JP4067925B2 - 音波式スートブロワの運用方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は石炭焚ボイラの炉内伝熱管に堆積する燃焼灰に対し、伝熱管廻りのガス体を音波により振動させて堆積灰の除去又は灰の堆積を抑制するための音波式スートブロワとその運用方法と制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9はボイラの概略構成を示す図である。図9に示されているように火炉101の後部に設置されている後部伝熱前壁102と後部伝熱側壁103と後部伝熱隔壁104と後部伝熱後壁105によって囲まれている煙道内には横置過熱器106、横置蒸発器107、節炭器108などが所定の間隔をおいて燃焼ガスの流れ方向に沿って設置されている。
【0003】
前記横置過熱器106、横置蒸発器107及び節炭器108には、それぞれ図13の伝熱管縦断面図に示すように多数本の伝熱管109が狭い間隔をおいて水平方向に長手方向を向けて配置されており、煙道を流れる高温ガスGと伝熱管109内を流れる流体との間において熱交換が行われる。
【0004】
ところで、特に微粉炭焚ボイラにおいては、火炉内で生じる前記燃焼ガスG中に燃焼灰110等が多く含まれており、それが伝熱管109の壁面に付着、堆積する。このように伝熱管109の壁面の周囲に燃焼灰110が付着、堆積すると伝熱管109の伝熱性能が低下するため、定期的あるいは必要に応じて蒸気式スートブロワ(図示せず)を起動して蒸気を吹き付けて燃焼灰を伝熱管壁面から除去する方法がとられている。
【0005】
しかし、図13に示すように蒸気式スートブロワから噴出される水蒸気Sは燃焼ガスの流れと同じく伝熱管109の列に沿って上から下、あるいは下から上へ流れるため、上側の伝熱管109と下側の伝熱管109の間に除去されない燃焼灰の堆積部分110が残る。図13は、この状態を示しており、燃焼ガスGは伝熱管109の間を通過する時に伝熱管109の後流部でカルマン渦111を発生して流速が低下するため伝熱管109と伝熱管109の間に燃焼灰110のブリッジが残る。比較的粒径の大きい燃焼灰は燃焼ガスGとともに流れるため、伝熱管109へ付着、堆積するものは少ないが、最近は炉内低NOx燃焼を行うため粒径の小さい燃焼灰110が多くなり、それに応じて伝熱管109への付着、堆積量が多くなってきている。
【0006】
従来、炉内の伝熱管109への灰の堆積を抑制する方法として、特開平9−61088号公報に記載されているように音波式スートブロワ4は複数の伝熱管群の中で、一つおきの伝熱管群の間にある空洞部に設置されており、それぞれの空洞部に設置されている発振周波数を互いに変化させ、同時に同一周波数の音波を出す音波式スートブロワ4の台数が2台程度となるように運用されているが大容量ボイラにおいては、上記音波式スートブロワ4の台数では火炉内の気柱共振が発生した時の音圧レベルが低すぎて効果的な灰付着抑制ができないという問題があった。
【0007】
また、本出願人は国際公開第01/53754号パンフレットにおいて音波式スートブロワ4を用いてボイラ火炉内の伝熱管109へ付着、堆積する灰などの粉塵を効果的に除去する発明を開示している。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−61088に号公報
【0009】
【特許文献2】
国際公開第01/53754号パンフレット
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図10には小出力のボイラにおける音波式スートブロワ4の配置例を示し、音波式スートブロワ4が複数の伝熱管群の中で一つおきの伝熱管群の間にある空洞部の前壁と後壁の対向する位置に一対ずつ配置されている。図11には図10に示す音波式スートブロワ4の配置例での音波発振状態を示し、図12には図10の音波式スートブロワ4の配置例において、ボイラ内のガス温度が変化した状況での音波式スートブロワ4の運用状況を示す。
【0011】
このようにボイラ内のガス温度が変化しても、それぞれの音波式スートブロワ4が配置位置廻りの状況に適した気柱共振周波数の音波を発振することで、ボイラ炉内の伝熱管109への灰の堆積抑制を行うことができる。
【0012】
しかし、上記音波式スートブロワ4の火炉壁105への配置位置と運用方法は小出力の石炭焚ボイラにおいては効果的であるが、1000MW等の大容量の石炭焚ボイラ火炉においては炉内に高音圧の気柱共振現象が発生せず、灰の堆積抑制効果が低下した。
【0013】
本発明の課題は、大容量の石炭焚ボイラにおいてもボイラ火炉内に高音圧の気柱共振周波数を効率的に発生させる音波式スートブロワとその運用方法と制御装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記本発明の目的を達成するため、本発明は例えば伝熱管群などのバンクのガス上流側からガス下流側の両炉壁に対向するように音波式スートブロワを設置し、ガス上流側から下流側の全数の音波式スートブロワに対し、缶左側全数、缶右側全数を同一周波数で同時に音波を3〜15秒間発振させ同時に音波を2〜5秒間停止させる運用を行い、定期的に1台1台自動校正を行い、現状のボイラ運転状態でのボイラ全域にわたり共通する複数の気柱共振周波数を選定して最も効果的な音波を炉内へ発振することを特徴とするものである。
なお、ここで缶とはボイラ火炉のことを言う。
【0015】
請求項1記載の発明は、音波発振部と該音波発振部で発振された音波を共振、増幅するための音波増幅部を備えた音波式スートブロワをボイラ火炉内に配置される複数の伝熱管群のガス流れの上流側又は下流側の火炉の正面視左右の炉壁の対向位置又は音波を投入したい領域に対応する正面視左右の炉壁の対向位置に取付けて運用する方法であって、(1)ボイラの火炉壁の左右いずれかの側壁に設置した全数の音波式スートブロワ又は音波を投入したい領域に対応する左右いずれかの側壁に設置した全数の音波式スートブロワを複数確認された、ボイラ火炉内の全域にわたり、又は音波を投入したい火炉内の領域全域にわたり共通する気柱共振周波数の内の第1周波数の炉内気柱共振周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用し、(2)その後、火炉壁の前記側壁とは反対側の側壁に設置した全数の音波式スートブロワを前記第1周波数の炉内気柱共振周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用し、(3)次に前記複数確認された炉内気柱共振周波数の内の第2周波数の各炉内気柱共振周波数から順次最後の炉内気柱共振周波数まで運用する周波数を変化させて、前記第1周波数の炉内気柱共振周波数の前記(1)、(2)の運用と同じ手順で炉壁左右の全数の音波式スートブロワを交互に連続して運用する音波式スートブロワの運用方法である。
【0016】
このとき、個々の音波式スートブロワは、各炉内気柱共振周波数の音波の発振時間を3〜15秒間、音波の停止時間を2〜5秒間として設定回数まで音波の発振と停止を繰返して運用することがが望ましい。
【0017】
高音圧を炉内に発振した時、炉内を走る炉内気柱共振周波数における第1周波数の音波により伝熱管上に堆積していた灰の約50%が伝熱管上から落下する現象があることを工場内実験で確認した。このため、単位時間当たりの音波発振回数を高めることにより、炉内を走る第1周波数の灰除去・灰付着抑制作用を高められることが確認された。
【0018】
また、炉内は大きな構造物であるので音波発振後の残響があり、第1周波数の効果を高めるには少なくとも2〜5秒間程度の音波停止時間が必要であることが実際のボイラ火炉で行う試験(実缶試験)で確認した。音波発振時間は音波発振部に圧縮空気を供給開始後、火炉内で音圧が最大音圧に増加するまで約0.5〜0.7秒程度かかるため、1秒以上音波の発振が必要となるが、長時間の運用で圧縮空気の供給停止を行う電磁弁のオン・オフ回数が多くなる。そこで、音波式スートブロワの耐久性を高くするめに3〜15秒間の音波発振時間とすることが望ましい。
【0019】
請求項3記載の発明は、火炉内のガス温度に対応した予め求めてある1以上の気柱共振周波数をボイラ運転中に定期的にそれぞれの音波式スートブロワが自動選定する制御装置を設け、該制御装置の指令に基づき前記気柱共振周波数の音波を炉内に発振する請求項1又は2記載の音波式スートブロワの運用方法である。
【0020】
これは、石炭焚ボイラでは使用炭種が変化した時、同一ボイラ負荷でも火炉内のガス温度が変化し、さらに負荷が変化しても火炉内のガス温度が変化して時々刻々と火炉内のガス温度が変化していくため、ボイラ運転中に定期的に(例えば6〜8時間毎に)火炉内のガス温度に対応した予め求めてある1以上の気柱共振周波数をそれぞれの音波式スートブロワが自動選定するためである。
【0021】
請求項4記載の発明は、音波発振部には音波発生源となる振動板と該振動板の振動音に共鳴し、伸縮自在の共鳴筒を設け、また、音波発振周波数に対応する共鳴筒の長さを測定するストロークセンサを設け、さらに、火炉壁に音圧測定用の圧力計の近傍に取り付けた音波式スートブロワの運用方法であって、前記ストロークセンサで共鳴筒の長さ(ストローク)を測定して、該共鳴筒のストロークに対応する発振周波数を音圧測定用圧力計により計測し、音波式スートブロワの運用を最も周波数の高い状態(共鳴筒長さが最も短い状態)から周波数の低い方向に順次周波数を共鳴筒の一定ストローク毎に変化させた音波を発振させ、個々の前記周波数毎に、前記圧力計により炉内の音圧を検出して音圧が高くなっている1以上の音圧極大点の周波数を気柱共振周波数として検出し、前記気柱共振周波数の検出を火炉内のガス高温部からガス低温部にわたる全数の音波式スートブロワで実施することで全ての気柱共振周波数を検出し、前記検出された全ての気柱共振周波数を整理して、ボイラ火炉内の全域にわたり、又は音波を投入したい火炉内の領域全域にわたり共通する気柱共振周波数を高周波数から低周波数の順に、全気柱共振周波数に対応した音波を炉内に向けて順次発振する(これを自動校正と称する)請求項3記載の音波式スートブロワの運用方法である。
【0022】
請求項5記載の発明は、音波発振部には音波発生源となる振動板と該振動板の振動音に共鳴し、伸縮自在の共鳴筒を設け、また、音波発振部に音波発生源となる振動板と、該振動板の近傍に振動板の振幅を検出する振動板振動検出センサを設け、さらに、発振周波数に対応する共鳴筒の長さを測定するストロークセンサを設けた音波式スートブロワを火炉壁に取り付けて運用する方法であって、前記ストロークセンサで共鳴筒の長さを測定して、該共鳴筒のストロークに対応する発振周波数を振動板振動検出センサより求め、音波式スートブロワの運用を最も周波数の高い状態から周波数の低い方向に順次周波数を共鳴筒の一定ストローク毎に変化させた音波を発振させ、前記振動板振動検出センサにより個々の前記周波数毎の振幅を測定して,音圧が高くなっている1以上の極大点の振幅に対応する周波数を気柱共振周波数として検出し、前記気柱共振周波数の検出を火炉内のガス高温部からガス低温部にわたる全数の音波式スートブロワで実施することで全ての気柱共振周波数を検出し、前記検出された全ての気柱共振周波数を整理して、ボイラ火炉内の全域にわたり、又は音波を投入したい火炉内の領域全域にわたり共通する気柱共振周波数を高周波数から低周波数の順に、全気柱共振周波数に対応した音波を炉内に向けて順次発振する(これを自動校正と称する)請求項3記載の音波式スートブロワの運用方法である。
【0023】
請求項6記載の発明は、音波発振部と該音波発振部で発振された音波を共振、増幅するための音波増幅部を備えた音波式スートブロワをボイラ火炉内に配置される複数の伝熱管群のガス流れの上流側又は下流側の火炉の正面視左右の炉壁の対向位置又は音波を投入したい領域に対応する正面視左右の炉壁の対向位置に取付けて運用する方法であって、(1)ボイラの火炉壁の左右いずれかの側壁に設置した全数の音波式スートブロワ又は音波を投入したい領域に対応する左右いずれかの側壁に設置した全数の音波式スートブロワを複数確認された、ボイラ火炉内の全域にわたり、又は音波を投入したい火炉内の領域全域にわたり共通する気柱共振周波数の内の第1周波数の炉内気柱共振周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用し、(2)その後、火炉壁の前記側壁とは反対側の側壁に設置した全数の音波式スートブロワに前記第1周波数の炉内気柱共振周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用し、(3)次に、正面視左右の炉壁の対向する位置に設置された両側壁の全数の音波式スートブロワについて同時に前記第1周波数の炉内気柱共振周波数の音波の発振と停止を繰り返し、(4)次に、前記複数確認された炉内気柱共振周波数の内の第2周波数の炉内気柱共振周波数から順次最後の炉内気柱共振周波数まで運用する周波数を変化させて、各炉内気柱共振周波数毎に前記第1周波数の炉内気柱共振周波数の前記(1)から(3)までの運用と同じ手順で全数の音波式スートブロワで運用する音波式スートブロワの運用方法である。
【0024】
この運用方法において、正面視右側と左側の火炉壁から同時に音波を火炉内に発振する運用は、音波を投入したい領域は片側の火炉壁から音波を発振する運用に対して2倍の音波エネルギーが投入されるので炉内での音圧が上昇し、灰付着抑制効果を高めることができる。
【0025】
請求項7記載の発明は、音波発生源となる振動板を設けた音波発振部と、振動板で発振された音波を共振、増幅する外筒と内筒からなる共鳴筒と、ホーンを有する音波増幅部と、前記共鳴筒の外筒内で内筒を移動させるためのボールネジと、該ボールネジ駆動用であって、円周方向に10個以上の均等間隔に穴を設けた歯車と、該歯車の穴数をカウントして内筒移動量に対応する共鳴筒ストロークを計測するストロークセンサと、前記歯車駆動用モータと、前記共鳴筒のストローク原点としてのストローク最小点とストローク最長点としての移動限界位置にそれぞれ設けたリミットスイッチと、前記ストローク最小点にあるリミットスイッチがオンの場合に歯車の穴のカウント数をリセットする共鳴筒のストローク調整手段とを設けた音波式スートブロワである。
【0026】
請求項8記載の発明は、音波発振動作指令を出力し、ストローク最小点へ共鳴筒の内筒を移動させ、共鳴筒のストロークが最小点になった時点をゼロ点として予め求めていた炉内気柱共振周波数を発振する共鳴筒のストロークになるように共鳴筒の内筒を移動させ、その後、所定の時間間隔で音波発振部に圧縮空気の供給と停止を行うことで動作確認を行い、さらに共鳴筒のストローク、発振周波数及び炉内気柱共振周波数を識別するための一連の制御を行う制御装置を設けた請求項7記載の音波式スートブロワである。
【0027】
請求項9記載の発明は、火炉壁に1以上配置された請求項7記載の音波式スートブロワの各音波式スートブロワから火炉内に投入された音波に対する発振周波数と音圧を計測する圧力計と、各音波式スートブロワのストロークセンサにより求められる共鳴筒のストロークに対応した発振周波数を前記圧力計で計測し、該発振周波数に対応した音圧を前記圧力計で計測し、前記測定した発振周波数と音圧を解析してボイラ火炉内の気柱共振周波数を検出する周波数解析装置と、各周波数解析装置で得られた気柱共振周波数の全てを取り込んだ後、各音波式スートブロワに適した気柱共振周波数を選択して、気柱共振周波数を各音波式スートブロワから火炉にそれぞれ投入させる指令を発する中央制御装置を設けた音波式スートブロワ制御装置である(図6参照)。
【0028】
請求項11記載の発明は、火炉壁に1以上配置された請求項7記載の音波式スートブロワの各音波式スートブロワから火炉内に投入された音波の発振周波数とその振幅を検出する音波発振部に設けられた振動板振動検出センサと、該振動板振動検出センサで検出した発振周波数と該発振周波数の振幅を対応させて解析する振動板解析手段と、各音波式スートブロワのストロークセンサにより計測された共鳴筒のストロークに対応した、前記振動板解析手段から求められる発振周波数と該発振周波数の振幅を解析することでボイラ火炉内の気柱共振周波数を各音波式スートブロワ毎に検出して、全数の音波式スートブロワで得られた気柱共振周波数の全てを取り込んだ後、各音波式スートブロワに適した気柱共振周波数を選択して、該気柱共振周波数を各音波式スートブロワから火炉にそれぞれ投入させる指令を発する中央制御装置を設けた音波式スートブロワ制御装置である(図3参照)。
【0029】
請求項9、11記載の発明の中央制御装置は、ボイラ火炉内に配置される複数の伝熱管群のガス流れの上流側又は下流側の火炉の正面視左右の炉壁の対向位置又は音波を投入したい領域に対応する正面視左右の炉壁の対向位置に取付けられた全数の音波式スートブロワで検出された全ての気柱共振周波数の中からボイラ全域又は音波を投入したい領域にわたって共通の気柱共振周波数を選定し、選定した気柱共振周波数の高い周波数から低い周波数へ整理して全数の音波スートブロワに対して統一して気柱共振周波数の音波の発振と停止を繰り返す動作の指令をすることができる。
【0030】
【作用】
大容量石炭焚ボイラは炉幅寸法が容量の増加とともに拡大し、対向する音波式スートブロワの間隔が広くなる。音波は炉内において気柱共振現象で音圧を高めるが、炉幅方向については音圧は減少する特性をもつ。このように大容量石炭焚ボイラでは炉幅が広く火炉内での音圧が減少するため、音波式スートブロワの取付員数を増加させて炉内の音圧低下を防止する。このことから音波発振パターンは、例えば火炉壁の正面視左右いずれかの炉壁で音波を発振する場合には1台で音波を発振してはボイラ全体(音波を投入する領域)に伝播される音圧は低いものになってしまう。そこで前記左右いずれかの炉壁に設置された全数の音波式スートブロワでボイラ全域にわたり共通する同一の気柱共振周波数の音波を発振する等の方法で、炉内の音圧は高くして灰堆積抑制効果を高めることができる。
【0031】
炉内の音圧は高くして灰堆積抑制効果を高める現象が火炉全域で維持されるため、この間を流れる燃焼ガス中の灰は音波発振領域外へ搬送され、伝熱管上への灰の堆積は抑制される。
【0032】
工場内試験により高音圧の音波が発振された時、伝熱管上に堆積した灰は炉内気柱共振周波数の第1波の音圧により、約50%以上の灰が伝熱管上から落下する現象を確認した。このため、この第1波の高音圧の音波を実際のボイラ内に発生させるためには、例えば、正面視左側のボイラ火炉壁(缶左側ということがある)の全数の音波式スートブロワの音波発振時間を厳密に一致させて同じ周波数を発振させることで、この現象を炉内伝熱管上の堆積灰に作用させることができる。その後火炉壁の前記側壁とは反対側(缶右側)の側壁に設置した全数の音波式スートブロワを同一周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用する等の方法を用いる。
【0033】
さらに、火炉内のガス温度に対応した予め求めてある気柱共振周波数は次の(1)又は(2)の方法で求めることができる。
【0034】
(1)音波式スートブロワの運用を最も周波数の高い状態(共鳴筒長さが最も短い状態)から周波数の低い方向に順次周波数を共鳴筒の一定ストローク毎に変化させた音波を発振させ、個々の前記周波数(共鳴筒のストロークに対応する)毎に音波式スートブロワ設置部位の近傍の炉壁に取り付けた音圧測定用の圧力計により炉内の音圧を検出して音圧が高くなっている1以上のピーク点の周波数を気柱共振周波数とするとともに、各共鳴筒のストロークに対する音波運用周波数特性カーブを中央制御装置内に記録しておく。
【0035】
(2)音波式スートブロワの音波発振部の振動板の近傍に取り付けた振動板の振幅を検出する振動板振動検出センサにより音波式スートブロワが発振する個々の周波数(共鳴筒のストロークに対応する)毎の振幅を測定して,音圧が高くなっている1以上のピーク点の振幅に対応する周波数を気柱共振周波数とするとともに、各共鳴筒のストロークに対する振動板の周波数(音波運用周波数と同一値)の特性カーブを中央制御装置内に記録する。
【0036】
なお、音波式スートブロワの音波発振部には振動板の振動音に共鳴し、伸縮自在の共鳴筒が設けられているので、該共鳴筒の長さの変化量(共鳴筒のストローク)を測定するストロークセンサの信号に基づき発振周波数が検出される。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面とともに説明する。
図1はボイラ火炉内に音波式スートブロワを示したボイラ全体の側面概略図、図2は同時に発振する音波式スートブロワをボイラ火炉内の伝熱管群の近傍に配置して缶左側の音波式スートブロワを発振させた状態(図2(a))と缶右側の音波式スートブロワの発振を停止した状態(図2(b))を示す側面概略図を示す。
【0038】
図3には本発明の一実施例のボイラ火炉壁1へ配置された音波式スートブロワ4とその動作制御系統図を示し、図4には図3の音波式スートブロワ4による最高発振周波数を発振している時の共鳴筒6のストローク最小点(実線)と最低周波数発振時のストロークの最長点(点線)を説明する図を示す。
【0039】
図1ならびに図2に示すようにボイラの火炉壁1で囲まれた炉内には伝熱管群2がいくつかの部分に分かれて配置され、個々の伝熱管群2の間には点検用に人が入れる空洞部(キャビティ)3が形成されている。図1に示すように火炉壁1の前記空洞部3と対向する所定位置には一対の音波式スートブロワ4が設置されている。図2に示すように大容量ボイラにおいては缶左側と缶右側についてガス上流側からガス下流側又は音波を投入したい領域の全ての音波式スートブロワ4から同時に音波を発振させて、炉内の音圧を高く維持する。なお、缶の左、右はボイラ火炉を正面から見て左側と右側をそれぞれいうこととする。
【0040】
図3にはボイラ火炉壁に設けた個々の音波式スートブロワ4が、それぞれ単体で行う自動校正の制御系統図(図3(a))と同時に発振させる音波の時間的な発振・停止のパターン(図3(b))とストローク対周波数及び振幅の特性カーブ(図3(c))を示している。また、図3(a)の概略図で示すように、音波式スートブロワ4は振動板(図示せず)を振動させる音波発振部5と該振動板の振動による音波を共振させる共鳴筒6と該共鳴筒6に接続された増幅用ホーン7を備えている。
【0041】
図4(a)には、スライド機構を有する共鳴筒6を備えた音波式スートブロワ4の側面略図を示す。音波式スートブロワ4は防音ラギング8で覆った取付ボックス9内に配置され、圧縮空気により音波を発振する音波発振部5にはスライド式の共鳴筒6が接続し、該共鳴筒6にはホーン7が接続している。
【0042】
共鳴筒6は音波発振部5に端部を固定された内筒6aと内筒6aを内部に進退自在に摺動させる外筒6bからなり、音波発振部5の裏面側に配置されたボールネジ10を歯車11a、11bとモータ12で進退自在に駆動させることで内筒6aが外筒6b内を摺動することで共鳴筒6の長さ(ストローク)を変更することができる。音波式スートブロワ4による最高発振周波数を発振している時の共鳴筒6のストローク最小点を実線で示し、最低周波数発振時のストロークの最長点を点線で図4(a)に示す。
【0043】
また、ボイラ火炉壁の高温部の近傍にホーン7が配置されるので、ホーン7に接続した外筒6bが内筒6aに比較して膨張率が大きいため、共鳴筒6をスライド可能にするためには、内筒6aを外筒6bより、より低温部側に配置している。
【0044】
音波式スートブロワ4の発振周波数は共鳴筒6の長さを変化させることで達成されるので、個々の共鳴筒6のストロークの位置での音波発振部5の振動板(図示せず)の周波数と振幅を音波発振部5のカバー面に取り付けた振動板振動検出センサ15により検出する。
【0045】
共鳴筒6のストロークはボールネジ10の接点10aと接触する原点リミットスイッチ17の配置箇所を原点としてボールネジ10を駆動させる歯車11bの側面に図4(b)に示すように円周状に複数個設置したドリル穴19の通過をストローク検出センサ20でパルス数として検出することができ、該パルス数で共鳴筒6の長さが分る。ボールネジ10の接点10aが最長点に達すると最長点リミットスイッチ18と接触する。
【0046】
このように共鳴筒6の長さ(ストローク)に対応したパルス信号をコントローラ22へ伝送し、前記共鳴筒6のストロークの位置でのアナログ信号の周波数及び振幅を振動板解析ボード16によりデジタル信号に変換後、コントローラ22へ伝送し、コントローラ22から両デジタル信号を中央制御装置30に伝送して、中央制御装置30内でストローク対周波数及び振幅の特性カーブ(図3(c))を設ける。前記特性カーブよりストロークに対する振幅の極大点を求める方法で得るとともに、このストロークに対する周波数を求める方法で気柱共振周波数を自動的に検出し、中央制御装置30の中で個々の音波式スートブロワに対し選定された複数の気柱共振周波数を記録処理する。
【0047】
次に、振動板振動検出センサ15により、音波発振部5の振幅を測定することでボイラ火炉内の気柱共振周波数を検出することができる理由を述べる。
音波式スートブロワ4から発生した音波はボイラ火炉内の空間を伝搬、反射することによって、空間固有の要素とガス温度によってある特定の周波数で共振状態を形成する。これを気柱共振と称するが、この共振状態が発生すると音波式スートブロワ4の内部にも共振が伝搬し、振動板の振幅状態を変化させる。すなわち、音波式スートブロワ4で発振する周波数とボイラ火炉内の気柱共振周波数が一致すると、振動板の振幅は大きくなり、逆に周波数が食い違うと振動板の振幅は小さくなる。この振動板の振幅状態を音波発振部5のカバーに取付けた振動板振動検出センサ15で検出して、これを解析することにより、ボイラ火炉内の気柱共振周波数を検出することができる。
【0048】
また、音波発振の結果、振動板振動検出センサ15は振動板の振幅を検知することから、音波式スートブロワ4の健全性の確認機能を有する。すなわち、中央制御装置30において音波発振を指令することにより、該指令は中央制御装置30から現場のコントローラ22に伝わり、コントローラ22は図示しない音波発振用電磁弁の電気回路を作動させ、音波発振用電磁弁は予め加圧供給されている圧縮空気を音波発振部5に供給し、音波発振部は振動板を振動させて音波を発振し、振動板振動検出センサ15は振動板の振動状態を検出して現場制御盤をへて中央制御装置30に情報を伝達するという一連のプロセスを形成するが、そのいずれかが機能しない場合は、そのプロセスが形成されず、音波式スートブロワ4が正常でないことを中央制御装置30が認識することが可能となる。
【0049】
前記歯車11bは右回転または左回転と回転を繰り返すために機構的な誤差(あそび)により、長時間の使用後には前記パルス数と共鳴筒6のストロークの相対関係がくずれてくる。このずれを防止するために一連の運用後に共鳴筒6の長さの原点に戻り、パルス数をリセットすることで誤差を防止する。
【0050】
一連の運用、例えは自動校正で得られたボイラ全体に共通する気柱共振周波数がF1、・・・、Fnのn個得られたとすると、音波式スートブロワ4の運用は以下のように行われる。
▲1▼共鳴筒6のストロークを短くなるように歯車駆動用モータ12でボールネジ10を駆動させるて共鳴筒内筒6aを移動させてリミットスイッチ17に接点10aが接触すると駆動停止させる(原点復帰)。
▲2▼共鳴筒内筒6aが原点に復帰するとパルス数をリセットする。
▲3▼前記原点から気柱共振周波数F1に対応するパルス数を検出して内筒6aを移動させてスートブロワ4を運用する。
▲4▼気柱共振周波数がF1からF2、F2からF3、・・・Fn−1からFnに対応するパルス数を順次検出して内筒6aを移動させてスートブロワ4をそれぞれ運用する。
この時の個々の気柱共振周波数Fに対し、F1(缶左→缶右→缶右左同時→缶左→缶右→缶右左同時)→F2(缶左→缶右→缶右左同時→缶左→缶右→缶右左同時)→F3(缶左→缶右→缶右左同時→缶左→缶右→缶右左同時)→・・・Fn(缶左→缶右→缶右左同時→缶左→缶右→缶右左同時)などの態様で共鳴筒6のストロークを長くする運用であるパターン運用を行う。
▲5▼気柱共振周波数Fnでの運用が終了すると、原点に戻る。
【0051】
以上▲1▼から▲5▼の操作を繰り返して行うが、リミットスイッチ17による共鳴筒内筒6aの原点復帰の検出は戻り移動時のみに実施することで、リミットスイッチ17自身が音波式スートブロワ4に固定されているため、極めて精度の高い位置決めとなる。また、共鳴筒内筒6aの原点位置でパルス数がリセットされるので、以上の一連の運用に使用されるパルス数は誤差が少ないものになる。
なお、ストローク最長点のリミットスイッチ18は制御的に共鳴筒の長さが最も長くなる点を検出し、これ以上ストロークが長くなることを防止する機能がある。
【0052】
中央制御装置30で記録された各音波式スートブロワ4に対し選定された複数の気柱共振周波数の例を図5に示す。この記録処理により、ボイラ全域にわたる共通した気柱共振周波数を複数選定し、個々の音波式スートブロワ4に対して中央制御装置30から運用指令を送信して、運用する全ての音波式スートブロワ4を同一周波数で音波を発振することが可能となる。図5に示す例では、例えばボイラ全体にわたる共通の気柱共振周波数の中で、F1、F3、F5はボイラ全体にわたる気柱共振周波数である判断して選定するが、F2、F4、その他は特定の位置の気柱共振周波数と判断し不使用とする。
【0053】
前記気柱共振周波数を自動的に検出する動作を本明細書では自動校正ということがあるが、この自動校正を全数の音波式スートブロワ4において6〜8時間のインターバルで実施する。このように個々のボイラ運転状態(負荷、炭種)に最も適したボイラ全域にわたり複数の気柱共振周波数を自動的に選定して音波を発振することが可能となり、伝熱管109への灰堆積抑制を行うに効果的な運用が可能となる。
【0054】
また、自動校正を定期的に継続的に実施して音波式スートブロワ4の運用を継続して行い、高音圧の音波が炉内に発振されるが、その発振音は音波式スートブロワ4が防音対策が施されているため、火炉外部では各波発振時の騒音値は低く抑えられ、周りの騒音の変化により音波式スートブロワの発振騒音が変化する。そのため、音波式スートブロワ4は正常に運用されているか否かの確認(運用信頼性の確認)する方法が従来は無かった。
【0055】
しかし、前記自動校正時に個々の音波式スートブロワ4の音波発振部5の振動板の振幅が周波数別に中央制御装置30内に記録処理されているため、振動板の振幅が経時的にデジタル数値として確認できるので、振動板が正常に動作しているかを確認でき、個々の音波式スートブロワ4が正常に運用されていることが検知できる。
【0056】
このように、伝熱管109などの部材上に付着した灰等の粉塵を除去する効果または前記部材への粉塵の付着を抑制する効果の高い定在波の周波数(気柱共振周波数)が自動的に選定できた後は、図3(b)に示す音波発振の時間的な発振・停止のパターンは、発振時間が3〜15秒および停止時間が2〜5秒となるように、複数の音波式スートブロワ4において厳格に同時運用を行う。
【0057】
音波発振のオン−オフを繰り返すことにより、灰等の粉塵の堆積抑制効果が拡大する理由を次ぎに説明する。
ボイラ火炉壁の対向する壁面に一対の音波式スートブロワが設置され、炉幅方向に音波の定在波が形成される過程で一方の炉壁から音波を発振し、定在波が形成される直前(音波発振後0.5〜0.7秒時)の炉内の音圧特性をモデル的に示した図が図8(a)である。この図に示すように第1波の音波は音圧が高く、しかも空気粒子が高速で移動することにより伝熱管上の灰の堆積を抑制する効果が高い。
【0058】
その後、定常状態となり、この時の灰堆積抑制メカニズムは図8(b)の音圧分布曲線に示すように炉壁側で音圧が高くなり、音圧の低い谷が炉幅方向に形成される。音圧の谷の部分でガス粒子が大きく振動し、ここに伝熱管上の灰付着した領域があると、付着した灰は除去されるが、音圧が高い部分のガス粒子はほとんど停止状態であり、この領域にある伝熱管上の付着灰は除去できない。
【0059】
音波の定在波がボイラ火炉内で形成された後、ボイラ火炉内へ発振する音波を停止すると定在波形成のためのエネルギーの補給がなくなり、いままで高音圧であった部分が、その高音圧状態を保持できなくなり、結果としては図8(c)に示すように今までの音圧が高い部分から低い部分の方向にガス粒子の振動(移動)が始まる(今までの音圧分布を破線で示す)。そのため、今までガス粒子が大きく振動していた音圧の谷の部分に、その両側からガス粒子が移動してくる。そして、この領域のガス粒子は移動してくるガス粒子に挟まれて、ほぼ停止状態となり、その代わりに今までガス粒子の振動が無かった部分が大きく振動し、この部分で灰が伝熱管上から除去される。灰除去時は第1波による除去能力が全体の50%以上を示し、その後定常的な定在波による除去能力は第1周波数に対し低い状況である。
【0060】
このように音波発振のオン−オフにより堆積抑制効果は拡大するが、炉幅方向に音圧は減少するため炉壁の一方からのみの音波の発振では、一方向側のある限定された範囲のみの灰除去となる。このため、片側の炉壁からのみの音波発振ではなく、両側の炉壁にある音波式スートブロワ4を交互に音波発振のオン−オフを繰り返すことにより、火炉内の炉幅方向でのガス粒子の強い振動範囲を拡大できる。前記オン−オフの繰り返し時間を短くするにつれて単位時間当たりの音波による振動エネルギーを増加でき、その分、灰等の粉塵除去・付着抑制能力を高めることができる。また、さらに粉塵除去・付着抑制範囲を増加させるためには、共振次数を変化させ、言い換えれば定在波の周波数を複数使用することで、灰除去能力を強化できる。
【0061】
図6には本発明の他の実施例のボイラ火炉壁1へ配置された音波式スートブロワ4とその動作制御系統図を示す。この方法は音波式スートブロワ4を取付けている炉壁1の近傍に複数の炉内圧力検出座23、24を設置し、当該検出座23、24の先端に圧力計25、26を設置して圧力計25、26の信号と中央制御装置30より個々の音波式スートブロワ4の運用ストローク信号を周波数解析装置27に取り込んで、共鳴筒ストロークと周波数、ストロークと音圧特性を解析することで、炉内の音波の音圧と周波数(気柱共振周波数を含む)を認識する方法である。
【0062】
なお、圧力計25、26からは音波情報のアナログ信号が得られ、この信号は図7に示すように音波の振幅と周波数が含まれるので、このアナログ信号は周波数解析装置27でデジタル信号に高速変換される。
【0063】
このように個々の音波式スートブロワ4のストロークと周波数音圧特性(気柱共振周波数含む)は周波数解析装置27で求め、求められた特性は中央制御装置30内に伝送され、個々の音波式スートブロワ4のストロークと周波数音圧特性を記録するとともに、ボイラ全域にわたり共通する気柱共振周波数を選定して自動的に運用周波数の指令(自動校正)を出す。また、他の運用は図3、図4に示す実施例と同様である。
【0064】
なお、図6に示す実施例では、石炭焚ボイラの場合は炉内圧力検出座23、24の取出口が灰の堆積で詰まることが生じるため定期的にエアブローを実施する等の検出座23、24のメンテナンスを必要とする。
【0065】
【発明の効果】
大容量の石炭焚ボイラに対し、音波式スートブロワの取付条件、個々の音波式スートブロワの効果的な運用法、さらに石炭焚ボイラの運用負荷変化、運用する炭種の変化によるボイラ特性変化に自動で柔軟に対処できる自動校正法を確立したので、大容量石炭焚ボイラの伝熱面への灰堆積を抑制でき、ボイラ出口ガス温度の低下、蒸気式スートブロワの運用頻度の低下、さらにボイラ出口蒸気温度の外乱の低下などの効果があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の音波式スートブロワのボイラ火炉壁への設置概略図である。
【図2】 図1の音波式スートブロワの音波発振パターンを説明する図である。
【図3】 本発明の実施の形態のボイラ火炉壁へ設置した音波式スートブロワとその制御系統図である。
【図4】 本発明の実施の形態のボイラ火炉壁へ設置した音波式スートブロワの構造図である。
【図5】 図3の実施の形態の中央制御装置で記録された各音波式スートブロワに対し選定された複数の気柱共振周波数の例を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態のボイラ火炉壁へ設置した音波式スートブロワとその制御系統図である。
【図7】 図6の実施の形態での圧力計で検出される炉内での音波の計測値の模式図である。
【図8】 本発明の実施の形態のボイラ火炉壁へ設置した音波式スートブロワのオン・オフ制御による運転方法の灰の堆積抑制機能を説明する図である。
【図9】 ボイラの概略構成を示す図である。
【図10】 低出力のボイラにおける音波式スートブロワ4の配置例を示す図である。
【図11】 図10に示す音波式スートブロワ4の配置例での音波発振状態を示す図である。
【図12】 図10に示す音波式スートブロワ4の配置例での取付ガス温度に対応した気柱共振周波数の音波発振状態を示す図である。
【図13】 蒸気式スートブロワを用いる炉内の伝熱管へ灰が付着、堆積する様子を説明する伝熱管断面方向の図である。
【符号の説明】
1 ボイラ火炉壁 2 伝熱管群
3 空洞部 4 音波式スートブロワ
5 音波発振部 6 共鳴筒
6a 内筒 6b 外筒
7 ホーン 8 防音ラギング
9 取付ボックス 10 ボールネジ
11a、11b 歯車 12 モータ
15 振動板振動検出センサ
16 振動板解析ボード 17 原点リミットスイッチ
18 最長点リミットスイッチ
19 ドリル穴 20 ストローク検出センサ
22 コントローラ 30 中央制御装置

Claims (12)

  1. 音波発振部と該音波発振部で発振された音波を共振、増幅するための音波増幅部を備えた音波式スートブロワをボイラ火炉内に配置される複数の伝熱管群のガス流れの上流側又は下流側の火炉の正面視左右の炉壁の対向位置又は音波を投入したい領域に対応する正面視左右の炉壁の対向位置に取付けて運用する方法であって、
    (1)ボイラの火炉壁の左右いずれかの側壁に設置した全数の音波式スートブロワ又は音波を投入したい領域に対応する左右いずれかの側壁に設置した全数の音波式スートブロワを複数確認された、ボイラ火炉内の全域にわたり、又は音波を投入したい火炉内の領域全域にわたり共通する気柱共振周波数の内の第1周波数の炉内気柱共振周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用し、
    (2)その後、火炉壁の前記側壁とは反対側の側壁に設置した全数の音波式スートブロワを前記第1周波数の炉内気柱共振周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用し、
    (3)次に前記複数確認された炉内気柱共振周波数の内の第2周波数の各炉内気柱共振周波数から順次最後の炉内気柱共振周波数まで運用する周波数を変化させて、前記第1周波数の炉内気柱共振周波数の前記(1)、(2)の運用と同じ手順で炉壁左右の全数の音波式スートブロワを交互に連続して運用する
    ことを特徴とする音波式スートブロワの運用方法。
  2. 個々の音波式スートブロワは、各炉内気柱共振周波数の音波の発振時間を3〜15秒間、音波の停止時間を2〜5秒間として設定回数まで音波の発振と停止を繰返して運用することを特徴とする請求項1記載の音波式スートブロワの運用方法。
  3. 火炉内のガス温度に対応した予め求めてある1以上の気柱共振周波数をボイラ運転中に定期的にそれぞれの音波式スートブロワが自動選定する制御装置を設け、該制御装置の指令に基づき前記気柱共振周波数の音波を炉内に発振することを特徴とする請求項1又は2記載の音波式スートブロワの運用方法。
  4. 音波発振部には音波発生源となる振動板と該振動板の振動音に共鳴し、伸縮自在の共鳴筒を設け、また、音波発振周波数に対応する共鳴筒の長さを測定するストロークセンサを設け、さらに、火炉壁に音圧測定用の圧力計の近傍に取り付けた音波式スートブロワの運用方法であって、
    前記ストロークセンサで共鳴筒の長さであるストロークを測定して、該共鳴筒のストロークに対応する発振周波数を前記圧力計から求め、
    音波式スートブロワの運用を最も周波数の高い状態から周波数の低い方向に順次周波数を共鳴筒の一定ストローク毎に変化させた音波を発振させ、個々の前記周波数毎に前記圧力計から炉内の音圧を検出して音圧が高くなっている1以上の音圧極大点の周波数を気柱共振周波数として検出し、
    前記気柱共振周波数の検出を火炉内のガス高温部からガス低温部にわたる全数の音波式スートブロワで実施することで全ての気柱共振周波数を検出し、
    前記検出された全ての気柱共振周波数を整理して、ボイラ火炉内の全域にわたり、又は音波を投入したい火炉内の領域全域にわたり共通する気柱共振周波数を高周波数から低周波数の順に、全気柱共振周波数に対応した音波を炉内に向けて順次発振する
    ことを特徴とする請求項3記載の音波式スートブロワの運用方法。
  5. 音波発振部には音波発生源となる振動板と該振動板の振動音に共鳴し、伸縮自在の共鳴筒を設け、また、音波発振部に音波発生源となる振動板と、該振動板の近傍に振動板の振幅を検出する振動板振動検出センサを設け、さらに、発振周波数に対応する共鳴筒の長さを測定するストロークセンサを設けた音波式スートブロワを火炉壁に取り付けて運用する方法であって、
    前記ストロークセンサで共鳴筒の長さを測定して、該共鳴筒のストロークに対応する発振周波数を前記振動板振動検出センサで求め、
    音波式スートブロワの運用を最も周波数の高い状態から周波数の低い方向に順次周波数を共鳴筒の一定ストローク毎に変化させた音波を発振させ、前記振動板振動検出センサにより個々の前記周波数毎の振幅を測定して、音圧が高くなっている1以上の極大点の振幅に対応する周波数を気柱共振周波数として検出し、
    前記気柱共振周波数の検出を火炉内のガス高温部からガス低温部にわたる全数の音波式スートブロワで実施することで全ての気柱共振周波数を検出し、
    前記検出された全ての気柱共振周波数を整理して、ボイラ火炉内の全域にわたり、又は音波を投入したい火炉内の領域全域にわたり共通する気柱共振周波数を高周波数から低周波数の順に、全気柱共振周波数に対応した音波を炉内に向けて順次発振する
    ことを特徴とする請求項3記載の音波式スートブロワの運用方法。
  6. 音波発振部と該音波発振部で発振された音波を共振、増幅するための音波増幅部を備えた音波式スートブロワをボイラ火炉内に配置される複数の伝熱管群のガス流れの上流側又は下流側の火炉の正面視左右の炉壁の対向位置又は音波を投入したい領域に対応する正面視左右の炉壁の対向位置に取付けて運用する方法であって、
    (1)ボイラの火炉壁の左右いずれかの側壁に設置した全数の音波式スートブロワ又は音波を投入したい領域に対応する左右いずれかの側壁に設置した全数の音波式スートブロワを複数確認された、ボイラ火炉内の全域にわたり、又は音波を投入したい火炉内の領域全域にわたり共通する気柱共振周波数の内の第1周波数の炉内気柱共振周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用し、
    (2)その後、火炉壁の前記側壁とは反対側の側壁に設置した全数の音波式スートブロワに前記第1周波数の炉内気柱共振周波数で同時に音波の発振と停止を設定回数だけ繰り返して運用し、
    (3)次に、正面視左右の炉壁の対向する位置に設置された両側壁の全数の音波式スートブロワについて同時に前記第1周波数の炉内気柱共振周波数の音波の発振と停止を繰り返し、
    (4)次に、前記複数確認された炉内気柱共振周波数の内の第2周波数の炉内気柱共振周波数から順次最後の炉内気柱共振周波数まで運用する周波数を変化させて、各炉内気柱共振周波数毎に前記第1周波数の炉内気柱共振周波数の前記(1)から(3)までの運用と同じ手順で全数の音波式スートブロワで運用する
    ことを特徴とする音波式スートブロワの運用方法。
  7. 音波発生源となる振動板を設けた音波発振部と、
    振動板で発振された音波を共振、増幅する外筒と内筒からなる共鳴筒と、
    ホーンを有する音波増幅部と、
    前記共鳴筒の外筒内で内筒を移動させるためのボールネジと、
    該ボールネジ駆動用であって、円周方向に10個以上の均等間隔に穴を設けた歯車と、
    該歯車の穴数をカウントして内筒移動量に対応する共鳴筒ストロークを計測するストロークセンサと、
    前記歯車駆動用モータと、
    前記共鳴筒のストローク原点としてのストローク最小点とストローク最長点としての移動限界位置にそれぞれ設けたリミットスイッチと、
    前記ストローク最小点にあるリミットスイッチがオンの場合に歯車の穴のカウント数をリセットする共鳴筒のストローク調整手段と
    を設けたことを特徴とする音波式スートブロワ。
  8. 音波発振動作指令を出力し、ストローク最小点へ共鳴筒の内筒を移動させ、共鳴筒のストロークが最小点になった時点をゼロ点として予め求めていた炉内気柱共振周波数を発振する共鳴筒のストロークになるように共鳴筒の内筒を移動させ、その後、所定の時間間隔で音波発振部に圧縮空気の供給と停止を行う一連の制御を行う制御装置を設けたことを特徴とする請求項7記載の音波式スートブロワ。
  9. 火炉壁に1以上配置された請求項7記載の音波式スートブロワの各音波式スートブロワから火炉内に投入された音波に対する発振周波数と発振周波数の音圧を計測する圧力計と、
    各音波式スートブロワのストロークセンサにより求められる共鳴筒のストロークに対応した発振周波数を前記圧力計で計測し、該発振周波数に対応した音圧を前記圧力計で計測し、前記測定した発振周波数と音圧を解析してボイラ火炉内の気柱共振周波数を検出する周波数解析装置と、
    各周波数解析装置で得られた気柱共振周波数の全てを取り込んだ後、各音波式スートブロワに適した気柱共振周波数を選択して、気柱共振周波数を各音波式スートブロワから火炉にそれぞれ投入させる指令を発する中央制御装置
    を設けたことを特徴とする音波式スートブロワ制御装置。
  10. 中央制御装置は、ボイラ火炉内に配置される複数の伝熱管群のガス流れの上流側又は下流側の火炉の正面視左右の炉壁の対向位置又は音波を投入したい領域に対応する正面視左右の炉壁の対向位置に取付けられた全数の音波式スートブロワで検出された全ての気柱共振周波数の中からボイラ全域又は音波を投入したい領域にわたって共通の気柱共振周波数を選定し、選定した気柱共振周波数の高い周波数から低い周波数へ整理して全数の音波式スートブロワに対して統一して気柱共振周波数の音波の発振と停止を繰り返す動作の指令をすることを特徴とする請求項9記載の音波式スートブロワ制御装置。
  11. 火炉壁に1以上配置された請求項7記載の音波式スートブロワの各音波式スートブロワから火炉内に投入された音波の発振周波数とその振幅を検出する音波発振部に設けられた振動板振動検出センサと、
    該振動板振動検出センサで検出した発振周波数と該発振周波数の振幅を対応させて解析する振動板解析手段と、
    各音波式スートブロワのストロークセンサにより計測された共鳴筒のストロークに対応した、前記振動板解析手段から求められる発振周波数と該発振周波数の振幅を解析することでボイラ火炉内の気柱共振周波数を各音波式スートブロワ毎に検出して、全数の音波式スートブロワで得られた気柱共振周波数の全てを取り込んだ後、各音波式スートブロワに適した気柱共振周波数を選択して、該気柱共振周波数を各音波式スートブロワから火炉にそれぞれ投入させる指令を発する中央制御装置
    を設けたことを特徴とする音波式スートブロワ制御装置。
  12. 中央制御装置は、ボイラ火炉内に配置される複数の伝熱管群のガス流れの上流側又は下流側の火炉の正面視左右の炉壁の対向位置又は音波を投入したい領域に対応する正面視左右の炉壁の対向位置に取付けられた全数の音波式スートブロワで検出された全ての気柱共振周波数の中からボイラ全域又は音波を投入したい領域にわたって共通の気柱共振周波数を選定し、選定した気柱共振周波数の高い周波数から低い周波数へ整理して全数の音波スートブロワに対して統一して気柱共振周波数の音波の発振と停止を繰り返す動作の指令をすることを特徴とする請求項11記載の音波式スートブロワ制御装置。
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