JP5101129B2 - 大型冷凍機の制御装置およびその停電検出方法 - Google Patents
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Description
(1)大型冷凍機は、工場や地域冷暖房施設など大規模な空調システムに使用されているため、停電による冷凍機の停止は、生産ラインを含むライフラインに大きな影響を与える。
(2)近年の合理化による工場および地域冷暖房施設の省人化からも、停電発生時には大型冷凍機を確実に停止し、また、短時間の停電に対しては自動的に再起動することが望ましい。
(3)大型冷凍機は、大容量の電動機と高圧のフロンガスを使用する。このため、短時間の停電が発生すると高圧のフロンガスが潤滑油を押し出してしまい潤滑不足に陥るおそれがある。潤滑油が不足すると圧縮機の軸に悪影響を与え、圧縮機の故障につながる。従って、停電を正確に検出し、また、短時間の停電では潤滑系統の動作を継続して行う必要がある。
しかしながら、このような方法では、電圧検出用の外部機器に依存する割合が高く、停電ではない電圧レベルにもかかわらず敏感に反応してしまうという不都合があった。
本発明は、圧縮機を備える大型冷凍機の制御装置であって、前記大型冷凍機の外部に設けられた停電検出装置から出力される停電検出信号と少なくとも前記圧縮機に供給される交流電圧波形とに基づいて停電を検出し、前記圧縮機に供給される交流電圧を所定の電圧値まで降圧した交流電圧信号が入力され、該交流電圧信号に基づいて生成される信号を停電信号とする場合に、前記停電検出信号が所定期間にわたり継続してOFF状態でなければ、前記停電信号が単独で1回発生していた場合には停電と判断し、前記停電信号が単独で1回発生していなかった場合には停電ではないと判定する大型冷凍機の制御装置を提供する。
上記大型冷凍機としては、例えば、ターボ冷凍機やスクリュー冷凍機等が一例として挙
げられる。
更に、上記停電信号を生成する停電信号生成回路を停電検出部とは別個に設けることにより、停電検出部の処理負担を軽減させることができる。これにより、例えば、ターボ冷凍機を制御するためのCPUに停電検出部の機能を持たせた場合には、このCPUの処理を増大させることなく、つまり、ターボ冷凍機の制御に用いられるハードウェア資源を大幅に減少させることなく、停電検出を行うことが可能となる。
また、上記態様は、可能な範囲で組み合わせて利用することができるものである。
図1には、本発明の一実施形態に係るターボ冷凍機1の概略構成が示されている。
図1に示されているように、ターボ冷凍機1は、冷媒を圧縮するターボ式の圧縮機3と、圧縮機3により圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器5と、凝縮器5によって凝縮された液冷媒を膨張させる膨張弁7と、膨張弁7によって膨張させられた冷媒を蒸発させる蒸発器9と、ターボ冷凍機1の運転を制御する制御装置50とを備えている。
インバータ装置11には、インバータ制御部11aが設けられている。このインバータ制御部11aは、ターボ冷凍機1の制御装置50と通信が行われるようになっており、制御装置50の指示に基づき、電動モータの回転数を制御するようになっている。また、インバータ制御部11aは、各種の保護機能を備えており、例えば、出力電流およびIGBT等のパワーデバイス近傍の温度からパワーデバイス内部の温度を計算する過負荷保護や、出力電流によって電動モータの保護を行う電子サーマルによるモータ保護が設けられている。
膨張弁7の開度は、ターボ冷凍機1の制御装置50によって制御されるようになっている。
同図には、図1にて図示を省略したホットガスバイパス管45が示されている。ホットガスバイパス管45は、圧縮機3の吐出側と圧縮機3の吸込側との間に設けられている。ホットガスバイパス管45には、冷媒流量を調整するためのホットガスバイパス弁45aが設けられている。このホットガスバイパス弁45aによって流量が調整された高温高圧の吐出冷媒が、圧縮機3の吸込側へとバイパスされるようになっている。ホットガスバイパス弁45aの開度は、ターボ冷凍機1の制御装置50によって調整される。
圧縮機3は、電動モータによって駆動され、所定周波数で回転させられる。入口ベーン12は、制御装置50によって、設定温度(例えば、冷水出口温度7℃)を達成するようにその開度が調整される。
また、圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒は、その一部がホットガスバイパス管45を通りホットガスバイパス弁45aで冷媒流量が調整された後、圧縮機3へと導かれるようになっている。
凝縮器5において、伝熱管14内を流れる冷却水によって高圧のガス冷媒は略等圧に冷却され、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、膨張弁7へと導かれ、この膨張弁7によって等エンタルピー膨張させられる。このように膨張させられた冷媒は、蒸発器9において蒸発し、伝熱管37内を流れる冷水から熱を奪う。蒸発器9において蒸発した低圧ガス冷媒は、圧縮機3へと導かれ、再び圧縮される。
例えば、制御装置50は、ターボ冷凍機1の外部に設けられている停電検出装置から出力される停電検出信号と、圧縮機3をはじめとするターボ冷凍機1の各部に供給される交流電圧の波形とに基づいて停電を検出する。
〔第1の実施形態〕
上述したターボ冷凍機1の制御装置50には、外部の停電検出装置から出力される停電検出信号とターボ冷凍機1の各部に供給される交流電圧の波形とが入力されるようになっている。
ここで、外部の停電検出装置とは、例えば、外部に設けられた電磁接触器または停電検出用リレー等である。
ここで、例えば、他の装置に異常が発生しているか否かは、例えば、圧縮機等に設けられている保安装置や保護装置等から通知される異常検知信号の有無により判断される。
この結果、他の装置において異常が検出されていない場合には、停電と判断せずにターボ冷凍機の運転を継続して行う。
一方、他の装置においても異常が発生していた場合には、停電と判断し、圧縮機3をはじめとするターボ冷凍機1の運転制御を停止する。
次に、本発明の第2の実施形態に係るターボ冷凍機1の制御装置50および停電検出方法について説明する。
図3には、本実施形態に係る制御装置50の概略内部構成が示されている。
図3に示されるように、制御装置50は、ターボ冷凍機1の各部に供給される交流電圧を所定の電圧値まで降圧した交流電圧信号が入力され、該交流電圧信号に基づいて停電信号を生成して出力する停電信号生成回路(停電信号生成部)51と、停電信号生成回路51からの停電信号と停電検出装置からの停電検出信号とに基づいて停電を検出するCPU(停電検出部)52とを備えている。
図4に示されるように、停電信号生成回路51は、入力された交流電圧信号を全波整流する全波整流回路(全波整流部)61と、全波整流回路61から出力された全波整流信号と予め設定されている所定の基準値とを比較し、その比較結果を2値化データ、換言すると、パルス信号として出力する比較器(比較部)62と、比較器62から出力されたパルス信号のパルス間隔、またはパルス幅に基づいて停電を検出するための停電信号を生成して出力する信号生成部63とを備えている。信号生成部63は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラムICにより構成されている。
ここで、上記許容範囲は、例えば、正常な交流電圧信号が入力された場合のパルス波形のパルス幅Tonに基づき以下のように定められる。
Ton*C1≦許容範囲≦Ton
ここで、C1は0以上1未満の所定の係数であり、設計に応じて適宜決定できる値である。本実施形態では、C1=80%としている。
ここで、上記許容範囲は、例えば、正常な交流電圧信号が入力された場合のパルス波形のパルス間隔Toffに基づき以下のように定められる。
Toff≦許容範囲≦Toff*C2
ここで、C2は1以上の所定の係数であり、設計に応じて適宜決定できる値である。本実施形態では、C2=130%としている。
信号生成部63は、パルス波形の1周期間隔で上記判定を行い、判定結果を停電信号として出力する。これにより、例えば、比較器62から入力されるパルス信号のパルス幅あるいはパルス間隔が、3周期に渡り許容範囲外であった場合には、図5(b)または図5(c)に示した停電信号が3パルス連続して発生することとなる。
CPU52は、外部に設けられた停電検出装置から入力される停電検出信号と停電信号生成回路51の信号生成部63により生成された上記停電信号とに基づいて停電を検出する。具体的には、CPU52は、図6に示す判断処理を所定の周期で繰り返し行うことにより、停電を検出する。
まず、CPU52は、停電検出信号がOFFであるか否かを判定する(ステップSA1)。この結果、停電検出信号がOFFであった場合(ステップSA1において「YES」)、つまり、外部に設けられた停電検出装置により停電が検出されていた場合には、停電検出信号が所定期間(例えば、30msec)にわたり継続してOFF状態か否かを判断する(ステップSA2)。この結果、停電検出信号が所定期間(例えば、30msec)にわたり継続してOFF状態であれば(ステップSA2において「YES」)、つまり、外部の停電検出装置により所定期間、継続して停電が検出されていた場合には、停電と判断し(ステップSA3)、ターボ冷凍機1の運転を強制的に停止する(ステップSA4)。
更に、上記停電信号を生成する停電信号生成回路51をCPU52とは別個に設けることにより、CPU52の処理を制限させることがない。つまり、CPU52の処理負担を増大させることがないので、ターボ冷凍機1の制御という本来の機能を実現するためにCPU等のハードウェア資源を用いることができる。
40 冷水入口温度センサ
42 冷水出口温度センサ
50 制御装置
51 停電信号生成回路
52 CPU
Claims (7)
- 圧縮機を備える大型冷凍機の制御装置であって、
前記大型冷凍機の外部に設けられた停電検出装置から出力される停電検出信号と少なくとも前記圧縮機に供給される交流電圧波形とに基づいて停電を検出し、
前記圧縮機に供給される交流電圧を所定の電圧値まで降圧した交流電圧信号が入力され、該交流電圧信号に基づいて生成される信号を停電信号とする場合に、
前記停電検出信号が所定期間にわたり継続してOFF状態でなければ、前記停電信号が単独で1回発生していた場合には停電と判断し、前記停電信号が単独で1回発生していなかった場合には停電ではないと判定する大型冷凍機の制御装置。 - 前記停電検出装置から出力される前記停電検出信号と前記圧縮機に供給される前記交流電圧波形の欠相の数とに基づいて停電を検出する請求項1に記載の大型冷凍機の制御装置。
- 前記停電信号を生成して出力する停電信号生成部と、
前記停電信号生成回路からの前記停電信号と前記停電検出装置からの前記停電検出信号とに基づいて停電を検出する停電検出部と
を備え、
前記停電信号生成部は、
前記交流電圧信号を全波整流する全波整流部と、
全波整流された後の信号波形を所定の基準値と比較することによりパルス波形を生成する比較部と、
前記比較部から出力されるパルス波形のパルス幅が所定の許容範囲を外れた場合、または、前記パルス波形の間隔が所定の許容範囲を外れた場合に、前記停電信号を出力する信号生成部と
を具備する請求項1または請求項2に記載の大型冷凍機の制御装置。 - 停電の検出結果に応じて少なくとも前記圧縮機を停止または運転維持させる請求項1から請求項3のいずれかに記載の大型冷凍機の制御装置。
- 圧縮機を備える大型冷凍機の停電検出方法であって、
前記大型冷凍機の外部に設けられた停電検出装置から出力される停電検出信号と少なくとも前記圧縮機に供給される交流電圧波形とに基づいて停電を検出し、
前記圧縮機に供給される交流電圧を所定の電圧値まで降圧した交流電圧信号が入力され、該交流電圧信号に基づいて生成される信号を停電信号とする場合に、
前記停電検出信号が所定期間にわたり継続してOFF状態でなければ、前記停電信号が単独で1回発生していた場合には停電と判断し、前記停電信号が単独で1回発生していなかった場合には停電ではないと判定する大型冷凍機の停電検出方法。 - 前記停電検出装置から出力される前記停電検出信号と前記圧縮機に供給される前記交流電圧波形の欠相の数とに基づいて停電を検出する請求項5に記載の大型冷凍機の停電検出方法。
- 前記圧縮機に供給される交流電圧を所定の電圧値まで降圧した交流電圧信号を全波整流し、全波整流した後の信号波形を所定の基準値と比較することによりパルス波形を生成し、該パルス波形のパルス幅が所定の許容範囲を外れた場合、または、前記パルス波形の間隔が所定の許容範囲を外れた場合に、前記停電信号を出力し、該停電信号と前記停電検出装置から出力される前記停電検出信号とに基づいて停電を検出する請求項5または請求項6に記載の大型冷凍機の停電検出方法。
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