JP4004134B2 - グリースの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はグリースの製造方法に関し、詳しくは滴点が高く、しかも木目(キメ)のよい商品価値の高いグリースの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
グリースは、自動車、電気機器、建設機械、工作機械等の各種機械に広く使われているが、近年機械の小型化、高出力化、軽量化、保守簡略化が求められ、グリースの潤滑条件は益々厳しい状況となっている。機械の小型化、高出力化は同一出力でも寸法形状が小さくなる事を意味するが、寸法形状が小さくなると、機械表面から放出される熱量が低下するため潤滑部分の温度上昇を招く。また軽量化は非金属のような熱を伝えにくい材料の使用を促すこととなり、益々温度上昇を助長する結果となる。従って、滴点が高く、高温でも潤滑性を有するグリースが要望されている。
このような問題に対して、これまで、種々の高滴点グリースの製造方法が提案されている。例えば、特公昭63−19560号公報には、基油に清浄分散剤を溶解させ、それにヒドロキシ脂肪酸と水酸化リチウムを投入して、ヒドロキシ脂肪酸のリチウム石鹸を生成させ、次いで脂肪族ジカルボン酸を投入した後水酸化リチウムを投入し、加熱等を行いグリースを製造する方法が開示されている。また、特開昭54−6002号公報には、基油にヒドロキシ脂肪酸を添加し加熱溶解せしめ、これに水酸化リチウム水溶液を添加してケン化反応させ、該反応中110〜130℃の温度でさらに芳香族カルボン酸および/または芳香族カルボン酸リチウム塩を添加させるグリースの製造方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年のように潤滑条件に対する要求が益々厳しくなってきた状況下においては、上記従来の技術では未だ充分でなく一層高滴点のグリースが求められている。
すなわち、本発明は、滴点が高く、しかも木目(キメ)のよい商品価値の高いグリースの製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高滴点のグリースを得るため鋭意検討した結果、驚くべきことに芳香族ジカルボン酸を予め金属水溶液に溶解したのち、基油、モノカルボン酸、分散剤の混合系に添加することにより、金属石鹸が均一に分散し、高滴点となり、また固形物(石鹸粒子)が大幅に低減し、木目(キメ)に優れ商品価値の高いグリースが得られることを見い出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、基油に、分散剤及びモノカルボン酸を混合し、これに予め芳香族ジカルボン酸を溶解させた金属水溶液を添加し金属石鹸を生成させるグリースの製造方法である。
特に、本発明は、基油と、分散剤、モノカルボン酸とを混合した後加熱し、80〜110℃の温度で、予め芳香族ジカルボン酸を溶解させた金属水溶液を添加して金属石鹸を生成させ、90〜110℃で処理して脱水を行い、ついで180〜215℃で加熱処理を行った後冷却するグリースの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において用いられる基油としては、特に制限はなく、従来より公知の種々の鉱油、合成油がいずれも使用可能であり、例えば、パラフィン系、中間基系あるいはナフテン系などの鉱油やこれらの鉱油を溶剤精製、水素化精製した精製鉱油、またはα−オレフィンなどの炭化水素系合成油、油脂類の他、合成エステル類、合成エーテル等を使用することができる。これらの中でも、精製鉱油や合成油が好ましい。なお、基油の動粘度は、特に制限はないが、通常40℃で5〜500cst、好ましくは5〜400cstの中から選択することができる。
ここで、鉱油の調製方法としては、例えば、ナフテン基系原油では、常圧蒸留するかあるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油を常法に従って精製する精製油調製手段がとられる。この際の精製方法には特に制限はなく、様々な精製方法をとることができる。通常は、水素化処理、溶剤抽出処理、アルカリ蒸留や硫酸洗浄処理、白土処理を単独または適宜順序で行う。また、同一処理を複数段に分けて行うこともできる。具体的には、▲1▼留出油を2段で水素化処理する方法、▲2▼留出油を溶剤処理しついで水素化処理する方法、などが挙げられる。
【0006】
また、パラフィン基系原油や中間基系原油では、パラフィン基系原油や中間基系原油を常圧蒸留するかあるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油を常法に従って精製する精製油調製手段あるいは該精製後さらに深脱ろう処理する深脱ろう油調製手段がとられる。この際の精製方法には特に制限はなく、様々な精製方法をとることができる。通常、水素化処理、脱ろう処理(溶剤脱ろう、水添脱ロウ)、溶剤抽出処理、アルカリ蒸留や硫酸洗浄処理、白土処理を単独または適宜順序で行う。また、同一処理を複数段に分けて行うこともできる。具体的には、▲1▼水素化処理した後脱ろう処理する方法、▲2▼水素化処理し、水素化脱ろう処理し、さらに水素化処理する方法、▲3▼溶剤抽出し、そのラフィネートを溶剤脱ロウし、水素化処理する方法などが挙げられる。
【0007】
本発明で用いる基油は、上記種々の方法で調製することができるものであるが、例えば、次の一般的性状のものを用いることができる。
(1)動粘度(40℃) 5〜500cst
(2)粘度指数 10〜140
(3)全酸価 0.001〜1mgKOH/g
(4)塩基性窒素分 150PPM以下、特に7PPM未満
(5)臭素値 100g/100g以下、特に0.1〜40g/100g
(6)ヨウ素値 0〜20
(7)密度 0.84〜0.93g/cm3
(8)環分析(ndM法)
全アロマ分 0〜20%(%CA)
全環状分 25〜45%(%CR)
全ナフテン分 25〜45%(%CN)
全パラフィン分 50〜75%(%CP)
(9)アニリン点 85〜150°C
(10)流動点 −5〜−45°C
(11)S分 50PPM以下、特に10PPM以下
(12)N分 300PPM以下、特に5PPM以下
(13)数平均分子量 200〜1000
【0008】
なお、原料中における基油の使用量は、原料100重量部に対して、通常30〜90重量部であり、基油を分割して使用する場合は、その合算量である。もちろん複数の種類の基油を用いてもよい。
動粘度が上記範囲より小さい場合は耐熱性が不十分となり潤滑寿命も不十分となる場合があり、上記範囲より大きい場合は流動性が不十分となる場合がある。
【0009】
本発明における分散剤としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属のスルホネート、サリチレート、フェネートあるいはホスホネートを塩基性、中性を問わず使用することができる。ここでアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。これらのうち、バリウム、カルシウムあるいはナトリウムのスルホネートが好ましく挙げられる。その他の分散剤としては、スルホン酸、コハク酸イミド、該コハク酸イミドをホウ素化合物で処理したホウ素化コハク酸イミド等も好ましく用いることができる。これらは、単独で使用しても組み合わせて用いてもよい。このような組み合わせとしては、バリウムスルホネートとカルシウムスルホネート,カルシウムスルホネートとナトリウムスルホネート,バリウムスルホネートとナトリウムスルホネート等の組み合わせが挙げられる。
この分散剤は、生成する金属石鹸をグリース内に均一に分散させたり、グリースの使用中に生じる油や不溶物を分散させるためのものである。この分散剤は、金属石鹸生成前、或いは生成過程で添加することが好ましい。それにより生成する金属石鹸がグリース中に均一に微細に分散する。分散剤の添加量が、少なすぎると上記効果が期待できず、多すぎると耐水性が悪化する場合がある。従って、これらの使用量は、原料100重量部中、0.1〜5重量部とするのが好ましい。
【0010】
本発明において用いられるモノカルボン酸としては、好ましくは炭素数12〜30、さらに好ましくは16〜24のものが使用できる。このモノカルボン酸には、ヒドロキシモノカルボン酸も含まれる。モノカルボン酸の炭素数が上記範囲より少ないときは、グリース化に用いる量が多くなり不経済である。また、炭素数が上記範囲より多い場合は、グリース化への障害にはならないが、汎用でないため高価となり、これも不経済である。これらモノカルボン酸としては、具体的には、ステアリン酸、9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、特に、12−ヒドロキシステアリン酸が好ましい。上記モノカルボン酸は、金属基材と反応し、金属石鹸において主として増ちょう剤の役割を果たす。その使用量は、原料100重量部中、通常3〜20重量部である。
【0011】
本発明の製造方法においては、金属水溶液に予め芳香族ジカルボン酸を溶解させる。このような芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜26の芳香族ジカルボン酸を用いることができる。具体的には、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、特に、テレフタル酸が好ましい。この芳香族ジカルボン酸は、金属水溶液中の金属基材と反応し、その塩である金属石鹸がグリース中に均一に微細分散されることにより、滴点が格段に向上する。この点から、その使用量は、原料100重量部中、通常0.5〜20重量部である。
上記金属基材としては、金属を含有しており、モノカルボン酸や芳香族ジカルボン酸と反応し、塩を形成するものであれば特に制限はない。金属としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。金属基材としては、具体的には、金属水酸化物や金属炭酸塩が挙げられるが、その中でも水酸化リチウムやその1水塩及び炭酸リチウムが好ましい。
金属基材は、モノカルボン酸と芳香族ジカルボン酸をケン化し、金属石鹸を生成させるために用いるもので、通常、原料100重量部中1〜20重量部であり、また、モノカルボン酸と芳香族ジカルボン酸との合計当量の1〜1.1倍当量程度用いるのが好ましい。
【0012】
次に、これら原料を用いてグリースを製造する方法について説明する。
本発明においては、まず、基油に分散剤とモノカルボン酸を投入し、80〜100℃まで加熱する。通常は均一に混合するため攪拌しながら行う。
また、予め芳香族ジカルボン酸を溶解した金属水溶液を調製しておく。これは、水に前記金属基材を溶解させ、ついで芳香族ジカルボン酸を溶解させて調製する。ここで使用するジカルボン酸はグリース製造に用いる量の全部であってもよいしその一部であってもよい。水はジカルボン酸の5〜10重量倍用いるのが好ましい。なお、水はいずれ脱水されるので本願においては100重量部中には含まない。このようにして得られる金属水溶液を基油、分散剤及びモノカルボン酸の混合系へ投入することにより金属基材が適度に分散し、金属石鹸を均一に生成し、グリース内に分散させることができ、この結果、高滴点でかつ固形物(石鹸粒子)の少ない木目(キメ)に優れた商品価値の高いグリースが得られる。
【0013】
上記金属水溶液を先に加熱していた基油、分散剤、モノカルボン酸の混合系へ投入する際の温度は、通常80〜110℃、好ましくは90〜100℃である。この温度で30分〜3時間程度ケン化反応させる。このように基油、分散剤、モノカルボン酸の混合系に芳香族ジカルボン酸を溶解した金属水溶液を添加することにより、グリース内に金属石鹸が均一に微細分散される。ここで金属石鹸は、一部コンプレックス金属石鹸として生成しているものと推定される。
次いで、常法によりグリースを調製する。すなわち、まず、上記得られた金属石鹸の脱水を行う。その温度は、通常90〜110℃である。脱水時間は、適宜決めればよいが、通常1〜5時間である。その後、より脱水を良好に行うため180〜215℃、好ましくは195〜210℃まで加熱する。最高温度で5〜20分程度保持し、その後冷却する。途中、希釈油や冷却油を基油として原料100重量部中に0〜70重量部添加してもよい。
冷却後、グリースの安定化を図るため、ミルかけ等の剪断を加えてグリースとする。
【0014】
また本発明においてはグリースの性能を向上するために、酸化防止剤等の種々の添加剤を加えることができる。添加剤の添加時期は特に制限はないが、通常冷却後に行う。酸化防止剤としては特に制限はなく、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン;モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン、4,4’−ジブチルジフェニルアミン;4,4’−ジペンチルジフェニルアミン;4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン;4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン;4,4’−ジオクチルジフェニルアミン;4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン、テトラブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジフェニルアミン;テトラオクチルジフェニルアミン;テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン、α−ナフチルアミン;フェニル−α−ナフチルアミン;ブチルフェニル−α−ナフチルアミン;ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン;オクチルフェニル−α−ナフチルアミン;ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミンを挙げることができ、なかでもモノアルキルジフェニルアミン、ジアルキルジフェニルアミンが好ましい。
【0015】
フェノール酸化防止剤としては、例えば4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)等のビスフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール等のアルキルフェノー、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフイド;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;2,2’−チオ〔ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などを挙げることができる。これらの中で、特にビスフェノール及びアルキルフェノールが好適である。
金属塩系酸化防止剤としては、例えば、下記一般式(I)
【0016】
【化1】
【0017】
(式中、Mは金属であり、xは金属の価数であり、R1 及びR2 はそれぞれ炭素数3〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し、R1 及びR2 は同一でも異なっていてもよい。)で表わされ、具体的には、
下記一般式(II)
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、R1 及びR2 はそれぞれ炭素数3〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し、R1 及びR2 は同一でも異なっていてもよい。)で表わされ、さらに具体的にはジ−n−ブチルニッケルジチオカルバメート等のカルバメート系酸化防止剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオリン酸ニッケル、ジアルキルチオカルバミン酸亜鉛、ジアルキルチオカルバミン酸ニッケルなどが挙げられる。
本発明においては、好ましくは、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、カルバメート系酸化防止剤が使用される。特に好ましくは、アミン系とカルバメート系のものを併用することが好ましい。これにより格段に酸化防止性能を発現させ、酸化寿命の長寿命化が図られる。
上記酸化防止剤の配合量は、少なすぎると所望の酸化防止効果が得られず、多すぎると却って劣化が促進される。このため、通常、原料100重量部中0.1〜10重量部とすることができ、好ましくは0.2〜5重量部である。
【0020】
本発明のグリースの製造方法に配合することができるその他の添加剤としては、例えば、錆止め剤として、ソルビタンエステル、酸化ワックスやその金属塩、ラノリン酸石鹸などが挙げられ、極圧添加剤として、硫化油脂、硫化鉱油、ホスファイト、アシッドホスフェートなどが挙げられ、油性剤として、ホスフェート、脂肪酸、ジチオカルバミン酸やその金属塩、ジアルキルジチオホスフェート金属塩等が挙げられる。本発明においては、目的に応じて更に他の添加剤を配合することができ、その例として染料、香料が挙げられる。これらの配合量は、原料中通常0.001〜10重量部である。なお、ジチオカルバメート系酸化防止剤の中には、油性剤として利用できるものがあり、分散剤の中には、清浄剤や防錆剤として利用できるものがある。本発明においては、これら複数の機能を果たす添加剤を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例,比較例における各種性能試験法
(1)ちょう度
JISK−2220に準拠して測定した。
(2)滴点
JISK−2220に準拠して測定した。
(3)加速酸化試験
JISK−2220に準拠し、試験温度125℃で測定した。即ち、グリース酸化安定度試験装置を用いて、調製したグリースに銅粉末5重量%を添加し、酸素を0.755MPa封入し、125℃で急激に圧力低下が見られるまでの時間を測定し、これを酸化寿命とした。
(4)ベアリング寿命試験(ASTM D 1741)
6306軸受を用いて規定荷重(スラスト:40lbs,25lbs)、125℃、20時間運転/4時間停止サイクル、3500rpmで運転したとき焼きついて運転不能となる時間数を測定した。
(5)固形物(石鹸粒子)
グリースの薄膜(厚さ0.5mm)を作成し単位面積(1cm2 )当たりの75μm以上の固形物の個数を計測した。
【0022】
実施例,比較例における原料油の性状
1.基油Iの性状
(1)粘度(40℃) 91cst
(2)粘度指数 107
(3)全酸価 0.01mgKOH/g
(4)塩基性窒素分 3PPM以下
(5)臭素値 0.2g/100g
(6)ヨウ素値 0
(7)密度(15℃) 0.869g/cm3
(8)環分析(ndM法)
全アロマ分 0%(%CA)
全環状分 28%(%CR)
全ナフテン分 28%(%CN)
全パラフィン分 72%(%CP)
(9)アニリン点 125℃
(10)流動点 −17.5℃
(11)S分 3PPM
(12)N分 5PPM以下
(13)数平均分子量 561
【0023】
2.基油IIの性状
(1)動粘度(40℃) 409cst
(2)粘度指数 107
(3)全酸価 0.01mgKOH/g
(4)塩基性窒素分 3PPM以下
(5)臭素値 0.3g/100g
(6)ヨウ素値 1以下
(7)密度(15℃) 0.879g/cm3
(8)環分析(ndM法)
全アロマ分 0%(%CA)
全環状分 27%(%CR)
全ナフテン分 27%(%CN)
全パラフィン分 73%(%CP)
(9)アニリン点 143℃
(10)流動点 −15℃
(11)S分 2PPM
(12)N分 5PPM以下
(13)数平均分子量 760
【0024】
〔実施例1〜5〕
第1表に示すように、基油Iに、分散剤、12−ヒドロキシステアリン酸を配合し、95℃まで加熱し、均一に混合した。ついで、第1表に示した割合で予めテレフタル酸を水酸化リチウム・一水塩の水溶液(水酸化リチウム・一水塩をテレフタル酸の7重量倍の水に溶解させた水溶液)に溶解させたリチウム水溶液を添加して、95℃程度に保ち、ケン化反応を行うとともに脱水した。その後、攪拌しながら、105℃で2時間保ち、生成した金属石鹸を均一に分散させた。その後205℃まで加熱し、その後基油IIを添加し、130℃まで冷却し、酸化防止剤を投入して攪拌し、ついでミル掛けを行いグリースを得た。得られたグリースの性状を第1表に示した。また、各々のグリースについて前記性能試験を行った結果を第1表に示す。
【0025】
〔比較例1〕
実施例1で基油にアゼライン酸を予め全量投入した以外は、実施例1と同様にしてグリースを得た。その性状及び性能試験結果を第1表に示す。
〔比較例2〕
実施例1で、テレフタル酸の代わりにフタル酸を用い、かつ12−ヒドロキシステアリン酸とともに全量投入したこと以外は、実施例1と同様にした。グリースの性状及び性能試験結果を第1表に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
*1: パラフィン系2段水素化処理精製鉱油(40℃における動粘度 91cSt)
*2: パラフィン系2段水素化処理精製鉱油(40℃における動粘度 409cSt)
*3: Caスルホネート(実施例1)、Naスルホネート(実施例2〜4,比較例1〜2)
*4: 12−ヒドロキシステアリン酸
*5: テレフタル酸(実施例1〜4)、イソフタル酸(実施例5)、アゼライン酸を基油へ投入(比較例1)、フタル酸を基油へ投入(比較例2)
*6: ジノニルジフェニルアミン
*7: ニッケルジブチルジチオカ−バメート
【0029】
【発明の効果】
本発明の方法により、滴点が高く、しかも固形物が少なく、商品価値が高いグリースが得られる。従って、本発明の製造方法により得られたグリースは軸受け用、汎用モーターグリース等として好適に使用することができる。
Claims (6)
- 基油に、分散剤及びモノカルボン酸を混合し、これに予め芳香族ジカルボン酸を溶解させた金属水溶液を添加し金属石鹸を生成させるグリースの製造方法。
- 80〜110℃の温度に加熱した基油と、分散剤、モノカルボン酸との混合系に、予め芳香族ジカルボン酸を溶解させた金属水溶液を添加して金属石鹸を生成させ、90〜110℃で処理して脱水を行い、ついで180〜215℃で加熱処理を行った後冷却するグリースの製造方法。
- 芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸である請求項1または2記載のグリースの製造方法。
- 金属水溶液が水酸化リチウム・一水塩をテレフタル酸の5〜10重量倍の水にテレフタル酸とともに溶解したものである請求項1〜3のいずれかに記載のグリースの製造方法。
- 40℃における動粘度が5〜500cstである鉱油又は合成油を基油として用い、モノカルボン酸が12−ヒドロキシステアリン酸であり、金属水溶液の金属がリチウムである請求項1〜4のいずれかに記載のグリースの製造方法。
- 金属石鹸生成後、酸化防止剤を配合する請求項1〜5のいずれかに記載のグリースの製造方法。
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