JP5097691B2 - 中空成形用樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

中空成形用樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Description

本発明は、中空成形用樹脂組成物及び成形品に関し、特に多層中空成形に好適な中空成形用樹脂組成物及び成形品に関する。さらに詳しくは、中空成形用材料において、良好な中空成形性を維持したまま、得られる成形品の剛性、耐衝撃性、耐熱クリープ性が優れ、成形品の薄肉軽量化が可能な中空成形用樹脂組成物及び成形品に関する。
近年、中空成形の分野では、軽量化、省エネルギー化といった目的で製品の樹脂化が活発に押し進められている。樹脂材料としては、安価、高強度、良耐候性、良耐薬品性、リサイクル性等の観点から、ポリエチレンが一般に主材料として用いられている。
また、ポリエチレンを用いた中空成形品において、容器等の薄肉化による更なる軽量化が求められている。薄肉化のためには、材料の剛性を向上させる必要があり、フィラー添加による剛性向上が検討されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
特許文献1には、一部又は全部が不飽和カルボン酸またはその無水物により変性されたポリエチレン60〜95重量%、無機フィラー5〜40重量%を含有してなるポリエチレン組成物において、該ポリエチレンがクロム触媒あるいは該クロム触媒を還元剤で還元させてなる触媒で製造され、ハイロードメルトフローレイト(HLMFR)(190℃、21.6kg荷重)が1〜100g/10分、密度が930kg/m以上であることを特徴とするポリエチレン組成物が開示され、剛性、耐衝撃性、リクレーム性に優れ、かつ耐ドローダウン性等のブロー成形性能が良好であるポリエチレン樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献2には、結晶融点が160〜165℃、メルトフローレート(230℃)が0.1〜1g/10min、密度が0.895〜0.905g/cmのプロピレン−α−オレフィン共重合体85〜50重量%、メルトフローレート(190℃)が0.06〜0.005g/10min、密度が0.945〜0.970g/cmの高密度ポリエチレン5〜15重量%、メルトフローレート(190℃)が0.01〜20g/10min、密度が0.880〜0.910g/cm、結晶融点が110〜117℃のエチレン−α−オレフィン共重合体5〜15重量%、及び平均粒径が10μm以下のタルク5〜20重量%からなるメルトフローレート(230℃)が0.1〜0.8g/10minの中空成形用樹脂組成物が開示され、大型中空成形品の成形時の成形性が良好で、得られる大型中空成型品の塗装、耐衝撃性、剛性、耐熱剛性、鮮映性が極めて優れた中空成形用樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献3には、熱可塑性ポリマー、未焼成フィラー、2.5ミクロンより小さい平均粒子径と13ミクロン以下の最大粒子径をもつ焼成フィラーを含むフィラー充填熱可塑性組成物及びこれらを混合するその製造方法が開示され、押し出し又は成形物品における耐引っ掻き性の改良された、加工性、靭性、硬さのバランスが改良された熱可塑性組成物が提案されている。
さらに、特許文献4には、(a)ポリエチレン99.999〜85重量%にエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%をグラフトさせた変性ポリエチレン及び/又はオレフィン99.999〜85重量%とエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%との共重合体100重量部、(b)シラノール縮合触媒0.001〜10重量部を含有し、さらに好ましくは、(c)特定の密度、メルトフローレート、オルゼン曲げ剛性を有するポリエチレン100〜1000重量部を含有する中空成形燃料タンク用架橋性樹脂及びそれを用いた成形品が開示され、成形性と耐久性とのバランスに優れた大型容器用材料である燃料タンク用架橋性樹脂、特に中空成形性、耐久性、耐衝撃性のバランスに優れ、かつ耐火性に優れた中空成形燃料タンク用架橋性樹脂及びそれを用いた成形品が提案されている。特許文献4には、例えば、該発明の効果を損なわない範囲で、充填材等が添加されていてもよい旨が記載されているが、剛性の更なる改良手段は、開示されていない。
このような上記の従来技術では、フィラーによる予測の範囲内の剛性向上効果は期待できるものの、薄肉化を行った場合に、フィラー密度の影響により十分な軽量化効果を発揮できないという問題がある。また、成形品の物性バランスの面からも、必ずしも十分なレベルとは言えず、更なる高剛性化による薄肉軽量化、物性バランスの向上が求められている。
特開平08−085743号公報 特開平09−031268号公報 特開2004−529240号公報 特開2008−024729号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、成形性と耐久性とのバランスに優れた中空成形用樹脂組成物、特に多層中空成形性、耐久性、耐衝撃性のバランスに優れ、かつ材料の剛性向上により成形品容器の薄肉軽量化を達成できる中空成形用樹脂組成物及びそれを用いた成形品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し、中空成形品の薄肉軽量化に十分に適合できる材料を検討した結果、特定のポリエチレン、無機フィラー、エチレン性不飽和シラン化合物を含むポリエチレン等とシラノール触媒を含有する樹脂組成物を使用することにより、予想以上の材料の高剛性化を実現し、成形品容器の薄肉化を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記成分(a)〜(d)を含有することを特徴とする中空成形用樹脂組成物が提供される。
成分(a):密度が0.910〜0.970g/cmであり、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.001〜50g/10分であるポリエチレン 100重量部
成分(b):平均粒径が0.1〜1500μmである無機フィラー 1〜100重量部
成分(c):ポリエチレン99.999〜85重量%に、エチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%をグラフトさせた変性ポリエチレン及び/又はオレフィン99.999〜85重量%とエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%との共重合体 1〜100重量部
成分(d):シラノール縮合触媒 0.00001〜10重量部
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分(a)のポリエチレンは、密度が0.940〜0.965g/cmであり、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜30g/10分であることを特徴とする中空成形用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、成分(b)の無機フィラーは、タルク、マイカ、シリカ、クレー及びハイドロタルサイトからなる群から選択される無機フィラーであることを特徴とする中空成形用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分(c)のエチレン性不飽和シラン化合物は、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする中空成形用樹脂組成物が提供される。
SiR 3−n …(I)
〔式(I)中、Rはエチレン性不飽和ハイドロカーボン基又はハイドロカーボンオキシ基、Rはハイドロカーボン基、Yは加水分解可能な有機基を表し、nは0〜2の整数である。〕
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、成分(d)のシラノール縮合触媒は、ジブチル錫ジラウリレート又はジオクチル錫ジラウリレートであることを特徴する中空成形用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、下記の特性(1)〜(4)を満足することを特徴とする中空成形用樹脂組成物が提供される。
特性(1):架橋前の密度が0.910〜0.970g/cmである。
特性(2):架橋前の190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.001〜50g/10分である。
特性(3):架橋後のオルゼン曲げ剛性が700MPa以上である。
特性(4):架橋後のゲル分率が5%以上である。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る中空成形用樹脂組成物を最外層に使用したことを特徴とする多層中空成形品が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る中空成形用樹脂組成物を最内層に使用したことを特徴とする多層中空成形品が提供される。
本発明によれば、成形性と耐久性とのバランスに優れた中空成形用樹脂組成物、特に多層中空成形性、耐久性、耐衝撃性のバランスに優れ、かつ材料の剛性向上により成形品容器の薄肉軽量化を達成できる中空成形用樹脂組成物及びそれを用いた成形品を得ることが可能となる。
本発明の中空成形用樹脂組成物は、成分(a)〜(d)を含有する樹脂組成物であり、好ましくは、以下の特性(1)〜(4)を満足する樹脂組成物である。
以下、本発明の樹脂組成物の構成成分及び樹脂組成物の特性、並びに樹脂組成物からなる成形品について詳細に説明する。
1.架橋性樹脂を構成する成分
成分(a):密度が0.910〜0.970g/cmであり、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.001〜50g/10分であるポリエチレン
本発明における上記ポリエチレンは、チーグラー触媒、メタロセン触媒、フィリップス触媒等の公知の各触媒、例えば、一般的には、チタン、ジルコニウム等の遷移金属化合物、マグネシウム化合物からなるチーグラー触媒、ジルコニウム、ハフニウム、チタン等の遷移金属化合物に少なくとも1つのシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を有するメタロセン系触媒、クロム化合物を含有するフィリップス触媒を重合触媒として、エチレンを主として重合することによって得られる。
本発明に係るポリエチレンは、エチレンの重合に際して、エチレン単独重合またはエチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜10のα−オレフィンから選ばれる1種またはそれ以上のコモノマーを、所定の密度になるように共重合することにより得られる。
共重合するα−オレフィンの例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等が挙げられるが、耐久性ならびに経済性の見地から、特にプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1が好ましい。
更に、ビニルシクロヘキサン、スチレンあるいはその誘導体などのビニル化合物も使用することができる。また、これらα−オレフィンは、1種のみでもよく、また2種以上を併用してもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィンの含有量は、10重量%以下、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。α−オレフィンの含有量がこれより多くなると、剛性が低下するので好ましくない。
より詳細に具体的なポリエチレンを例示すれば、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。また、ポリエチレン共重合体を例示すれば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのポリエチレンは、市販の商品として入手できるばかりでなく、公知の重合方法により製造することができる。
本発明に係る成分(a)のポリエチレンは、下記特性(a1)〜(a2)を満足するポリエチレンが好ましい。
特性(a1):密度
本発明において、成分(a)のポリエチレンの密度は、0.910g/cm以上、0.970g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.940g/cm以上、0.965g/cm以下であり、さらに好ましくは0.940g/cm以上、0.960g/cm以下である。密度が0.910g/cm未満では、成形品の剛性が不足し、一方、密度が0.970g/cmを超えると、耐衝撃性が劣る。密度の調整は、エチレンと共重合させるα−オレフィンの量を変化させることによって行うことができる。
ここで、密度は、JIS K7112(1999)に準拠して、測定されるものであり、ポリエチレンペレットを、温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し、厚み2mmのシートを成形し、このシートを23℃、48時間保持後、密度勾配管に入れ測定するものである。
密度は、エチレンと共重合させるα−オレフィンの量を変化させることによって、調整することができ、α−オレフィンの量を増加させると、小さくすることができる。
特性(a2):メルトフローレート
本発明において、成分(a)のポリエチレンの190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートは、0.001g/10分以上、50g/10分以下が好ましく、より好ましくは0.005g/10分以上、30g/10分以下であり、さらに好ましくは0.01g/10分以上、10g/10分以下である。メルトフローレートが0.001g/10分未満であると、中空成形時に押出し量が不足し、成形不安定な状態となり、実用的ではない。また、10g/10分を超えると、ドローダウン悪化による成形不良が発生する。190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートの調整は、例えば、エチレン重合中に共存させる水素の量を変化させることによって行うことができる。
ここで、メルトフローレートは、JIS K7210(1999)に準拠して、190℃、21.6kg荷重の試験条件で、測定されるものである。
メルトフローレートは、エチレン重合中に共存させる連鎖移動剤(水素等)の量を変化させるか、重合温度を変化させることによって調整することができ、水素の量を増加させる又は重合温度を高くすることにより、大きくすることができる。
特性(a3):オルゼン曲げ剛性
本発明において、成分(a)のポリエチレンのオルゼン曲げ剛性は、600MPa以上、1300MPa以下が好ましく、より好ましくは600MPa以上、1250MPa以下であり、さらに好ましくは650MPa以上、1200MPa以下である。オルゼン曲げ剛性が600MPa未満では、成形品の剛性不足が顕在化し、一方、1300MPaを超えると、耐衝撃性が低下する。
ここで、オルゼン曲げ剛性は、JIS K7106(1995)に準拠して測定されるものであり、スパン間30mm、つかみ部30mm、全曲げモーメントが6kgf・cmの条件で60deg/分で片持ち曲げ応力を測定するものである。
オルゼン曲げ剛性は、ポリエチレンの分子量及び密度を増減させることにより調節することができ、分子量又は密度を増加させると、曲げ弾性率を上げることができる。
本発明において、成分(a)のポリエチレンは、上記の特性(a1)〜(a2)を満足するものであれば、単一のポリエチレンでもよいが、複数、例えば異なる二種類の物性を有するポリエチレン成分から構成することもできる。特に、本発明で用いるポリエチレンは、連続多段重合法で得られるポリエチレンが好ましく、また、所定のポリエチレン成分をそれぞれ別個に重合したものを、その後所定量をポリマーブレンドした、いわゆるポリエチレン組成物といわれる、混合したものでも差し支えない。
本発明において、成分(a)のポリエチレンには、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種公知の添加剤、充填材等を適宜の量で添加できる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、着色剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、相溶化剤等を1種または2種以上適宜併用することができる。また、充填材としては、例えば、タルク、マイカ等が使用できる。また、本発明で用いるポリエチレンは、必要に応じて、無水マレイン酸変性等をしておくこともできる。
本発明の成分(a)のポリエチレンの配合量は、100重量部を基準とし、この成分(a)のポリエチレン100重量部に対し、他の成分が、所定の重量比で配合される。
成分(b):平均粒径が0.1〜1500μmである無機フィラー
本発明において、成分(b)の無機フィラーは、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石こう繊維等の硫酸塩、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン等のケイ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケウ素等の窒化物、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルーン、木炭粉末、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素類、各種金属粉、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維が挙げられる。
これら無機フィラーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記無機フィラーは、各種の界面活性剤やシランカップリング剤などで表面処理されたものが好適に用いられる。
上記無機フィラーの中でも、タルク、マイカ、シリカ、クレー、ハイドロタルサイトが分散性及び物性向上の観点から、好ましいものとして挙げられ、さらに好ましくは、タルク、マイカが好適なものとして挙げられる。
これらの無機フィラーは、平均粒径が0.1〜1500μm、好ましくは0.1〜500μmであり、且つ平均アスペクト比が1〜300、好ましくは5〜200のものが適している。
特に好ましい例としては、平均粒径が8〜100μmであり且つ平均アスペクト比が10〜100のマイカやタルクが挙げられる。本発明の無機フィラー(b)の平均粒径は、JIS Z8901−1995に準じて測定される。
平均粒径及び平均アスペクト比が上記範囲未満のものは、多層中空成形体の剛性向上効果が不十分となる傾向にあり、一方、上記範囲を超えると、衝撃強度などの機械的強度が低下する傾向にある。
成分(b)の無機フィラーの密度は、2.0〜3.0g/cmのものが好適である。
使用される無機フィラーは、新品のフィラーであってもよいし、一回又は複数回成形に使用されたフィラーであってもよいし、上記を組合せたフィラーであってもよい。
成分(b)の無機フィラーの配合割合は、成分(a)のポリエチレン100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは10〜90重量部、さらに好ましくは30〜80重量部である。成分(b)の無機フィラーの配合割合が下限値未満では、剛性改良効果が低下し、一方、上限値を超えると、衝撃強度が低下する。
成分(c):ポリエチレン99.999〜85重量%にエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%をグラフトさせた変性ポリエチレン(c−1)及び/又はオレフィン99.999〜85重量%とエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%との共重合体(c−2)
本発明の中空成形用樹脂組成物に用いられる成分(c)のポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物をグラフトさせた変性ポリエチレン(c−1)におけるポリエチレンとしては、チーグラー触媒、メタロセン触媒等の公知の各触媒、例えば、一般的には、チタン、ジルコニウム等の遷移金属化合物、マグネシウム化合物からなるチーグラー触媒、ジルコニウム、ハフニウム、チタン等の遷移金属化合物に少なくとも1つのシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基を有するメタロセン系触媒を重合触媒として、エチレンを主として重合することによって得られる。
本発明に係る上記ポリエチレンは、エチレンの重合に際して、エチレン単独重合またはエチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜10のα−オレフィンから選ばれる1種またはそれ以上のコモノマーを所定の密度になるように共重合することにより得られる。共重合するα−オレフィンの例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等が挙げられるが、耐久性ならびに経済性の見地から、特にプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1が好ましい。
更に、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルシクロヘキサン、スチレンあるいはその誘導体などのビニル化合物も、使用することができる。
また、これらα−オレフィンは、1種のみでもよく、また2種以上を併用してもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィンの含有量は、10重量%以下、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。α−オレフィンの含有量がこれより多くなると、剛性が低下するので好ましくない。
より詳細に具体的なポリエチレンを例示すれば、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。ポリエチレン共重合体を例示すれば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸共重合体等がある。これらのポリエチレンは、市販の商品として入手できるばかりでなく、公知の重合方法により製造することができる。
本発明の樹脂組成物に用いられる成分(c)のポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物をグラフトさせた変性ポリエチレン(c−1)におけるエチレン性不飽和シラン化合物としては、加水分解性の基及びエチレン性不飽和結合を有するシラン化合物であり、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
SiR 3−n …(I)
〔式(I)中、Rはエチレン性不飽和ハイドロカーボン基又はハイドロカーボンオキシ基、Rはハイドロカーボン基、Yは加水分解可能な有機基を表し、nは0〜2の整数である。〕
ここで、Rとしては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等が、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基、フェニル基等が、Yとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基等が、それぞれ挙げられ、このようなエチレン性不飽和シラン化合物の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明で用いる変性ポリエチレン(c−1)は、上記のポリエチレン99.999〜85重量%に、エチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%をグラフト反応させて得られる。エチレン性不飽和シラン化合物の量が0.001重量%未満では、架橋が不充分となり剛性が不充分であり、一方、15重量%を超えると、架橋後の樹脂にフィッシュアイやブツ等が発生し易くなる。
上記グラフト反応は、公知の方法で行うことができる。例えば、ポリエチレンに、エチレン性不飽和シラン化合物をラジカル開始剤の存在下に反応させて得られる。ラジカル開始剤としては、その分解温度が使用するオレフィン系樹脂の融点以上であり、オレフィン系樹脂のグラフト反応に、一般的に用いられる化合物であればよく、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いられても、2以上の組み合わせで用いられてもよい。中でも、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等の1種もしくは2種以上がより好適に用いられる。
上記ラジカル開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、前記ポリエチレン100重量部に対し、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.02〜2重量部である。ラジカル開始剤の使用量が少なすぎると、グラフト反応が十分進行しないので所望のゲル分率が得られず、逆に多過ぎると、ポリエチレン分子内に遊離ラジカルが過剰に生成し、いわゆる過酸化物架橋が進行して、スコーチの発生、表面平滑性の低下、粘度の異常上昇などが起こり、作業性が悪化する。
なお、変性ポリエチレン(c−1)は、特公昭48−1711号公報に記載の方法に準じて、製造することも可能である。しかし、該方法に限定されるものではなく、適宜変更した方法で製造することができる。
また、本発明において、成分(c)で用いるオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体(c−2)は、オレフィン99.999〜85重量とエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%とを共重合して得られる。エチレン性不飽和シラン化合物の量が0.001重量%未満では、架橋が不充分となり剛性が不充分であり、一方、15重量%を超えると、架橋後の樹脂にフィッシュアイやブツ等が発生し易くなる。
上記共重合反応は、公知の方法で行なうことができ、例えば、特開昭55−9611号公報に記載の方法に準じて、製造することが可能である。しかし、該方法に限定されるものではなく、適宜変更した方法で製造することができる。
なお、オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1等の炭素数2〜20のα−オレフィンを挙げることができ、エチレン性不飽和シラン化合物としては、(c−1)で用いた化合物と同様のものを、用いることができる。
本発明の中空成形用樹脂組成物に用いられる成分(c)は、上記の成分(c−1)と(c−2)を、それぞれ単独で用いても、また、混合して用いても良い。
成分(c)のポリエチレン99.999〜85重量%にエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%をグラフトさせた変性ポリエチレン(c−1)及び/又はオレフィン99.999〜85重量%とエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%との共重合体(c−2)の配合割合は、成分(a)のポリエチレン100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。成分(c)の配合割合が下限値未満では、剛性改良効果が低下し、一方、上限値を超えると、衝撃強度が低下する。
成分(d):シラノール縮合触媒
本発明の中空成形用樹脂組成物に用いられる(d)シラノール縮合触媒としては、通常エステル加水分解に用いられる触媒が使用可能であり、酸触媒、塩基触媒が挙げられ、中でも、シラノール間の脱水縮合を促進する触媒として、一般的に用いられる任意の化合物が好ましく、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、酢酸第一錫、オクタン酸第一錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ビス(アセチルアセトニトリル)ジ−イソプロピルチタネート、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジンなどの化合物、硫酸、塩酸などの無機酸、トルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸などの有機酸などが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられるが、なかでもジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートがより好適に用いられる。
本発明の中空成形用樹脂組成物における成分(d)のシラノール縮合触媒の配合量は、成分(a)100重量部に対して、0.00001〜10重量部であり、好ましくは0.0001〜10重量部、さらに好ましくは0.001〜8重量部である。成分(d)の配合量が0.00001重量部未満では、架橋反応が遅く、一方、10重量部を超えると、架橋後の樹脂にフィッシュアイやブツ等が発生し易くなる。
本発明で用いるシラノール縮合触媒の使用方法は、該触媒を前記変性ポリエチレン及び/又はオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体のパウダー又はペレットと共に混合する方法、該触媒を押出機の途中に設けた注入孔から圧入する方法、又は、該触媒を溶液又は分散液として変性ポリエチレン及び/又はオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体から得られる成形品表面に塗布するか、或いは、その溶液又は分散液に該成形品を含浸させる等の方法が採られる。
中でも、本発明においては、シラノール縮合触媒を、前記オレフィン系樹脂パウダー、前記エチレン性不飽和シラン化合物、及びラジカル発生剤と共に前記変性ポリエチレン及び/又はオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体のパウダー又はペレットと共に混合する方法、又は、該触媒を押出機の途中に設けた注入孔から圧入する方法によるのが好ましい。特に、本発明に係る架橋性樹脂を製造するにあたり、そのまま混合してもよいし、好ましくは少量のポリエチレン等と予め混合したものを用いると、分散性等の観点から好適である。
本発明における樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂やゴム、及び、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、着色剤、充填材、相溶化剤、接着剤等が添加されていてもよい。
2.樹脂組成物の特性
本発明の中空成形用樹脂組成物は、上記成分を含有するが、下記特性(1)〜(4)を有するものであることが好ましい。
特性(1):架橋前の密度
本発明の中空成形用樹脂組成物の架橋前の密度は、0.910g/cm以上、0.970g/cm以下であり、好ましくは0.940g/cm以上、0.965g/cm以下であり、さらに好ましくは0.940g/cm以上、0.960g/cm以下である。架橋前の密度が0.910g/cm未満では、成形品の剛性が不足し、一方、0.970g/cmを超えると、耐衝撃性が劣る。
ここで、樹脂組成物の密度は、JIS K7112(1999)に準拠して測定されるものであり、該樹脂組成物を温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し、厚み2mmのシートを成形し、このシートを23℃、48時間保持後、密度勾配管に入れ、測定するものである。なお、架橋前の樹脂の密度は、水分と接触しないようにして測定される。
密度は、エチレンと共重合させるα−オレフィンの量を変化させることによって、調整することができ、α−オレフィンの量を増加させると、小さくすることができる。
特性(2):架橋前のメルトフローレート
本発明の中空成形用樹脂組成物の架橋前の190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートは、0.001g/10分以上、50g/10分以下であり、好ましくは0.005g/10分以上、30g/10分以下であり、さらに好ましくは0.010g/10分以上、10g/10分以下である。架橋前のメルトフローレートが0.001g/10分未満であると、中空成形時に押出し量が不足し、成形不安定な状態となり実用的ではない。また、50g/10分を超えると、成形品の耐衝撃性が低下するようになる。
ここで、樹脂組成物の190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートは、JIS K7210(1999)に準拠して測定されるものである。なお、架橋前の樹脂のメルトフローレートは、水分と接触しないようにして測定される。
メルトフローレートは、エチレン重合中に共存させる連鎖移動剤(水素等)の量を変化させるか、重合温度を変化させることによって、調整することができ、水素の量を増加させる又は重合温度を高くすることにより、大きくすることができる。
特性(3):架橋後のオルゼン曲げ剛性
本発明の中空成形用樹脂組成物の架橋後のオルゼン曲げ剛性は、700MPa以上であり、好ましくは750MPa以上、1500MPa以下であり、さらに好ましくは800MPa以上、1250MPa以下である。オルゼン曲げ剛性が700MPa未満では、成形品の剛性不足が顕在化し、一方、1500MPaを超えると、耐衝撃性が低下する。
ここで、樹脂組成物の架橋後のオルゼン曲げ剛性は、JIS K7106(1995)に準拠して測定されるものであり、スパン間30mm、つかみ部30mm、全曲げモーメントが6kgf・cmの条件で60deg/分で片持ち曲げ応力を測定するものである。
オルゼン曲げ剛性は、ポリエチレンの分子量及び密度を増減させることにより、調節することができ、分子量又は密度を増加させると、曲げ弾性率を上げることができる。
特性(4):架橋後のゲル分率
本発明の中空成形用樹脂組成物の架橋後のゲル分率は、5%以上であり、好ましくは7%以上であり、さらに好ましくは10%以上、95%以下である。ゲル分率が5%未満では、成形品の剛性低下を招いてしまう。架橋の程度(ゲル分率)は、目的とする物性に応じて、前述のエチレン性不飽和シラン化合物等の量を適宜変更して、調整することが可能であり、エチレン性不飽和シラン化合物等の量を増加させると、ゲル分率は大きくなる。
本発明の中空成形用樹脂組成物は、水雰囲気に曝す又は水と接触させることにより、架橋させることができ、架橋させたものは、ゲル分率が大きくなり、熱的特性、機械的特性、化学的特性が向上し、燃料タンクとして好適な成形品とすることができる。
ここで、架橋後のゲル分率は、JIS K6787(1997)に準拠し、サンプル10gを、溶媒としてキシレンを用いたソックスレー型抽出器により24時間沸点温度にて抽出し、溶媒乾燥後の抽出残分の重量を次式に従い計算したものである。
ゲル分率(%)=抽出残分の重量(g)×100/抽出前のサンプルの重量(g)
なお、ゲル分率の計算に際して、フィラーである成分(b)は除いて算出する。
3.成形品
本発明の成形品は、上記樹脂組成物を公知の成形方法で成形し、次いで架橋して得られる。成形方法としては、多層中空成形が好ましい。架橋方法は、いわゆる水架橋が好ましく、本発明の樹脂組成物を成形して成形品としたものを、常温〜200℃程度、通常は常温〜100℃程度の液状又は蒸気状の水に1時間〜1週間程度、通常は3〜12時間程度にわたって接触させることにより、なされることが好適である。温度23℃、湿度50%の状態においても、10日程度の放置において、効果が得られる。
本発明の中空成形用樹脂組成物より成形される成形品としては、特に多層中空成形による中空成形品が好ましい例として挙げられ、各種容器として好適に用いられる。
上記中空成形品の特に好ましい態様としては、本発明の中空成形用樹脂組成物を最外層に使用するか、或いは、最内層に使用した多層中空成形品が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、樹脂の物性は、以下の方法で測定し、架橋前の樹脂の物性測定の場合は、水分と接触しないようにして行い、架橋後の樹脂の物性測定の場合は、架橋樹脂を水分と接触させた後のサンプルで行った。
1.樹脂の物性
(1)密度:JIS K7112(1999)に準拠して測定した。
(2)190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレート:JIS K7210(1999)に準拠して測定した。
(3)オルゼン曲げ剛性:JIS K7106(1995)に準拠して、スパン間30mm、つかみ部30mm、全曲げモーメントが6kgf・cmの条件で60deg/分で片持ち曲げ応力を測定した。
(4)ゲル分率:JIS K6787(1997)に準拠し、サンプル10gを、溶媒としてキシレンを用いたソックスレー型抽出器により24時間沸点温度にて抽出し、溶媒乾燥後の抽出残分の重量を次式に従い計算した。
ゲル分率(%)=抽出残分の重量(g)×100/抽出前のサンプルの重量(g)
なお、ゲル分率の計算に際して、フィラーである成分(b)は除いて算出した。
(5)中空成形性:中空成形時のパリソンの耐ドローダウン性と肉厚均質性を評価し、良好なものを○、成形不良発生したものを×とした。
(6)低温落下強度:円柱状で、高さ300mm、外形110mm、胴部の平均厚み1mm、口部外形30mm、取っ手付きタイプの内容積1500mlの中空ボトルを成形し、ボトルに不凍液を満了注入後、−20℃まで冷却し、高さ1mから、底面を下向きにして、地面に底面が当たるように落下試験を実施した。サンプル数5にて実施し、割れの有無を確認した。
割れが無い場合を0%、1個割れた場合を20%、2個割れた場合を40%、3個割れた場合を60%、4個割れた場合を80%、5個全部割れた場合を100%とした。判定は、割れの無い場合を◎、割れの発生が1本でも認められた場合を×とした。
(7)耐環境応力亀裂(ボトルESCR):ASTM D1693に準拠して測定した。
500時間以上を◎、50時間以上〜500時間未満を○、10時間以上〜50時間未満を△、10時間未満を×とした。
(8)座屈強度:容器を垂直に立て、ストログラフにて50mm/分の速度で容器の上部から下部に向けて垂直方向に圧縮し、最大圧縮強度を測定した。
板厚1mmに換算した座屈強度が、550kgを超える場合は◎、450kgを超え550kg以下の場合は○、400kgを超え450kg以下の場合を△、400kg以下の場合を×とした。
(9)耐熱クリープ性:容器に80℃の温水を注入し、キャップ口部にて保持した際の容器全体の伸び歪を測定した。
伸び歪%が4%以下の場合を◎、伸び歪%が4%を超え8%以下の場合を○、伸び歪%が8%を超え12%以下の場合を△、伸び歪%が12%を超えた場合を×とした。
(10)成形品肉厚:容器の中央部の平面部にて板厚を測定した。
2.使用した材料
(1)成分(a)のポリエチレン:
HDPE1:日本ポリエチレン社製ノバテックHB233R(密度0.946g/cm、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.3g/10分、オルゼン曲げ剛性が1000MPaのポリエチレン)を使用した。
HDPE2:日本ポリエチレン社製ノバテックHB111R(密度0.945g/cm、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.03g/10分、オルゼン曲げ剛性が900MPaのポリエチレン)を使用した。
(2)成分(b)の無機フィラー:
タルク1:平均粒径4μm、平均アスペクト比10のタルク(林化成社製ミクロンホワイト5000S)を使用した。
マイカ1:平均粒径4μm、平均アスペクト比30のマイカ(林化成社製ヤーンマイカWG−325W)を使用した。
(3)成分(c)のポリエチレンにエチレン性不飽和シラン化合物をグラフトさせた変性ポリエチレン
変性PE1:チーグラー触媒を用いて、コモノマーとしてヘキセン−1を用い、スラリー重合法により、密度0.948g/cm、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが15g/10分、オルゼン曲げ剛性が900MPaであるポリエチレン(I)を製造した。
次に、ポリエチレン(I)100重量部に対して、エチレン性不飽和シラン化合物としてビニルトリエトキシシラン(東レダウコーニングシリコーン社製「SZ6300 SILANE」)を3重量部、ラジカル発生剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製「パーヘキサ25B」)を0.1重量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、口径50mm、L/D24の押出機により、190℃で溶融混練して、変性ポリエチレン(I)(密度0.946g/cm、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.3g/10分)を製造し、使用した。
(4)成分(d)のシラノール縮合触媒
ジブチル錫ジオクテート(三共有機合成社製「STANN=SNT=1F」)を使用した。
[実施例1]
HDPE1の100重量部に対して、ジブチル錫ジオクテート(三共有機合成社製「STANN=SNT=1F」)0.05重量部を添加し、口径50mm、L/D24の押出機により190℃で溶融混練した。
次に、上記混練物100.05重量部(HDPE100重量部及びジブチル錫ジオクテート0.05重量部)に対して、タルク1を7重量部、変性PE1を27重量部添加し、口径50mm、L/D24の押出機により190℃で溶融混練した。
得られた樹脂組成物を使用し、小型ブロー成形機(モダンマシナリー社製)を用いて、成形温度200℃、吹き込み時間40秒の条件にて容積1500mlのボトルを成形した。成形品重量は約80gであった。
このボトルを90℃温水中に6時間浸漬し、架橋させた成形品を得た。この成形品について、低温落下強度、ボトルESCR、座屈強度、耐熱クリープ性、オルゼン曲げ剛性、ゲル分率、評価を行った。その結果を表1に示した。
樹脂組成物は、中空成形性が良好であり、ボトルによる耐環境応力亀裂(ボトルESCR)評価のいずれも良好であり、薄肉軽量化の効果が大きかった。
[実施例2〜7]
表1の配合組成とした以外は、実施例1と同様に行った、その結果を表1に示した。
樹脂組成物は、中空成形性が良好であり、ボトルによる耐環境応力亀裂(ボトルESCR)評価のいずれも良好であり、薄肉軽量化の効果が大きかった。
[比較例1〜7]
表2の配合組成とした以外は、実施例1と同様に行った、その結果を表2に示した。
樹脂組成物は、低温落下強度、ボトルESCR、座屈強度、耐熱クリープ性のいずれかが不良であり、中空成形品材料として不十分であった。
Figure 0005097691
Figure 0005097691
本発明の中空成形用樹脂組成物から得られる成形品は、成形性と耐久性とのバランスに優れ、特に剛性が高く、成形品の薄肉軽量化が可能であり、工業的に非常に利用価値の高いものである。

Claims (8)

  1. 下記成分(a)〜(d)を含有することを特徴とする中空成形用樹脂組成物。
    成分(a):密度が0.910〜0.970g/cmであり、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.001〜50g/10分であるポリエチレン 100重量部
    成分(b):平均粒径が0.1〜1500μmである無機フィラー 1〜100重量部
    成分(c):ポリエチレン99.999〜85重量%に、エチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%をグラフトさせた変性ポリエチレン及び/又はオレフィン99.999〜85重量%とエチレン性不飽和シラン化合物0.001〜15重量%との共重合体 1〜100重量部
    成分(d):シラノール縮合触媒 0.00001〜10重量部
  2. 成分(a)のポリエチレンは、密度が0.940〜0.965g/cmであり、190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜30g/10分であることを特徴とする請求項1に記載の中空成形用樹脂組成物。
  3. 成分(b)の無機フィラーは、タルク、マイカ、シリカ、クレー及びハイドロタルサイトからなる群から選択される無機フィラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の中空成形用樹脂組成物。
  4. 成分(c)のエチレン性不飽和シラン化合物は、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空成形用樹脂組成物。
    SiR 3−n …(I)
    〔式(I)中、Rはエチレン性不飽和ハイドロカーボン基又はハイドロカーボンオキシ基、Rはハイドロカーボン基、Yは加水分解可能な有機基を表し、nは0〜2の整数である。〕
  5. 成分(d)のシラノール縮合触媒は、ジブチル錫ジラウリレート又はジオクチル錫ジラウリレートであることを特徴する請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空成形用樹脂組成物。
  6. 下記の特性(1)〜(4)を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空成形用樹脂組成物。
    特性(1):架橋前の密度が0.910〜0.970g/cmである。
    特性(2):架橋前の190℃、21.6kg荷重におけるメルトフローレートが0.001〜50g/10分である。
    特性(3):架橋後のオルゼン曲げ剛性が700MPa以上である。
    特性(4):架橋後のゲル分率が5%以上である。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の中空成形用樹脂組成物を最外層に使用したことを特徴とする多層中空成形品。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の中空成形用樹脂組成物を最内層に使用したことを特徴とする多層中空成形品。
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