JP5102237B2 - 長尺体用スプール - Google Patents

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Description

本発明は、釣糸や手芸糸、金属線などの糸条体のほか、包装用テープなどの帯状体を巻きつけておくスプールであって、円筒状の胴部を軸直交平面で分割した、一対のスプール部分からなるいわゆるセパレートタイプのスプールに関し、さらに詳しくは、両スプール部分をガタツキ無く接続して、胴部の外周面を滑らかに連続した円筒面に形成でき、この胴部に巻回された長尺体が両スプール部分間に噛み込むことを防止して、長尺体を巻装部から円滑に繰り出すことができる、長尺体用スプールに関する。
一般に、釣糸などの長尺体が巻回されるスプールとしては、例えば、円筒状の胴部とこの胴部の両側端から径方向外側へ延設した一対のフランジ部とを備え、長尺体が巻回される巻装部をこの両フランジ部間で上記の胴部の周囲に形成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
上記のスプールは、フランジ部を大径にして長尺体の収容量を大きくしようとすると、金型が大形化して安価に実施できないばかりか、上記のフランジ部は薄肉に形成されることから、この薄肉のフランジ部を大径化すると成形の際に合成樹脂が先端まで充分にまわり難く、射出成形などで一体成形することが容易でない。
そこで従来、上記の問題点を解消するため円筒状の胴部を軸直交平面で分割しておき、一方の胴部部分とその一端から延設した第1フランジ部とを含む第1スプール部分と、他方の胴部部分とその他端から延設した第2フランジ部とを含む第2スプール部分とを互いに別体に形成して、両スプール部分を上記の胴部部分で互いに接続した、セパレートタイプのスプールがある(例えば、特許文献2、段落0029参照。)。
特開2002−153189号公報 特開2002−369646号公報
上記従来のセパレートタイプのスプールは、合成樹脂で射出成型する場合にフランジ部を容易に大形化できる利点がある。しかしこの従来技術では、上記の胴部部分を互いに突き合わせて接続することから接続部でズレを生じ易く、胴部の外周面がガタついて長尺体を整列させた状態に巻回できなくなる問題がある。特に、一方のスプール部分に係合部を設け、他方のスプール部分に係止部を設けて、この係止部を係合部へ係合させることにより両スプール部分を互いに連結する場合は、両スプール部分間に隙間を生じ易く、釣糸などの長尺体がこの隙間に奥まで入り込んで噛み込みを生じ、その長尺体を円滑に繰り出せなくなる問題がある。また、上記の隙間は、長尺体が入り込むことでさらに拡がり易く、一層多量の長尺体が噛み込まれる問題もある。
本発明の技術的課題は上記の問題点を解消し、フランジ部の大形化が容易なセパレートタイプのスプールでありながら、一対のスプール部分を互いにガタツキ無く接続して胴部の外周面を滑らかに連続した円筒面に形成でき、この胴部に巻回された長尺体が両スプール部分間に噛み込むことを防止して、長尺体を巻装部から円滑に繰り出すことができる、長尺体用スプールを提供することにある。
本発明は上記の課題を解決するために、例えば、本発明の実施の形態を示す図1から図7に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち本発明は長尺体用スプールに関し、円筒状に形成された胴部(2)と、この胴部(2)の両側端から径方向外側へ延設した一対のフランジ部(3)とを備え、長尺体(5)が巻回される巻装部(4)をこの両フランジ部(3)間で上記の胴部(2)の周囲に形成し、上記の胴部(2)を軸直交平面で第1胴部部分(2a)と第2胴部部分(2b)とに分割し、この第1胴部部分(2a)とその一端から延設した第1フランジ部(3a)とを含む第1スプール部分(1a)と、第2胴部部分(2b)とその他端から延設した第2フランジ部(3b)とを含む第2スプール部分(1b)とを互いに別体に形成して、この両スプール部分(1a・1b)を上記の胴部部分(2a・2b)で互いに接続した長尺体用スプールであって、上記の第1胴部部分(2a)の接続端面の周縁に環状の凸部(8)を形成するとともに、上記の第2胴部部分(2b)のうち、上記の環状凸部(8)と対面する部位に環状の凹部(9)を形成し、上記の第1胴部部分(2a)と第2胴部部分(2b)とを互いに接続するときに、上記の環状凸部(8)が上記の環状凹部(9)へ嵌合するように構成し、少なくとも一方のフランジ部(3)の外周縁部に環状の扉部(10)を形成し、この扉部(10)の先端側を他方のフランジ部(3)側へ偏位させて、この扉部(10)の先端部をその他方のフランジ部(3)へ押圧するように当接し、上記の扉部(10)の先端側を、上記の他方のフランジ部(3)側へ偏位させた閉じ姿勢(X)とこの他方のフランジ部(3)から離隔させた開き姿勢(Y)とに切換可能に構成したたことを特徴とする。
上記の第1スプール部分と第2スプール部分とを接続する際、上記の環状凸部が上記の環状凹部に嵌合するので、第1胴部部分と第2胴部部分とはガタツキ無く接続され、胴部の外周面は滑らかに連続した円筒面に形成される。この両胴部部分間には隙間が形成され難く、この間に長尺体を噛み込まれることが防止される。また仮に両胴部部分間に僅かな隙間が形成されたとしても、長尺体は上記の環状凹部の、径方向の深さ以上に入り込むことがなく、上記の隙間は長尺体の入り込みで拡がるようなことがない。
ここで、上記の長尺体とは、上記の胴部へ捲回可能な糸条体や帯状体をいう。この糸条体とは、例えば釣糸や手芸糸などの繊維製品のほか、金属線などをも含む。また上記の帯状体とは、装飾や包装などに用いられるリボンやテープなどをいう。これらの長尺体は、太さや幅が特定の寸法のものに限定されず、合成樹脂製のほか天然繊維製や金属製、紙製などであってもよく、特定の材質に限定されない。
上記の第1胴部部分と第2胴部部分とは、接着剤等で分離不能に接続してもよいが、ねじ構造等の接続部材などで分離可能に接続してもよい。例えば、上記の一方の胴部部分に係合部を設けるとともに他方の胴部部分に係止部を設け、この係止部を上記の係合部へ係合させることにより上記の両胴部部分を互いに接続することができる。この場合、上記の環状凸部が上記の環状凹部に嵌合しているので両スプール部分間に隙間を生じ難く、しかも、接着などの処理を要することなく両胴部部分同士を簡単に接続できて好ましい。
なお、上記の係合が、一方の胴部部分を他方の胴部部分に対し軸心周りに回動させることで行われる場合、上記の環状凸部が上記の環状凹部に嵌合しているので、上記の胴部部分を案内して円滑に回動させることができ、容易に係合できるので好ましい。
上記のフランジ部は特定の形状に限定されない。しかし、少なくとも一方のフランジ部の外周縁部に環状の扉部を形成し、この扉部の先端側を他方のフランジ部側へ偏位させて、この扉部の先端部をその他方のフランジ部へ押圧するように当接してあるので、この扉部により長尺体の繰出し側端部を確実に保持することができて好ましい。
上記の扉部は特定の形状に限定されないが、この扉部の先端側、上記の他方のフランジ部側へ偏位させた閉じ姿勢とこの他方のフランジ部から離隔させた開き姿勢とに切換可能に構成してあることから、この扉部を閉じ姿勢に切換えることで長尺体の端部を確実に保持できるうえ、開き姿勢に切換えることで長尺体を巻装部へ容易に案内して捲回できるので、好ましい。
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
第1胴部部分と第2胴部部分とはガタツキ無く接続され、胴部の外周面は滑らかに連続した円筒面に形成されるので、長尺体を整列させた状態に巻回することができる。また、両胴部部分間には隙間が形成され難く、この間に長尺体を噛み込むことを防止できる。仮に両胴部部分間に僅かな隙間が形成されたとしても、長尺体は上記の環状凹部の、径方向の深さ以上に入り込むことがなく、長尺体の入り込みで上記の隙間を拡げることがないので、長尺体の入り込み量を少なく抑えることができる。これらの結果、巻装部に捲回した長尺体を、この巻装部から円滑に繰り出すことができる。
本発明の実施形態を示す、釣糸用スプールの一部破断斜視図である。 本発明の実施形態の、組付前の第1スプール部分と第2スプール部分の胴部近傍を拡大した斜視図である。 本発明の実施形態の釣糸用スプールを示し、図3(a)は巻装部近傍の断面図、図3(b)は図3(a)のB部の拡大断面図である。 本発明の変形例1を示す、扉部近傍の拡大断面図である。 本発明の変形例2を示す、巻装部近傍の拡大断面図である。 本発明の変形例3を示す、扉部近傍の拡大断面図である。 本発明の変形例4を示す、扉部近傍の拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1から図3は本発明の実施形態を示し、図1は長尺体用スプールである釣糸用スプールの一部破断斜視図、図2は組付前の第1スプール部分と第2スプール部分の、胴部近傍を拡大した斜視図、図3(a)は巻装部近傍の断面図、図3(b)は図3(a)のB部の拡大断面図である。
図1に示すように、この釣糸用スプール(1)は、円筒状に形成された胴部(2)と、この胴部(2)の両側端から径方向外側へ延設した一対のフランジ部(3)とを備える。この両フランジ部(3)間で上記の胴部(2)の周囲に巻装部(4)が形成してあり、この巻装部(4)に長尺体である釣糸(5)が巻回される。
図1と図2に示すように、上記の釣糸用スプール(1)は、上記の胴部(2)が軸方向の略中央部で直交する平面によって第1胴部部分(2a)と第2胴部部分(2b)とに2分割されており、互いに別体に形成された第1スプール部分(1a)と第2スプール部分(1b)とからなる。この第1スプール部分(1a)は、上記の第1胴部部分(2a)とその一端から延設した第1フランジ部(3a)とを含み、第2スプール部分(1b)は、上記の第2胴部部分(2b)とその一端から延設した第2フランジ部(3b)とを含む。
上記の第1胴部部分(2a)には溝状の係合部(6)が設けてあり、第2胴部部分(2b)には鉤状の係止部(7)が設けてある。この係止部(7)を上記の係合部(6)へ挿入したのち、胴部(2)の軸心周りに第2スプール部分(1b)を所定角度、例えば約35度回転させることで、この係合部(6)に係止部(7)が確りと係合される。この係合により、上記の第1胴部部分(2a)と第2胴部部分(2b)とが係脱可能に互いに接続され、第1スプール部分(1a)と第2スプール部分(1b)とが一体にされる。
上記の第1胴部部分(2a)には、接続端面の周縁に環状の凸部(8)が形成してある。また上記の第2胴部部分(2b)には、上記の環状凸部(8)が対面する部位に環状の凹部(9)が形成してある。上記の第1胴部部分(2a)と第2胴部部分(2b)とを互いに接続する際、この環状凸部(8)と環状凹部(9)とがいわゆるインロー式に嵌合する。
この嵌合により、上記の係合のために第2スプール部分(1b)を回転させる際、この第2スプール部分(1b)が軸心周りへ円滑に案内される。また上記の嵌合により、胴部(2)の外周面が滑らかに連続した円筒面に形成され、巻装部(4)に釣糸(5)を捲回する際、両胴部部分(2a・2b)間への釣糸(5)の入り込みが防止される。なお、製作時の寸法誤差などにより、仮に両胴部部分(2a・2b)間に僅かな隙間を生じた場合、その隙間に釣糸(5)が入り込む虞があるが、この釣糸(5)は、上記の環状凹部(9)の径方向の深さ以上に入り込むことがなく、釣糸(5)が仮に上記の隙間へ入り込んだとしても、その入り込み量は極めて少なく抑えられる。
上記の第1スプール部分(1a)と第2スプール部分(1b)は、ともに、例えばポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂、軟質のポリ塩化ビニル樹脂などの、柔軟な合成樹脂材料で形成してある。ただしこの柔軟材料は特定の材質のものに限定されず、後述するように、扉部(10)が所定の押圧力で他方のフランジ部(3)へ当接でき、且つ、巻回される長尺体を確りと受け止めできる硬さを備えておればよい。その柔軟材料の柔軟性は、例えばJIS K7215で規定された測定方法で、タイプDのデュロメータ硬さ(HDD)が30〜70であると好ましく、より好ましくはHDDが40〜60のものが用いられ、具体的には、例えば、タイプDのデュロメータ硬さ(HDD)が55程度のポリエチレン樹脂などが用いられる。
図1と図3に示すように、上記の各フランジ部(3a・3b)の外周縁部には、それぞれ環状の扉部(10)が形成してある。この扉部(10)の先端側は、それぞれ他のフランジ部側へ偏位させてあり、両扉部(10・10)の先端部同士を互いに当接させてある。さらにこの扉部(10)の先端は、両スプール部分(1a・1b)を互いに組み付ける前の自然な状態では、図3(b)の仮想線に示すように、他方の扉部(10)との当接位置よりも所定長さ(L)だけ外側へ延設してある。そして両スプール部分(1a・1b)を互いに組み付けることで、扉部(10)同士が互いに押圧しあうように当接してある。このとき、上記の両スプール部分(1a・1b)はともに柔軟な合成樹脂材料で形成されているので、弾性変形することで扉部(10)同士が所定の押圧力で互いに当接する。
また上記の両扉部(10・10)はそれぞれ柔軟な合成樹脂材料で形成されていることから、この扉部(10)の先端側を、図3(a)の実線に示すように他方の扉部(10)側へ偏位させた閉じ姿勢(X)と、図3(a)の仮想線に示すように、この他方の扉部(10)から離隔させた開き姿勢(Y)とに切換ることが可能である。
上記の釣糸用スプール(1)に釣糸(5)を捲回する場合、上記の両扉部(10・10)をそれぞれ開き姿勢(Y)に切換え、上記の巻装部(4)へ釣糸(5)を案内して捲回する。このとき、上記の胴部(2)はその外周面が滑らかに連続した円筒面に形成されているので、釣糸(5)は容易に整列した状態に捲回される。
上記の捲回により、上記の両フランジ部(3a・3b)はそれぞれ外側へ、即ち、フランジ間隔を拡げる方向に圧力を受ける。しかし、このフランジ部(3)を含む上記の各スプール部分(1a・1b)は柔軟な合成樹脂材料で形成されており、各フランジ部(3a・3b)の外周縁部に形成した上記の扉部(10)は、他方の扉部(10)との当接位置よりも所定長さ(L)だけ外側へ延設してある。従って、釣糸(5)の捲回の際の押圧力によりフランジ間隔が拡がったとしても、上記の両扉部(10)をそれぞれ閉じ姿勢(X)に切換えると、この扉部(10)が弾性変形し他方の扉部(10)へ所定の押圧力で当接した状態に維持される。この結果、図1に示すように、巻装部(4)から引き出された釣糸(5)の端部は、上記の両扉部(10・10)間に確りと挟持されて保持される。
上記の実施形態では、扉部の形状を略円錐面に形成して、両扉部の先端部同士を互いに当接した。しかし本発明では上記の扉部は特定の形状に限定されず、また扉部と他のフランジ部との当接位置も上記の実施形態のものに限定されない。
例えば図4に示す変形例1は、第1フランジ部(3a)に形成した扉部(10a)を、第2フランジ部(3b)に形成した扉部(10b)よりも大径にしてある。そしてこの大径の扉部(10a)の先端(11)を、小径の扉部(10b)との当接位置よりも外側へ延設し、この大径の扉部(10a)の先端(11)から内側へ偏位した位置で小径の扉部(10b)へ押圧するように当接してある。このように構成することで、両扉部(10a・10b)をそれぞれ閉じ姿勢(X)に切換えると、大径の扉部(10a)は小径の扉部(10b)の外周縁部に沿って支持される。この結果、フランジ部(3)の全周縁に渡って両扉部(10a・10b)間に隙間を生じる虞が無くなり、任意の位置で釣糸を挟持して保持することができる。
上記の実施形態では、両スプール部分をいずれも柔軟な合成樹脂材料で形成した。しかし本発明は、両スプール部分を任意の材料で形成することができ、互いに異なる材料で形成することも可能である。例えば図5に示す変形例2では、第1スプール部分(1a)は、上記の実施形態と同様、ポリプロピレン樹脂のような柔軟な合成樹脂材料で形成してあり、第1フランジ部(3a)の外周縁部に環状の扉部(10)を形成して、この扉部(10)の先端側を第2スプール部分(1b)の第2フランジ部(3b)側へ偏位させてある。これに対し、第2スプール部分(1b)は、第1スプール部分(1a)よりも硬い、例えば、ポリスチレン樹脂やポリカーボネート樹脂などで形成してある。また、第2フランジ部(3b)は平板な円板状に形成してあり、その外周縁部には扉部が形成されていない。
上記の第2スプール部分(1b)は硬質の合成樹脂材料で形成されており、可塑剤などを含まないので、内部の釣糸を充分に目視できるように透明材料で形成することができる。またこの第2スプール部分(1b)は、第2フランジ部(3b)が硬い材料で形成してあるので、釣糸用スプール(1)全体の剛性や強度を高く維持できるうえ、所定の押圧力で第2フランジ部(3b)側へ偏位した上記の扉部(10)を確りと受け止めることができ、第2フランジ部(3b)の全周縁にわたって、上記の扉部(10)との間に隙間を生じることが防止される。その他の構成は上記の第1実施形態と同様であり、同様に作用するので説明を省略する。
この変形例2においても、上記の扉部の形状は上記のものに限定されず、任意の形状に形成することができる。例えば図6に示す変形例3では、第1フランジ部(3a)を第2フランジ部(3b)よりも大径に形成してあり、この第1フランジ部(3a)の外周縁部に扉部(10)が形成してある。そしてこの扉部(10)の先端を第2フランジ部(3b)との当接位置よりも外側へ延設して、この扉部(10)の先端(11)から内側へ偏位した位置で、第2フランジ部(3b)へ押圧するように当接してある。このように構成することで、閉じ姿勢(X)に切換えた扉部(10)は、第2フランジ部(3b)の外周縁部に沿って支持され、第2フランジ部(3b)の全周縁に渡って、両扉部(10・10)間に隙間を生じる虞を一層良好に無くすことができ、任意の位置で釣糸を確実に挟持して保持できる。
図7に示す変形例4では、第2フランジ部(3b)の外周縁部に環状の扉部(10)を形成し、この扉部(10)の先端側を第1フランジ部(3a)側へ偏位させたものである。この第2フランジ部(3b)は硬い合成樹脂材料で形成してあり、開き姿勢に切換不能となっている。この場合、第1フランジ部(3a)の外周縁部に形成された扉部(10)は、第2フランジ部(3b)側へ僅かに偏位させるだけでこの第2フランジ部(3b)に当接することができるので、巻装部(4)内の容積を大きく確保できて好ましい。
上記の実施形態で説明した長尺体用スプールは、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、各部の形状や寸法、材質などをこの実施形態のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
例えば、上記の実施形態では、第1スプール部材に対し第2スプール部材を所定角度回転させることで、上記の係止部を係合部に係合した。しかし本発明では、係止部を係合部へ挿入することで回転させることなく係合させるものであってもよい。さらに、第1胴部部材と第2胴部部材とはねじ部材で固定するものであってもよく、或いは接着剤などにより分離不能に固定するものであってもよい。
また上記各実施形態では、フランジ部を均一な肉厚に形成してその外周縁部に扉部を形成した。しかし、この扉部の内周縁部に沿って環状の凹溝部を形成すると、この凹溝部でヒンジのように屈曲することで、扉部を容易に開き姿勢と閉じ姿勢とに切換えることができ、好ましい。
また、上記の実施形態では長尺体が釣糸である場合について説明したが、本発明に用いる上記の長尺体は、他の糸条体や、巻装部と同じ幅の或いはこれよりも狭い幅の帯状体等であってもよいことは、言うまでもない。
本発明の長尺体用スプールは、フランジ部の大形化が容易ないわゆるセパレートタイプのスプールでありながら、両スプール部分をガタツキ無く接続して、胴部の外周面を滑らかに連続した円筒面に形成でき、この胴部に巻回された長尺体が両スプール部分間に噛み込むことを防止して、長尺体を巻装部から円滑に繰り出すことができるので、特に釣糸用スプールに好適であるが、手芸糸や包装用テープなど、他の長尺体に用いるスプールにも好適である。
1…長尺体用スプール(釣糸用スプール)
1a…第1スプール部分
1b…第2スプール部分
2…胴部
2a…第1胴部部分
2b…第2胴部部分
3…フランジ部
3a…第1フランジ部
3b…第2フランジ部
4…巻装部
5…長尺体(釣糸)
6…係合部
7…係止部
8…環状凸部
9…環状凹部
10…扉部
X…閉じ姿勢
Y…開き姿勢

Claims (3)

  1. 円筒状に形成された胴部(2)と、この胴部(2)の両側端から径方向外側へ延設した一対のフランジ部(3)とを備え、長尺体(5)が巻回される巻装部(4)をこの両フランジ部(3)間で上記の胴部(2)の周囲に形成し、
    上記の胴部(2)を軸直交平面で第1胴部部分(2a)と第2胴部部分(2b)とに分割し、
    この第1胴部部分(2a)とその一端から延設した第1フランジ部(3a)とを含む第1スプール部分(1a)と、第2胴部部分(2b)とその他端から延設した第2フランジ部(3b)とを含む第2スプール部分(1b)とを互いに別体に形成して、この両スプール部分(1a・1b)を上記の胴部部分(2a・2b)で互いに接続した長尺体用スプールであって、
    上記の第1胴部部分(2a)の接続端面の周縁に環状の凸部(8)を形成するとともに、上記の第2胴部部分(2b)のうち、上記の環状凸部(8)と対面する部位に環状の凹部(9)を形成し、
    上記の第1胴部部分(2a)と第2胴部部分(2b)とを互いに接続するときに、上記の環状凸部(8)が上記の環状凹部(9)へ嵌合するように構成し
    少なくとも一方のフランジ部(3)の外周縁部に環状の扉部(10)を形成し、この扉部(10)の先端側を他方のフランジ部(3)側へ偏位させて、この扉部(10)の先端部をその他方のフランジ部(3)へ押圧するように当接し、
    上記の扉部(10)の先端側を、上記の他方のフランジ部(3)側へ偏位させた閉じ姿勢(X)とこの他方のフランジ部(3)から離隔させた開き姿勢(Y)とに切換可能に構成したことを特徴とする、長尺体用スプール。
  2. 上記の一方の胴部部分(2a)に係合部(6)を設けるとともに他方の胴部部分(2b)に係止部(7)を設け、この係止部(7)を上記の係合部(6)へ係合させることにより上記の両胴部部分(2a・2b)を互いに接続した、請求項1に記載の長尺体用スプール。
  3. 上記の第1胴部部分(2a)を第2胴部部分(2b)に対し軸心周りへ回動させることで、上記の係止部(7)を上記の係合部(6)へ係合させる、請求項2に記載の長尺体用スプール。
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