JP5100630B2 - 太陽電池封止材 - Google Patents
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Description
本発明に用いられる耐光剤は、光エネルギーを無害な熱エネルギーに変換する紫外線吸収剤と光酸化で生成するラジカルを捕捉するヒンダードアミン系光安定剤から構成される。紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤の質量比は1:100〜100:1の範囲で、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤の質量の合計は、クロス共重合体質量100質量部に対し、0.05〜5質量部の範囲で用いられる。
エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−の組成は、公知の一般的方法により上記範囲に制御することができるが、最も簡単にはモノマ−仕込み組成比を変更することや、エチレン分圧を変更することにより達成できる。
配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−の芳香族ポリエンユニット含量0.01モル%以上0.2モル%以下の場合、透明性に優れかつ成形加工性が良好なクロス共重合体を得ることが出来る。芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%未満では、クロス共重合体の生成効率が低下し、主鎖エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−と芳香族ビニル化合物ポリマ−の混合物(非相溶)の割合が増加し、透明性が低下してしまう。芳香族ポリエンユニット含量が0.2モル%を越えると得られるクロス共重合体の成形加工性(MFR)が低下してしまい、またゲル分等が生成しやすくなる。
エチレン連鎖構造に由来する結晶構造が一定以上存在すると軟質性や透明性が損なわれてしまう場合があり、さらに成形加工時に結晶化による収縮等成形体の寸法安定性が損なわれてしまう場合がある。本発明により得られるクロス共重合体は、オレフィン結晶性および他の結晶性も含めた総結晶融解熱としては30J/g以下、好ましくは20J/g以下である。総結晶融解熱はDSC(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetry)により0℃〜150℃の範囲に観測される融点に由来するピ−クの面積の総和から求めることが出来る。
TUS/DOU値がより大きい場合、芳香族ポリエンユニット含量が少なすぎ、混合物としての性質が高くなるため、その物性、特に透明性が失われてしまう。また、TUS/DOU値が1.3以下の場合、芳香族ポリエンユニット含量が多すぎて主鎖(エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−)に由来する機能、例えば軟質性が失われやすくなり、また得られるクロス共重合体の成形加工性が悪化してしまったり、クロス共重合体中にゲル分が生成してしまう場合がある。
<配位重合工程>
本製造方法の配位重合工程においては、シングルサイト配位重合触媒が用いられる。好ましくは、下記の一般式(1)または(6)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いる。
式中、A、Bは同一でも異なっていてもよく、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、非置換もしくは置換インデニル基、または非置換もしくは置換フルオレニル基から選ばれる基である。ここで置換ベンゾインデニル基、置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、または置換フルオレニル基とは、置換可能な水素の1個以上が炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3基、SiR3基またはPR2基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)で置換されたベンゾインデニル基、シクロペンタジエニル基、インデニル基、またはフルオレニル基である。
なお、下記の一般式(2)、(3)、(4)においてR1〜R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3基、SiR3基またはPR2基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)である。R1同士、R2同士、R3同士は互いに同一でも異なっていてもよく、また、隣接するR1、R2基は一体となって5〜8員環の芳香環または脂肪環を形成してもよい。
下記の一般式(5)においてR4はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3基、SiR3基またはPR2基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)である。R4同士は互いに同一でも異なっていてもよい。
さらに好ましくは、式中、A、Bは同一でも異なっていてもよく、共に一般式(2)、(3)、(4)で示される非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、一般式(5)で示される非置換もしくは置換インデニル基から選ばれる基である。
Y’は、Cp、Zと結合を有し、他に水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基を有するメチレン基、シリレン基、エチレン基、ゲルミレン基、または硼素基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Y’は環状構造を有していてもよい。
Zは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含み、窒素原子、酸素原子または硫黄原子でM’に配位する配位子でY’と結合を有し、他に水素もしくは炭素数1〜15の置換基を有する基である。
M’はジルコニウム、ハフニウム、またはチタンである。
X’は、水素、ハロゲン、炭素数1−15のアルキル基、炭素数6−10のアリール基、炭素数8−12のアルキルアリール基、炭素数1−4の炭化水素置換基を有するシリル基、炭素数1−10のアルコキシ基、または炭素数1−6のアルキル置換基を有するジアルキルアミド基である。
nは、1または2の整数である。
アルモキサン等の助触媒は、遷移金属化合物の金属に対し、アルミニウム原子/遷移金属原子比で0.1〜100000、好ましくは10〜10000の比で用いられる。0.1より小さいと有効に遷移金属化合物を活性化出来ず、100000を超えると経済的に不利となる。
以上の共重合の方法としては溶媒を用いずに液状モノマー中で重合させる方法、あるいはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トルエン、塩化メチレン、クロロホルム等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素の単独または混合溶媒を用いる方法がある。好ましくは混合アルカン系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン等を用いる。重合形態は溶液重合、スラリ−重合いずれでもよい。また、必要に応じ、バッチ重合、連続重合、予備重合、多段式重合等の公知の方法を用いることが出来る。
単数や連結された複数のタンク式重合缶やリニアやル−プの単数、連結された複数のパイプ重合設備を用いることも可能である。パイプ状の重合缶には、動的、あるいは静的な混合機や除熱を兼ねた静的混合機等の公知の各種混合機、除熱用の細管を備えた冷却器等の公知の各種冷却器を有してもよい。また、バッチタイプの予備重合缶を有していてもよい。さらには気相重合等の方法を用いることができる。
重合時の圧力は、0.1気圧〜100気圧が適当であり、好ましくは1〜30気圧、特に工業的に特に好ましくは、1〜10気圧である。
本発明の製造方法のアニオン重合工程では、配位重合工程で得られたエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合を行う。
重合形態は、アニオン重合に用いられる任意の公知の方法を用いることができる。
重合温度は、−78℃〜200℃が適当である。−78℃より低い重合温度は工業的に不利であり、150℃を超えると連鎖移動等が起こるので適当ではない。さらに工業的に好ましくは、0℃〜200℃、特に好ましくは30℃〜150℃である。
重合時の圧力は、0.1気圧〜100気圧が適当であり、好ましくは1〜30気圧、特に工業的に特に好ましくは、1〜10気圧である。
開始剤量は、配位重合工程で、重合触媒の助触媒として、メチルアルモキサンを用いる場合には、その中に含まれる酸素原子の当量以上の、特に好ましくは2当量以上の量を用いるのが好ましい。配位重合工程で、重合触媒の助触媒として、硼素化合物を用いた場合、その量はメチルアルモキサン中の酸素原子当量に比して、十分少ないため、開始剤量を低減することが可能である。
クロス鎖部分の長さ(分子量)は、クロス化されなかったホモポリマーの分子量から推定できるが、その長さは、重量平均分子量として、好ましくは5000以上15万以下、さらに好ましくは5000以上10万以下、特に好ましくは5000以上5万以下である。また、その分子量分布(Mw/Mn)は好ましくは3以下、特に好ましくは1.5以下である。
本発明に用いられる耐光剤は、光エネルギーを無害な熱エネルギーに変換する紫外線吸収剤と光酸化で生成するラジカルを捕捉するヒンダードアミン系光安定剤から構成される。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、蓚酸アニリド系、あるいはマロン酸エステル系が例示できる。
紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤の質量比は1:100〜100:1の範囲で、紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤の質量の合計量を耐光剤質量とし、その使用量は、クロス共重合体質量100質量部に対し、0.05〜5質量部の範囲である。以上のような耐光剤は、例えば株式会社ADEKAよりアデカスタブLAシリーズとして、あるいは住化ケムテックス社よりスミソーブシリーズとして、入手することが出来る。
本発明のクロス共重合体を含む封止材には従来塩ビや他の樹脂に用いられる公知の任意の可塑剤を、クロス共重合体100質量部に対し、0.1〜30質量部の範囲で配合することが出来る。好ましく用いられる可塑剤は含酸素または含窒素系可塑剤であり、エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、エ−テル系可塑剤、またはアミド系可塑剤から選ばれる可塑剤である。
本発明に好適に用いることができるアミド系可塑剤の例としては、スルホン酸アミドが挙げられる。これら可塑剤は単独で用いても、複数を用いてもよい。
また可塑剤を配合することで、封止材の流動性を向上させることができる。特に用いられるクロス共重合体のMFR値が低い場合、上記の範囲で可塑剤を添加することにより封止材として適当なMFR値に調整することが可能となる。流動性向上のために用いられる添加剤としては、可塑剤以外には水添石油樹脂が、クロス共重合体との相溶性、透明性、無着色性の観点から好適に用いられる。
本発明のクロス共重合体と耐光剤からなる樹脂組成物には、強化ガラス等の受光面側透明保護部材や、裏面側保護部材(バックカバー)、あるいは太陽電池セル自体との接着性、密着性を向上する目的で、接着性向上剤を添加または塗布することができる。本接着性向上剤は、公知の表面処理剤を用いることが可能だが、例えばシラン系カップリング剤(表面処理剤)やチタネート系カップリング剤(表面処理剤)が好ましい。その使用量は、樹脂組成物100質量部に対して5量部以下である。
適当な老化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤、イオウ系熱安定剤等が挙げられる。その使用量は、樹脂組成物100質量部に対して3量部以下である。
本発明のクロス共重合体を含む封止材を太陽電池封止材用フィルムとして用いる場合、その厚みに特に制限はないが、一般に30μm〜1mm、好ましくは100μm〜0.5mmである。本発明の樹脂組成物からなるフィルム、シ−トを製造するには、インフレーション成形、押し出し成形、Tダイ成形、カレンダ−成形、ロ−ル成形などの成形法を採用することができる。
本発明のクロス共重合体を含む封止材は、太陽電池セルのリサイクル性を考慮すると架橋処理をせずに熱可塑性封止材として用いることが好ましいが、より高度な耐熱性を要求される場合には架橋処理を行うことも可能である。架橋処理は、一般には本熱可塑性封止材に架橋材、架橋助剤を添加し、架橋温度以下の条件でフィルム、シートを成形し、太陽電池セルの封止工程にて所定の架橋条件にて架橋を行う。本発明の熱可塑性封止材の熱可塑性は封止工程での架橋処理の前段階で溶融、流動により太陽電池セルを封止する工程で重要である。架橋条件は、用いられる架橋材、架橋助剤により任意に決定される。本熱可塑性封止材に使用可能な架橋材、架橋助剤は、通常エチレン系樹脂、スチレン系樹脂やスチレン−エチレン共重合体に用いられるものであり公知である。好ましい架橋材、架橋助剤、架橋条件は例えば、特表平10−505621(WO96/07681)、特開平08−139347号公報、特開2000−183381号公報に記載されている。このような架橋処理を行った本発明の封止材はリサイクル性という使用のメリットは無くなるが、高い水蒸気バリア性(低い水蒸気透過率)、高い体積抵抗率、及び酢酸等の腐食性物質を遊離しない点は、太陽電池の信頼性向上の面から有利である。
ピーク面積の定量を行う13C−NMRスペクトル測定は、NOEを消去させたプロトンゲートデカップリング法により、パルス幅は45°パルスを用い、繰り返し時間5秒を標準として行った。
カラム:TSK−GEL MultiporeHXL-M φ7.8×300mm(東ソ−社製)を2本直列に繋いで用いた。
カラム温度:40℃
溶媒:THF
送液流量:1.0ml/min.
なお、物性評価用の試料は加熱プレス法(温度180℃、時間3分間、圧力50kg/cm2)により成形した厚さ1.0mmのシ−トを用いた。
JIS K−6251に準拠し、シートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所社製AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて測定した。
硬度はJIS K−7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に準じてタイプAのデュロメーター硬度を求めた。この硬度は瞬間値である。
透明度は加熱プレス法(温度200℃、時間4分間、圧力50kg/cm2G)により1mm厚にシートを成形しJIS K-7375プラスチックの光学的特性試験方法に準じて日本電色工業社製濁度計NDH2000を用いて全光線透過率およびヘイズを測定した。
JIS2号小型1/2ダンベルを所定のオ−ブン内に吊し、所定の温度で1時間加熱処理し、処理前とダンベル縦方向、幅方向で長さを測定し、以下の式により伸び/収縮変形率を求めた。本伸び/収縮変形率が縦、または幅方向すべてが5%以内に収まる最高温度を耐熱変形温度とした。
伸び変形率=100×(試験後の長さ−試験前の長さ)/試験前の長さ
収縮変形率=100×(試験前の長さ−試験後の長さ)/試験前の長さ
JIS K−6261に従い測定した。
水蒸気透過率は、0.5mm厚さフィルムを用い、JISZ0208 カップ法、に従い、40℃、湿度90%の条件で100時間まで測定した。
JISK7209に従い、0.5mm厚さフィルムを用い23℃の条件下蒸留水に浸漬し、重量変化がなくなるまで重量増加率を測定した。
0.5mm厚さフィルムを用い、JISK6911に従い室温で測定した。
0.5mm厚さフィルムを用い、JISC2110に従い、室温で測定した。
0.5mm厚さフィルムを用い、フェードメータ−(光源カ−ボンア−クランプJISD0205)、シャワー無し、ブラックパネル温度83℃、400時間の条件で実施し、黄変の有無を目視で確認し、全光線透過率、ヘイズ測定を行った。
また、試験後のサンプルを短冊状に切断し、 JIS K−6251に準拠し島津製作所社製AGS−100D型引張試験機を用いて、引張速度500mm/minにて引っ張り試験を行った。
以下の製造例で用いたメタジビニルベンゼンは、アルドリッチ社製(ジビニルベンゼンとしての純度80%、メタ体、パラ体混合物のメタ体:パラ体質量比は70:30)である。
以下の製造例では、触媒(遷移金属化合物)として、rac(ラセミ体)−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド(式7)を用いた。
<クロス共重合体の合成>
触媒としてrac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い、以下のように実施した。
容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。
シクロヘキサン4200ml、スチレン600ml及びジビニルベンゼン(ジビニルベンゼンとして21.2mmol)を仕込み、内温70℃にて加熱攪拌した。乾燥窒素ガスを約100Lバブリングして系内及び重合液の水分をパージした。次いで、トリイソブチルアルミニウム8.4mmol、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、PMAO−3A)をAl基準で12.6mmol(表1中ではMAOと記載)加え、ただちにエチレンを導入し、圧力0.2MPa(2.0Kg/cm2G)、重合液温度90℃で安定した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクから、rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを21μmol、トリイソブチルアルミニウム0.84mmolを溶かしたトルエン溶液約50mlをオートクレーブ中に加えた。 内温を90℃、圧力を0.2MPaに維持しながら1時間重合を実施した(配位重合工程)。この段階でのエチレンの積算流量は標準状態で約150Lであった。重合液の少量(数十ml)をサンプリングし、メタノールに混合してポリマーを析出させることにより配位重合工程のポリマーサンプルを得た。本サンプリング液より、配位重合工程でのポリマ−収量、組成、分子量等を求めた。
重合缶へのエチレンの供給を停止し、重合液温度を70℃まで急冷しつつ、エチレンを放圧した。次いで、n−ブチルリチウム27.3mmolを触媒タンクから窒素ガスに同伴させて重合缶内に導入した。直ちにアニオン重合が開始し、内温は70℃から一時80℃まで上昇した。そのまま30分間温度を70〜80℃に維持し、攪拌を継続し重合を続けた(アニオン重合工程)。
重合終了後、得られたポリマー液を、激しく攪拌した大量のメタノール液中に少量ずつ投入して、ポリマーを回収した。このポリマーを、室温で1昼夜風乾した後に80℃、真空中、質量変化が認められなくなるまで乾燥した。740gのポリマー(クロス共重合体)を得た。
ブラベンダ−プラスチコ−ダ−(ブラベンダ−社製PL2000型)を使用し、本製造例で得られたクロス共重合体と表5、6に示す配合(質量部)で、合計約45gを200℃、100rpm、5分間混練しサンプルを作製した。耐光剤(LA31、LA36、LA52、LA63P、LA77Y)は、株式会社ADEKA製のものを用い、酸化防止剤としては、株式会社ADEKA製HP−10とチバ・ジャパン株式会社製Irganox1076を用いた。
得られた組成物から上記加熱プレス法により成形した厚さ0.5mmのシ−トを用い、全光線透過率、引っ張り試験、耐熱変形試験、耐光性試験、水蒸気透過率、飽和水分吸収量、体積抵抗率、絶縁破壊電圧の各測定を行った。得られた結果を表5、6に示す。
比較例1として耐光剤処方無しのクロス共重合体、比較例2では耐光剤量(紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤の合計量)をクロス共重合体100質量部に対し0.02質量部用いた例を、比較例3として酢酸ビニル含量約30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のシ−ト(架橋品)を用いた各測定結果を表6に示す。
さらに太陽電池封止材として好ましい低い水蒸気透過率、低い飽和水分吸収量と、高い体積抵抗率、絶縁破壊電圧を示す。これらは現行材料であるEVA樹脂(架橋体)と比較し際だって優れており、本樹脂組成物を封止材として用いた太陽電池の高い耐久性を示していると考えられる。
B 裏面側保護部材(バックカバー)
C1 受光面側封止材
C2 裏面側封止材
D 太陽電池用セル
Claims (2)
- 配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程を含み、さらに以下の条件(1)〜(5)を満足する製造方法で得られるクロス共重合体100質量部に対し耐光剤0.05〜5質量部を含む樹脂組成物を用いた封止材を含む太陽電池用封止材。
(1)配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行い、芳香族ビニル化合物ユニット含量10モル%以上35モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量0.01モル%以上0.2モル%以下、残部がエチレンユニット含量であるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−を合成する。次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合する。
(2)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−の重量平均分子量が3万以上15万以下、分子量分布(Mw/Mn)が1.8以上3以下である。
(3)前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−の0℃〜150℃までに観測される結晶融解熱(ΔH)が30J/g以下である。
(4)前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−のTUS(エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−に含まれる重合性不飽和基の総和であり、ジビニルベンゼンユニット由来の二重結合+末端二重結合の総和を示す)とDOU(エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−のジビニルベンゼンユニット含量)の関係が、1.3≦TUS/DOU≦10の範囲である。
(5)アニオン重合工程を経て得られるクロス共重合体中のエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体マクロモノマ−ユニットの質量割合が40質量%以上90質量%以下である。 - 請求項1記載の封止材を用いた太陽電池。
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