JP5101374B2 - カルシウムコンプレックスグリース - Google Patents
カルシウムコンプレックスグリース Download PDFInfo
- Publication number
- JP5101374B2 JP5101374B2 JP2008095900A JP2008095900A JP5101374B2 JP 5101374 B2 JP5101374 B2 JP 5101374B2 JP 2008095900 A JP2008095900 A JP 2008095900A JP 2008095900 A JP2008095900 A JP 2008095900A JP 5101374 B2 JP5101374 B2 JP 5101374B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- calcium
- acid
- grease
- minutes
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Lubricants (AREA)
Description
しかしながら、これらの公報に開示された主にリチウムせっけんを増ちょう剤とするグリース組成物は、安全性や環境負荷の点で十分なものとはいえなかった。
カルシウムせっけんを増ちょう剤とするグリースであり、安全性が高く環境負荷が少ない。加えて、滴点が270℃以上であるので、耐熱性に優れ、高寿命性であって、好適なちょう度を有するグリースである。
そして、二塩基酸にテレフタル酸を含み、脂肪酸にステアリン酸を含むカルシウムコンプレックスグリースとすることができる。テレフタル酸とステアリン酸とを用いるため、安価に製造することができる。
基油に、水酸化カルシウムなどのカルシウム基材、ステアリン酸などの脂肪酸を50℃以下で混合した混合液を加熱し、液温を115℃〜130℃としてテレフタル酸などの二塩基酸を加え、さらに液温の最高温度を180℃〜210℃として加熱処理した後、冷却することとしたため、カルシウムせっけんを増ちょう剤としながら、滴点が270℃以上、好ましくは300℃以上で好適なちょう度を有するカルシウムコンプレックスグリースを得ることができる。
また、本発明のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法によれば、滴点が270℃以上、好ましくは300℃以上である高滴点のカルシウムコンプレックスグリースを製造することができる。そのため、従来耐熱性の問題からリチウムせっけんグリースしか用いられていなかった用途に代えて用いることができ、また、安価に製造することができる。
得られたグリース中の増ちょう剤量としては、グリース中に2重量%〜40重量%、好ましくは3重量%〜20重量%配合する。配合量が少なすぎると所望のちょう度が得られず、配合量が多すぎるとグリースの潤滑性が低下する。
二塩基酸には、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、スチルベンジカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられ、テレフタル酸を用いることは好ましい。
脂肪酸としては、油脂やそれを加水分解してグリセリンを除いた粗製脂肪酸、ステアリン酸等のモノカルボン酸や、12−ヒドロキシステアリン酸等のモノヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。脂肪酸の中では、炭素数12〜24の脂肪酸を好適に用いることができ、これらは、単独でも組み合わせても用いることができる。
この二塩基酸の配合量は、グリース中0.3重量%〜21重量%、好ましくは3重量%〜9重量%である。配合量が多すぎても少なすぎても所望のグリースが得られない。
まず、パラフィン系鉱油などの基油と、水酸化カルシウムなどのカルシウム基材、ステアリン酸や12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸を50℃以下、通常は室温で反応槽に投入、混合する。混合液は加熱して、液温が115℃〜130℃になった段階でテレフタル酸などの二塩基酸を投入する。
加熱昇温過程の125℃程度で脂肪酸とカルシウム基材とがまずけん化されて第1次脱水が行われ、二塩基酸の投入後150℃程度でさらに二塩基酸とけん化されて第2次脱水が行われる。
そしてさらに加熱昇温させて、液温の最高温度を180℃〜210℃、好ましくは180℃〜190℃として加熱処理をする。ここでいう加熱処理とは、この最高温度で混合液を所定時間保持して、脱水を完全に行う処理を意味する。180℃〜190℃を好ましい範囲としたのは、190℃を超えると木目が悪くなり、柔らかめのグリースとなってしまうからである。
最高処理温度での保持時間は5分〜30分であり、5分〜20分であることが好ましい。30分より長いとちょう度が大きくなり軟らかなグリースとなる。また、5分より短いと脱水が不十分となり滴点が低下するおそれがある。5分〜20分であると、ちょう度の好適性だけでなく、脱水が好適に行われ製品寿命の長いカルシウムコンプレックスグリースが得られる。
なお、ここでいう保持は、145℃〜170℃の温度範囲内での保持と異なり、最高処理温度で一定時間維持することをいう。
冷却は、基材添加前の最高温度から160℃以下まで30分以内に下げることで行う急冷をすることが好ましい。例えば、混合液に対して65%程度の基油を室温で加えれば、この範囲の冷却速度となり急冷することができる。急冷することで、滴点を高めることができる。なお、160℃程度に加温した基油を、混合液に対して65%程度添加すると、この範囲から外れた徐冷となる。
以下の表1、表2で示す基油、カルシウム基材、増ちょう剤等のグリース原料を同表に示す条件で反応槽に投入して、同表で示す試料1〜試料12のグリースを製造した(例1〜例12)。
例7、例8、例10を除き、他の例は室温(25℃)にて、表中「初期材料」として記した基油1、水酸化カルシウム(粉末)、ステアリン酸(粉末)を反応槽に投入し、加熱・攪拌しながら昇温させた。また、例10では、増ちょう剤原料であるステアリン酸に代えて増ちょう剤自体であるステアリン酸カルシウムの粉末を投入した。
テレフタル酸の形状は、“荒い”、“通常”、“微粉砕”の3種類を用い、“荒い”テレフタル酸は、約2mm角の塊状に粉砕したものであり、“通常”とあるのは、平均粒径が0.2mmの塊状のものであり、“微粉砕”とあるのは10μm×40μm程度の棒状のものである。
例6では、テレフタル酸などの二塩基酸を加えなかった。例9では、他の例で増ちょう剤の原料となるテレフタル酸を投入しているのに代えて、既に増ちょう剤であるテレフタル酸カルシウムを添加した。テレフタル酸カルシウムの“微粉砕”形状もテレフタル酸の“微粉砕”形状と同じである。
そして、表に記した「最高処理温度」に到達した段階で、表中の「最高処理温度での保持時間」だけ保持した。例5のみ保持時間を長めの30分とし、それ以外の例では保持時間を通常の20分とした。
「外観」は、光学顕微鏡にて60倍で観察した場合に、基油の分離や増ちょう剤のかたまりなどと思われる部分の存在があって不均一に見えるときを「×」、これらの分離が見られず均一に見える場合を「○」で示す。
「木目」は、木目が細かく滑らかで優れている場合に「○」とし、木目が粗く優れていない場合に「×」で示す。なお、木目とは触れた際のなめらかさをいうものである。
「滴点」は、JISK−2220に準拠して測定した温度を記す。滴点の評価は、高温でも耐性があるように、270℃以上の場合を「○」、300℃以上の場合を「◎」、270℃未満の場合を「×」とする。
「ちょう度」も、JISK−2220に準拠して測定した数値を記す。なお、今回の例で製造したグリースはちょう度範囲が265〜295を好ましい範囲に設定するものであるが、この範囲外では使えないというものではない。
基油1は、パラフィン系鉱油(40℃動粘度:94mm2/s)であり、基油2は、パラフィン系鉱油(40℃動粘度:440mm2/s)である。また、表中の原料の配合量(数字)は重量部を示す。
なお、表中に「製造上の特徴」の項目を設け、各例に基づく試料が製造上どのような特徴をもって作られたものであるかを明示した。
例1〜例12で記した試料1〜試料12のグリースについて、加速酸化試験とベアリング寿命試験を行った。
加速酸化試験にて酸化寿命を測定したが試料1、試料2、試料4、試料5、試料7、試料11、試料12の各カルシウムコンプレックスグリースは、従来のリチウムせっけんを増ちょう剤とするグリースに比べと同等以上の酸化寿命を示した。
また、ベアリング寿命試験を行った結果も、試料1、試料2、試料4、試料5、試料7、試料11、試料12の各カルシウムコンプレックスグリースは、従来のリチウムせっけんを増ちょう剤とするグリースに比べと同等以上のベアリング寿命を示した。
例1〜例3を比較すると、テレフタル酸の形状、大きさは、「通常」または「微粉末」でないと滴点の高い優れたカルシウムコンプレックスグリースは得られないことがわかる。また、微粉末を用いれば木目の良いカルシウムコンプレックスグリースが得られたが、通常のものでは、木目の良くないカルシウムコンプレックスグリースしか得られないことがわかる。
例1や例4、例7から「最高処理温度」は180℃〜210℃で、滴点に優れたカルシウムコンプレックスグリースが得られたが、その「最高処理温度での保持時間」は例5から長い方が滴点が上昇することがわかる。ただ、最高処理温度が210℃となった試料4では木目の良いグリースが得られず、またちょう度も柔らかめとなることから、例1や例7のように最高処理温度は180℃〜190℃の方がより好ましいことがわかる。
例11からは、昇温過程で160℃でしばらく保持すると滴点が300℃以上に上がり、木目が細かく、ちょう度も適当な優れたグリースが得られることがわかる。
また、例12から、急冷することで滴点が300℃近くまで上がり好ましいことがわかる。
例7と例8、例1から、カルシウム基材である水酸化カルシウムの混合時の温度は、室温または50℃までであれば、所望のカルシウムコンプレックスグリースが得られるが、70℃まで昇温してしまうと所望のカルシウムコンプレックスグリースが得られないことがわかる。
Claims (6)
- 平均粒径が0.5mm以下である二塩基酸と脂肪酸のカルシウム塩とでなるカルシウムせっけんを増ちょう剤とし、滴点が270℃以上であり、リチウムせっけんを含まないカルシウムコンプレックスグリース。
- 二塩基酸にテレフタル酸を含み、脂肪酸にステアリン酸を含む請求項1記載のカルシウムコンプレックスグリース。
- 基油に、カルシウム基材としての水酸化カルシウム、ステアリン酸を50℃以下で混合した混合液を加熱し、液温を115℃〜130℃として平均粒径が0.5mm以下であるテレフタル酸を加え、さらに液温の最高温度を180℃〜210℃として加熱処理した後、冷却する請求項1または請求項2記載のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法。
- 二塩基酸の添加後加熱し、液温が145℃〜170℃の範囲内で30分〜60分の間保持する工程を設ける請求項3記載のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法。
- 冷却工程で、液温を前記最高温度から160℃以下まで30分以内に冷却する請求項3または請求項4記載のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法。
- 最高温度での保持時間を5分〜30分とする請求項3〜請求項5何れか1項記載のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008095900A JP5101374B2 (ja) | 2008-04-02 | 2008-04-02 | カルシウムコンプレックスグリース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008095900A JP5101374B2 (ja) | 2008-04-02 | 2008-04-02 | カルシウムコンプレックスグリース |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009249419A JP2009249419A (ja) | 2009-10-29 |
JP5101374B2 true JP5101374B2 (ja) | 2012-12-19 |
Family
ID=41310427
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008095900A Expired - Fee Related JP5101374B2 (ja) | 2008-04-02 | 2008-04-02 | カルシウムコンプレックスグリース |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5101374B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11473032B2 (en) | 2010-02-02 | 2022-10-18 | Fuchs Petrolub Se | Constant velocity joint having a boot |
DE102010006745A1 (de) * | 2010-02-02 | 2011-08-04 | Fuchs Petrolub AG, 68169 | Schmierfette enthaltend Ligninsulfonat, deren Herstellung und Verwendung |
US9290715B2 (en) | 2011-11-28 | 2016-03-22 | Shell Oil Company | Grease composition |
WO2017112113A1 (en) | 2015-12-21 | 2017-06-29 | Henkel Ag & Co. Kgaa | Metalworking fluid |
WO2018235663A1 (ja) * | 2017-06-19 | 2018-12-27 | 日本電気硝子株式会社 | 転動装置及び球状ガラス |
JP6895863B2 (ja) * | 2017-10-02 | 2021-06-30 | シェルルブリカンツジャパン株式会社 | グリース組成物 |
CN109694766B (zh) * | 2017-10-23 | 2022-06-28 | 中国石油化工股份有限公司 | 润滑脂组合物及其制备方法 |
CN113122354B (zh) * | 2021-04-20 | 2023-08-15 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种复合钙基润滑脂及其制备方法 |
CN115820321B (zh) * | 2022-11-22 | 2023-11-14 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种复合钙基润滑脂组合物及其制备方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57111396A (en) * | 1980-12-29 | 1982-07-10 | Kyodo Yushi Kk | Lithium-containing grease composition |
JPH11256184A (ja) * | 1997-12-22 | 1999-09-21 | Idemitsu Kosan Co Ltd | グリース組成物 |
JP4004134B2 (ja) * | 1998-03-31 | 2007-11-07 | 出光興産株式会社 | グリースの製造方法 |
-
2008
- 2008-04-02 JP JP2008095900A patent/JP5101374B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009249419A (ja) | 2009-10-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5101374B2 (ja) | カルシウムコンプレックスグリース | |
JP6310857B2 (ja) | グリース組成物 | |
JP5249584B2 (ja) | 潤滑組成物 | |
JP5329110B2 (ja) | 樹脂用グリース組成物 | |
JP6280826B2 (ja) | シールドマシン用生分解性グリース組成物 | |
JP5019841B2 (ja) | ウレアグリース組成物 | |
JP2007070461A (ja) | 耐水性グリース組成物 | |
JP2024015129A (ja) | 低粘度で摩耗防止を提供する潤滑油組成物 | |
JP2008115304A (ja) | 樹脂用ウレアグリース組成物 | |
JP4937658B2 (ja) | 樹脂用グリース組成物 | |
JP2008031416A (ja) | 樹脂用グリース組成物 | |
JP6169987B2 (ja) | グリース組成物 | |
JP4004134B2 (ja) | グリースの製造方法 | |
JP2009046625A (ja) | グリース組成物 | |
JP5627921B2 (ja) | 樹脂用グリース組成物 | |
JP4004136B2 (ja) | グリースの製造法 | |
JP4322335B2 (ja) | グリース組成物 | |
JPH11256184A (ja) | グリース組成物 | |
KR102509151B1 (ko) | 그리스 조성물, 해당 그리스 조성물의 제조 방법, 및 해당 그리스 조성물의 사용 방법 | |
JP5490041B2 (ja) | 樹脂用グリース組成物 | |
CN104293449B (zh) | 一种复合环烷酸钙基润滑脂及其制备方法 | |
JP2009120848A (ja) | グリース組成物 | |
JP5383392B2 (ja) | グリース組成物 | |
CN113322117B (zh) | 一种自动门滑道润滑脂组合物及其制备方法 | |
KR100592133B1 (ko) | 그리이스조성물 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110701 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20110830 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20110902 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110929 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120207 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120326 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120828 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120926 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151005 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |