JP5099561B2 - アスベストの無害化処理法 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント硬化体に含有されるアスベストを無害化する処理法に関するものである。
アスベスト(石綿)は、耐熱性、耐火性、耐薬品性、耐腐食性等において高い特性を有するために、建築資材や断熱材などにおいて古くから使用されている。建築資材としては、石綿スレート、石綿セメント板、石綿セメントサイディングなど、アスベスト含有セメント硬化体が代表的なものである。
しかし、アスベストは、人体の呼吸器官に侵入すると中皮腫や肺ガン等を引き起こす原因物質と考えられるようになっており、被害者が多発していることが社会問題となっている。このため、アスベスト含有セメント硬化体を新規に製造することが規制されているのは勿論であるが、既存建築物に施工されているアスベスト含有セメント硬化体の廃棄が大きな問題になっている。すなわち、既存建築物から回収したアスベスト含有セメント硬化体を廃棄する際に、アスベストが飛散すると、この飛散したアスベストで二次的な被害が発生することになる。
そこで、アスベストを無害化処理することが種々検討されている。アスベストは針状結晶を有するものであり、このような針状結晶という性状によって、呼吸器官に中皮種や肺ガン等を引き起すものであるが、アスベストを高温に加熱すると、針状結晶が熱変性して分解され、アスベストを無害な状態にすることができることが知られている(特許文献1,2等参照)。
そして石綿スレートや石綿セメント板などのセメント硬化体の場合は、セメント硬化体を加熱して含有されるアスベストが熱変性する温度以上に昇温させることによって、セメント硬化体中のアスベストを無害化することができるものであり、アスベストを無害化したこのセメント硬化体は安全に処分することができるものである。
ここで、上記の特許文献1や特許文献2では、アスベストを高温炉床や電気炉を用いて加熱することによって、無害化処理をするようにしており、セメント硬化体をこれらの加熱手段で加熱することによって、セメント硬化体に含有されるアスベストを無害化処理することが可能である。
しかし、アスベスト含有セメント硬化体において、アスベスト自体が高い断熱性を有する他に、セメント硬化体中のセメントマトリクスや充填材も熱伝導が小さい材料である。例えばアスベスト含有セメント硬化体からなる屋根材の場合、熱伝導率は0.2〜0.3kcal/mh℃程度と小さい。このため、高温炉床や電気炉のようにセメント硬化体を外部から加熱する場合には、セメント硬化体の表面や端部の昇温速度は速いが、内部の昇温速度は遅く、外部と内部との間の温度差が大きくなって、セメント硬化体の内部まで高温に加熱するには長い加熱時間が必要になる。特に石綿スレートや石綿セメント板などのセメント硬化体の場合には、複数枚を積み重ねて加熱処理することによって、無害化処理の効率を高めるようにするのが一般的であるが、中央部に重ねたセメント硬化体にまで熱が伝わるのに時間がかかり、加熱時間がより長くなる。
またこのようにセメント硬化体の外部と内部の間で温度ばらつきが生じると、セメント硬化体が変形して破損に繋がることがあり、この破損の際にセメント硬化体に含有されるアスベストが飛散するおそれがある。
そこで、特許文献3では、アスベスト含有物にマイクロ波を照射して、内部から自己発熱させることによって、アスベストを短時間の加熱で変性して無害化処理をすることが提案されている。
特開平3−60789号公報 特開平7−171536号公報 WO2007/034816
従って、特許文献3の記載方法に従って、アスベスト含有セメント硬化体にマイクロ波を照射して、セメント硬化体を内部から加熱すると、セメント硬化体が熱伝導の小さい材料で形成されているにもかかわらず、セメント硬化体を短時間で加熱することができるものであり、またセメント硬化体の外部と内部との間での温度のばらつきが大きくなることを防ぐことができるものである。
しかし、セメント硬化体には結露、気中水分、雨水等外部から取り込まれた水や反応の余剰水をさす自由水や、セメント成分の化合物や骨材の化合物に結合された結晶水が含有されているものであり、マイクロ波照射のような内部から加熱する内部加熱手段を用いる場合、セメント硬化体が内部から加熱されると、セメント硬化体の内部に含まれる自由水及び結晶水が気化し、この気化した自由水及び結晶水がセメント硬化体の内部で膨張して、セメント硬化体が爆裂するおそれがある。そしてこのようにセメント硬化体が爆裂するとセメント硬化体に含有されているアスベストが飛散する危険がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、セメント硬化体が爆裂することを防ぎつつ、セメント硬化体を短時間で加熱して含有されるアスベストを変性することができるアスベストの無害化処理方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係るアスベストの無害化処理方法は、セメント硬化体を外部から加熱する外部加熱手段と、セメント硬化体を内部から加熱する内部加熱手段とを併用してセメント硬化体を加熱することによって、セメント硬化体中に含有されるアスベストを変性して無害化処理するにあたって、セメント硬化体中の自由水及び結晶水を飛散させる加熱を行なう第1加熱工程と、セメント硬化体の内部の温度を表面の温度にまで高めるように加熱を行なう第2加熱工程と、セメント硬化体中のアスベストを変性させる温度で加熱を行なう第3加熱工程とを備え、前記第1加熱工程と前記第2加熱工程と前記第3加熱工程のいずれの工程でも外部加熱手段からの出力で加熱を行うと共に、前記第1加熱工程と前記第2加熱工程と前記第3加熱工程の順で段階的に内部加熱手段の出力を高めて加熱を行なうことにより、セメント硬化体を段階的に昇温するように加熱処理することを特徴とするものである。
このように、外部加熱手段と内部加熱手段とを併用することによって、セメント硬化体を外部からと内部からと同時に加熱して、外部と内部との温度差が生じることなく迅速にセメント硬化体を加熱処理することができ、短時間の処理でセメント硬化体に含有されるアスベストを変性して無害化することができるものである。そしてまず第1加熱工程でセメント硬化体中の自由水及び結晶水を徐々に飛散させることによって、セメント硬化体に爆裂や大きな変形、破損が生じることを防ぐことができ、また第2加熱工程では自由水及び結晶水が除去されたセメント硬化体の内部を効率良く表面の温度まで迅速に温度上昇させることができ、さらに第3加熱工程でセメント硬化体の加熱温度を高温に維持して、含有されるアスベストを変性して無害化することができるものである。
また本発明において、上記の第1加熱工程では、セメント硬化体の温度が650〜750℃になるまで昇温させ、上記の第2加熱工程では、セメント硬化体の内部の温度を表面の温度にまで高めるように昇温させ、上記の第3加熱工程では、セメント硬化体の温度を850℃以上に保持するようにしたことを特徴とするものである。
第1加熱工程でセメント硬化体を上記の温度になるまで昇温させることによって、セメント硬化体内の自由水及び結晶水をほぼ飛散させることができるものであり、また第2加熱工程では結晶水が除去されたセメント硬化体の内部を効率良く加熱してセメント硬化体を上記の温度にまで迅速に昇温させることができるものであり、さらに第3加熱工程でセメント硬化体の温度を850℃以上に保持することによって、セメント硬化体に含有されるアスベストを変性して無害化することができるものである。
また本発明は、上記の第1加熱工程での内部加熱手段の出力を、第3加熱工程において設定される内部加熱手段の出力の20%以下に設定すると共に、上記の第2加熱工程での内部加熱手段の出力を、第3加熱工程において設定される内部加熱手段の出力の20%を超え80%以下の範囲に設定することを特徴とするものである。
このように内部加熱手段の出力を第1加熱工程、第2加熱工程、第3加熱工程の順に高めることによって、セメント硬化体内の自由水及び結晶水の急激な気化による爆裂を防ぎつつ、セメント硬化体の加熱温度を効率良く上昇させることができるものである。
また本発明は、上記外部加熱手段が電気ヒーターであり、上記内部加熱手段がマイクロ波発振器であることを特徴とするものである。
外部加熱手段として電気ヒーターを用いることによって、セメント硬化体を外部から効率良く加熱することができると共に、内部加熱手段としてマイクロ波発振器を用いることによって、マイクロ波(高周波)による誘電加熱でセメント硬化体を内部から効率良く加熱することができるものである。
また本発明は、セメント硬化体を外部から加熱する外部加熱手段と、セメント硬化体を内部から加熱する内部加熱手段とを備えた第1乃至第3の加熱ゾーンにこの順にセメント硬化体を通過させることによって、セメント硬化体を加熱するにあたって、上記第1加熱工程は第1加熱ゾーンで行なわれ、上記第2加熱工程は第2加熱ゾーンで行なわれ、上記第3加熱工程は第3加熱ゾーンで行なわれることを特徴とするものである。
この発明によれば、セメント硬化体を第1加熱ゾーン、第2加熱ゾーン、第3加熱ゾーンの順に連続して通過させることで、セメント硬化体に含有されるアスベストを無害化する処理を自動的に行なうことができるものであり、アスベストの無害化処理を効率良く行なうことができるものである。
本発明によれば、外部加熱手段と内部加熱手段とを併用することによって、セメント硬化体を外部からと内部からと同時に加熱して、外部と内部との温度差が生じることなく迅速にセメント硬化体を加熱処理することができ、セメント硬化体に含有されるアスベストを変性して無害化することができるものである。そしてまず第1加熱工程でセメント硬化体中の自由水及び結晶水を徐々に飛散させることによって、セメント硬化体に爆裂や大きな変形、破損が生じることを防ぐことができ、また第2加熱工程では結晶水が除去されたセメント硬化体の内部を効率良く加熱して迅速に温度上昇させることができ、さらに第3加熱工程でセメント硬化体の加熱温度を高温に維持して、含有されるアスベストを変性して無害化することができるものである。このようにして、セメント硬化体が爆裂することを防ぎつつ、セメント硬化体を短時間で加熱処理して、セメント硬化体に含有されるアスベストを変性して無害化することができるものである。
本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、アスベストを含有するセメント硬化体1を加熱してアスベストの無害化処理をするために用いる加熱炉2を概略的に示すものである。この加熱炉2は一端に入口2a、他端に出口2bを設けた細長いトンネル炉として形成してあり、入口2aから加熱炉2内に導入されたセメント硬化体1はコンベアなどの搬送装置の上を一定速度で送られ、加熱炉2内を通過した後に、出口2bから送り出されるようになっている。
加熱炉2内は入口2aから出口2bへと複数のゾーンに分かれており、図の実施の形態では入口2aから出口2bへと順に第1加熱ゾーン3、第2加熱ゾーン4、第3加熱ゾーン5、冷却ゾーン6から形成するようにしてある。各ゾーン3,4,5の境界部は、カーテンなどで仕切るようにしてもよいが、仕切りを設けないことも可能である。
この第1乃至第3の加熱ゾーン3,4,5内にはそれぞれ、外部加熱手段と内部加熱手段が設けてある。外部加熱手段は、それ自体が熱を放出することによって、セメント硬化体1に外側から熱を加えて、セメント硬化体1を外部から加熱させるものであり、本発明では例えば電気ヒーターを用いることができる。また内部加熱手段は、それ自体が熱を放出することはなく、セメント硬化体1を内部から加熱させるものであり、本発明では例えばマイクロ波発振器を用いることができる。マイクロ波発振器から発振されるマイクロ波(高周波)によって、セメント硬化体1を高周波誘電加熱することができ、セメント硬化体1自体を発熱させて、セメント硬化体1を内部から加熱することができるものである。マイクロ波の周波数は特に限定されるものではないが、日本の電波法で許可されている915MHz帯、2.45GHz帯が好ましい。
また、アスベストを含有するセメント硬化体1としては、特定のものに限定されるものではなく、任意のものを用いることができるものであり、例えば、建築資材の石綿スレート、石綿セメント板、石綿セメントサイディングなどを挙げることができる。これらの建築資材は、既存の建築物から回収されたものを主として用いることになるが、これに限定されるものではない。
アスベスト含有セメント硬化体1を加熱炉2で加熱処理するにあたっては、加熱炉2に入口2aからセメント硬化体1を導入する。このとき、セメント硬化体1が板状など積み重ねることができる形態の場合は、複数枚のセメント硬化体1を積み上げて加熱炉2に導入し、多量のセメント硬化体1を同時に加熱処理するようにするのが好ましい。
このように加熱炉2に導入されたセメント硬化体1はまず第1加熱ゾーン3を通過し、外部加熱手段と内部加熱手段とによって加熱される。このようにセメント硬化体1を外部加熱手段で外部からと、内部加熱手段で内部からとで加熱することによって、セメント硬化体1を内部と外部の温度差が大きくならないように均一に加熱することができるものである。
そしてこの第1加熱ゾーン3で、セメント硬化体1中の自由水及び結晶水を飛散させる第1加熱工程が行なわれるものである。セメント硬化体1中には、結露、気中水分、雨水等外部から取り込まれた水や反応の余剰水をさす自由水や、セメント成分の化合物や骨材の化合物に結合された結晶水が含有されているものであり、内部加熱手段でセメント硬化体1を内部から加熱する際に、セメント硬化体1の内部の温度上昇が急激に過ぎると、セメント硬化体1の内部の自由水及び結晶水が急激に蒸発して内部に閉じ込められた状態で膨張し、セメント硬化体1に爆裂が発生するおそれがある。このため、第1加熱ゾーン3では内部加熱手段を小さい出力で作動させ、セメント硬化体1の内部での昇温速度を緩やかなものとすることによって、結晶水を徐々に蒸発させるようにするものであり、セメント硬化体1の内部での自由水及び結晶水の急激な蒸発を抑制して爆裂が発生することを防ぐようにしてある。
後述のように第1加熱ゾーン3から、第2加熱ゾーン4、第3加熱ゾーン5の順に段階的に内部加熱手段の出力を高めて加熱を行なうが、第1加熱ゾーン3での内部加熱手段の出力は、第3加熱ゾーン5において設定される内部加熱手段の出力の20%以下に設定するのが好ましい。ここで、内部加熱手段としてマイクロ波発振器を用いる場合、出力は消費電力で決まるので、第1加熱ゾーン3でのマイクロ波発振器の消費電力を、第3加熱ゾーン5でのマイクロ波発振器の消費電力の20%以下に設定するものである。このように第1加熱ゾーン3の内部加熱手段の出力を第3加熱ゾーン5の内部加熱手段の出力の20%以下に設定することによって、セメント硬化体1の内部の急激な温度上昇を抑えて、爆裂が発生することを確実に防ぐことができるものである。第1加熱ゾーン3の内部加熱手段の出力の下限は特に設定されないが、第1加熱ゾーン3の内部加熱手段の出力を零にして、外部加熱手段のみで第1加熱工程を行なうようにしてもよい。尚、各加熱ゾーン3,4,5に内部加熱手段が複数設けられる場合は、上記の出力の比率は、複数の平均値として設定されるものである(後述の第2加熱ゾーン4に於いても同じ)。
また、第1加熱ゾーン3において外部加熱手段と内部加熱手段を併用してセメント硬化体1を加熱するにあたって、外部加熱手段の出力と内部加熱手段の出力の比率は特に限定されるものではないが、外部加熱手段の出力を100とすると、内部加熱手段の出力を25以下に設定するのが好ましい。ここで、外部加熱手段として電気ヒーターを、内部加熱手段としてマイクロ波発振器を用いる場合、それぞれの消費電力をこの比率に設定するものである。尚、外部加熱手段や内部加熱手段が複数設けられる場合は、上記の出力の比率は、複数の平均値として設定されるものである(後述の第2加熱ゾーン4や第3加熱ゾーン5に於いても同じ)。
第1加熱ゾーン3で行なわれる上記の第1加熱工程は、セメント硬化体1の表面温度が650〜750℃になるまで昇温させるように行なわれるものである。セメント硬化体1は700℃程度の温度で結晶水がほぼ飛散するので、第1加熱ゾーン3での第1加熱工程が、セメント硬化体1の表面温度が上記の650〜750℃程度になる時点で終了するように、第1加熱ゾーン3の外部加熱手段の出力や内部加熱手段の出力を設定するものである。
そして第1加熱工程でセメント硬化体1の表面温度を上記のように650〜750℃になるまで昇温させるのに要する時間を、30分以上に設定するのが好ましい。このように30分以上を要して昇温させることによって、セメント硬化体の内部の自由水及び結晶水が急激に気化することによる爆裂を防ぎつつ、自由水及び結晶水を蒸発させてセメント硬化体から除去することができるものである。従って、第1加熱ゾーン3は30分以上を要してセメント硬化体1を通過させるように形成されるものである。この時間の上限は特に設定されないが、処理時間を短くするという本発明の主旨から、45分以下であることが好ましい。
上記のようにセメント硬化体1を第1加熱ゾーン3に通過させて第1加熱工程の処理を行ない、セメント硬化体1の自由水及び結晶水を飛散させて除去した後、セメント硬化体1を第2加熱ゾーン4に移動させて第2加熱工程の処理を行なう。上記の第1加熱工程では、内部加熱手段の出力を抑制しているため、セメント硬化体1は内部の温度が表面の温度よりも低い。そこで第2加熱工程では内部加熱手段の出力を高め、セメント硬化体1を内部から加熱する効率を高めて、セメント硬化体1の内部の温度を迅速に上昇させるものである。内部加熱手段による加熱はセメント硬化体1の全体が同時に温度上昇し、また外部加熱手段でも同時に加熱を行なっているので、セメント硬化体1は内部の温度と表面温度とが同じになる。そしてセメント硬化体1内の自由水及び結晶水は上記の第1加熱工程で除去されているので、このように内部加熱手段の出力を高めてセメント硬化体1の温度を急上昇させるようにしても、爆裂が発生するようなおそれはない。
第2加熱ゾーン4での内部加熱手段の出力は、第3加熱ゾーン5において設定される内部加熱手段の出力の20%を超え、80%以下の範囲に設定するのが好ましい。ここで、内部加熱手段としてマイクロ波発振器を用いる場合は、第2加熱ゾーン4でのマイクロ波発振器の消費電力を、第3加熱ゾーン5でのマイクロ波発振器の消費電力の20%を超え、80%以下の範囲に設定するものである。第2加熱ゾーン4の内部加熱手段の出力が第3加熱ゾーン5の内部加熱手段の出力の20%以下であると、セメント硬化体1の温度上昇の速度を十分に得ることができず、加熱処理の時間を短くする効果が不十分になる。逆に第2加熱ゾーン4の内部加熱手段の出力が第3加熱ゾーン5の内部加熱手段の出力の80%を超えると、セメント硬化体1の温度上昇が急激に過ぎ、セメント硬化体1の加熱温度が不均一になって変形や破損が発生するおそれがある。
また、第2加熱ゾーン4において外部加熱手段と内部加熱手段を併用してセメント硬化体1を加熱するにあたって、外部加熱手段の出力と内部加熱手段の出力の比率は特に限定されるものではないが、外部加熱手段の出力を100とすると、内部加熱手段の出力を25〜400の範囲に設定するのが好ましい。ここで、外部加熱手段として電気ヒーターを、内部加熱手段としてマイクロ波発振器を用いる場合、それぞれの消費電力をこの比率に設定するものである。
第2加熱ゾーン4で行なわれる上記の第2加熱工程は、セメント硬化体1の表面温度が800〜850℃になるまで昇温させるように行なわれるものである。アスベストは850℃以上の温度で加熱することによって、変性して無害化することができるので、第2加熱ゾーン4での第2加熱工程が、セメント硬化体1の表面温度が上記の800〜850℃の範囲になる時点で終了するように、第2加熱ゾーン4の外部加熱手段の出力や内部加熱手段の出力を設定するものである。
そして第2加熱工程でセメント硬化体1の表面温度を上記のように800〜850℃になるまで昇温させるのに要する時間は、5〜15分の範囲に設定するのが好ましい。この時間が5分未満であると、セメント硬化体1の温度上昇が急激に過ぎて変形や破損が発生するおそれがあり、逆に15分を超えると、加熱処理の時間を短くする効果が不十分になる。従って、第2加熱ゾーン4は5〜15分を要してセメント硬化体1を通過させるように形成されるものである。
上記のようにセメント硬化体1を第2加熱ゾーン4に通過させて第2加熱工程の処理を行ない、セメント硬化体1の内部の温度が表面温度と等しくなるように急速加熱をした後、セメント硬化体1を第3加熱ゾーン5に移動させて第3加熱工程の加熱処理を行なう。上記の第2加熱工程でセメント硬化体1の表面温度は800〜850℃に上昇しており、第3加熱ゾーン5では内部加熱手段を第1加熱ゾーン3や第2加熱ゾーン4の内部加熱手段より高い出力で作動させることによって、セメント硬化体1の表面温度を850℃以上に維持するものである。アスベストは850℃以上の温度で加熱されることによって、結晶が変性し、無害化されるものである。このため、第3加熱ゾーン5での第3加熱工程でセメント硬化体1の温度を850℃以上に維持することによって、セメント硬化体1に含有されるアスベストを変性して無害化することができるものである。セメント硬化体1の加熱温度の上限は特に設定されるものではないが、エネルギーの効率の上から1000℃以下の温度に設定するのが好ましい。なお、セメント硬化体の補強繊維として一般的に使用されていたアスベストの場合は一般に1000℃以下の温度で結晶が変性し、無害化するが、アスベストの種類によっては、結晶が変性して無害化するのに1000℃以上の温度を必要とする場合があり、その場合には、1000℃以上に設定することは言うまでもない。
ここで、第3加熱ゾーン5において外部加熱手段と内部加熱手段を併用してセメント硬化体1を加熱するにあたって、外部加熱手段の出力と内部加熱手段の出力の比率は特に限定されるものではないが、外部加熱手段の出力を100とすると、内部加熱手段の出力を400以上に設定するのが好ましい。外部加熱手段として電気ヒーターを、内部加熱手段としてマイクロ波発振器を用いる場合、それぞれの消費電力をこの比率に設定するものである。
第3加熱ゾーン5で行なわれる上記の第3加熱工程は、セメント硬化体1を850℃以上の温度に維持してアスベストを無害化するためのものであり、第3加熱工程における処理時間は、特に限定されるものではないが、15〜30分間の範囲が好ましい。15分未満であると、セメント硬化体1内の温度バラツキやアスベストの分布バラツキなどが原因でアスベストの総てを完全に無害化できないことがある。また30分を超えて加熱しても、セメント硬化体1内のアスベストは既に十二分に無害化されているので、これ以上に加熱することはエネルギーの無駄になる。従って、第3加熱ゾーン5は15〜30分を要してセメント硬化体1を通過させるように形成されるものである。
上記のようにセメント硬化体1を加熱炉2の第1加熱ゾーン3、第2加熱ゾーン4、第3加熱ゾーン5の順に通して加熱処理することによって、セメント硬化体1に含有されるアスベストを無害化処理することができるものであり、このようにアスベストを無害化処理したセメント硬化体1は、加熱炉2の出口2bから送り出されるものである。
次に、本発明を実施例1〜4及び比較例1〜5によって例証する。
一端に入口2a、他端に出口2bを設けた細長いトンネル状の加熱炉2を用い、加熱炉2内に入口2aから出口2bへと順に第1加熱ゾーン3、第2加熱ゾーン4、第3加熱ゾーン5、冷却ゾーン6を形成した。そして各ゾーン3,4,5内には、外部加熱手段である電気ヒーターと、内部加熱手段であるマイクロ波発振器(周波数2.45GHz)とを設けた。
一方、アスベスト含有セメント硬化体1として、屋根材(カラーベスト:厚み5mm、熱伝導率0.2〜0.25kcal/mh℃)を用いた。
そして、このセメント硬化体1を上下に7枚重ねて入口2aから加熱炉2に導入し、コンベアによってセメント硬化体1を第1加熱ゾーン3、第2加熱ゾーン4、第3加熱ゾーン5、冷却ゾーン6の順に通過させて加熱処理した後、出口2bから取り出した。このとき、第1加熱ゾーン3、第2加熱ゾーン4、第3加熱ゾーン5での電気ヒーターとマイクロ波発振器の出力を表1のように設定し、また第1加熱ゾーン3、第2加熱ゾーン4、第3加熱ゾーン5の各通過時間を表1のように設定した。
上記のように加熱処理を行なったときの、第1加熱ゾーン3、第2加熱ゾーン4、第3加熱ゾーン5のそれぞれ最終位置に達したセメント硬化体1の表面温度を、放射温度計で測定した。
また加熱炉2から取り出したセメント硬化体1について、爆裂、変形の発生有無を検査した。さらにこの加熱処理後のセメント硬化体1に含まれるアスベストをJIS A 1481「建材製品中のアスベスト含有率測定方法」に準拠し判定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005099561
1 アスベスト含有セメント硬化体
2 加熱炉
3 第1加熱ゾーン
4 第2加熱ゾーン
5 第3加熱ゾーン
6 冷却ゾーン

Claims (6)

  1. セメント硬化体を外部から加熱する外部加熱手段と、セメント硬化体を内部から加熱する内部加熱手段とを併用してセメント硬化体を加熱することによって、セメント硬化体中に含有されるアスベストを変性して無害化処理するにあたって、セメント硬化体中の自由水及び結晶水を飛散させる加熱を行なう第1加熱工程と、セメント硬化体の内部の温度を表面の温度付近にまで高めるように加熱を行なう第2加熱工程と、セメント硬化体中のアスベストを変性させる温度で加熱を行なう第3加熱工程とを備え、前記第1加熱工程と前記第2加熱工程と前記第3加熱工程のいずれの工程でも外部加熱手段からの出力で加熱を行うと共に、前記第1加熱工程と前記第2加熱工程と前記第3加熱工程の順で段階的に内部加熱手段の出力を高めて加熱を行なうことにより、セメント硬化体を段階的に昇温するように加熱処理することを特徴とするアスベストの無害化処理方法。
  2. 第1加熱工程では、セメント硬化体の温度が650〜750℃になるまで昇温させ、第2加熱工程では、セメント硬化体の内部の温度を表面の温度にまで高めるように昇温させ、第3加熱工程では、セメント硬化体の温度を850℃以上に保持するようしたことを特徴とする請求項1に記載のアスベストの無害化処理方法。
  3. 第1加熱工程での内部加熱手段の出力を、第3加熱工程において設定される内部加熱手段の出力の20%以下に設定すると共に、第2加熱工程での内部加熱手段の出力を、第3加熱工程において設定される内部加熱手段の出力の20%を超え80%以下の範囲に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のアスベストの無害化処理方法。
  4. 第1加熱工程での加熱処理時間を30分以上に設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアスベストの無害化処理法。
  5. 外部加熱手段が電気ヒーターであり、内部加熱手段がマイクロ波発振器であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアスベストの無害化処理方法。
  6. セメント硬化体を外部から加熱する外部加熱手段と、セメント硬化体を内部から加熱する内部加熱手段とを備えた第1乃至第3の加熱ゾーンにこの順にセメント硬化体を通過させることによって、セメント硬化体を加熱するにあたって、上記第1加熱工程は第1加熱ゾーンで行なわれ、上記第2加熱工程は第2加熱ゾーンで行なわれ、上記第3加熱工程は第3加熱ゾーンで行なわれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のアスベストの無害化処理方法。
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