JP5105158B2 - 地下タンクの底部構造 - Google Patents
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すなわち、地下タンクの内周面の保冷層に封入されている窒素ガスは、地下タンクの躯体から側壁背面(側壁と地中連続壁との間の隙間)に漏出する場合がある。そして、上述した剛結合形式の構造のように止水シートが地中連続壁に密着されていない構造では、側壁背面から砕石層へ連通した状態であることから、保冷層から側壁背面に漏出した窒素ガスが砕石層へ流出することになり、窒素ガスの流出量が増えてコストが増加するといった問題があった。
本発明では、止水シートの縁部が地中連続壁の内側の地下水の水面より下方に位置させて、その地下水に浸かるようにして砕石層の側面側に固定され、側壁と地中連続壁との間に形成される隙間の下方が前記地下水に接する構造となることから、前記隙間と砕石層とが遮断された状態となる。そのため、例えば地下タンクの内周面に設けられた冷却層に封入されている窒素ガス等の封入ガスが側壁と地中連続壁との間の隙間に漏出した場合であっても、その隙間内の封入ガスが砕石層へ流れ出ることがなくなり、封入ガスの流出量を抑制することができる。
本発明では、砕石層を施工(砕石撒き出し、締固め)するにあたって、止水シートを損傷させないようにすることができる。
図1は本発明の実施の形態による地下タンクの全体構成を示す縦断面図、図2は図1に示す地下タンクの底部構造を示す要部拡大図、図3は地中連続壁の内側の地下水が高水位になったときの状態を示す図であって、図1に対応する図である。
地中連続壁3は、その下端部3aが地盤E1の下方に存在する難透水層E2に達する位置まで施工されている。そして、地中連続壁3の外周側には、底部が後述する砕石層4の下端とほぼ一致する深さに揚水用ピット31が設けられている。この揚水用ピット31と砕石層4とは図示しない連通孔により連通されており、揚水用ピット31内と砕石層4内の地下水の水面(砕石層内水面W)とが同じ水面位置となるようになっている。
図1に示すように、底部構造1は、地中連続壁3の内側で所定の深さに掘削された地盤E1上に設けられた砕石層4と、砕石層4の側面4aの全周にわたって設けられた緩衝材5と、底版21の下面21a側の略全面にわたって敷設された止水シート6とを備えている。
なお、止水シート6の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、合成ゴム等を用いることができる。
図1に示すように、先ず、地下タンク2の設置予定位置を囲うようにして地中連続壁3を施工する。この地中連続壁3は、下端部3aが例えば難透水層E2に達する位置まで施工される。そして、その地中連続壁3の内側の地盤E1を所定の深さまで掘削した後、露出した地中連続壁3の内周壁面のうち砕石層4と対向する位置においておおまかに壁面処理を行う。すなわち、地中連続壁3と砕石層4との間に設けられる止水シート6(具体的には、図2に示す止水シート6の縁部6b)が傷つかない程度に地中連続壁3の比較的大きな凸部をはつり除去する。
そして、このときの背面隙間Sは、その下方が砕石層4内の地下水に接して水封された状態、つまり背面隙間Sと砕石層4とが遮断された状態となる。
地下タンクには、「低水位運転」と「高水位運転」の2つの運転モードがある。低水位運転時は、図1に示すように、揚水ポンプ7を使用して地下水の水面Wが砕石層4内となるように水位調整する。とくにタンク運用初期は、コンクリート製の底版21と側壁22には止水性がないため、この運転モードをとる必要がある。これに対して、高水位運転時は、図3に示すように、揚水ポンプ7の稼動を停止して、地中連続壁3の内側の水位を自然水位W0と同じにする。地下タンクでは、運用開始後ある程度の時間が経過すると、底版21、側壁22および周辺地盤に液化ガスの冷熱により凍結領域Iが形成され、凍結した底版21および側壁22は止水性を有するため、この運転モードをとることが可能となる(低水位運転を継続してもよい)。
高水位運転時は、地下水の圧力によって底版21を下から上に押し上げる強大な力が作用する。底版21はこの力に抵抗するために板厚を大きくして相当量の鉄筋を入れる必要があるが、本実施の形態の底部構造1においては、地中連続壁3と止水シート6との間にある隙間から、背面隙間Sに地下水を流入させ、底版21に水平方向の圧縮力を作用させることができるため、背面隙間Sへの地下水流入を抑制している場合に比べて、板厚と鉄筋を低減することができる。
例えば、本実施の形態では止水シート6の素材は所望の止水性能が得られるものであれば種々のものを採用可能である。そして、止水シート6どうしの継ぎ目の形態も最適な手法を適宜採用すれば良い。
さらに、本実施の形態では止水シート6の縁部6bの下端位置が緩衝材5の下端部5aとなっているが、この位置に限定されることはない。要は、縁部6b下端が砕石層内水面Wより下方に位置されて、地下水に浸かった状態となっていればよいのである。
2 地下タンク
21 底版
22 側壁
3 地中連続壁
4 砕石層
5 緩衝材
6 止水シート
6a 折れ曲がり部
6b 縁部
7 揚水ポンプ
N 窒素ガス(封入ガス)
S 背面隙間
W 砕石層内水面
Claims (2)
- 地中連続壁の内側の地盤上に砕石層が設置され、該砕石層の上に設けられるとともに、円筒状の側壁と該側壁の下部に剛に接合された底版とからなる地下タンクの底部構造であって、
前記底版の下面側全面にわたって止水シートが敷設され、
前記止水シートの縁部は前記地中連続壁に密着しないよう隙間をあけた状態で前記砕石層の側面に沿って下方に曲げて延ばされ、
前記地中連続壁の内側の地下水の水面が前記砕石層の厚さ方向の寸法範囲内に位置するように調節された状態で、前記縁部が前記地下水の水面よりも下方に位置して前記砕石層の側面側に配置され、下方に向けて折り曲げた前記縁部の下端が前記砕石層内の地下水に浸かっていることを特徴とする地下タンクの底部構造。 - 前記砕石層の側面には、緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の地下タンクの底部構造。
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