JP5098031B2 - 印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷物に関するものである。特に、銀行券、株券、有価証券、通行券、パスポート、商品券等の偽造や複写を防止する必要性のある貴重印刷物に適用され、反射及び透過により情報を表示することで認証することができる印刷物に関するものである。
銀行券、有価証券、商品券、カード、各種証明書、貴重書類等の貴重印刷物は、その性質上、偽造や改ざんがなされないことが要求される。そのため、貴重印刷物の基材には、透かしや精巧な印刷技術による印刷が施された構成としている。
しかし、近年、これらの技術の進歩により、偽物を本物と偽る偽造や本物を入手して不正な加工をして変造するという改ざん等、偽造者による不正使用が頻発するようになり、貴重印刷物を偽造や改ざんから保護するために、これらの技術に加えて、更に特殊な偽造防止や改ざん防止策が施されるようになった。この特殊な偽造防止策の一つとして、光学的に画像を表示した技術を総称するOVD(Optical Variable Device)がある。そのOVDの一つに、ホログラム等の光回折構造を有する金属箔を貼付するものがあり、偽造防止や改ざん防止の有効なエレメントで、かつ、ホログラフィ・イメージとして、美的な視覚作用があることから広範囲に使用されている。以下、ホログラム等の光回折構造を有する金属箔をOVD箔と称する。
しかし、OVD箔等もあまりに多くの貴重印刷物や商品に採用されているため、また、カラー複写機やスキャナの精度の向上に伴い、光学的、機械的な原理等が習得されてしまい、素人にも偽造や複製が容易となってきており、また、微細加工技術の向上により、一見しただけでは判別できないほどの再現性の良いOVD箔や擬似的に作製した箔が出回っている。これらに対抗するため、様々な技術が開発されているが、有効な抑止力とはなっていない。
また、OVD箔等は、記番号のように個別の情報を有していないため、再現性の良い金属箔が大量に製造され、貴重製品として出回ったとき、真偽判別が非常に困難となってしまうという問題があった。
さらに、銀行券、商品券、カード等に貼付されたセキュリティ・ホログラムは、ほとんどの人は、実際のホログラフィ・イメージを検証するのでなく、セキュリティ・ホログラムが貼付されていることを確認するだけなので、単に光学効果であるキラキラ感のある媒体や粗末な偽造品が使用されていたとしても、装飾的効果のみに依存しているため本物として受け入れてしまう。ホログラムが生成するホログラフィ・イメージを識別して認証するということは容易ではなく、そのホログラフィ・イメージの形状が複雑であればあるほど、この複雑さによるセキュリティの追加は無意味となってしまう。
従来のホログラムでは不可能であった高精細、高精度なパターンや文字等の作成を可能とし、偽造防止効果を更に高めるため、OVD箔等の金属蒸着部分を部分的に化学的エッチング、レーザエッチング等で溶融することで取り除き(以下「ディメタライズ」という。)、透明としたディメタライズOVD箔がある。また、レーザ等で金属蒸着部を穿孔することで穴を空けたり、刻印により非貼付部分を設けることで非蒸着部を形成することで、本来金属蒸着部であったところに部分的に金属蒸着層を除去した箔についてもディメタライズOVD箔と同様な効果を持たせることができる。また、レーザ等で透明部分を設ける場合は、情報等を保持させることが可能となるが、金属蒸着部分の溶融パターンが微細であると、そのパターンを肉眼で判定するには困難であり、偽造品と真正品の区別が困難となる。
一方、2箇所の透かし模様、2箇所の印刷模様及び2箇所の複数の穿孔情報のいずれかが施された貴重印刷物において、貴重印刷物自身を折り曲げ、貴重印刷物に施された2箇所の透かし部分を重ね合わせるか、2箇所の印刷模様を重ね合わせるか又は2箇所の穿孔情報を重ね合わせることで、別の情報を現出させることで、貴重印刷物を確認又は検査して真偽判別する方法が提案されている。
例えば、基材上のそれぞれの領域に、第1画像と第2画像が設けられており、第1画像と第2画像を所定の位置関係で重ね合わせると、第1画像と第2画像がそれぞれ単独では表せない第3画像が現出し、しかも、重ね合わされた際、第1画像と第2画像の両方を視認することができるように、第1画像と第2画像が設けられている基材の領域の少なくとも片方又は両方が透明を有している画像情報記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、下地に証印を付帯し、マイクロプリントの領域から成る保安装置から成るプラスチック支持体から形成された単一可撓性シートから成る銀行券等の自己証明証券であり、前記シートは、更に透明プラスチック材料による窓を有し、このプラスチックの窓は、そのシートを折り曲げ、折り畳み又はねじって窓と保安装置とを合致させたときに、マイクロプリントの領域を観察するために使用することができ、窓の拡大レンズが銀行券の他部に設けられたマイクロプリントの領域を検査かつ証明するために使用することができる自己証明手段となる自己証明証券が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−1161号公報 特許第3222475号公報
特許文献1の画像情報記録媒体は、第1画像と第2画像が設けられている基材の領域の少なくとも片方又は両方が透明を有していることにより、正しい位置関係で重ね合わせやすくなっているが、少なくとも片方が透明を有することが必要である。
特許文献2の自己証明証券は、単一可撓性シートの材料が透明プラスチック材料であることが条件となっており、自己証明効果が適切に働くためには、プラスチックの透明窓が保安装置を証明し、強調し又は光学的に変化させる手段として利用されなければならない。
特許文献1及び2は、基材の少なくとも一部が透明であることが条件となっており、透明部分を介して、基材を折り曲げ、重ね合わせることにより生じる画像等の変化を認識することで真偽判別、自己証明するようになっており、透明部分がなければ偽造又は改ざんされたか否かの確認が容易にできないという問題がある。
また、ディメタライズOVD箔の真偽判別は、ホログラムの模様をルーペ等の観察具を用いて行うものであり、ホログラムの表面から透過で観察した場合には、ディメタライズOVD箔のシルエットだけが観察されるというものであり、また、ディメタライズ模様を広範囲に施した場合は、ホログラムの視認性が損なわれるという問題があった。
本発明は、上記従来の問題にかんがみてなされたものであり、その課題とするところは、基準模様となる第1の偽造防止素子と第1の偽造防止素子に重ね合わせることで自己認証の認証要素となる第2の偽造防止素子とを同一基材上に施して作製した印刷物を、折り曲げるか又は折り畳んで第1の偽造防止素子と第2の偽造防止素子とを重ね合わせ、重ね合わせた部分を透過光で観察することで、第3の画像を現出することが可能となる印刷物を提供する。さらに、前述のように、印刷物等を折り曲げるか又は折り畳んで曲げなくても、印刷物に貼付される金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている箔で、箔の金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている部分を、微細な点の集合として構成することで、ホログラムの表面から透過で観察した場合に、金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている部分を観察することができる印刷物を提供するものである。
請求項1記載の本発明の印刷物は、基材上に、基準模様となる第1の偽造防止素子と、前記第1の偽造防止素子に重ね合わせて密着することで自己認証の認証要素となる少なくとも一つの第2の偽造防止素子を配置した印刷物であって、前記第1の偽造防止素子と前記第2の偽造防止素子とは互いに重畳しないか又は一部重畳する位置に配置し、前記第1の偽造防止素子は、金属蒸着部の一部が微細な点の集合で構成されたディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で、前記箔は、前記ディメタライズされた点の集合で形成された部分と点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成する部分とで構成して第1の模様とし、前記第2の偽造防止素子は、透過して観察すると明暗が確認できる模様を印刷、透かし又は金属蒸着部の一部が微細なディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で形成して第2の模様とし、前記基材を折り曲げるか又は折り畳んで、前記第1の偽造防止素子の第1の模様と前記第2の偽造防止素子の第2の模様とを重ね合わせて透過観察することにより、前記第1の模様のディメタライズされた点の集合で形成された部分と前記第2の模様の暗部とによって隠蔽又は減衰され、前記第1の偽造防止素子と前記第2の偽造防止素子全体が暗く観察され、前記第1の模様のディメタライズされた点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成する部分と前記第2の模様の明部とが重なって、第3の模様となって現出し、明るく観察されることを特徴とする印刷物である。
請求項2記載の本発明の印刷物は、基材上の一部領域に、第1の偽造防止素子を配置し、前記第1の偽造防止素子と前記基材の間に第2の偽造防止素子を配置することで第3の模様を現出する印刷物であって、前記第1の偽造防止素子は、金属蒸着部の一部が微細な点の集合で構成されたディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で、前記箔は、前記ディメタライズされた点の集合で形成された部分と点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成する部分とで構成して第1の模様とし、前記第2の偽造防止素子は、透過して観察すると明暗を確認することができる模様を印刷又は透かしで形成して第2の模様とし、前記第1の偽造防止素子側から反射観察すると、前記第2の偽造防止素子を形成する印刷又は透かしを観察することはできず、前記第1の偽造防止素子側又はその裏面の基材側から透過観察すると、前記第1の模様のディメタライズされた点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成する部分と前記第2の模様の明部が重なっている部分のみが、第3の模様として明るく観察されることを特徴とする印刷物である。
請求項3記載の本発明の印刷物は、請求項1又は2を前提とし、前記透過して観察すると明暗を確認することができる模様の印刷は、赤外線透過吸収インキ又は蛍光インキを用いた印刷物である。
請求項4記載の本発明の印刷物は、基材上の一部領域に、第1の偽造防止素子を配置し、前記第1の偽造防止素子と前記基材の間に第2の偽造防止素子を配置することで第3の模様を現出する印刷物であって、前記第1の偽造防止素子は、金属蒸着部の一部が微細な点の集合で構成されたディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で、前記箔は、前記ディメタライズされた点の集合で形成された部分を第1の模様とし、前記第2の偽造防止素子は、蛍光インキを用いた印刷模様で形成して第2の模様とし、通常照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から反射観察すると、前記第2の模様を観察することはできず、紫外線照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側から反射観察すると、前記第1の模様のディメタライズされた点と前記第2の模様が重なった部分のみが蛍光模様の第3の模様として観察され、基材側からの反射観察では、前記第2の模様が蛍光模様として観察され、通常照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から透過観察すると、前記第1の模様が模様として観察され、紫外線照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から透過観察すると、前記第1の模様のディメタライズされた点と前記第2の模様が重なった部分のみが蛍光模様の第3の模様として観察されることを特徴とする印刷物である。
請求項5記載の本発明の印刷物は、基材上の一部領域に、第1の偽造防止素子を配置し、前記第1の偽造防止素子と前記基材の間に第2の偽造防止素子を配置することで第3の模様を現出する印刷物であって、前記第1の偽造防止素子は、金属蒸着部の一部が微細な点の集合で構成されたディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で、前記箔は、前記ディメタライズされた点の集合で形成された部分を第1の模様とし、前記第2の偽造防止素子は、透過して観察すると明暗が確認できる模様を赤外線透過吸収インキを用いた印刷模様で形成して第2の模様とし、通常照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から反射観察すると、前記第2の模様を観察することはできず、赤外線照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側から赤外での反射観察をすると、前記第1の模様のディメタライズされた点と前記第2の模様以外の部分並びに前記第1の模様のディメタライズされた点と前記赤外線透過インキで印刷された第2の模様とが重なった部分が第3の模様として明るく観察され、基材側からの反射観察では、基材が明るく観察されるため、前記第2の模様は観察することはできず、通常照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から透過観察すると、前記第2の模様以外の明るい部分と前記第1の模様のディメタライズされた点とが重なった部分が第3の模様として明るく観察され、赤外線照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から赤外での透過観察をすると、前記第1の模様のディメタライズされた点と前記第2の模様以外の部分並びに前記第1の模様のディメタライズされた点と赤外線透過インキで印刷された前記第2の模様が重なった部分のみが第3の模様として観察されることを特徴とする印刷物である。
本発明の印刷物は、基準模様となる第1の偽造防止素子と第1の偽造防止素子に重ね合わせることで認証要素となる第2の偽造防止素子とを同一基材上に施して作製しているので、印刷物を折り曲げるか又は折り畳んで第1の偽造防止素子と第2の偽造防止素子とを重ね合わせ、重ね合わせた部分を透過光で観察すると、通常では観察することができない第3の画像を現出することが可能となり、自己認証の手段となる。さらに、印刷物に貼付される金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている箔で、箔の金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている部分を、微細な点の集合として構成しているので、ホログラムの表面から透過で観察した場合に、金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている部分を観察することが可能となり、認証の手段となる。
本発明の印刷物としては、銀行券、株券、商品券等の有価証券類、通行券、パスポート、各種証明書類、その他各種印刷物であり、特に、偽造や複写を防止する必要性のある物品を総称した貴重印刷物であり、基材としては、印刷や金属箔等の貼付が可能な媒体で、基材に施された印刷模様により、透過観察した場合に、基材の明暗を確認することができる紙、プラスチック、フィルム等が挙げられる。基材の明暗を確認することができるとは、基材として透過性があるものを用いることで、基材に印刷や箔押し等を施したり、また、基材自体に透かし等を施し、透過光で観察することで、基材のみとは異なる明暗模様が得られるというものである。
また、貴重印刷物は、その構成部分に偽造対抗技術として、OVD箔、金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている箔(以下「ディメタライズOVD箔」という。)や、材質的な透過度の差を利用した“透かし”(以下単に「透かし」という。)、凹版印刷、穿孔、特殊印刷等から選択される偽造防止素子を備え、それぞれ独立したセキュリティ要素を有している。
本来の金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている部分(以下「ディメタライズ模様」という。)であるところの目視やルーペ等を用いて真偽判別する模様と本実施の形態に示すディメタライズ模様とを、一つの素子にデザインして配置しても構わない。また、ディメタライズOVD箔を印刷物に貼付体とする場合には、更に接着層、保護層等を付与しても良い。
ディメタライズOVD箔を貴重印刷物に貼付することにより、ディメタライズによるホログラム模様の視認性を損なうことなく、また、貴重印刷物に貼付したディメタライズOVD箔を透過で観察した場合、反射光での観察では確認することができなかったディメタライズ模様を容易に観察することができる。
本実施例においては、ディメタライズ模様を、100μm程度の微細な点の集合として構成するものを用いるが、この他に、ディメタライズの効果を得る手法としては、全面蒸着箔に模様を彫刻した刻印を用いる方法や、金属皮膜を施したものを化学的エッチング、レーザエッチング等の方法により模様を構成するものがあり、これらの手法も本実施例と同様に用いることができる。
また、100μm程度の微細な点の集合として構成された、ディメタライズ模様のディメタライズされた点の集合で形成された部分と点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成された部分とで作製したディメタライズOVD箔を貴重印刷物に貼付し、ディメタライズOVD箔以外の他の部分には、偽造防止素子である印刷、凹版印刷、透かし、穿孔、特殊印刷等を万線状態で付与し、及び万線状態の模様を施したディメタライズOVD箔を貼付した貴重印刷物を作製する。印刷物に、万線状態の模様を施したディメタライズOVD箔を貼付することで、万線のディメタライズを施したホログラムと微細な点の集合として構成されたディメタライズOVD箔とを重ねることにより、万線のディメタライズ部分とディメタライズOVD箔のディメタライズされた点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成された部分とが模様となって観察することができるということである。
また、上記では、ディメタライズOVD箔をディメタライズ模様のディメタライズされた点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて作製するようにしているが、ディメタライズOVD箔以外の他の部分に施された偽造防止素子である印刷、凹版印刷、透かし、穿孔、特殊印刷等は万線状態で作製している。これに対して、一部を規則的に模様をずらし又は穴径及び形状を変化させたり、また、ディメタライズOVD箔以外の他の部分に施された偽造防止素子に万線を用いることなく、印刷物に貼り付けるディメタライズOVD箔と偽造防止素子のそれら両方に対して一部規則的に模様をずらして、二つの画像を重ね合わせ、それぞれの透過部分が重なった場所のみで新たな画像が現れるという同様の効果を得ることもできる。
また、微細な点の粗密を変化させることで、単位面積当たりの光の透過量も変化するので、反射光での観察ではディメタライズ模様を確認することができないが、透過光で観察すると、階調を持ったディメタライズ模様を観察することができる。また、基材とディメタライズOVD箔の間に印刷を施し、透過で観察した場合にはモノクロやグレーの濃淡や透過及び遮蔽によって模様を観察することができるようにしており、特にカラー印刷をすることでカラーインキの透過による色彩が加わったディメタライズ模様を観察することができるようにしている。
基材に施される印刷模様、偽造防止素子、ディメタライズOVD箔を構成する蒸着層のそれぞれの透過量については、完全に光を遮断するものでも、一部透過するものでも構わない。
本明細書の全体を通じて、「自己認証」という用語は、同一基材上の1箇所に基準模様となる第1の偽造防止素子、例えば、100μm程度の微細な点の集合として構成されたディメタライズ模様を有するディメタライズOVD箔を貼付し、ディメタライズOVD箔に重ねるエレメントとして、基材上の他の部分に、偽造対抗技術であるディメタライズOVD箔、透かし、印刷、穿孔、特殊印刷等の第2の偽造防止素子から選択した技術を認証要素として施し、基材を任意の場所で折り曲げるか又は折り畳んで、第2の偽造防止素子を基準模様の第1の偽造防止素子であるディメタライズOVD箔に重ね合わせることで模様を現出させて認証する手段をいう。また、基材を任意の場所で折り曲げるか又は折り畳んで重ねる場合以外は、単に「認証」という。
印刷物を折り曲げるか又は折り畳んで、印刷物に施された偽造防止素子部分を自己認証用の模様とし、基準模様の偽造防止素子であるディメタライズOVD箔に重ね合わせ、身近にある光源を用いて透過で観察しながら重ね合わせ位置を調整することで、ディメタライズOVD箔のディメタライズ模様と自己認証用の偽造防止素子を構成する要素とが重なり合って、通常の印刷物の状態では確認することができない、別の意図する画像を現出することで、不可視情報の表示が可能となり、偽造防止素子同士による自己認証機能が可能となる。自己認証には、人による模様の認証や、コードや模様を表示した状態で機械読み取りを行い、更に新たな情報を得るという方法等がある。
以下に、本発明に係る印刷物の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る印刷物の一実施例である、商品券を例とした印刷物1の平面図である。用紙2上に、商品券の金額、発行会社名、通し番号、金額ごとに決められたデザイン模様が通常のインキで形成されている。用紙2上には、右下部に基準模様となる第1の偽造防止素子であるディメタライズOVD箔4を貼付し、用紙2上の他の部分に基準模様のディメタライズOVD箔4に重ね合わせて自己認証手段となる第2の偽造防止素子であり、かつ、認証要素のエレメントとして、左下部に印刷により万線を印刷した印刷万線3、右上部に材質的な透過度の差を利用して万線を施した透かし万線11、左上部にディメタライズ万線のOVD箔24を貼付して配置する。ディメタライズOVD箔4は、金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている箔であり、ディメタライズ万線のOVD箔24は、金属蒸着部が万線状にディメタライズされた箔である。ディメタライズされたOVD箔としては、同じ構成である。
次に、右下に貼付された基準模様のディメタライズOVD箔4に対して、自己認証手段となる認証要素である第2の偽造防止素子を順次重ね合わせる。商品券1の長辺のほぼ中心で折り曲げて、左下の印刷万線3を重ね合わせる。商品券1の短辺のほぼ中心で折り曲げて、右上の透かし万線11を重ね合わせる。商品券1の長辺のほぼ中心で斜めに折り曲げて左上のOVD箔24を斜めに重ね合わせる。このように重ね合わせた状態で、それぞれ透過環境で観察すると、重ね合わせた偽造防止素子のエレメントであるそれぞれの模様、つまり、印刷万線、透かし万線、ディメタライズ万線が現れるというものである。
本実施の形態では基準模様の第1の偽造防止素子に対して、同一基材上の3箇所に認証要素である第2の偽造防止素子を配置したが、これに限定されるものでなく、基材を折り曲げるか又は折り畳んで、基準模様の第1の偽造防止素子に重ねて自己認証するこができる第2の偽造防止素子であれば、どのような形態のものでも良く、また、第1の偽造防止素子と第2の偽造防止素子とは、どの位置に配置しても良いが、互いに重ならない位置に配置するのが良い。第1の偽造防止素子と第2の偽造防止素子とが一部重なり合って配置した場合でも、基材を折り曲げるか又は折り畳んで、一部分でも重ね合わせる領域があれば、第1の偽造防止素子と第2の偽造防止素子とが一部重なり合っていても良い。
以下の実施例の説明において、同様の機能を果たす部分には同一の符号を付し、重複する説明は、省略する場合もある。
(実施例1)
図2は、図1の商品券1に貼付されたディメタライズOVD箔4とディメタライズ万線のOVD箔24の反射及び透過状態での目視による模式図と断面図である。本実施例において、ディメタライズOVD箔4及びディメタライズ万線のOVD箔24は、保護層5、OVD層6、ディメタライズ層7から構成されている。さらに、接着層等で構成しても良い。
図2(a)は、商品券1の右下に貼付された基準模様のディメタライズOVD箔4を、図2(d)は、商品券1の左上に貼付されたディメタライズ万線のOVD箔24を、反射状態で目視した図である。ディメタライズOVD箔は、図2(a)は網点状に、図2(d)は万線状に、金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっている箔であり、このディメタライズOVD箔4とディメタライズ万線のOVD箔24とを反射で観察した場合、OVDの回折や金属層の反射のため、微細なスリットや点の部分がつぶれて(見えなくなって)、図2(a)及び図2(d)のようにディメタライズ模様を観察することが困難になっている。
図2(b)及び図2(e)は、透過状態で目視した図である。透過で観察した場合、金属層に遮蔽されるため、ディメタライズ模様である万線状の微細なスリットや網点状の点の部分7bのみが明るく観察できる。
図2(c)及び図2(f)は、ディメタライズOVD箔4及びディメタライズ万線のOVD箔24の断面図である。保護層5、OVD層6、ディメタライズ層7から構成されており、ディメタライズ層7は、金属蒸着部7aと金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部7bとから成っている。
図3は、図1の商品券1に付与された、認証要素である第2の偽造防止素子である印刷万線3と透かし万線11の反射及び透過状態での目視による模式図と断面図である。図3(a)は、商品券1の左下の万線を印刷した印刷万線捩捩3を反射状態で目視した図である。用紙2の部分と印刷万線3のインキ部分が濃淡として観察される。図3(b)は、透過状態で目視した図であり、印刷万線3の印刷層に遮蔽されるため、用紙2部分のみ透過光を観察される。図3(c)は、断面図であり、用紙2の上にインキで万線3が印刷されている。
図3(d)は、商品券1の右上の材質的な透過度の差を利用して万線を施した透かし万線11を反射状態で目視した図である。用紙2の部分と透かし万線11の部分の反射に差がないため全体として用紙2の色として観察される。図3(e)は、透過状態で目視した図であり、透かし万線11部分と用紙2部分の紙の厚薄によって透過光の強度が異なって観察される。図3(f)は、断面図であり、透かし万線11部分の用紙の厚さが用紙2部分に対して薄くなっている。
図4は、図1の商品券1に貼付された第1の偽造防止素子である基準模様のディメタライズOVD箔4と用紙2との間に、第2の偽造防止素子である印刷万線3を印刷して作製した商品券に照明光を照射して観察する方法を示す断面図である。図4(a)は、用紙2、印刷万線3及び保護層5、OVD層6、ディメタライズ層7から構成されるディメタライズOVD箔4がこの順に積層されて形成された部分の概略断面図である。
図4(b)は、図4(a)をディメタライズOVD箔4側から照明光を照射し、ディメタライズOVD箔4のディメタライズされてない金属蒸着部分7aで反射している状態8を示す図である。ディメタライズ部分7bは、透過観察した場合、径が小さすぎると暗くなって見えなくなり、間隔が広すぎると小さな点が認識し難くなることから、ディメタライズ部分7bは、径が50〜100μmで、間隔が280〜1,000μmで作製が可能である。例えば、ディメタライズ部分7bを、径が100μmで間隔を280μmで作製したときに、ディメタライズされていない金属蒸着部分7aでの反射や拡散光とOVD層6の回折光により、ディメタライズ部分7bで構成した模様及びその下側に施されている印刷万線3の観察は困難であるが、透過で観察した場合には最も明るくディメタライズ模様を観察することができる。これは、ディメタライズOVD箔4側からディメタライズ模様が見えない条件で、透過による模様が一番明るく見えるための条件である。これよりも暗いディメタライズ模様の観察を行う場合には、径が100μm以下、間隔が280μm以上で模様を作成するとよい。また、ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から反射観察した場合は、施されている印刷模様3は、観察している用紙2側の反対側であり、ディメタライズOVD箔4とで挟まれているため、その模様を観察することは難しい。
図4(c)は、図4(a)をディメタライズOVD箔4側から照明光を照射している状態9を示しており、ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から透過観察すると、ディメタライズOVD箔4のディメタライズされてない金属蒸着部分7aと用紙2に施された印刷万線3によって光が遮断されるので、ディメタライズOVD箔4のディメタライズされた非蒸着部分7bと用紙2の非印刷部分となっている部分のみ光が透過する。これにより、印刷万線3とディメタライズ模様とは異なる模様が得られる。
印刷万線3の印刷を通常の印刷でした場合は、モノクロやグレーの濃淡や透過及び遮蔽によって模様を観察することができる。通常の印刷に替え、特にカラー印刷した場合は、ディメタライズOVD箔4側から照明光を照射すると、ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から透過観察するとディメタライズOVD箔4の金属蒸着部分7aによって光が遮断され、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bの中で、用紙2に施された印刷万線3が透けて印刷色を伴った色彩になり、用紙2の非印刷部分となっている部分は用紙2を透過した光を確認することができる。これにより、印刷万線3とディメタライズ模様とは異なる模様で、かつ、色彩を伴ったカラー模様が得られる。
(実施例2)
図5は、本実施の形態の印刷物の実施例2を示す。図5(a)は、第1の偽造防止素子であるディメタライズOVD箔4と第2の偽造防止素子である印刷万線3とを用紙2上の異なる場所に施した印刷物10の断面図である。本実施例では、第1の偽造防止素子であるディメタライズOVD箔4は、ディメタライズ模様のディメタライズされた点の集合で形成された部分と点の一部を規則的にずらして形成された部分とで作製している。図5(b)は、図5(a)の印刷物10を、印刷万線3とディメタライズOVD箔4が重ね合わさるように折り曲げた図である。上から順に用紙2、印刷万線3、ディメタライズOVD箔4、用紙2という構成になる。図5(c)は、このように折り曲げた印刷物を透過観察した場合の観察図であり、ディメタライズOVD箔4はディメタライズ模様(第1の模様)のディメタライズされた点7bの一部を規則的にずらして作製しているので、重なり合った印刷万線3(第2の模様)とディメタライズされた点7bのずらした部分とで模様を形成することにより、図5(d)に示すような模様(第3の模様)と成って観察される。これは、図4(c)と同様に、ディメタライズOVD箔4の金属蒸着部分7aと用紙2の印刷万線3によって光が遮断され、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bと用紙2の非印刷部分となっている部分のみ光が透過する。これにより、印刷万線3とディメタライズ模様とは異なる模様が得られる。
このとき、印刷万線3とディメタライズOVD箔4とを重ね合わせて密着させる位置によって得られる模様が異なるため、透過観察しながら位置を調整して模様を出現させるもの、また、位置合わせをしないで、その明暗模様を確認するものもある。例えば、位置を調整して模様を出現させるものとして、ネガ・ポジでの文字や図形を表示する方法があり、また、位置を調整しないで出現する明暗模様としては、その重なり具合の位置によりモアレが確認されるもので、そのモアレが特徴のあるものとなる。
印刷物に貼付されたディメタライズOVD箔4の部分を、ディメタライズOVD箔4側から通常の反射光で観察すると、図4(b)のように、ディメタライズOVD箔4のOVD層を確認することができ、図2(a)と同様に、ディメタライズOVD箔4のディメタライズ模様を確認することはできない。用紙2側から透過光で観察すると、金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となっているディメタライズOVD箔4のディメタライズ模様を確認することができる。
(実施例3)
図6は、本実施の形態の印刷物の実施例3を示す。図6(a)は、用紙2に設けた箔押し領域に、材質的な透過度の差を利用して万線を施した透かし万線11を構成し、前記構成された透かし万線11上に、ディメタライズOVD箔4を貼付した印刷物1の断面図である。本実施例の透かし万線11とは、例えば、エンボス加工や透き入れが用紙に施されることで、用紙に凹凸ができる状態をいう。
図6(b)は、図6(a)の印刷物1のディメタライズOVD箔4側から照明光を照射し、金属蒸着部分7aで反射している状態12を示す図である。例えば、ディメタライズ部分を径が100μm以下、間隔が280μm以上で配置した場合、金属蒸着部分7aの反射や拡散光とOVD層6の回折光により、ディメタライズ部分で構成した模様及びその下に施されている透かし万線11を観察することはほとんどできなくなり、図2(a)のように観察される。また、ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から反射観察した場合は、施されている透かし万線11はディメタライズOVD箔4側であり、観察している用紙2側の反対側であり、ディメタライズOVD箔4とで挟まれているため、透かし万線11を観察することは難しい。
図6(c)は、図6(a)の印刷物1のディメタライズOVD箔4側から照明光を照射している状態13を示す図である。ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から透過観察すると、ディメタライズOVD箔4の金属蒸着部分7aと用紙に施された透かし万線11以外の用紙部分によって光が遮断又は減衰され、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bと透かし万線11となっている部分のみ光が強く透過する。これにより、用紙の模様11とディメタライズ模様とは異なる模様が得られる。
(実施例4)
図7は、本実施の形態の印刷物10の実施例4を示す。図7(a)は、ディメタライズOVD箔4と透かし万線11とを用紙2上の異なる場所に施した印刷物10の断面図である。印刷物10に貼付されたディメタライズOVD箔4の部分を、ディメタライズOVD箔4側から通常の反射光で観察すると、図6(b)のように、ディメタライズOVD箔4のOVDを確認することができ、図2(a)と同様に、ディメタライズOVD箔4のディメタライズ模様を確認することはできない。透過光で観察すると、ディメタライズOVD箔4のディメタライズ模様を確認することができる。
次に、図7(b)は、印刷物10を折り曲げ、透かし万線11とディメタライズOVD箔4を密着させて折り曲げた図である。図7(c)は、このように折り曲げた印刷物を透過観察した場合の観察図であり、ディメタライズOVD箔4は、ディメタライズ模様(第1の模様)のディメタライズされた点7bの一部を規則的にずらして作製しているので、重なり合った横方向の印刷万線3(第2の模様)とディメタライズされた点7bのずらした部分とで模様を構成することにより、図7(d)に示すような模様(第3の模様)と成って観察される。これは、図6(b)と同様に、ディメタライズOVD箔4の金属蒸着部分7aと透かし万線11以外の用紙部分によって光が遮断又は減衰され、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bと透かし万線11となっている部分のみ光が強く透過する。これにより、透かし万線11とディメタライズ模様とは異なる模様が得られる。このとき、透かし万線11とディメタライズOVD箔4とを密着させる位置によって得られる模様が異なり、透過観察しながら位置を調整して模様を出すものであったり、位置合わせをしないで、その明暗模様を確認するものもある。
図8は、印刷物10を斜めに折り曲げて、左上部に配置されたディメタライズ万線のOVD箔24と右下部のディメタライズOVD箔4を斜めに重ねた場合の状態を説明する図であり、図8(a)は、斜めに折り曲げた印刷物を透過観察した場合の観察図であり、ディメタライズOVD箔4は、ディメタライズ模様(第1の模様)のディメタライズされた点7bの一部を規則的にずらして作製しており、斜めに重なり合ったディメタライズ万線(第2の模様)のOVD箔24とディメタライズされた点7bのずらした部分とで模様を構成することにより、図8(b)に示すような模様(第3の模様)と成って観察される。
(実施例5)
図9は、本実施の形態の印刷物の実施例5を示す。図9(a)は、用紙2に設けられた箔押し領域に、機能性インキを用いて模様14及び15を印刷し、前記印刷された模様14及び15上に、ディメタライズOVD箔4を貼付した印刷物1の断面を示す図である。
本実施例において、模様14及び15を印刷するために用いるインキは、模様14及び15とも通常の照明での透過量は、完全に光を遮断するものでも、一部透過するものでも構わないが、本実施例としては、光の透過量は同等のものを用いる。赤外線環境では、模様14が吸収特性を持ったもの、模様15が透過特性を持ったものとする。ディメタライズOVD箔4の透過量についても、完全に光を遮断するものでも、一部透過するものでも構わない。
図9(b)は、図9(a)の印刷物1のディメタライズOVD箔4側から照明光を照射し金属蒸着部分7aで反射している状態16を示す図である。例えば、ディメタライズ部分を、径が100μmで、間隔を280μmで配置した場合、金属蒸着部分の反射や拡散光とOVD層6の回折光により、図9(b)のように、ディメタイズ部分7bで構成した模様及びその下に施されている印刷模様14及び15を観察することはほとんどできない。
また、ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から反射観察した場合は、施されている印刷模様14及び15はディメタライズOVD箔4側であり、観察している用紙2側の反対側であり、ディメタライズOVD箔4とで挟まれているため、その模様を観察することは難しい。
図9(c)は、図9(a)の印刷物のディメタライズOVD箔4側から通常の照明光を照射している状態17を示す図である。ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から透過観察すると、ディメタライズOVD箔4の金属蒸着部分7aと印刷模様14及び15の印刷部分によって光が遮断され、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bと用紙2の印刷模様14及び15以外の非印刷部分となっている部分のみ光が透過する。これにより、印刷模様14及び15とディメタライズ模様とは異なる模様が得られる。
図9(d)は、図9(a)の印刷物のディメタライズOVD箔4側から赤外照明光を照射している状態18を示す図である。ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から赤外環境で透過観察すると、ディメタライズOVD箔4の金属蒸着部分7aと印刷模様14の印刷部分によって光が遮断され、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bと用紙2の印刷模様14及び15以外の非印刷部分と印刷模様15の印刷部分となっている部分のみ光が透過する。これにより、印刷模様14及び15とディメタライズ模様とは異なる模様が得られる。
(実施例6)
図10は、本実施の形態の印刷物の実施例6を示す。図10(a)は、用紙2に設けた箔押し領域に機能性インキを用いて、模様19を印刷し、前記印刷された模様19上に、ディメタライズOVD箔4を貼付した印刷物1の断面を示す図である。
本実施例において、模様を印刷するために用いるインキは、通常の照明での透過量は、一部透過するものでも、また、透明のもの、色彩の有無にかかわらず、紫外線環境で蛍光特性を持ったものとする。ディメタライズOVD箔4の透過量についても、完全に光を遮断するものでも、一部透過するものでも構わない。
図10(b)は、図10(a)の印刷物1のディメタライズOVD箔4側から照明光を照射し金属蒸着部分7aで反射している状態20を示す図である。例えば、ディメタライズ部分を、径が100μmで、間隔を280μmで配置した場合、金属蒸着部分7aの反射や拡散光とOVD層6の回折光により、図10(b)のように、ディメタイズ部分で構成した模様及びその下に施されている印刷模様19を観察することはほとんどできない。
また、ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から反射観察した場合は、施されている印刷模様19は、観察している用紙2側の反対側であり、ディメタライズOVD箔4とで挟まれているため、その模様を観察することは難しい。
図10(c)は、図10(a)の印刷物1のOVD箔4部分を、ディメタライズOVD箔4側から紫外線照明光を照射している状態19を示す図である。ディメタライズOVD箔4側から反射観察すると、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bで印刷模様19が存在する部分のみ蛍光光が観察される。また、ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から紫外線照明光を照射し、ディメタライズOVD箔4側から透過観察しても、同様に印刷模様19が観察される。
図10(d)は、図10(a)の印刷物1のディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から紫外線照明光を照射している状態22示す図である。ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から反射観察すると、紫外線照明光が用紙2を透過することにより、印刷模様19が観察される。
図10(e)は、図10(a)の印刷物1のディメタライズOVD箔4側から紫外線照明光を照射している状態23を示す図である。ディメタライズOVD箔4が貼付された側の反対側の用紙2側から透過観察すると、紫外線照明光の強度が強く、ディメタライズOVD箔4の透過量が完全に光を遮断するものでもないときは、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bで印刷模様19が存在する部分は明るく、ディメタライズOVD箔4の蒸着部分7aで印刷模様19が存在する部分は暗く蛍光光が観察される。紫外線照明光の強度が弱いときは、ディメタライズOVD箔4の非蒸着部分7bで印刷模様19が存在する部分のみ、蛍光光が観察される。
また、図10(e)で、図10(a)の印刷物1のディメタライズOVD箔4部分を、紫外線照射光の代わりに通常照射光を照射した場合は、ディメタライズ模様が観察される。
以上、実施例1〜6において詳述したように、基材上又は基材上に濃淡が得られるように印刷等で加工を施して模様を付与し、加工を施した上に、又は加工を施した以外の場所にディメタライズOVD箔を貼付し、加工を施した上にディメタライズOVD箔を貼付した印刷物は、透過観察することで、加工を施して付与した模様やディメタライズOVD箔のディメタライズ模様と異なる模様を観察することができる。また、加工を施した以外の別の場所にディメタライズOVD箔を貼付した場合は、印刷物を折り曲げるか又は折り畳んで、ディメタライズOVD箔と加工を施して付与した模様部分を密着させて透過観察することで、同様の効果を得ることができるというものである。
また、実施例7において詳述したように、ディメタライズOVD箔のディメタライズ模様を確認する場合は、紫外線照明光を用いてディメタライズOVD箔側から反射観察するか、通常照明光を用いて透過観察する。また、印刷模様を確認する場合は、紫外線照明光を用いて用紙側から反射観察したり、強い紫外線照明光を用いて、ディメタライズOVD箔が貼付された側の反対側の用紙側から透過観察することで可能となる。
OVDのディメタライズ加工や、基材の加工については専門的技術が必要であるため、これらを複合化して新たな模様を出現させることは困難であるので、偽造防止効果があり、真偽判別に用いることができる。
以上、上述した実施例において、基準模様としてのディメタライズOVD箔は、金属蒸着部の一部が透明又は穴が空き非蒸着部となった網点状のディメタライズ模様とし、認証要素としてのディメタライズOVD箔は、万線状のディメタライズ模様としているが、もちろん、万線状のディメタライズ模様のディメタライズOVD箔を基準模様としても良く、本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、上述した実施例と同様の効果を奏する態様も含まれるのは当然である。
本発明に係わる印刷物の一実施例の平面図である。 実施例1を示す図であり、図1におけるディメタライズOVD箔の反射及び透過状態での目視による模式図と断面図である。 実施例1を示す図であり、図1における印刷万線と透かし万線の反射及び透過状態での目視による模式図と断面図である。 実施例1を示す図であり、図1におけるディメタライズOVD箔と用紙との間に、印刷万線を印刷した場合に、照明光を照射して観察する方法の断面図である。 実施例2を示す図である。 実施例3を示す図である。 実施例4を示す図である。 実施例4を示す図である。 実施例5を示す図である。 実施例6を示す図である。
符号の説明
1、10 印刷物
2 用紙
3 インキ
4、24 ディメタライズOVD箔
5 保護層部分
6 OVD形成層部分
7 金属蒸着層部分
7a 金属蒸着層部分の金属が付着している部分
7b 金属蒸着層部分の金属が付着していない部分
8、12、16、20 照明が反射している状態
9、13、17 照明が遮蔽や減衰や透過されている状態
11 透かし部分
14 赤外線吸収インキ
15 赤外線透過インキ
18 赤外線環境下で照明が遮蔽や減衰や透過されている状態
19 蛍光インキ
21、22 紫外線照明光によって蛍光光が出ている状態
23 紫外線照明光が減衰や透過され蛍光光が出ている状態

Claims (5)

  1. 基材上に、基準模様となる第1の偽造防止素子と、前記第1の偽造防止素子に重ね合わせて密着することで自己認証の認証要素となる少なくとも一つの第2の偽造防止素子を配置した印刷物であって、
    前記第1の偽造防止素子と前記第2の偽造防止素子とは互いに重畳しないか又は一部重畳する位置に配置し、
    前記第1の偽造防止素子は、金属蒸着部の一部が微細な点の集合で構成されたディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で、前記箔は、前記ディメタライズされた点の集合で形成された部分と点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成する部分とで構成して第1の模様とし、
    前記第2の偽造防止素子は、透過して観察すると明暗を確認することができる模様を印刷、透かし又は金属蒸着部の一部が微細なディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で形成して第2の模様とし、
    前記基材を折り曲げるか又は折り畳んで、前記第1の偽造防止素子の第1の模様と前記第2の偽造防止素子の第2の模様とを重ね合わせて透過観察することにより、
    前記第1の模様のディメタライズされた点の集合で形成された部分と前記第2の模様の暗部とによって隠蔽又は減衰され、前記第1の偽造防止素子と前記第2の偽造防止素子全体が暗く観察され、
    前記第1の模様のディメタライズされた点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成する部分と前記第2の模様の明部とが重なって、第3の模様となって現出し、明るく観察されることを特徴とする印刷物。
  2. 基材上の一部領域に、第1の偽造防止素子を配置し、前記第1の偽造防止素子と前記基材の間に第2の偽造防止素子を配置することで第3の模様を現出する印刷物であって、
    前記第1の偽造防止素子は、金属蒸着部の一部が微細な点の集合で構成されたディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で、前記箔は、前記ディメタライズされた点の集合で形成された部分と点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成する部分とで構成して第1の模様とし、
    前記第2の偽造防止素子は、透過して観察すると明暗を確認することができる模様を印刷又は透かしで形成して第2の模様とし、
    前記第1の偽造防止素子側から反射観察すると、前記第2の偽造防止素子を形成する印刷又は透かしを観察することはできず、
    前記第1の偽造防止素子側又はその裏面の基材側から透過観察すると、前記第1の模様のディメタライズされた点の一部を規則的にずらし又は穴径及び形状を変化させて形成する部分と前記第2の模様の明部が重なっている部分のみが、第3の模様として明るく観察されることを特徴とする印刷物。
  3. 前記透過して観察すると明暗が確認できる模様の印刷は、赤外線透過吸収インキ又は蛍光インキを用いた請求項1又は2記載の印刷物。
  4. 基材上の一部領域に、第1の偽造防止素子を配置し、前記第1の偽造防止素子と前記基材の間に第2の偽造防止素子を配置することで第3の模様を現出する印刷物であって、
    前記第1の偽造防止素子は、金属蒸着部の一部が微細な点の集合で構成されたディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で、前記箔は、前記ディメタライズされた点の集合で形成された部分第1の模様とし、
    前記第2の偽造防止素子は、蛍光インキを用いた印刷模様で形成して第2の模様とし、
    通常照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から反射観察すると、前記第2の模様を観察することはできず、
    紫外線照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側から反射観察すると、前記第1の模様のディメタライズされた点と前記第2の模様が重なった部分のみが蛍光模様の第3の模様として観察され、基材側からの反射観察では、前記第2の模様が蛍光模様として観察され、
    通常照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から透過観察すると、前記第1の模様が模様として観察され、
    紫外線照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から透過観察すると、前記第1の模様のディメタライズされた点と前記第2の模様が重なった部分のみが蛍光模様の第3の模様として観察されることを特徴とする印刷物。
  5. 基材上の一部領域に、第1の偽造防止素子を配置し、前記第1の偽造防止素子と前記基材の間に第2の偽造防止素子を配置することで第3の模様を現出する印刷物であって、
    前記第1の偽造防止素子は、金属蒸着部の一部が微細な点の集合で構成されたディメタライズ模様のディメタライズされた透明又は非蒸着部となっている箔で、前記箔は、前記ディメタライズされた点の集合で形成された部分を第1の模様とし、
    前記第2の偽造防止素子は、透過して観察すると明暗を確認することができる模様を赤外線透過吸収インキを用いた印刷模様で形成して第2の模様とし、
    通常照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から反射観察すると、前記第2の模様を観察することはできず、
    赤外線照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側から赤外での反射観察をすると、前記第1の模様のディメタライズされた点と前記第2の模様以外の部分並びに前記第1の模様のディメタライズされた点と前記赤外線透過インキで印刷された第2の模様とが重なった部分が第3の模様として明るく観察され、基材側からの反射観察では、基材が明るく観察されるため、前記第2の模様は観察することはできず、
    通常照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から透過観察すると、前記第2の模様以外の明るい部分と前記第1の模様のディメタライズされた点とが重なった部分が第3の模様として明るく観察され、
    赤外線照明光の照射で、前記第1の偽造防止素子側及び基材側から赤外での透過観察をすると、前記第1の模様のディメタライズされた点と前記第2の模様以外の部分並びに前記第1の模様のディメタライズされた点と赤外線透過インキで印刷された前記第2の模様が重なった部分のみが第3の模様として観察されることを特徴とする印刷物。
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