JP5103779B2 - 回転ファンおよび送風装置 - Google Patents

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Description

本発明は、空気の吸気を行う吸気口と吸気口を介して空気の吸入を行う回転ファンと回転ファンを回転駆動させるための駆動手段と回転ファンにより吸入された空気を排出する排出口とを備えた送風装置、および駆動手段の回転軸を貫通させるための貫通孔が形成された回転ファンに関する。
一般的な建築物には、建物内の空調を行うために多くの送風装置が設置されている。特に近年では、居室を有する建物に24時間換気システムを設置することが義務づけられたことから、浴室空調装置等を室内換気用の送風装置として利用することが多くなっている。
屋内換気用の送風装置には、一般的にシロッコファン等の多翼ファンが用いられている。シロッコファンは、周縁部に複数の翼が配設された円盤状のファンを回転させることによって、回転中心から周方向へと空気を吸入・排出させる構造となっている。シロッコファンを使用した送風装置は、その構造から設備の厚み(高さ)を低くすることができるため、装置本体をコンパクトに設計することが容易である。このため、シロッコファンを用いた送風装置は、設置スペースが限られる浴室天井等に設置しやすく、浴室空調装置等において最も多く用いられる構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
シロッコファンは、ファンモータの回転軸に固定されており、この回転軸が回転することによってシロッコファンが回転する構造となっている。回転軸の回転に伴ってシロッコファンを確実に回転させるため、回転軸の端部には、図9(a)に示すように、円柱状を呈する軸51aの一端部が削られてD字状の断面形状を有するDカット部52が形成されている。一方で、シロッコファン53の中心部には、図9(b)に示すように、回転軸51のDカット部52を嵌入することが可能な貫通孔50が形成されており、その貫通孔50にはD字形の開口部50cが形成されている。回転軸51の先端にはねじ溝部51bが形成されており、貫通孔50に回転軸51が挿通されたシロッコファン53は、ねじ溝部51bに螺合されるナット等によって、金属ワッシャを介して回転軸51の延伸方向から固定される構造となっている(例えば、特許文献2参照)。
このようにしてシロッコファン53が固定された回転軸51をファンモータ54の駆動力で回転させると、図9(c)に示すように、貫通孔50と回転軸51との嵌合により、貫通孔50におけるD字開口の直線状縁部50aと回転軸51におけるDカット部52の平側面部52aとが互いに当接して回転軸51の回転力がシロッコファン53に伝達され、シロッコファン53が回転する。
特開2004−340407号公報(第4−6頁、第1図) 特開2003−049793号公報(第2頁、第1図)
ところで、回転軸51はファンモータ54に回転自在に取り付けられているため、ナットを回転軸51の先端に取り付ける場合には回転軸51の回転を規制する必要がある。この場合、上述したように貫通孔50と回転軸51のDカット部52とが嵌合した状態となるので、シロッコファン53の回転を規制することによって、回転軸51の回転を止めることができる。
このため、ナットを固定する場合には、シロッコファン53を押さえて回転軸51の回転を止めてナットの締結を行うが、このようにしてナットの固定を行うと、図9(d)に示すように、ナットの締結により貫通孔50におけるD字開口の直線状縁部50aあって、ナットによりトルクが加えられる部分の端部周辺50bが回転軸51のDカット部52における平側面部52aの端面52cに圧接された状態となる。
このように貫通孔50の直線状縁部50aの端部周辺50bと回転軸51の平側面部52aの端面52cとが圧接された状態でシロッコファン53が固定されると、ファンモータ54の振動音が回転軸51から圧接面を介してシロッコファン53に伝達されやすくなり、シロッコファン53の回転に伴いファンモータ54の振動音による騒音が発生しやすくなるという問題があった。
一方で、金属ワッシャの中心開口形状を回転軸のDカット部の断面D字形状に対応させてD字状に形成するとともに外形を多角形とし、ナット締結時に金属ワッシャを治具で押さえることにより回転軸の回転を規制してナットを締結させる方法が提案されている(例えば、特開2003−049793号公報 第3頁、第4図参照)。
このように金属ワッシャで回転軸51の回転を規制する場合には、貫通孔50の直線状縁部50aの端部と回転軸51の平側面部52aの端面52cとが圧接された状態で、シロッコファン53が回転軸51に固定されることは回避することができるが、ナット締結時に金属ワッシャを固定するための治具を用いる必要が生ずるという問題があった。
また、金属ワッシャによりナットの締結を行った場合であっても、シロッコファン53の回転により、貫通孔50におけるD字状開口の直線状縁部50aであって回転軸51の回転方向側の端部周辺には、回転軸51の回転に伴う圧力が加えられることとなるため、シロッコファン53の駆動時に貫通孔50におけるD字開口の直線状縁部50aの端部と回転軸51の平側面部52aの端面とが圧接された状態となりやく、圧接面を介してファンモータの振動音がシロッコファンに伝達されて騒音が発生しやすくなるという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、先端にDカット部が形成された回転軸の平側面部の端面と回転軸に対応してD字状の開口が形成された貫通孔における開口部の直線状縁部の端部との圧接により、ファンモータで発生した振動が回転軸から回転ファンに伝播してしまうことを抑制することが可能な回転ファンおよび送風装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る回転ファンは、断面D字状に形成された回転軸を貫通させるための貫通孔が形成された回転ファンにおいて、前記貫通孔は、前記回転軸に嵌合するD字状の開口部を有し、該開口部の直線状縁部あって少なくとも一方の端部に切欠部が形成されることを特徴とする。
また、本発明に係る送風装置は、空気の吸気を行う吸気口と、該吸気口を介して前記空気の吸入を行う回転ファンと、該回転ファンを回転駆動させるための駆動手段と、前記回転ファンにより吸入された前記空気を排出する排出口とを備え、前記駆動手段は、断面D字状に形成された回転軸を有し、前記回転ファンには、D字状の開口部を備えて前記回転軸が嵌入される貫通孔が形成され、該開口部の直線状縁部あって少なくとも一方の端部に切欠部が形成されることを特徴とする。
さらに、送風装置は、前記回転軸の先端部に該先端部に形成されたねじ溝に螺合する締結部材が設けられると共に、前記回転軸の基部に前記回転ファンを基部側より支持する支持部材が設けられ、前記切欠部は、前記回転軸の回転に伴い圧力が加えられる前記直線状縁部の端部に形成され、前記回転ファンは、弾性層を備える介在部材により上下方向から挟まれた状態で前記貫通孔に前記回転軸が貫入され、前記支持部材と前記締結部材とによって前記回転軸の延設方向の固定が行われるものであってもよい。
本発明に係る回転ファンおよび送風装置によれば、開口部の直線状縁部において少なくとも一方の端部、より好ましくは、回転軸の回転に伴い圧力が加えられる直線状縁部の端部に切欠部が形成されるので、断面D字状に形成される回転軸が回転しようとする場合に、回転軸の鋭角部が切欠部のスペースによって開口部の縁部に圧接することがない。この場合、回転軸の平側面部が、切欠部の一部の端点で圧接することとなるが、この圧接面積は、従来の貫通孔における圧接面積よりも少ない面積となるため、圧接面を介して回転軸の振動が回転ファンに伝播する割合を低減させることが可能となる。
また、回転ファン9の上下に設けられた介在部材には、弾性層が備えられているため、この弾性層により回転軸を介して伝播される振動が減衰され、回転ファンに伝わる騒音をより一層低減させることが可能となる。
以下、本発明に係る送風装置を浴室空調装置として使用する場合について説明を行う。
図1は、浴室空調装置を示した斜視図であり、図2は、浴室空調装置を示す側方断面図である。浴室空調装置1は、ファンユニット2と、本体ケース3と、ダンパー4と、ファンカバー5と、ヒータ6と、フロントパネル7とを有している。
ファンユニット2は、ファンモータ(駆動手段)8とシロッコファン(回転ファン)9とを有している。ファンモータ8は、シロッコファン9の上方に設置されており、ファンモータの下面には、図3に示すように、シロッコファン9を回転駆動させるための回転軸8aが垂設されている。回転軸8aは、円柱形状を呈しており、その基部(ファンモータ8側)には、シロッコファン9を基部側より支えるための支持部材8bが設けられている。また、回転軸8aの端部には、軸の側端部が削られてD字状の断面形状を有するDカット部8cが形成され、Dカット部8cの先端には袋ナット(締結部材)10が螺合されるねじ溝部8dが形成されている。
シロッコファン9は、図4(a)(b)に示すように、円盤状の基盤9aの周縁部に複数の翼9bが配設されたものであり、基盤9aの中心にはファンモータ8の回転軸8aが貫通する貫通孔9eが形成されている。シロッコファン9の貫通孔9eには、開口部9fがD字状に形成されており、貫通孔9eに回転軸8aが挿入された場合にDカット部8cと開口部9fとが嵌合する構造となっている。また、貫通孔9eの開口部9fにおける直線状縁部9gの両端には、Dカット部8cの鋭角部8e(8e、8e)に対向するようにして凹状の切欠部9h(9h、9h)が形成されている。
本体ケース3は、下方に解放された開口を有す箱体であり、図5に示すように、ファンユニット2を設置するためのファン収納部12と、送風部としてダンパー4を収納するためのダンパー収納部13とが形成されている。
ダンパー収納部13は、ダンパー4を回動自在に収納することが可能な凹所であり、ダンパー収納部13の下方にはヒータ6が設置されると共に、後述する吹出口(排出口)15が形成され、ダンパー収納部13の側壁には、屋外に空気を排気するための排気口(排出口)16が形成されている。
ここで、ダンパー4は平面視略長方形状を呈し、図2に示すように側方視で中央部が凸状となる緩やかな湾曲形状を有している。ダンパー4の下端部には軸4aが形成されており、この軸4aの両端はダンパー収納部13の側壁に回動自在に軸支される。また、ダンパー4の下面にはリブ4bが形成されており、このリブ4bには浴室空調装置1の運転モードに応じて回動されるカム18の突起部19を案内するガイド孔4cが形成されている。カム18が回動するとその回動角度に応じて突起部19の停止位置が変化してダンパー4の回動角度の調整が行われる。
ファン収納部12は、シロッコファン9の直径よりも拡径の略円柱状凹所であり、ファンモータ8を本体ケース3の上面部に設置し、ファン収納部12の中心に形成される開口12aより回転軸8aを突出させた状態でシロッコファン9をファン収納部12に収納することによって、シロッコファン9の基盤9a中心を回動軸8aの先端に固定する構造となっている。
具体的には、ファン収納部12の開口12aよりファンモータ8の回転軸8aを突出させ、図3に示すように、突出された回転軸8aに対して中間層としてゴム等で形成された弾性層17aを有し、上下より円盤状の金属プレート17bが挟み込まれたワッシャ(介在部材)17が挿通され、その次にシロッコファン9が挿通される。この場合、ワッシャ17の一端面に支持部材8bが当接されるので、シロッコファン9は回転軸8aの基部側への移動が規制される。また、上述したように、貫通孔9eの開口部9fはD字状に形成されているので、回転軸8aのDカット部8cが開口部9fに嵌合した状態となる。
その後、もう1つワッシャ17を挿通させ、回転軸8aの端部に形成されたねじ溝部8dに袋ナット10を螺合させることによって、シロッコファン9が、上下に位置するワッシャ17により挟まれた状態で支持部材8bと袋ナット10とにより回転軸8aに固定される。
なお、貫通孔9eのD字状の開口部9fと回転軸8aのDカット部8cとが嵌合しているので、袋ナット10を締める場合には、シロッコファン9を押さえることにより回転軸8aの回転を規制することができる。このようにしてシロッコファン9が回転軸8aに固定された場合、貫通孔9eにおけるD字開口の直線状縁部9gあって、袋ナット10によりトルクが加えられる部分の端部周辺が、回転軸8aのDカット部8cの平側面部8fの端面に圧接された状態となりやすいが、図4(c)に示すように、開口部9fにおける直線状縁部9gの両端には、Dカット部8cの鋭角部8eに対向するようにして凹状の切欠部9hが形成されているため、回転軸8aが回転しようとする方向側の鋭角部8eは、回転軸8aの回転に伴い圧力が加えられる直線状縁部9gの端部に形成された切欠部9hの凹状スペースによって開口部9fの縁部に圧接することがない。この場合、Dカット部8cの平側面部8fは、切欠部9hの端点9iに圧接することとなるが、この圧接面積は、図9(d)に示す従来の貫通孔における圧接面積よりも少ない面積となる。
ファン収納部12の側壁面12bとシロッコファン9の外周側9cとの間には、図6に示すように、吸入された空気を通すための狭通路20が、シロッコファン9の外周側9cに沿って反時計回りに約3/4周程度延設されている。さらに、狭通路20は、狭通路20を通る空気をダンパー収納部13へと導く拡通路21に連通されている。
拡通路21は、狭通路20からダンパー収納部13へと進むに従って通路幅が拡幅されており、通路の一の側壁21aはファン収納部12の側壁面12bから排気口16へと延設される側壁により形成され、他の側壁21bは、シロッコファン9の外周側9dと、狭通路20とダンパー収納部13との境界を形成する舌状壁部22の側壁22aとにより形成されている。
拡通路21には、図6に示すように、4つの整流板25a〜25dが形成されており、各整流板25a〜25dは、拡通路21の通路幅に対してほぼ均一の間隔を保つようにして本体ケース3の上面に配設される。各整流板25a〜25dは、狭通路20より流れてきた空気をダンパー収納部13へとスムーズに誘導させるために、緩やかにカーブしており、その後端の間隔は、拡通路21の通路幅の拡幅に応じて徐々に広がるようにして配設されている。
ファンカバー5は、図1、図2に示すように、本体ケース3の下面を覆うようにして設置される。ファンカバー5には、シロッコファン9の中心部へ空気を導くための吸入孔5aと、ダンパー収納部13へと運ばれてきた空気を屋内へ循環させるための吹出孔5bとが形成されている。吸入孔5aはシロッコファン9の基盤9a正面を臨むようにして形成された円形状の開口であり、吹出孔5bはダンパー収納部13を臨むようにして形成される略四角形状の開口である。このファンカバー5が本体ケース3の下面に設置されることにより、狭通路20と拡通路21との下面がファンカバー5により構成されることとなる。
ファンカバー5の吹出孔5bには、ヒータ6が設置されている。ヒータ6には、PTCヒータが用いられており、図示を省略するセンサーにより暖められた空気の温度を計測することによってヒータ6のON/OFF制御が行われる。
ファンカバー5が設置された本体ケース3の下面には、フロントパネル7が設置されている。フロントパネル7には、ファンカバー5の吸入孔5aに対応する位置に吸入口(吸気口)30が形成され、さらにファンカバー5の吹出孔5bに対応する位置に吹出口(排出口)15が形成されている。吸入口30には、埃の吸入を防止するためのフィルタが着脱可能に取り付けられている。浴室空調装置1は、本体ケース3を天井裏方向に突出させるようにして天井面33に固定され、フロントパネル7だけを浴室の天井面33に露呈させた状態で浴室に設置される。
次に、このようにして構成される浴室空調装置1が稼働する場合について説明する。
浴室空調装置1を動作させる場合、ユーザーは浴室の脱衣所等に設置される操作パネル40(図7参照)を操作することによって運転モードの選択を行う。具体的には、浴室の暖房を行う暖房モード、浴室の換気を行う換気モード、浴室内に設置されたランドリーパイプに衣類等を吊して衣類等の乾燥を行う乾燥モード、浴室に涼風を導き入れて夏などに浴室空調装置を扇風機のように使用する涼風モードを選択する。さらにマンション等の24時間換気を行う必要がある建物では、浴室空調装置1の運転モードが選択されていない場合に24時間換気モードの運転が行われる。
ユーザーにより運転モードの選択が行われると、図7に示すように、選択された運転モード情報が浴室空調装置1に設置される制御部41に伝達される。制御部41では、選択された運転モードに応じてカム駆動用モータ42を駆動させてカム18の回動角度を制御し、ダンパー4の回動位置を全開、半開、全閉のいずれかに調整する。さらに制御部41は、選択された運転モードに応じて、ファンユニット2のファンモータ8を駆動させてシロッコファン9の回転速度を強、弱のいずれかに調整するとともに、ヒータ6のON/OFF制御を行う。
なお、ダンパー4の回動位置が全閉の状態とは、図2に示すように、排気口16を塞ぐ位置にダンパー4を回動させて狭通路20、拡通路21を通って流れてくる空気を吹出口15へと導く状態(図2の矢印Aから矢印Bに示す空気の流れ参照)を意味し、全開の状態とは、図8(a)に示すように、吹出口15を塞ぐ位置にダンパー4を回動させて狭通路20、拡通路21を通って流れてくる空気を排気口16へと導く状態(図8(a)の矢印Aから矢印Cに示す空気の流れ参照)を意味し、半開の状態とは、狭通路20、拡通路21を通って流れてくる空気を、吹出口15と排気口16との両方に導くために、ダンパー4を図8(b)に示す中間位置に回動させた状態(図8(b)の矢印Aから矢印Bおよび矢印Aから矢印Cに示す空気の流れ参照)を意味する。
次に、空調装置の稼働動作を運転モード毎に分けて説明する。
<暖房モードの場合>
ユーザーにより暖房モードの設定が行われると、制御部41は、図2に示すように、ダンパー4を全閉位置に回動させるとともに、シロッコファン9の回転速度を強に設定し、ヒータ6をONにする。シロッコファン9の回転速度が強に設定されると、シロッコファン9の回転に伴って吸入口30より浴室内の空気が本体ケース3内へと吸入される。
シロッコファン9が回転する場合、貫通孔9eにおけるD字開口の直線状縁部9gあって、回転軸8aが回転する方向側の端部周辺に、回転軸8a回転に伴うトルクが加えられて、Dカット部8cにおける平側面部8fの端面と貫通孔9eにおけるD字開口の直線状縁部9gの端部とが圧接された状態となりやすい。しかしながら、開口部9fにおける直線状縁部9gの両端には、図4(b)(c)に示すように、Dカット部8cの鋭角部8eに対向するようにして凹状の切欠部9hが形成されているため、回転軸8aが回転しようとする方向側の鋭角部8eは、回転軸8aの回転に伴い圧力が加えられる直線状縁部9gの端部に形成された切欠部9hの凹状スペースによって開口部9fの縁部に圧接することがない。この場合、上述したように、Dカット部8cの平側面部8fは、切欠部9hの端点9iに圧接することとなるが、この圧接面積は、図9(d)示す従来の貫通孔における圧接面積よりも少ない面積となるため、圧接面を介して回転軸8aの振動がシロッコファン9に伝播する割合を低減させることが可能となる。
一般に、ファンモータ8の動作に伴って発生する磁気振動は電源周波数の倍数の周波数で顕著な騒音を発生する。ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンからなる熱可塑性樹脂)により形成されたシロッコファン9において、切欠部9hが形成されていないファンと切欠部9hが形成されているファンとを用いて浴室空調装置1の騒音量を比較した場合、騒音が顕著となる300Hzの騒音値を約1/3程度に低減させることが可能となった。なお、この騒音値の低減量はシロッコファン9の素材の違い(例えばABS樹脂ではなくPP樹脂(ポリプロピレン樹脂)等を用いた場合)や、ファンモータ8の駆動力の違い等に応じて異なるものであるが、切欠部9hを設けたファンの方が切欠部9hが設けられていないファンよりも騒音値が低減される傾向を示した。
また、シロッコファン9の上下に設けられたワッシャ17には、中間に弾性層17aが形成されているため、この弾性層17aにより回転軸8aを介して伝播される振動が減衰され、シロッコファン9に伝わる騒音をより一層低減させることが可能となる。
吸入口30より吸入された空気は、シロッコファン9の翼9bの間を通って狭通路20へと案内され、拡通路21へと導かれる。拡通路21では、拡通路21の通路幅が狭通路20の通路幅に比べて広くなっているため、狭い通路から広い通路へと流れてきた空気が気流の乱れを発生させやすくなる。しかしながら、拡通路21には通路幅が広がり始める箇所に4つの整流板25a〜25dが等間隔に配設されているため、この整流板25a〜25dにより空気の流れが整流される。このため、狭通路20より流れてくる気流を拡通路21で乱すことなくダンパー収納部13へと導くことが可能となり、気流の乱れにより生ずる騒音の発生を抑制することが可能となる。
各整流板25a〜25dにより整流された空気は整流板25a〜25dの延設方向に導かれる。各整流板25a〜25dは、緩やかなカーブを描くようにして延設され、さらに、その後端の間隔を、拡通路21の通路幅の拡幅に応じて徐々に広げるようにして配設されるため、整流板25a〜25dにより導かれた空気は、空気の流れの速度を整流板25a〜25dの間隔の広がりに応じて徐々に緩めることができるとともに、ダンパー収納部13に均等に広げて空気を導くことができる。
ダンパー収納部13へと導かれた空気は、ダンパー4の下面側の凹状湾曲面に沿ってヒータ6へと流れて行き、ヒータ6で加熱された後に吹出口15を介して浴室内に循環される。
<換気モードおよび24時間換気の場合>
ユーザーにより換気モードの設定が行われると、制御部41は、図8(a)に示すように、ダンパー4を全開位置に回動させるとともに、シロッコファン9の回転速度を強に設定し、ヒータ6をOFFにする。シロッコファン9の回転速度が強に設定されると、シロッコファン9の回転に伴って吸入口30より浴室内の空気が本体ケース3内に吸入される。
シロッコファン9が回転する場合、貫通孔9eにおけるD字開口の直線状縁部9gあって、回転軸8aが回転する方向側の端部周辺には、上述したようにDカット部8cの鋭角部8eに対向するようにして凹状の切欠部9hが形成されているため、Dカット部8cにおける平側面部8fの端面が、切欠部9hの端点9iに圧接する面積を従来の貫通孔における圧接面積よりも少なくすることができる。このため、圧接面を介して回転軸8aの振動がシロッコファン9に伝播する割合を低減させることが可能となる。
さらに、シロッコファン9の上下に設けられたワッシャ17には、中間に弾性層17aが形成されているため、この弾性層17aにより回転軸8aを介して伝播される振動が減衰され、シロッコファン9に伝わる騒音をより一層低減させることが可能となる。
吸入口30より吸入された空気は、シロッコファン9の翼9bの間を通って狭通路20へと案内され、拡通路21へと導かれる。拡通路21には、上述したように通路幅が広がり始める箇所に4つの整流板25a〜25dが等間隔に配設されているため、上述した暖房モードの場合と同じように整流板25a〜25dにより空気の流れが整流される。このため、狭通路20より流れてくる気流を拡通路21で乱すことなくダンパー収納部13へと導くことができ、気流の乱れにより生ずる騒音の発生を抑制することが可能となる。
各整流板25a〜25dにより整流された空気は整流板25の延設方向に導かれる。各整流板25a〜25dは、緩やかなカーブを描くようにして延設され、さらに、その後端の間隔を、拡通路21の通路幅の拡幅に応じて徐々に広げるようにして配設されるため、整流板25a〜25dにより導かれた空気は、空気の流れの速度を整流板25a〜25dの間隔の広がりに応じて徐々に緩めることができるとともに、ダンパー収納部13に均等に広げて空気を導くことができる。
ダンパー収納部13へと流れてきた空気は、そのまま排気口16へと流れて行き、排気口16に連結される排気管によって屋外または他の部屋等に排出される。
なお、24時間換気を行う場合、制御部41は、ダンパー4を全開位置に回動させるとともに、シロッコファン9の回転速度を弱に設定し、ヒータ6をOFFにする。24時間換気モードでは、本体ケース3内に導入される空気の風速が弱くなるという違いはあるが、上述した換気モードと同様の経路を経て空気が吸入・排出されることとなる。
24時間換気の場合には、深夜にもファンユニット2が稼働するので、シロッコファン9の貫通孔9eに切欠部9hを形成して回転軸8aを介して伝播するファンモータの振動を低減させることによって、顕著な騒音低減効果を奏することができ、ユーザーに浴室空調装置1の稼働を意識させることなく屋内の換気を行うことが可能となる。特に、24時間換気等により常時シロッコファン9が回転する浴室空調装置1においては、切欠部9hの形成に伴う騒音の低減はより効果的なものとなる。
<乾燥モードおよび涼風モードの場合>
ユーザーにより乾燥モードの設定が行われると、制御部41は、図8(b)に示すように、ダンパー4を半開位置に回動させるとともに、シロッコファン9の回転速度を強に設定し、ヒータ6をONにする。シロッコファン9の回転速度が強に設定されると、シロッコファン9の回転に伴って吸入口30より浴室内の空気が本体ケース3内に吸入される。
シロッコファン9が回転する場合、貫通孔9eにおけるD字開口の直線状縁部9gあって、回転軸8aが回転する方向側の端部周辺には、上述したようにDカット部8cの鋭角部8eに対向するようにして凹状の切欠部9hが形成されているため、Dカット部8cにおける平側面部8fの端面が、切欠部9hの端点9iに圧接する面積を従来の貫通孔における圧接面積よりも少なくすることができる。このため、圧接面を介して回転軸8aの振動がシロッコファン9に伝播する割合を低減させることが可能となる。
さらに、シロッコファン9の上下に設けられたワッシャ17には、中間に弾性層17aが形成されているため、この弾性層17aにより回転軸8aを介して伝播される振動が減衰され、シロッコファン9に伝わる騒音をより一層低減させることが可能となる。
吸入口30より吸入された空気は、シロッコファン9の翼9bの間を通って狭通路20へと案内され、拡通路21へと導かれる。拡通路21に導かれた空気は、上述した暖房モード、換気モードおよび24時間換気モードと同様に整流板25a〜25dによって整流されるため、気流の乱れを発生させることなく空気をダンパー収納部13へ案内することができ、気流の乱れにより生ずる騒音の発生を抑制することが可能となる。
さらに、各整流板25a〜25dは、緩やかなカーブを描くようにして延設され、その後端の間隔を、拡通路21の通路幅の拡幅に応じて徐々に広げるようにして配設されるため、整流板25a〜25dにより導かれた空気は、空気の流れの速度を整流板25a〜25dの間隔の広がりに応じて徐々に緩めることができるとともに、ダンパー収納部13に均等に広げて空気を導くことができる。
ダンパー収納部13へと流れてきた空気は、半開位置に回動されたダンパー4により、一部の空気は排気口16を介して屋外等へ排出され、他の空気は吹出口15を介して浴室へと循環される。
なお、ユーザーにより涼風モードが選択された場合には、制御部41が、図8(b)に示すように、ダンパー4を半開位置に回動させるとともに、シロッコファン9の回転速度を強に設定し、ヒータ6をOFFにする。このように涼風モードにおいても、上述した乾燥モードと同様の経路を経て空気が吸入・排出されることとなる。このため、上述した乾燥モードと同様に、シロッコファン9の貫通孔9eに切欠部9hを形成して回転軸8aを介して伝播するファンモータ8の振動を低減させることにより、顕著な騒音低減効果を奏すること可能となる。
以上説明したように、一般的な浴室空調装置では、シロッコファンが回転する場合、貫通孔におけるD字開口の直線状縁部あって回転軸が回転する方向側の端部周辺に、回転軸の回転に伴うトルクが加えられるため、Dカット部の平側面部の端部と貫通孔におけるD字開口の直線状縁部の端部とが圧接された状態となりやすいが、本発明に係るシロッコファン9では、開口部9fにおける直線状縁部9gの両端に、Dカット部8cの鋭角部8eに対向するようにして凹状の切欠部9hが形成されているため、回転軸8aが回転しようとする方向側の鋭角部8eは、回転軸8aの回転に伴い圧力が加えられる直線状縁部9gの端部に形成された切欠部9hの凹状スペースによって開口部9fの縁部に圧接することがない。この場合、Dカット部8cの平側面部8fが、切欠部9hの端点9iに圧接することとなるが、この圧接面積は、図9(d)に示す従来の貫通孔における圧接面積よりも少ない面積となるため、圧接面を介して回転軸8aの振動がシロッコファン9に伝播する割合を低減させることが可能となる。
また、回転軸8aに袋ナット10を取り付ける場合には、シロッコファン9を押さえて回転軸8aの回転を止めて袋ナット10の締結を行うことができるので、ワッシャの中心開口形状をD字状に形成するとともに外形を多角形とし、ナット締結時に金属ワッシャを治具で押さえる方法のように、特定の治具を用いて袋ナットの締結を行う必要がない。
さらに、シロッコファン9を押さえることにより回転軸8aの回転を止めて袋ナット10の締結を行う場合、貫通孔9eにおけるD字開口の直線状縁部9gあって、袋ナット10によりトルクが加えられる部分の端部にも、Dカット部8cの鋭角部8eに対向するようにして凹状の切欠部9hが形成されているため、回転軸8aが回転しようとする方向側の鋭角部8eは、回転軸8aの回転に伴い圧力が加えられる直線状縁部9gの端部に形成された切欠部9hの凹状スペースによって開口部9fの縁部に圧接することがない。この場合において、Dカット部8cの平側面部8fが、切欠部9hの端点9iに圧接することとなるが、この圧接面積は、従来の貫通孔における圧接面積よりも少ない面積となるため、圧接面を介して回転軸8aの振動がシロッコファン9に伝播する割合を低減させることが可能となる。
また、シロッコファン9の上下に設けられたワッシャ17には、中間に弾性層17aが形成されているため、この弾性層17aにより回転軸8aを介して伝播される振動が減衰され、シロッコファンに伝わる騒音をより一層低減させることが可能となる。
以上、本発明に係る送風装置を浴室空調装置1として使用する実施形態を、運転モード毎に場合分けをして説明したが、本発明に係る送風装置は上述した実施形態に限定されるものではない。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、切欠部9h(9h、9h)が開口部9fにおける直線状縁部9gの両端に形成される構成を説明したが、切欠部9hは必ずしも両端に形成されている必要はなく、少なくとも一方の端部に、より好ましくは回転軸8aの回転に伴い圧力が加えられる直線状縁部9gの端部に設けられていればよい。
また、上述した実施形態では、シロッコファン9がファンモータ8とともにユニット化されたファンユニット2を用いた場合について説明を行ったが、ファンは必ずしもユニット化されたものに限定されるものではなく、ファン、モータ等が別体に構成されるものであってもよい。さらに、実施形態では、送風用のファンとしてシロッコファンを用いた場合について説明を行ったが、ファンは必ずしもシロッコファンに限定されるものではなく、ラジアルファンのような多翼ファンを用いるものであってもよい。
また、上記実施形態では、1台のファンユニットを用いて空気の換気(循環)と排気とを行う空調装置を説明したが、換気用のファンユニットと排気用のファンユニットとの両方を備えた送風装置であっても、本発明に係る送風装置の構成を適用することによって、同様の効果を奏することが可能である。
さらに、上述した実施形態では浴室用空調装置についての説明を行ったが、本発明に係る送風装置は浴室用の空調装置に限定されるものではなく、浴室以外に用いられる空調装置であってもよい。
実施形態に係る浴室空調装置を示す斜視図である。 全閉の状態にダンパーが回動された浴室空調装置を示す側方断面図である。 実施形態に係るファンユニットの構成を示した展開図である。 (a)は実施形態に係るシロッコファンを示した正面図であり、(b)(c)はシロッコファンの貫通孔に回転軸が嵌合した状態を示した貫通孔の拡大図である。 実施形態に係る本体ケースを下側開口方向より示した斜視図である。 実施形態に係る本体ケースを示した底面図である。 実施形態に係る浴室空調装置の制御機能を示したブロック図である。 全開の状態にダンパーが回動された浴室空調装置と半開の状態にダンパーが回動された浴室空調装置とを示す側方断面図である。 (a)は従来のファンモータを示した斜視図であり、(b)は従来のシロッコファンを示した正面図であり、(c)(d)はシロッコファンの貫通孔にファンモータの回転軸が嵌合した状態を示した貫通孔の拡大図である。
符号の説明
1 …浴室空調装置
2 …ファンユニット
3 …本体ケース
4 …ダンパー
4a …(ダンパーの)軸
4b …(ダンパーの)リブ
4c …(リブの)ガイド孔
5 …ファンカバー
5a …(ファンカバーの)吸入孔
5b …(ファンカバーの)吹出孔
6 …ヒータ
7 …フロントパネル
8 …ファンモータ(駆動手段)
8a …(ファンモータの)回転軸
8b …(回転軸の)支持部材
8c …(回転軸の)Dカット部
8d …(回転軸の)ねじ溝部
8e、8e、8e …(Dカット部の)鋭角部
8f …(Dカット部の)平側面部
9 …シロッコファン(回転ファン)
9a …(シロッコファンの)基盤
9b …(シロッコファンの)翼
9c …(シロッコファンの)外周側
9d …(拡通路の側壁を構成するシロッコファンの)外周側
9e …(シロッコファンの)貫通孔
9f …(貫通孔の)開口部
9g …(開口部の)直線状縁部
9h、9h、9h …(貫通孔の)切欠部
9i …(切欠部の)端点
10 …袋ナット
12 …ファン収納部
12a …(ファン収納部の)開口
12b …(ファン収納部の)側壁面
13 …ダンパー収納部
15 …吹出口(排出口)
16 …排気口(排出口)
17 …ワッシャ(介在部材)
17a …(ワッシャの)弾性層
17b …(ワッシャの)金属プレート
18 …カム
19 …(カムの)突起部
20 …狭通路
21 …拡通路
21a …(拡通路の)一の側壁
21b …(拡通路の)他の側壁
22 …舌状壁部
22a …(舌状壁部の)側壁
25a〜25d …整流板
30 …吸入口(吸気口)
33 …天井面
40 …操作パネル
41 …制御部
42 …カム駆動用モータ
50 …(従来のシロッコファンの)貫通孔
50a …(従来の開口部の)直線状縁部
50b …(従来の開口部の)端部周辺
50c …(従来の貫通孔の)開口部
51 …(従来のファンモータの)回転軸
51a …(従来の回転軸の)軸
51b …(従来の回転軸の)ねじ溝
52 …(従来の回転軸の)Dカット部
52a …(従来のDカット部の)平側面部
52c …(従来の平側面部の)端面
53 …(従来の)シロッコファン
54 …(従来の)ファンモータ

Claims (2)

  1. 浴室内の空気の吸気を行う吸気口と、
    該吸気口を介して前記空気の吸入を行う回転ファンと、
    該回転ファンを回転駆動させるための駆動手段と、
    前記回転ファンにより吸入された前記空気を室外へ排出する排出口と、
    前記回転ファンの回転に伴って吸入された空気を前記排出口方向へと誘導するための導通路を形成するファンケースとを有し、
    常時換気を行う送風装置であって、
    前記回転ファンは、シロッコファンであり、前記駆動手段の回転軸が嵌入されるD字状の開口部を有する貫通孔の直線状縁部の少なくとも一方の端部に切欠部が形成され、弾性層を備える介在部材により上下方向から挟まれた状態で前記貫通孔に前記回転軸が貫入されて、前記回転軸の延設方向の固定が行われており、
    前記ファンケースの導通路は、前記排出口方向へ進むに従って通路幅が拡幅され、
    前記導通路には、前記回転ファンとほぼ同心となるような円弧状に配設され、かつ、後端の間隔を導通路の幅に応じて徐々に広げるように配設した複数の整流板が設置されること
    を特徴とする送風装置。
  2. 前記回転軸の先端部には該先端部に形成されたねじ溝に螺合する締結部材が設けられると共に、前記回転軸の基部には前記回転ファンを基部側より支持する支持部材が設けられ、
    前記切欠部は、前記回転軸の回転に伴い圧力が加えられる前記直線状縁部の端部に形成され、
    前記回転ファンは、前記介在部材により上下方向から挟まれた状態で前記貫通孔に前記回転軸が貫入され、前記支持部材と前記締結部材とによって前記回転軸の延設方向の固定が行われること
    を特徴とする請求項1に記載の送風装置。
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