JP5103654B2 - ガスセンサ及びガス検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス中のフタル酸ジアルキルを検出するためのガスセンサ、及びガス中のフタル酸ジアルキルの検出方法に関する。
ガスセンサの一つとして、SnOをセンサ素子として使用したガスセンサが知られている。SnOの電気抵抗は、大気中において250〜500℃に加熱されると粒子表面に大気中の酸素を活性化吸着して高抵抗化するが、還元性ガス(有機物質)中では、吸着酸素が除去されて抵抗値が減少する。このような性質を利用して、SnOをセンサ素子として使用したガスセンサは、LPガスや都市ガス等のガス漏れ警報器用に利用されている。
ところで、フタル酸ジオクチル(DOP)やフタル酸ジブチル(DBP)などのフタル酸ジアルキルは、化成品や電子部品等の製造工程における可塑剤として多用されている。主に加工精度が数十nmオーダーの電子素子製造工程では、クリーンルーム内にフタル酸ジアルキルが混在していると製品不良の原因となる恐れがあるので、クリーンルームを換気して、クリーンルーム内にフタル酸ジアルキルが混在しないようにしている。
クリーンルームでは、建築材料などから発生するトルエンなどの有機溶剤が存在することが多いので、フタル酸ジアルキルと有機溶剤はクリーンルーム内の空気中に共存していることが多い。しかしながら、SnOは、あらゆる還元性ガスに対して応答するので、種々の成分が混在したガスから、特定のガス成分のみを検出することは困難であった。このため、従来のガスセンサでは、ガス中の有機物質の有無は検知できるものの、フタル酸ジアルキルを選択的に検出することはできなかった。
一方、下記特許文献1,2には、SnO等の金属酸化物の表面に、特定の細孔を持ったシリカマスクを形成し、金属酸化物表面の吸着サイトのサイズを制御して、金属酸化物への分子の吸着を選択的に行わせることが開示されている。
特開平7−218463号公報 特開2003−253426号公報
上記特許文献1,2には、金属酸化物表面の吸着サイトのサイズを制御して、金属酸化物への分子の吸着を選択的に行わせることが開示されている。しかしながら、トルエンやアセトンなどの種々の物質が共存した状態で、フタル酸ジアルキルを選択的に検出することは開示されていない。
したがって、本発明の目的は、簡易な方法で、ガス中のフタル酸ジアルキルを選択的に検出できるガスセンサ及びガス検出方法を提供することにある。
上記目的を達成するにあたり、本発明のガスセンサは、ガス中のフタル酸ジアルキルを検出するためのガスセンサであって、SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に、所定の細孔を持ったシリカマスクが形成された第1のセンサ素子と、SnO を主成分としてなる金属酸化物の表面に、前記第1のセンサ素子とは異なる径の細孔を持ったシリカマスクが形成された第2のセンサ素子、及び/又は、SnO を主成分としてなる金属酸化物の表面にシリカマスクを有さない第3のセンサ素子と、前記センサ素子の電気抵抗値を測定する検出器と、を備えたことを特徴とする。
本発明のガスセンサによれば、第1のセンサ素子がSnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に所定の細孔を持ったシリカマスクが形成されているので、該センサ素子にフタル酸ジアルキルを含む被検出ガスを供給すると、フタル酸ジアルキルは、ベンゼン環から伸びた比較的長い側鎖部分を有しているため、該側鎖部分がセンサ素子表面の細孔を通ってSnOの表面に到達する。一方、フタル酸ジアルキルの側鎖部分よりも嵩高となる分子(例えばアセトンなど)や、短い側鎖の分子(例えばトルエンなど)は、シリカマスクによってSnOの表面との接触が遮られる。このため、本発明によれば、センサ素子に被検出ガスを供給し、該センサ素子の電気抵抗値を測定する、という極めて簡単な操作で、フタル酸ジアルキルを選択的に検出できるので、被検出ガス中のフタル酸ジアルキルの有無を、短時間で、かつ、精度良く検出できる。
そして、本発明のガスセンサは、SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に、前記第1のセンサ素子とは異なる径の細孔を持ったシリカマスクが形成された第2のセンサ素子、及び/又は、SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面にシリカマスクを有さない第3のセンサ素子を更に備え、前記検出器は、各センサ素子の電気抵抗値を測定するように構成されているので、それぞれのセンサ素子の感度を比較することで、検出対象ガス中の主成分の推定や、特定のアルキル側鎖を有するフタル酸ジアルキルの有無などを推定できる。
本発明のガスセンサの前記金属酸化物は、SnOに触媒を担持させたものであることが好ましい。また、触媒は、貴金属が好ましく、Pdがより好ましい。SnOに触媒を担持させることで、有機物の酸化活性が向上することからフタル酸ジアルキルに対する感度が向上し、より低濃度のフタル酸ジアルキルを高感度で検出できる。
本発明のガスセンサの前記シリカマスクが形成されたセンサ素子は、前記金属酸化物の表面に、脂肪族アルデヒド類、脂肪族カルボン酸類、芳香族アルデヒド類及び芳香族カルボン酸類から選ばれる鋳型形成用化合物を単分子層未満の吸着密度で吸着させた後にシリカ前駆体分子を蒸着し、これをシリカに加水分解して得られる、前記鋳型形成用化合物のサイズ及び形状に対応した細孔を有するシリカマスクを備えるものであることが好ましい。この態様によれば、金属酸化物の表面に所定の細孔を持ったシリカマスクを簡単に形成することができる。また、細孔のサイズは、鋳型形成用化合物の種類を変えることで容易に制御できるので、フタル酸ジアルキルの検出感度をより向上できる。
また、上記態様において、鋳型形成用化合物は、前記金属酸化物の表面に吸着された状態での該表面と平行な方向における最大幅が0.5〜1.2nmとなるものであることが好ましく、1‐ナフトアルデヒド又は1‐ナフタレンカルボン酸がより好ましい。この態様によれば、フタル酸ジアルキルをより選択的に検出できる。
本発明のガスセンサは、検出すべきガス成分を濃縮して、前記センサ素子に供給することが好ましい。この態様においては、所定量のガスを捕集剤に供給して検出すべきガス成分を前記捕集剤に捕集させた後、前記捕集剤を昇温しつつ、該捕集剤から検出すべきガス成分を発散させて、該ガス成分が濃縮されて含有されたガスを前記センサ素子に供給することが好ましい。検出すべきガス成分を濃縮して、センサ素子に供給することで、被検出ガスのフタル酸ジアルキルが極めて低濃度であっても、高感度でフタル酸ジアルキルを検出できる。
また、本発明のセンサ素子の製造方法は、ガス中のフタル酸ジアルキルを検出するためのガスセンサに用いられるセンサ素子の製造方法であって、金属酸化物の表面に、脂肪族アルデヒド類、脂肪族カルボン酸類、芳香族アルデヒド類及び芳香族カルボン酸類から選ばれる鋳型形成用化合物を単分子層未満の吸着密度で吸着させた後にシリカ前駆体分子を蒸着し、これをシリカに加水分解してシリカマスクを形成することを特徴とする。
本発明のセンサ素子の製造方法によれば、金属酸化物の表面に所定の細孔を持ったシリカマスクを簡単に形成することができる。また、細孔のサイズは、鋳型形成用化合物の種類を変えることで容易に制御できる。
本発明のセンサ素子の製造方法において、前記鋳型形成用化合物は、前記金属酸化物の表面に吸着された状態での該表面と平行な方向における最大幅が0.5〜1.2nmとなるものであることが好ましく、1‐ナフトアルデヒド又は1‐ナフタレンカルボン酸であることがより好ましい。この態様によれば、フタル酸ジアルキルをより選択的に通過させ易いサイズの細孔を持ったシリカマスクを、金属酸化物の表面に形成でき、フタル酸ジアルキルの検出感度の高いセンサ素子を製造できる。
また、本発明のガス検出方法は、SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に所定の細孔を持ったシリカマスクが形成された第1のセンサ素子と、SnO を主成分としてなる金属酸化物の表面に、前記第1のセンサ素子とは異なる径の細孔を持ったシリカマスクが形成された第2のセンサ素子、及び/又は、SnO を主成分としてなる金属酸化物の表面にシリカマスクを有さない第3のセンサ素子とを用い、各センサ素子に被検出ガスを供給し、前記センサ素子の電気抵抗値を測定して、該ガス中のフタル酸ジアルキルを検出することを特徴とする。
本発明のガス検出方法によれば、第1のセンサ素子がSnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に所定の細孔を持ったシリカマスクが形成されているので、該センサ素子にフタル酸ジアルキルを含む被検出ガスを供給すると、前述したように、フタル酸ジアルキルは、ベンゼン環から伸びた比較的長い側鎖部分を有しているため、該側鎖部分がセンサ素子表面の細孔を通ってSnOの表面に到達でき、フタル酸ジアルキルの側鎖部分よりも嵩高となる分子(例えばアセトンなど)や、短い側鎖の分子(例えばトルエンなど)は、シリカマスクによってSnOの表面との接触が遮られるので、センサ素子に被検出ガスを供給し、該センサ素子の電気抵抗値を測定することで、被検出ガス中のフタル酸ジアルキルの有無を、短時間で、かつ、精度良く検出できる。
そして、本発明のガス検出方法は、SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に、前記センサ素子とは異なる径の細孔を持ったシリカマスクが形成された第2のセンサ素子、及び/又は、SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面にシリカマスクを有さない第3のセンサ素子を更に用い、各センサ素子に被検出ガスを供給し、各センサ素子の電気抵抗値を測定するので、それぞれのセンサ素子の感度を比較することで、検出対象ガス中の主成分の推定や、特定のアルキル側鎖を有するフタル酸ジアルキルの有無などを推定できる。
本発明によれば、SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に所定の細孔を持ったシリカマスクが形成されたセンサ素子に被検出ガスを供給し、該センサ素子の電気抵抗値を測定する、という極めて簡単な操作で、ガス中のフタル酸ジアルキルを選択的に検出できる。
本発明のガスセンサの参考例となる一実施形態について、図1を用いて説明する。このガスセンサは、ガス中のフタル酸ジアルキルを検出するためのガスセンサであって、センサ素子3と、該センサ素子3の電気抵抗値を測定する検出器4と、を備えている。このセンサ素子3は、SnOを主成分としてなる金属酸化物1の微粒子を固めたものであって、それぞれの金属酸化物1の微粒子表面に、所定の細孔2aを持ったシリカマスク2が形成されている。そして、センサ素子3は、基板6上に支持され、ガス導入口8が設けられたハウジング7で囲まれている。また、センサ素子3は、導線9で検出器4に接続されている。
金属酸化物1は、SnO単独で構成されているものでもよく、SnOに触媒を担持させてなるものでもよい。触媒としては、Pd、Pt、Ni、Co、Cuなどが挙げられ、貴金属が好ましく、Pdが特に好ましい。SnOに触媒を担持させることで、有機物の酸化活性が向上してフタル酸ジアルキルに対する感度が向上するので、より低濃度のフタル酸ジアルキルを検出することができる。なかでも、貴金属は、酸化活性の向上効果が高く、特にPdは酸化活性の向上効果が高いので、検出感度がより向上する。
シリカマスク2に形成された細孔2aは、フタル酸ジアルキルのベンゼン環から伸びた側鎖部分が通過できる程度の寸法を備えていることが好ましい。細孔2aが小さすぎると、フタル酸ジアルキルの検出感度が十分でないことがある。また、細孔2aが大きすぎると、フタル酸ジアルキル以外の有機物を検知することがあり、フタル酸ジアルキルを選択的に検出できないことがある。細孔2aのサイズは、0.25〜1.5nmが好ましく、0.4〜1.2nmがより好ましい。
上記センサ素子3は、以下のようにして製造することができる。図5,6に示すように、まず、金属酸化物の表面に、脂肪族アルデヒド類、脂肪族カルボン酸類、芳香族アルデヒド類及び芳香族カルボン酸類から選ばれる鋳型形成用化合物(図5ではベンズアルデヒド、図6では1‐ナフトアルデヒドを使用)を単分子層未満の吸着密度で吸着させる(図5(a),図6(a)参照)。次いで、シリカ前駆体分子を蒸着し、蒸着したシリカ前駆体分子をシリカに加水分解する(図5(b),図6(b)参照)。その後、鋳型形成用化合物を除去する(図5(c),図6(c)参照)。このようにして、金属酸化物の表面に、所定の細孔を持ったシリカマスクが形成されたセンサ素子を製造することができる。この方法によれば、鋳型形成用化合物が金属酸化物の表面から除去されることで、鋳型形成用化合物のサイズや形状に対応した細孔がシリカマスクに形成されるので、鋳型形成用化合物の種類を変えるだけで、細孔のサイズを容易に調整できる。
上述したセンサ素子の製造方法において、鋳型形成用化合物は、金属酸化物1の表面に吸着された状態での該表面と平行な方向における最大幅が0.5〜1.2nmとなるものが好ましく、ベンズアルデヒド、安息香酸、1‐ナフトアルデヒド、1‐ナフタレンカルボン酸などが挙げられる。なかでも、1‐ナフトアルデヒド又は1‐ナフタレンカルボン酸が特に好ましい。
図5の模式図に示すように、ベンズアルデヒドを鋳型形成化合物として用いた場合、ベンズアルデヒドのベンゼン環部分の図5(a)に示す横幅は、ベンゼン環内におけるC−C結合距離を0.14nm、C−H結合距離を0.11nm、H原子のファンデルワールス半径を0.12nmとすると、およそ0.71nmと見積もられる。また、ベンゼン環の厚みは0.37nmであることが知られている。したがって、ベンズアルデヒドを鋳型形成化合物として用いた場合、図5(c)に示すように、金属酸化物1の表面と平行な方向における最大幅がおよそ0.71nmの大きさの細孔がシリカマスクに形成されると予測される。また、例えばクリーンルーム内において、トルエンはフタル酸ジアルキルと共存した状態で空気中に存在することが多い。しかしながら、例えばベンズアルデヒドを鋳型形成用化合物として用いた場合に形成されるシリカマスクの細孔は、ベンゼン環の大きさに近いため、図10の模式図に示すように、ベンゼン環は細孔を通り抜けできない。また、トルエンの側鎖(メチル基)は短いので、トルエンは金属酸化物1の表面に到達し難い。一方、フタル酸ジアルキルの側鎖部分は、比較的長く、嵩も低いため、トルエンよりも金属酸化物1の表面に到達易い。また、トルエン以外には、例えばアセトンが存在することがあるが、アセトン分子は中央の炭素原子から3方向にメチル基2つと酸素が枝分かれしており、アルキル基に比べると嵩高い。このため、図14の模式図に示すように、アセトン分子もシリカマスクの細孔を通り抜けできず、金属酸化物1の表面に到達し難い。
また、フタル酸ジイソブチル(DIBP)などのような枝分かれしたアルキル側鎖を有するフタル酸ジアルキルの場合においては、鋳型形成用化合物としてベンズアルデヒドを用いると、細孔内での拡散が遅くなり、表面に到達しにくくなることがある。このため、低濃度では感度が低下する場合があるが、1‐ナフトアルデヒドや1‐ナフタレンカルボン酸を鋳型形成用化合物として用いることで、シリカマスクの細孔サイズが大きくなって、これらのフタル酸ジアルキルの細孔内の拡散速度が向上するので、低濃度であってもフタル酸ジアルキルの感度が向上し、検出し易くなる。例えば、1‐ナフトアルデヒドを用いた場合には、図6に示すように、金属酸化物1の表面と平行な方向における最大幅がおよそ0.95nmの大きさの細孔がシリカマスクに形成されると予測される。
そして、前記最大幅が0.5〜1.2nmとなる鋳型形成用化合物を用いて形成されたシリカマスクであれば、トルエンやアセトン等の有機溶剤との共存下であっても、フタル酸ジアルキルが優先的に金属酸化物1の表面に到達するので、電気抵抗値の変化を観測することで、フタル酸ジアルキルを選択的に検出できる。
上述したセンサ素子の製造方法において、シリカ前駆体分子は、酸素原子を介して金属酸化物表面との結合を形成しやすく、かつ、シリカに加水分解されやすいもの、さらには焼成によりシリカに分解されやすいものが好ましい。このようなシリカ前駆体分子としては、アルコキシシラン化合物やシラン化合物がある。代表的なものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等の、Si(OR)4(Rはアルキル基)で表わされるテトラアルコキシシラン化合物が例示される。これ以外にも、たとえば、Si(R(OR4−n(R、Rはアルキル基、nは1〜3の数)で表わされるアルキルアルコキシシラン化合物等が例示される。また、気相での蒸着が可能であれば、以上のアルコキシシラン化合物やアルキルアルコキシシラン化合物の部分加水分解物であってもよい。これらのシリカ前駆体分子は、鋳型形成用化合物を吸着させた金属酸化物に対して、連続的に供給して蒸着させてもよいし、あるいは断続的、パルス的に供給して蒸着させてもよい。その際の温度や圧力は、シリカ前駆体分子が気相で蒸着される状態にあれば適宜に定めることができる。気相で蒸着させるための蒸発やガス化の手段も適宜手段を採用できる。たとえば、液状物からの抵抗加熱や誘導加熱等の各種の手段が採用可能である。
また、上述したセンサ素子の製造方法において、シリカ前駆体分子を加水分解する際において、酢酸、プロピロン酸、酪酸、シュウ酸、クロル酢酸、フルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、無水酢酸、無水マレイン酸等の揮発性の酸を、シリカ前駆体分子が蒸着された金属酸化物の表面域に供給して行うことが好ましい。揮発性の酸がシリカ前駆体分子の縮合速度を速めて、鋳型形成用化合物の隙間を稠密なシリカ層で埋めることができるので、シリカ層の空孔の形が金属酸化物の表面に吸着させた鋳型形成用化合物の形状に一致させ易くなり、シリカマスクの細孔を鋳型形成用化合物の形状に調整しやすくなる。
次に、上記ガスセンサを用いガス検出方法について説明する。
このガス検出方法では、図1に示すように、ハウジング7のガス導入口8を通してセンサ素子3に被検出ガスを供給し、センサ素子3の電気抵抗値を検出器4で測定して、電気抵抗値の変化から、被験ガス中のフタル酸ジアルキルを検出する。
検出対象のフタル酸ジアルキルとしては、特に限定はなく、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、フタル酸ジ‐2‐エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)等が一例として挙げられる。
SnOは、還元性ガスが接触すると、電気抵抗値に変化が生じる。フタル酸ジアルキルは、ベンゼン環から伸びた比較的長い側鎖部分を有しているので、該側鎖部分はシリカマスクの細孔を通って金属酸化物の表面に到達する。一方、フタル酸ジアルキルの側鎖部分よりも嵩高の分子(例えばアセトンなど)や、短い側鎖の分子(例えばトルエンなど)は、シリカマスクの細孔を通過しにくく、シリカマスクによってSnOの表面との接触が遮られ易い。
このように、フタル酸ジアルキル以外のガス成分は、シリカマスク2によって金属酸化物1の表面への接触が妨げられるので、センサ素子3の電気抵抗値は、フタル酸アルキル以外のガス成分に対しての応答はほとんどなく、トルエンやアセトンなどが共存していても、ガス中のフタル酸ジアルキルを選択的に検出できる。
本発明のガスセンサの第一の実施形態について、図2を用いて説明する。この実施形態では、SnOを主成分としてなる金属酸化物11の表面に、所定の細孔を持ったシリカマスク12が形成された第一センサ素子13と、SnOを主成分としてなる金属酸化物21の表面にシリカマスクを有さない第二センサ素子22とを備えている。各センサ素子13,22は、それぞれの基板6上に支持され、ガス導入口8を有するハウジング7で囲まれている。そして、第一センサ素子13及び第二センサ素子22は、それぞれの電気抵抗値を測定する検出器30に、導線9により接続されている。
センサの感度は、物質の種類及び測定温度によって異なるので、第一センサ素子13の感度と、第二センサ素子22の感度の比([第一センサ素子13の感度]/[第二センサ素子22の感度])を指針とし、様々な物質に対する感度の比を予め調べておくことで、検出対象ガス中の主成分を推測することができる。センサ素子の感度としては、例えば、被検出ガスの注入前の抵抗をR、注入後の抵抗をRとして、(R/R−1)で表した値等が用いられる。
第二センサ素子22は、第1センサ素子13とは異なる径の細孔を持ったシリカマスクが形成された金属酸化物からなるものであってもよい。例えば、フタル酸ジイソブチル(DIBP)のアルキル側鎖は枝分かれしているので、フタル酸ジオクチル(DOP)に比べ細孔内での拡散速度が遅く、感度が低い傾向にある。このため、前記感度の比から、フタル酸ジイソブチル(DIBP)の有無など、特定のアルキル側鎖を有するフタル酸ジアルキルの有無などを推定できる。
本発明のガスセンサの参考例となる他の実施形態について、図3を用いて説明する。この実施形態では、センサ素子3を囲むハウジング7のガス導入口8の上流側に、ガス濃縮装置5が配置されている点が、上記実施形態と相違する。
この実施形態では、ガス濃縮装置5で検出すべきガス成分を濃縮し、濃縮ガスをハウジング7内のセンサ素子3に供給する。検出すべきガス成分を濃縮してセンサ素子3に供給することで、検出対象ガスのフタル酸ジアルキル濃度が極めて低濃度であっても検出することができ、ppbオーダーでのフタル酸ジアルキルの検出が可能となる。
ガス濃縮装置5としては、所定量のガスを捕集剤に供給して検出すべきガス成分を捕集剤に捕集させた後、捕集剤を昇温しつつ、該捕集剤から検出すべきガス成分を発散させて、該ガス成分が濃縮されて含有されたガスをセンサ素子3に供給するように構成されたもの等が一例として挙げられる。
例えば、300cmmin−1の気体を100min間捕集剤を通じて流通させ、捕集されたフタル酸ジアルキルを100cmmin−1の気体中に30秒間で急速加熱して放出することで、600倍の濃縮をしたことになる。濃縮率は、捕集剤での気体の捕集時間や、捕集剤への気体の流量などを変更することで容易に調整できる。
上記捕集剤としては、特に限定はなく、活性炭、グラスウール、固体吸着剤などが挙げられる。固体吸着剤としては、株式会社ジーエルサイエンス社から販売されている、商品名「TENAX−GR」、商品名「TENAX−TA」等が一例として挙げられる。
捕集剤で検出すべきガス成分を捕集する際においては、常温以下の温度で捕集することが捕集効率の観点から好ましい。
捕集剤から検出すべきガス成分を発散させる際においては、捕集剤を150〜350℃に加熱することが好ましく、250〜300℃に加熱することが特に好ましい。
以下、実施例を用いて本発明について更に具体的に説明する。
[センサ素子の製造]
(実施例1)
特級28wt%アンモニア水(和光純薬工業製)171cmをイオン交換水で660cmに希釈したアンモニア水溶液を調製した。次に、特級濃塩酸(和光純薬工業製)1.85cmをイオン交換水440cmに混合し、100gの特級塩化スズ(II)二水和物(和光純薬工業製)を加えて溶かし、塩化スズ水溶液を調製した。この塩化スズ水溶液を攪拌しながら前記アンモニア水溶液を滴下ロートを用いてゆっくり滴下し、生成した懸濁溶液を1日静置し、上澄みを捨ててスズ水酸化物を得た。次に、このスズ水酸化物をイオン交換水1000cmに混合し、攪拌し、1日静置して上澄みを捨てる操作を、上澄み液が硝酸銀水溶液と混合しても白沈が認められなくなるまで行って洗浄した。そして、洗浄処理後のスズ水酸化物を送風乾燥器中で383Kで24時間乾燥し、その後マッフル炉を用いて大気中で773Kで2時間焼成してSnO粉末を得た。
得られたSnO粉末は、窒素吸着実験を行ったところ、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法で算出した比表面積は20m−1であった。また、BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法で算出した平均メソ細孔直径は21nmであった。なお、窒素吸着実験は、試料約50mgを日本ベル製吸着実験装置(製品名「BELSorp Mini」)の試料管にセットし、673Kで1時間真空脱気後、77Kで圧力0〜10Paにおける窒素の平衡吸着量を測定した。
上記SnO粉末を、内径18mmのガラス管内で酸素流(大気圧、50cmmin−1)中で773Kで1時間焼成した。次に、液体窒素トラップを用いて脱水精製したヘリウム(大気圧、50cmmin−1)を流通させ、423Kに保ち、上流に設置した注入口(ヒーターで473Kに加熱)から特級ベンズアルデヒド(和光純薬工業製)の液体1mmを注入した。ベンズアルデヒドは瞬時に気化して蒸気となってSnOの表面に接触した。ベンズアルデヒドの注入を8回繰り返した後、473Kでヘリウム流にテトラメトキシシラン(東京化成工業製)の蒸気360Paを混入させて1時間供給し、Si成分を蒸着させた。473Kで酢酸(特級,和光純薬工業製)−イオン交換水のモル比1:1の混合溶液を注入口から5mmずつ8回注入し、気化させてSnOと接触させた。473Kでベンズアルデヒドの注入を3回繰り返した後、473Kでヘリウム流にテトラメトキシシランの蒸気360Paを混入させて1時間供給し、Si成分を蒸着させた。その後、673Kで酸素流(大気圧、50cmmin−1)中で1.5時間焼成して、シリカ修飾SnO粉末を得た。
得られたシリカ修飾SnO粉末は、SnOの表面に、ベンズアルデヒドを鋳型とする細孔が、表面積1nmあたり、およそ0.5個生成されていた。また、ベンズアルデヒドのベンゼン環部分の図5に示す横幅は、ベンゼン環内におけるC−C結合距離を0.14nm、C−H結合距離を0.11nm、H原子のファンデルワールス半径を0.12nmとしたとき、およそ0.71nmと見積もられる。また、ベンゼン環の厚みは0.37nmであることが知られている。したがって、ベンズアルデヒドは、SnOの表面に吸着された状態での該表面と平行な方向における最大幅は、およそ0.71nmと見積もられる。よって、このシリカ修飾SnO粉末は、水平方向に0.71nm,紙面の奥行き方向に0.37nmの大きさを持つ細孔が形成されていると予測される。またこの条件ではシリカ層の厚さはSiとO原子の1組分となることがわかっているので、シリカマスクの厚さは、Siの共有結合半径0.12nm、Oの共有結合半径0.07nmの和の2倍に当たる0.38nmと見積もられる。したがって、このシリカ修飾SnO粉末は、図5(c)に示すような細孔がシリカマスクが形成されたと推測される。
次に、上記シリカ修飾SnO粉末30mgを、0.1cmの特級エタノール(和光純薬工業製)に懸濁させ、スラリー状にした。そして、図4に示す、アルミナ板からなる固定台31に、孔33を通して巻き付けられた直径0.1mmの2本の白金線32をまたぐように前記懸濁スラリーを塗布し、酸素流(大気圧、50cmmin−1)中で773Kで2時間焼成して、実施例1のセンサ素子を得た。固定台31の各部分の寸法は、図示する通りである。
(実施例2)
Pd(NHCl・HO(Aldrich製)0.121gをイオン交換水で希釈して50cmとし、得られた溶液の2cmを、実施例1で調製したSnO粉末1gと混合し、ビーカー中で加熱して水を蒸発させ、乾固した固体を453Kで4時間乾燥させてPd/SnO粉末を得た。このPd/SnO粉末は、Pd原子が1nmあたり、およそ0.3個配置されていた。
上記Pd/SnO粉末を、内径18mmのガラス管内で酸素流(大気圧、50cmmin−1)中で773Kで1時間焼成した。次に、液体窒素トラップを用いて脱水精製したヘリウム(大気圧、50cmmin−1)を流通させ、343Kに保ち、上流に設置した注入口(ヒーターで473Kに加熱)から一級1‐ナフトアルデヒド(和光純薬工業製)の液体1mmを注入した。1‐ナフトアルデヒドは瞬時に気化して蒸気となってPd/SnOの表面に接触した。1‐ナフトアルデヒドの注入を8回繰り返した後、473Kでヘリウム流にテトラメトキシシラン(東京化成工業製)の蒸気360Paを混入させて1時間供給し、Si成分を蒸着させた。473Kで酢酸(特級,和光純薬工業製)−イオン交換水のモル比1:1の混合溶液を注入口から5mmずつ8回注入し、気化させて接触させた。473Kで1‐ナフトアルデヒドの注入を3回繰り返した後、473Kでヘリウム流にテトラメトキシシランの蒸気360Paを混入させて1時間供給し、Si成分を蒸着させた。その後、673Kで酸素流(大気圧、50cmmin−1)中で1.5時間焼成して、シリカ修飾Pd/SnO粉末を得た。
得られたシリカ修飾Pd/SnO粉末は、SnOからなる金属酸化物の表面に、1‐ナフトアルデヒドを鋳型とする細孔が、表面積1nmあたり、およそ0.5個生成されていた。また、1‐ナフトアルデヒドは、SnOの表面に吸着された状態での該表面と平行な方向における最大幅がおよそ0.95nmと見積もられる。また、ベンゼン環の厚みは0.37nmであることが知られている。したがって、上記シリカ修飾Pd/SnO粉末は、水平方向に0.95nm,紙面の奥行き方向に0.37nmの大きさを持つ細孔が形成されたと予測される。またこの条件ではシリカ層の厚さはSiとO原子の1組分となることがわかっているので、シリカマスクの厚さは、Siの共有結合半径0.12nm、Oの共有結合半径0.07nmの和の2倍に当たる0.38nmと見積もられる。したがって、このシリカ修飾Pd/SnO粉末は、図6(c)に示すような細孔がシリカマスクに形成されたと推測される。
次に、上記シリカ修飾Pd/SnO粉末30mgを、0.1cmの特級エタノール(和光純薬工業製)に懸濁させ、スラリー状にした。そして、図4に示す固定台31に巻き付けられた2本の白金線32をまたぐように前記懸濁スラリーを塗布し、酸素流(大気圧,50cmmin−1)中で773Kで2時間焼成して、実施例2のセンサ素子を得た。
(実施例3)
実施例2で調製したPd/SnO粉末を、内径18mmのガラス管内で酸素流(大気圧、50cmmin−1)中で773Kで1時間焼成した。次に、液体窒素トラップを用いて脱水精製したヘリウム(大気圧、50cmmin−1)を流通させ、423Kに保ち、上流に設置した注入口(ヒーターで473Kに加熱)から特級ベンズアルデヒド(和光純薬工業製)の液体1mmを注入した。ベンズアルデヒドは瞬時に気化して蒸気となってSnOの表面に接触した。ベンズアルデヒドの注入を8回繰り返した後、473Kでヘリウム流にテトラメトキシシラン(東京化成工業製)の蒸気360Paを混入させて1時間供給し、Si成分を蒸着させた。473Kで酢酸(特級,和光純薬工業製)−イオン交換水のモル比1:1の混合溶液を注入口から5mmずつ8回注入し、気化させてSnOと接触させた。473Kでベンズアルデヒドの注入を3回繰り返した後、473Kでヘリウム流にテトラメトキシシランの蒸気360Paを混入させて1時間供給し、Si成分を蒸着させた。その後、673Kで酸素流(大気圧、50cmmin−1)中で1.5時間焼成して、シリカ修飾Pd/SnO粉末を得た。
得られたシリカ修飾SnO粉末は、SnOの表面に、ベンズアルデヒドを鋳型とする細孔が、表面積1nmあたり、およそ0.5個生成されていた。
次に、上記シリカ修飾Pd/SnO粉末30mgを、0.1cmの特級エタノール(和光純薬工業製)に懸濁させ、スラリー状にした。そして、図4に示す固定台31に巻き付けられた2本の白金線32をまたぐように前記懸濁スラリーを塗布し、酸素流(大気圧,50cmmin−1)中で773Kで2時間焼成して、実施例3のセンサ素子を得た。
(比較例1)
実施例1で調製したSnO粉末30mgを、0.1cmの特級エタノール(和光純薬工業製)に懸濁させ、スラリー状にした。そして、図4に示す固定台31に巻き付けられた2本の白金線32をまたぐように前記懸濁スラリーを塗布し、酸素流(大気圧、50cmmin−1)中で773Kで2時間焼成して、比較例1のセンサ素子を得た。
(比較例2)
実施例2で調製したPd/SnO粉末30mgを、0.1cmの特級エタノール(和光純薬工業製)に懸濁させ、スラリー状にした。そして、図4に示す固定台31に巻き付けられた2本の白金線32をまたぐように前記懸濁スラリーを塗布し、酸素流(大気圧,50cmmin−1)中で773Kで2時間焼成して、比較例2のセンサ素子を得た。
≪試験例1≫
図7に示すパルス実験装置40のガラス管41内に、実施例1及び比較例1のセンサ素子3を配置して、パルス法によって各種物質に対するそれぞれのセンサ素子3の感度を比較した。この実験装置は、ガラス管41の内径が18mmであり、センサ素子3の設置部分は電気炉42で加熱できるようになっている。また、ガラス管41の上流には注入口43があり、この注入口43には、液体試料を注入できると共に、窒素酸素混合気体Aがシリカゲル44を通して導入できるようになっている。また、注入口43の近傍には、リボン型のヒーター45で囲まれており、このヒーター45により液体試料が気化されるようになっている。更に、センサ素子3の白金線32は、ガラス管41の一端を閉じるゴム栓46を通して挿入されたニッケル製の導線9を介して、抵抗計47に接続されている。そして、注入口43に液体試料を注入するとヒーター45によって加熱されて気化し、窒素酸素混合気体Aとともにセンサ素子3に接触するように供給される。そして、センサ素子3の白金線32及び導線9を経て抵抗計47により直流電気抵抗が記録されるように構成されている。
図7のパルス実験装置のガラス管41内にセンサ素子3をセットし、酸素流(大気圧、40cmmin−1)中で673Kで1時間前処理した後、窒素酸素混合気体A(窒素:酸素モル比4:1、大気圧、100cmmin−1)中で543Kで0.5mmの液体試料を被験物質として注入口43から注入し、センサ素子3の電気抵抗の変化を記録した。液体試料としてはトルエン、フタル酸ジオクチルを用いた。注入前の抵抗をR、注入後の抵抗をRとし、応答をR/R−1で表した。
図8に、実施例1のセンサ素子のトルエン(破線)、フタル酸ジオクチル(実線)の応答例を、図9に比較例1のセンサ素子の同応答例をそれぞれ示す。比較例1のセンサ素子は、図9に示すように、トルエン及びフタル酸ジオクチルに対し大きな応答を示したが、図8に示すように、実施例1のセンサ素子はフタル酸ジオクチルに選択的に応答し、トルエンにはほとんど応答しなかった。
実施例1のセンサ素子のトルエンに対する感度が低いのは、図10の模式図に示すように、ベンズアルデヒドを鋳型として形成された狭い細孔をベンゼン環が通り抜けできず、また、トルエンは側鎖が短いため、側鎖部分もSnO表面に到達できないためと考えられる。このセンサ素子の細孔は、ほぼベンゼン環大の大きさであると考えられるが、細孔と同じ大きさの分子の拡散は細孔内では遅く、細孔よりやや小さな分子のみが実質的に反応できることから、トルエンにはほとんど応答しなかったものと推測される。
これに対し、フタル酸ジオクチルは、図11の模式図に示すように、ベンゼン環から伸びた側鎖が長いため、この側鎖部分がSnO表面に到達して、応答を示したものと推測される。
次に、液体試料としてアセトン、トルエン、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルを用いて、パルス法によって各種物質に対する、測定温度493K〜643Kにおける実施例1及び比較例1のセンサ素子の感度(R/R−1)を比較した。
図12に、実施例1のセンサ素子の、測定温度493K〜643Kにおけるアセトン、トルエン、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチルに対する応答例を、図13に、比較例1のセンサ素子の同応答例をそれぞれ示す。
図13に示すように、比較例1のセンサ素子は、アセトン、トルエン、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルのいずれにも応答を示した。これに対し、実施例1のセンサ素子は、図12に示すように、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチルに対する感度が高いものの、アセトン及びトルエンに対する感度が低かった。特に543〜643Kの範囲では、実施例1のセンサ素子は、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチルに対する感度が高く、その一方で、アセトン及びトルエンに対する感度が低かった。このため、実施例1のセンサ素子は、アセトンやトルエンの共存に影響されることなくフタル酸ジブチルとフタル酸ジオクチルを選択的に検出できた。
実施例1のセンサ素子のトルエンに対する感度が低いのは、前述したように、ベンズアルデヒドを鋳型として形成された狭い細孔をベンゼン環が通り抜けできず、また、トルエンは側鎖が短いためであると推測される。また、アセトンに対する感度が低いのは、図14の模式図に示すように、アセトン分子は、中央の炭素原子から3方向にメチル基2つと酸素が枝分かれしており、アルキル基に比べると嵩高いため、細孔を通り抜けにくく、感度が低かったと考えられる。
次に、測定温度を543K、643Kとし、液体試料としてアセトン、トルエン、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、2‐メチル‐2‐プロパノール、1‐ペンタノール、1‐ヘキサノール、1‐オクタノール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルを用いて、パルス法によって各種物質に対する、実施例1及び比較例1のセンサ素子の感度を求めた。それぞれの被験物質に対する543Kでの、実施例1のセンサ素子と、比較例1のセンサ素子との感度比([実施例1のセンサBの感度]/[比較例1のセンサAの感度])を図15に、643Kでの同感度比を図16に示す。
図15に示すように、543Kでは、トルエンの感度比はゼロであった。また、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、2‐メチル‐2‐プロパノール、1‐ペンタノール、1‐ヘキサノール、1‐オクタノールに対する感度比は0.04以下であった。これに対し、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、アセトンは高い感度比を示した。
2‐プロパノール、2‐ブタノール、2‐メチル‐2‐プロパノールは枝分かれした分子構造を持つので、細孔を通り抜けにくく、実施例1のセンサ素子に対する感度が低かったものと推測される。
一方、エタノール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、1‐ペンタノール、1‐ヘキサノール、1‐オクタノールは直鎖アルコールであるものの、感度比が低かった。すなわち、下記表1に示すように、上記直鎖アルコールは、比較例1のセンサ素子に対しては、高い感度(543KでRa/R−1が40〜400)を示したが、実施例1のセンサ素子に対しては感度が低かった(Ra/R−1は0.8〜3)。この原因としては、以下のことが推測される。
直鎖アルコールは、直鎖アルカン(同じ条件でヘキサンのR/R−1は11程度)に比べてSnO上で感度が高い傾向にあるが、これは、アルコールのOH基がSnO表面に吸着しやすいためであると推測される。
しかしながら、酸化スズセンサでは、還元性の物質によって酸化スズ中の酸素が奪われることによって電気的応答が生まれるので、SnO表面にOHが吸着しただけでは応答せず、強く吸着したOHの隣のCH部分がSnO表面と反応することによって高い感度が現れる。つまり、高い感度が生じるには、OH基とアルキル基が同時にSnO表面に接触する必要があると推測される。図17(a)の模式図に示されるように、比較例1のセンサ素子では、SnO表面にOH基と隣接するCH基が同時に接触できる。これに対し、図17(b)の模式図に示すように、実施例1のセンサ素子は、直鎖アルコールであれば、アルキル基側から又はOH基側から、シリカマスクの細孔を通り抜けて酸化スズに到達することができる。このため、SnO表面にアルキル基側が到達したときにある程度の応答を示すものの、図17(a)の模式図のように、SnO表面にOHと隣接するCH基が同時に接触することはできない。このため、直鎖アルコールに対する実施例1のセンサ素子の感度は、比較例1のセンサ素子に比べて感度が低くなり、感度比が低くなったものと推測される。
また、図16に示すように、643Kでは、フタル酸ジブチルとフタル酸ジオクチルは、アセトンやトルエンよりも高い感度比を示した。
よって、例えば未知試料の構成物質群が分かっている場合、下記表2のような判定基準で、測定すべきガス成分中にフタル酸ジオクチルやフタル酸ジブチルが含まれるかどうかを推定することができる。さらには、フタル酸ジブチルとフタル酸ジオクチルのどちらが多く含まれているかが推定できる。
次に、測定温度を543Kとし、液体試料として、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルを用いて、パルス法によって各種物質に対する、実施例1のセンサ素子の感度を求めた。図18に示すように、いずれのフタル酸ジアルキルに対しても高い感度を示したが、フタル酸ジメチル、フタル酸ジイソブチルの感度が低かった。この原因は、図19の模式図に示すように、フタル酸ジメチルは側鎖が短いため側鎖が細孔を通り抜けしにくいことが原因であると推測される。また、フタル酸ジイソブチルは側鎖が枝分かれしており、かつ枝分かれから先が短いために、図20の模式図に示すように、側鎖が細孔を通り抜けにくいことが原因と推測される。
≪試験例2≫
実施例3、比較例1,2のセンサ素子の低濃度のフタル酸ジオクチルに対する感度を調べた。
まず、フタル酸ジオクチルの液体をガラス容器内に入れ、ヘリウム流を通じながら383Kで11時間加熱し、室温で12時間以上ヘリウムを流通させた。その後、乾燥空気を室温で流通させてフタル酸ジオクチルをおよそ300ppb含む空気流を得た。
次に、図7に示すパルス実験装置のガラス管41内に、実施例3のセンサ素子(シリカマスク有り SnO/Pd)、比較例1のセンサ素子(シリカマスク無し SnO),及び比較例2のセンサ素子(シリカマスク無し SnO/Pd)を配置し、センサ素子を酸素流(大気圧、40cmmin−1)中で673Kで1時間前処理した後、乾燥空気(大気圧、50cmmin−1)中で543Kで電気抵抗Rを記録した。その後、前記のフタル酸ジオクチル蒸気を含む空気を供給し、電気抵抗の変化を記録した。
結果を図21に示す。図中の細線は実施例3のセンサ素子の応答であり、細破線は比較例1のセンサ素子での応答であり、太線は比較例2のセンサ素子の応答である。図21に示すように、SnOのみからなる比較例1のセンサ素子の応答は、ノイズと区別できないほどであったが、SnOにPdを担持させることで感度が向上し、シリカマスクが形成されていても、十分な感度で検出できた。
≪試験例3≫
図22に示す装置に、実施例2、比較例2のセンサ素子をセットした。
この実験装置50は、ガラス管51のセンサ素子3の設置部分が、電気炉52で加熱できるようになっている。そして、ガラス管51の上流には、注入口53があり、この注入口53には、濃縮装置60が接続しており、被験ガスを濃縮してセンサ素子3に供給できるようになっている。
濃縮装置60は、乾燥空気供給バルブV1、ヘリウムガス供給バルブV2が配置されており、それぞれのバルブを開閉することで、濃縮装置60内の流路に乾燥空気又はヘリウムガスを導入できるようになっている。なお、ヘリウムガスは、装置内の流路を清浄する目的で流通させることから、試験中(乾燥空気バルブV1の開弁中)は、ヘリウムガス供給バルブV2は閉じている。
そして、乾燥空気供給バルブV1、ヘリウムガス供給バルブV2が配置された流路は、流路L1〜L4に分岐しており、それぞれの流路には、流量調整バルブV3〜V7が配置されている。
上記流路L1,L2は途中で合流し、その下流側には、シリカゲル乾燥管61、トラップC、蒸気飽和器62が配置されている。この蒸気飽和器62には、内部にフタル酸ジオクチルの液体が充填されており、その下流側には、切換え弁V8が配置された流路L5が伸びている。この切換え弁V8を切り替えることで、流路L5と、後述する流路L7との接続・切り離しができるようになっている。
また、上記流路L3の下流には、蒸気飽和器63が配置されている。この蒸気飽和器63には、内部にトルエンの液体が充填されており、その下流側には、切換え弁V9が配置された流路L6が伸びている。この切換え弁V9を切り替えることで、流路L5と、後述する流路L7との接続・切り離しができるようになっている。
また、上記流路L4の下流には、トラップBが配置されており、トラップBの下流からは流路L7が伸びて、前述の流路L5,L6が接続できるようになっている。そして、この流路L7の下流側端部には、六方コックV10が配置されている。
上記六方コックV10は、前記流路L7と、トラップAと、トラップDと、トラップEと、がそれぞれ配置されている。そして、六方コックV10によって流路を切り替えることで、流路L7とトラップAとを接続して、流路L7を通る被験ガスをトラップAに充填された吸着材で捕捉すると共に、トラップD及びトラップEを注入口53と接続して、O及びNをセンサ素子3に導入する(図22の態様)か、流路L7をトラップAから切り離すと共に、トラップA、トラップD及び注入口53とを接続して、トラップDに供給されるNと共にトラップAに捕捉されたガス成分をセンサ素子3に導入し、トラップEを注入口53と接続して、Oをセンサ素子3に導入する(図23の態様)ように構成されている。
なお、上記トラップAには、カラム充填剤(商品名「TENAX−GR」 ジーエルサイエンス製)が充填されている。また、トラップB・C・D・Eには、有機物を吸着除去するためにカラム充填剤(商品名「TENAX−GR」 ジーエルサイエンス製)と、ケミカルフィルタ用活性炭(日本ピュアテック製)が充填されており、実験中は273Kに保たれている。
このような実験装置50のガラス管51内にセンサ素子3をセットし、酸素流(大気圧,40cmmin−1)中で673Kで1時間前処理した。
そして、乾燥空気供給バルブV1を開き、流量調整バルブV3,V4の開弁度を調整しながら、蒸気飽和器62に、トラップCを経て供給される乾燥空気(N+O)を通じ、蒸気飽和器62を室温に保ってフタル酸ジオクチルの濃度およそ300ppbのガスを供給した。
また、トラップBを通じて何も含まない空気も流通させ、前記蒸気飽和器62から供給されるガスとあわせて全流速を300cmmin−1で一定とし、流速の比を調節することで任意の濃度のフタル酸ジオクチル蒸気を、六方コックV10を経て、トラップAに供給し、トラップAを273Kに保ってフタル酸ジオクチルを捕集した。トラップAにて100minの捕集後に六方コックV10を切り換えて図23の状態にした。そして、トラップDを通じて窒素(大気圧、71cmmin−1)をトラップAに供給し、その下流にトラップEを通じて酸素(大気圧、29cmmin−1)を合流させ、センサ素子3に入ったガラス管に供給した。測定中はセンサ素子3の温度を673Kに保ち、トラップAを523Kまで急速加熱し、電気信号の変化を記録した。また、トラップAの加熱前の電気抵抗をRとした。なお、図中の太線で描いた配管は473K程度に加熱されている。
図24に実施例2のセンサ素子の応答を、図25に比較例2のセンサ素子での応答を示す。なお、図中の細線は、空気のみを流した時の応答であり、破線は0.3ppbのフタル酸ジオクチルを流した時の応答であり、太線は0.5ppbのフタル酸ジオクチルを流した時の応答である。図24、25に示すように、フタル酸ジオクチルを0.3ないし0.5ppb流通させるとピークが明確に観察され、1ppb以下の領域でも検出できた。
次に、トルエンとフタル酸ジオクチルの共存下での応答を見た。トルエンを流通させる場合には、図22に示す実験装置50の蒸気飽和器63に、流量調整バルブV5の開弁度を調整しながら、蒸気飽和器63に乾燥空気(N+O)を流通させた。蒸気飽和器63内の温度を273Kに保つことでおよそトルエン濃度9000ppmのガスが得られた。また、蒸気飽和器62に、トラップCを経て供給される乾燥空気(N+O)を通じて供給されるフタル酸ジオクチル300ppbを含むガスと、前記蒸気飽和器63から供給されるガスと、トラップBを通じて供給される何も含まない空気とを合わせ、総流量を300cmmin−1で一定として流速比を変えることで任意の濃度のガスを得た。そしてこのガスを、トラップAに供給し、上記と同様にして濃縮処理を行った。
図26に実施例2のセンサ素子の応答を、図27に比較例2のセンサ素子での応答を示す。なお、図中の細線は、フタル酸ジオクチル0ppb、トルエン30ppmのガスに対する応答である。破線は、フタル酸ジオクチル0.3ppb、トルエン30ppmのガスに対する応答である。太線は0.5ppb、トルエン30ppmのガスに対する応答である。
比較例2のセンサ素子は、フタル酸ジオクチル0ppb、トルエン30ppmの条件でR/R−1=2を示し、トルエンに高い感度を示した(図27の細線)。そして、トルエン濃度を30ppmに保ってフタル酸ジオクチル濃度を0.3ppb(図27の破線),0.5ppb(図27の太線)に上げると応答は大きくなった。しかしながら、比較例2のセンサ素子は、トルエンに対する応答が大きいので、未知試料に対する応答から、その中に含まれるフタル酸ジオクチルの濃度を推定することはできなかった。
これに対し、実施例2のセンサ素子は、フタル酸ジオクチル0ppb、トルエン30ppmの条件ではほとんど応答を示さず(図26の細線)、トルエン濃度を30ppmに保ってフタル酸ジオクチル濃度を0.3ppb(図26の破線),0.5ppb(図26の太線)に上げると応答は大きくなった。すなわち、実施例2のセンサ素子は、ppmオーダーのトルエンに反応せず、ppbオーダーのフタル酸ジオクチルをトルエンの有無に限らず安定に検出できた。
そして、実施例2のセンサ素子のフタル酸ジオクチルの濃度に対して感度をプロットすると図28のようになり、下式(1)の関係式が得られた。
この式を検量線と見なして、実施例2のセンサ素子における実測値からフタル酸ジオクチル濃度を算出してみると表3のようになり、実験値と計算値の差は最大でも0.14ppbであったことから、トルエンの有無に関わらず1ppbのオーダーでフタル酸ジオクチルを検出できた。
本発明のガスセンサの参考例となる一実施形態を示す概略図である。 本発明のガスセンサの第一の実施形態を示す概略図である。 本発明のガスセンサの参考例となる他の実施形態を示す概略図である。 センサ固定台座の概略図である。 ベンズアルデヒドを鋳型形成用化合物として用いて金属酸化物の表面にシリカマスクを形成する概略図である。 1−ナフトアルデヒドを鋳型形成用化合物として用いて金属酸化物の表面にシリカマスクを形成する概略図である。 パルス実験装置の概略図である。 実施例1のセンサ素子のトルエン(破線)、フタル酸ジオクチル(実線)のパルス法による応答例を示す図表である。 比較例1のセンサ素子のトルエン(破線)、フタル酸ジオクチル(実線)のパルス法による応答例を示す図表である。 実施例1のセンサ素子表面でのトルエンとの反応模式図である。 実施例1のセンサ素子表面でのフタル酸ジオクチルとの反応模式図である。 実施例1のセンサ素子の、測定温度493K〜643Kにおけるアセトン、トルエン、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチルに対するパルス法による応答例を示す図表である。 比較例1のセンサ素子の、測定温度493K〜643Kにおけるアセトン、トルエン、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチルに対するパルス法による応答例を示す図表である。 実施例1のセンサ素子表面でのアセトンとの反応模式図である。 543Kでの、実施例1のセンサ素子と、比較例1のセンサ素子との感度比([実施例1のセンサの感度]/[比較例1のセンサの感度])を示す図表である。 643Kでの、実施例1のセンサ素子と、比較例1のセンサ素子との感度比([実施例1のセンサの感度]/[比較例1のセンサの感度])を示す図表である。 センサ素子表面でのアルコール類との反応模式図である。 実施例1のセンサ素子の、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルに対するパルス法による応答例を示す図表である。 実施例1のセンサ素子表面でのフタル酸ジメチルとの反応模式図である。 実施例1のセンサ素子表面でのフタル酸ジイソブチルとの反応模式図である。 実施例3、比較例1,2のセンサ素子のフタル酸ジオクチル300ppbに対する応答例を示す図表である。 トラップを用いる測定装置の概略図であって、所定濃度の蒸気をトラップAで捕集している状態図である。 トラップを用いる測定装置の概略図であって、捕集した気体を加熱によって脱離させして、センサ素子の入った反応管に流通させている状態図である。 ガス中のフタル酸ジオクチル濃度を0ppb(細線)、0.3ppb(破線)、0.5ppb(太線)とした時の実施例2のセンサ素子の応答例を示す図表である。 ガス中のフタル酸ジオクチル濃度を0ppb(細線)、0.3ppb(破線)、0.5ppb(太線)とした時の比較例2のセンサ素子の応答例を示す図表である。 トルエン30ppmを供給しながら、ガス中のフタル酸ジオクチル濃度を0ppb(細線)、0.3ppb(破線)、0.5ppb(太線)とした時の実施例2のセンサ素子の応答例を示す図表である。 トルエン30ppmを供給しながら、ガス中のフタル酸ジオクチル濃度を0ppb(細線)、0.3ppb(破線)、0.5ppb(太線)とした時の比較例2のセンサ素子の応答例を示す図表である。 比較例1のセンサ素子及び実施例2のセンサ素子の、トルエン0ppm及び30ppm共存下での感度のフタル酸ジオクチル濃度依存性を示す関係図である。
符号の説明
1,11,21:金属酸化物
2,12:シリカマスク
2a:細孔
3:センサ素子
4,30:検出器
5:ガス濃縮装置
13:第一センサ素子
22:第二センサ素子

Claims (10)

  1. ガス中のフタル酸ジアルキルを検出するためのガスセンサであって、
    SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に、所定の細孔を持ったシリカマスクが形成された第1のセンサ素子と、
    SnO を主成分としてなる金属酸化物の表面に、前記第1のセンサ素子とは異なる径の細孔を持ったシリカマスクが形成された第2のセンサ素子、及び/又は、SnO を主成分としてなる金属酸化物の表面にシリカマスクを有さない第3のセンサ素子と、
    前記センサ素子の電気抵抗値を測定する検出器と、
    を備えたことを特徴とするガスセンサ。
  2. 前記金属酸化物は、SnOに触媒を担持させたものである、請求項に記載のガスセンサ。
  3. 前記触媒は、貴金属である、請求項に記載のガスセンサ。
  4. 前記触媒は、Pdである、請求項に記載のガスセンサ。
  5. 前記シリカマスクが形成されたセンサ素子は、前記金属酸化物の表面に、脂肪族アルデヒド類、脂肪族カルボン酸類、芳香族アルデヒド類及び芳香族カルボン酸類から選ばれる鋳型形成用化合物を単分子層未満の吸着密度で吸着させた後にシリカ前駆体分子を蒸着し、これをシリカに加水分解して得られる、前記鋳型形成用化合物のサイズ及び形状に対応した細孔を有するシリカマスクを備えるものである、請求項1〜のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  6. 前記鋳型形成用化合物は、前記金属酸化物の表面に吸着された状態での該表面と平行な方向における最大幅が0.5〜1.2nmとなるものである、請求項に記載のガスセンサ。
  7. 前記鋳型形成用化合物は、1‐ナフトアルデヒド又は1‐ナフタレンカルボン酸である、請求項に記載のガスセンサ。
  8. 前記センサ素子のガス流通方向の上流側にガス濃縮装置が配置され、該ガス濃縮装置で検出すべきガス成分を濃縮したガスを、前記センサ素子に導入させるように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  9. 前記ガス濃縮装置は、所定量のガスを捕集剤に供給して検出すべきガス成分を捕集させる手段と、前記捕集剤を昇温しつつ、該捕集剤から検出すべきガス成分を発散させて、該ガス成分が濃縮されて含有されたガスを供給する手段と、を備えている、請求項に記載のガスセンサ。
  10. SnOを主成分としてなる金属酸化物の表面に所定の細孔を持ったシリカマスクが形成された第1のセンサ素子と、
    SnO を主成分としてなる金属酸化物の表面に、前記第1のセンサ素子とは異なる径の細孔を持ったシリカマスクが形成された第2のセンサ素子、及び/又は、SnO を主成分としてなる金属酸化物の表面にシリカマスクを有さない第3のセンサ素子とを用い、
    各センサ素子に被検出ガスを供給し、前記センサ素子の電気抵抗値を測定して、該ガス中のフタル酸ジアルキルを検出することを特徴とするガス検出方法。
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