JP5100605B2 - 捕虫器 - Google Patents

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Description

本発明は、誘虫源に誘引された虫を捕獲する捕虫器に関する。
従来から、この種の捕虫器として、虫を誘引する光を出射する誘虫ランプと、誘虫ランプが取り付けられ虫を収容する捕虫ボックスと、誘虫ランプにより誘引された虫を捕虫ボックス内に吸引する吸引装置とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、吸引装置の多くは、ファンを有しており、ファンの回転により捕虫ボックス内を減圧して虫を吸引するようにしている。
ところで、上述のような吸引式の捕虫器においては、一般に、誘虫ランプに誘引される虫の数や大きさに関係なく、吸引装置を常時一定出力で運転して虫の吸引を行っている。そのため、ファンの稼働時間が多くなり、動作不良や故障の原因となると共に、無駄な電力を消費して不経済である。また、このような問題に対して吸引装置の機械的構成を改良した場合、構造が複雑化され、機器サイズが大きくなったり重量が重くなる。
特開平11−127752号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、簡便な構造でありながら、経済的で機器の性能が劣化することがない捕虫器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、虫を誘引する誘虫源を有し、虫を捕獲する捕虫器において、前記誘虫源が取り付けられる誘虫ボックスと、前記誘虫ボックスと連通され、虫を収容する捕虫ボックスと、前記捕虫ボックス内を減圧することにより、前記誘虫ボックス内に居る虫を前記捕虫ボックス内に吸引するファンと、前記誘虫ボックス内に居る虫の個体数又は該個体の大きさを検知する検知部と、前記検知部の検知結果に応じて前記ファンの回転数を制御する制御部と、を備えたものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記捕虫ボックスの前側に設けられ、前記誘虫源により誘引された虫が誘虫ボックス側から捕虫ボックス側に通過し易くする開口を有した壁部材と、前記壁部材を振動させる振動機構と、を備え、前記振動機構は、前記ファンの回転数が前記制御部により制御された後に、前記壁部材の振動を開始するものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記検知部は、前記壁部材を含む範囲を撮像する撮像手段を有し、前記制御部は、前記撮像手段により取得される画像データに基づき、前記壁部材に居る虫の個体数又は該個体の大きさを演算するものである。
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記検知部は、前記壁部材に配置された虫検知用の電線と、前記電線の抵抗を測定する測定手段とを有し、前記制御部は、前記測定手段により取得される抵抗データに基づき、前記壁部材に居る虫の個体数又は該個体の大きさを演算するものである。
請求項1の発明によれば、誘虫ボックス内に居る虫の状況に応じて、ファンを最適に回転制御できるので、誘虫源に誘引され誘虫ボックス内に入った虫を効率的に吸引し、捕虫ボックス内に収容することが可能となる。そのため、ファンの稼働時間や回転出力を低減して、ファンの故障を防止できると共に省エネルギ化を図れる。また、ファンの機械的構成を改良する必要がなく、汎用性のある安価なファンを本器に用いることできる。
請求項2の発明によれば、誘虫源により誘引された虫を、壁部材の開口を通して効果的に吸引できる。また、ファンが回転した後に壁部材が振動するので、誘虫源に誘引されて壁部材に付着した虫を離脱させ、開口から捕虫ボックス内に吸引することができる。
請求項3の発明によれば、撮像手段による画像データに基づき、壁部材に居る虫の個体数又は該個体の大きさを演算するので、誘虫ボックス内に居る虫の状況に的確に把握することができる。
請求項4の発明によれば、誘虫ボックス内の居る虫の状況に的確に把握できる。また、壁部材に居る虫の個体数又は該個体の大きさを取得する際に、カメラのような別装置を用いる必要がないので、本器の外観設計を殆ど変更することなく、既存のサイズを維持できる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る捕虫器について図1及び図2を参照して説明する。図1、図2は本実施形態に係る捕虫器1の構成を示す。捕虫器1は、ハエや蚊等の飛翔性を持つ害虫を誘引し、これら虫を捕獲するものであって、虫の多い屋外空間や、屋外空間に面した建物内の空間等に設置される。捕虫器1は、虫2を誘引する誘虫源である捕虫用の光源3と、光源3が取り付けられる誘虫ボックス4と、誘虫ボックス4と連通され虫2を収容する捕虫ボックス5と、誘虫ボックス4内に居る虫2を捕虫ボックス5内に吸引するファン6とを備える。ここで、本実施形態においては、誘虫ボックス4と捕虫ボックス5とが1つの箱状部材により一体的に構成されており、双方のボックス4及び5内は壁部材7により仕切られている。壁部材7は、ファン6により吸引される虫2が通過するスリット状の開口71を有している。また、捕虫器1は、壁部材7を振動させる振動機構8と、誘虫ボックス4内に居る虫2の個体数又は該個体の大きさを検知する検知部としての撮像手段9と、検知部の検知結果に応じてファン6の回転数を制御する制御部10とを備える。
光源3は、紫外線を含有する光を出射する直管形状のランプであり、誘虫ボックス4の両側内壁に縦向きにして設けられている。光源3の出射光に含まれる紫外線は、虫の走光曲線又は視感度曲線に基づいて設定されたUV―A(波長が315nm〜380nm)であり、高い誘虫効果を有している。光源3の種類は特に限定されるものでなく、例えば、蛍光ランプや冷陰極ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、LED、有機EL等が挙げられる。光源3の前方は、遮光板31で覆われており、捕虫器1に近寄ってくる虫2からは光源3が直接見えないようにして、光源3に虫2が集まるのを防止している。
誘虫ボックス4は、光源3により誘引された虫2が侵入できるように、前側が開口した開空間とされている。捕虫ボックス5は、誘虫ボックス4の後方に配置され、収容した虫2が逃げ出さないよう閉空間とされている。捕虫ボックス5は、収容した虫2を排出するための開閉自在な扉51を有している。誘虫ボックス4及び捕虫ボックス5は、例えば、板金やアクリル板等を用いて形成される。
ファン6は、捕虫ボックス5の後端に形成された取付窓52に設けられており、モータにより回転駆動されるハブ61と、ハブ61に連接された複数の羽根62とを有している。ファン6は、捕虫ボックス5内の空気を取付窓52から排出し、捕虫ボックス5内を減圧することにより、壁部材7の開口71から虫2を吸引するようになっている。ファン6の前方には、フィルタ63が設けられており、ファン6内に虫2が侵入するのを防止している。ファン6は、壁部材7に虫2が居ない場合には、基本的に停止状態となる。
壁部材7は、誘虫ボックス4側の表面に紫外線及び可視光を反射する特性を有しており、これにより、光源3の出射光が壁部材7で反射されて捕虫器1の前方から出力され、虫2が壁部材7に集まるようになっている。ここで、壁部材7に集まった虫2は、壁部材7にしがみついたり、壁部材7を徘徊する。壁部材7の開口71は、該部材7の上下方向に複数形成されており、誘虫ボックス4側から捕虫ボックス5側に向けて開口幅が漸減するテーパ形状とされている。誘虫ボックス4側の開口幅は、虫2が容易に通過する寸法に設定され、捕虫ボックス5側の開口幅は、虫2の腹幅と同程度の寸法に設定される。例えば、捕虫器1の捕虫対象をイエバエ、ユスリカとする場合、誘虫ボックス4側の開口幅は5mmより大きく、捕虫ボックス5側の開口幅は5mm以下が望ましい。これにより、光源3により誘引された虫2が、誘虫ボックス4側から捕虫ボックス5側に通過し易くなり、併せて、捕虫ボックス5に収容された虫2が、開口71を通って逃げ出し難くなる。
振動機構8は、ファン6の回転数が制御部10により制御された後に、壁部材7の振動を開始することにより、壁部材7に付着した虫2を離脱させ、開口71から吸引し易くするものである。振動機構8は、例えば、携帯電話等で使用される小型の振動モータ等で構成される。撮像手段9は、壁部材7を含む範囲を撮像するカメラであり、壁部材7の誘虫ボックス4側に集まった虫2の状況を常時監視し、撮像した画像データを検知結果として制御部10に送信する。
制御部10は、撮像手段9から送信される画像データに基づき、壁部材7に居る虫2の個体数又は該個体の大きさを演算する。具体的には、送信される画像データと事前に取得した背景画像データとの差分処理を行って背景除去された虫画像データを抽出し、この虫画像データの画素面積等を解析して、壁部材7に居る虫2の個体数又は該個体の大きさを演算結果として取得する。ここで、背景画像データとは、壁部材7を虫2が居ない状態で撮像したものである。
制御部10は、虫の個体数又は該個体の大きさ毎に最適なファン6の回転数をテーブル化した回転制御用のデータベースを、内蔵のメモリに記憶している。制御部10は、記憶したデータベースを参照して上記演算結果に対応するファン6の回転数を選択し、選択したデータからファン6に供給する電圧レベルを決定する。データベースに設定される回転数データは、壁部材7の開口71から虫2を効率的に吸引可能な単位時間当りの回転速度である。具体的に、虫の個体数又は該個体の大きさの値が大きいときには、回転数データは大きい値とされ、虫の個体数又は該個体の大きさの数値が小さいときには、回転数データは小さい値とされる。
上記のように構成された捕虫器1の作用について説明する。捕虫器1の電源が投入されると、光源3が点灯し、光源3の出射光は壁部材7で反射されて誘虫ボックス4の前方から出力される。捕虫器1周辺に居る虫2は、上記光に誘引されて誘虫ボックス4内に侵入し、壁部材7に集まってくる。撮像手段9は、光源3の点灯と同時に壁部材7の撮像を開始し、撮像した画像データを制御部10に送信する。上記画像データの送信は、連続的であっても、一定間隔毎であってもかまわない。制御部10は、撮像手段9から送信される画像データに基づき、虫の個体数と該個体の大きさを算出し、上記演算結果に対応する回転数でファン6を回転させる。
ファン6が回転すると、捕虫ボックス5内に負圧が発生し、壁部材7に集まった虫2のうち、壁部材7を徘徊する虫は、開口71から吸引されて捕虫ボックス5内に収容される。また、ファン6の回転に伴って壁部材7が振動し、壁部材7に集まった虫2のうち、壁部材7にしがみついている虫についても、同様に捕虫ボックス5内に収容される。捕虫ボックス5内に収容された虫2は、餌や水不足によって死滅し、ユーザにより扉51から定期的に排出される。ここで、捕虫ボックス5内は風通しがよく、虫2が乾燥しやすい環境となっているので、死滅した虫2が腐敗することがない。
以上、本実施形態に係る捕虫器1によれば、誘虫ボックス4内に居る虫2の状況に応じて、ファン6を最適に回転制御できるので、光源3に誘引され誘虫ボックス4内に入った虫2を効率的に吸引し、捕虫ボックス5内に収容することが可能となる。そのため、ファン6の稼働時間や回転出力を低減して、ファン6の故障を防止できると共に省エネルギ化を図れる。また、ファン6の機械的構成を改良する必要がなく、汎用性のある安価なファン6を捕虫器1に用いることできる。また、壁部材7の開口71は、誘虫ボックス4側から捕虫ボックス5側に虫2が通過し易くする形状とされているので、光源3により誘引された虫2を、壁部材7の開口71を通して効果的に吸引できる。また、ファン6が回転した後に壁部材7が振動するので、壁部材7に付着した虫2を離脱させ、開口71から捕虫ボックス5内に吸引することができる。また、撮像手段9による画像データに基づき、壁部材7に居る虫2の個体数又は該個体の大きさを演算するので、誘虫ボックス4内に居る虫2の状況に的確に把握することができる。
次に、第1の実施形態の捕虫器1における種々の変形例を図3及び図4を参照して説明する。図3に示す捕虫器1の壁部材7は、透光板により形成されており、この板の後方に光源3が設けられている。これにより、光源3の出射光が壁部材7を透過して捕虫器1の前方から出力され、虫2が壁部材7に集まるようになる。図4に示す捕虫器1の壁部材7は、導光板により形成されており、この板の両側端に光源3が設けられている。光源3の前方は、虫2が光源3に集まらないように遮光板31で覆われている。これにより、光源3の出射光が壁部材7内に導光され、壁部材7そのものが発光しているようになり、虫2が壁部材7に集まるようになる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る捕虫器について図5及び図6を参照して説明する。図5、図6は本実施形態に係る捕虫器1の構成を示す。捕虫器1の検知部は、壁部材7に配置された虫検知用の電線11と、電線11の抵抗を測定する測定手段12とで構成される。電線11は、導体が絶縁被覆されていない裸電線であって、アース側となる線11aと、プラス極側又はマイナス極側となる11b線とを有しており、互いの線11a、11bが隣り合うよう開口71の斜面部に複数配されている。線11aと線11bとの間隔は、捕虫器1の捕虫対象とする虫の幅と同程度、又はそれ以下に設定される。例えば、イエバエ、ユスリカを対象とする場合、上記間隔は5mm以下とする。線12bには、プラス又はマイナス電荷の微弱な電流が流れており、壁部材7に集まってきた虫2が、隣り合う線11a及び線11bに同時に触れると、その虫2の個体数や該個体の大きさに応じて電線11全体の抵抗値が変化する。測定手段12は、電線11に流れる電流値をモニタリングすることにより電線11の抵抗を測定するものであり、測定した抵抗データを制御部10に送信する。
制御部10は、測定手段12から送信される抵抗データに基づき、壁部材7に居る虫2の個体数又は該個体の大きさを演算する。具体的には、メモリに予め記憶される、虫の個体数又は該個体の大きさと電線11の抵抗値との関数データを参照し、測定された抵抗データに対応する虫の個体数又は該個体の大きさを演算結果として取得する。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。また、上述の図3及び図4に示す構成が、本実施形態の壁部材7及び光源3の変形例として適用できることは言うまでもない。なお、上記のような構成の場合、壁部材7に居る虫2の個体数又は該個体の大きさは、隣り合う線82a及び線82bで構成された電線エリア毎に算出される。そのため、虫の個体数又は該個体の大きさをより詳細に検知するためには、組となる電線エリアを細分化して多数設置することが望ましい。
以上、本実施形態の捕虫器1においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、誘虫ボックス4内の居る虫2の状況に的確に把握できる。また、壁部材7に居る虫2の個体数又は該個体の大きさを取得する際に、カメラのような別装置を用いる必要がないので、捕虫器1の外観設計を殆ど変更することなく、既存の機器サイズを維持できる。
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上述の実施形態では誘虫源として光源3を用いた例を示したが、これに限られず、誘虫効果のある匂い源や音源等を用いてもよい。匂い源としては、捕獲する虫の性フェロモンや集合フェロモン、虫の餌となる動植物抽出物、これらに類似する匂いを有するもの等が挙げられる。音源としては、虫の羽ばたき音のような超音波成分を含んだ音を発するものが挙げられる。
本発明の第1の実施形態に係る捕虫器の斜視図。 (a)は上記捕虫器の正面図、(b)は同捕虫器の側断面図。 (a)は上記捕虫器の変形例を示す斜視図。 (a)は上記捕虫器の他の変形例を示す斜視図。 本発明の第2の実施形態に係る捕虫器の斜視図。 (a)は上記捕虫器の正面図、(b)は同捕虫器の側断面図。
符号の説明
1 捕虫器
2 虫
3 光源(誘虫源)
4 誘虫ボックス
5 捕虫ボックス
6 ファン
7 壁部材
71 開口
8 振動機構
9 撮像手段(検知部)
10 制御部
11 電線(検知部)
12 測定手段(検知部)

Claims (4)

  1. 虫を誘引する誘虫源を有し、虫を捕獲する捕虫器において、
    前記誘虫源が取り付けられる誘虫ボックスと、
    前記誘虫ボックスと連通され、虫を収容する捕虫ボックスと、
    前記捕虫ボックス内を減圧することにより、前記誘虫ボックス内に居る虫を前記捕虫ボックス内に吸引するファンと、
    前記誘虫ボックス内に居る虫の個体数又は該個体の大きさを検知する検知部と、
    前記検知部の検知結果に応じて前記ファンの回転数を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする捕虫器。
  2. 前記捕虫ボックスの前側に設けられ、前記誘虫源により誘引された虫が誘虫ボックス側から捕虫ボックス側に通過し易くする開口を有した壁部材と、
    前記壁部材を振動させる振動機構と、を備え、
    前記振動機構は、前記ファンの回転数が前記制御部により制御された後に、前記壁部材の振動を開始することを特徴とする請求項1に記載の捕虫器。
  3. 前記検知部は、前記壁部材を含む範囲を撮像する撮像手段を有し、
    前記制御部は、前記撮像手段により取得される画像データに基づき、前記壁部材に居る虫の個体数又は該個体の大きさを演算することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の捕虫器。
  4. 前記検知部は、前記壁部材に配置された虫検知用の電線と、前記電線の抵抗を測定する測定手段とを有し、
    前記制御部は、前記測定手段により取得される抵抗データに基づき、前記壁部材に居る虫の個体数又は該個体の大きさを演算することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の捕虫器。
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