以下、本発明の実施形態に係る情報提供システムを、ITS(Intelligent Transport Systems)を例に説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、ITSは、道路、駐車場などの車両が通行する場所の近傍に配置された路側無線装置100と、車両に搭載され、路側無線装置100との間で通信してユーザ(車両の乗車者)に交通情報等を提供する車載器200と、交通情報などの種々の情報を生成して路側無線装置100に供給する交通情報配信サーバ300と、を備える。車載器200と路側無線装置100との間の通信方法は、プッシュ配信において一般的に用いられるDSRC(Dedicated Short Range Communication)である。
図2に示すように、交通情報配信サーバ300は、入力部301、出力部302、第1の通信制御部303、第2の通信制御部304、記憶装置305、制御部306、ROM(Read Only Memory)307、RAM(Random Access Memory)308、システムバス309を備える。
入力部301は、キーボード、マウス、入力インタフェース等を備え、サーバ管理者からの指示入力や種々のデータの入力等を受け付けて制御部306に入力する。
出力部302は、表示装置などから構成され、画像データやメッセージデータなどを表示する。
第1の通信制御部303は、電話回線、インターネット等の一般通信網NW1を介して外部装置と交信し、種々の情報を送受信する。
第2の通信制御部304は、ITS通信網NW2を介して各路側無線装置100に接続され、路側無線装置100に交通情報などを送信する。また、第2の通信制御部304は、各路側無線装置100が車載器200との交信などにより得た情報を、ITS通信網NW2を介して受信する。例えば、車載器200から受信した情報は、交通情報を生成するために用いられる。
記憶装置305は、ハードディスク装置等を備え、交通情報や広告などを示す画像データ、音声データ、テキストデータ等を格納する。また、記憶装置305は、各路側無線装置100の位置やアドレスの他、各路側無線装置100の近傍の地理情報を記憶する。
制御部306は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、交通情報配信サーバ300全体の動作を制御する。また、制御部306は、記憶装置305に格納されている各種情報に基づいて、各路側無線装置100に配信するコンテンツデータを作成し、第2通信制御部304を制御してITS通信網NW2を介して各路側無線装置100に配信する。制御部306が生成し送信するコンテンツデータの構成については後述する。
ROM307は、交通情報配信サーバ300全体の動作制御に必要なオペレーティングシステム(OS)やプログラム等を記憶する。
RAM308は、制御部306のワークエリアとして機能する。
システムバス309は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
次に、路側無線装置100の構成について説明する。路側無線装置100は、典型的には道路上や駐車場等に設置されるビーコン等(電波ビーコン、光ビーコン等)の送受信機を備える。路側無線装置100は、ビーコンから交通情報や広告などのコンテンツデータを周囲に発信する。路側無線装置100は、ユーザが情報を引き出す(プル)のではなく、ユーザが操作しなくてもコンテンツ提供側から自動的に情報をクライアントに送る、いわゆるプッシュ配信によって情報を配信する。路側無線装置100は、送信対象のコンテンツデータを交通情報配信サーバ300から受信して記憶し、無線送信する。路側無線装置100の近くを通過する車両の車載器200は、路側無線装置100からコンテンツデータを受信する。
ここで、コンテンツデータには、コンテンツデータを再生するための再生条件(例えばコンテンツデータの再生を開始する地理的な位置)を指示するためのデータが含まれる。詳細は後述する。
図3に示すように、路側無線装置100は、無線通信部101、通信制御部102、記憶装置103、制御部104、ROM105、RAM106、システムバス107を備える。
無線通信部101は、電波信号、光信号等の無線信号により路側無線装置100の近傍を通過する車両に設置された車載器200との間で情報を交信する。例えば、無線通信部101は、交通情報配信サーバ300から提供された交通情報を車載器200に送信する。また、無線通信部101は、車載器200から送信されてくる車両ID等の情報を受信する。
通信制御部102は、ITS通信網NW2を介して交通情報配信サーバ300に接続され、交通情報配信サーバ300から送信される交通情報や広告などのコンテンツデータを受信して記憶装置103に格納する。また、車載器200から取得した情報を交通情報配信サーバ300に送信する。
記憶装置103は、交通情報配信サーバ300から受信した交通情報や広告などを格納する。
制御部104は、CPU等から構成され、路側無線装置100全体の動作を制御する。例えば、制御部104は、記憶装置103に格納されている交通情報や広告を、無線通信部101を制御して車載器200にプッシュ配信する。制御部104は、無線通信部101により車載器200から取得した情報を記憶装置103に格納する。また、制御部104は、トラフィックカウンター(図示せず)などを用いて路側無線装置100周辺の交通情報を生成して記憶装置103に格納し、ITS通信網NW2を介して交通情報配信サーバ300に送信することもできる。
ROM105は、路側無線装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステム(OS)、プログラム、各種のデータを記憶する。
RAM106は、制御部104のワークエリアとして機能する。
システムバス107は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
次に、車載器200の構成について説明する。車載器200は自動車に設置される。本実施形態では、車載器200は、一般的なカーナビゲーション装置と一体に構成され、カーナビゲーションの機能と、路側無線装置100からプッシュ配信されたコンテンツデータを再生する機能とを備える。ただし、カーナビゲーションの機能を備えない実施形態を採用することもできる。
車載器200は、自己の位置を判別し、また、路側無線装置100からプッシュ配信されるコンテンツデータを受信する。例えば、車載器200は、測定された自己の位置と、受信したコンテンツデータに含まれる、再生するための地理的な位置(以下、「再生位置」と呼ぶ)とが一致すると、コンテンツデータを再生する。以下詳述する。
図4に示すように、車載器200は、通信部201、音声処理部202、出力部203、操作部204、I/O(Input/Output)装置205、記憶装置206、制御部207、ROM208、RAM209、システムバス210を備える。
通信部201は、GPS(Global Positioning System)モジュール201a、DSRC(Dedicated Short Range Communication)モジュール201bを含む。
GPSモジュール201aは、複数のGPS衛星からのGPS電波を受信し、制御部207に供給する。制御部207は、GPSモジュール201aを制御して、車載器200の現在位置を取得できる。
DSRCモジュール201bは、DSRC方式により、路側無線装置100と通信する。
音声処理部202は、制御部207から入力されたディジタルオーディオ信号をD/Aコンバータ(図示せず)でアナログオーディオ信号に変換して、スピーカ222に出力する。また、音声処理部202は、マイクロフォン223から入力された音声をA/Dコンバータ(図示せず)でディジタルオーディオ信号に変換して、制御部207に入力する。制御部207に入力されたデジタルオーディオ信号は公知の音声認識技術により音声認識処理が行われる。これにより、ユーザはナビゲーション音声を聞いたり、ナビゲーションに対し音声を入力することにより所定の指示を行なったりすることができる。
出力部203は、モニタを備え、通信部201により取得されたナビゲーション画像などのコンテンツデータ、テレビ画像、記憶装置206等に予め記憶されたマップ画像などを表示する。
操作部204は、タッチパネル式入力装置などから構成され、ユーザによる指示入力に基づいて指示入力信号を生成して、制御部207に入力する。
I/O装置205は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)ドライブを含み、所定の地図情報(マップデータ)などを納めたDVD−ROMやCD−ROMからデータを読み出して制御部207に入力する。また、I/O装置205は、速度センサ、走行距離センサ、方向センサ、ブレーキセンサ等のセンサ群225の検出信号を取得し、制御部207に供給する。
記憶装置206は、ハードディスクドライブ(HDD)を含み、所定の地図情報や各種設定情報などを記憶する。なお、記憶装置206は、メモリカードなどの他のメモリを備えていてもよい。制御部207は、地図情報を記憶したDVD−ROM等の記憶媒体から随時この地図情報を読み出してもよいし、記録媒体から予めこの地図情報を読み出して記憶装置206に書き込んでおく(インストールしておく)ようにしてもよい。
制御部207は、CPU等から構成され、車載器200全体の動作を制御する。例えば、制御部207は、GPSモジュール201aを介して受信したGPS信号に基づいて、車載器200(自車)の現在位置を判別する。また、制御部207は、センサ群225に含まれている方向センサの出力をI/O装置205を介して取り込み、現在の自車の進行方向を判別する。また、制御部207は、距離センサの出力から、自車の走行距離を求める。また、制御部207は、VICSモジュール201bを介して路側無線装置100から交通情報などのコンテンツデータを受信し、受信したコンテンツデータに含まれている再生条件を指定するデータに基づいて再生する。なお、制御部207は、コプロセッサ等を備えても良い。
ROM208は、車載器200全体の動作制御に必要なオペレーティングシステム(OS)、プログラム、各種のデータが記録される。
RAM209は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、通信部201により取得されたコンテンツデータ、DVD−ROMから読み出したデータ等が保持される。また、制御部207は、RAM209をワークメモリとして使用する。
システムバス210は、上記各部を相互に接続し、命令やデータを転送するための伝送経路である。
次に、車載器200の機能的な構成について説明する。図5に示すように、車載器200は、データ取得部251、データ再生部253、自己位置検出部254、位置一致判別部255、進行方向検出部256、方向一致判別部257、道路種別検出部258、道路種別判別部259を備える。
データ取得部251は、再生すべき1つ又は複数のコンテンツデータを路側無線装置100から受信して取得する。制御部207、通信部201、記憶装置206が協働することにより、データ取得部251として機能する。
コンテンツデータは、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式などの動画像データ、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式などの静止画像データ、TTS(Text-to-Speech)形式の音声データ、文字情報などのテキストデータを含む。1つのコンテンツデータは、これらのデータうち1つ以上のデータから構成される。詳細は後述する。
これらのデータは、単独で再生するように指定されるものだけでなく、他のデータと同時に或いは並行して再生するように指定されるものもある。例えば、ある地域のマップ画像データと、その地域の観光情報を説明する音声データとの組み合わせなどである。ここで言う同時とは、時間が完全に一致していなくてもよく、再生のタイミングが一部でも重複していればよい。
一般に、画像と音声から構成されるコンテンツの提供側(データ配信側)は、これらが同時に再生されることを前提として、画像データと音声データとを制作している。本実施形態では、路側無線装置100は、同時に再生すべきコンテンツデータがある場合には、それらを指定する情報を格納して、コンテンツデータを配信する。車載器200は、この情報に従ってコンテンツを同時再生することができる。これにより、コンテンツ提供側の意図した通りにコンテンツを再生することができる。
データ再生部253は、データ取得部251が取得したコンテンツデータを再生する。より詳細には、データ再生部253は、後述する位置一致判別部255による位置の判別結果と、方向一致判別部257による車載器200(自車)の進行方向の判別結果と、道路種別判別部259による自車が現在走行している道路の種別の判別結果とに基づいて、コンテンツデータ毎に指定された所定の再生条件が満たされたか否かを判断し、再生条件が満たされていればコンテンツデータを再生する。制御部207、記憶装置206、音声処理部202、出力部203が協働することにより、データ取得部251として機能する。
自己位置検出部254は、GPSモジュール201aにより取得したGPS信号を処理して、車載器200の現在位置を検出する。通信部201、制御部207が協働することにより、自己位置検出部254として機能する。
位置一致判別部255は、データ取得部251が取得したコンテンツデータに含まれる再生位置と、自己位置検出部254が検出した自己位置とを照合し、一致したときに、データ再生部253にデータ再生の許可を出す。ここで言う一致とは、予め定めた誤差内にあることを指し、必ずしも完全一致を指すものではない。制御部207が、位置一致判別部255として機能する。
進行方向検出部256は、車載器200(自車)の進行方向を検出する。制御部207、I/O装置205、方向センサが協働することにより、進行方向検出部256として機能する。
方向一致判別部257は、データ取得部251が取得したコンテンツデータに含まれる再生方向と、車載器200(自車)の進行方向とを比較し、一致した場合(予め定めた誤差内にある場合)に、データ再生部253にデータ再生の許可を出す。制御部207が、方向一致判別部257として機能する。
道路種別検出部258は、ナビゲーション装置の地図情報と、自己位置検出部254が検出した現在位置とに基づいて、車載器200を搭載した自車が現在走行している道路の種別を検出する。制御部207が、道路種別検出部258として機能する。
道路種別判別部259は、コンテンツデータの再生条件で指定された道路種別と、道路種別検出部258が検出した道路種別とを比較し、一致した場合に、データ再生部253にデータ再生の許可を出す。例えば、データ再生部253は、自車が再生条件に指定された道路種別に分類される道路を走行中であると判別されれば、コンテンツデータを再生する。制御部207が、道路種別判別部259として機能する。
次に、コンテンツデータの構成について説明する。
図6は、路側無線装置100からプッシュ配信されるコンテンツデータのフォーマットの一例を示す図である。コンテンツデータには、コンテンツを構成する静止画像データ、動画像データ、音声データ、テキストデータ等のほか、これらのデータの再生条件や、コンテンツデータの付属情報などが記録される。以下詳述する。
本図に示すように、コンテンツデータは、事業者情報401、情報提供者情報402、対象地点情報403、実データ部分404、優先度指定情報405を含む。
まず、事業者情報401は、サービス事業者を特定するための事業者コード、サービス事業者ごとに予め指定されたモニタ表示用テキストデータなどを含む。
次に、情報提供者情報402は、情報提供者(典型的には広告主の経営するサービス提供所)を識別するための情報提供者コード、情報提供者ごとに予め指定されたモニタ表示用テキストデータ、コンテンツを識別するための情報コード、コンテンツデータの有効期限、車載器200が受信したコンテンツデータを速やかに再生するか蓄積するかを指定する識別子などを含む。
情報提供者コードは、コンテンツデータの提供元、すなわちデータ配信側を特定するための情報である。例えば、車載器200の制御部207は、情報提供者コードに基づいて、特定の提供元から提供されるコンテンツデータの受信を許可にしたり不許可にしたりすることができる。例えば、車載器200が搭載された自動車に未成年者が同乗しているときに、ドライバーは、未成年者に相応しくない内容を扱うデータ配信側から届けられたコンテンツをモニタに表示しないようにする等の設定ができる。制御部207は、プッシュ配信で取得したコンテンツデータの事業者コードと、予め記憶装置206に予め記憶された情報提供者コードリスト(図示せず)とに基づいて、そのコンテンツデータをモニタやスピーカに出力するか否かを判別することができる。
コンテンツを識別するための情報コードは、例えば、データ提供側の広告企業(スポンサー)を特定するための広告企業IDや、データ配信側がユーザ(本実施形態では主にドライバー)を誘導しようと意図しているサービス提供所で扱う商品の素材を示す素材IDや、サービス提供所で扱う商品の商品ID等である。ユーザは、情報提供者コードと同様に、情報コードをコンテンツの選別(フィルタリング)に活用することができる。例えば、車載器200は、ドライバーが麺類を提供する食堂を探しているとき、情報コードに基づいて、パンや米を提供する店を除外して、麺類を提供する食堂が配信するデータだけをモニタ画面に表示させることができる。
情報コードとして、ツリー構造を有するカテゴリーIDを用いることができる。例えば、項目として「暮らしの情報」「お店の情報」「ロードサイドサービス」などを用意し、それぞれにカテゴリーIDを付与する。また、「暮らしの情報」のサブ項目として、「医療・病院」「行政からのお知らせ」などを用意して、それぞれにカテゴリーIDをする。さらに、「医療・病院」のサブ項目として、「本日の当直医」「医療費のお知らせ」などの項目を用意して、それぞれにカテゴリーIDを付与する。
このほか、情報コードは、サービス提供所で所定の時間帯に限定して行う割引販売を通知したり、商品又は役務のクーポン券・割引券・特典券・各種チケット等を配布したりするために用いてもよい。この場合、情報コードには、割引販売することを示すコードや、クーポン券等が付随することを示すコードが格納される。ここに記載した以外にも、分類コードに多様な情報を含めることができる。
次に、対象地点情報403は、図7に示すように、対象地点座標411、提供時間情報412、再生詳細設定情報413、対象地点アイコン情報414、情報提供開始情報415を含む。
対象地点座標411は、情報提供者によって予め指定される座標であり、緯度・経度を用いて表される。本実施形態の車載器200は、コンテンツデータの再生時に、対象地点座標411で指定された位置をカーナビゲーションシステムによる道案内の目的地又は経由地に指定するか否かを示す指示入力をユーザから受け付け、目的地又は経由地に設定することができる。
提供時間情報412は、コンテンツデータを再生してユーザに提供する時間を指定する。例えば、情報提供者側が経営するサービス提供所の営業時間が指定される。車載器200のデータ再生部253は、現在時刻が、受信したコンテンツデータの提供時間情報412が示す時間帯に含まれる場合に、コンテンツデータを再生する。
例えば、提供時間情報は、情報有効期間開始時と、情報有効期間終了時と、を含む。情報有効期間は、例えば期間限定の割引キャンペーンが継続される期間のように、コンテンツデータをユーザに提供する期間である。情報有効期間内に限ってコンテンツデータが再生されるようにしておけば、割引キャンペーンを目当てにサービス提供所に到着したドライバーが、該キャンペーンが既に終わっていてその恩恵を受けられずに失望する、といったトラブルがなくなり、データ配信側のイメージダウンといった不利益を防止することができる。情報有効期間の開始時と終了時は、年月日、時刻、曜日、あるいはこれらの組み合わせを用いて表される。また、情報有効期間開始時のみ、あるいは、情報有効期間終了時のみが提供されてもよい。例えば、「○月○日以降」や「○月○日まで」などでもよい。
再生詳細設定情報413は、再生条件が満たされたときに何らかの理由で再生できない(例えば、車載器200がカーナビゲーションシステムによる道案内の再生中であり割り込んで再生できない等)場合、再生条件を満たした後であって再生可能になった時点で、コンテンツデータを再生するか否かを設定するための情報である。
対象地点アイコン情報414は、モニタに表示される地図上の対象地点座標411に相当する位置に表示する画像などの情報である。
情報提供開始情報415は、プッシュ配信されるコンテンツデータを再生することによってユーザへの情報の提供を開始するための再生条件と、その再生条件に合致した場合に再生されるデータ(再生用データ)と、を含む。再生用データは、静止画像データ、動画像データ、音声データ、TTS(text- to-speech)形式の音声データがあげられるが、走行中に出力される場合も鑑み、少ない情報量のデータであることが好ましい。情報提供開始情報415に含まれる再生用データは、「個別データ」と「共通データ」とに大別できるが、詳細は後述する。
再生条件は、情報提供開始位置を用いて設定される。情報提供開始位置は、データ配信側により設定される地理的な位置(地点)であり、例えば緯度と経度の組み合わせにより特定される。また緯度・経度情報に続けて所定の距離(例えば10m等)を設定してもよい。この場合、緯度・経度を中心とし、所定距離を半径とする円に含まれる領域が情報提供開始位置となる。例えば、データ配信側は、サービス提供所の存在する位置と、路側無線装置100が設置された付近の駐車場との間に、情報提供開始位置を設定するのが好適である。ドライバーの休憩等のためにかかる駐車場に入庫した自動車に搭載された車載器200にプッシュ配信が行われてコンテンツデータが記憶装置206に格納された後、ドライバーがたまたまおよそサービス提供所の方角に自動車を進めた場合、情報開始位置に自動車がさしかかったときにサービス提供所の広告がモニタに表示されれば、ドライバーが本来の目的地に行く前にサービス提供所に立ち寄る可能性は高いと考えられるからである。
情報提供開始位置はひとつに限ることはなく、例えばサービス提供所を取り囲むように、複数箇所設定してもよい。このようにすれば、四方八方からドライバーをサービス提供所に誘導することができる。
再生条件は、情報提供開始距離を用いて設定されても良い。これは、路側無線装置100からプッシュ配信を受けた後、自動車が情報提供開始距離だけ走行したときデータの再生が行われるようにすることも可能にするためである。上述の例でいえば、路側無線装置100を設置した駐車場とサービス提供所との間の道のりの例えば半分を情報提供開始距離としておけば、データ配信側にとって有利なタイミングでドライバーにコンテンツを視聴してもらうことができる可能性がある。自動車が駐車場を出発した後にサービス提供所とは逆方向に走行した場合、データ再生の開始トリガーとして上述の情報提供開始位置を用いる場合に比べて、サービス提供所側にとってはメリットが少なくなってしまうが、座標を指定するよりもデータのサイズが少なくて済むという利点がある。
再生条件は、情報提供方向を用いて設定されても良い。データ配信側が上述のようにサービス提供所を取り囲むように情報提供開始位置のみを設定した場合、例えば既にサービス提供所でサービスを受け終わってサービス提供所から離れていく(つまりサービス提供所から遠ざかる)向きに自動車が移動したときにも、車載器200によるコンテンツデータの再生が開始されてしまう可能性がある。ドライバーがサービスを受ける意思がなくサービス提供所から遠ざかっていくときも同様である。このようなときもコンテンツデータの再生が始まってしまうと、ドライバーは煩わしく感じ、データ配信側に対して不愉快な印象を持ってしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、情報提供開始位置の他に、情報提供方向を指定できるようになっている。情報提供方向は、緯度や経度などを用いて表現する方向でもよいし、例えば東西南北程度あるいは16方位程度のおおまかな情報でもかまわない。データ配信側は、情報提供方向として、情報提供開始地点からサービス提供所への向きを指定するのが好適である。車載器200は、位置一致判別部255により自己の位置が情報提供開始位置と一致したと判別しただけではデータ再生部253にデータ再生の許可を出さない。さらに自己進行方向が情報提供方向と一致したとの判別結果を得てから、データ再生部253にデータ再生を開始させるのが好適である。情報提供方向は、上記のほか、例えば、上り・下りで表現する向き、道路の延びる向き(例えば「渋谷方面」など地名や固有名詞を用いたおおまかな向き)、などでもよい。
再生条件は、道路種別を用いて設定されても良い。この情報の活用方法は多々考えられる。例えば、一方通行の道路についての情報を記載しておけば、上述の情報提供開始位置がたまたまサービス提供所から離れていく向きにしか進行できない道路に設定されてしまっていた場合、データ再生部253が情報提供開始位置に達してもコンテンツデータの再生をしないようにすることができる。サービス提供所から離れていく自動車内でコンテンツデータが再生されても、データ配信側の利益にならない場合がある。道路種別は、上記のほか、例えば、一般道路、高速道路、有料道路、バイパス、国道・県道・市町村道、トンネル、橋などでもよい。また、車線数(例えば片側2車線など)、幅員、通行規制の内容(例えば速度、車線、時間、季節、車種、車幅、車高、重量等による規制)、舗装の有無、交通量(例えば統計的に渋滞し易い道路等)、上り坂・下り坂・平坦、交通事故の発生頻度、によって区別するものでもよい。さらには、起伏の激しい道路、カーブが多い道路、海岸線に一番近い道路、などでもよく、データ配信側(コンテンツデータ提供側)が自由に設定することもできる。
再生条件は、対象地点位置を用いて設定されても良い。対象地点位置は、典型的にはサービス提供所の地理的な位置(地点)である。対象地点位置は、例えば緯度と経度の組み合わせにより表される。例えば、続けて距離を記録しておけば、サービス提供所の位置(前記対象地点位置)を中心とする所定半径の円の円周付近に車載器200が達したタイミングでデータの再生が行われるようにすることができる。位置一致判別部255は、車載器200の現在位置が対象地点位置からこの半径の示す距離だけ離れた場所か否かを判別すればよい。これにより、上述の情報提供開始位置を1つ1つ定める手間を省くことができる。例えば、複数の情報提供開始位置を個別に指定する代わりに、「対象地点位置からXメートル離れた位置」のように指定でき、少ないデータ量で多くの再生開始位置を指定できる。言い換えれば、1つの対象地点位置を指定すれば、実質的に複数の情報提供開始位置を指定することができる。このように、対象地点位置を用いれば再生条件を記述するために必要なデータ量を減らすことができ、その効果は再生開始位置を多く設けたいときほど大きくなる。なお、半径の長さを固定値にすれば、半径の長さを指定するデータ領域を設ける必要がないので、さらに効率よく再生開始位置を指定できるようになる。
また、応用例として、単位時間あたりの位置の変化量(閾変化量)を再生条件として更に記憶させることができる。すなわち、位置一致判別部255は、自己位置検出部254が検出した位置(第1の時刻における車載器200の位置と第2の時刻における車載器200の位置)の変化量を計算する。さらに、位置一致判別部255は、車載器200の現在位置が対象地点位置から上記半径の示す距離だけ離れた場所であり、且つ、計算された位置の変化量が予め指定された閾変化量以上(または以下)か否かを判別する。そして、計算された位置の変化量が閾変化量以上(または以下)であれば、データ再生部253はコンテンツデータの再生を開始する。このようにすれば、単純に位置が一致したか否かによってだけでなく、どれくらいの速度で再生開始位置に達したかによって、コンテンツデータを再生させる(させない)ように制御できる。例えば、車載器200を搭載した自動車が対象地点座標411に位置するショッピングセンターから上記半径だけ離れた場所(すなわち本来ならば再生を開始すべき位置)に到達しつつあるものの、運悪く渋滞にはまってしまい“のろのろ運転”で到達したような場合、渋滞を考慮して“抜け道”を案内するコンテンツデータを車載器200に提供したり、ドライバーをリラックスさせる音楽や動画等のコンテンツデータを提供したりすることができる。このように、閾変化量を用いれば、ユーザの置かれている状況に応じて相応しいコンテンツデータを再生することもできる。
再生条件の定義の仕方には、次に例示するような様々なバリエーションがある。
(1)情報提供開始位置を用いたもの。すなわち、再生条件「自車の現在位置が情報提供開始位置と一致する(一致しない)」。例えば、「○○交差点を通過する」など。
(2)情報提供開始距離を用いたもの。すなわち、再生条件「コンテンツデータを受信してから自車が情報提供開始距離だけ走行する(走行していない)」あるいは「コンテンツデータを受信した場所から自車が情報提供開始距離だけ走行するまでの間」。例えば、「自車が○○交差点を通過してからXメートル走行する」、「自車が○○交差点からXメートル進むまでの間」など。距離の単位は任意である。
(3)情報提供方向を用いたもの。すなわち、再生条件「自車の移動方向が情報提供方向と一致する(一致しない)」。例えば、「自車が○○デパートのある方角に向かっている」、「自車が都心から遠ざかる向きに移動している」など。方向は、正確な方位でも東西南北程度の大雑把な向きでもよいが、本実施形態ではVICSの一般仕様と同様に16方位としている。自車の移動方向が、この情報提供方向を中心とした所定角度範囲内の方向に含まれれば、これらが一致するとみなすようにしてもよい。
(4)道路種別を用いたもの。すなわち、再生条件「自車の走行している道路が道路種別で指定された道路である(道路でない)」。例えば、「自車が一般道路を走行している」、「自車が高速道路を走行していない」など。
(5)対象地点位置を用いたもの。すなわち、再生条件「自車の現在位置が対象地点位置から所定距離だけ離れている(離れていない)」あるいは「自車の位置が対象地点位置から単位時間あたり所定距離だけ近づく(遠ざかる)」。例えば、「自車が○○デパートからXメートル以上離れている」、「自車が○○サービスエリアに時速Xキロメートル以上で近づきつつある」など。
(6)情報有効期間開始時及び/又は情報有効期間終了時を用いたもの。すなわち、再生条件「現在日時が情報有効期間内である(でない)」。例えば、「今日は○○デパートが新規オープンする○年○月○日である」、「今日は三連休の初日である」、「現在深夜割引時間帯(○時○分〜×時×分)である」など。
(7)営業曜日及び/又は営業時間を用いたもの。すなわち、再生条件「現在日時が営業曜日及び/又は営業時間である(でない)」。例えば、「今日は○○デパートの休業日である」、「現在○○デパートの開店時間のX分前である」など。曜日の代わりに日付を用いてもよい。
なお、再生条件としてこれらのいずれを採用してもよいし、これらを任意に組み合わせて定義してもよい。
上述したように、情報提供開始情報415に含まれる再生用データには、情報提供開始位置等を用いた条件に合致した場合にのみ再生される「個別データ」と、複数の情報提供開始位置で共通して再生される「共通データ」とに大別できる。個別データと共通データは、いずれも、車載器200の現在位置が情報提供開始位置に到達したときにデータ再生部253がモニタにポップアップ表示するためのデータである。
共通データは、複数の情報提供開始位置が設定されており、それら複数の情報提供開始位置において再生されるデータが同じである場合のデータである。個別データは、情報提供開始位置ごとに再生するように設定されたデータである。例えばあるサービス対象地点情報に対し、情報提供開始位置情報として、3つの地点P1、P2、P3が設定されているとする。P1で再生するデータはD1であり、P2で再生するデータはD2、P3で再生されるデータがD2である場合において、D1は個別データといい、D2はP2とP3で同じデータであるため、これを共通データとよぶ。なお、共通データについては、情報提供開始情報415のそれぞれの地点において、個別にデータが格納されていてもよいし、ある地点(例えばP2)においてデータが格納され、他の地点(例えばP3)では、ある地点に格納されているデータを参照するようにしてもよい。
情報提供開始情報415には、テキストデータと静止画像データと音声データとTTSデータのうち少なくとも1つ以上が格納される。再生条件が満たされた場合に、共通データと個別データのうちどちらを再生するか、あるいは、複数の共通データあるいは複数の個別データが含まれる場合に、どのデータを再生するか、を指定する情報も、情報提供開始情報415に予め格納され、データ再生部253は、この情報に従って、再生するデータを選択するものとする。なお、情報提供開始情報415に含まれる再生用データは、主に、ポップアップ表示するために用いられるデータであり、自車の走行中(つまり運転中)に出力されることを想定しているので、注視する必要がある動画像データは含まないものとする。
表示時間情報416は、出力部203にコンテンツデータの再生画面を表示させる時間を示す情報である。例えば、表示時間情報416には0〜255の整数が設定され、単位は「秒」である。表示時間=“0”は将来の使用の予約用として確保される。表示時間=“255”は次にプッシュ配信されるまで、あるいは操作部204に操作指示が入力されるまで表示を続けることを示す。
表示時間情報416の指定方法としては、表示時間そのものを指定するようにしてもよい。また、車載器200の仕様に委ねるとの指示でもよい。あるいは、例えばコンテンツデータがテキストであり、それと同時に音声のコンテンツデータが再生されることが意図されている場合には、音声発話終了までテキストを表示するといったように、他のコンテンツデータの再生時間を用いた所定の関数として表示時間を決定するようにしてもよい。
なお、ここではコンテンツデータが画像データ又はテキストデータであることを前提にしているが、音声データの場合には、表示時間の代わりに再生時間として用いればよい。
次に、実データ部分404は、図8に示すように、表示用テキスト情報421、表示用静止画像情報422、表示用動画像情報423、再生用音声ファイル情報424、発話用TTSファイル情報425を含む。実データ部分404に格納されるこれらの再生用データは、主に、ポップアップ表示後にユーザが更に詳細な情報を再生することが要求された後に再生されるデータである。
表示用テキスト情報421は、モニタに表示する文字データである。本実施形態では、表示用テキスト情報421で指定される文字データの文字数は、自車が走行中の場合には全角で31文字を上限とする。ただし、上限文字数は適宜変更することも可能である。表示用テキスト情報421は、走行中に表示するデータか、あるいは停車中に表示するデータかを指定する情報を更に含み、データ再生部253は、自車が走行中の場合には走行中に表示するよう指定されたデータのみを再生し、自車が停車中の場合には停車中に表示するように指定されたデータのみを再生してもよい。
表示用静止画像情報422は、モニタに表示する静止画像データであり、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、GIF(Graphics Interchange Format)、PNG(Portable Network Graphics)等のデータ形式が用いられる。
表示用動画像情報423は、モニタに表示する動画像データであり、例えばMPEG−4(Joint Photographic Experts Group - Layer 4)等のデータ形式が用いられる。
再生用音声ファイル情報424は、スピーカから音声出力する音声データであり、例えばAAC(Advanced Audio Coding)等のデータ形式が用いられる。
発話用TTSファイル情報425は、スピーカから音声出力する音声データであり、TTS形式のデータである。データ再生部253は、テキストを音声に変換して再生する。
実データ部分404には、情報提供開始情報415に格納される再生用データと比較して情報量の多いデータが記憶されている。これは、情報提供開始情報415に含まれる再生用データは、走行中にも再生されることを想定して比較的容量の小さいデータとなっているのに対し、実データ部分404に格納される再生用データは、駐車場等、車が停止されている場合に再生されることを想定しているためである。
次に、優先度指定情報405は、コンテンツデータをその内容の重要度合いによって分類するための情報であり、データ配信側によって予め設定される。例えば、コンテンツデータは、優先的に再生する順に、(1)最優先情報(2)優先情報(3)選択可能情報、に分類される。
最優先情報は、カーナビゲーションシステムによる道案内を再生中の場合でも、その処理を中断してすぐに表示・発話するコンテンツデータである。例えば、データ再生部253は、受信完了後1秒以内に専用のアラーム音に続いて表示・発話することが望ましい。最優先情報は、これより優先度の低い優先情報、選択可能情報を表示・発話中であっても、それらを中断し速やかに再生する必要がある。他の最優先情報を再生中の場合には、データ再生部253は、原則として受信順に表示・発話する。例えば、最優先情報には、緊急メッセージ、安全運転支援情報などがある。
優先情報は、カーナビゲーションシステムによる道案内を再生中の場合、その処理の中断の有無は規定しないが、必ず表示・発話するコンテンツデータである。他の優先情報又は選択可能情報を表示・発話中である場合、その処理の中断の有無は規定しないが、ユーザに必ず案内される。すなわち、データ再生部253は、受信完了後、再生条件を満たしたときに直ちに再生できない場合には、再生できるようになり次第再生する。
選択可能情報は、カーナビゲーションシステムによる道案内を再生中の場合、又は、他の選択可能情報を表示・発話中である場合、その処理は中断せず、表示・発話終了後に再生する。選択可能情報に分類されるコンテンツデータを自動的に再生しない設定になっている場合、受信したことにユーザが気づかない可能性があるため、所定のアラーム音を再生したり、受信した旨の告知画面を表示したりすることが望ましい。
図9は、本実施形態に係る車載器200の再生動作と、データ配信側によるプッシュ配信及びその拠点となるサービス提供所でのサービス提供と、の関わりを示す模式図である。
例えば、ドライバーが休息等のために、路側無線装置511が設置されている駐車場(白抜きのPで示す。)に自動車501を入れたとする。すると、路側無線装置511から、自動車501に搭載されている車載器200に、コンテンツデータがプッシュ配信される。プッシュ配信されるコンテンツは、典型的には、データ配信側がサービス提供所521に自動車501を誘導して、サービス提供所のサービス提供装置523によるサービス提供を受けるよう意図して作成した、広告コンテンツである。
自動車501が駐車場を出ても、プッシュ配信されたコンテンツデータはすぐには再生されない。データ配信側にとっては、最もドライバーを誘導しやすいタイミングで広告コンテンツが視聴されることが望ましい。そこで、データ配信側は、路側無線装置511が設置された駐車場とサービス提供所521との間にある、星印で示されたA地点を、情報提供開始地点として予め設定しておく。すると、自動車501が駐車場を出発後たまたま左折すれば、いずれA地点にさしかかる。そして、車載器200は、自動車501がA地点にさしかかったタイミングで、コンテンツデータの再生を開始する。これは、ドライバーに、自己進行方向にサービス提供所521が存在することを認識させ、本来は別の目的でドライブしていたとしても、サービス提供所に立ち寄ることを思いつかせる契機となり、広告としては大変効果的である。すなわち、データ配信側の意図に沿ったデータ再生がなされているといえる。
なお、上述のとおり、データ配信側は、情報提供開始位置の代わりに、情報提供開始距離を示すことにより、好適なタイミングで車載器200がコンテンツデータを再生するようにしてもよい。本図でいえば、路側無線装置511が設置されている駐車場からA地点までの距離をあらかじめ測定しておき、該距離を情報提供開始距離として設定しておく。これは、座標軸等により情報提供開始位置を定めるよりも簡易な面がある。一方で、自動車501が駐車場を出発した後たまたま右折してしまった場合には、A地点と同じ距離にあるB地点でデータの再生が始まってしまう。B地点でデータ再生が開始されドライバーにサービス提供所521の広告が提供されたとしても、ドライバーがサービス提供所521に行くためには自動車を引き返さなければならない。そのため、サービス提供所521への誘導力は、A地点で再生開始される場合に比べて低下する。すなわち、広告としての効果が低下してしまうこともある。
例えば、ドライバーが広告に誘導された結果、自動車503が広告主たるサービス提供所521の駐車場に入ったとする。ここでドライバーは、サービス提供装置523によるサービスの提供を受けるととともに、その対価を支払う。つまり、データ配信側に利益をもたらす。サービス提供所521の駐車場にも路側無線装置513が備えられている。路側無線装置513から自動車503に搭載された車載器200にコンテンツデータがプッシュ配信されると、車載器200の記憶装置206の所定記憶領域に所定のフラグが立てられる。この所定のフラグは、自動車503がサービス提供所521に既に立ち寄ったため、同じコンテンツデータを再生しなくてもよいことを示すためのものである。かかる所定のフラグが立てられた車載器200が搭載された自動車が、サービス提供所521を出発後に、再びA地点にさしかかった場合、同じコンテンツデータがまた再生されないようにすることができる。仮に再生が繰り返されれば、ドライバーに「しつこい」という不愉快な印象を持たせてしまい、2度とサービス提供所に立ち寄らなくなってしまうことも考えられるので、かかる仕組みは、データ配信側の意図に沿ったものであるといえる。
なお、再生条件に情報提供方向を用いることによって、さらに好適なタイミングでコンテンツデータを再生することもできる。例えば、自動車501が情報提供開始位置の設定されていない道路を通ってサービス提供所521の近くまで来た後に、本図のA地点が設定された道路を、A地点からB地点に向かう方向に進んだ場合(すなわち、サービス提供所521から遠ざかる向きに進んだ場合)には、コンテンツデータを再生しない。もし再生されると、ドライバーはUターンを強いられる気分になり、サービス提供所521に対して不愉快な印象を持ってしまいかねず、データ配信側の利益にならない場合がある。情報提供方向は、こうした事態を防止する点で、データ配信側の意図に沿ったデータ再生を可能にする。
サービス提供装置523の仕様(例えば提供可能なサービスの種類や、特定の期間だけ割引がうけられる恩典があることや、営業している日時)は、データ配信側が管理する商用データ作成装置525によって随時調査される。商用データ作成装置525は、かかる調査の結果に基づいて、コンテンツデータを作成して、路側無線装置511,513に伝達し、最適かつ最新の情報がプッシュ配信されるように動作する。
情報提供開始位置は、A地点1箇所に限る必要はない。既に述べたように、サービス提供所521を取り囲むように多数設置したほうが、四方八方からドライバーをサービス提供所521に誘導することができて、有利である。
多数の情報提供開始位置をひとつずつ指定するのが煩雑である場合には、サービス提供所521を中心として所定の半径(本図の例でいえば2000m)の円を描き、円周と道路の交点を情報提供開始位置とみなすようにすることもできる。情報提供開始距離は、上述したように、例えば対象地点位置(サービス提供所521の位置)と対応付けて記録しておくことができる。
ただし、この方法では、例えば交点がたまたま交差点付近(本図のC地点)になってしまった場合には、データ配信側にとって不都合が生じ得る。交差点付近は、カーナビゲーション機能を搭載する車載器200が最優先で再生すべき非商用コンテンツデータ(典型的には道案内)が再生される確率が高い。例えば、非商用データ作成装置531が作成した、交差点での交通安全上の注意事項を示すコンテンツデータが、路側無線装置515により車載器200にプッシュ配信され、自動車が交差点にさしかかったとき、かかる注意事項のコンテンツデータが優先的に再生される。その結果、サービス提供所521の広告コンテンツが再生されないままになってしまう。
そこで、商用データ作成装置525は、非商用データ作成装置531の仕様を調査し、その結果も踏まえて商用データを作成するようにする。具体的には例えば、非商用データ作成装置531が、交差点のあるC地点の近傍を情報提供開始位置とするような非商用データを作成することが分かれば、商用データ作成装置525は、C地点から離れたD地点を情報提供開始位置とするような商用データを作成すればよい。
サービス提供装置523と商用データ作成装置525と非商用データ作成装置531は、コンテンツデータの作成と配信を自動的に行う装置であるとしてきたが、これらの一部又は全部は人間が行う作業であってもよい。
(再生処理)
次に、車載器200によるコンテンツデータの再生処理の実施形態について説明する。多くの場合、コンテンツの作成者側(典型的には広告主)は、ユーザをサービス提供所(広告主の所有する店舗)に誘導したいと考えてコンテンツを作成する。作成者側は、サービス提供所の場所を案内するための地図などを含むコンテンツをユーザに提供する。コンテンツを視聴したユーザは、そのコンテンツに興味があれば、地図を頼りにサービス提供所を探すことになる。そこで、本実施形態では、コンテンツデータの配信を受けてから再生条件を満たすまでの間に予めサービス提供所への経路を探索しておき、すぐにサービス提供所への道案内ができるようにしている。以下詳述する。
図10は、本実施形態の車載器200の機能的な構成を示す図である。車載器200は、データ記憶部260、地図記憶部261、経路探索部262、入力受付部263を更に備える。
データ記憶部260は、データ取得部251がプッシュ配信により取得したコンテンツデータを記憶する。本実施形態では、データ記憶部260は、データ取得部251が取得したコンテンツデータを一旦すべて記憶する。記憶装置206がデータ記憶部260として機能する。
地図記憶部261は、経路探索部262が経路を探索するために用いる地図情報(マップデータ)を予め記憶する。地図情報には、道路、建物等の位置と形状、地形、地名などが含まれる。記憶装置206が地図記憶部261として機能する。
経路探索部262は、地図記憶部261に記憶された地図情報を逐次読み出して、出発地から目的地・経由地(立ち寄り地)までの移動経路を探索する。本実施形態の車載器200はカーナビゲーションシステムを搭載しているので、ユーザは地図上の任意の場所(地点・地域)を出発地、目的地、経由地として設定し、車載器200に道案内をさせることができる。制御部207と記憶装置206が協働して経路探索部262として機能する。
入力受付部263は、データ取得部251が取得したコンテンツデータを再生する指示入力や、経路探索部262に移動経路を探索させる指示入力など、様々な指示入力をユーザから受け付ける。制御部207と操作部204が協働して入力受付部263として機能する。
データ再生部253は、位置一致判別部255と方向一致判別部257と道路種別判別部259とによる、車載器200の位置と方向と自車が走行している道路の種別との判別結果に基づいて、所定の再生条件が満たされたか否かを判断し、再生条件が満たされていればコンテンツデータを再生する。この再生条件には、上述の情報提供開始位置や情報提供方向等のほか、例えば「現在、自車は交差点などの所定の交通ポイント付近にないこと」といった条件も含まれてもよいが、詳細については後述する。また、データ再生部253は、入力受付部263がデータ記憶部260に記憶されたコンテンツデータを再生する旨の指示入力をユーザから受け付けると、データ記憶部260からコンテンツデータを読み出して再生する。また、データ再生部253は、経路探索部262によって探索された移動経路を地図と共に表示する。
次に、本実施形態の各部が行うコンテンツデータの再生処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。以下の説明では、車載器200が既に路側無線装置100からコンテンツデータのプッシュ配信を受けているものとする。
まず、データ取得部251は、データ記憶部260からコンテンツデータを読み出す(ステップS201)。そして、データ取得部251は、コンテンツデータに含まれる対象地点座標311を読み出し、サービス提供所の位置を取得する(ステップS202)。
経路探索部262は、地図記憶部260に記憶された地図情報に用いて、コンテンツデータの情報提供開始情報415に指定された情報提供開始位置から、ステップS202で取得した対象地点座標411が示す位置まで、の経路を探索し、さらに、情報提供開始位置から対象地点座標411が示す位置に到達するまでの所要時間を推定して求める(ステップS203)。
例えば、経路探索部262は、まず、探索した経路の所要距離を計算する。そして、経路探索部262は、計算された所要距離を、センサ群225に含まれている速度センサ(図示せず)によって得られた車載器200の移動速度(自車のスピード)で除算して、情報提供開始位置からサービス提供所までの所要時間を計算する。
あるいは、経路探索部262は、時刻T1における位置(緯度・経度)と、時刻T2(≠T1)における位置との距離を計算する。そして、経路探索部262は、計算された距離を時間の差分(T2−T1)で除算して車載器200の移動速度を計算する。さらに、経路探索部262は、計算された所要距離を、計算された移動速度で除算して、情報提供開始位置からサービス提供所までの所要時間を計算する。時刻T1,T2は、現在時刻になるべく近い時刻であることが望ましい。
位置一致判別部255と方向一致判別部257と道路種別判別部259は、コンテンツデータに指定された再生条件を満たすか否かをそれぞれ判別する(ステップS204)。位置一致判別部255は、自己位置検出部254により取得された車載器200の現在位置が、再生条件に示された情報提供開始位置と一致するか否かを判別する。なお、前述したように、情報提供開始位置が、円の中心の緯度・経度と、円の中心からの距離(円の半径)とを用いて表される場合には、位置一致判別部255は、この円内に車載器200の現在位置が含まれるときに、現在位置と情報提供開始位置とが一致すると判別する。方向一致判別部257は、進行方向検出部256により取得された車載器200の移動方向が、再生条件に示された情報提供開始方向と一致するか否かを判別する。道路種別判別部259は、道路種別検出部258により取得された現在自車が走行する道路の種別が、再生条件に示された道路種別と一致するか否かを判別する。すなわち、自車が、対象道路の情報提供開始位置を対象地点位置に向かって通過したか否かが判別される。この処理は、ステップS204の判別結果がYESになるまで繰り返される。
再生条件が満たされていないと判別された場合(ステップS204;NO)、経路探索部262は、経路と所要時間を再計算するか否かを判別する(ステップS205)。データ取得部251がコンテンツデータを取得してから再生条件が満たされるまでの間、車載器200の速度が変わる可能性があるので、経路探索部262は繰り返しステップS203の処理を行うことになる。
例えば、経路探索部262は、入力受付部263がユーザから再計算する旨の指示入力を受け付けると、経路と所要時間を再計算すると判別する。入力受付部263がユーザから再計算する旨の指示入力を受け付けていない場合には、経路と所要時間を再計算しないと判別する。
再生条件が満たされると判別された場合(ステップS204;YES)、データ再生部253は、コンテンツデータを再生する(ステップS206)。
データ再生部253は、ステップS203で経路探索部262により計算された経路と所要時間とを表示する(ステップS207)。
図12(a)は、データ再生部253がモニタに表示する画面の例である。データ再生部253は、自車の現在位置が情報提供開始位置601に到達すると、コンテンツデータを再生する。本図では、データ再生部253は、ポップアップ画像700を表示している。さらに、データ再生部253は、情報提供開始位置601からサービス提供所602が面した道路上の地点603までの移動経路604を表す地図を表示する。また、データ再生部253は、情報提供開始位置601から地点603まで移動するためにかかると推定される所要時間を、表示エリア650に表示する。
なお、ステップS203において、経路探索部262は、自車が進行する向きのすぐ近くに交差点がある場合、その交差点を右左折せずに直進する経路を探索する。すなわち、経路探索部262は、情報提供開始位置601から所定距離以内に交差点がある場合、その交差点を直進する経路であって、情報提供開始位置601からサービス提供所の位置に到達する経路を探索する。
図12(b)は、データ再生部253がモニタに表示する画面の他の例である。経路探索部262は、情報提供開始位置601から次の交差点606までの距離D1が所定値以下の場合、次の交差点606を直進し且つサービス提供所602が面した道路上の地点603まで到達する経路を探索する。そして、データ再生部253は、情報提供開始位置601から目的地603までの推定される所要時間を、表示エリア650に表示する。
次に、経路探索部262は、探索した経路をナビゲーションシステムによる道案内の目的地に設定するか否かを判別する(ステップS208)。例えば図12(a)と(b)に示すように、データ再生部253は、地点603を目的地に設定するか否かをユーザから受け付ける入力ボタン660A,660Bを表示する。入力受付部261は、入力ボタン660Aがユーザによって押下されると、地点603を目的地に設定する指示入力があったと判定し、経路探索部262に通知する。また、入力受付部263は、入力ボタン660Bがユーザによって押下されると、地点603を目的地に設定しない指示入力があったと判定し、経路探索部262に通知する。経路探索部262は、入力受付部263からの通知に従って判別する。
目的地に設定しないと判別された場合(ステップS208;NO)、再生処理を終了する。
一方、目的地に設定すると判別された場合(ステップS208;YES)、経路探索部262は、探索した経路を情報提供開始位置から目的地までの案内経路と決定し、データ再生部253は、決定された案内経路による道案内を再生する(ステップS209)。つまりカーナビゲーションシステムによる、情報提供開始位置からサービス提供所までの道案内が開始される。
次に、経路探索部262は、再生中の案内経路を変更するか否か、すなわち案内経路を再計算するか否かを判別する(ステップS210)。ドライバーは車載器200を搭載した自車を運転しており、状況によっては案内経路を逸れて異なる道路に入ってしまうかもしれない。そのため、経路探索部262は、自車が現在走行している道路が、設定された目的地までの案内経路上にあるか否か(自車が案内経路通りに移動しているか否か)を判別することにより、案内経路を変更するか否かを判別する。
例えば図13は、再探索後の案内経路を表示した画面の例である。図12(a)に示す移動経路604を表示した後、自車がこの移動経路604を逸れて走行した場合、経路探索部262は経路と所要時間を再計算し、現在位置608から地点603までの新たな経路607を表示する。
案内経路を再計算すると判別された場合(ステップS210;YES)、経路探索部262は、現在位置からサービス提供所の位置までの経路と所要時間とを再計算し、データ再生部253は、再計算された経路と、再計算された所要時間とを表示する(ステップS211)。このステップにおいても、経路探索部262は、自車が進行する向きのすぐ近くに交差点がある場合、その交差点を右左折せずに直進する経路を探索するものとする。そして、ステップS210に戻る。
一方、案内経路を再計算しないと判別された場合(ステップS210;NO)、経路探索部262は、設定された案内経路による道案内を継続するか否かを判別する(ステップS212)。例えば、入力受付部263が道案内を中止する旨の指示入力をユーザから受け付けた場合、データ再生部253は道案内を終了する。例えば、自車が目的地に到達した(目的地の緯度・経度と、現在位置の緯度・経度が一致した)場合、データ再生部253は道案内を終了する。すなわち再生処理は終了される。なお、ここで言う一致とは、目的地の緯度・経度と、現在位置の緯度・経度が所定の誤差範囲内に収まる場合も含むものとする。
道案内を継続すると判別された場合(ステップS212;YES)、ステップS210に戻る。一方、道案内を継続しないと判別された場合(ステップS212;NO)、再生処理を終了する。
このように、本実施形態によれば、車載器200は、コンテンツデータを受信した後、再生条件が満たされる前に、情報提供開始位置からコンテンツデータの提供元であるサービス提供所までの移動経路を予め探索しておくので、再生条件が満たされたときに直ちにサービス提供所の位置を目的地に設定してカーナビゲーションシステムによる道案内を開始することができる。すなわち、コンテンツデータを再生してからユーザを待たせることなく目的地を設定することができる。
本実施形態では、データ再生部253は、情報提供開始位置(又は現在位置)からサービス提供所の位置までの所要時間を表示しているが、情報提供開始位置(又は現在位置)からサービス提供所の位置までの距離を表示するように構成してもよい。また、入力受付部263がモニタに所要時間と距離のどちらを表示するかを指定する指示入力をユーザから受け付けて、データ再生部253が指示入力で指定された所要時間と距離のいずれか一方を表示してもよい。また、所要時間と距離の両方を表示してもよい。
本実施形態では、車載器200はコンテンツデータの対象地点座標411を道案内の目的地に設定しているが、経由地、立ち寄り地として設定してもよい。例えば図14(a)に示すように、出発地(図示せず)から目的地608までの道案内をするようにユーザが既に設定していたとする。経路探索部262は、目的地608を変更するのではなく、図14(b)に示すように、サービス提供所602が面した道路上の位置609を経由地として、新たな移動経路610を探索する。この場合、上述した再生処理において、目的地を経由地(立ち寄り地)に読み替えればよい。
(実施形態2)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態の再生処理は、車載器200がカーナビゲーションシステムによって経路案内中である場合を想定している。
図15は、本実施形態の再生処理を説明するためのフローチャートである。
経路探索部262は、現在の案内経路どおりに車が進行するものと仮定し、データ記憶部251に蓄積されている全てのコンテンツデータに含まれる情報提供開始位置の中から、その案内経路上にある情報提供開始位置を探索する(ステップS301)。
経路探索部262は、ステップS301で探索された情報提供開始位置から、現在の案内経路と合わないものを除外する(ステップS302)。
現在の案内経路と合わない情報提供開始位置とは、例えば、現在自車が走行している道路上にないものである。あるいは、例えば、経路探索部262は、現在の自車の移動速度と、現在位置から情報提供開始位置までの距離と、に基づいて、指定された情報提供開始位置を通過する時刻を計算し、計算された時刻が再生条件(より詳細には提供時間情報312)と合致しないと判断される情報提供開始位置を、現在の案内経路と合わないものとする。
更に経路探索部262は、現在地点に近いものから順次経路を探索し、探索結果をデータ記憶部251に格納する(ステップS303)。なお、経路探索のアルゴリズムは本発明によって限定されず、車載器200のカーナビゲーション機能が採用しているアルゴリズムを適用すればよい。
ここで、経路探索部262が経路を探索する際、探索の起点にするのは、情報提供開始位置ではなく、車載器200が再生を開始する地点としても良い。
すなわち、情報提供開始位置は、中心点の座標と半径とで表される円とすることができ、案内経路がこの円の中心点を通らずに円の一部を通過している場合、通過した点(案内経路と円とが交差した地点)が、車載器200が再生を開始する地点となる。
また、交通情報や、カーナビゲーションシステムによる経路案内などの優先度が高い他のコンテンツの再生終了後にポップアップの再生が開始されることが予測される場合、この予測される地点を、車載器200が再生を開始する地点とする。
また、車載器200が再生を開始する地点から案内経路にそって一定の距離進んだ地点を、探索の起点としても良い。
例えば、車載器200が再生を開始する地点から少し先に交差点があり、本来の目的地へ向かうためにはこの交差点を直進する必要があり、サービス提供所へ向かうにはこの交差点で右折する必要があるとする。カーナビゲーションシステムでは、経路探索を行う場合、現在地のすぐ近くの交差点を右左折しなければならないようなルートは選択しないことが一般的である。右左折するためのレーンに入れない可能性があるためである。もし、現在地からこの交差点まで所定距離以上離れていれば、経路探索部262は、再生を開始する地点を起点とし、この交差点を右折する経路を探索する。このような場合、ポップアップが表示されてから、ポップアップで表示されたサービス提供所まで行くことをユーザが決めるまでに、時間がかかってしまうと、目的地を変更したり立ち寄り地に設定したりする操作が行われたときには既に右折レーンに入れなかったり交差点を通り過ぎていたりする可能性がある。したがって、ポップアップが表示されてから一定時間(例えば表示時間情報416に指定されたポップアップの表示時間)の経過後に自車が到達していると予測される地点を、探索の起点にする方が良い。
また、探索の起点は2箇所以上にしても良い。例えば、ポップアップを表示してから30秒後の到達予想地点と、3分後の到達予想地点、などのように、複数箇所を起点として経路を探索しても良い。
なお、自車の走行経路が案内経路からそれた場合、経路探索部262は、予め定められたアルゴリズムにしたがって案内経路を再探索する。経路探索部262は、新たな案内経路上にある情報提供開始位置を再度探索し直す(ステップS301〜S303を再び実行する)。
経路探索部262は、経路探索を一度に行わず、自車の現在位置と地図データとに基づいて、現在地点から一定時間以内に到達すると予想される範囲内の情報提供開始位置についてのみ、経路探索するようにしても良い。ドライバーが案内経路とは異なる道路を走行した場合、経路探索部262は本来の目的地への経路を再探索し、ステップS301〜S303の処理によって探索したサービス提供所への探索経路の探索結果が無駄になる可能性もあるし、情報提供開始位置からサービス提供所までの推定所要時間を表示する場合においては、交通状況が変化し、推定時間が大きく外れてしまう可能性もあるためである。また、探索結果を保管するために必要なデータ記憶部251の記憶容量を節約することもできる。
次に、ステップS303で経路を探索すると、位置一致判別部255と方向一致判別部257と道路種別判別部259は、コンテンツデータに指定された再生条件を満たすか否かをそれぞれ判別する(ステップS304)。例えば、位置一致判別部255と方向一致判別部257と道路種別判別部259は、再生条件に指定された情報提供開始位置に自車が到達したか否かを判別する。
再生条件が満たされると判別された場合(ステップS304;YES)、データ再生部253はポップアップを表示し、更に、ステップS303で探索した、情報提供開始位置からサービス提供所までの経路を表示する(ステップS305)。ここで表示される経路は、ステップS303で既に探索済みの経路であるので、車載器200はユーザを待たせることなく表示することができる。つまり、自車が情報提供開始位置に到達する前に予めサービス提供所までの経路を探索しておくので、情報提供開始位置に到達したときに直ちにユーザに経路を提供できる。さらに、直ちに表示した経路を経路案内の目的地や立ち寄り地に素早くセットすることが可能となる。
なお、データ記憶部251は、ポップアップの表示を開始してから表示時間情報316に指定された時間が経過して、データ再生部253が画面から消したコンテンツデータの情報提供開始位置に対応する経路探索結果を破棄してもよい。また、データ記憶部251は、経路再探索の結果、探索経路から外れてしまった情報提供開始位置に対応する探索結果を破棄してもよい。
(実施形態3)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態の再生処理は、車載器200がカーナビゲーションシステムによって経路案内中ではない場合を想定している。
図16は、本実施形態の再生処理を説明するためのフローチャートである。
経路探索部262は、データ記憶部251に蓄積されている全てのコンテンツデータに含まれる情報提供開始位置の中から、自己位置検出部254によって検出した自車の現在位置の近傍にある情報提供開始位置を探索する(ステップS401)。
ここで、「自車の現在位置の近傍」の範囲は、例えば次のように定義される。
(1)図17(a)に示すような、自車702の現在位置701を中心とした所定半径R1の円で囲まれる領域内。
(2)図17(b)に示すような、現在位置701を中心として、緯度±○度○分以内(緯度範囲L1)、経度±○度○分以内(経度範囲L2)の四角形で囲まれる領域内。これは、主に、緯度経度で指定される情報提供開始位置についての経路探索を容易にするために用いられる。
(3)図17(c)に示すような、現在位置701を中心として、自車702の進行方向V1から左右角度θ、半径R2の扇形で囲まれる領域内。
ただし、進行方向V1が南北方向から所定角度(典型的には±15度)以内のときには、図17(d)に示すように、進行方向V1へ距離R3、進行方向V1と逆方向へ距離R4、進行方向V1と直角方向へ距離R5の長方形で囲まれる領域内とする。進行方向V1が東西方向から所定角度(典型的には±15度)以内のときも、図17(e)に示すように、同様とする。
また、それ以外の方向へ進行しているときには、図17(f)に示すように、正方形で囲まれる領域内とする。
また、現在位置が市街地か、郊外か、などの要素によって、図17(a)〜(f)に例示した範囲の形状や各距離を変えても良い
次に、経路探索部262は、ステップS401で探索された情報提供開始位置の中から、経路探索を行う対象となる情報提供開始位置を選択する(ステップS402)。
ここで、経路探索部262は、例えば再生条件に曜日が含まれている場合であって現在日時が表示しない曜日であるとき等、提供時間情報412に基づいて明らかに再生条件を満たさないと判断される情報提供開始位置と、既に探索済みの情報提供開始位置と、を除いた情報提供開始位置について、探索の優先順位を決めて、優先度が上位のものから順に探索する。
優先度の付け方には次のような手法がある。
例えば、経路探索部262は、自車の前方に位置する情報提供開始位置の優先度を高く、後方に位置する情報提供開始位置の優先度を低くする。ただし、上述の「近傍」の範囲の設定の仕方によっては、後方に位置するものは存在しない場合もある。
例えば、経路探索部262は、現在位置から近い情報提供開始位置の優先度を高く、遠い情報提供開始位置の優先度を低くする。
例えば、経路探索部262は、再生条件に自車の進行方向が規定されている場合、再生条件に規定された進行方向が現在の自車の進行方向に近い(第1の所定角度範囲内にある)情報提供開始位置の優先度を高く、進行方向と逆方向に近い(第2の所定角度範囲内にある)情報提供開始位置の優先度を低くする。
例えば、経路探索部262は、現在自車が走行中の道路上に位置する情報提供開始位置の優先度を高く、交差点・分岐点等で分岐した先に位置する情報提供開始位置の優先度を低くする。
例えば、経路探索部262は、道路種別が幹線道路である情報提供開始位置の優先度を高くし、それ以外の道路種別の情報提供開始位置の優先度を低くする。
また、経路探索部262は、自車の進行方向を含む複数の再生条件がある情報提供開始位置については、その条件ごとに分けて優先度評価の対象とする。
例えば、一方通行でない直線道路上にあり、進行方向が規定されていない情報提供開始位置は、実質的に180度逆の進行方向の条件が付けられた2つの情報提供開始位置とみなすことができ、それぞれの条件について優先度を決めることができる。
次に、経路探索部262は、ステップS402で選択した情報提供開始位置からサービス提供所までの経路を探索して、データ記憶部251に格納する(ステップS403)。
位置一致判別部255と方向一致判別部257と道路種別判別部259は、コンテンツデータに指定された再生条件を満たすか否かをそれぞれ判別する(ステップS404)。例えば、位置一致判別部255と方向一致判別部257と道路種別判別部259は、再生条件に指定された情報提供開始位置に自車が到達したか否かを判別する。
再生条件が満たされると判別された場合(ステップS404;YES)、データ再生部253はポップアップを表示し、更に、ステップS403で探索した、情報提供開始位置からサービス提供所までの経路を表示する(ステップS405)。ここで表示される経路は、ステップS403で既に探索済みの経路であるので、車載器200はユーザを待たせることなく表示することができる。つまり、自車が情報提供開始位置に到達する前に予めサービス提供所までの経路を探索しておくので、情報提供開始位置に到達したときに直ちにユーザに経路を提供できる。さらに、直ちに表示した経路を経路案内の目的地や立ち寄り地に素早くセットすることが可能となる。
なお、本実施形態においても、データ記憶部251は、ポップアップの表示を開始してから表示時間情報316に指定された時間が経過して、データ再生部253が画面から消したコンテンツデータの情報提供開始位置に対応する経路探索結果を破棄してもよい。探索結果の保持期間は任意であるが、情報提供開始位置が上述の「自車の現在位置の近傍」にあるうちは保持することが望ましい。データ記憶部251は、情報提供開始位置が「自車の現在位置の近傍」から外れた場合には探索結果を破棄しても良い。
探索結果を保持するための記憶容量が限られており、いまだ「自車の現在位置の近傍」の範囲内にある情報提供開始位置に関する探索結果を消去しないと新たな探索結果を記憶出来ないようなときは、探索済みの情報提供開始位置も含めて優先順位の再評価を行い、優先順位が低いと判定されたものから消去することが望ましい。記憶容量に余裕があるのであれば、その記憶容量がいっぱいになるまで保持していても良い。ただし、有効期限が切れたポップアップについては削除することとする。
また、データ記憶部251は、「自車の現在位置の近傍」より広い範囲を探索結果保持範囲として規定し、その範囲を外れたときは探索結果を破棄するようにしても良い。
本実施形態の再生処理のうち、ステップS401〜S403の処理は、所定の時間間隔で繰り返し行うこととしてもよいし、車載器200が一定の距離だけ移動するごとに行ってもよい。また、交差点を曲がるなどして進行方向が大きく変わったとき(進行方向が所定角度以上変わったとき)に行ってもよい。
上記各実施形態はあくまでも説明のためのものであり、本願発明の範囲を限定するものではない。例えば、車載器200を装置の全部又は一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical Disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、車載器200として動作させ、あるいは、車載器200が行う工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、目的地の設定に要する時間を短縮するために好適な情報提供装置、情報提供方法、ならびに、プログラムを提供することができる。