以下、本発明を実施するための最良の形態として、トンネル周方向に隣り合う複数のセグメントを連結可能とするセグメント継手構造、並びにそのセグメントの継手構造の適用されたセグメントについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施の形態
本発明を適用したセグメントの継手構造の第1の実施の形態について、図1〜図11を参照して説明する。
図1は、本発明において用いられるセグメント3を複数個に亘ってトンネル周方向並びにトンネル軸方向に連結することによって構築される、トンネル覆工体としてのシールドトンネル1の斜視図を示している。
セグメント3は、側面視において円弧板状に形成され、平面視において矩形状に形成されている。各セグメント3は、図1に示すように、トンネル周方向に隣接するセグメント3の間でセグメント継手部7を介してリング状に連結されて、セグメントリング4を構成する。このセグメントリング4は、トンネル軸方向に隣接するセグメント3の間でリング継手部5を介して連結されて、トンネル軸方向に延長される筒状のトンネル覆工体として構成される。なお、このシールドトンネル1内には、例えば、自動車の走行用の道路床が構築されるが、この他にも、鉄道路線や水路、或いは水道管や電線等のライフラインを設けるようにしてもよい。本発明は、このセグメント継手部7におけるセグメントの継手構造を実現するために適用されるものである。
本発明において用いられるセグメント3は、例えば、図2、図3に示すような、合成セグメント3Aとして構成されるものである。なお、図2は、この合成セグメント3Aの斜視図であり、図3(a)は合成セグメント3Aの正面断面図、図3(b)は合成セグメント3Aの側面断面図を示すものである。また、図3における図上部はトンネル内空側を示し、図下部はトンネル地山側を示す。
合成セグメント3Aは、鋼殻10と、この鋼殻10の内側空間部に充填されたコンクリート19とから構成される。
鋼殻10は、トンネル周方向に延長されて形成され、トンネル軸方向に互いに間隔をあけて配置される一対の主桁11と、一対の主桁のトンネル周方向の両端部間を連結する一対の継手板13と、これら一対の主桁11並びに一対の継手板13のトンネル地山側の端部に固着されるスキンプレート16とを備えている。これら主桁11、継手板13並びにスキンプレート16によって、鋼殻10は、トンネル地山側が開口された箱状に形成されている。
また、鋼殻10には、スキンプレート16のトンネル内空側において、継手板13と略平行な縦リブ15がトンネル周方向に間隔をあけて複数配置されている。また、このコンクリート19内には、縦リブ15のトンネル内空側端部よりも内側において、主桁11と略平行な鉄筋17がトンネル軸方向に間隔をあけて複数配置されている。
鋼殻10を構成する主桁11、継手板13、縦リブ15、スキンプレート16は、例えば、鋼板によって具体化されており、溶接等によって互いに固着されている。主桁11やスキンプレート16は、トンネル周方向に沿って湾曲された形状とされている。
このような構成からなる合成セグメント3Aは、シールドトンネル1の構築時において、トンネル周方向の一端側における一方の継手板13aの外面と、トンネル周方向の他端側における他方の継手板13bの外面とを互いに当接させて配置することとなる。換言すると、トンネル周方向の一端側における一方の接合面14aと、トンネル周方向の他端側における他方の接合面14bとを互いに当接させて配置することになる。
本発明におけるセグメントの継手構造9は、図4、図5に示すように、トンネル周方向に隣り合うセグメント3Aの互いに対向する一方の接合面14aと他方の接合面14bとにそれぞれ設けられる雄継手20と雌継手40とから構成されるものである。
雄継手20は、図5、図6(a)や図7(a)に示すように、一方の接合面14aの内側に配置された雄側収容体21と、雄側収容体21内に配置された保持金物23並びに弾性部材25と、保持金物23に連結された連結金物30とを備えている。なお、一方の接合面14aには、挿通孔27が形成されている。
雄側収容体21は、図7(a)に示すように、トンネル周方向の一端側に開口部が形成され、トンネル周方向の他端側に底部21cが形成され、全体として筒状に構成されている。雄側収容体21は、その開口縁21aが継手板13aの裏面に当接されたうえで溶接等によって固着されている。雄側収容体21は、その内部空間と継手板13aの外面側空間とが、継手板13aに形成された挿通孔27を介して連通状態となるように継手板13aの内面に対して取り付けられている。雄側収容体21は、その内部空間に、継手板13aの内面側に充填されるコンクリート19が侵入してくるのを防止するために取り付けられるものである。
雄継手20は、雄側収容体21と一方の継手板13aに形成された挿通孔27との内部において、後述するように、一方の接合面14aより内側に移動させられる連結金物30を収容可能な雄側収容空間28を備えている。
保持金物23は、本実施の形態において、図7(a)、図8に示すように、内周面にねじ切りされた雌ねじ部23aが設けられたナットから構成されている。弾性部材25は、本実施の形態において、一端側が保持金物23の端部に連結され、他端側が雄側収容体21の底部21cに連結されており、コイルバネから構成されている。保持金物23は、弾性部材25によって、継手板13aの挿通孔27から抜け止め状態となるようにされてい
る。
連結金物30は、図8に示すように、円柱状の棒材からなる軸部31と、平板状の板材からなる係合部33とを備えている。
軸部31は、図7(a)に示すように、その軸方向の基端側が保持金物23に連結されており、挿通孔27を挿通されて、その軸方向の先端側が一方の継手板13aの外側に配置されている。これは、連結金物30が、挿通孔27を介して一方の接合面14aの内側から外側に向けて突出されていることを意味している。
連結金物30の軸部31は、図8に示すように、その軸方向の基端側の外周面にねじ切りされた雄ねじ部37が形成されている。この雄ねじ部37は、保持金物23の雌ねじ部23aとの間で互いに螺合可能に構成されている。連結金物30は、保持金物23の雌ねじ部23aに対して雄ねじ部37を螺合させることによって、保持金物23に対して着脱可能に連結されている。
係合部33は、一方の接合面14aから突出されている連結金物30の先端にトンネル軸方向に略平行となるように設けられている。図7(a)に示すように、係合部33の内側には、係合部33の先端に向かうにつれて一方の接合面14aと離間されるように案内面35が形成されている。
このようにして構成される雄継手20の連結金物30は、保持金物23及び弾性部材25を介して雄側収容体21に対して連結されているのみであり、他の部材によって拘束されておらず、トンネル周方向の両側に向けて移動可能とされている。
保持金物23に連結されている弾性部材25は、連結金物30がトンネル周方向の何れかの方向に向けて移動した場合に、保持金物23を介して連結金物30に対してその移動方向と逆側に向けて弾性復元力を作用させることができる。これは、弾性部材25が、トンネル周方向の両側に向けて、その連結金物30を付勢可能となるように雄側収容体21内に配置されていることを意味している。
雄継手20は、図7(b)に示すように、軸部31の基端側に向けて連結金物30に対して荷重を負荷して、一方の接合面14aよりも内側に連結金物30が移動させた場合に、雄側収容体21と一方の継手板13aに形成された挿通孔27との内部において、その連結金物30の軸部31や係合部33、更には保持金物23を収容可能となるような雄側収容空間28が形成されている。連結金物30は、その外側端面34が少なくとも一方の接合面14aと略同一面上に配置される程度にまで、一方の接合面14aの内側に向けて移動可能とされており、雄側収容空間28は、このように移動された連結金物30、保持金物23を収容可能となるように、その大きさ、形状等が調整されている。なお、雄側収容空間28は、連結金物30の外側端面34が一方の接合面14aよりも内側に移動された場合においても、その連結金物30を収容可能となるように調整されていてもよいのは勿論である。
ここで、図7(b)に示すように、雄側収容空間28に収容された連結金物30には、弾性部材25によって軸部31の先端側に向けて付勢されている。このため、連結金物30に対して負荷されている荷重を解除することによって、連結金物30は、図7(a)に示すように、弾性部材25により押圧されて再度初期位置にまで移動することになる。
雌継手40は、図5や図6(b)に示すように、他方の接合面14bに形成された挿通孔47と、他方の接合面14bよりも内側に形成され、挿通孔47により開口される雌側
収容空間43と、他方の接合面14bよりも内側に配置される雌側収容体41とを有している。本実施の形態において、この雌側収容空間43は、その周囲を、雌側収容体41の内壁面並びに他方の接合面14bを構成する他方の継手板13bの内面によって囲まれている。
雌側収容体41は、他方の接合面14bの外側に向けて開口された箱状に形成されている。雌側収容体41は、その開口縁41aが継手板13bの内面に当接されたうえで溶接等によって固着されている。雌側収容体41は、その内部の雌側収容空間43と他方の継手板13bの外面側空間とが、挿通孔47を介して連通状態となるように、継手板13bの内面に対して取り付けられている。また、雌側収容体41は、挿通孔47の近傍に位置する継手板13bの一部の内面45を所定範囲残すようにして取り付けられている。挿通孔47に対してこの一部の内面45が設けられる位置は、連結金物30の軸部31の先端側から係合部33の先端側に向かう方向に対応しており、後述するように、この内面45を被係合面45として、連結金物30の係合部33が係合されることになる。
次に、本発明におけるセグメントの継手構造9が用いられたセグメント3をトンネル周方向に連結させる工程について概略的に説明する。
まず、図9(a)に示すように、既に他のセグメントに対して連結等されて固定されたセグメント3bに対して、他のセグメント3aを、それぞれの接合面14a、14bが互いに近接する方向に移動させ、それぞれの接合面14a、14bを互いに当接させる。ここで、連結すべきそれぞれのセグメント3a、3bを互いに当接させた場合において、一方のセグメント3aにおける連結金物30の先端の外側端面34は、他方のセグメント3bにおける接合面14bであって、挿通孔47の設けられていない面に当接されるように調整される。これにより、連結金物30は、他方のセグメント3bにおける接合面14bによって一方のセグメント3aの内側に向けて押圧されることになり、その結果、一方の接合面の内側に移動させられ、図9(b)に示すように、雄側収容空間28内に収容されることになる。
次に、図9(b)に示すように、それぞれのセグメント3a、3bの接合面14a、14bを互いに当接させた状態から、新設のセグメント3aを図中の矢印に示すようなトンネル軸方向に移動させる。これは、それぞれのセグメント3a、3bをトンネル軸方向に相対的に移動させることを意味している。新設のセグメント3aは、雄側収容空間28内に収容されている連結金物30の先端の外側端面34が、既設のセグメント3bにおける挿通孔47と対応する位置に到達するまで移動させる。既設のセグメント3bにおける挿通孔47と対応する位置にまで到達すると、連結金物30は、図9(c)に示すように、既設のセグメント3bにおける接合面14bによる拘束が解除されることになり、雄側収容空間28内に収容されている状態から、弾性部材25による付勢によって押圧されて、他方の接合面14bの挿通孔47に挿通されることになる。
なお、それぞれのセグメント3a、3bの接合面14a、14bを互いに当接させた状態から新設のセグメント3aを図中の矢印に示すようなトンネル軸方向に移動させる際に、連結金物30が継手板13bの接合面14bと擦れることになる。このため、例えば、この擦れる面となる連結金物30の外側端面34や継手板13bの接合面14bに潤滑用テープを張ったり、潤滑剤を塗布したりしておくことが好ましく、これによって、継手板13bや連結金物30が擦れによって傷つくことを簡単に回避できる。
図10は、連結金物30が他方の接合面14bの挿通孔47に挿通された後の状態を示している。この状態において、連結金物30は、新設のセグメント3aを更にトンネル軸方向に移動させることにより、その案内面35に対して、他方の継手板13bの内側に位
置する挿通孔47の孔壁端縁部47aが当接可能となるように調整されている。この位置調整は、連結金物30の形状、位置等や弾性部材25の弾性力等の調整によってされることになる。
このため、例えば、図中左側の新設のセグメント3aを方向A1に移動させることによって、他方の継手板13bの孔壁端縁部47aが連結金物30の案内面35に当接することになる。そして、図中左側の新設のセグメント3aを方向A1に更に移動させることによって、他方の継手板13bの孔壁端縁部47aは、案内面35を介して連結金物30を方向A2に押し上げ、連結金物30の先端を雌継手40の雌側収容空間43の内部に更に進入させることになる。
図11は、図10に示す各セグメント3の状態から、図中左側の新設のセグメント3aを方向A1に所定長さ移動させた後のセグメント3の連結作業が完了した状態を示している。このように、連結金物30は、他方の接合面14bの挿通孔47内に挿通された後に、それぞれのセグメント3a、3bをトンネル軸方向に相対的に移動させた場合において、その係合部33の内側の係合面39が、他方の継手板13bの内面の一部である被係合面45に係合可能とされている。換言すると、連結金物30の係合部33の内側が被係合部材49としての継手板13bに係合可能とされており、これによって、トンネル周方向に隣り合うセグメント3が連結可能とされていることになる。
このように、本発明のセグメントの継手構造9においては、連結金物30の先端を、雄側収容空間28内に収容させながら、セグメント3間の連結作業を行なうことが可能となっている。このため、セグメント3の連結作業時において、雄継手20の連結金物30が雌継手40の設けられている接合面14bに対して干渉することによる雄継手20の損傷、変形を防止することが可能となっている。また、一のセグメント3における連結金物30と、他のセグメント3における雌継手40の挿通孔47とを正確に位置合わせする作業をすることなく、セグメント3の連結作業を完了させることができ、その分において連結作業時における作業性が向上している。
また、本発明のセグメントの継手構造9により連結された複数のセグメント3は、軸部31の軸方向の基端側に向けて、弾性部材25によって連結金物30が付勢されている。このため、各セグメント3は、互いに引き寄せられるように力が作用しており、これによって、セグメント3間で目開きが生じている場合でも、これを低減することが可能となり、セグメント3間での止水性が向上することになる。なお、ここでいう目開きとは、隣り合うセグメントの接合面間に生じるトンネル周方向の隙間のことをいう。
特に、このそれぞれのセグメント3を互いに引き寄せるように作用する力は、一のセグメント3における連結金物30の案内面35を、他のセグメント3における挿通孔47の孔壁端縁部47aに当接させた段階以降において生じる力である。このため、セグメント3の連結作業時において、それぞれのセグメント3間において製作誤差や施工誤差に伴う目開きが生じている場合でも、一のセグメント3における連結金物30の案内面35を、他のセグメント3における挿通孔47の孔壁端縁部47aに当接させることさえできれば、セグメント3間の連結作業を行うことができ、この目開きを低減させることができる。これは、セグメントの製作時に生じる製作誤差や、セグメントリング構築時に生じる施工誤差等に基づく目開きがセグメント間3において発生している場合においてもこれを吸収できる、誤差吸収機能が発揮されることを意味している。このため、本発明を適用したセグメントの継手構造9によれば、セグメント3間において製作誤差等に基づく目開きが生じている場合でも、施工スピードを落とすことなくスムーズにセグメント3の連結作業を行なうことが可能となっている。
また、セグメント3の雄継手20は、雄側収容体21内に配置された連結金物30の雌ねじ部23a内に連結金物30の雄ねじ部37を螺合させることによって、一方の接合面14aに対して着脱可能に構成されている。このため、工場等でのセグメント3の製作時において、一方の接合面14aの内側に、保持金物23と弾性部材25とが収容配置された雄側収容体21を取り付けるのみとしておき、セグメント3の連結作業時において、接合面14aの外側から連結金物30を取り付けることが可能となっている。これにより、製作後のセグメント3には、その両側の接合面14a、14bから何も突出した部材がない状態となる。このため、セグメント3の保管時、運搬時において、その両側の接合面14a、14bが他のものに引っかかったりすることが無くなるとともに、連結金物30の損傷を防ぐことが可能となるため、セグメント3の保管性、運搬性が向上することになる。
次に、本発明におけるセグメントの継手構造9に用いられる各構成要素の詳細について説明する。
本発明におけるセグメントの継手構造9を適用可能なセグメント3は、上述の実施の形態において説明した合成セグメント3Aの他に、後述するような鋼製セグメント3B、コンクリートセグメント3Cが用いられる。各セグメント3の詳細な構成については特に限定するものではなく、例えば合成セグメント3Aの場合は鉄筋17がコンクリート19内に格子状に配置されていてもよいし、鉄筋17が縦リブ15を貫通するように配置されていてもよい。また、図1に示すような、トンネル軸方向に隣接するセグメント3の間での、リング継手部5の連結構造は特に問うものではなく、図2等で示された合成セグメント3Aの一対の主桁11に、公知のリング継手部5の連結構造を適用するために必要となる他の構成を用いてもよい。
雄継手20並びに雌継手40は、一つのセグメント3に対して一組設けられるものであり、その一組の雄継手20、雌継手40が設けられる位置や組数については特に限定するものではない。
雄継手20は、一方の接合面14aの内側から外側に突出され、突出された先端にトンネル軸方向に略平行に設けられる係合部33を有する連結金物30と、連結金物30をトンネル周方向の両側に向けて付勢可能とする弾性部材25とを少なくとも備えるものである。
雌継手40は、他方の接合面14bに形成される挿通孔47と、他方の接合面14bを形成する被係合部材49とを備えるものであり、本実施形態においては被係合部材49が継手板13であるものとして説明した。
雄側収容体21は、開口部側と底部21c側とで異なる形状に形成されている必要はなく、連結金物30の外側端面34が一方の接合面14aよりも内側に移動された場合において、連結金物30の軸部31、係合部33や保持金物23を収容可能な雄側収容空間28をその内部において形成できれば特にその形状について限定するものではない。雄側収容空間28は、鋼製セグメントや合成セグメントのようにトンネル周方向の両側に継手板13a、13bが設けられている場合、その継手板13aの挿通孔27と、雄側収容体21との内部において形成されることになるが、コンクリートセグメントのように継手板13が設けられていない場合、雄側収容体21の内部においてのみ形成されることになる。
雌側収容体41は、その内部において形成される雌側収容空間43に、連結金物30の先端である軸部31先端や係合部33を収容可能であれば、特にその形状について限定するものではない。
雄側収容体21、雌側収容体41の材質は、その周囲に充填されるコンクリート19からの外圧に対して抵抗できれば特に問うものではないが、例えばアルミ等の非鉄系金属、鋼、鋳鉄等の鉄系金属、或いは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)等から具体化され、強度、剛性、入手容易性の観点からは鉄系金属であることが好ましい。雄側収容体21、雌側収容体41は、鉄系金属、非鉄系金属で構成される場合、例えば、プレス加工や、鋳造、鍛造等によって成形され、繊維強化プラスチックから構成される場合は射出成形等によって成形されることになるが、特にその製造方法について限定するものではない。
保持金物23は、雄側収容体21内に配置されて、連結金物30の軸部31の基端側と連結可能な構成とされていればよく、連結金物30との間での連結構造について特に限定するものではない。また、保持金物23の材質や大きさは、特に問うものではない。
保持金物23と連結金物30とは、互いに着脱可能に構成されていることが望ましく、これにより、上述のようにセグメント3の連結作業の前段階における保管性、運搬性が向上することになる。この保持金物23と連結金物30とを着脱可能に連結する手段は、公知の連結手段であればいかなるものを採用してもよい。
弾性部材25は、連結金物30の軸部31の基端側及び先端側に向けて、その連結金物30を付勢可能とするものであれば、その構成について特に限定するものではなく、上述したようなコイルバネのほかに、図12(b)に示すような皿バネ25のようバネ部材によって構成されていてもよいし、イソブレンゴム、ブタジエンゴム等のゴムを所定形状に成形したゴム部材から構成されていてもよい。
また、セグメント3の接合面14を突き合わせる際には、連結金物30を雄側収容空間28内に押し込む際の弾性部材25による抵抗力を小さいものとし、逆に目開きを防止するために連結金物30を雄側収容空間28内から引き出す際の弾性部材25による抵抗力を大きいものとした方が望ましい。このため、図12に示すような雄継手20の構造とすることが好ましい。
図12(a)、(b)に示す雄継手20は、弾性部材25として、雄側収容体21の雄側収容空間28の底部21c側に配置される第1弾性部材25aと、その雄側収容空間28内において第1弾性部材25aよりも一方の接合面14aの外側に配置された第2弾性部材25bとを有している。また、雄継手20の連結金物30は、その先端とは反対側に設けられている保持金物23が、第1弾性部材25aと第2弾性部材25bとに挟まれて配置されている。
また、雄側収容体21の開口部側には、板状部材からなる蓋材22が配置されており、これによって、保持金物23や各弾性部材25a、25bが雄側収容空間28内から抜け出るのが防がれている。なお、蓋材22には、連結金物30の軸部31を挿通するための挿通孔が形成されている。
ここで、第2弾性部材25bのばね定数は、第1弾性部材25aのばね定数より大きなものから構成されている。また、保持金物23は、第1弾性部材25a及び第2弾性部材25bに対して連結されておらず、単に接触されているのみとされている。また、雄継手20は、隣り合うセグメント3の他方の接合面14bによって一方の接合面14aの内側に押圧された際に、第2弾性部材25bと保持金物23とが分離可能とされている。これによって、連結金物30が雄側収容空間28内に押し込まれる際には、第1弾性部材25aのみが保持金物23に接触して比較的小さい付勢力が保持金物23に作用し、連結金物
30が雄側収容空間28内から引き出される際には、第2弾性部材25bが保持金物23に接触して比較的大きい付勢力が保持金物23に作用する。この結果、連結金物30を押し込む際の抵抗力を小さくし、引き出す際の抵抗力を大きくすることができ、連結作業が容易となり、かつ、止水性に優れた継手構造とすることが可能となる。因みに、このような作用効果を奏するうえで、第1弾性部材25aは、保持金物23に対して連結されて分離可能とされていてもよいし、分離可能とされていなくともよい。
なお、本発明に係る保持金物23は、必須の構成とはならず、図7に示すような構造の場合、連結金物30の軸部31に弾性部材25を連結するようにしてもよい。
連結金物30の軸部31は、その形状について特に限定するものでは無く、例えば、円柱状の他に角柱状等の棒材、又は平板状の板材等によって具体化されていてもよい。また、連結金物30の係合部33は、その形状について特に限定するものでは無く、例えば、平板状の板材の他に、種々の断面形状の棒材によって具体化されていてもよい。連結金物30の軸部31と係合部33とは、棒材並びに板材等を互いに溶接等によって固着させて形成するようにしてもよいし、鋳造、鍛造により一体的に成形するようにしてもよい。
連結金物30は、その材質が、例えば、鋼、鋳鉄等の鉄系金属、或いはアルミ等の非鉄系金属から構成されるものである。連結金物30の材質として鋳鉄を用いる場合は、球状黒鉛鋳鉄、片状黒鉛鋳鉄、ねずみ鋳鉄又は可鍛鋳鉄等によって具体化されることになる。各セグメント3の連結時において、連結金物30に対しては非常に大きな応力が作用するため、連結金物30の材質としては、強度、靭性の観点から球状黒鉛鋳鉄で構成することが望ましい。
連結金物30の案内面35は、上述したような直線状の平面から構成される場合の他に、曲面から構成されていてもよい。
また、本発明のセグメントの継手構造9を適用したセグメント3の連結作業時においては、一のセグメント3における連結金物30の先端である軸部31の先端側や係合部33を、雄側収容空間28内に収容させながら、連結金物30の先端を、他のセグメント3における挿通孔47に挿通させるようにしたが、一のセグメント3における連結金物30を雄側収容空間28内に収容させずに、連結金物30を他のセグメント3における挿通孔47内に直接挿通させるようにしてもよい。
第2の実施の形態
本実施の形態においては、保持金物23と連結金物30との他の連結形態について、図13〜図15を参照しながら説明する。なお、第1の実施の形態において説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付すとともにその説明を省略する。
この連結形態において、保持金物60は、図13(a)に示すように、その内部を貫通する貫通孔61を有しており、筒状に形成されている。また、この保持金物60には、その貫通孔61の内周面において、その軸方向に間隔をあけて複数の内周溝65が形成されている。貫通孔61の内周面には、その軸方向の一端側において、保持金物60のその一端に向かうにつれて拡径されてなる案内面63が形成されている。
内周溝65は、その溝底面65bの両側に位置する溝側面65a、65cのうち、一方の溝側面65aが保持金物60の軸方向と略直交する方向に対して略平行な係止面65aとされ、他方の溝側面65cが保持金物60の軸方向と略直交する方向に対して傾斜されてなるテーパー面65cとされている。
また、この連結形態において、連結金物30の軸部31は、図13(b)に示すように、軸方向の先端側に位置する先端側軸部50と、軸方向の基端側に位置する基端側軸部51とを有しており、基端側軸部51は、先端側軸部50よりも縮径された棒材として構成されている。
基端側軸部51には、図13(b)、図14(a)に示すように、軸方向に間隔をあけて複数の外周溝53が形成されている。基端側軸部51の基端側には、基端側軸部51の基端側に向かうにつれて縮径されてなる被案内面57が形成されている。なお、図14(a)は、図13(b)のB1−B1線断面図を示している。
この外周溝53には、図13(c)、図14(b)に示すように、リング状部材の周方向の一部を切り欠いた形状である一部切欠リング状のバネ部材55が、弾性的に縮経可能に嵌合されている。このバネ部材55は、図13(c)に示すように、平常時においてその側面55aが、外周溝53の溝側面53aに当接可能となるように、その形状、大きさが調整されている。なお、図14(b)は、図13(b)のB2−B2線断面図である。
このような構成からなる保持金物60と連結金物30の軸部31の基端側軸部51とを連結させる場合、まず、保持金物60の貫通孔61内に連結金物30の基端側軸部51を挿入させる。この場合において、基端側軸部51は、保持金物60の案内面63が形成された開口に対して、その被案内面57を突き当てるようにして挿入されることになる。これによって、両部材間に位置ずれがある場合でも、案内面63と被案内面57が当接することによって、連結金物30の基端側軸部51が保持金物60の貫通孔61内に案内されることになる。
ここで、基端側軸部51を貫通孔61内に挿入させるに伴って、保持金物60の案内面63が、連結金物30のバネ部材55と当接するとともに、バネ部材55を縮径させるように押圧することになる。ここから更に連結金物30の基端側軸部51を貫通孔61内に挿通させると、バネ部材55が貫通孔61の孔壁面65dを摺動し、内周溝65の位置にまで到達した際にバネ部材55が内周溝65内で拡開することになる。ここから更に連結金物30の基端側軸部51を貫通孔61内に挿通させると、バネ部材55は内周溝65のテーパー面65cで再度縮径し、他の内周溝65にまで摺動される。
このようにして、連結金物30の基端側軸部51の複数の外周溝53に嵌合された各バネ部材55は、図15(a)、図15(b)に示すように、保持金物60の各内周溝65に嵌合される。図15(b)は、図15(a)におけるcが示す一点鎖線の範囲内の拡大図を示している。この図に示すように、保持金物23と連結金物30との連結作業完了後において、バネ部材55の側面55aは、基端側軸部51の外周溝53の溝側面53aと、保持金物60の内周溝65の係止面65aとに対して当接可能となっている。このため、連結金物30を軸部31の先端側の方向に引き抜いたとしても、連結金物30が保持金物60に対して抜け止め状態になっていることになる。
この連結形態において、内周溝65には、案内面63並びにテーパー面65cが形成されているため、保持金物60の一端側から連結金物30の基端側軸部51を挿入するのみで、バネ部材55を保持金物60の内周溝65と基端側軸部51の外周溝53とに容易に嵌合させることが可能となっている。このため、上述したように、工場等での製作後のセグメント3における継手板13a、13bに連結金物30を取り付けず、これら継手板13a、13bから何も突出した部材がない状態とすることができる。このため、セグメント3の保管時、運搬時において、その両側の継手板13a、13bが他のものに引っかかることが無くなるとともに、連結金物30の損傷を防ぐことが可能となるため、セグメント3の保管性、運搬性が向上することになる。
第3の実施の形態
本実施の形態においては、本発明におけるセグメントの継手構造9として、第1の実施の形態において説明した雄継手20並びに雌継手40と異なる他の形態について、図16〜図19を参照しながら説明する。
本実施の形態において、雄継手20には、図16に示すように、係合部33の内側に、一方の接合面14aに向けて突出される突起部81が設けられている。この突起部81の先端には、係合部33の先端に向かうにつれて一方の継手板13aと離間されてなる平面からなる案内面35が形成される。なお、この案内面35は、曲面であってもよい。
また、雌継手40には、図16に示すように、雌側収容体41内にトンネル周方向に延長される板状部材71が配置されている。この板状部材71は、他方の接合面14bの内側に配置されており、連結金物30の突起部81を含む係合部33が挿入可能とされる係合孔73が形成されている。この板状部材71は、継手板13bの内面と、これと対面される雌側収容体41の内壁面との間に形成される雌側収容空間43を二つの空間に区分けするように配置されるものである。
このようなセグメントの継手構造9が用いられたセグメント3をトンネル周方向に連結させる工程について概略的に説明する。
この場合、雄継手20の連結金物30の軸部31の先端側及び係合部33を、雌継手40の挿通孔47内に挿通させる手順までは、第1の実施の形態において説明した手順と同様の手順にて行なう。連結金物30の軸部31の先端側及び係合部33を雌継手40の挿通孔47内に挿通させた後には、図17に示すように、連結金物30の係合部33の案内面35に対して、雌継手40の板状部材71における係合孔73の孔壁端縁部73aが当接可能となるように調整されている。
このため、図中左側の新設のセグメント3aを方向A1に移動させることによって、他方の継手板13bの板状部材71の孔壁端縁部73aに対して、連結金物30における突起部81の案内面35が当接される。そして、図中左側のセグメント3aを方向A1に更に移動させることによって、板状部材71の孔壁端縁部73aにより連結金物30が方向A2に押し上げられて、連結金物30の係合部33並びに突起部81が、板状部材71の係合孔73内に到達する。そして、このまま図中右側のセグメント3を方向A1に更に移動させることによって、図18に示すように、連結金物30の突起部81が板状部材71の係合孔73を挿通され、弾性部材25の弾性復元力により連結金物30が方向A3に引き込まれて、板状部材71の係合孔73に連結金物30の係合部33の内側が係合されて、連結作業が完了することになる。
この継手構造9による連結形態においては、図18に示すように、連結作業完了後において、連結金物30の係合部33の内側が被係合部材49としての継手板13bに代えて、板状部材71の係合孔73に係合可能とされているとともに、その係合部33の突起部81内面が板状部材71の側面に係合可能な状態となっている。このため、各セグメント3がトンネル軸方向に相対的に移動した場合に、突起部81の内面が板状部材71の側面に係合されることによって、一のセグメント3における連結金物30が他のセグメント3における雌側収容空間43に対して抜け止め状態とされることになる。これにより、各セグメント3の連結状態を一層強固なものとすることが可能となる。
また、一のセグメント3aにおける連結金物30を他のセグメント3bにおける雌側収容空間43に対して収容配置させた後に、何れかのセグメント3a、3bをトンネル軸方
向の一方向に向けて所定距離移動させて抜け止め状態とさせた後には、その移動させた一方のセグメント3a、3bをトンネル軸方向の逆方向に向けて移動させることができなくなることになる。このため、これを利用して、それぞれのセグメント3をトンネル軸方向の一方向に相対的に移動させて連結作業を終えた後に、これらセグメント3を再度トンネル軸方向の他方向に相対的に移動させるように力を作用させて、それぞれのセグメント3が動かない状態であることを確認して、連結状態を確認することが可能となる。
なお、板状部材71に形成される係合孔73は、トンネル軸方向に貫通している場合のみならず、トンネル軸方向に所定深さ開孔されているのみでもよい。この場合、係合孔73の孔壁面に対して、連結金物30の突起部81が係合された状態で、連結作業が完了することになる。
また、板状部材71を用いた場合、連結金物30に突起部81を必ずしも設ける必要はなく、板状部材71の係合孔73に対して、第1の実施の形態において説明したような連結金物30の係合部33の内側を直接係合させるようにしてもよい。
このような板状部材71を用いた場合においても、本発明所期の効果を奏しつつ、セグメント3間の連結作業を行うことが可能となる。
第4の実施の形態
本実施の形態においては、本発明におけるセグメントの継手構造9を鋼製セグメントに用いた場合の形態について、図19〜図21を参照しながら説明する。
鋼製セグメント3Bは、図19に示すように、第1の実施の形態において説明した鋼殻10のみからなるセグメントである。鋼製セグメント3Bは、トンネル周方向に延長されて形成され、トンネル軸方向に互いに間隔をあけて配置される一対の主桁11と、一対の主桁のトンネル周方向の両端部間を連結する一対の継手板13と、これら一対の主桁11並びに一対の継手板13のトンネル内空側の端部に固着されるスキンプレート16とから構成される。鋼製セグメント3Bには、スキンプレート16のトンネル内空側において、継手板13と略平行な縦リブ15がトンネル周方向に間隔をあけて複数配置される。
雄継手20は、図20に示すように、トンネル周方向に隣り合う鋼製セグメント3Bの互いに対向する継手板13a、14bのうちの一方の継手板13aに、第1の実施の形態と同様に設けられる。
ここで、鋼製セグメント3Bにおいては、鋼殻10内にコンクリートが充填されないことから、雌側収容体41を設けなくともトンネル周方向の他端側の他方の継手板13bの内側に雌側収容空間43が形成されている。このため、本実施の形態において雌継手40の雌側収容空間43は、他方の継手板13bの内側に雌側収容体41を取りつけずに構成されることになる。
なお、この場合においても、連結金物30の係合部33の内側は、他方の継手板13bの内側に対して係合されることになる。即ち、他方の継手板13bが連結金物30の係合部33が係合される被係合部材49として機能することになる。
このように構成される鋼製セグメント3Bをトンネル周方向に連結させる作業は、第1の実施の形態において説明した手順と同様の手順で行なうことになる。図21は、互いに隣接する鋼製セグメント3Bを連結させた後の状態を示している。
この場合においても、上述したように、雄継手20の損傷、変形を防止しつつセグメン
トの連結作業を行え、連結作業時における作業性を向上させるといった本発明所期の効果を奏することになる。因みに、このように、鋼製セグメント3Bに本発明を適用する場合は、雌側収容体41を省略することが可能となり、セグメント間の連結に必要となる構成を更に簡略化することが可能となる。
なお、鋼製セグメント3Bに本発明を適用する場合においても、他方の継手板13bの内側に雌側収容体41を配置し、雌側収容空間43の周囲を雌側収容体41の内壁面並びに他方の継手板13bの内面によって囲むようにしてもよいのは勿論である。
第5の実施の形態
本実施の形態においては、本発明におけるセグメントの継手構造9をコンクリートセグメントに用いた場合の形態について、図22〜図24を参照しながら説明する。
コンクリートセグメント3Cは、図22に示すように、側面視において円弧板状の形状をなし、平面視において矩形状の形状をなすようにして成形されたコンクリート構造体である。コンクリートセグメント3C内には、図示しない鉄筋がトンネル周方向並びにトンネル軸方向に複数配筋されている。このコンクリートセグメント3Cの成形は、例えば、成形すべきコンクリートセグメント3Cの外形形状と略同一形状の内部形状を有する型枠を用い、この型枠内の所定位置に鉄筋を仮配置した後に、この型枠内にコンクリートを充填することによって成形される。
このコンクリートセグメント3Cは、トンネル覆工体の構築時において、トンネル周方向の一端側に位置する一方の接合面14aと、トンネル周方向の他端側に位置する他方の接合面14bとを互いに当接させて配置されるものである。
このような構成からなるコンクリートセグメント3Cには、図23に示すように、一方の接合面14aに雄継手20が、他方の接合面14bに雌継手40が複数個に亘って設けられている。
本実施の形態における雄継手20は、第1の実施の形態において説明した雄継手20と同様、図23に示すように、一方の接合面14aよりも内側に配置された雄側収容体21と、雄側収容体21内に配置された保持金物23並びに弾性部材25と、保持金物23に連結された連結金物30とを備えている。
第1の実施の形態における雄継手20は、雄側収容体21の開口縁21aが継手板13aの内側に固着されていたのに対して、本実施の形態における雄継手20とは、雄側収容体21の開口縁21aが一方の接合面14aから露出されている。
雌継手40は、図23に示すように、他方の接合面14bに形成される挿通孔47と、他方の接合面14bの内側に配置される雌側収容体41とを備えている。
挿通孔47は、連結金物30の軸部31の先端側並びに係合部33が挿通可能とされるように、その形状、大きさ等が調整されているものである。
雌側収容体41は、挿通孔47によって開口されているものであり、他方の接合面14bの外側に向けて開口された箱状に形成されている。雌側収容体41は、その開口縁41aが他方の接合面14bの外側に向けて露出した状態で配置されている。雌側収容体41内には、連結金物30の先端である軸部31の先端側並びに係合部33を収容する雌側収容空間43が形成される。
雌側収容体41内には、トンネル周方向に延長される板状部材71が配置されている。この板状部材71には、トンネル軸方向に貫通する係合孔73が形成されている。この板状部材71は、第1実施形態等において連結金物30の係合部33の内側が係合可能とされていた継手板13bからなる被係合部材49に代えて配置されるものであり、第3実施形態において説明したのと同様に、セグメント3の連結時において、その係合孔73に対して連結金物30の係合部33の内側が係合可能とされている。
このように構成されるコンクリートセグメント3Cをトンネル周方向に連結させる作業は、第1、第3の実施の形態において説明した手順と同様の手順で行なうことになる。図24は、互いに隣接するセグメントを連結させた後の状態を示している。
この場合においても、上述したように、雄継手20の損傷、変形を防止しつつセグメントの連結作業を行え、連結作業時における作業性を向上させるといった本発明所期の効果を奏することになる。
なお、コンクリートセグメント3Cに本発明を適用する場合において、雌側収容体41の開口縁41aに対して、他方の接合面14bと略同一平面を形成するような接合端板を固着し、この接合端板を第1の実施形態において説明したような被係合部材49として、雄継手20の連結金物30の係合部33の内側を係合させるようにしてもよい。この場合は、この接合端板が、他方の接合面14bの一部を形成することになる。また、この接合端板を設けたうえで、板状部材71を設けた場合でも、セグメント3の連結時において、連結金物30の係合部33の内側を、板状部材71の係合孔73に対してではなく、この接合端板に対して係合可能とするようにしてもよい。