JP5101374B2 - カルシウムコンプレックスグリース - Google Patents

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Description

本発明はカルシウムコンプレックスグリースに関する。
グリースは、電気機器や自動車などの各種機械に潤滑剤として広く使われているが、グリースが用いられる機器の小型化、高出力化、軽量化、保守簡略化の要請に添うように、本願発明者らは、酸化寿命や滴点に優れたグリース組成物を提案してきており、これらは、特開平11−256184号公報、特開平11−241087号公報、特開平11−279579号公報などとして開示されている。こうしたグリース組成物以外でも最近では、例えば摺動性に優れるグリースとして、特開2007−297553号公報に少なくとも1種のリン化合物を含む潤滑グリース組成物が開示されている。また、高寿命性のあるグリースとして、特開2007−297422号公報に特定のフッ素系界面活性剤及びスチレン系ブロック共重合体を、リチウムせっけん系増ちょう剤からなる組成物に含有するグリース組成物が開示されている。
ところが昨今では、電気機器や自動車等の機械部品だけでなく、こうした潤滑剤に対しても、人体に対する安全性や環境負荷の少ない材料を求める要請がなされている。そのため、従来とは同等以上の潤滑特性、高滴点、高寿命性を維持しながら、安全性が高く環境負荷の少ないグリースが求められている。
しかしながら、これらの公報に開示された主にリチウムせっけんを増ちょう剤とするグリース組成物は、安全性や環境負荷の点で十分なものとはいえなかった。
そこで、カルシウムせっけんを用いたグリースとすれば安全性や環境負荷の点で優れることが推測されるものの、一般にカルシウムせっけんを用いたグリースは、熱に弱く滴点が低いため、グリース性能の点でリチウムせっけんを用いたグリースよりも劣っていた。そのため、既に汎用されているリチウムせっけんを用いたグリースに代えて、カルシウムせっけんを用いたグリースを採用するまでには至っていない。
また、カルシウムせっけんグリースの原料は、水に溶けにくい。そのため、従来のリチウムせっけんを利用する製造方法において、リチウムせっけんの代わりにカルシウムせっけんに置き換えただけでは、所望の性状のグリースが得られなかった。すなわち、単に粘稠性があって定形性を有しないような油脂類と同様の性状の“グリース組成物”にはなるものの、常温において適度なちょう度を有し、半固体状または固体状の性状となる“グリース”が生成できない場合も多かった。
特開平11−256184号公報 特開平11−241087号公報 特開平11−279579号公報 特開2007−297553号公報 特開2007−297422号公報
本発明は、上記観点からなされたもので、リチウムせっけん等の金属せっけんを用いたグリースの潤滑特性、高寿命性を維持しながら、安全性が高く環境負荷の少ないグリースであって、滴点が270℃以上、好ましくは滴点が300℃以上の高滴点のカルシウムコンプレックスグリースを提供するものである。
本発明は、二塩基酸と脂肪酸のカルシウム塩でなるカルシウムせっけんを増ちょう剤とする滴点が270℃以上、好ましくは300℃以上であるカルシウムコンプレックスグリースを提供する。
カルシウムせっけんを増ちょう剤とするグリースであり、安全性が高く環境負荷が少ない。加えて、滴点が270℃以上であるので、耐熱性に優れ、高寿命性であって、好適なちょう度を有するグリースである。
そして、二塩基酸にテレフタル酸を含み、脂肪酸にステアリン酸を含むカルシウムコンプレックスグリースとすることができる。テレフタル酸とステアリン酸とを用いるため、安価に製造することができる。
本発明はまた、 基油に、水酸化カルシウムなどのカルシウム基材、ステアリン酸などの脂肪酸を50℃以下で混合した混合液を加熱し、液温を115℃〜130℃としてテレフタル酸などの二塩基酸を加え、さらに液温の最高温度を180℃〜210℃として加熱処理した後、冷却する工程を実行する滴点が270℃以上、好ましくは300℃以上となるカルシウムコンプレックスグリースの製造方法を提供する。
基油に、水酸化カルシウムなどのカルシウム基材、ステアリン酸などの脂肪酸を50℃以下で混合した混合液を加熱し、液温を115℃〜130℃としてテレフタル酸などの二塩基酸を加え、さらに液温の最高温度を180℃〜210℃として加熱処理した後、冷却することとしたため、カルシウムせっけんを増ちょう剤としながら、滴点が270℃以上、好ましくは300℃以上で好適なちょう度を有するカルシウムコンプレックスグリースを得ることができる。
このカルシウムコンプレックスグリースの製造方法において、二塩基酸の添加後加熱し、液温が145℃〜170℃の範囲内で30分〜60分の間保持する工程を設けることが好ましい。二塩基酸の添加後加熱し、液温が145℃〜170℃の範囲内で30分〜60分の間保持する工程を設けたため、滴点が300℃以上の高滴点で、好適なちょう度を有するカルシウムコンプレックスグリースを得ることができる。ここで、「145℃〜170℃の範囲内で30分〜60分の間保持する工程」とは、145℃〜170℃の範囲内における適当な温度内に30分〜60分の範囲内における適当な時間内だけ置かれることを意味するとともに、この範囲内において、そこに到達する以前に比べて昇温速度が遅くなっていることを意味する。即ち、30分〜60分の間145℃〜170℃の範囲内に単に置かれることだけでは足りないし、30分〜60分の間145℃〜170℃の範囲内で同一温度に置かれることのみに限定されるものでもない。
添加する二塩基酸の平均粒径は0.5mm以下であることが好ましい。添加する二塩基酸の平均粒径が0.5mm以下であるので、滴点が270℃以上の高滴点で、好適なちょう度を有するカルシウムコンプレックスグリースが得られる。
そして、最高温度での保持時間を5分〜30分とすることができる。最高温度での保持時間を5分〜30分としたため、滴点が300℃以上のカルシウムコンプレックスグリースとすることができる。
また、これらのカルシウムコンプレックスグリースの製造方法において、冷却工程で、液温を前記最高温度から160℃以下まで30分以内に冷却することができる。冷却工程で、液温を前記最高温度から160℃以下まで30分以内に冷却するため、滴点が270℃以上で、好適なちょう度を有するカルシウムコンプレックスグリースを得ることができる。
本発明のカルシウムコンプレックスグリースは、カルシウムせっけんを増ちょう剤とするグリースであり、安全性が高く環境負荷が少ない。加えて、滴点が270℃以上、好ましくは300℃以上であって、耐熱性に優れた高滴点グリースである。そのため、分解が困難な機器の内部に用いるグリースや人体に接触する可能性の高い箇所で用いるグリースとして好適である。
また、本発明のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法によれば、滴点が270℃以上、好ましくは300℃以上である高滴点のカルシウムコンプレックスグリースを製造することができる。そのため、従来耐熱性の問題からリチウムせっけんグリースしか用いられていなかった用途に代えて用いることができ、また、安価に製造することができる。
以下に、本発明のカルシウムコンプレックスグリースについてさらに詳しく説明する。このカルシウムコンプレックスグリースは、基油に二塩基酸と脂肪酸のカルシウム塩でなるカルシウムせっけんを増ちょう剤とするグリースである。
基油としては、鉱油、合成油を用いることができ、例えばパラフィン系、中間基系あるいはナフテン系などの鉱油やこれらの鉱油を溶剤精製、水素化精製した精製鉱油、またはα−オレフィンなどの炭化水素系合成油、油脂類の他、合成エステル類、合成エーテル等を使用することができる。
増ちょう剤は、二塩基酸と脂肪酸のカルシウム塩でなるカルシウムせっけんである。ただし、増ちょう剤はカルシウムコンプレックスグリースの製造工程において、増ちょう剤の原料となる、二塩基酸、脂肪酸、水酸化カルシウムなどを用いているのであり、増ちょう剤自体をカルシウムコンプレックスグリースの製造時に添加するものではない。
得られたグリース中の増ちょう剤量としては、グリース中に2重量%〜40重量%、好ましくは3重量%〜20重量%配合する。配合量が少なすぎると所望のちょう度が得られず、配合量が多すぎるとグリースの潤滑性が低下する。
増ちょう剤の原料となるカルシウム基材には、水酸化カルシウム、生石灰などを用いることができる。
二塩基酸には、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、スチルベンジカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられ、テレフタル酸を用いることは好ましい。
脂肪酸としては、油脂やそれを加水分解してグリセリンを除いた粗製脂肪酸、ステアリン酸等のモノカルボン酸や、12−ヒドロキシステアリン酸等のモノヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。脂肪酸の中では、炭素数12〜24の脂肪酸を好適に用いることができ、これらは、単独でも組み合わせても用いることができる。
テレフタル酸等の二塩基酸の大きさは、その平均粒径が1mm以下、好ましくは0.2mm以下、さらに好ましくは5μm以下である。1mmを超えると高滴点にならず、また硬めのちょう度が得られずに軟らかくなってしまうからである。また、0.2mm以下では滴点を270℃以上とすることができ、5μm以下では滴点を300℃以上とすることができ、かつ木目の細かなグリースになるからである。
二塩基酸とカルシウム基材との混合割合は、二塩基酸1当量に対しカルシウム基材が0.8当量〜1.2当量程度を配合することが好ましい。例えば、二塩基酸にテレフタル酸、カルシウム基材に水酸化カルシウムを用いると、テレフタル酸1当量に対し、水酸化カルシウが0.8当量〜1.2当量程度であり、好ましくは同一当量程度である。したがって、テレフタル酸4重量部に対して水酸化カルシウムを約1.8重量部用いることは好ましい。
この二塩基酸の配合量は、グリース中0.3重量%〜21重量%、好ましくは3重量%〜9重量%である。配合量が多すぎても少なすぎても所望のグリースが得られない。
必要により酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤には、例えばアミン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤が挙げられる。アミン系酸化防止剤としては、例えばモノオクチルジフェニルアミン;モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系、4,4’−ジブチルジフェニルアミン;4,4’−ジペンチルジフェニルアミン;4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン;4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン;4,4’−ジオクチルジフェニルアミン;4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系、テトラブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジフェニルアミン;テトラオクチルジフェニルアミン;テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系、α−ナフチルアミン;フェニル−α−ナフチルアミン;ブチルフェニル−α−ナフチルアミン;ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン;オクチルフェニル−α−ナフチルアミン;ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系を挙げることができ、モノアルキルジフェニルアミン系、ジアルキルジフェニルアミン系、ナフチルアミン系が好適である。
フェノール酸化防止剤としては、例えば4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)等のビスフェノール系、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール等のアルキルフェノー系、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフイド;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;2,2’−チオ〔ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などを挙げることができる。ビスフェノール及びアルキルフェノール系が好適である。これらの酸化防止剤は、単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。
酸化防止剤の配合量は、グリース中0.1重量%〜10重量%程度であり、好ましくは0.2重量%〜5重量%である。配合量が少なすぎると、所望の酸化防止効果がえられず、多すぎると却って劣化が促進される。
また、必要に応じて分散剤を加えることができる。分散剤としては、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フェネートあるいはホスホネートを塩基性、中性を問わず用いることができる。アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウムが挙げられる。ナトリウム、バリウム又はカルシウムのスルホネートは好ましい金属である。その他の分散剤としては、スルホン酸、コハク酸イミド、該コハク酸イミドをホウ素化合物で処理したホウ素化コハク酸イミド等が挙げられる。これらの分散剤は、単独で、または複合して用いることができる。
分散剤は、増ちょう剤を基油中に均一に分散させたり、グリースの使用中に生じる油や不溶分を分散させる機能を有する。分散剤の配合量は、グリース中0.1重量%〜5重量%とする。この所定の配合量よりも少なすぎると効果が期待できず、多すぎると耐水性が悪化するからである。
酸化防止剤や分散剤以外にも必要に応じて、錆止め剤や極圧添加剤、油性剤、染料・香料などの種々の添加剤を含ませることができる。錆止め剤としては、ソルビタンエステル、酸化ワックスやその金属塩、ラノリン酸石鹸などが挙げられ、極圧添加剤としては、硫化油脂、硫化鉱油、フォスファイト、アシッドフォスフェート、フォスフェート、ジチオカルバミン酸やその金属塩、ジアルキルジチオフォスフェート金属塩等などが挙げられ、油性剤としては、脂肪酸またはそのエステルが挙げられる。また、添加剤の中には、清浄剤や防錆剤として利用できる分散剤の例もあり、複数の機能を果たす添加剤を適宜組み合わせて用いることもできる。これらの種々の添加剤の配合量は、グリース中0.001重量%〜10重量%である。
本発明のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法は次のとおりである。
まず、パラフィン系鉱油などの基油と、水酸化カルシウムなどのカルシウム基材、ステアリン酸や12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸を50℃以下、通常は室温で反応槽に投入、混合する。混合液は加熱して、液温が115℃〜130℃になった段階でテレフタル酸などの二塩基酸を投入する。
加熱昇温過程の125℃程度で脂肪酸とカルシウム基材とがまずけん化されて第1次脱水が行われ、二塩基酸の投入後150℃程度でさらに二塩基酸とけん化されて第2次脱水が行われる。
その後、必要により145℃〜170℃の温度で30分〜60分保持する。こうした温度において、所定の保持時間を確保することで、コンプレックス化を完成させ、滴点が300℃以上の高滴点であり、好適なちょう度を有し、かつ木目の細かなグリースを得ることができる。
そしてさらに加熱昇温させて、液温の最高温度を180℃〜210℃、好ましくは180℃〜190℃として加熱処理をする。ここでいう加熱処理とは、この最高温度で混合液を所定時間保持して、脱水を完全に行う処理を意味する。180℃〜190℃を好ましい範囲としたのは、190℃を超えると木目が悪くなり、柔らかめのグリースとなってしまうからである。
最高処理温度での保持時間は5分〜30分であり、5分〜20分であることが好ましい。30分より長いとちょう度が大きくなり軟らかなグリースとなる。また、5分より短いと脱水が不十分となり滴点が低下するおそれがある。5分〜20分であると、ちょう度の好適性だけでなく、脱水が好適に行われ製品寿命の長いカルシウムコンプレックスグリースが得られる。
なお、ここでいう保持は、145℃〜170℃の温度範囲内での保持と異なり、最高処理温度で一定時間維持することをいう。
最高温度で処理した後、冷却する。冷却はちょう度の調整などのために基油を混合液に添加することにより行うことができる。冷却工程では、混合液100重量部中に新たな基油を80重量部以下で添加することが好ましい。
冷却は、基材添加前の最高温度から160℃以下まで30分以内に下げることで行う急冷をすることが好ましい。例えば、混合液に対して65%程度の基油を室温で加えれば、この範囲の冷却速度となり急冷することができる。急冷することで、滴点を高めることができる。なお、160℃程度に加温した基油を、混合液に対して65%程度添加すると、この範囲から外れた徐冷となる。
冷却後は、カルシウムコンプレックスグリースの安定化のため、コロイドミルやホモジナイザーで処理することが好ましい。こうした処理で増ちょう剤を基油中に細かく均一に分散させることができる。
酸化防止剤があれば冷却後に、分散剤があれば基油と増ちょう剤の原料との混合過程で添加することが好ましい。その他の添加剤は適宜その添加剤の種類に応じた添加時に添加する。
次に、実施例や比較例に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。
以下の表1、表2で示す基油、カルシウム基材、増ちょう剤等のグリース原料を同表に示す条件で反応槽に投入して、同表で示す試料1〜試料12のグリースを製造した(例1〜例12)。
例7、例8、例10を除き、他の例は室温(25℃)にて、表中「初期材料」として記した基油1、水酸化カルシウム(粉末)、ステアリン酸(粉末)を反応槽に投入し、加熱・攪拌しながら昇温させた。また、例10では、増ちょう剤原料であるステアリン酸に代えて増ちょう剤自体であるステアリン酸カルシウムの粉末を投入した。
次に、この混合液を攪拌しながら加熱昇温させ、表中「途中混合材料」と記したテレフタル酸等のグリース原料を、混合液の液温が表に記した温度になったところで添加した。例7、例8、例10では、最初に水酸化カルシウムを入れる代わりに、表中で示す所定の温度まで昇温した後、水酸化カルシウムを添加した。
テレフタル酸の形状は、“荒い”、“通常”、“微粉砕”の3種類を用い、“荒い”テレフタル酸は、約2mm角の塊状に粉砕したものであり、“通常”とあるのは、平均粒径が0.2mmの塊状のものであり、“微粉砕”とあるのは10μm×40μm程度の棒状のものである。
例6では、テレフタル酸などの二塩基酸を加えなかった。例9では、他の例で増ちょう剤の原料となるテレフタル酸を投入しているのに代えて、既に増ちょう剤であるテレフタル酸カルシウムを添加した。テレフタル酸カルシウムの“微粉砕”形状もテレフタル酸の“微粉砕”形状と同じである。
その後、さらに加熱して液温を昇温させた。例11においては、液温が160℃の状態を30分間保持し(表中「160℃での30分保持」の項目を“○”で示す)、それ以外の例においては、こうした保持を行わずに徐々に温度を上げていった。
そして、表に記した「最高処理温度」に到達した段階で、表中の「最高処理温度での保持時間」だけ保持した。例5のみ保持時間を長めの30分とし、それ以外の例では保持時間を通常の20分とした。
その後、表中「冷却材料」で示した160℃または室温の、基油1と基油2とを反応槽に投入して混合液の冷却を行った。例12のみ室温の基油1と基油2とを投入することで急冷し、それ以外の例は160℃の基油1と基油2とを投入することで徐冷した。
こうして得られた試料1〜試料12の各グリースの性質も表に記す。
「外観」は、光学顕微鏡にて60倍で観察した場合に、基油の分離や増ちょう剤のかたまりなどと思われる部分の存在があって不均一に見えるときを「×」、これらの分離が見られず均一に見える場合を「○」で示す。
「木目」は、木目が細かく滑らかで優れている場合に「○」とし、木目が粗く優れていない場合に「×」で示す。なお、木目とは触れた際のなめらかさをいうものである。
「滴点」は、JISK−2220に準拠して測定した温度を記す。滴点の評価は、高温でも耐性があるように、270℃以上の場合を「○」、300℃以上の場合を「◎」、270℃未満の場合を「×」とする。
「ちょう度」も、JISK−2220に準拠して測定した数値を記す。なお、今回の例で製造したグリースはちょう度範囲が265〜295を好ましい範囲に設定するものであるが、この範囲外では使えないというものではない。
なお、表や上記説明における記載の詳細は次のとおりである。
基油1は、パラフィン系鉱油(40℃動粘度:94mm/s)であり、基油2は、パラフィン系鉱油(40℃動粘度:440mm/s)である。また、表中の原料の配合量(数字)は重量部を示す。
なお、表中に「製造上の特徴」の項目を設け、各例に基づく試料が製造上どのような特徴をもって作られたものであるかを明示した。
Figure 0005101374
Figure 0005101374
(グリース試験)
例1〜例12で記した試料1〜試料12のグリースについて、加速酸化試験とベアリング寿命試験を行った。
加速酸化試験にて酸化寿命を測定したが試料1、試料2、試料4、試料5、試料7、試料11、試料12の各カルシウムコンプレックスグリースは、従来のリチウムせっけんを増ちょう剤とするグリースに比べと同等以上の酸化寿命を示した。
また、ベアリング寿命試験を行った結果も、試料1、試料2、試料4、試料5、試料7、試料11、試料12の各カルシウムコンプレックスグリースは、従来のリチウムせっけんを増ちょう剤とするグリースに比べと同等以上のベアリング寿命を示した。
(考 察)
例1〜例3を比較すると、テレフタル酸の形状、大きさは、「通常」または「微粉末」でないと滴点の高い優れたカルシウムコンプレックスグリースは得られないことがわかる。また、微粉末を用いれば木目の良いカルシウムコンプレックスグリースが得られたが、通常のものでは、木目の良くないカルシウムコンプレックスグリースしか得られないことがわかる。
例1や例4、例7から「最高処理温度」は180℃〜210℃で、滴点に優れたカルシウムコンプレックスグリースが得られたが、その「最高処理温度での保持時間」は例5から長い方が滴点が上昇することがわかる。ただ、最高処理温度が210℃となった試料4では木目の良いグリースが得られず、またちょう度も柔らかめとなることから、例1や例7のように最高処理温度は180℃〜190℃の方がより好ましいことがわかる。
例11からは、昇温過程で160℃でしばらく保持すると滴点が300℃以上に上がり、木目が細かく、ちょう度も適当な優れたグリースが得られることがわかる。
また、例12から、急冷することで滴点が300℃近くまで上がり好ましいことがわかる。
例6より、二塩基酸であるテレフタル酸を加えない場合は、外観、滴点ともによくないことがわかる。また、例9や例10から、増ちょう剤を直接添加する場合は、所望のカルシウムコンプレックスグリースが得られないことがわかる。
例7と例8、例1から、カルシウム基材である水酸化カルシウムの混合時の温度は、室温または50℃までであれば、所望のカルシウムコンプレックスグリースが得られるが、70℃まで昇温してしまうと所望のカルシウムコンプレックスグリースが得られないことがわかる。

Claims (6)

  1. 平均粒径が0.5mm以下である二塩基酸と脂肪酸のカルシウム塩でなるカルシウムせっけんを増ちょう剤とし、滴点が270℃以上であり、リチウムせっけんを含まないカルシウムコンプレックスグリース。
  2. 二塩基酸にテレフタル酸を含み、脂肪酸にステアリン酸を含む請求項1記載のカルシウムコンプレックスグリース。
  3. 基油に、カルシウム基材としての水酸化カルシウム、ステアリン酸を50℃以下で混合した混合液を加熱し、液温を115℃〜130℃として平均粒径が0.5mm以下であるテレフタル酸を加え、さらに液温の最高温度を180℃〜210℃として加熱処理した後、冷却する請求項1または請求項2記載のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法。
  4. 二塩基酸の添加後加熱し、液温が145℃〜170℃の範囲内で30分〜60分の間保持する工程を設ける請求項3記載のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法。
  5. 冷却工程で、液温を前記最高温度から160℃以下まで30分以内に冷却する請求項3または請求項4記載のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法。
  6. 最高温度での保持時間を5分〜30分とする請求項3〜請求項5何れか1項記載のカルシウムコンプレックスグリースの製造方法。
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