をワークWの被潤滑面に供給することができる。
図3の装置は、モータに接続したモータ軸15の外周に、リング部材16を備えている。なお、このリング部材16の軸中心と、モータ軸15の軸中心とは一致していない。また、モータ軸15の外周面近傍であって、モータ軸15の半径方向には、往復運動可能なピストン部材17を備えている。このピストン部材17には、ピン部材18が組み込まれるとともに、回転部材19が、上記ピン部材18に回転自在に支持されている。
そして、リング部材16の外周面と、回転部材19の外周面とが接触するように、モータ軸15とピストン部材17とが設けられ、モータ軸15の回転運動を、ピストン部材17の往復運動に変換している。
上記の装置において、モータ軸15を回転させると、リング部材16が、モータ軸15に対して偏心回転するとともに、リング部材16の回転運動が、回転部材19を介して、ピストン部材17の往復運動に変換される。
一方、リング部材16の偏心回転運動により、潤滑剤含浸リング13を介して取付機構Aを往復運動させている。このとき、潤滑剤含浸リング13とリング部材16とが常時回転接触しているので、潤滑剤含浸リング13に含浸した潤滑剤を、リング部材16に常に供給することができる。また、潤滑剤含浸リング13が含浸する潤滑剤は、リング部材16を介して回転部材19にも供給されることとなる。
また、潤滑剤含浸リング13を被潤滑面に接触するように設けるだけで簡単に潤滑できるので、寸法管理を厳密にする必要がない。
そのうえ、潤滑剤供給ローラRを、例えば、搬送装置に使用する場合には、軸部材12を軸受Cの軸と共通化するだけで、軸受Cの取付孔aに簡単に取り付けることができる。また、軸受Cにおける軸受機構に代わって、潤滑剤含浸リング13を取り付けることもできるため、潤滑剤供給ローラR用に、新たな取り付けスペースが必要なく、しかも、潤滑剤含浸リング13のみをストックすることができる。
例えば、軸受Cにおいて、外輪8の上方で、外輪8とワークWとを接触させ、外輪8の左右あるいは下方で、外輪8と潤滑剤含浸リング13とを接触させてもよい。この場合には、潤滑剤供給ローラRを取り付けるために、その分軸受Cを取り除く必要がなく、また、潤滑剤含浸リング13にワークWの荷重が作用しない。しかも、この場合には、潤滑剤含浸リング13の外径と、軸受Cにおける外輪8の外径とを等しくする必要もないため、例えば、入手容易な市販の六角穴付ボルト等に適当な外径を有する潤滑剤含浸リングを設けてもよい。
潤滑剤供給ローラRに設ける軸部材20は、上記第1実施形態における軸部材12と径を等しくする小径部20aと、この小径部20aよりも径を大きくした大径部20bとからなる。この大径部20bの先端にはフランジ部20cを備えるとともに、小径部20aには、雄ネジを有する取付部20dを形成している。なお、大径部20bと小径部20aとの間には段部20eが形成され、また、上記大径部20bの外径と、上記潤滑剤含浸リング13における小径内周面13bの内径とが、僅かな隙間を有しながらほぼ等しい寸法関係を維持している。
さらに、軸部材20に潤滑剤含浸リング13を挿通した状態で、軸部材20の外周に薄いリング状の固定リング21を挿通している。この固定リング21には、上記軸部材20における小径部20aの外径とほぼ等しい内径を有する内周面21aが形成されている。
上記のように構成した潤滑剤供給ローラRによれば、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
しかも、固定リング21は、軸部材20から簡単に取り外すことができるので、潤滑剤含浸リング13の取り外しを簡単にすることができる。
図5に示す偏心リング22は、樹脂製のリング部材であり、その外周中心と内周中心とをずらしている。そして、軸部材20に固定リング21を固定した状態で、上記の偏心リング22を、その一方の側面が固定リング21の他方の側面と接触するまで、軸部材20に圧入固定している。
軸部材20における取付部20dを、例えば、搬送装置である取付機構Aにおける取付孔aに固定すると、偏心リング22は、潤滑剤含浸リング13と取付機構Aとの間に位置する。なぜなら、図5からも明らかなように、偏心リング22は、固定リング21と取付部20dとの間に固定されているからである。したがって、潤滑剤供給ローラRを取付孔aに取り付ける際に、偏心リング22が邪魔になることはない。
このように、潤滑剤供給ローラRの取付部20dを、取付機構Aにおける取付孔aに固定すれば、上記第1,第2実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
図6(a),(b)に示す搬送装置は、図2に示す搬送装置と同様に、上記軸受Cを所定の間隔を保って二列に整列させ、それら軸受C間に板状のワークWを乗せて、上記軸受Cを転動させながらワークWを搬送するものである。なお、図6(a)は上記一方の列を搬送方向手前側から見たものであり、図6(b)は上記一方の列のみを正面から見たものである。
この搬送装置の取付機構Aには、軸受Cが固定された取付孔aの下方に、取付孔aよりも径が大きく、偏心リング22の外径よりも僅かに小さい取付孔bが設けられている。したがって、潤滑剤供給ローラRを、取付孔bに挿入すると、樹脂製の偏心リング22がその弾性により、取付孔b内にぴったりと固定される。なお、図6(a)からも明らかであるように、この搬送装置では、軸受Cの取付部7a及び潤滑剤供給ローラRの取付部20dにナットNを嵌合している。そして、ナットNと側板11及びナットNと固定リング21とによって取付機構Aを挟むように軸受C及び潤滑剤供給ローラRを固定している。
このような潤滑剤供給ローラRを使用する際には、取付孔bをそれほど厳密に位置調整して形成する必要がない。言い換えれば、取付孔bの形成位置をある程度ラフにしても問題とならない。なぜなら、偏心リング22は、その外周中心と内周中心とをずらしているので、取付孔b内で偏心リング22を回転させれば、潤滑剤含浸リング13の高さ位置を調整できるからである。
したがって、例えば長期間の使用により潤滑剤含浸リング13の外周が小さくなった場合や、ワークWの荷重で軸受Cが下方にずれた場合にも、潤滑剤供給ローラRの高さを調整することで、潤滑剤含浸リング13と外輪8とを適度に接触させることができる。
また、第3実施形態における潤滑剤供給ローラRは、偏心リング22を第2実施形態における潤滑剤供給ローラRに設けた構成であるが、第1実施形態における潤滑剤供給ローラRに設けてもよいこと当然である。この場合には、偏心リング22の一方の面を、固定用ブッシュ14のフランジ部14bに当接させればよい。いずれにしても、軸部材を潤滑剤含浸リング13よりもその幅方向に突出させ、軸部材の突出部分に偏心リング22を嵌め合わせれば、軸部材の形状等はとくに限定されるものではない。
12,20 軸部材
13 潤滑剤含浸リング
22 偏心リング
Claims (2)
- 一端にフランジ部、他端に雄ネジを形成した軸部材に、一部材からなる樹脂製の潤滑剤含浸リングを挿通し、この潤滑剤含浸リングを上記軸部材外周に相対回転可能に設け、上記潤滑剤含浸リングを被潤滑面に対して転がり接触させて潤滑剤含浸リングの外周面から上記被潤滑面に対して潤滑剤を供給する構成にし、上記潤滑剤含浸リングは、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂粉末と潤滑剤との混合比率を25:75あるいは30:70として混合し、それを溶融固化して形成され、その内周面は、幅方向両端に形成した大径内周面と、この大径内周面よりも小さな内径を有する小径内周面とを備え、これら大径内周面と小径内周面との間に形成される一方の段面に上記軸部材のフランジ部を当接させた潤滑剤供給ローラ。
- 前記軸部材は、前記潤滑剤含浸リングよりもその幅方向に突出させ、この突出させた前記軸部材に、外周中心と内周中心とを偏心させた偏心リングを嵌め合わせて固定した請求項1記載の潤滑剤供給ローラ。
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