JP5098751B2 - 超高純度アルミニウム高圧延材の製造方法 - Google Patents
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得られた熱間圧延材に圧延処理を施して、該熱間圧延材に対する加工率が40%超の超高純度アルミニウム高圧延材を製造する方法であり、
前記熱間圧延材に、1パス加工率30%以下で加工温度60℃以上260℃未満の冷間圧延処理を3時間以内の処理間隔で繰り返し施すことを特徴とする前記高純度アルミニウム高圧延材の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法に適用される超高純度アルミニウム鋳塊材は、純度99.9999%以上、通常は99.99999%未満であり、例えば超高純度アルミニウムを加熱溶融して溶湯とし、得られた超高純度アルミニウム溶湯を冷却固化させる通常の方法で得ることができる。溶湯の温度は超高純度アルミニウムの溶融温度以上であり、通常は700℃〜800℃である。超高純度アルミニウムの加熱溶融は、通常、真空中あるいは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下に、黒鉛製ルツボ内で行われる。超高純度アルミニウム溶湯の冷却固化は通常、例えば鋳鉄製鋳型内、黒鉛製鋳型内などで行われる。
Fe、Si、Cu、B 、Mg、Ti、V、Cr、Ni、Zn、
Ga、As、Zr、Ce、Nd、Li、Be、Na、K、Ca、
Mn、Co、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、La、
La、Pt、Hg、Pb、Bi、ThおよびUについて、それぞれ元素の含有量を求め、その合計量を100%から差し引くことにより求めることができる。これらの元素の含有量は、それぞれグロー放電質量分析法により定量することができる。超高純度アルミニウム鋳塊材は、上記37元素以外の不可避不純物を含んでいてもよい。
かかる超高純度アルミニウム鋳塊材に熱間圧延処理を施して熱間圧延材を得る。熱間圧延処理は、通常の方法、例えば加熱した鋳塊材を一対のロールの間に挟み込むことにより圧力を加えながら、これらのロール間を通過させる方法などにより施される。熱間圧延処理温度は、通常260℃以上600℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下である。
熱間圧延加工率(%)=[(SH0−SH)/SH0]×100・・・(1)
により求められる熱間圧延加工率は、通常50%〜90%、好ましくは60%〜80%である。
熱間圧延処理は、1回で行われてもよいし、複数回に分けて繰り返し施されてもよい。
熱間圧延処理により得られた熱間圧延材に、冷間圧延処理を繰り返し施す。冷間圧延処理は、通常の方法、例えば熱間圧延処理により得られた熱間圧延材を一対のロールの間に挟み込むことより圧力を加えながら、これらのロール間を通過させる方法などにより施される。
冷間圧延加工率(%)=[(S10−S1)/S10]×100・・・(2)
により求められる。1パス加工率は、30%以下であり、通常は5%以上、好ましくは10%以上である。
本発明の製造方法では、上記の冷間圧延処理を繰り返し施すことにより、超高純度アルミニウム高圧延材を得る。繰り返し回数は、冷間圧延処理の1パス加工率により異なり、熱間圧延材に対する加工率が40%超となるまで行われる。
加工率(%)=[(SH−S)/SH]×100・・・(4)
により求められる。
かくして目的の超高純度アルミニウム高圧延材を得るが、得られた超高純度アルミニウム高圧延材に焼鈍処理を施してもよい。焼鈍処理は、例えば超高純度アルミニウム高圧延材を400℃〜600℃の温度で、1時間以上、好ましくは3時間以上、通常は24時間以下保持することにより行われる。焼鈍処理を施すことにより、電気伝導率および熱伝導率がより高い高電気伝導・高熱伝導性超高純度アルミニウム材を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる超高純度アルミニウム高圧延材は、例えば冷凍機、クライオポンプ、超電導マグネットなどにおいて20K以下の極低温で使用される電気伝導体や熱伝導体などに好適に用いられる。
〔超高純度アルミニウム鋳塊材の鋳造〕
第1表に示す元素組成の超高純度アルミニウム〔純度99.99992%〕を黒鉛ルツボ中、真空下に780℃に加熱し、得られた高純度アルミニウム溶湯を鋳鉄製鋳型〔150℃〕に流し込んで、板状〔縦150mm×横200mm×厚み22mm〕とし、全表面を1mm深さまで研削し、縦50mm×横50mmに切り出して厚み20mmの高純度アルミニウム鋳塊材を得た。なお、用いた高純度アルミニウム中の元素含有量は、それぞれグロー放電質量分析機〔サーモエレクトロン社製「VG9000」〕を用いてグロー放電質量分析法により測定した。
(単位:ppm)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
元素 含有量 元素 含有量 元素 含有量 元素 含有量
────────────────────────────────────────
Si 0.37 Cu 0.11 Mg 0.12
────────────────────────────────────────
Fe 0.064 Ti 0.035 V 0.033 Cr 0.04
Zr 0.020
────────────────────────────────────────
B 0.002 Ni 0.003 Zn 0.002 Ga<0.001
As<0.001 Ce<0.001 Li 0.001 Be<0.001
Na<0.001 K 0.008 Ca 0.009 Mn 0.006
Co<0.001 Mo 0.003 Ag<0.001 Cd 0.002
In<0.001 Sn 0.002 Sb<0.001 Ba<0.001
La<0.001 Pt<0.001 Hg 0.002 Pb<0.001
Bi<0.001 Th<0.0003 U <0.0003
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表中、Ga、As、Ce、Be、Na、Co、Ag、In、Sb、Ba、La、Pt、PbおよびBiの含有量は、それぞれ検出下限(0.001ppm)未満であった。ThおよびUの含有量は検出下限(0.0003ppm)以下であった。
得られた高純度アルミニウム鋳塊材に、加工温度500℃、1パス加工率20%の熱間圧延処理を4回繰り返し施して、熱間圧延材〔縦52mm×横120mm×厚み8mm〕を得た。
得られた熱間圧延材に、室温(25℃)雰囲気下、70℃〜150℃の温度範囲に維持しながら1パス加工率18%の冷間圧延処理を14回施して、厚み0.5mmの超高純度アルミニウム高圧延材を得た。冷間圧延処理の間、圧延材は、150℃まで加熱してから圧延処理を施し、圧延処理中に70℃になった時点で、直ちに圧延処理を中断し、再び150℃に加熱する操作を繰り返した。得られた超高純度アルミニウム高圧延材の表面のビッカース硬度を測定したところ、27.6であった。
得られた超高純度アルミニウム高圧延材を大気中、500℃で3時間保持して高電気伝導・高熱伝導性超高純度アルミニウム材を得た。
λ(T)・ρ(T)=L・T ・・・ (5)
〔式中、λ(T)は温度T(K)における熱伝導率を、ρ(T)は温度T(K)における比抵抗を、Lはローレンツ定数を、Tは温度(K)をそれぞれ示す。〕
より求めた熱伝導率は、約46000W/m/Kである。
冷間圧延処理における1パス加工率を26%とし、冷間圧延処理の回数を9回とした以外は実施例1と同様に操作して超高純度アルミニウム高圧延材(厚み0.5mm)を得、高電気伝導・高熱伝導性超高純度アルミニウム材を得た。この超高純度アルミニウム高圧延材の表面のビッカース硬度は35.9であった。
20℃〜50℃の温度範囲に維持しながら熱間圧延材に冷間圧延処理を施した以外は実施例1と同様に操作して、超高純度アルミニウム高圧延材(厚み0.5mm)を得た。冷間圧延処理の間、圧延材は、冷間圧延処理の間、圧延材は、圧延による発熱により温度50℃以上となると、直ちに圧延処理を中断し、20℃の水に浸漬して冷却する操作を繰り返した。得られた超高純度アルミニウム高圧延材の表面のビッカース硬度を測定したところ、18.4であった。
冷間圧延処理の1パス加工率を26%とし、冷間圧延処理の回数を9回とした以外は比較例1と同様に操作し超高純度アルミニウム高圧延材(厚み0.5mm)を得た。この超高純度アルミニウム高圧延材の表面のビッカース硬度を測定したところ、17.4であった。
〔冷間圧延処理〕
実施例1と同様に操作して得た熱間圧延材に、室温(25℃)雰囲気下、120℃〜250℃の温度範囲に維持しながら1パス加工率18%の冷間圧延処理を14回施して、超高純度アルミニウム高圧延材(厚み0.5mm)を得た。冷間圧延処理の間、圧延材は、250℃まで加熱してから圧延処理を施し、圧延処理中に120℃になった時点で、直ちに圧延処理を中断し、再び250℃に加熱する操作を繰り返した。得られた超高純度アルミニウム高圧延材の表面のビッカース硬度を測定したところ、33.6であった。
冷間圧延処理の1パス加工率を26%とし、冷間圧延処理の回数を9回とした以外は実施例3と同様に操作して超高純度アルミニウム高圧延材(厚み0.5mm)を得た。この超高純度アルミニウム高圧延材の表面のビッカース硬度は31.1であった。
冷間圧延処理の1パス加工率を60%とし、第二冷間圧延処理の回数を3回とした以外は実施例3と同様に操作して超高純度アルミニウム高圧延材(厚み0.5mm)を得た。この超高純度アルミニウム高圧延材の表面のビッカース硬度は17.3であった。
Claims (2)
- 純度99.9999%以上の超高純度アルミニウム鋳塊材に加工温度260℃以上の熱間圧延処理を施すことにより熱間圧延材を得、
得られた熱間圧延材に圧延処理を施して、該熱間圧延材に対する加工率が40%超の超高純度アルミニウム高圧延材を製造する方法であり、
前記熱間圧延材に、
1パス加工率30%以下で加工温度60℃以上260℃未満の冷間圧延処理
を3時間以内の処理間隔で
繰り返し施す
ことを特徴とする前記高純度アルミニウム高圧延材の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法で前記超高純度アルミニウム高圧延材を得、得られた高圧延材に400℃〜600℃の温度で1時間以上保持する焼鈍処理を施すことを特徴とする高電気伝導・高熱伝導性超高純度アルミニウム材の製造方法。
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