JP5103297B2 - 圧電振動子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接合された2枚の基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が封止された表面実装型(SMD)の圧電振動子の製造方法に関するものである。
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが知られているが、その1つとして、表面実装型の圧電振動子が知られている。この種の圧電振動子としては、一般的に圧電振動片が形成された圧電基板を、ベース基板とリッド基板とで上下から挟み込むように接合した3層構造タイプのものが知られている。この場合、圧電振動子は、ベース基板とリッド基板との間に形成されたキャビティ(密閉室)内に収納されている。また、近年では、上述した3層構造タイプのものではなく、2層構造タイプのものも開発されている。
このタイプの圧電振動子は、ベース基板とリッド基板とが直接接合されることで2層構造になっており、両基板の間に形成されたキャビティ内に圧電振動片が収納されている。
この2層構造タイプの圧電振動子は、3層構造のものに比べて薄型化を図ることができる等の点において優れており、好適に使用されている。このような2層構造タイプの圧電振動子の1つとして、ベース基板を貫通するように形成された導電部材を利用して、圧電振動片とベース基板に形成された外部電極とを導通させた圧電振動子が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
この圧電振動子200は、図33及び図34に示すように、接合膜207を介して互いに陽極接合されたベース基板201及びリッド基板202と、両基板201、202の間に形成されたキャビティC内に封止された圧電振動片203と、を備えている。圧電振動片203は、例えば音叉型の振動片であって、キャビティC内においてベース基板201の上面に導電性接着剤Eを介してマウントされている。
ベース基板201及びリッド基板202は、例えばセラミックやガラス等からなる絶縁基板である。両基板201、202のうちベース基板201には、該基板201を貫通するスルーホール204が形成されている。そして、このスルーホール204内には、該スルーホール204を塞ぐように導電部材205が埋め込まれている。この導電部材205は、ベース基板201の下面に形成された外部電極206に電気的に接続されていると共に、キャビティC内にマウントされている圧電振動片203に電気的に接続されている。
特開2002−124845号公報 特開2006−279872号公報
ところで、上述した2層構造タイプの圧電振動子において、導電部材205は、スルーホール204を塞いでキャビティC内の気密を維持すると共に、圧電振動片203と外部電極206とを導通させるという2つの大きな役割を担っている。特に、スルーホール204との密着が不十分であると、キャビティC内の気密が損なわれてしまう恐れがあり、また、導電性接着剤E或いは外部電極206との接触が不十分であると、圧電振動片203の動作不良を招いてしまう。従って、このような不具合をなくす為にも、スルーホール204の内面に強固に密着した状態で該スルーホール204を完全に塞ぎ、しかも、表面に凹み等がない状態で導電部材205を形成する必要がある。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、導電部材205を導電ペースト(AgペーストやAu−Snペースト等)にて形成する点は記載されているものの、実際にどのように形成するか等の具体的な製造方法については何ら記載されていない。
一般的に導電ペーストを使用する場合には、焼成して硬化させる必要がある。つまり、スルーホール204内に導電ペーストを埋め込んだ後、焼成を行って硬化させる必要がある。ところが、焼成を行うと、導電ペーストに含まれる有機物が蒸発により消失してしまうので、通常、焼成後の体積が焼成前に比べて減少してしまう(例えば、導電ペーストとしてAgペーストを用いた場合には、体積が略20%程度減少してしまう)。そのため、導電ペーストを利用して導電部材205を形成したとしても、表面に凹みが発生してしまったり、酷い場合には貫通孔が中心に開いてしまったりする恐れがある。
その結果、キャビティC内の気密が損なわれたり、圧電振動片203と外部電極206との導通性が損なわれたりする可能性があった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、キャビティ内の気密を確実に維持すると共に、圧電振動片と外部電極との安定した導通性を確保した高品質な2層構造式表面実装型の圧電振動子を製造する圧電振動子の製造方法を提供することである
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
ベース基板と、該ベース基板との間にキャビティが形成された状態で前記ベース基板に接合されたリッド基板と、前記キャビティ内に収納された状態で前記ベース基板の上面に接合された圧電振動片と、前記ベース基板の下面に形成された外部電極と、前記ベース基板を上下方向に貫通するように形成され、前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する貫通電極と、を備える圧電振動子を、ベース基板用ウエハと、リッド基板用ウエハと、平板状の土台部及び該土台部の裏面上から延在する芯材部を有する導電性の鋲体を利用して一度に複数製造する方法であって、前記貫通電極を形成する際に、前記ベース基板用ウエハに、該ベース基板用ウエハを上下方向に貫通する貫通孔を複数形成する貫通孔形成工程と、前記鋲体の芯材部を、前記ベース基板用ウエハの一方側から前記貫通孔それぞれの内部に挿入する芯材部挿入工程と、前記ベース基板用ウエハに前記鋲体の土台部の裏面を当接させて前記貫通孔における前記一方側の開口端を塞ぐと共に、前記ベース基板用ウエハの他方側を加圧しながら加熱することにより前記ベース基板用ウエハの前記他方側の表面部を溶融させて液状のベース基板材料とし、該ベース基板材料を前記貫通孔の前記他方側から前記貫通孔の内周壁と前記鋲体との隙間に流し込み、該隙間を塞ぐ溶融工程と、前記隙間に流し込まれた前記ベース基板材料を冷却して硬化させ、前記ベース基板用ウエハと前記鋲体とを一体的に固定させる硬化工程と、前記鋲体の土台部を除去すると共に前記ベース基板用ウエハと前記芯材部とを平坦にするように、前記ベース基板用ウエハ及び前記鋲体を研磨する研磨工程と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明に係る圧電振動子の製造方法においては、貫通電極を形成する際に、まず貫通孔形成工程において、ベース基板用ウエハに、該ベース基板用ウエハを上下方向に貫通する貫通孔を複数形成する。
次に、芯材部挿入工程において、鋲体の芯材部を、ベース基板用ウエハの一方側から貫通孔それぞれの内部に挿入する。
次に、溶融工程において、貫通孔の内周壁と鋲体との隙間を塞ぐ。この際、ベース基板用ウエハに鋲体の土台部の裏面を当接させて貫通孔における前記一方側の開口端を塞ぐと共に、ベース基板用ウエハの他方側を加圧しながら加熱することによりベース基板用ウエハの前記他方側の表面部を溶融させて液状のベース基板材料とし、該ベース基板材料を貫通孔の前記他方側から前記隙間に流し込むことで行う。これにより、ベース基板材料が、前記一方側の開口端を塞ぐ土台部の裏面上に積重されて前記隙間を塞ぐことができる。
次に、硬化工程において、前記隙間に流し込まれたベース基板材料を硬化させる。これにより、ベース基板用ウエハと鋲体とを一体的に固定させることができる。
特に、ベース基板材料を冷却して硬化するので、ペーストを埋め込んで焼成する場合よりも体積の減少を抑えることができ、硬化の過程で孔が形成されるのを防止して貫通孔を確実に封止することができる。
次に、研磨工程において、ベース基板用ウエハ及び鋲体を研磨する。この際、鋲体の土台部を除去すると共にベース基板用ウエハと芯材部とを平坦にするように研磨する。この結果、芯材部が貫通電極として作用する。
特に、ベース基板用ウエハと貫通電極とが平坦になっているので、貫通電極に導電性接着剤や電極膜等を密着させた状態で形成することができる。その結果、導電性接着剤や電極膜等を介して圧電振動片を貫通電極と電気的に接続させる場合であっても、圧電振動片と外部電極との安定した導通性を確保することができ、動作性能の信頼性を向上して、高品質化を図ることができる。しかも、導電性の芯材部を利用して貫通電極を構成するので、非常に安定した導通性を得ることができる。
また、貫通孔を封止する過程でベース基板用ウエハに孔が形成されるのを防止しているので、キャビティ内の気密が損なわれることを防ぐことができ、この点においても高品質化を図ることができる。
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法では、前記貫通孔形成工程の際、前記貫通孔を、前記他方側における開口端が前記一方側における開口端より大きくなるように形成すると共に、その内径が前記他方側から前記一方側に向かうに従って漸次縮径するように形成することが好ましい。
この場合、貫通孔が、前記他方側における開口端が前記一方側における開口端より大きくなるように形成されている。従って、ベース基板材料を前記他方側の開口端から容易に流し込むことができる上に、流し込まれたベース基板材料によって前記一方側における貫通孔の内周壁と鋲体との隙間をより確実に塞ぐことができる。
しかも、貫通孔が前記他方側から前記一方側に向かうに従って漸次縮径するように形成されているので、ベース基板用ウエハの前記他方側の表面部が溶融されて貫通孔を形成する内周壁が溶融したとしても、貫通孔の前記他方側における大きさが急激に小さくなることがない。そのため、ベース基板材料を貫通孔内に円滑に流し込み続けることができる。
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法では、前記鋲体として、複数の前記芯材部が、共通した前記土台部に形成されているものを用いることが好ましい。
この場合、鋲体として、複数の芯材部が、共通した土台部に形成されているものを用いているので、芯材部挿入工程の際、単に複数の芯材部に共通している土台部をベース基板用ウエハに対して位置決めをするだけで、貫通孔内に複数の芯材部を挿入することができる。このため、芯材部を1つずつ位置決めせずに済み、芯材部挿入工程の作業性を向上することができる。
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法では、前記溶融工程は、前記ベース基板用ウエハを嵌入可能な凹部が形成された受型の該凹部に、前記鋲体が挿入された前記ベース基板用ウエハを、該ベース基板用ウエハの前記一方側を前記受型に向けた状態で配置して、前記ベース基板用ウエハに前記鋲体の土台部の裏面を当接させるセット工程と、前記ベース基板用ウエハを押圧することで加圧する加圧型によって、前記受型の凹部に配置された前記ベース基板用ウエハの前記他方側の表面部を加圧する加圧工程と、を備えていることが好ましい。
この場合、溶融工程の際に、まずセット工程において、受型の凹部に、鋲体が挿入されたベース基板用ウエハを配置する。この際、ベース基板用ウエハの前記一方側を受型に向けた状態で配置して、ベース基板用ウエハに鋲体の土台部の裏面を当接させる。
次に、加圧工程において、加圧型によって受型の凹部に配置されたベース基板用ウエハの前記他方側の表面部を加圧する。
特に、加圧型によって単にベース基板用ウエハの他方側の表面部を押圧するだけで加圧することができる。しかも、ベース基板用ウエハは受型の凹部に嵌入されているので、加圧型による押圧時に、ベース基板用ウエハが加圧型に対して位置ずれすることがなく、ベース基板用ウエハを確実に押圧して加圧することができる。
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法では、前記セット工程の際、前記ベース基板用ウエハとの間に前記鋲体の土台部を挟み込んだ状態で該土台部の裏面と共に平坦面を形成する固定治具を、前記ベース基板用ウエハと前記受型との間に配置することが好ましい。
この場合、固定治具を、ベース基板用ウエハと受型との間に配置している。この固定治具は、ベース基板用ウエハとの間に鋲体の土台部を挟み込んだ状態で該土台部の裏面と共に平坦面を形成するので、ベース基板用ウエハの前記一方側の面は、その全面で前記平坦面によって支持される。従って、加圧型によってベース基板用ウエハの前記他方側に加えられた圧力は、ベース基板用ウエハの前記一方側の表面に分散して作用し、局所的に集中することがない。このため、ベース基板用ウエハに割れ等が発生するのを抑制することができ、圧電振動子の高品質化を図ることができる。
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法では、前記鋲体として、前記芯材部の厚みが前記ベース基板用ウエハより薄いものを用いることが好ましい。
この場合、芯材部の厚みがベース基板用ウエハより薄いものを用いているので、加圧工程において、加圧型でベース基板用ウエハの表面を押圧する際に、芯材部の先端が加圧型に当接することがない。従って、加圧型においてベース基板用ウエハと対向する部分毎に形状を変更し、更に加圧型の配向を予め調整して加圧する等の必要がなく、単に平坦な面を有する加圧型で加圧することができる。
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法では、前記加圧型として、前記加圧工程の際に前記鋲体の芯材部と対向する位置に、該芯材部の外径と略等しい内径に形成された芯材挿通孔を備えているものを用いることが好ましい。
この場合、加圧型として、加圧工程の際に鋲体の芯材部と対向する位置に、該芯材部の外径と略等しい内径に形成された芯材挿通孔を備えているものを用いている。このため、加圧型が加圧工程においてベース基板用ウエハを加圧する過程で、芯材部の厚みがベース基板用ウエハの厚みより厚くなったとしても、芯材部の先端部は芯材挿通孔に挿通され、加圧型に接触することがない。従って、芯材部の厚みに関わらずベース基板用ウエハの前記他方側の表面が平坦になるまで、加圧型によってベース基板用ウエハを押圧して溶融することができる。
本発明に係る圧電振動子の製造方法によれば、キャビティ内の気密を確実に維持することができると共に、圧電振動片と外部電極との安定した導通性を確保した高品質な2層構造式表面実装型の圧電振動子を製造することができる
以下、本発明に係る圧電振動子の実施形態を、図1から図27を参照して説明する。
本実施形態の圧電振動子1は、図1から図4に示すように、ベース基板2とリッド基板3とで2層に積層された箱状に形成されており、内部のキャビティC内に圧電振動片4が収納された表面実装型の圧電振動子である。
なお、ベース基板2及びリッド基板3のそれぞれの厚みは、例えば150μm〜200μmとなっている。また、図4においては、図面を見易くするために後述する励振電極15、引き出し電極19、20、マウント電極16、17及び重り金属膜21の図示を省略している。
圧電振動片4は、図5から図7に示すように、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、該一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16、17とを有している。
また、本実施形態の圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、該振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。具体的には、図7に示すように、第1の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部18上と他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、第2の励振電極14が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部18上とに主に形成されている。
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、図5及び図6に示すように、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19、20を介してマウント電極16、17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16、17を介して電圧が印加されるようになっている。
なお、上述した励振電極15、マウント電極16、17及び引き出し電極19、20は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
また、一対の振動腕部10、11の先端には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。なお、この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。
このように構成された圧電振動片4は、図3及び図4に示すように、金等のバンプPを利用して、ベース基板2の上面にバンプ接合されている。詳しく説明すると、ベース基板2の上面にパターニングされた後述する引き回し電極36、37上にそれぞれ2つずつ形成された2組のバンプP上に、一対のマウント電極16、17がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されると共に、マウント電極16、17と引き回し電極36、37とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
上記リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、図1、図3及び図4に示すように、板状に形成されている。そして、ベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片4が収まる矩形状の凹部3aが形成されている。この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなるキャビティ用の凹部である。そして、リッド基板3は、この凹部3aをベース基板2側に対向させた状態で該ベース基板2に対して陽極接合されている。
上記ベース基板2は、リッド基板3と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、図1から図4に示すように、リッド基板3に対して重ね合わせ可能な大きさで板状に形成されている。
このベース基板2には、該ベース基板2を上下方向に貫通するように形成された一対の貫通電極32、33が形成されている。一対の貫通電極32、33は、キャビティC内に収まるように形成されている。より詳しく説明すると、本実施形態の貫通電極32、33は、マウントされた圧電振動片4の基部12側に一方の貫通電極32が位置し、振動腕部10、11の先端側に他方の貫通電極33が位置するように形成されている。
貫通電極32、33は、図3に示すように、金属材料により円柱状に形成された導電性の芯材であり、両端が平坦で且つベース基板2の厚みと略同じ厚みとなるように形成されている。貫通電極32、33は、例えばコバール、ジュメット線、Fe−Ni等で形成され、その熱膨張係数がベース基板2と略等しくなっている。
この貫通電極32、33は、ベース基板2との間に隙間なく配置されて、キャビティC内の気密を維持していると共に、後述する外部電極38、39と引き回し電極36、37とを導通させる役割を担っている。貫通電極32、33は、後述するように溶融されたベース基板2(ベース基板用ウエハ40)が冷却されて硬化することで、ベース基板2に対して強固に固着されている。
ベース基板2の上面側(リッド基板3が接合される接合面側)には、図1から図4に示すように、導電性材料(例えば、アルミニウム)により、陽極接合用の接合膜35と、一対の引き回し電極36、37とがパターニングされている。このうち接合膜35は、リッド基板3に形成された凹部3aの周囲を囲むようにベース基板2の周縁に沿って形成されている。
引き回し電極36、37は、例えばクロムを下層、金を上層とする二層構造の電極膜であり、その厚みが例えば2000Åとなっている。また、一対の引き回し電極36、37は、一対の貫通電極32、33のうち、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続すると共に、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。より詳しく説明すると、一方の引き回し電極36は、圧電振動片4の基部12の真下に位置するように一方の貫通電極32の真上に形成されている。また、他方の引き回し電極37は、一方の引き回し電極36に隣接した位置から、振動腕部10、11に沿って該振動腕部10、11の先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極33の真上に位置するように形成されている。
そして、これら一対の引き回し電極36、37上にそれぞれバンプPが形成されており、該バンプPを利用して圧電振動片4がマウントされている。これにより、圧電振動片4の一方のマウント電極16が、一方の引き回し電極36を介して一方の貫通電極32に導通し、他方のマウント電極17が、他方の引き回し電極37を介して他方の貫通電極33に導通するようになっている。
また、ベース基板2の下面には、図1、図3及び図4に示すように、一対の貫通電極32、33に対してそれぞれ電気的に接続される外部電極38、39が形成されている。つまり、一方の外部電極38は、一方の貫通電極32及び一方の引き回し電極36を介して圧電振動片4の第1の励振電極13に電気的に接続されている。また、他方の外部電極39は、他方の貫通電極33及び他方の引き回し電極37を介して、圧電振動片4の第2の励振電極14に電気的に接続されている。
このように構成された圧電振動子1を動作させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極38、39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電流を流すことができ、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
次に、上述した圧電振動子1の製造方法の説明の前に、この製造方法において利用するベース基板用ウエハ40、リッド基板用ウエハ50、鋲体9、受型A1及び加圧型A2について説明する。
ベース基板用ウエハ40及びリッド基板用ウエハ50は、図8に示すように、円板の周縁部の一部が切り落とされた平面視D字状のウエハである。両ウエハ40、50とも、例えば、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去して形成することができる。なお、本実施形態では、研磨加工されたベース基板用ウエハ40の厚みをL1とする。
鋲体9は、図9に示すように、平板状の土台部8及び該土台部8の裏面上から延在する芯材部7を有する導電性のものである。本実施形態では、鋲体9として、複数の芯材部7が、共通した土台部8に形成されているものを用いる。
図示の例では、土台部8は、平面視で長方形状に形成されており、その短手幅方向の略中央部に各芯材部7が設けられている。また、土台部8の長手方向の長さ及びこの長手方向に沿った芯材部7同士の間隔は、これらを有する鋲体9が後述する芯材部配置工程で配置されるベース基板用ウエハ40の位置に対応して決められている。
また、図示の例では、芯材部7は、円柱状に形成されると共に、土台部8上からこの土台部8の裏面に略直交する方向に沿って延在し、その先端が平坦に形成されている。芯材部7の厚みL2は、ベース基板用ウエハ40の厚みL1より薄くなっている。なお、芯材部7は、角柱状等に形成されていても構わない。
また、鋲体9は、例えばコバール、ジュメット線、Fe−Ni等が削り出し加工等で形成され、その熱膨張係数がベース基板用ウエハ40と略等しくなっている。
受型A1は、図10に示すように、ベース基板用ウエハ40を嵌入可能な凹部A11が形成されている。
凹部A11は、ベース基板用ウエハ40と平面視で略等しい大きさに形成されると共に、内周面が断面視でストレート形状になるように形成されている。
加圧型A2は、ベース基板用ウエハ40を押圧することで加圧する型である。本実施形態では、加圧型A2は、受型A1の凹部A11に嵌入可能な大きさに形成されると共に、その表面の少なくとも一つが平坦面A21となっており、平坦面A21を受型A1の凹部A11に向けた状態で、該凹部A11に嵌入させることができる。加圧型A2は、例えばセラミック等で形成される。
次に、上述した圧電振動子1を、図11に示すフローチャートを参照して、ベース基板用ウエハ40、リッド基板用ウエハ50、鋲体9、受型A1及び加圧型A2を利用して一度に複数製造する製造方法について以下に説明する。
始めに、圧電振動片作製工程において、図5から図7に示す圧電振動片4を作製する(S10)。具体的には、まず水晶のランバート原石を所定の角度でスライスして一定の厚みのウエハとする。次に、このウエハをラッピングして粗加工した後、加工変質層をエッチングで取り除き、その後ポリッシュ等の鏡面研磨加工を行って、所定の厚みのウエハとする。次に、ウエハに洗浄等の適切な処理を施した後、該ウエハをフォトリソグラフィ技術によって圧電振動片4の外形形状でパターニングすると共に、金属膜の成膜及びパターニングを行って、励振電極15、引き出し電極19、20、マウント電極16、17、重り金属膜21を形成する。これにより、複数の圧電振動片4を作製することができる。
また、圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。これは、重り金属膜21の粗調膜21aにレーザ光を照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、マウント後に行う。これについては、後に説明する。
次に、第1のウエハ作製工程において、後にリッド基板3となるリッド基板用ウエハ50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する(S20)。まず、前述したように、ソーダ石灰ガラスからリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。次いで、凹部形成工程において、図12に示すように、リッド基板用ウエハ50の接合面に、エッチング等により行列方向にキャビティ用の凹部3aを複数形成する(S22)。この時点で、第1のウエハ作製工程が終了する。
次に、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、第2のウエハ作製工程において、後にベース基板2となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する(S30)。まず、前述したように、ソーダ石灰ガラスからベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。次いで、貫通電極形成工程において、ベース基板用ウエハ40に一対の貫通電極32、33を複数形成する(S30A)。ここで、この貫通電極形成工程について、詳細に説明する。
まず、図13及び図14に示すように、貫通孔形成工程において、ベース基板用ウエハ40を上下方向に貫通する一対のスルーホール30、31を複数形成する(S32)。この際、例えばサンドブラスト法やプレス加工等で行う。また、図15に示すように、スルーホール30、31を、上面側(他方側)における開口端が下面側(一方側)における開口端より大きくなるように形成すると共に、その内径が上面側から下面側に向かうに従って漸次縮径するように形成する。
また、後に両ウエハ40、50を重ね合わせたときに、リッド基板用ウエハ50に形成された凹部3a内に収まるように一対のスルーホール30、31を複数形成する。しかも、一方のスルーホール30が圧電振動片4の基部12側に位置し、他方のスルーホール31が振動腕部10、11の先端側に位置するように形成する。本実施形態では、図13及び図14に示すように、ベース基板用ウエハ40のD字状の直線部40aに沿って、隣接するもの同士が等間隔をあけて複数の一方のスルーホール30(複数の他方のスルーホール31)がそれぞれ形成されている。
なお、図13及び図14に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。また、図15及び以下に示すベース基板用ウエハ40の各断面図は、図面の見易さのため、スルーホール30とベース基板用ウエハ40の周面との距離、及び隣接するスルーホール30間の距離を模式的に示している。
次に、図16から図18に示すように、芯材部挿入工程において、これら複数のスルーホール30、31それぞれの内部に、鋲体9の芯材部7をベース基板用ウエハ40の上面側から挿入する(S33)。この際、芯材部7の厚みL2がベース基板用ウエハ40の厚みL1より薄いため、芯材部7の先端は、スルーホール30、31内に配置される。
また、図示の例では、前記直線部40aに沿って並ぶ各スルーホール30、31の列ごとに異なる鋲体9を利用して、その鋲体9の芯材部7を各スルーホール30、31に挿入させている。そのため、各鋲体9の土台部8は、その長手方向の長さが、それぞれが配置されるベース基板用ウエハ40の位置において前記直線部40aに沿って並ぶスルーホール30、31全体を覆うことができる長さに形成されている。また、各鋲体9の土台部8上に形成されている芯材部7の間隔は、前記直線部40aに沿った隣接するスルーホール30、31同士の間隔と等しく形成されている。
次に、溶融工程の説明の前に、この工程で用いる固定治具Bについて説明する。
固定治具Bは、図19及び図20に示すように、ベース基板用ウエハ40との間に鋲体9の土台部8を挟み込んだ状態で該土台部8の裏面と共に平坦面を形成するものである。本実施形態では、固定治具Bは、平面視でベース基板用ウエハ40と略等しい大きさの板で、例えばカーボン等で形成される。
また、固定治具Bの表面には、鋲体9の土台部8が嵌入可能な凹部B11が複数形成されている。各凹部B11は、ベース基板用ウエハ40に挿入された状態の鋲体9の土台部8と対向する位置に、各土台部8と略等しい大きさに形成されており、その深さが鋲体9の土台部8の厚みL3となっている。このため、鋲体9の土台部8を凹部B11に嵌入することにより、土台部8の裏面と共に平坦面を形成することができる。
次に、溶融工程において、スルーホール30、31の内周壁と鋲体9との隙間を塞ぐ(S34)。本実施形態の溶融工程について詳細に説明すると、まずセット工程において、図21に示すように、受型A1の凹部A11に、鋲体9が挿入されたベース基板用ウエハ40を配置する(S34a)。この際、ベース基板用ウエハ40の上面側を受型A1に向けた状態で配置する。更に、上記固定治具Bを、ベース基板用ウエハ40と受型A1との間に配置している。
これにより、ベース基板用ウエハ40に鋲体9の土台部8の裏面を当接させることができる。しかも、固定治具Bは、ベース基板用ウエハ40との間に鋲体9の土台部8を挟み込んだ状態で該土台部8の裏面と共に平坦面を形成するので、ベース基板用ウエハ40の上面は、その全面で前記平坦面によって支持される。
次に、ベース基板用ウエハ40がセットされている受型A1を、その内部が温度調節可能な加熱炉(図示せず)内に配置する。この際、ベース基板用ウエハ40の下面側の表面部が、例えば850〜1000℃になるように、加熱炉内を加熱する。なお、加熱炉としては、例えばガスや電気などで温度調節を行うことができる中温成形炉等を用いてもよい。
次に、図22に示すように、加圧工程において、加圧型A2によって受型A1の凹部A11に配置されたベース基板用ウエハ40の下面側の表面部を加圧する(S34b)。この際、加熱炉内に配置されたプレス機(図示せず)等を利用して、加圧型A2によって、例えば30〜50g/cm2の圧力で加圧する。その結果、ベース基板用ウエハ40の下面側を加圧しながら加熱することによりベース基板用ウエハ40の下面側の表面部を溶融させて液状のベース基板材料41とすることができる。
これらの結果、図23に示すように、ベース基板用ウエハ40に鋲体9の土台部8の裏面を当接させてスルーホール30、31における上面側の開口端を塞ぐと共に、ベース基板材料41をスルーホール30、31の下面側からスルーホール30、31の内周壁と鋲体9との隙間に流し込むことができる。これにより、ベース基板材料41が、上面側の開口端を塞ぐ土台部8の裏面上に積重されて前記隙間を塞ぐことができる。図示の例では、ベース基板材料41が前記隙間を塞ぐと共に、芯材部7の先端を覆うように流し込まれている。
特に、加圧型A2によって単にベース基板用ウエハ40の下面側の表面部を押圧するだけで加圧することができる。しかも、ベース基板用ウエハ40は受型A1の凹部A11に嵌入されているので、加圧型A2による押圧時に、ベース基板用ウエハ40が加圧型A2に対して位置ずれすることがなく、ベース基板用ウエハ40を確実に押圧して加圧することができる。
以上で溶融工程が終了する。
次に、硬化工程において、前記隙間に流し込まれたベース基板材料41を硬化させる(S35)。この際、ベース基板用ウエハ40がセットされている受型A1を、加熱炉の内部から取り出してから冷却する。これにより、ベース基板用ウエハ40と鋲体9とを一体的に固定させることができる。
特に、ベース基板材料41を冷却して硬化するので、ペーストを埋め込んで焼成する場合よりも体積の減少を抑えることができ、硬化の過程で孔が形成されるのを防止してスルーホール30、31を確実に封止することができる。加えて、鋲体9の熱膨張係数は、ベース基板用ウエハ40と略等しいので、鋲体9とベース基板用ウエハ40とが冷却の過程で同様に体積変化する。このため、両者間に隙間が形成されること等がなく、スルーホール30、31を確実に封止することができる。
更に、ベース基板材料41の上面は、ベース基板用ウエハ40に当接された鋲体9の土台部8の裏面に接触した状態で硬化されるので、ベース基板用ウエハ40の上面に対してほぼ面一な状態とすることができる。
次に、受型A1からベース基板用ウエハ40を取り外し、更に、固定治具Bをベース基板用ウエハ40から取り外す。なお、固定治具Bがカーボンで形成されている場合、カーボンには溶融したガラスが固着しにくいので、ベース基板用ウエハ40から固定治具Bを容易に取り外すことができる。また、この一連の取り外し作業は、溶融工程の後で且つ次の研磨工程前に行えば良く、例えば硬化工程前に行っても構わない。
次に、図24に示すように、研磨工程において、ベース基板用ウエハ40及び鋲体9を研磨する(S36)。この際、鋲体9の土台部8を除去すると共にベース基板用ウエハ40と芯材部7とを平坦にするように研磨する。本実施形態の研磨工程では、ベース基板用ウエハ40の上面側において土台部8を除去する第1研磨工程と、ベース基板用ウエハ40の下面側において芯材部7の先端を覆うように流し込まれた後に硬化したベース基板材料41を研磨して芯材部7の先端を露出させる第2研磨工程と、を実施する。この結果、芯材部7は、貫通電極32、33として作用する。
なお、図24では、説明のためにベース基板用ウエハ40とベース基板材料41とを区別して図示しているが、硬化工程を経ることでベース基板材料41が硬化され、ベース基板用ウエハ40と一体になっているので、実際には図示したように明確な区別が見られるものとは限らない。
特に、この貫通電極32、33は、導電性の芯材部7により形成されており、安定した導通性を確保することができる。
しかも、硬化工程においてベース基板材料41が硬化する際、ベース基板用ウエハ40の上面に対してほぼ面一な状態で硬化されているので、第1研磨工程において単に土台部8を研削するだけでベース基板用ウエハ40の表面を研磨することなく平坦面を形成することができる。その結果、研磨工程の効率を向上することができる。
なお、芯材部7の先端を覆う状態でベース基板材料41が硬化していなく、芯材部7の表面がベース基板用ウエハ40に対して面一な状態で露出していれば、第2研磨工程は実施しなくても構わない。
以上で貫通電極形成工程が終了する。
次に、接合膜形成工程において、ベース基板用ウエハ40の上面に導電性材料をパターニングして、図25及び図26に示すように、接合膜35を形成する(S37)と共に、引き回し電極形成工程において、各一対の貫通電極32、33にそれぞれ電気的に接続された引き回し電極36、37を複数形成する(S38)。なお、図25及び図26に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。
この時点で第2のウエハ作製工程が終了する。
ところで、図11では、接合膜形成工程(S37)の後に、引き回し電極形成工程(S38)を行う工程順序としているが、これとは逆に、引き回し電極形成工程(S38)の後に、接合膜形成工程(S37)を行っても構わないし、両工程を同時に行っても構わない。いずれの工程順序であっても、同一の作用効果を奏することができる。よって、必要に応じて適宜、工程順序を変更して構わない。
次に、作製した複数の圧電振動片4を、マウント工程において、それぞれ引き回し電極36、37を介してベース基板用ウエハ40の上面に接合する(S40)。まず、一対の引き回し電極36、37上にそれぞれ金等のバンプPを形成する。そして、圧電振動片4の基部12をバンプP上に載置した後、バンプPを所定温度(例えば300℃)に加熱しながら圧電振動片4をバンプPに押し付ける。これにより、圧電振動片4は、バンプPに機械的に支持されると共に、マウント電極16、17と引き回し電極36、37とが電気的に接続された状態となる。よって、この時点で圧電振動片4の一対の励振電極15は、一対の貫通電極32、33に対してそれぞれ導通した状態となる。
特に、圧電振動片4は、バンプ接合されるので、ベース基板用ウエハ40の上面から浮いた状態で支持される。
圧電振動片4のマウントが終了した後、重ね合わせ工程において、ベース基板用ウエハ40に対してリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる(S50)。具体的には、図示しない基準マーク等を指標としながら、両ウエハ40、50を正しい位置にアライメントする。これにより、マウントされた圧電振動片4が、ベース基板用ウエハ40に形成された凹部3aと両ウエハ40、50とで囲まれるキャビティC内に収容された状態となる。
重ね合わせ工程後、接合工程において、重ね合わせた2枚のウエハ40、50を図示しない陽極接合装置に入れ、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する(S60)。具体的には、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との間に所定の電圧を印加する。すると、接合膜35とリッド基板用ウエハ50との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。これにより、圧電振動片4をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合した図27に示すウエハ体60を得ることができる。なお、図27においては、図面を見易くするために、ウエハ体60を分解した状態を図示しており、ベース基板用ウエハ40から接合膜35の図示を省略している。なお、図27に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。
そして、上述した陽極接合が終了した後、外部電極形成工程において、ベース基板用ウエハ40の下面に導電性材料をパターニングして、一対の貫通電極32、33にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極38、39を複数形成する(S70)。この工程により、外部電極38、39を利用してキャビティC内に封止された圧電振動片4を動作させることができる。
次に、ウエハ体60の状態で、微調工程において、キャビティC内に封止された個々の圧電振動子1の周波数を微調整して所定の範囲内に収める(S80)。具体的に説明すると、ベース基板用ウエハ40の下面に形成された一対の外部電極38、39に電圧を印加して圧電振動片4を振動させる。そして、周波数を計測しながらリッド基板用ウエハ50を通して外部からレーザ光を照射し、重り金属膜21の微調膜21bを蒸発させる。これにより、一対の振動腕部10、11の先端側の重量が変化するので、圧電振動片4の周波数を、公称周波数の所定範囲内に収まるように微調整することができる。
周波数の微調が終了した後、切断工程において、接合されたウエハ体60を図27に示す切断線Mに沿って切断して小片化する(S90)。その結果、互いに接合されたベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に圧電振動片4が封止された、図1に示す2層構造式表面実装型の圧電振動子1を一度に複数製造することができる。
なお、切断工程(S90)を行って個々の圧電振動子1に小片化した後に、微調工程(S80)を行う工程順序でも構わない。但し、上述したように、微調工程(S80)を先に行うことで、ウエハ体60の状態で微調を行うことができるので、複数の圧電振動子1をより効率良く微調することができる。よって、スループットの向上化を図ることができるので好ましい。
その後、内部の電気特性検査を行う(S100)。即ち、圧電振動片4の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。これをもって圧電振動子1の製造が終了する。
特に、ベース基板用ウエハ40と貫通電極32、33とが平坦になっているので、貫通電極32、33に引き回し電極32、33及び外部電極38、39を密着させた状態で形成することができる。その結果、圧電振動片4と外部電極38、39との安定した導通性を確保することができ、動作性能の信頼性を向上して、高品質化を図ることができる。しかも、導電性の芯材部7を利用して貫通電極32、33を構成するので、非常に安定した導通性を得ることができる。
また、スルーホール30、31を封止する過程でベース基板用ウエハ40に孔が形成されるのを防止しているので、キャビティC内の気密が損なわれることを防ぐことができ、この点においても高品質化を図ることができる。
しかも、加圧工程において、加圧型A2によってベース基板用ウエハ40の下面側に加圧する際、ベース基板用ウエハ40の上面が、その全面で固定治具Bと土台部8とによって形成された平坦面によって支持されているので、下面側に加圧された圧力が上面に分散して作用するため、局所的に集中することがない。このため、ベース基板用ウエハ40に割れ等が発生するのを抑制することができ、この点においても高品質化を図ることができる。
また、鋲体9として、複数の芯材部7が、共通した土台部8に形成されているものを用いているので、単に複数の芯材部7に共通している土台部8をベース基板用ウエハ40に対して位置決めするだけで、スルーホール30、31内に複数の芯材部7を挿入することができる。このため、芯材部7を1つずつ位置決めせずに済み、芯材部挿入工程の作業性を向上することができる。また、芯材部7が土台部8の裏面上から延在しているので、芯材部7をスルーホール30、31内に挿入したときに土台部8の裏面をベース基板用ウエハ40の上面に接触させ、鋲体9をスルーホール30、31に引っ掛けることができる。鋲体9を利用することで、このような簡単な作業で芯材部7をスルーホール30、31内に配置することができ、この点においても作業性を向上することができる。
次に、上記実施形態に係る圧電振動子の製造方法の変形例を、図28及び図29を参照して説明する。なお、この変形例においては、上記実施形態における工程及び構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本変形例では、図28に示すように、加圧型A3として、加圧工程の際に鋲体9の芯材部7と対向する位置に、該芯材部の外径と略等しい内径に形成された芯材挿通孔A31を備えているものを用いる。図示の例では、芯材挿通孔A31は、芯材部7の土台部8からの延在方向に沿って加圧型A3を貫通するように形成されている。
本変形例に係る圧電振動子の製造方法によれば、上記実施形態に係る製造方法と同様の作用効果を奏することができる。しかも、この場合、加圧型A3として、芯材挿通孔A31を備えているものを用いているので、加圧型A3が加圧工程においてベース基板用ウエハ40を加圧する過程で、仮に芯材部7の厚みがベース基板用ウエハ40の厚みより厚くなったとしても、図29に示すように、芯材部7の先端部は芯材挿通孔A31に挿通され、加圧型A3に接触することがない。従って、芯材部7の厚みに関わらずベース基板用ウエハ40の下面側の表面が平坦になるまで、加圧型A3によってベース基板用ウエハ40を押圧して溶融することができる。
そして、この場合、研磨工程において、ベース基板用ウエハ40の下面側では、ベース基板用ウエハ40から突出している芯材部7を研削することで、ベース基板用ウエハ40と芯材部7とを平坦にすることができる。
また、本変形例に示した加圧型A3を用いることで、芯材部7の厚みL2がベース基板用ウエハ40の厚みL1より厚い鋲体9を利用しても、前述した加圧工程を実施することができる。
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図30を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器100は、図30に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、該圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
上述したように、本実施形態の発振器100によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、発振器100自体も同様に高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図31を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図31に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
上述したように、本実施形態の携帯情報機器110によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器自体も同様に高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な時計情報を表示することができる。
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図32を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図32に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。次に、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
上述したように、本実施形態の電波時計130によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、電波時計自体も高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定して高精度に時刻をカウントすることができる。
なお、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、圧電振動片4の一例として振動腕部10、11の両面に溝部18が形成された溝付きの圧電振動片4を例に挙げて説明したが、溝部18がないタイプの圧電振動片でも構わない。但し、溝部18を形成することで、一対の励振電極15に所定の電圧を印加させたときに、一対の励振電極15間における電界効率を上げることができるので、振動損失をより抑えて振動特性をさらに向上することができる。つまり、CI値(Crystal Impedance)をさらに低くすることができ、圧電振動片4の更なる高性能化を図ることができる。この点において、溝部18を形成する方が好ましい。
また、上記実施形態では、音叉型の圧電振動片4を例に挙げて説明したが、音叉型に限られるものではない。例えば、厚み滑り振動片としても構わない。
また、上記実施形態では、ベース基板2とリッド基板3とを接合膜35を介して陽極接合したが、陽極接合に限定されるものではない。但し、陽極接合することで、両基板2、3を強固に接合できるので好ましい。
また、上記実施形態では、圧電振動片4をバンプ接合したが、バンプ接合に限定されるものではない。例えば、導電性接着剤により圧電振動片4を接合しても構わない。但し、バンプ接合することで、圧電振動片4をベース基板2の上面から浮かすことができ、振動に必要な最低限の振動ギャップを自然と確保することができる。よって、バンプ接合することが好ましい。
また、上記実施形態では、ベース基板用ウエハ40(ベース基板2)及び鋲体9(貫通電極32、33)として、それぞれ熱膨張係数が略等しいものを用いたが、異なるものを用いてもよい。
また、上記実施形態では、貫通孔形成工程の際、スルーホール30、31を、下面側における開口端が上面側における開口端より大きくなるように形成したが、両側の開口端が略等しい、断面視ストレート形状のスルーホールとしても構わない。
また、上記実施形態では、セット工程の際、固定治具Bを利用しているが、固定治具Bは利用しなくても構わない。
また、上記実施形態では、鋲体9として、複数の芯材部7が、共通した土台部8に形成されているものを用いたが、土台部8の裏面上から芯材部7が一つのみ延在している鋲体を用いても構わない。なお、この鋲体を利用した上で固定治具を利用する場合には、この鋲体に対応するように固定治具における凹部の形状、位置及び数を変更すればよい。
更にまた、上記実施形態では、鋲体9として、土台部8が平面視で長方形状に形成されているものを用いたが、土台部が平面視でベース基板用ウエハ40と略等しい大きさに形成されているものを用いても構わない。この場合、鋲体の土台部に形成される芯材部を、ベース基板用ウエハ40と鋲体とを重ね合わせたときに、ベース基板用ウエハ40に形成される全てのスルーホール30、31に対向するように形成することで、芯材部挿入工程の作業性を一層向上させることができる。またこの場合、加圧工程の際、ベース基板用ウエハ40の上面の全面を、固定治具を用いずに支持することができるので、ベース基板用ウエハ40の割れを抑制した上で固定治具の配置を省略することができる。このため、セット工程の作業性を向上させることができる。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、上記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
本発明に係る圧電振動子の一実施形態を示す外観斜視図である。 図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。 図2に示すA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。 図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。 図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片の上面図である。 図5に示す圧電振動片の下面図である。 図5に示す断面矢視B−B図である。 本発明に係る圧電振動子の製造方法で利用するベース基板用ウエハの平面図及び側面図である。 本発明に係る圧電振動子の製造方法で利用する鋲体の斜視図である。 本発明に係る圧電振動子の製造方法で利用する受型及び加圧型の断面図である。 図1に示す圧電振動子を製造する際の流れを示すフローチャートである。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、リッド基板の元となるリッド基板用ウエハに複数の凹部を形成した状態を示す図である。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、ベース基板の元となるベース基板用ウエハに一対のスルーホールを形成した状態を示す図である。 図13に示すベース基板用ウエハの部分拡大斜視図である。 図14に示す状態をベース基板用ウエハの断面から見た図である。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、図13に示す状態の後、スルーホール内に鋲体の芯材部を挿入した状態を示す図である。 図16に示すベース基板用ウエハの部分拡大斜視図である。 図17に示す状態をベース基板用ウエハの断面から見た図である。 本発明に係る圧電振動子の製造方法で利用する固定治具の平面図である。 図19に示す断面矢視C−C図である。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、図18に示す状態の後、ベース基板用ウエハを受型に配置した状態を示す図である。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、図21に示す状態の後、加圧型によってベース基板用ウエハを加圧している状態を示す図である。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、図22に示す状態の後、スルーホール内にベース基板材料が流し込まれた状態を示す図である。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、図23に示す状態の後、鋲体の土台部を研磨する状態を示す図である。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、図23に示す状態の後、ベース基板用ウエハの上面に接合膜及び引き回し電極をパターニングした状態を示す図である。 図24に示す状態のベース基板用ウエハの全体図である。 図11に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、圧電振動片をキャビティ内に収容した状態でベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが陽極接合されたウエハ体の分解斜視図である。 本発明に係る一実施形態の変形例において、加圧型によってベース基板用ウエハを加圧している状態を示す図である。 図28に示す状態の後、スルーホール内にベース基板材料が流し込まれた状態を示す図である。 本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。 本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。 本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。 従来の圧電振動子の内部構造図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。 図33に示す圧電振動子の断面図である。
符号の説明
A1…受型
A11…受型の凹部
A2、A3…加圧型
A31…芯材挿通孔
B…固定治具
C…キャビティ
1…圧電振動子
2…ベース基板
3…リッド基板
4…圧電振動片
7…芯材部
8…土台部
9…鋲体
30、31…スルーホール(貫通孔)
38、39…外部電極
40…ベース基板用ウエハ
41…ベース基板材料
50…リッド基板用ウエハ
100…発振器
101…発振器の集積回路
110…携帯情報機器(電子機器)
113…電子機器の計時部
130…電波時計
131…電波時計のフィルタ部

Claims (7)

  1. ベース基板と、該ベース基板との間にキャビティが形成された状態で前記ベース基板に接合されたリッド基板と、前記キャビティ内に収納された状態で前記ベース基板の上面に接合された圧電振動片と、前記ベース基板の下面に形成された外部電極と、前記ベース基板を上下方向に貫通するように形成され、前記圧電振動片と前記外部電極とを電気的に接続する貫通電極と、を備える圧電振動子を、ベース基板用ウエハと、リッド基板用ウエハと、平板状の土台部及び該土台部の裏面上から延在する芯材部を有する導電性の鋲体を利用して一度に複数製造する方法であって、
    前記貫通電極を形成する際に、
    前記ベース基板用ウエハに、該ベース基板用ウエハを上下方向に貫通する貫通孔を複数形成する貫通孔形成工程と、
    前記鋲体の芯材部を、前記ベース基板用ウエハの一方側から前記貫通孔それぞれの内部に挿入する芯材部挿入工程と、
    前記ベース基板用ウエハに前記鋲体の土台部の裏面を当接させて前記貫通孔における前記一方側の開口端を塞ぐと共に、前記ベース基板用ウエハの他方側を加圧しながら加熱することにより前記ベース基板用ウエハの前記他方側の表面部を溶融させて液状のベース基板材料とし、該ベース基板材料を前記貫通孔の前記他方側からを前記貫通孔の内周壁と前記鋲体との隙間に流し込み、該隙間を塞ぐ溶融工程と、
    前記隙間に流し込まれた前記ベース基板材料を冷却して硬化させ、前記ベース基板用ウエハと前記鋲体とを一体的に固定させる硬化工程と、
    前記鋲体の土台部を除去すると共に前記ベース基板用ウエハと前記芯材部とを平坦にするように、前記ベース基板用ウエハ及び前記鋲体を研磨する研磨工程と、
    を備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の圧電振動子の製造方法において、
    前記貫通孔形成工程の際、前記貫通孔を、前記他方側における開口端が前記一方側における開口端より大きくなるように形成すると共に、その内径が前記他方側から前記一方側に向かうに従って漸次縮径するように形成することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の圧電振動子の製造方法であって、
    前記鋲体として、複数の前記芯材部が、共通した前記土台部に形成されているものを用いることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電振動子の製造方法において、
    前記溶融工程は、
    前記ベース基板用ウエハを嵌入可能な凹部が形成された受型の該凹部に、前記鋲体が挿入された前記ベース基板用ウエハを、該ベース基板用ウエハの前記一方側を前記受型に向けた状態で配置して、前記ベース基板用ウエハに前記鋲体の土台部の裏面を当接させるセット工程と、
    前記ベース基板用ウエハを押圧することで加圧する加圧型によって、前記受型の凹部に配置された前記ベース基板用ウエハの前記他方側の表面部を加圧する加圧工程と、
    を備えていることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の圧電振動子の製造方法において、
    前記セット工程の際、前記ベース基板用ウエハとの間に前記鋲体の土台部を挟み込んだ状態で該土台部の裏面と共に平坦面を形成する固定治具を、前記ベース基板用ウエハと前記受型との間に配置することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載の圧電振動子の製造方法において、
    前記鋲体として、前記芯材部の厚みが前記ベース基板用ウエハより薄いものを用いることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  7. 請求項4から6のいずれか1項に記載の圧電振動子の製造方法において、
    前記加圧型として、前記加圧工程の際に前記鋲体の芯材部と対向する位置に、該芯材部の外径と略等しい内径に形成された芯材挿通孔を備えているものを用いることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
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