JP5102938B2 - 燃料電池発電システムおよびその起動方法 - Google Patents
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Description
この脱硫器の作動温度は、システム起動時にシステムの各発熱部位が昇温される以前のシステム使用下限温度が下限値となり、システム起動後に積極的な加熱手段を講じない脱硫器の周辺の機器昇温により脱硫器が温度上昇した場合の温度が上限値となり、例えば家庭用燃料電池に本発明を用いる場合には、脱硫器の温度は−20〜70℃、好ましくは−10〜60℃、さらに好ましくは0〜50℃の範囲である。
図4に示すように、燃料電池発電システム1Aは、天然ガス、都市ガス、メタノール、LPG、ブタンなどの炭化水素系燃料ガスを、原燃料ガス開閉弁2を備えた原燃料ガス供給ライン3を経て供給して脱硫する脱硫器4を備えるとともに、脱硫器4で脱硫した脱硫燃料ガスを脱硫燃料ガス開閉弁5を備えた脱硫ガス供給ライン6を経て供給し、一方、水を閉止弁7を経て気化器8へ送って気化して逆止弁9を経て水蒸気を供給し、燃料ガスをCO濃度を低減した水素リッチな改質ガスに改質する燃料改質装置10[改質器(RF)/CO変成器(SH)/CO除去器(PROX)]を備えており、燃料改質装置10で得られた改質ガスを改質ガス開閉弁11を備えた改質ガス供給ライン12を経て燃料極(AN)に供給し、この改質ガスと空気極(CA)へ供給された空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電する燃料電池13を備えている。
前記燃焼用原燃料ガス供給ラインと、前記分岐部と前記脱硫器とを連結する前記原燃料ガス供給ラインとを連結するバイパスラインを設置し、前記脱硫器と前記燃焼用原燃料ガス供給ラインとの間に差圧が発生した際に、前記差圧により前記バイパスラインを通って原燃料ガスが移送されて前記差圧が解消されるように、前記バイパスラインに必要に応じて開閉できる電磁弁および前記差圧および流量を調整するレギュレータを設置した構成としたことを特徴とする。
前記燃焼用原燃料ガス供給ラインと、前記分岐部と前記脱硫器とを連結する前記原燃料ガス供給ラインとを連結するバイパスラインを設置し、前記脱硫器と前記燃焼用原燃料ガス供給ラインとの間に差圧が発生した際に、前記差圧により前記バイパスラインを通って原燃料ガスが移送されて前記差圧が解消されるように、前記バイパスラインに必要に応じて開閉できる電磁弁および前記差圧および流量を調整するレギュレータを設置した構成としたことを特徴とするものであり、
バイパスラインを設置して脱硫器と燃焼用原燃料ガス供給ラインとの間に正負にかかわらず差圧が発生した際に、例えば脱硫器の内圧が高い場合は脱硫器からバイパスラインを通って原燃料ガスが燃焼用原燃料ガス供給ライン側へ移送されて差圧が解消され、脱硫器の内圧が負圧の場合は燃焼用原燃料ガス供給ライン側からバイパスラインを通って原燃料ガスが脱硫器へ移送されて差圧が解消されように構成されているので、また、
システム起動後は燃料改質装置の内圧が0kPa(ゲージ圧)以上、あるいはさらに同内圧の時間変分(ΔP/Δt)が正になった時に燃料電池に改質ガスを供給する改質ガス供給ラインに備えた改質ガス開閉弁を開けることにより、原燃料ガス系、脱硫燃料ガス系、燃料改質装置系および燃料電池系の各装置間に差圧がなくなるように制御するので、
燃料電池発電システムの起動時に負圧になった脱硫器へ原燃料ガス供給ラインから多量の炭化水素系原燃料ガスが急激に流入してマイコンメーターが異常を検知して炭化水素系原燃料ガスの供給を停止させたり、改質反応に必要な熱量を供給するために原燃料ガスの一部を燃料改質装置の燃焼部へ供給して燃焼している炎が消えて失火したりする問題を安全に解消できるとともに、燃料電池発電システムの停止時に高圧になっている燃料改質装置から炭化水素系原燃料ガスが脱硫ガス供給ラインへ逆流してシステム制御系のマイコンに異常が発生したりするなどの問題を解消でき、燃料電池を含む周辺機器の損傷を防止できるという顕著な効果を奏する。
前記バイパスラインに電磁弁を設置し、必要に応じて開閉できるようにしたので、例えば起動時などは開けて使用するが、安定連続運転時などは閉めておけるというさらなる顕著な効果を奏する。
前記脱硫器の脱硫剤が少なくともゼオライト系脱硫剤を含む脱硫剤であることを特徴とするものであり、脱硫効果が高く安価で入手し易いというさらなる顕著な効果を奏する。
図1は、本発明の燃料電池発電システムの1例を模式的に説明する説明図である。
図1において、図4に記載の符号と同じ符号のものは、図4に記載の符号のものと同じものを示すので説明を省略する。
図1に示した本発明の燃料電池発電システム1は、燃焼用原燃料ガス供給ライン16と、原燃料ガス供給ライン3とを連結するバイパスライン30が設置されており、起動時に、脱硫器4と燃焼用原燃料ガス供給ライン16との間に差圧(正負にかかわらず)が発生した際に、この差圧によりバイパスライン30を通って原燃料ガスが移送されて差圧が解消されるように構成されている点、また原燃料ガス系、脱硫燃料ガス系、燃料改質装置系および燃料電池系の各装置間に差圧がなくなるように制御してから、好ましくは差圧が−5kPa(ゲージ圧)〜+5kPa(ゲージ圧)となるように制御してから、起動する点以外は、図4に示した本発明の燃料電池発電システム1Aと同様になっている。
(比較例1)
図4に示した燃料電池発電システム1Aを用い、原燃料ガス開閉弁2および開閉弁20を開け、開閉弁23および脱硫燃料ガス開閉弁5を閉め、原燃料ガス供給ライン3を経て、20℃で脱硫器4に原燃料ガス(LPG)を流通させた後、開閉弁20を締めて原燃料ガスの流通を停止し、6時間放置した後の脱硫器4の内圧は−50kPaであった。
その後、開閉弁20を開けて、再び原燃料ガスを常温でこの脱硫器4に流通させようとすると、圧力計19で示される原燃料ガスの圧力と、圧力計21で示される脱硫器4の圧力との間の差圧によって原燃料ガス供給系に配置されるマイコンメータのガバナによって原燃料ガスの供給が停止された。
比較例1の脱硫器4の内圧を圧力計19で示される原燃料ガスの圧力と同じにしてから、脱硫燃料ガス開閉弁5を開き、ポンプ22を作動して脱硫燃料ガスを燃料改質装置10に供給して6時間運転した。余熱によって脱硫器4の内圧が上昇するが、その後、停止し、開閉弁20および脱硫燃料ガス開閉弁5および改質ガス開閉弁11を閉めると、放熱により脱硫器4の内圧は低下し、図2に示すように約−60kPaまでになり、一方、燃料改質装置10の内圧も停止後の温度低下とともに低下し、図3に示すように約−80kPaまでになった。
比較例2における停止後、脱硫燃料ガスを燃料改質装置10に供給して燃料改質装置10の運転を再開すると、原燃料ガス供給系に配置されるマイコンメータのガバナによって原燃料ガスの供給が停止された。
図1に示した燃料電池発電システム1を用い、原燃料ガス開閉弁2および開閉弁20および開閉弁23を開け、脱硫燃料ガス開閉弁5およびバイパスライン30の電磁弁32を閉め、燃焼用原燃料ガス供給ライン16を経て原燃料ガスの一部を燃料改質装置10の燃焼部15へ供給して燃焼し、原燃料ガス供給ライン3を経て、20℃で脱硫器4に原燃料ガス(LPG)を流通させた後、開閉弁20を締めて原燃料ガスの流通を停止し、6時間放置した後の脱硫器4の内圧は−60kPaであった。
その後、開閉弁20を開け、その直後にバイパスライン30の電磁弁32を開けたところ、燃料改質装置10の燃焼部15で燃焼している炎が消えて失火した。
図1に示した燃料電池発電システム1を用い、原燃料ガス開閉弁2および開閉弁20および開閉弁23を開け、脱硫燃料ガス開閉弁5およびバイパスライン30の電磁弁32を閉め、燃焼用原燃料ガス供給ライン16を経て原燃料ガスの一部を燃料改質装置10の燃焼部15へ供給して燃焼し、原燃料ガス供給ライン3を経て、20℃で脱硫器4に原燃料ガス(LPG)を流通させ脱硫器4の内圧を圧力計19で示される原燃料ガスの元圧と同じにした後、開閉弁20を締めて原燃料ガスの流通を停止し、6時間放置した後の脱硫器4の内圧は−60kPaであった。
その後、燃料改質装置10の改質温度が原燃料ガス(LPG)の発火点(405℃)以上になった時に、開閉弁20を開け、その直後にバイパスライン30の電磁弁32を開けたところ、燃料改質装置10の燃焼部15で燃焼している炎が消えることなく、運転を継続できた。
比較例3において、実施例1と同様にして脱硫器4の内圧を圧力計19で示される原燃料ガスの元圧と同じにして、燃料改質装置10へ気化器8で水を気化させて得た水蒸気を供給するが未だ燃料改質装置10の内が負圧の状態で、脱硫燃料ガスを燃料改質装置10に供給して燃料改質装置10の運転を再開すると、原燃料ガス供給系に配置されるマイコンメータのガバナによって原燃料ガスの供給が停止された。
比較例5において、実施例1と同様にして脱硫器4の内圧を圧力計19で示される原燃料ガスの元圧と同じにして、燃料改質装置10へ気化器8で水を気化させて得た水蒸気を供給した後、燃料改質装置10の負圧が解消してから脱硫燃料ガスを燃料改質装置10に供給して燃料改質装置10の運転を再開すると、トラブルなく改質反応を開始できた。
実施例2の運転を停止後、しばらくの間は脱硫器4および燃料改質装置10の内圧が正圧であった。この状態でバイパスライン30の電磁弁32を開けて運転を再開したところ、ホットスタート時であっても燃料改質装置10の燃焼部15で燃焼している炎が消えることなく、運転をスタートできた。
実施例3において運転を停止後、しばらくの間燃料改質装置10の内圧が正圧である間に、脱硫燃料ガスを燃料改質装置10に供給して燃料改質装置10の運転を再開すると、原燃料ガス供給系に配置されるマイコンメータのガバナによって原燃料ガスの供給が停止された。
比較例6において運転を停止後、しばらくの間燃料改質装置10の内圧が正圧である間に、燃焼用原燃料ガス供給ライン16を経て原燃料ガスの一部を燃料改質装置10の燃焼部15へ供給して燃焼し、燃料改質装置10の内圧が>0kPa(ゲージ圧)となるのを検知して後、改質ガス供給ライン12の改質ガス開閉弁11の開閉を行い、さらに燃料改質装置10へ気化器8で水を気化させて得た水蒸気を供給した後は改質ガス開閉弁11を開放したままにすることで、(脱硫器4の内圧)≧(燃料改質装置10の内圧)とすることができ、その後、脱硫燃料ガスを燃料改質装置10に供給して燃料改質装置10の運転を再開すると、トラブルなく改質反応を開始できた。
システム起動後は燃料改質装置の内圧が0kPa(ゲージ圧)以上、あるいはさらに同内圧の時間変分(ΔP/Δt)が正になった時に燃料電池に改質ガスを供給する改質ガス供給ラインに備えた改質ガス開閉弁を開けることにより、原燃料ガス系、脱硫燃料ガス系、燃料改質装置系および燃料電池系の各装置間に差圧がなくなるように制御するので、
燃料電池発電システムの起動時に負圧になった脱硫器へ原燃料ガス供給ラインから多量の炭化水素系原燃料ガスが急激に流入してマイコンメーターが異常を検知して炭化水素系原燃料ガスの供給を停止させたり、改質反応に必要な熱量を供給するために原燃料ガスの一部を燃料改質装置の燃焼部へ供給して燃焼している炎が消えて失火したりする問題を安全に解消できるとともに、燃料電池発電システムの停止時に高圧になっている燃料改質装置から炭化水素系原燃料ガスが脱硫ガス供給ラインへ逆流してシステム制御系のマイコンに異常が発生したりするなどの問題を解消でき、燃料電池を含む周辺機器の損傷を防止できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
2 原燃料ガス開閉弁
3 原燃料ガス供給ライン
4 脱硫器
5 脱硫燃料ガス開閉弁
6 脱硫ガス供給ライン
8 気化器
10 燃料改質装置
11 改質ガス開閉弁
12 改質ガス供給ライン
13 燃料電池
14 分岐部
15 燃焼部(バーナ)
16 燃焼用原燃料ガス供給ライン
30 バイパスライン
31 レギュレータ
32 電磁弁
Claims (7)
- 原燃料ガス開閉弁を備えた原燃料ガス供給ラインを経て燃料ガスを供給して脱硫する少なくともゼオライト系脱硫剤を含む脱硫剤を備えた脱硫器と、この脱硫器で脱硫した脱硫燃料ガスを脱硫燃料ガス開閉弁を備えた脱硫ガス供給ラインを経て供給して水素リッチな改質ガスに改質する燃料改質装置と、前記燃料改質装置で得られた改質ガスを改質ガス開閉弁を備えた改質ガス供給ラインを経て供給して、この改質ガスと空気とを電気化学的に反応させて発電する燃料電池と、前記原燃料ガス開閉弁の下流において前記原燃料ガス供給ラインの分岐部から分岐して改質反応に必要な熱量を供給するために原燃料ガスの一部を前記燃料改質装置の燃焼部へ供給する燃焼用原燃料ガス供給ラインとを具備する燃料電池発電システムであって、
前記燃焼用原燃料ガス供給ラインと、前記分岐部と前記脱硫器とを連結する前記原燃料ガス供給ラインとを連結するバイパスラインを設置し、前記脱硫器と前記燃焼用原燃料ガス供給ラインとの間に差圧が発生した際に、前記差圧により前記バイパスラインを通って原燃料ガスが移送されて前記差圧が解消されるように、前記バイパスラインに必要に応じて開閉できる電磁弁および前記差圧および流量を調整するレギュレータを設置した構成としたことを特徴とする燃料電池発電システム。 - 前記レギュレータは、20℃の窒素ガスを用い前記差圧が50kPa(ゲージ圧)の時、0.05〜20(ノルマルリットル/分)流れる特性を有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電システム。
- 前記電磁弁の開閉は、前記燃料改質装置の燃焼部の温度が原燃料ガスの発火点以上で行うことを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電システム。
- システム起動後、前記燃料改質装置の内圧が0kPa(ゲージ圧)以上、あるいはさらに同内圧の時間変分(ΔP/Δt)が正になった時に前記燃料電池に改質ガスを供給する前記改質ガス供給ラインに備えた前記改質ガス開閉弁を開けることにより、前記原燃料ガス系、脱硫燃料ガス系、燃料改質装置系および燃料電池系の各装置間に差圧がなくなるように制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料電池発電システムの起動方法。
- 前記燃料改質装置は前記燃焼部で原燃料ガスを燃焼した後の排熱を利用して水を気化して水蒸気を発生する気化器を備え、前記原燃料ガス系、脱硫燃料ガス系、燃料改質装置系および燃料電池系の各装置間の差圧が−5kPa(ゲージ圧)〜+5kPa(ゲージ圧)となるように制御してから、前記燃料改質装置に前記水蒸気を供給して改質を行うことを特徴とする請求項4記載の燃料電池発電システムの起動方法。
- 前記制御は前記燃料改質装置に前記水蒸気を供給するまで行い、前記燃料改質装置に前記水蒸気を供給後、前記燃料改質装置の内圧が0kPa(ゲージ圧)以上であれば前記改質ガス開閉弁を常に開放することを特徴とする請求項5記載の燃料電池発電システムの起動方法。
- 前記燃料改質装置の内圧が0kPa(ゲージ圧)以上、かつ(前記脱硫器の内圧)≧(前記燃料改質装置の内圧)となった時に前記脱硫燃料ガス開閉弁を開けて脱硫燃料ガスを前記脱硫ガス供給ラインを経て前記燃料改質装置に供給することを特徴とする請求項4記載の燃料電池発電システムの起動方法。
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