JP3224479B2 - 地下タンクの底版部の構造およびその施工方法 - Google Patents
地下タンクの底版部の構造およびその施工方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地中に設置される液化
ガス等の地下タンクにおける底版部の構造に関する。
ガス等の地下タンクにおける底版部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】液化天然ガスや液化石油ガスを貯蔵する
ためのタンクとして、図3〜図5に示す構造の地下タン
クが実用化されている。これは、地中連続壁1を平面視
円形に設けてその内側の地盤を掘削し、鉄筋コンクリー
ト造の底版2と側壁3とを設けるとともに、その上部を
鋼製のドーム屋根4により覆うようにしたものである。
このような構造の地下タンクは、強固な鉄筋コンクリー
ト造の地中連続壁1、底版2、側壁3により土圧や地下
水圧、地震力などの外力や内部の液圧に抵抗し得る強度
を確保できることはもとより、その内部には図5に示す
ように保冷材5およびステンレス薄鋼板製のメンブレン
6が取り付けられて優れた断熱性、液密性、気密性を確
保できるものである。また、地中連続壁1の外側の地盤
中や底版2内には、タンク周囲や底部の地盤の凍結を防
止するためのヒータ管が必要に応じて埋設されて設けら
れるようになっている。
ためのタンクとして、図3〜図5に示す構造の地下タン
クが実用化されている。これは、地中連続壁1を平面視
円形に設けてその内側の地盤を掘削し、鉄筋コンクリー
ト造の底版2と側壁3とを設けるとともに、その上部を
鋼製のドーム屋根4により覆うようにしたものである。
このような構造の地下タンクは、強固な鉄筋コンクリー
ト造の地中連続壁1、底版2、側壁3により土圧や地下
水圧、地震力などの外力や内部の液圧に抵抗し得る強度
を確保できることはもとより、その内部には図5に示す
ように保冷材5およびステンレス薄鋼板製のメンブレン
6が取り付けられて優れた断熱性、液密性、気密性を確
保できるものである。また、地中連続壁1の外側の地盤
中や底版2内には、タンク周囲や底部の地盤の凍結を防
止するためのヒータ管が必要に応じて埋設されて設けら
れるようになっている。
【0003】また、上記従来の地下タンクにあっては、
地中連続壁1の内側の地盤(すなわち底版2の下方の地
盤)における地下水の水位を低下させるべく、地中連続
壁1の外側に揚水ピット7を設けておき、底版2の下部
に形成した礫層8から集水管9を通して地下水をそれら
揚水ピット7に集水して汲み上げることで排水するよう
にしている。
地中連続壁1の内側の地盤(すなわち底版2の下方の地
盤)における地下水の水位を低下させるべく、地中連続
壁1の外側に揚水ピット7を設けておき、底版2の下部
に形成した礫層8から集水管9を通して地下水をそれら
揚水ピット7に集水して汲み上げることで排水するよう
にしている。
【0004】さらに、上記のような地下タンクを施工す
る際には、底版2の強度および止水性能を確認するため
の試験を行うようにしており、上記の揚水ピット7はそ
の試験の際にも用いられるものである。すなわち、地中
連続壁1を揚水ピット7とともに施工し、その内部を掘
削して底版2を施工した後に、揚水ピット7から集水管
9を通して底版2下部の地盤中に注水を行って地下水圧
を高め、その被圧水により底版2に所定の揚水圧を作用
させ、そのような揚水圧を受けることで底版2に生じる
歪が許容範囲内にあるかどうか、また、底版2が十分な
止水性能を有しているかどうかを確認するのである。
る際には、底版2の強度および止水性能を確認するため
の試験を行うようにしており、上記の揚水ピット7はそ
の試験の際にも用いられるものである。すなわち、地中
連続壁1を揚水ピット7とともに施工し、その内部を掘
削して底版2を施工した後に、揚水ピット7から集水管
9を通して底版2下部の地盤中に注水を行って地下水圧
を高め、その被圧水により底版2に所定の揚水圧を作用
させ、そのような揚水圧を受けることで底版2に生じる
歪が許容範囲内にあるかどうか、また、底版2が十分な
止水性能を有しているかどうかを確認するのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な底版2の強度および止水性能の確認のための試験は、
本来ならば底版2の施工が完了した時点で速やかに行う
ことが望ましいのであるが、従来においては側壁3の施
工がほぼ完了するまではそのような試験を実施すること
ができないものであった。
な底版2の強度および止水性能の確認のための試験は、
本来ならば底版2の施工が完了した時点で速やかに行う
ことが望ましいのであるが、従来においては側壁3の施
工がほぼ完了するまではそのような試験を実施すること
ができないものであった。
【0006】すなわち、側壁3が完成していない段階で
は、側壁3と地中連続壁1との間の止水性が十分に確保
されないので、そのような状態で上記のような試験を行
った際には、被圧水が側壁3と地中連続壁1との間の間
隙に侵入してそこを上昇し、タンク内に流入してしまう
ことがある。そのような事態となれば工事に支障を来す
のみならず、正確な試験を行い得るものではないから、
従来においては、側壁3がほぼ完成して被圧水が上記間
隙を上昇してもタンク内に流入し得なくなるまでは試験
を行わず、側壁3がほぼ完成するのを待って試験を実施
することとしていた。しかし、近年においてはより早期
に試験を実施して工期短縮を図りたいという要請があ
り、有効な改善策が要望されていた。
は、側壁3と地中連続壁1との間の止水性が十分に確保
されないので、そのような状態で上記のような試験を行
った際には、被圧水が側壁3と地中連続壁1との間の間
隙に侵入してそこを上昇し、タンク内に流入してしまう
ことがある。そのような事態となれば工事に支障を来す
のみならず、正確な試験を行い得るものではないから、
従来においては、側壁3がほぼ完成して被圧水が上記間
隙を上昇してもタンク内に流入し得なくなるまでは試験
を行わず、側壁3がほぼ完成するのを待って試験を実施
することとしていた。しかし、近年においてはより早期
に試験を実施して工期短縮を図りたいという要請があ
り、有効な改善策が要望されていた。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、施工時における底版の試験を早期に支障なく行い得
るとともに、より優れた止水性能を確保することのでき
る有効な底版部の構造を提供することを目的としてい
る。
で、施工時における底版の試験を早期に支障なく行い得
るとともに、より優れた止水性能を確保することのでき
る有効な底版部の構造を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記事情に鑑み、請求項
1に記載の発明は、地中連続壁の内側上部に一体に形成
された鉄筋コンクリート造の側壁と、該側壁の底部に一
体とされた鉄筋コンクリート造の底版とにより構成され
る地下タンクにおける底版部の構造であって、前記底版
の下面側に該底版の全面にわたる止水シートを敷設し
て、該止水シートの縁部を前記地中連続壁に対して水密
保持可能に固着してなることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記地中連続壁の内側
の掘削地盤面に敷設した防砂シート上に、砕石層、遮断
シート、均しモルタル層、前記止水シート、保護モルタ
ル層を積層状態で順次形成、敷設し、該保護モルタル層
の上部に前記底版を形成することを特徴とするものであ
る。
1に記載の発明は、地中連続壁の内側上部に一体に形成
された鉄筋コンクリート造の側壁と、該側壁の底部に一
体とされた鉄筋コンクリート造の底版とにより構成され
る地下タンクにおける底版部の構造であって、前記底版
の下面側に該底版の全面にわたる止水シートを敷設し
て、該止水シートの縁部を前記地中連続壁に対して水密
保持可能に固着してなることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記地中連続壁の内側
の掘削地盤面に敷設した防砂シート上に、砕石層、遮断
シート、均しモルタル層、前記止水シート、保護モルタ
ル層を積層状態で順次形成、敷設し、該保護モルタル層
の上部に前記底版を形成することを特徴とするものであ
る。
【0009】さらに、請求項3に記載の発明は、請求項
1または2に記載された構造の地下タンクの底版部を施
工するための方法であって、前記止水シートを敷設する
に当たっては、該止水シートと同素材からなる長尺帯状
の取付片の一側縁部を地中連続壁の内面に水密保持可能
に固着し、しかる後に前記止水シートを敷設してその縁
部を前記取付片の他側縁部に重ね合わせて水密保持可能
に接続することを特徴とするものである。
1または2に記載された構造の地下タンクの底版部を施
工するための方法であって、前記止水シートを敷設する
に当たっては、該止水シートと同素材からなる長尺帯状
の取付片の一側縁部を地中連続壁の内面に水密保持可能
に固着し、しかる後に前記止水シートを敷設してその縁
部を前記取付片の他側縁部に重ね合わせて水密保持可能
に接続することを特徴とするものである。
【0010】
【作用】本発明の構造では、底版の下面側に全面にわた
って敷設した止水シートにより底版部における止水性能
を向上させるとともに、その止水シートにより側壁と地
中連続壁との間の間隙を塞ぎ、以て、底版に対する強度
および止水性能の確認のための試験を側壁が十分に立上
がっていない早期の段階で実施することを可能ならしめ
る。特に、止水シートの上下に均しモルタル層と保護モ
ルタル層を形成することにより止水シートを上下から十
分に保護し、また、砕石層の上下に防砂シートと遮断シ
ートを敷設することにより砕石層に対する砂やモルタル
の流入を防止して砕石層の目詰りを防止する。
って敷設した止水シートにより底版部における止水性能
を向上させるとともに、その止水シートにより側壁と地
中連続壁との間の間隙を塞ぎ、以て、底版に対する強度
および止水性能の確認のための試験を側壁が十分に立上
がっていない早期の段階で実施することを可能ならしめ
る。特に、止水シートの上下に均しモルタル層と保護モ
ルタル層を形成することにより止水シートを上下から十
分に保護し、また、砕石層の上下に防砂シートと遮断シ
ートを敷設することにより砕石層に対する砂やモルタル
の流入を防止して砕石層の目詰りを防止する。
【0011】また、本発明の方法では、止水シートを敷
設するに当たり、止水シートと同素材からなる長尺帯状
の取付片の一側縁部を予め地中連続壁の内面に水密保持
可能に固着し、その取付片の他側縁部に対して止水シー
トの縁部を重ね合わせて水密保持可能に接続することと
し、それにより、地中連続壁に対する止水シートの固着
を確実にかつ施工性良く行う。
設するに当たり、止水シートと同素材からなる長尺帯状
の取付片の一側縁部を予め地中連続壁の内面に水密保持
可能に固着し、その取付片の他側縁部に対して止水シー
トの縁部を重ね合わせて水密保持可能に接続することと
し、それにより、地中連続壁に対する止水シートの固着
を確実にかつ施工性良く行う。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例である地下タンクの底
版部の構造を図1を参照して説明する。なお、地下タン
クの全体構成は基本的には上述したものと同様であるの
で、地下タンク全体の図示は省略して底版部の要部のみ
を図1に拡大して示し、また上述したものと同一部分に
は同一符号を付してある。
版部の構造を図1を参照して説明する。なお、地下タン
クの全体構成は基本的には上述したものと同様であるの
で、地下タンク全体の図示は省略して底版部の要部のみ
を図1に拡大して示し、また上述したものと同一部分に
は同一符号を付してある。
【0013】本実施例の底版部の構造は、鉄筋コンクリ
ート造の底版2の下面側に、この底版2の全面にわたる
止水シート10を敷設し、その止水シート10の縁部を
地中連続壁1に対して水密保持可能に固着したものとさ
れている。
ート造の底版2の下面側に、この底版2の全面にわたる
止水シート10を敷設し、その止水シート10の縁部を
地中連続壁1に対して水密保持可能に固着したものとさ
れている。
【0014】すなわち、図1に示すように、地中連続壁
1の内側の掘削地盤面には防砂シート11が敷設され、
その防砂シート11上に、細砕石層12、粗砕石層1
3、遮断シート14、均しモルタル層15、上記の止水
シート10、保護モルタル層16が積層状態で順次形
成、敷設されており、その保護モルタル層16の上部に
上記底版2が形成されたものとなっている。
1の内側の掘削地盤面には防砂シート11が敷設され、
その防砂シート11上に、細砕石層12、粗砕石層1
3、遮断シート14、均しモルタル層15、上記の止水
シート10、保護モルタル層16が積層状態で順次形
成、敷設されており、その保護モルタル層16の上部に
上記底版2が形成されたものとなっている。
【0015】防砂シート11はその上部の細砕石層12
への砂等の混入を防止して目詰りを防止するためのも
の、細砕石層12は粒径が5mm程度以下の砕石を充填
して形成したもの、粗砕石層13は同じく30mm程度
の砕石を充填して形成したもの、遮断シート14はその
上部の均しモルタル層15を形成する際にモルタルが粗
砕石層13に流れ込んで目詰りを起こすことを防止する
ためのもの、均しモルタル層15は止水シート10の下
地面を形成するもの、止水シート10は後述するように
底版部の止水性能を高めて底版2に対する試験を早期に
実施するためのもの、保護モルタル層16は止水シート
10の保護のためのものである。
への砂等の混入を防止して目詰りを防止するためのも
の、細砕石層12は粒径が5mm程度以下の砕石を充填
して形成したもの、粗砕石層13は同じく30mm程度
の砕石を充填して形成したもの、遮断シート14はその
上部の均しモルタル層15を形成する際にモルタルが粗
砕石層13に流れ込んで目詰りを起こすことを防止する
ためのもの、均しモルタル層15は止水シート10の下
地面を形成するもの、止水シート10は後述するように
底版部の止水性能を高めて底版2に対する試験を早期に
実施するためのもの、保護モルタル層16は止水シート
10の保護のためのものである。
【0016】上記の止水シート10としてはたとえばア
スファルトゴム系のものが用いられ、その縁部は、同素
材からなる長尺帯状の取付片17およびプライマー18
を介して地中連続壁1の内面に対して水密保持可能に固
着されたものとなっている。
スファルトゴム系のものが用いられ、その縁部は、同素
材からなる長尺帯状の取付片17およびプライマー18
を介して地中連続壁1の内面に対して水密保持可能に固
着されたものとなっている。
【0017】上記の構造の底版部の施工手順を説明す
る。地中連続壁1の内側の地盤を掘削した後、まず掘削
面に防砂シート11を全面にわたって敷設し、その上に
細砕石層12を形成するが、それと前後して取付片17
を地中連続壁1の内面に固着する。取付片17を固着す
るに当たっては、地中連続壁1内面に付着している土砂
等を洗い流して除去してから例えばゴム系のプライマー
18を吹き付け、そのプライマー18に対して取付片1
7の下側の側縁部を熱溶着させることが良い。
る。地中連続壁1の内側の地盤を掘削した後、まず掘削
面に防砂シート11を全面にわたって敷設し、その上に
細砕石層12を形成するが、それと前後して取付片17
を地中連続壁1の内面に固着する。取付片17を固着す
るに当たっては、地中連続壁1内面に付着している土砂
等を洗い流して除去してから例えばゴム系のプライマー
18を吹き付け、そのプライマー18に対して取付片1
7の下側の側縁部を熱溶着させることが良い。
【0018】取付片17を固着したら、適宜の保護カバ
ー(図示せず)により取付片17を覆って保護し、粗砕
石層13を形成して取付片17をその上部を残して粗砕
石層13に埋設させる。次いで、粗砕石層13の上に遮
断シート14を敷設して均しモルタル層15を形成し、
その上に止水シート10を敷設し、止水シート10の縁
部は取付片17の上部に対して重ね合わせて熱溶着す
る。また、止水シート10どうしの継ぎ目も所定寸法重
ね合わせて同様に熱溶着する。
ー(図示せず)により取付片17を覆って保護し、粗砕
石層13を形成して取付片17をその上部を残して粗砕
石層13に埋設させる。次いで、粗砕石層13の上に遮
断シート14を敷設して均しモルタル層15を形成し、
その上に止水シート10を敷設し、止水シート10の縁
部は取付片17の上部に対して重ね合わせて熱溶着す
る。また、止水シート10どうしの継ぎ目も所定寸法重
ね合わせて同様に熱溶着する。
【0019】上記のようにして止水シート10を全面に
わたって隙間なく敷設したら、その上に保護モルタル層
16を形成し、さらにその上に底版2を施工する。
わたって隙間なく敷設したら、その上に保護モルタル層
16を形成し、さらにその上に底版2を施工する。
【0020】上記のように、アスファルトゴム系の止水
シート10を採用するとともに、その取付片17をまず
プライマー18を介して地中連続壁1内面に対して熱溶
着し、その取付片17に対して止水シート10の縁部を
重ね合わせて熱溶着することで、地中連続壁1に対する
固着を確実に行うことができるとともに、止水シート1
0を完全に隙間なく敷設することができる。
シート10を採用するとともに、その取付片17をまず
プライマー18を介して地中連続壁1内面に対して熱溶
着し、その取付片17に対して止水シート10の縁部を
重ね合わせて熱溶着することで、地中連続壁1に対する
固着を確実に行うことができるとともに、止水シート1
0を完全に隙間なく敷設することができる。
【0021】そして、上記の構造によれば、底版2の下
面側に止水シート10が全面にわたって敷設されている
ので、底版部の止水性能を大きく向上させることができ
て止水性能に対する信頼性をより向上させることができ
ることはもとより、底版2の強度や止水性能の確認のた
めの試験を、底版2の施工が完了したら側壁3の施工が
完了することを待つことなく速やかに実施することがで
きる。
面側に止水シート10が全面にわたって敷設されている
ので、底版部の止水性能を大きく向上させることができ
て止水性能に対する信頼性をより向上させることができ
ることはもとより、底版2の強度や止水性能の確認のた
めの試験を、底版2の施工が完了したら側壁3の施工が
完了することを待つことなく速やかに実施することがで
きる。
【0022】その試験について図2を参照して説明す
る。図2は底版2の強度および止水性能の試験を実施し
ている状態を模式的に示すものであって、この図2に示
すように、底版2の施工が完了し、側壁3の底部が施工
された段階で、いずれかの揚水ピット7に注水して所定
の水位に維持するとともに、他の揚水ピットの集水管9
は蓋19により塞いでおく。このようにすることによ
り、揚水ピット7から集水管9を通して砕石層12,1
3に注水されていき、砕石層12,13には揚水ピット
7における水頭圧に相当する被圧水が充満し、したがっ
て底版2に対しては上記水頭圧に相当する揚水圧が止水
シート10を介して作用する。
る。図2は底版2の強度および止水性能の試験を実施し
ている状態を模式的に示すものであって、この図2に示
すように、底版2の施工が完了し、側壁3の底部が施工
された段階で、いずれかの揚水ピット7に注水して所定
の水位に維持するとともに、他の揚水ピットの集水管9
は蓋19により塞いでおく。このようにすることによ
り、揚水ピット7から集水管9を通して砕石層12,1
3に注水されていき、砕石層12,13には揚水ピット
7における水頭圧に相当する被圧水が充満し、したがっ
て底版2に対しては上記水頭圧に相当する揚水圧が止水
シート10を介して作用する。
【0023】そこで、そのような揚水圧を受けることで
底版2に生じる歪を測定し、それが許容範囲内であるか
どうかを確認するとともに、タンク内への流入水の有無
により止水性能の確認を行う。異常がなければ試験を完
了し、揚水ピット7内に水中ポンプを投入して砕石層1
2,13からの排水を行う。異常があった場合には速や
かな対策を施した後、同様の手順により再試験を行う。
底版2に生じる歪を測定し、それが許容範囲内であるか
どうかを確認するとともに、タンク内への流入水の有無
により止水性能の確認を行う。異常がなければ試験を完
了し、揚水ピット7内に水中ポンプを投入して砕石層1
2,13からの排水を行う。異常があった場合には速や
かな対策を施した後、同様の手順により再試験を行う。
【0024】以上のように、止水シート10を底版2の
下面側にその全面にわたって敷設することにより、側壁
3と地中連続壁1との間の間隙が水密保持可能に塞が
れ、したがって、側壁3が図2に示すように揚水ピット
7に維持する水位より低い位置までしか立上がっていな
い段階で上記のような試験を行っても、従来のように被
圧水が側壁3と地中連続壁1との間の間隙を通ってタン
ク内に流入してしまうようなことがなく、そのような試
験を早期に行うことが可能となったのである。換言すれ
ば、止水シート10を設けることなく図2に示す状態で
試験を行った際には、被圧水が側壁3と地中連続壁1と
の間の間隙を容易に上昇してタンク内に流入してしまう
から、そのような段階で試験を行うことは不可能であ
る。
下面側にその全面にわたって敷設することにより、側壁
3と地中連続壁1との間の間隙が水密保持可能に塞が
れ、したがって、側壁3が図2に示すように揚水ピット
7に維持する水位より低い位置までしか立上がっていな
い段階で上記のような試験を行っても、従来のように被
圧水が側壁3と地中連続壁1との間の間隙を通ってタン
ク内に流入してしまうようなことがなく、そのような試
験を早期に行うことが可能となったのである。換言すれ
ば、止水シート10を設けることなく図2に示す状態で
試験を行った際には、被圧水が側壁3と地中連続壁1と
の間の間隙を容易に上昇してタンク内に流入してしまう
から、そのような段階で試験を行うことは不可能であ
る。
【0025】なお、上記実施例では、止水シート10と
してアスファルトゴム系のものを採用し、それを取付片
17およびプライマー18を介して地中連続壁1内面に
対して熱溶着するようにしたが、止水シート10の素材
は所望の止水性能が得られるものであれば種々のものを
採用可能であることは勿論のこと、地中連続壁1に対す
る固着の形態や止水シート10どうしの継ぎ目の形態も
最適な手法を適宜採用すれば良い。また、砕石層12,
13の形態、防砂シート11や遮断シート14の有無等
は、設計条件等により不要であれば適宜変更したり省略
しても良い。
してアスファルトゴム系のものを採用し、それを取付片
17およびプライマー18を介して地中連続壁1内面に
対して熱溶着するようにしたが、止水シート10の素材
は所望の止水性能が得られるものであれば種々のものを
採用可能であることは勿論のこと、地中連続壁1に対す
る固着の形態や止水シート10どうしの継ぎ目の形態も
最適な手法を適宜採用すれば良い。また、砕石層12,
13の形態、防砂シート11や遮断シート14の有無等
は、設計条件等により不要であれば適宜変更したり省略
しても良い。
【0026】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明の構造に
よれば、底版の下面側に止水シートを全面にわたって敷
設し、その止水シートを地中連続壁の内面に水密保持可
能に固着したので、底版部における止水性能をより向上
させることができることはもとより、その止水シートに
より側壁と地中連続壁との間の間隙が塞がれることにな
るため、底版に対する強度および止水性能の確認のため
の試験を側壁が十分に立上がっていない早期の段階で実
施することが可能となり、工期短縮に寄与することがで
きる。特に、防砂シート、砕石層、遮断シート、均しモ
ルタル層、上記の止水シート、保護モルタル層、上記の
底版を積層状態で順次形成、敷設することとすれば、上
記の止水シートによる優れた止水性能が得られることに
加えて、均しモルタル層と保護モルタル層により止水シ
ートが上下から十分に保護されるとともに、防砂シート
と遮断シートにより砕石層に対する砂やモルタルの流入
が防止されて砕石層の目詰りを防止できるという利点が
ある。
よれば、底版の下面側に止水シートを全面にわたって敷
設し、その止水シートを地中連続壁の内面に水密保持可
能に固着したので、底版部における止水性能をより向上
させることができることはもとより、その止水シートに
より側壁と地中連続壁との間の間隙が塞がれることにな
るため、底版に対する強度および止水性能の確認のため
の試験を側壁が十分に立上がっていない早期の段階で実
施することが可能となり、工期短縮に寄与することがで
きる。特に、防砂シート、砕石層、遮断シート、均しモ
ルタル層、上記の止水シート、保護モルタル層、上記の
底版を積層状態で順次形成、敷設することとすれば、上
記の止水シートによる優れた止水性能が得られることに
加えて、均しモルタル層と保護モルタル層により止水シ
ートが上下から十分に保護されるとともに、防砂シート
と遮断シートにより砕石層に対する砂やモルタルの流入
が防止されて砕石層の目詰りを防止できるという利点が
ある。
【0027】また、止水シートを敷設するに当たって
は、その止水シートと同素材からなる長尺帯状の取付片
の一側縁部を地中連続壁の内面に水密保持可能に固着
し、その取付片の他側縁部に止水シートの縁部を重ね合
わせて水密保持可能に接続するような手順を採用するこ
とにより、作業性に優れるとともに、止水シートを確実
に隙間なく敷設し得て優れた止水性能を確保することが
できる。
は、その止水シートと同素材からなる長尺帯状の取付片
の一側縁部を地中連続壁の内面に水密保持可能に固着
し、その取付片の他側縁部に止水シートの縁部を重ね合
わせて水密保持可能に接続するような手順を採用するこ
とにより、作業性に優れるとともに、止水シートを確実
に隙間なく敷設し得て優れた止水性能を確保することが
できる。
【図1】本発明に係る地下タンクの底版部の構造の一実
施例を示す要部拡大断面図である。
施例を示す要部拡大断面図である。
【図2】同、地下タンクの底版に対する試験を行ってい
る状態を模式的に示す図である。
る状態を模式的に示す図である。
【図3】地下タンクの一例を示す側断面図である。
【図4】同、平面図である。
【図5】同、要部拡大断面図である。
1 地中連続壁 2 底版 3 側壁 7 揚水ピット 9 集水管 10 止水シート 11 防砂シート 12 細砕石層 13 粗砕石層 14 遮断シート 15 均しモルタル層 16 保護モルタル層 17 取付片 18 プライマー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−159075(JP,A) 実開 昭57−8999(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 7/18 - 7/18 303
Claims (3)
- 【請求項1】 地中連続壁の内側上部に一体に形成され
た鉄筋コンクリート造の側壁と、該側壁の底部に一体と
された鉄筋コンクリート造の底版とによって地下タンク
を構成し、前記底版の下面側に該底版の全面にわたる止
水シートを敷設して、該止水シートの縁部を前記地中連
続壁に対して水密保持可能に固着してなることを特徴と
する地下タンクの底版部の構造。 - 【請求項2】 請求項1に記載の地下タンクの底版部の
構造であって、前記地中連続壁の内側の掘削地盤面に敷
設した防砂シート上に、砕石層、遮断シート、均しモル
タル層、前記止水シート、保護モルタル層を積層状態で
順次形成、敷設し、該保護モルタル層の上部に前記底版
を形成してなることを特徴とする地下タンクの底版部の
構造。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の構造の地下タ
ンクの底版部を施工するに際し、前記止水シートを敷設
するに当たっては、該止水シートと同素材からなる長尺
帯状の取付片の一側縁部を地中連続壁の内面に水密保持
可能に固着し、しかる後に前記止水シートを敷設してそ
の縁部を前記取付片の他側縁部に重ね合わせて水密保持
可能に接続することを特徴とする地下タンクの底版部の
施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21412994A JP3224479B2 (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 地下タンクの底版部の構造およびその施工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21412994A JP3224479B2 (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 地下タンクの底版部の構造およびその施工方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0874441A JPH0874441A (ja) | 1996-03-19 |
JP3224479B2 true JP3224479B2 (ja) | 2001-10-29 |
Family
ID=16650709
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21412994A Expired - Fee Related JP3224479B2 (ja) | 1994-09-07 | 1994-09-07 | 地下タンクの底版部の構造およびその施工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3224479B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4976091B2 (ja) * | 2006-09-19 | 2012-07-18 | 鹿島建設株式会社 | 止水構造 |
JP5168960B2 (ja) * | 2007-03-16 | 2013-03-27 | 株式会社大林組 | 地下式低温液化ガス貯槽 |
JP5105158B2 (ja) * | 2007-08-09 | 2012-12-19 | 清水建設株式会社 | 地下タンクの底部構造 |
JP6465276B2 (ja) * | 2014-10-15 | 2019-02-06 | 株式会社Ihi | タンク |
-
1994
- 1994-09-07 JP JP21412994A patent/JP3224479B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0874441A (ja) | 1996-03-19 |
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