JP5099268B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンに代表される内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、さらに詳しくは、燃料噴射弁からの主噴射に先立つ副噴射が実行可能な圧縮自着火式の内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
自動車用エンジン等として使用されるディーゼルエンジンでは、エンジン回転数、アクセル操作量、冷却水温度、吸気温度等に応じて、燃料噴射弁(以下、インジェクタともいう)からの燃料噴射タイミングや燃料噴射量を調整することにより燃焼室内(気筒内)での燃焼形態を制御することが行われている。
上記ディーゼルエンジンの燃焼は、下記の特許文献1にも開示されているように、主として予混合燃焼と拡散燃焼とにより成り立っている。インジェクタから燃焼室内への燃料噴射が開始されると、まず、燃料の気化拡散により可燃混合気が生成される(着火遅れ期間)。次に、この可燃混合気が燃焼室の数ヶ所でほぼ同時に自己着火し、急速に燃焼が進む(予混合燃焼)。さらに、燃焼室内への燃料噴射が継続され、燃焼が継続的に行われる(拡散燃焼)。その後、燃料噴射が終了した後にも未燃燃料が存在するため、しばらくの間、熱発生が続けられる(後燃え期間)。
また、ディーゼルエンジンにおいては、主噴射(メイン噴射)に先立って副噴射(バイロット噴射)を実行する場合もある。副噴射の機能としては、自着火により気筒内の予熱に寄与する機能(予熱機能)と、自着火せずにその後に噴射される主噴射の燃料とともに燃焼する機能(予混合機能)とがあり、この予混合燃焼を適切に制御することにより、排気中に含まれるNOxやSoot等を低減することができる。このような予混合燃焼の制御に関する技術として、例えば、下記の特許文献2に記載の技術がある。この特許文献2に記載の技術では、副噴射(パイロット噴射)の噴射時期の制御により、未燃HC(炭化水素)の排出量が多い領域では拡散燃焼によりHCを低減し、未燃HCの排出量が少ない領域では予混合燃焼によりスモークの発生を抑制している。
特開2004−156519号公報 特開2000−352344号公報
ところで、予混合燃焼は、筒内のガス状態(圧力・温度等)によって、その着火時期や燃焼量(発熱量)が大きく変動するが、従来の予混合燃焼制御では、筒内のガス状態などについては考慮されておらず、このため運転過渡時などにおいて、副噴射で噴射した燃料が噴射直後に着火してしまい、主噴射時に予混合気として存在しない場合ある。また、予混合燃焼の着火遅れが大きく変動する場合がある。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、主噴射に先立つ副噴射の実行が可能な圧縮自着火式の内燃機関の燃料噴射制御装置において、副噴射による予混合燃焼の適正化を図ることが可能な制御を実現することを目的とする。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、主燃焼の要求着火温度を満足するための予熱燃焼用燃料量と、排気エミッションを低減するための予混合燃焼用燃料量とから副噴射の燃料噴射量を求める。そして、予熱燃焼用燃料量に基づいて予熱燃焼期間を筒内のガス状態及び/または燃料の噴霧状態に応じて求め、その予熱燃焼期間及び主燃焼の要求着火時期に基づいて副噴射の噴射時期(噴射開始時期)を決定することで、予熱燃焼期間の終了時が主燃焼の着火時期に合うようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、燃料噴射弁から気筒内に噴射された燃料が気筒内で燃焼する圧縮自着火式の内燃機関の制御に適用され、前記燃料噴射弁からの燃料噴射動作として、少なくとも、主燃焼のための主噴射と、この主噴射に先立って行われる副噴射とが実行可能な燃料噴射制御装置を対象としており、このような内燃機関の燃料制御装置に対し、副噴射燃料量算出部、予熱燃焼期間算出部、及び、副噴射時期決定部を備えさせている。副噴射燃料量算出部は、主燃焼の要求着火温度を満足するための予熱用燃料量と、排気エミッションを低減するための予混合燃焼用燃料量とから副噴射の燃料噴射量を求める。予熱燃焼期間算出部は、上記予熱用燃料量に基づいて予熱燃焼期間を、燃料噴射前の筒内のガス状態及び燃料の噴霧状態の少なくともいずれか一方の状態に応じて求める。そして、副噴射時期決定部は、上記主燃焼の要求着火時期、上記予熱燃焼期間、及び、副噴射で燃料が噴射されてから着火が生じるまでの着火遅れ期間(副噴射の着火遅れ期間)に基づいて副噴射の噴射開始時期を決定する。より具体的には、予熱燃焼期間の終了時(予混合燃焼の開始時)が主燃焼の要求着火時期に一致するように副燃焼(副噴射)の着火時期を求め、その副燃焼の着火時期に対し副噴射の着火遅れ期間分だけ進角させた時期を副噴射の噴射開始時期とする。
本発明において、予混合燃焼用燃料量は、Sootの低減及び燃焼騒音の低減を考慮して決定することが好ましい。
本発明によれば、主燃焼の要求着火温度(例えば1000K)を満足するための予熱用燃料量と、排気エミッションを低減するための予混合燃焼用燃料量とから副噴射の燃料噴射量(総投入燃料量)を求めているので、副噴射による必要予熱量の確保、及び、Soot低減等の排気エミッション低減の各要求を連立することができる。
しかも、副噴射の噴射開始時期を決定する際に用いる予熱燃焼期間を、燃料噴射前(吸気弁の閉弁時)の筒内のガス状態及び燃料の噴霧状態の少なくともいずれか一方の状態を考慮して求めているので、運転過渡時などにおいても、予熱燃焼期間の終了時(予混合燃焼開始時)を主燃焼の要求着火時期に合わせることが可能になる。これによって常に適正な予混合燃焼を得ることができ、排気エミッションの改善及び燃焼の安定性を図ることができる。
ここで、上記筒内のガス状態に関するパラメータとしては、筒内ガス圧力、筒内ガス温度及び筒内酸素濃度を挙げることができる。また、上記燃料の噴霧状態に関するパラメータとしては、燃料噴射圧及び燃料の微粒化度を挙げることができる。
本発明において、予熱燃焼期間算出部の具体的な構成として、上記予熱用燃料量から基本予熱燃焼期間を求め、その基本予熱燃焼期間を上記筒内のガス状態及び燃料の噴霧状態の少なくともいずれか一方の状態に応じて補正して予熱燃焼期間を求めるという構成を挙げることができる。この場合、予め規定した基準の筒内ガス状態と実際の筒内ガス状態とからガス状態に関する補正係数を求めるとともに、予め規定した基準の燃料噴霧状態と実際の燃料噴霧状態とから噴霧状態に関する補正係数を求める。そして、上記予熱用燃料量から得られる基本予熱燃焼期間に、上記ガス状態に関する補正係数及び噴霧状態に関する補正係数を乗算することによって予熱燃焼期間を算出するようにする。
このような構成を採用すれば、予熱燃焼期間を高い精度で求めることができ、その予熱燃焼期間を基に決定される副噴射の噴射開始時期も高い精度で得ることができる。また、基本予熱燃焼期間に対して補正係数を乗算するといった比較的簡単な演算により適正な予熱燃焼期間を得ることができるので、これらの演算に要する時間の短縮化を図ることができる。
なお、上記予熱用燃料量に基づいて筒内のガス状態のみに応じて予熱燃焼期間を求めるようにしてもよい。この場合は、予め規定した基準の筒内ガス状態と実際の筒内ガス状態とから補正係数を求め、このガス状態に関する補正係数を基本予熱燃焼期間に乗算して予熱燃焼期間を求めるようにする。また、上記予熱用燃料量に基づいて燃料の噴霧状態のみに応じて予熱燃焼期間を求めるようにしてもよい。この場合は、予め規定した基準の燃料噴霧状態と実際の燃料噴霧状態とから補正係数を求め、この噴霧状態に関する補正係数を基本予熱燃焼期間に乗算して予熱燃焼期間を求めるようにする。
本発明において、副噴射の噴射開始時期の決定に用いる副噴射の着火遅れ期間についても燃料噴射前(吸気弁閉弁時)の筒内のガス状態に応じて設定することが好ましい。このようにすると、運転過渡時などにおいても、副噴射の着火遅れ期間を高い精度で求めることができ、その着火遅れ期間を基に決定される副噴射の噴射開始時期も高い精度で得ることができる。
本発明の他の具体的な手段として以下のものを挙げることができる。
まず、上記副噴射時期決定部で決定された副噴射の噴射開始時期と、上記副噴射燃料量算出部で求めた副噴射の燃料噴射量に基づく噴射期間とから副噴射の噴射終了時期を求めるとともに、上記主燃焼の要求着火時期と主燃焼の着火遅れ期間とから得られる主噴射の噴射開始時期を求める。そして、それら演算による副噴射の噴射開始時期と主噴射の噴射開始時期との間の要求噴射インターバルと、実際の燃料噴射において副噴射の噴射終了時期から主噴射の噴射開始時期までに必要な噴射系制約噴射停止インターバルとを比較し、その要求噴射インターバルが噴射系制約噴射停止インターバルよりも短い場合は、実際の予熱燃焼期間が長くなるように(予熱燃焼期間の終了時点が主燃焼の要求着火時期に合うように)、筒内のガス状態及び燃料の噴霧状態の少なくともいずれか一方の状態を調整する。より具体的には、要求噴射インターバルが噴射系制約噴射停止インターバルよりも短い場合は、実際の予熱燃焼期間が長くなるように、筒内ガス圧、筒内ガス温度、筒内酸素濃度または燃料噴射圧のいずれか1つのパラメータもしくは複数のパラメータを組み合わせて調整する。
このような構成を採用すれば、噴射系部品の精度確保及び噴射パルス出力用の駆動回路の保護を達成しながら、適正な予熱量と予混合燃焼を主燃焼の着火時期に与えることができる。
なお、上記噴射系制約噴射停止インターバルとは、燃料噴射弁等の噴射系部品の精度確保及び噴射パルスを出力する駆動回路の保護に必要な噴射特性上の噴射停止期間(燃料噴射弁が閉弁してから開弁を開始するまでの最短期間)のことである。
本発明によれば、主燃焼の要求着火温度を満足する予熱燃焼用燃料量に基づいて予熱燃焼期間を筒内のガス状態及び/または燃料の噴霧状態に応じて求め、その予熱燃焼期間及び主燃焼の要求着火時期に基づいて副噴射の噴射時期を決定しているので、運転過渡時などであっても適正な予混合燃焼を得ることができる。
本発明を適用するエンジン及びその制御系統の概略構成図である。 ディーゼルエンジンの燃焼室及びその周辺部を示す断面図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 燃焼室内での燃焼形態の概略を説明するための吸排気系及び燃焼室の模式図である。 膨張行程時の熱発生率(クランクシャフトの単位回転角度当たりの熱発生量)の変化及び燃料噴射率(クランクシャフトの単位回転角度当たりの燃料噴射量)の変化をそれぞれ示す波形図である。 副噴射の投入燃料量と燃焼期間との関係を示す図である。 副噴射の燃料量・噴射時期の決定処理の一例を示すフローチャートである。 主燃焼の要求着火時期、予熱燃焼期間、副噴射の噴射時期などを示す図である。 主燃焼の要求着火温度と要求予熱量との関係を示す図である。 予混合燃焼用の燃料量(予混合量)とSoot及び燃焼騒音との関係を示す図である。 基本予熱燃焼期間を求めるマップである。 燃焼期間を算出するための補正係数を求めるマップであって、(a)はガス圧力補正係数マップ、(b)はガス温度補正係数マップ、(c)は酸素濃度補正係数マップ、(d)は噴射圧補正係数マップ、(e)は微粒化度補正係数マップである。 燃料噴射制御の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば直列4気筒)ディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)に本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成−
まず、本発明を適用するディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の一例について説明する。図1はエンジン1及びその制御系統の概略構成図である。また図2は、ディーゼルエンジンの燃焼室3及びその周辺部を示す断面図である。
図1に示すように、この例のエンジン1は、燃料供給系2、燃焼室3、吸気系6、排気系7等を主要部とするディーゼルエンジンシステムとして構成されている。
燃料供給系2は、サプライポンプ21、コモンレール22、インジェクタ(燃料噴射弁)23、遮断弁24、燃料添加弁26、機関燃料通路27、添加燃料通路28等を備えて構成されている。
上記サプライポンプ21は、燃料タンクから燃料を汲み上げ、この汲み上げた燃料を高圧にした後、機関燃料通路27を介してコモンレール22に供給する。コモンレール22は、サプライポンプ21から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各インジェクタ23に分配する。インジェクタ23は、その内部に圧電素子(ピエゾ素子)を備え、適宜開弁して燃焼室3内に燃料を噴射供給するピエゾインジェクタにより構成されている。このインジェクタ23からの燃料噴射制御の詳細については後述する。
また、上記サプライポンプ21は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を、添加燃料通路28を介して燃料添加弁26に供給する。添加燃料通路28には、緊急時において添加燃料通路28を遮断して燃料添加を停止するための上記遮断弁24が備えられている。
また、上記燃料添加弁26は、後述するECU100による添加制御動作によって排気系7への燃料添加量が目標添加量(排気A/Fが目標A/Fとなるような添加量)となるように、また、燃料添加タイミングが所定タイミングとなるように開弁時期が制御される電子制御式の開閉弁により構成されている。つまり、この燃料添加弁26から所望の燃料が適宜のタイミングで排気系7(排気ポート71から排気マニホールド72)に噴射供給される構成となっている。
吸気系6は、シリンダヘッド15(図2参照)に形成された吸気ポート15aに接続される吸気マニホールド63を備え、この吸気マニホールド63に、吸気通路を構成する吸気管64が接続されている。また、この吸気通路には、上流側から順に、エアクリーナ65、エアフローメータ43、スロットルバルブ(吸気絞り弁)62が配設されている。エアフローメータ43は、エアクリーナ65を介して吸気通路に流入される空気量に応じた電気信号を出力するようになっている。
排気系7は、シリンダヘッド15に形成された排気ポート71に接続される排気マニホールド72を備えており、この排気マニホールド72に対して、排気通路を構成する排気管73,74が接続されている。また、この排気通路には、NOx吸蔵触媒(NSR触媒:NOx Storage Reduction触媒)75、及び、DPNR触媒(Diesel Paticulate−NOx Reduction触媒)76を備えたマニバータ(排気浄化装置)77が配設されている。以下、これらNSR触媒75及びDPNR触媒76について説明する。
NSR触媒75は、吸蔵還元型NOx触媒であって、例えば、アルミナ(Al23)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属とが担持された構成となっている。
このNSR触媒75は、排気中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸蔵し、排気中の酸素濃度が低く、かつ還元成分(例えば燃料の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2もしくはNOに還元して放出する。NO2やNOとして放出されたNOxは、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてN2となる。また、HCやCOは、NO2やNOを還元することで、自身は酸化されてH2OやCO2となる。すなわち、NSR触媒75に導入される排気中の酸素濃度やHC成分を適宜調整することにより、排気中のHC、CO、NOxを浄化することができるようになっている。本実施形態のものでは、この排気中の酸素濃度やHC成分の調整を、燃料添加弁26からの燃料添加動作によって行うことが可能となっている。
一方、DPNR触媒76は、例えば、多孔質セラミック構造体にNOx吸蔵還元型触媒を担持させたものであり、排気ガス中のPMは多孔質の壁を通過する際に捕集される。また、排気ガスの空燃比がリーンの場合、排気ガス中のNOxはNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵され、空燃比がリッチになると、吸蔵したNOxは還元・放出される。さらに、DPNR触媒76には、捕集したPMを酸化・燃焼する触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とする酸化触媒)が担持されている。
ここで、ディーゼルエンジンの燃焼室3及びその周辺部の構成について、図2を用いて説明する。この図2に示すように、エンジン本体の一部を構成するシリンダブロック11には、各気筒(4気筒)毎に円筒状のシリンダボア12が形成されており、各シリンダボア12の内部にはピストン13が上下方向に摺動可能に収容されている。
ピストン13の頂面13aの上側には上記燃焼室3が形成されている。つまり、この燃焼室3は、シリンダブロック11の上部にガスケット14を介して取り付けられたシリンダヘッド15の下面と、シリンダボア12の内壁面と、ピストン13の頂面13aとにより区画形成されている。そして、ピストン13の頂面13aの略中央部には、キャビティ(凹陥部)13bが凹設されており、このキャビティ13bも燃焼室3の一部を構成している。
なお、このキャビティ13bの形状としては、その中央部分(シリンダ中心線P上)では凹陥寸法が小さく、外周側に向かうに従って凹陥寸法が大きくなっている。つまり、図2に示すように、ピストン13が圧縮上死点付近にある際、このキャビティ13bによって形成される燃焼室3としては、中央部分では比較的容積の小さい狭小空間とされ、外周側に向かって次第に空間が拡大される(拡大空間とされる)構成となっている。
上記ピストン13は、コネクティングロッド18の小端部18aがピストンピン13cにより連結されており、このコネクティングロッド18の大端部はエンジン出力軸であるクランクシャフトに連結されている。これにより、シリンダボア12内でのピストン13の往復移動がコネクティングロッド18を介してクランクシャフトに伝達され、このクランクシャフトが回転することでエンジン出力が得られるようになっている。また、燃焼室3に向けてグロープラグ19が配設されている。このグロープラグ19は、エンジン1の始動直前に電流が流されることにより赤熱し、これに燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が促進される始動補助装置として機能する。
上記シリンダヘッド15には、燃焼室3へ空気を導入する吸気ポート15aと、燃焼室3から排気ガスを排出する上記排気ポート71とがそれぞれ形成されているとともに、吸気ポート15aを開閉する吸気バルブ16及び排気ポート71を開閉する排気バルブ17が配設されている。これら吸気バルブ16及び排気バルブ17はシリンダ中心線Pを挟んで対向配置されている。つまり、この例のエンジン1はクロスフロータイプとして構成されている。また、シリンダヘッド15には、燃焼室3の内部へ直接的に燃料を噴射する上記インジェクタ23が取り付けられている。このインジェクタ23は、シリンダ中心線Pに沿う起立姿勢で燃焼室3の略中央上部に配設されており、上記コモンレール22から導入される燃料を燃焼室3に向けて所定のタイミングで噴射するようになっている。
さらに、図1に示すように、このエンジン1には、過給機(ターボチャージャ)5が設けられている。このターボチャージャ5は、タービンシャフト51を介して連結されたタービンホイール52及びコンプレッサインペラ53を備えている。コンプレッサインペラ53は吸気管64の内部に臨んで配置され、タービンホイール52は排気管73の内部に臨んで配置されている。このためターボチャージャ5は、タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサインペラ53を回転させ、吸気圧を高めるといった所謂過給動作を行うようになっている。この例のターボチャージャ5は、可変ノズル式ターボチャージャ(VNT)であって、タービンホイール52側に可変ノズルベーン機構54が設けられており、この可変ノズルベーン機構54の開度(VN開度)を調整することによってエンジン1の過給圧を調整することができる。
吸気系6の吸気管64には、ターボチャージャ5での過給によって昇温した吸入空気を強制冷却するためのインタークーラ61が設けられている。このインタークーラ61よりも更に下流側に上記スロットルバルブ62が設けられている。スロットルバルブ62は、その開度を無段階に調整することができる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞り、この吸入空気の供給量を調整(低減)する機能を有している。
また、エンジン1には、吸気系6と排気系7とを接続する排気還流通路(EGR通路)8が設けられている。このEGR通路8は、排気の一部を適宜吸気系6に還流させて燃焼室3へ再度供給することにより燃焼温度を低下させ、これによってNOx発生量を低減させるものである。また、このEGR通路8には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気流量を自在に調整することができるEGRバルブ81と、EGR通路8を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ82とが設けられている。これらEGR通路8、EGRバルブ81、EGRクーラ82等によってEGR装置(排気還流装置)が構成されている。
−センサ類−
エンジン1の各部位には、各種センサが取り付けられており、それぞれの部位の環境条件や、エンジン1の運転状態に関する信号を出力する。
例えば、上記エアフローメータ43は、吸気系6内のスロットルバルブ62の上流において吸入空気の流量(吸入空気量)に応じた検出信号を出力する。吸気温センサ49は、吸気マニホールド63に配置され、吸入空気の温度に応じた検出信号を出力する。吸気圧センサ48は、吸気マニホールド63に配置され、吸入空気圧力に応じた検出信号を出力する。A/F(空燃比)センサ44は、排気系7のマニバータ77の下流において排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。排気温センサ45は、同じく排気系7のマニバータ77の下流において排気ガスの温度(排気温度)に応じた検出信号を出力する。レール圧センサ41はコモンレール22内に蓄えられている燃料の圧力(以下、燃圧ともいう)に応じた検出信号を出力する。スロットル開度センサ42はスロットルバルブ62の開度を検出する。
−ECU−
ECU100は、図3に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。ROM102は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。RAM103は、CPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM104は、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
以上のCPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104は、バス107を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース105及び出力インターフェース106と接続されている。
入力インターフェース105には、上記レール圧センサ41、スロットル開度センサ42、エアフローメータ43、A/Fセンサ44、排気温センサ45、吸気圧センサ48、吸気温センサ49が接続されている。さらに、この入力インターフェース105には、エンジン1の冷却水温に応じた検出信号を出力する水温センサ46、アクセルペダルの踏み込み量に応じた検出信号を出力するアクセル開度センサ47、及び、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力するクランクポジションセンサ40などが接続されている。
一方、出力インターフェース106には、上記インジェクタ23、燃料添加弁26、スロットルバルブ62、可変ノズルベーン機構54、及び、EGRバルブ81などが接続されている。
そして、ECU100は、上記した各種センサの出力に基づいて、エンジン1の各種制御を実行する。例えば、ECU100は、インジェクタ23の燃料噴射制御を実行する。このインジェクタ23の燃料噴射制御として、副噴射(パイロット噴射)と主噴射(メイン噴射)とを実行する。
上記副噴射は、インジェクタ23からの主噴射に先立ち、予め少量の燃料を噴射する動作である。また、この副噴射は、主噴射による燃料の着火遅れを抑制し、安定した拡散燃焼に導くための噴射動作である。また、本実施形態における副噴射は、上述した主噴射による初期燃焼速度を抑制する機能ばかりでなく、気筒内温度を高める予熱機能をも有するものとなっている。つまり、この副噴射の実行後、燃料噴射を一旦中断し、主噴射が開始されるまでの間に圧縮ガス温度(気筒内温度)を十分に高めて燃料の自着火温度(例えば1000K)に到達させるようにし、これによって主噴射で噴射される燃料の着火性を良好に確保するようにしている。
上記主噴射は、エンジン1のトルク発生のための噴射動作(トルク発生用燃料の供給動作)である。この主噴射での噴射量は、基本的には、エンジン回転数、アクセル操作量、冷却水温度、吸気温度等の運転状態に応じ、要求トルクが得られるように決定される。例えば、エンジン回転数(クランクポジションセンサ40の出力信号に基づいて算出されるエンジン回転数)が高いほど、また、アクセル操作量(アクセル開度センサ47により検出されるアクセルペダルの踏み込み量)が大きいほど(アクセル開度が大きいほど)エンジン1のトルク要求値としては高く得られ、それに応じて主噴射での燃料噴射量としても多く設定されることになる。
なお、上述した副噴射及び主噴射の他に、アフタ噴射やポスト噴射が必要に応じて行われる。アフタ噴射は、排気ガス温度を上昇させるための噴射動作である。具体的には、供給された燃料の燃焼エネルギがエンジン1のトルクに変換されることなく、その大部分が排気の熱エネルギとして得られるタイミングでアフタ噴射は実行される。また、ポスト噴射は、排気系7に燃料を直接的に導入して上記マニバータ77の昇温を図るための噴射動作である。例えば、DPNR触媒76に捕集されているPMの堆積量が所定量を超えた場合(例えばマニバータ77の前後の差圧を検出することにより検知)、ポスト噴射が実行されるようになっている。
また、ECU100は、エンジン1の運転状態に応じてEGRバルブ81の開度を制御し、吸気マニホールド63に向けての排気還流量(EGR量)を調整する。このEGR量は、上記ROM102に予め記憶されたEGRマップに従って設定される。具体的に、このEGRマップは、エンジン回転数及びエンジン負荷をパラメータとしてEGR量(EGR率)を決定するためのマップである。なお、このEGRマップは、予め実験やシミュレーション等によって作成されたものとなっている。つまり、上記クランクポジションセンサ40の出力信号に基づいて算出されたエンジン回転数及びスロットル開度センサ42によって検出されたスロットルバルブ62の開度(エンジン負荷に相当)とをEGRマップに当て嵌めることでEGR量(EGRバルブ81の開度)が得られるようになっている。
−燃料噴射圧−
燃料噴射を実行する際の燃料噴射圧は、コモンレール22の内圧により決定される。このコモンレール内圧として、一般に、コモンレール22からインジェクタ23へ供給される燃料圧力の目標値つまり目標レール圧は、エンジン負荷(機関負荷)が高くなるほど、及び、エンジン回転数(機関回転数)が高くなるほど高いものとされる。すなわち、エンジン負荷が高い場合には燃焼室3内に吸入される空気量が多いため、インジェクタ23から燃焼室3内に向けて多量の燃料を噴射しなければならず、よってインジェクタ23からの噴射圧力を高いものとする必要がある。また、エンジン回転数が高い場合には噴射可能な期間が短いため、単位時間当たりに噴射される燃料量を多くしなければならず、よってインジェクタ23からの噴射圧力を高いものとする必要がある。このように、目標レール圧は一般にエンジン負荷及びエンジン回転数に基づいて設定される。なお、この目標レール圧は、例えば上記ROM102に記憶された燃圧設定マップに従って設定される。つまり、この燃圧設定マップに従って燃料圧力を決定することで、インジェクタ23の開弁期間(噴射率波形)が制御され、その開弁期間中における燃料噴射量を規定することが可能になる。
なお、本実施形態では、エンジン負荷等に応じて燃料圧力が30MPa〜200MPaの間で調整されるようになっている。つまり、燃料圧力の制御範囲として、下限値が30MPaであり、上限値が200MPaとなっている。
上記副噴射や主噴射などの燃料噴射パラメータについて、その最適値はエンジン1や吸入空気等の温度条件によって異なるものとなる。
例えば、上記ECU100は、コモンレール圧がエンジン運転状態に基づいて設定される目標レール圧と等しくなるように、つまり燃料噴射圧が目標噴射圧と一致するように、サプライポンプ21の燃料吐出量を調量する。また、ECU100はエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量及び燃料噴射形態を決定する。具体的には、ECU100は、クランクポジションセンサ40の出力信号に基づいてエンジン回転速度を算出するとともに、アクセル開度センサ47の出力信号に基づいてアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を求め、このエンジン回転速度及びアクセル開度に基づいて総燃料噴射量(副噴射での噴射量と主噴射での噴射量との和)を決定する。
−燃焼形態の概略説明−
次に、本実施形態に係るエンジン1における燃焼室3内での燃焼形態の概略について説明する。
図4は、エンジン1の1つの気筒に対して吸気マニホールド63及び吸気ポート15aを経てガス(空気)が吸入され、燃焼室3内へインジェクタ23からの燃料噴射によって燃焼が行われるとともに、その燃焼後のガスが排気ポート71を経て排気マニホールド72へ排出される様子を模式的に示した図である。
この図4に示すように、気筒内に吸入されるガスには、吸気管64からスロットルバルブ62を介して吸入された新気と、上記EGRバルブ81が開弁された場合にEGR通路8から吸入されるEGRガスとが含まれる。吸入される新気量(質量)と吸入されるEGRガス量(質量)との和に対するEGRガス量の割合(すなわち、EGR率)は、運転状態に応じて上記ECU100により適宜制御されるEGRバルブ81の開度に応じて変化する。
このようにして気筒内(燃焼室3内)に吸入された新気及びEGRガスは、吸気行程において開弁している吸気バルブ16を介し、ピストン13(図4では図示省略)の下降に伴って気筒内に吸入されて筒内ガスとなる。この筒内ガスは、エンジン1の運転状態に応じて決定されるバルブ閉弁時にて吸気バルブ16が閉弁することにより気筒内(燃焼室3内)に密閉され(筒内ガスの閉じ込め状態)、その後の圧縮行程においてピストン13の上昇に伴って圧縮される。そして、ピストン13が上死点近傍に達すると、上述したECU100による噴射量制御によって所定時間だけインジェクタ23が開弁されることで燃料を燃焼室3内に直接噴射する。具体的には、ピストン13が上死点に達する前に上記副噴射が実行され、燃料噴射が一旦停止された後、所定のインターバルを経て、ピストン13が上死点近傍に達した時点で上記主噴射が実行されることになる。
−熱発生率波形−
ディーゼルエンジン1においては、NOx発生量を削減することによる排気エミッションの改善、燃焼行程時の燃焼騒音の低減、エンジントルクの十分な確保といった各要求を連立することが重要である。これら要求を連立するための手法として、燃焼行程時における気筒内での熱発生率の変化状態(熱発生率波形で表される変化状態)を適切にコントロールすることが有効である。
図5の上段に示す波形は、横軸をクランク角度、縦軸を熱発生率とし、副噴射及び主噴射で噴射された燃料の燃焼に係る理想的な熱発生率波形を示している。図中のTDCはピストン13の圧縮上死点に対応したクランク角度位置を示している。また、図5の下段に示す波形は、インジェクタ23から噴射される燃料の噴射率(クランク軸の単位回転角度当たりの燃料噴射量)波形を示している。
この図5に示す熱発生率波形では、ピストン13の圧縮上死点(TDC)から主噴射で噴射された燃料の燃焼が開始され、ピストン13の圧縮上死点後の所定ピストン位置(例えば、圧縮上死点後10度(ATDC10°)の時点)で熱発生率が極大値(ピーク値)に達し、さらに、圧縮上死点後の所定ピストン位置(例えば、圧縮上死点後25度(ATDC25°)の時点)で上記主噴射において噴射された燃料の燃焼が終了するようになっている。このような熱発生率の変化状態で混合気の燃焼を行わせるようにすれば、例えば圧縮上死点後10度(ATDC10°)の時点で気筒内の混合気のうちの50%が燃焼を完了した状況となる。つまり、圧縮上死点後10度(ATDC10°)の時点が燃焼重心となって、燃焼行程における総熱発生量の約50%がATDC10°までに発生し、高い熱効率でエンジン1を運転させることが可能となる。なお、図5に示す1点鎖線は、主噴射で噴射された燃料の燃焼による熱発生率の一部を示しており、この1点鎖線で示す熱発生率波形の基端部(熱発生率「0」であるクランク角度軸との交点)が主燃焼開始時期(拡散燃焼開始時期)となっている。また、図5に示す2点鎖線は、予熱燃焼による熱発生率の一部を示している。
また、図5に示す熱発生率波形では、副噴射で噴射された燃料の燃焼ではピストン13の圧縮上死点(TDC)において所定量(例えば10[J/°CA])の熱発生率となっており、これにより、主噴射の噴射タイミングにあっては、燃焼室内温度が混合気の着火可能温度(例えば1000K)以上に達しており、主噴射で噴射された燃料の安定した拡散燃焼が実現されることになる。これらの値も、これに限定されるものではない。また、複数回の副噴射を行う場合もあり、この場合には気筒内温度をよりいっそう高めて主噴射で噴射される燃料の着火性を良好に確保することができる。
以上のようにして、本実施形態では、副噴射によって気筒内の予熱が十分に行われる。この予熱により、主噴射が開始された場合、この主噴射で噴射された燃料は、その噴射後に自着火温度以上の温度環境下に晒されて熱分解が進み、拡散燃焼が開始されることになる。
−副噴射の燃料量・噴射時期の決定処理−
次に、副噴射の燃料量・噴射時期の決定処理の一例について説明する。
まず、副噴射により燃料を気筒内に投入した場合、主燃焼の着火時期(主噴射で噴射された燃料による燃焼が開始する時期)までに、その副噴射で投入した燃料の全てが熱として気筒内(燃焼室3内)のガスに与えられると、気筒内に燃えていない燃料(副噴射による予混合燃焼用の燃料)は存在しなくなってしまう。
これに対し、副噴射で投入した燃料の燃焼(予熱燃焼)が、後述する主燃焼の要求予熱量(要求着火温度−ガスの圧縮温度:図9参照)による燃焼まで進んだ時点が、上記主燃焼の着火時期に合うように副噴射を開始すると、適正な予混合燃焼を主燃焼に与えることができる。ここで、副噴射による燃焼(副燃焼)に予混合燃焼が存在する場合、予熱燃焼用の燃料量(予熱燃料量)及び副噴射の総燃料量(予熱燃料量+予混合燃料量(予熱合燃焼用の投入燃料量))と、予熱燃焼期間及び副噴射総燃焼期間とは、例えば図6に示すような関係となる。したがって、上記要求予熱量(予熱に必要な燃料量の要求値)から図6に示す予熱燃焼期間を求め、その要求予熱燃焼期間の終了時点が上記主燃焼の要求着火時期となるように副噴射の噴射開始時期を制御することにより、適正な予混合燃焼を得ることができる。
そして、この例では、上記した予熱燃焼期間と主燃焼の着火時期との関係に着目し、また、予混合燃焼が、筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)などによって、その着火時期や燃焼量(発熱量)が大きく変動するという点を考慮して、副噴射の噴射時期を決定することにより、適正な予混合燃焼が得られるようにする。
その具体的な処理の例について図7のフローチャート及び図8を参照して説明する。図7の制御ルーチンはECU100において所定のクランク角度毎(各気筒毎)に繰り返して実行される。具体的には、例えば、1つの気筒について説明すると、その気筒の燃焼行程が実施される度に、その燃焼行程に先立って図7の制御ルーチンが実行される。
図7の制御ルーチンが開始されると、ステップST101において、図8に示す主燃焼(主噴射)の要求着火時期Am-ig[°CA]をマップを参照して算出する。
主燃焼の要求着火時期Am-igを算出するマップは、筒内(燃焼室3内)のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)をパラメータとして、NOx発生量の低減及び燃料消費率(燃費)を考慮して、実験・計算等によって経験的に適合した値(クランク角度)をマップ化したものであって、例えばECU100のROM102内に記憶されている。この要求着火時期の算出に用いるマップについては、例えば、燃料消費率を最小とする場合は主燃焼の要求着火時期をTDC付近とし、NOxの低減要求が大きいほど、主燃焼の要求着火時期がTDCに対して遅角側の値となるように設定する。なお、図8の例では主燃焼の要求着火時期Am-ig[°CA]をTDCとしている。
ステップST102では、要求予熱量(図9参照)を求めて要求予熱燃料量(予熱用燃料量の要求値)Qphを算出する。
ここで、上記要求予熱量は、主燃焼の要求着火時期(例えばTDC)における燃焼の基本特性として与えられる要求着火温度(例えば1000K)に対し、吸気バルブ16の閉弁時のガス温度によって決まる噴射直前のガス温度を基に副噴射を実施したときに、上記要求着火温度に最小の着火遅れでガス温度(噴射直前温度)に到達するために必要な熱量(圧縮だけの温度上昇では不足の場合)である。この要求予熱量は、図9に示すように、主燃焼の要求着火温度(例えば1000K)とガスの圧縮温度(圧縮のみの圧縮端温度)との差である要求温度[K]に、ガス比熱(混合気の比熱)及びガス量(混合気の体積)を乗算[要求温度×比熱×ガス量]することによって求めることができる。そして、そのような要求予熱量及び燃料の発熱量から要求予熱燃料量Qphを算出することができる。
なお、要求予熱量の算出に用いるガス比熱は、混合気を構成するガス組成及び液相状態の物質の比熱であって、混合気の密度等をパラメータとしてガス比熱を求めるためのマップや演算式に基づいて算出する。
ステップST103では要求予混合燃料量(予混合燃焼用燃料量の要求値)Qmixを算出する。要求予混合燃料量(要求予混合量ともいう)Qmixは、等NOx(NOx=一定)でSootを最適化するために必要な予混合燃焼用の投入燃料量、及び、燃焼騒音を最適化するための予混合燃焼用の投入燃料量の上限量(要求値)などを考慮して要求される値であって、例えば、図10に示す要求予混合量設定範囲内の値である。なお、要求予混合燃料量Qmixは、要求Soot量及び燃焼騒音の上限値(要求値)をパラメータするマップ(例えば図10に示す要求予混合量設定範囲の値(予混合燃料量)をマップ化したもの)を用いて算出するようにしてもよい。
ステップST104では、上記ステップST102で算出した要求予熱燃料量Qphと、上記ステップST103で算出した要求予混合燃料量Qmixとを加算して副噴射の燃料噴射量(総副噴射量)Qp[Qp=Qph+Qmix]を算出する。
ステップST105では、吸気バルブ16の閉弁時(燃料噴射前)の筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)を下記の要領で認識(算出)する。
・筒内ガス圧力
筒内ガス圧力については、吸気バルブ16の閉弁時に気筒内(燃焼室3内)に流入したガスの総量に基づいてマップや演算式から算出する。なお、筒内のガス圧は、気筒内の圧力変化を検出する筒内圧センサを備えさせ、その筒内圧センサの出力信号から算出するようにしてもよいし、インジェクタ23の内部圧力を検出するための圧力センサを取り付けておき、この圧力センサの出力信号から算出するようにしてもよい。
・筒内ガス温度
筒内ガス温度については、吸気バルブ16の閉弁時において上記吸気温センサ49の出力信号から得られる吸気温度を使用したり、予めECU100のROM102に記憶された吸気温度推定マップ(外気温やエンジン運転状態等から吸気温度を推定するマップ)から読み出すようにすればよい。
・筒内酸素濃度
筒内酸素濃度については、例えば吸気バルブ16の閉弁時のEGR率(EGRガス量の割合)から算出する。
ステップST106では、副噴射時の燃料の噴霧状態(燃料噴射圧・燃料の微粒化度)を認識する。具体的には、燃料噴射圧は、上記レール圧センサ41の出力信号から認識する。また、燃料の微粒化度(SMD:Sauter’s mean diameter)は、上記燃料噴射圧及びインジェクタ特性(噴孔径・噴孔長)などに基づいてマップや演算式から算出する。
ステップST107では、上記ステップST105で認識した筒内のガス状態(ガス温度・ガス圧力・酸素濃度)、及び、上記ステップST106で認識した燃料の噴霧状態(燃料噴射圧・燃料の微粒化度)を用いて予熱燃焼期間tp-c[msec]を算出する。その具体的な処理について以下に説明する。
(s1)上記要求予熱燃料量(予熱用の投入燃料量の要求値)Qphに基づいて図11のマップを参照して基本予熱燃焼期間tbas[msec]を算出する。この基本予熱燃焼期間の算出用マップは、予熱用の投入燃料量をパラメータとして燃焼期間[msec]を、実験・計算等によって適合した値をマップ化したものでECU100のROM102内に記憶されている。
(s2)ガス圧力補正係数αaを図12(a)に示す補正マップを参照して求める。図12(a)の補正マップにおいて、予め規定した基準筒内ガス圧力でのマップ値が「a1」であり、上記ステップST105で算出した実際の筒内ガス圧力におけるマップ値が「a2」である場合は、ガス圧力補正係数αaは[αa=a2/a1]から求めることができる。
(s3)ガス温度補正係数αbを図12(b)に示す補正マップを参照して求める。図12(b)の補正マップにおいて、予め規定した基準筒内ガス温度でのマップ値が「b1」であり、上記ステップST105で算出した実際の筒内ガス圧力におけるマップ値が「b2」である場合は、ガス温度補正係数αbは[αb=b2/b1]から求めることができる。
(s4)酸素濃度補正係数αcを図12(c)に示す補正マップを参照して求める。図12(c)の補正マップにおいて、予め規定した基準筒内酸素濃度でのマップ値が「c1」であり、上記ステップST105で算出した実際の筒内酸素濃度におけるマップ値が「c2」である場合は、酸素濃度補正係数αcは[αc=c2/c1]から求めることができる。
(s5)噴射圧力補正係数βdを図12(d)に示す補正マップを参照して求める。図12(d)の補正マップにおいて、予め規定した基準噴射圧力でのマップ値が「d1」であり、上記ステップST106で算出した実際の燃料の噴射圧力におけるマップ値が「d2」である場合は、噴射圧力補正係数βdは[βd=d2/d1]から求めることができる。なお、燃料の噴射圧が過大である場合は、過拡散や壁面付着等に起因して燃焼が遅くなるので、噴射圧過大の状態のときには、その状態量に応じて噴射圧力補正係数βdを大きくなる側に補正する。
(s6)微粒化度補正係数βeを図12(e)に示す補正マップを参照して求める。図12(e)の補正マップにおいて、予め規定した基準微粒化度でのマップ値が「e1」であり、上記ステップST106で算出した実際の燃料の微粒化度におけるマップ値が「e2」である場合は、噴射圧力補正係数βeは[βe=e2/e1]から求めることができる。
(s7)上記した処理(s1)で求めた基本予熱燃焼期間tbasに、上記した処理(s2)〜(s6)で算出したガス圧力補正係数αa、ガス温度補正係数αb、酸素濃度補正係数αc、噴射圧力補正係数βd、及び、微粒化度補正係数βeを乗算することにより要求予熱燃焼期間tp-c[msec]を算出する(tp-c=tbas×αa×αb×αc×βd×βe)。
ステップST108では、クランクポジションセンサ40の出力信号からエンジン回転数Neを算出する。
ステップST109では、上記ステップST108で算出したエンジン回転数Neを用いて、上記ステップST107で算出した要求予熱燃焼期間tp-c[msec]を、要求予熱燃焼角度期間θp-c[°CA]に変換する(θp-c[°CA]=tp-c[msec]×[Ne×360[°CA]/60×103[msec])。
ステップST110では、上記ステップST101で算出した主燃焼の要求着火時期Am-ig[°CA]と、上記ステップST109で算出した要求予熱燃焼角度期間θp-c[°CA]とを用いて、副噴射による燃焼の着火時期(副燃焼の着火時期)Ap-ig[Ap-ig=Am-ig−θp-c]を算出する(図8参照)。
ステップST111では、上記ステップST105で認識した筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)に基づいて、副噴射の着火遅れ期間(角度期間)θdp[°CA]を算出し、その着火遅れ期間θdpと、上記ステップST110で算出した副燃焼の着火時期Ap-ig[°CA]とを用いて、図8に示す副噴射の噴射開始時期Tps-ig[°CA](Tps-ig=Ap-ig−θdp)を算出(決定)する。着火遅れ期間θdpの算出方法については後述する。
なお、主噴射についても、上記ステップST105で認識した筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)に基づいて、主燃焼の着火遅れ期間(角度期間)θdm[°CA]を算出し、その着火遅れ期間θdmと上記主燃焼の要求着火時期Am-ig[°CA]とを用いて、図8に示す主噴射の噴射開始時期Tms-ig(Tms-ig=Am-ig[°CA]−θdm[°CA])を算出する。
以上のように、この例によれば、主燃焼の要求着火温度(例えば1000K)を達成できる予熱量(予熱用の投入燃料量)と、Soot及び燃焼騒音を低減することが可能な予混合量(予混合燃焼用の投入燃料量)とから副噴射の燃料噴射量(総燃料投入量)を決定しているので、副噴射による必要予熱量の確保及び排気エミッション低減といった各要求を連立することができる。
しかも、主燃焼の要求着火時期に対して設定する予熱燃焼期間(副燃焼着火時から予混合燃焼に至るまでの燃焼期間)を、吸気バルブ16の閉弁時に決まる筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)及び燃料の噴霧状態(燃料噴射圧・燃料の微粒化度)に応じて算出(補正)して副噴射の噴射時期を決定しているので、運転過渡時などにおいても、予熱燃焼期間の終了時(予混合燃焼開始時)を主燃焼の着火時期に合わせることが可能になる。これによって、常に適正な予混合燃焼を得ることができ、排気エミッションの改善及び燃焼の安定性を図ることができる。
なお、以上の例では、筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)及び燃料の噴霧状態(燃料噴射圧・燃料の微粒化度)に応じて予熱燃焼期間を算出しているが、これに限られることなく、筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)のみに応じて予熱燃焼期間を算出(補正)するようにしてもよいし、噴霧状態(燃料噴射圧・燃料の微粒化度)のみに応じて予熱燃焼期間を算出(補正)ようにしてもよい。
−燃料噴射制御−
次に、燃料噴射制御の一例について図13のフローチャートを参照して説明する。図13の制御ルーチンはECU100において所定のクランク角度毎(各気筒毎)に繰り返して実行される。具体的には、例えば、1つの気筒について説明すると、その気筒の燃焼行程が実施される度に、その燃焼行程に先立って図13の制御ルーチンが実行される。
この図13の制御ルーチンが開始されると、ステップST201において、主燃焼の要求着火時期Am-ig[°CA]を算出し、ステップST202において要求予熱燃焼期間tp-c[msec]を算出する。これらステップST201及びステップST202の処理は、上述した図7のフローチャートのステップST101〜ステップST107の処理内容と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
ステップST203では、クランクポジションセンサ40の出力信号からエンジン回転数Neを算出する。
ステップST204では、上記ステップST203で算出したエンジン回転数Neを用いて、上記ステップST202で算出した要求予熱燃焼期間tp-c[msec]を、要求予熱燃焼角度期間θp-c[°CA]に変換する(θp-c[°CA]=tp-c[msec]×[Ne×360[°CA]/60×103[msec])。
ステップST205では、吸気バルブ16の閉弁時(燃料噴射前)の筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)を認識する。これら筒内のガス圧、筒内ガス温度及び筒内酸素濃度は、上述した図7のステップST105と同じ処理によって認識することができる。なお、上記ステップST202において要求予熱燃焼期間tp-cを算出する際に、筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)を認識しているので(図7のステップST105の処理にて認識)、その筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)を流用してもよい。
ステップST206では、上記ステップST205で認識した筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)に基づいて、主燃焼の着火遅れ期間tdm[msec]を算出する。
ここで、主燃焼の着火遅れ期間は、筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)に相関があるので、例えば、筒内のガス状態と着火遅れ期間との関係を実験・計算等によって取得しておき、その結果を基に経験的に適合した値をマップ化したマップ(筒内ガス状態をパラメータとするマップ)を用いて主燃焼の着火遅れ期間tdm[msec]を算出すればよい。
ステップST207では、上記ステップST205で認識した筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)に基づいて、副燃焼(副噴射)の着火遅れ期間tdp[msec]を算出する。なお、副燃焼の着火遅れ期間についても、筒内のガス状態(圧力・温度・酸素濃度)に相関があるので、上記した主燃焼の着火遅れ期間と同様に、マップを参照して筒内のガス状態に基づいて副燃焼の着火遅れ期間tdp[msec]を算出すればよい。
ステップST208では、上記ステップST203で算出したエンジン回転数Neを用いて、上記ステップST206で算出した主燃焼の着火遅れ期間tdm[msec]を、主燃焼着火遅れ角度θdm[°CA]に変換する(θdm[°CA]=tdm[msec]×[Ne×360[°CA]/60×103[msec])。
ステップST209では、上記ステップST203で算出したエンジン回転数Neを用いて、上記ステップST207で算出した副燃焼の着火遅れ期間tdp[msec]を、副燃焼着火遅れ角度θdp[°CA]に変換する(θdp[°CA]=tdp[msec]×[Ne×360[°CA]/60×103[msec])。
ステップST210では、図8に示す要求噴射インターバルΔθdph[°CA]を下記の要領で算出する。
(s11)上記ステップST201で算出した主燃焼の要求着火時期Am-ig[°CA]と、上記ステップST204で算出した要求予熱燃焼角度期間θp-c[°CA]とを用いて、図8に示す副燃焼の着火時期Ap-ig[°CA](Ap-ig=Am-ig−θp-c)を算出する。
(s12)上記副燃焼の着火時期Ap-ig[°CA]と、上記ステップST209で算出した副燃焼着火遅れ角度θdp[°CA]とを用いて、図8に示す副噴射の噴射開始時期Tps-ig[°CA](Tps-ig=Ap-ig−θdp)を算出する。
(s13)副噴射の燃料噴射量(総燃料投入量)Qp及びインジェクタ23の噴射特性(単位時間当たりの噴射量等)に基づいて副噴射の噴射期間(噴射開始時期〜噴射終了時期)を算出し、その副噴射の噴射期間[°CA]と、上記副噴射の噴射開始時期Tps-ig[°CA]とを用いて、図8に示す副噴射の噴射終了時期Tpe-ig[°CA](Tpe-ig=Tps-ig+副噴射の噴射期間)を算出する。
(s14)上記ステップST201で算出した主燃焼の要求着火時期Am-ig[°CA]と、上記ステップST208で算出した主燃焼着火遅れ角度θdm[°CA]とを用いて、図8に示す主噴射の噴射開始時期Tms-ig[°CA](Tms-ig=Am-ig−θdm)を算出する。
(s15)上記した処理(s13)で算出した副噴射の噴射終了時期Tpe-ig[°CA]と、上記した処理(s14)で算出した主噴射の噴射開始時期Tms-ig[°CA]とを用いて、演算による副噴射の噴射終了時から主噴射の噴射開始時までの期間つまり図8に示す要求噴射インターバルΔθdph[°CA](Δθdph=|Tpe-ig−Tms-ig|)を算出する。
次に、ステップST211において、噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinj[°CA]を算出する。噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinjは、インジェクタ23等の噴射系部品の精度確保及び噴射パルス出力用の駆動回路の保護に必要な噴射特性上の噴射停止期間(インジェクタ23が閉弁してから開弁を開始するまでの最短期間)であって、エンジン回転数Ne及び燃料噴射圧などの運転状態をパラメータとするマップや演算式等によって求めることができる。なお、噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinjは固定値(一定値)であってもよい。
そして、ステップST212において、上記ステップST210で算出した要求噴射インターバルΔθdphと、上記ステップST211で算出した噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinjとを比較し、要求噴射インターバルΔθdphが噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinj以上(Δθdph≧Δθdinj)である場合(ステップST212の判定結果が否定判定(NO)である場合)は、要求どうりの噴射形態(ステップST210で算出した副噴射の噴射開始時期Tps-ig及び主噴射の噴射開始時期Tms-igに基づく噴射形態)で噴射を実行する(ステップST214)。
一方、ステップST212の判定結果が肯定判定(YES)であり、要求噴射インターバルΔθdphが噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinjよりも短い場合(Δθdph<Δθdinjである場合)は、副噴射の噴射開始時期を、上記主噴射の噴射開始時期Tms-igから噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinjを差し引いた時期(Tms-ig−Δθdinj)に変更するとともに、筒内ガス温度を低下(例えば、EGR量の増量によるガス温度低下)させてから(ステップST213)、副噴射及び主噴射を実行する(ステップST214)。
以上のように、この例の燃料噴射制御によれば、上記演算による要求噴射インターバルΔθdphが噴射特性上の噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinjよりも短い場合は、副噴射と主噴射との噴射停止間隔を噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinjとして、噴射系部品の精度を確保し、噴射パルス出力用の駆動回路を保護する。このようにすると、副噴射の燃料噴射で発生する予熱燃焼の終了時が主燃焼の要求着火時期よりも進角側となってしまうが、上記したように筒内ガス温度を低い側に操作することで予熱燃焼期間が長くなるので、その予熱燃焼の終了時点を主燃焼の要求着火時期(例えばTDC)に合わせることが可能になる。これによって、噴射系部品の精度確保及び駆動回路の保護を達成しながら、適正な予熱量と予混合燃焼を主燃焼の着火時期に与えることができる。
以上の例では、要求噴射インターバルΔθdphが噴射特性上の噴射系制約噴射停止インターバルΔθdinjよりも短い場合に、筒内ガス温度を操作して予熱燃焼期間を長くしているが、これに限られることなく、筒内ガス圧、筒内酸素濃度または燃料噴射圧のいずれか1つのパラメータを操作して予熱燃焼期間を長くするようにしてもよい。また、筒内ガス圧、筒内ガス温度、筒内酸素濃度、燃料噴射圧のうちの複数のパラメータを操作して予熱燃焼期間を長くするようにしてもよいし、それら筒内ガス圧、筒内ガス温度、筒内酸素濃度及び燃料噴射圧の全てのパラメータを操作して予熱燃焼期間を長くするようにしてもよい。
なお、筒内ガス圧は、ターボチャージャ5の可変ノズルベーン機構54に備えられているノズルベーンの開度(VN開度)を操作することにより調整することができる。筒内ガス温度や筒内酸素濃度は、EGRバルブ81の開度を操作(EGR量の操作)により調整することができる。
−他の実施形態−
以上の例では、コモンレール式筒内直噴型多気筒(4気筒)ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、例えば6気筒ディーゼルエンジンなど他の任意の気筒数のディーゼルエンジンにも適用可能である。また、本発明が適用可能なエンジンは、自動車用のエンジンに限るものではない。
以上の例では、通電期間においてのみ全開の開弁状態となることにより燃料噴射率を変更するピエゾインジェクタ23を適用したエンジン1について説明したが、本発明は、可変噴射率インジェクタを適用したエンジンへの適用も可能である。
以上の例では、マニバータ77として、NSR触媒75及びDPNR触媒76を備えたものとしたが、NSR触媒75及びDPF(Diesel Paticulate Filter)を備えたものとしてもよい。
本発明は、ディーゼルエンジンに代表される内燃機関の燃料噴射制御装置に利用可能であり、さらに詳しくは、燃料噴射弁からの主噴射に先立つ副噴射が実行可能な圧縮自着火式の内燃機関の燃料噴射制御装置に有効に利用することができる。
1 エンジン(内燃機関)
3 燃焼室
5 ターボチャージャ
54 可変ノズルベーン機構
16 吸気バルブ
17 排気バルブ
22 コモンレール
23 インジェクタ(燃料噴射弁)
40 クランクポジションセンサ
41 レール圧センサ
49 吸気温センサ
81 EGRバルブ
100 ECU

Claims (9)

  1. 燃料噴射弁から気筒内に噴射された燃料が気筒内で燃焼する圧縮自着火式の内燃機関の制御に適用され、前記燃料噴射弁からの燃料噴射動作として、少なくとも、主燃焼のための主噴射と、この主噴射に先立って行われる副噴射とが実行可能な燃料噴射制御装置において、
    前記主燃焼の要求着火温度を満足するための予熱用燃料量と、排気エミッションを低減するための予混合燃焼用燃料量とから前記副噴射の燃料噴射量を求める副噴射燃料量算出部と、
    前記予熱用燃料量に基づいて予熱燃焼期間を、燃料噴射前の筒内のガス状態及び燃料の噴霧状態の少なくともいずれか一方の状態に応じて求める予熱燃焼期間算出部と、
    前記主燃焼の要求着火時期、前記予熱燃焼期間、及び、前記副噴射で燃料が噴射されてから着火が生じるまでの着火遅れ期間に基づいて前記副噴射の噴射開始時期を決定する副噴射時期決定部とを備えていることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記予熱燃焼期間算出部は、前記予熱用燃料量から基本予熱燃焼期間を求め、その基本予熱燃焼期間を前記筒内のガス状態及び燃料の噴霧状態の少なくともいずれか一方の状態に応じて補正して前記予熱燃焼期間を求めることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 請求項2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記予熱燃焼期間算出部は、前記予熱用燃料量に基づいて前記筒内のガス状態及び燃料の噴霧状態に応じて前記予熱燃焼期間を求める場合、予め規定した基準の筒内ガス状態と実際の筒内ガス状態とからガス状態に関する補正係数を求めるとともに、予め規定した基準の燃料噴霧状態と実際の燃料噴霧状態とから噴霧状態に関する補正係数を求め、前記予熱用燃料量から得られる基本予熱燃焼期間に、前記ガス状態に関する補正係数及び噴霧状態に関する補正係数を乗算することにより前記予熱燃焼期間を求めることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記筒内のガス状態に関するパラメータが、筒内ガス圧力、筒内ガス温度及び筒内酸素濃度であることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料の噴霧状態に関するパラメータが、燃料噴射圧及び燃料の微粒化度であることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記副噴射時期決定部は、前記副噴射の着火遅れ期間を、燃料噴射前の筒内のガス状態に応じて設定することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記予混合燃焼用燃料量は、Sootの低減及び燃焼騒音の低減を考慮して決定することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記副噴射時期決定部で決定された副噴射の噴射開始時期と、前記副噴射燃料量算出部で求めた副噴射の燃料噴射量に基づく噴射期間とから副噴射の噴射終了時期を求めるとともに、前記主燃焼の要求着火時期と主燃焼の着火遅れ期間とから主噴射の噴射開始時期を求め、それら演算による副噴射の噴射開始時期と主噴射の噴射開始時期との間の要求噴射インターバルと、実際の燃料噴射において副噴射の噴射終了時期から主噴射の噴射開始時期までに必要な噴射系制約噴射停止インターバルとを比較し、その要求噴射インターバルが噴射系制約噴射停止インターバルよりも短い場合は、実際の予熱燃焼期間が長くなるように、前記筒内のガス状態及び燃料の噴霧状態の少なくともいずれか一方の状態を調整することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  9. 請求項8記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記要求噴射インターバルが前記噴射系制約噴射停止インターバルよりも短い場合は、実際の予熱燃焼期間が長くなるように、筒内ガス圧、筒内ガス温度、筒内酸素濃度または燃料噴射圧のいずれか1つのパラメータもしくは複数のパラメータを組み合わせて調整することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
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