JP5101481B2 - 脱硝装置 - Google Patents
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Description
また、石炭焚きのボイラから排出される燃焼排ガス中には、窒素酸化物に加えて石炭灰が含まれているので、この石炭灰やダスト等の粉体が触媒に付着して脱硝性能を低下させる原因となっている。従って、従来の脱硝装置には、圧縮空気や蒸気の噴流を用いて付着した石炭灰やダスト等の粉体を吹き飛ばすため、スーツブロワと呼ばれる装置が設けられている。
このような脱硝装置10には、触媒12に付着した石炭灰やダスト等の粉体を除去するスーツブロワ14が設けられている。このスーツブロワ14は、図中に矢印15で示すように、触媒12の上方をノズル16が左右方向にスライドして移動するもので、このノズル16から圧縮空気や蒸気の噴流を触媒12に向けて噴射することにより、触媒12に付着した粉体を吹き飛ばすことができる。
1)圧縮空気や蒸気の噴流を受けて触媒が破損する。
2)圧縮空気や蒸気の噴流が当たる場所しか除煤できない。
3)脱硝装置の奥行きにわたって圧縮空気や蒸気を噴射するノズルをスライドさせる必要があるため、スーツブロワ(除煤装置)の設置及び動作に要するスペース分だけ脱硝装置の幅が大きくなる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒の破損を防止できるとともに構造を簡略化した除煤装置を備えている高信頼性を有する脱硝装置を提供することにある。
本発明に係る脱硝装置は、燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層から成る脱硝装置において、前記触媒が前記缶内に所定の間隔をもって複数段配設され、前記触媒の各段間に形成された空間に向けて音響を放射する圧縮流体を用いた音源を、前記缶の対向壁面双方に対して設けるとともに、前記缶の対向壁面間に可動の中間仕切板を設け、該中間仕切板と前記対向壁面との面間距離を可変にしたことを特徴とするものである。
また、缶の対向壁面双方に対して音源を設けることにより、音圧を効率よく増大させることができる。そして、缶の対向壁面間に可動の中間仕切板を設け、該中間仕切板と対向壁面との面間距離を可変にしたので、発信周波数を変化させて触媒の全面に効率よく音響を放射することができる。
さらに、前記缶の前後及び左右の対向壁面間に仕切板を設け、前記缶の缶前側及び缶後側に、前記仕切板で分割された空間毎に前記音源を設けることが好ましく、これにより、二方向の音圧モードを励起させてより一層効率よく除煤することができる。
<第1の実施形態>
図1に示す実施形態の脱硝装置10Aは、燃焼排ガスを缶11内に導入して触媒12において缶入口で噴霧されたアンモニア等との化学反応により燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する装置であり、触媒12が缶11内に所定の空間(間隔)13をもって複数段(図示の例では3段)に配設されている。
このような脱硝装置10Aに対し、本発明においては、ハニカム形状の触媒12に付着した粉体(石炭灰やダスト等)の除煤装置として、触媒12の各段間に形成された空間13に向けて音響を放射するため、圧縮流体を用いた音源20が設けられている。この音源20は、圧縮空気等の圧縮流体を缶11内の空間13へ向けて噴射するラッパ状の装置であり、缶11の内部には、いわゆる汽笛のような大音響が放射されることとなる。すなわち、音源20は、図示しない圧縮空気供給源に連結されており、必要な圧縮空気量の供給を受けて音響を発するようになっている。
このような音源20を設けて大音響を放射すると、缶11内には音の波によって生じる空気分子の運動エネルギーが作用する。すなわち、音源20の大音響は、図2に示すような音波を形成するものであるから、大気圧を基準として圧力が上昇した高圧部Paと、圧力が低下する低圧部Pbとが繰り返して形成される音圧分布となり、従って、音源20を除煤装置として採用することにより、音の伝播に伴って生じる圧力変動の力を粉体除去に利用することが可能になる。この場合、音源20から放射する大音響は、低い周波数と高い音圧を有するものが最も効果的に粉体を取り除くことができる。
このような音源20を利用した除煤装置は、圧縮空気や蒸気のような噴流を用いていないため、触媒12を損傷させて寿命を縮めるようなことはなく、触媒12の寿命向上に有効となる。また、音源20は、脱硝装置10Aの缶11内で移動させる必要がないため、ノズルの移動機構が不要となって構造を簡略化できる。
すなわち、上記の関係式において、発信周波数(f)または面間距離(L)を適宜調整することにより、上記関係式を満たすように設定すればよい。
なお、図示の構成例では、音源20が短辺の中央位置に1個設けられているが、たとえば適当な間隔をもって2個設置するなど、これに限定されることはない。
次に、本発明に係る脱硝装置について、第2の実施形態を図3及び図4に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、缶11の対向壁面に対して、双方に音源20が設けられている。すなわち、この場合の音源20は、矩形断面の缶11を形成する4つの壁面において短辺側の両方に設置され、いずれの音源20も対向する壁面に向けて空間13に大音響を放射する。この場合の音源20は、各段の空間13に左右一対設置されており、その設置位置はいずれも短辺の中心位置となっているが、これに限定されることはない。
また、左右一対の音源20について左右の発信周波数(f)を2次モードと同じに設定した場合の音波分布は、たとえば図4(a)に示すように、壁面及び中央部で音圧が高くなり、従って、この領域及びその周辺で触媒12に付着した粉体の除去効率が高くなる。
次に、本発明に係る脱硝装置について、第3の実施形態を図5から図7に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、上述した第2の実施形態に、缶11内の面間距離方向を二分割する中間仕切板30が設けられており中間仕切板30とその両側に存在する対向壁面との面間距離La,Lbが可変になっている。この結果、左右の音源20L、20Rから放射する音響の発信周波数(FL,FR)を変化させることにより、触媒12の全面に効率よく音響を放射することができる。
FL=(c/2La)×n
FR=(c/2Lb)×n
この関係式において、cは音速、La,Lbは中間仕切板30との面間距離、nはモード次数であり、「La+Lb=L」の条件を満たすものとする。また、この条件においては、中間仕切板30の板厚tは無視できるものとする。
また、上記の条件が「FL=FR」及び「La+Lb=L」となる場合には、たとえば図7(b)に示すように、中間仕切板30が面間距離Lの中間位置に存在していることを意味しており、大容量の脱硝反応器において空間の音圧を大きくさせる場合に選択される。
次に、本発明に係る脱硝装置について、第4の実施形態を図8及び図9に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、缶11の対向壁面間に固定の仕切板40を設け、缶11の缶前側及び缶後側の少なくとも一方に、仕切板40で分割された空間毎に音源20を設けてある。
このような構成を採用すれば、缶11の左右方向及び前後方向の二方向に音圧モードを励起させて効率よく除塵することができる。また、図示の例では缶11の缶後側のみに音源21Eを設置したが、缶前側のみに設置してもよい。
なお、仕切板40の位置は中間位置に限定されることはなく、また、音源20L,20Rの数についても図示の例に限定されることはない。
また、左右の対向壁面には、音源21L,20Rが各々2個ずつ設けられ、さらに、缶11の缶後側及び缶前側となる壁面にも、音源20E,20Fが各々2個ずつ設けられている。
このため、缶11の各空間13a,13b,13c,13dにおいては、左右方向及び前後方向の二方向に音圧モードを励起させて効率よく除塵することができる。
a)Fe=c/2Lc×n となるようにFeまたはLcを選ぶ。
b)Ff=c/2Ld×n となるようにFf またはLdを選ぶ。
c)Fe≠Ff、Lc+Ld=L2 を満たす。
d)Fe=Ff、Lc+Ld=L2 を満たした場合は、中間位置にある仕切板となる。
なお、仕切板40,41の位置は図示の中間位置に限定されることはなく、また、音源20L,20R,20E,20Fの数についても図示の例に限定されることはない。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、触媒12の段数や音源20の設置個数など、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 缶
12 触媒
13 空間
20,20L,20R,20E、20F 音源
30 中間仕切板
40,41 仕切板
Claims (4)
- 燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層から成る脱硝装置において、
前記触媒が前記缶内に所定の間隔をもって複数段配設され、前記触媒の各段間に形成された空間に向けて音響を放射する圧縮流体を用いた音源を、
前記缶の対向壁面双方に対して設けるとともに、
前記缶の対向壁面間に可動の中間仕切板を設け、該中間仕切板と前記対向壁面との面間距離を可変にしたことを特徴とする脱硝装置。 - 前記音源より放射される発信周波数(f)は、音速(c)、前記缶の面間距離(L)及びモード次数(n)の関係式「f=(c/2L)×n」を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の脱硝装置。
- 前記缶の対向壁面間に仕切板を設け、前記缶の缶前側及び缶後側の一方に、前記仕切板で分割された空間毎に前記音源を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の脱硝装置。
- 前記缶の前後及び左右の対向壁面間に仕切板を設け、前記缶の缶前側及び缶後側に、前記仕切板で分割された空間毎に前記音源を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の脱硝装置。
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