JP5100154B2 - 固定極ユニットとその製造方法、及びエレクトレットコンデンサマイクロホンユニット - Google Patents
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Description
このコンデンサマイクロホンの一種に、背極となる固定極にエレクトレット材を用いたエレクトレットコンデンサマイクロホンがある。エレクトレット材とは、半永久的に電荷を蓄える高分子化合物である。
図8において、エレクトレットコンデンサマイクロホンユニット(以下「マイクユニット」という)101は、有底の円筒形のユニットケース111内に以下の各部品を収容することにより構成されている。このユニットケース111は、底部に相当する部分が前側となり、マイクロホンにおける音声の入力部となっている。また、この底部にはマイクユニット内部に音声を導き入れるための孔111aが複数形成されている。ユニットケース111内には、この底部に最も近い位置にリング状の振動板保持体112が配置され、さらに、外周縁部が前記振動板保持体112の一端面に固着された振動板113が配置されている。
前記ユニットケース111内には、固定極115の後面側に固定極支持体である絶縁スリーブ116が配置されている。絶縁スリーブ116は、たとえば合成樹脂からなり、ユニットケース111内の径方向の寸法を規定して前記固定極115を所定の位置に固定する。絶縁スリーブ116は、これを接着剤によって前記固定極115と接着し、この絶縁スリーブ116と前記固定極115によって形成される平面部に前記エレクトレット材131を貼り付けている。
したがって、このような構造では、マイクユニットの口径を小さくすると、有効容量のストレー容量に対する比を大きくとることが出来なくなり、損失の多いマイクユニットになってしまう。
上記特許文献1及び2に記載の技術は何れも、固定極の外径を振動板支持体の内径以下の寸法にすることによって、ストレー容量を減らして感度を向上させようとするものである。
すなわち、マイクロホン部においては、振動膜と背面電極との距離を近接させるほど、より感度を高めることが知られている。ところが、絶縁基板上に背面電極が凸状に形成されていると振動膜と背面電極との距離が著しく近くなり過ぎ、振動膜の中央部が大きく撓んで対向する背面電極の中央部に接触し、マイクロホンとしての機能を低下させてしまう虞があった。また、この場合にスペーサの厚さによって振動膜と背面電極との距離を調整するのは困難であり、スペーサの厚さを変えることに伴って静電容量が変化し、感度が低下することや、雑音が多く発生するなどの問題が生ずる虞もあった。
さらに、上記特許文献1においては、絶縁基板上に背面極電極が形成されていることから、背面電極とプリント基板との電気的導通が複雑な構造となる難点もある。
また、本発明の固定極ユニットは、絶縁環によって固定極が所定の位置に固定され、固定極と絶縁環とが、同一高さの平面を成すように固定手段によって一体化されている。ゆえに、そのクランプが容易であり、固定極の通気孔の穴数が多い大口径ユニットであっても、固定極上面へのエレクトレット材を貼り付け前後に関わらず容易に開口を形成することができる。しかも、本発明の固定極ユニットは、これをプリント基板と電気的に接続する導電スリーブによって押圧することができるので、固定極とプリント基板との電気的導通も容易である。
したがって、本発明の固定極ユニットによれば、ユニットケースの折り返し部による押圧力によってそれぞれの部材が位置決めされる構造をしたエレクトレットコンデンサマイクロホンユニットの構成部材としてそのユニットケース内に組み込むことが可能であり、固定極の開口の数が多い大口径ユニットに適用可能であり、マイクロホンユニットのストレー容量を減少させることができる。
したがって、本発明の固定極ユニットの製造方法によって製造された固定極ユニットは、ユニットケースの折り返し部による押圧力によってそれぞれの部材が位置決めされる構造をしたエレクトレットコンデンサマイクロホンユニットの構成部材としてそのユニットケース内に組み込むことが可能であり、固定極に形成される開口の数が多い大口径ユニットに適用するのに適した構造を有し、マイクロホンユニットのストレー容量を減少させることができる。
本実施形態の固定極ユニットは、エレクトレットコンデンサマイクロホンユニット(以下「マイクユニット」という)の構成部材としてそのユニットケース内に組み込まれ、振動板保持体に張設された振動板と隙間をおいて対向配置され、前記振動板との間でコンデンサを構成するものである。
図1は、本発明に係る固定極ユニットを示す縦断側面図である。また、図2は、固定極ユニットを構成する固定極の構造を説明する、(a)は平面図、(b)は図2(a)中のI−I線に沿う縦断側面図である。さらに、図3は、固定極ユニットを構成する絶縁環の構造を説明する、(a)は平面図、(b)は図3(a)中のII−II線に沿う縦断側面図である。
本実施形態の固定極ユニット10は、図1乃至図3に示すように、固定極15と、絶縁環32と、固定手段30とを備える。
図3において、絶縁環32の一方の面には、内周域にランド状の第一の導体部33Aが設けられると共に、その他方の面には、内周域にランド状の第三の導体部34Aが設けられている。また、図3において、この絶縁環32の開口部32aを形成する内周壁面には、前記第一の導体部33Aと第二の導体部34Aを接続する金属めっき35が施されている。これにより、金属部材である固定極15と絶縁部材である絶縁環32とを、固定手段30として後述するクリームはんだを用いることで、接合することが可能になる。
また、絶縁環32の一方の面における外周域にランド状の第三の導体部33Bを設けると共に、その他方の面おける外周域にランド状の第四の導体部34Bを設けても良い。これにより、固定極ユニット10の全体的な高さを均一なものとし、対向する振動板との間において精度の高い平面性を確保することができる。なお、これら各導体部33A、33B,34A,34Bとしては、たとえば銅箔を挙げることができ、プリント配線基板(PCB)の製造手法によって上記各導体部を形成することができる。
図5は、本発明に係る固定極ユニットの製造方法の一例を簡略的に示す製造工程図である。
まず、図5(a)に示すように、平坦な基台50の上に絶縁環32を配置する。基台50としては、たとえばガラス板を挙げることができる。
次に、図5(b)に示すように、前記絶縁環32の開口部32a内に、エレクトレット材31形成面を前記基台50側に向けて固定極15を配置する。
引き続き、図5(c)に示すように、固定極15が入り込んだ前記絶縁環32の開口部32aと固定極15の外周面との隙間3aに、固定手段としてペースト状の接合材料30を充填する。この接合材料としては、たとえばクリームはんだを用いる。ここで、図5(c)において点線サークルAで示す部分を、図6に拡大して示す。図6において、接合材料30は、固定極15の外周面と絶縁環32の内周壁面に施した金属めっき35との間に形成された隙間部3aに充填されている。
そして、基台50を外し、プレス加工により固定極15の通気孔10aとエレクトレット材31の開口を同時に形成することで、固定極ユニット10を得ることができる。なお、前述したとおり、予め通気孔10aが形成された固定極15を用い、エレクトレット材31を貼り付けた後、絶縁環32とともにユニット化する前に、またはユニット化後に、上記通気孔10aを塞いでいるエレクトレット材31をプレスで開口するものとしても良い。
図7は、固定極ユニットを組み込んだマイクユニットを示す縦断側面図である。
図7において、マイクユニット1は、有底の円筒形のユニットケース11内に以下の各部品を収容して構成されている。このユニットケース11は、ユニット内部に音声を導き入れるための複数の孔11aを有している。ユニットケース11内には、リング状の振動板保持体12の一端面に、その外周縁部が固着されることで張設された振動板13が配置されている。
このように固定極ユニット10や振動板13を含む各部材は、ユニットケース11内に組み込まれ、エレクトレットコンデンサマイクロホンのマイクユニット1を構成している。
10 固定極ユニット
11 ユニットケース
12 振動板保持体
13 振動板
14 スペーサ
15 固定極
16 絶縁スリーブ
17 導電スリーブ
18 電界効果型トランジスタ(FET)
19 プリント回路基板
31 エレクトレット材
32 絶縁環
Claims (3)
- ユニットケース内に組み込まれ、
振動板保持体に張設された振動板と隙間をおいて対向配置され、前記振動板との間でコンデンサを構成する固定極ユニットであって、
前記振動板との対向面側にエレクトレット材が貼り付けられた円板形の固定極と、
この円板形の固定極が入り込む円形の開口部を有し、ユニットケース内の径方向の寸法を規定して前記円板形の固定極を所定の位置に固定する絶縁環と、
この絶縁環の円形の開口部内に入り込んだ前記円板形の固定極が、前記絶縁環と同一高さの平面を成すように前記円板形の固定極と前記絶縁環とを一体化する固定手段と、
を備え、
前記円板形の固定極は、その外径が前記振動板保持体の内径以下の大きさであり、
前記固定手段は、前記円板形の固定極が入り込んだ前記絶縁環の円形の開口部との隙間に充填され硬化するペースト状の接合材料であり、
前記絶縁環は、少なくとも前記円形の開口部を形成する内周壁面に金属めっきが施されており、前記接合材料は、クリームはんだである、
ことを特徴とする固定極ユニット。 - 請求項1に記載の固定極ユニットを備えることを特徴とするエレクトレットコンデンサマイクロホンユニット。
- ユニットケース内に組み込まれ、振動板保持体に張設された振動板と隙間をおいて対向配置され、前記振動板との間でコンデンサを構成する、前記振動板との対向面側にエレクトレット材が貼り付けられた円板形の固定極と、
この円板形の固定極が入り込む円形の開口部を有し、ユニットケース内の径方向の寸法を規定して前記円板形の固定極を所定の位置に固定する絶縁環と、
この絶縁環の円形の開口部内に入り込んだ前記円板形の固定極が、前記絶縁環と同一高さの平面を成すように前記円板形の固定極と前記絶縁環とを一体化する固定手段と、
を備え、
前記円板形の固定極は、その外径が前記振動板保持体の内径以下の大きさであり、
前記固定手段は、前記円板形の固定極が入り込んだ前記絶縁環の円形の開口部との隙間に充填され硬化するペースト状の接合材料であり、
前記絶縁環は、少なくとも前記円形の開口部を形成する内周壁面に金属めっきが施されており、前記接合材料は、クリームはんだである、
ことを特徴とする固定極ユニットの製造方法であって、
平坦な基台の上に前記絶縁環を配置する工程A、
前記絶縁環の円形の開口部内に、エレクトレット材面を前記基台側に向けて前記円板形の固定極を配置する工程B、
前記円板形の固定極が入り込んだ前記絶縁環の円形の開口部との隙間に、固定手段としてペースト状の接合材料を充填する工程C、
前記円板形の固定極と前記絶縁環とを押え付けながら、前記ペースト状の接合材料を硬化させて前記円板形の固定極と前記絶縁環とを一体化する工程D、
を少なくとも順に備えることを特徴とする固定極ユニットの製造方法。
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