JP2004299737A - 多層プラスチック容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な多層プラスチック容器を提供する。
【解決手段】本発明は、外層が0〜30重量%の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする多層プラスチック容器に関する。無機フィラーとしては炭酸カルシウムやタルクを用いることができる。該容器は、従来の容器と同等の機能特性を有すると共に、低温における耐落下強度が向上しており、特に農薬用容器として適する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、外層が0〜30重量%の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする多層プラスチック容器に関する。無機フィラーとしては炭酸カルシウムやタルクを用いることができる。該容器は、従来の容器と同等の機能特性を有すると共に、低温における耐落下強度が向上しており、特に農薬用容器として適する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温時の耐落下強度が優れた多層プラスチック容器、特に農薬用多層プラスチック容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び課題】
高密度ポリエチレンは、プラスチック容器の材質として、優れた特性を有するため広く用いられているが、ガスバリアー性が不十分である。そのため、内容物として有機溶剤を含有する場合は、内層にガスバリアー性の高い材質(エバール、ナイロン等)を配した、多層容器を用いている。
【0003】
多層容器の外層は直接内容物に触れないので、ガスバリアー性はさほど重要ではない。高密度ポリエチレンに炭酸カルシウムなどの無機フィラーを入れると、ガスバリアー性は多少低下するが、焼却時の処理が容易になる等の材料特性が得られる。また、使用済みの容器を処分するために野焼きを行う場合が多く、良好な焼却性は容器に求められる必須特性とされてきた。そのため、従来から多層容器の外層には、炭酸カルシウム、タルク等の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレンが用いられてきた(非特許文献1参照。)。そして、無機フィラーが炭酸カルシウムの場合、その含有量が40重量%以上のものが用いられてきた。
【0004】
【非特許文献1】
日本農薬学会農薬製剤・施用法研究会編、「農薬製剤ガイド」、社団法人日本植物防疫協会、平成9年10月30日、p.225 下から1行目〜p.226 4行目
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、外層に炭酸カルシウムを40重量%以上含有する高密度ポリエチレンを用いる従来の多層プラスチック容器が、低温において著しく硬化して、脆くなるという欠点があることを見出した。例えば、低温条件下で、0.8m以上の高さから落下させると、衝撃に耐えられずボトルが破損する場合があり、消防法、毒物及び劇物取締法に定められたポリ容器落下試験(−18℃)の一部または全てに不合格となる場合があることを見出した。
【0006】
そこで、低温における耐落下強度を改善すべく鋭意検討した結果、炭酸カルシウムを30重量%以下の割合で含有する高密度ポリエチレンを外層に用いれば、従来の容器と同等の機能特性を有すると共に、低温における耐落下強度が向上することを見出した。
【0007】
即ち、本発明は以下の〔1〕〜〔9〕に関するものである。
【0008】
〔1〕外層が0〜30重量%の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
【0009】
〔2〕外層が無機フィラーを含有しない高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
【0010】
〔3〕外層が5〜30重量%の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
【0011】
〔4〕無機フィラーが炭酸カルシウムであることを特徴とする、上記〔1〕ないし〔3〕に記載の多層プラスチック容器。
【0012】
〔5〕内層がエバール樹脂であることを特徴とする、上記〔1〕ないし〔4〕に記載の多層プラスチック容器。
【0013】
〔6〕内層がナイロン樹脂であることを特徴とする、上記〔1〕ないし〔4〕に記載の多層プラスチック容器。
【0014】
〔7〕接着層がアドマー樹脂であることを特徴とする、上記〔5〕または〔6〕に記載の多層プラスチック容器。
【0015】
〔8〕容器の内容積V(ml)と重量W(g)の関係が、0.06V+10≦W≦0.084V+12である、上記〔1〕ないし〔7〕に記載の多層プラスチック容器。
【0016】
〔9〕農薬用であることを特徴とする、上記〔1〕ないし〔8〕に記載の、多層プラスチック容器。
【0017】
なお、外層中の無機フィラーの含有量を減量した本発明の多層プラスチック容器は、外層中に無機フィラー、特に炭酸カルシウムを40重量%以上含有する従来容器に比べて、焼却性は低下する。しかしながら、従来は使用済みの容器を処分するために野焼きを行う場合が多く良好な焼却性が求められていたのであるが、今後は環境への悪影響に配慮して専用の焼却設備で焼却処分する場合が多くなると予想される。従って、将来的には良好な焼却性は容器に求められる必須特性ではなくなると予想される。
【0018】
【発明の実施の形態】
多層プラスチック容器の外層に含有される無機フィラーの量は、低温における実用的な耐落下強度を得るため、含有させる無機フィラーを含めた外層総重量に対して0〜30重量%でなければならないが、より強度を高める点から0〜20重量%であることが望まれる。
【0019】
また、無機フィラーを含有しない高密度ポリエチレンを外層に用いれば、従来の容器と同等の機能特性を有すると共に、低温における耐落下強度が大幅に向上する。
【0020】
さらに、容器内容積と容器重量の関係を最適化することで、低温における耐落下強度を格段に向上させることが可能となり、消防法、毒物及び劇物取締法に定められたポリ容器落下試験(−18℃)を遵守することができる、多層プラスチック容器を得ることが可能であることを見出した。即ち、その関係は、容器の内容積をV(ml)、容器の重量をW(g)とすると、0.06V+10≦Wであり、より望ましくは、0.06V+10≦W≦0.084V+12であり、さらに望ましくは0.06V+10≦W≦0.08V+10である。
【0021】
なお、容器の内容積とは、内容物の容量表示値、即ち有効容積のことを示すものである。
【0022】
たとえば、内容積が500ml(満水容積555±12ml)の容器の場合、所定の製品性能を得るためには、容器の重量は40g以上であることが望ましい。より望ましくは40g以上54g以下、さらに望ましくは40g以上50g以下である。
【0023】
内容積が2000ml(満水容積2197±50ml)の容器の場合、所定の製品性能を得るためには、容器の重量は130g以上であることが望ましい。より望ましくは130g以上180g以下、さらに望ましくは130g以上170g以下である。
【0024】
本発明の無機フィラーとしては、特に限定されるものではないが、炭酸カルシウム及びタルク等が挙げられる。
【0025】
なお、ブロー成型に用いる金型の材質に依っては、無機フィラー含有量により冷却速度に違いが生じるため、容器の外観特性(特に肌荒れ)に問題が発生する場合があることが判明した。検討の結果、外層の高密度ポリエチレン中の無機フィラー含有量が5〜30重量%であれば、金型の材質に依らず外観特性の良好な容器を製造することが可能であることを見出した。
【0026】
本発明の多層プラスチック容器は、ブロー成形等、通常行われる容器成形方法で製作することができる。
【0027】
また、外層に用いる高密度ポリエチレン樹脂、外層に混合する無機フィラーとして用いる炭酸カルシウムやタルク、内層に用いるエバール樹脂やナイロン樹脂、接着層として用いるアドマー樹脂は、一般に容器用に使用されているものを用いることができる。
【0028】
本発明の多層プラスチック容器は、その用途は特に限定されないが、容器の耐落下強度が優れているため、可燃性の有機溶剤を含有したり有効成分が毒物又は劇物に相当したりする場合がある農薬用、特に乳剤、液剤、懸濁剤、乳濁剤又は乳懸濁剤用の容器として適している。
【0029】
【実施例】
1.低温落下試験
(1)500ml多層容器
〔実施例1〕
下記の500ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを含有しない高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:エバール樹脂
ボトル重量:45g
【0030】
〔比較例1〕
下記の500ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを40重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:エバール樹脂
ボトル重量:55g
【0031】
〔試験例1〕
毒物及び劇物取締法に定められたポリ容器落下試験(−18℃)に定められた方法に従い、容器に不凍液を入れ、流通する荷姿(箱詰)とし、−18℃に冷却して、高さ1.8mから落下させた。
【0032】
結果を以下にしめす。
実施例1:容器は破損せず、変形もなかった。
比較例1:容器が破損し、内容物が漏洩した。
【0033】
(2)2000ml多層容器
〔実施例2〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
【0034】
外層:炭酸カルシウムを含有しない高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:150g
【0035】
〔実施例3〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを10重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:163g
【0036】
〔実施例4〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを20重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:164g
【0037】
〔実施例5〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを30重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:165g
【0038】
〔比較例2〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを40重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:165g
【0039】
〔試験例2〕
毒物及び劇物取締法に定められたポリ容器落下試験(−18℃)に定められた方法に従い、容器に不凍液を入れ、流通する荷姿(箱詰)とし、−18℃に冷却して、高さ0.8mから落下させた。
【0040】
結果を以下に示す。
実施例2:容器は破損せず、変形もなかった。
実施例3:容器は破損せず、変形もなかった。
実施例4:容器は破損せず、変形もなかった。
実施例5:容器は破損せず、わずかに変形が認められた。
比較例2:容器が破損し、内容物が漏洩した。
【0041】
2.機能特性試験
前記の低温落下試験に用いた容器全てについて、機能特性試験を実施した。
【0042】
〔試験例3〕
(1)液漏れ
着色常温水を内容積と等量充填し、本体に締め付けトルク25kg・cmでキャップをセットし、−600mmHgに減圧し、15分間放置後、液漏れの有無を目視で確認する。液漏れがなければ合格とする。
(2)挫屈強度(空瓶)
空容器に100mm/分の速度で垂直に加重を加え、歪量5mmの時点で加重を測定し、25kg以上を合格とする。
(3)挫屈強度(実瓶)
常温水を内容積と等量充填し、100mm/分の速度で垂直に加重を加え、歪量5mmの時点で加重を測定し、50kg以上を合格とする。
(4)落下強度
常温水を内容積と等量充填し、本体に締め付けトルク25kg・cmでキャップをセットし、1.2mの高さから5回正落下(衝撃面金属)させて、液漏れ、破損の有無を目視で確認する。液漏れ及び破損がなければ合格とする。
【0043】
結果を以下に示す。
実施例1:機能特性試験の全ての項目に合格した。
比較例1:機能特性試験の全ての項目に合格した。
実施例2:機能特性試験の全ての項目に合格した。
実施例3:機能特性試験の全ての項目に合格した。
実施例4:機能特性試験の全ての項目に合格した。
実施例5:機能特性試験の全ての項目に合格した。
比較例2:機能特性試験の全ての項目に合格した。
【0044】
3.外観特性評価
前記の低温落下試験に用いた容器全てについて、外観特性評価を実施した。
【0045】
〔試験例4〕
すわり、変形、色調、肌、キズ、口部バリ、生地ゴミ の各項目について、目視で問題の有無を確認した。
【0046】
結果を以下に示す。
実施例1:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
比較例1:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
実施例2:肌荒れが認められた。他の項目は問題なかった。
実施例3:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
実施例4:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
実施例5:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
比較例2:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の多層プラスチック容器は、従来の容器と同等の機能特性を有すると共に、低温における耐落下強度が向上する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温時の耐落下強度が優れた多層プラスチック容器、特に農薬用多層プラスチック容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び課題】
高密度ポリエチレンは、プラスチック容器の材質として、優れた特性を有するため広く用いられているが、ガスバリアー性が不十分である。そのため、内容物として有機溶剤を含有する場合は、内層にガスバリアー性の高い材質(エバール、ナイロン等)を配した、多層容器を用いている。
【0003】
多層容器の外層は直接内容物に触れないので、ガスバリアー性はさほど重要ではない。高密度ポリエチレンに炭酸カルシウムなどの無機フィラーを入れると、ガスバリアー性は多少低下するが、焼却時の処理が容易になる等の材料特性が得られる。また、使用済みの容器を処分するために野焼きを行う場合が多く、良好な焼却性は容器に求められる必須特性とされてきた。そのため、従来から多層容器の外層には、炭酸カルシウム、タルク等の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレンが用いられてきた(非特許文献1参照。)。そして、無機フィラーが炭酸カルシウムの場合、その含有量が40重量%以上のものが用いられてきた。
【0004】
【非特許文献1】
日本農薬学会農薬製剤・施用法研究会編、「農薬製剤ガイド」、社団法人日本植物防疫協会、平成9年10月30日、p.225 下から1行目〜p.226 4行目
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、外層に炭酸カルシウムを40重量%以上含有する高密度ポリエチレンを用いる従来の多層プラスチック容器が、低温において著しく硬化して、脆くなるという欠点があることを見出した。例えば、低温条件下で、0.8m以上の高さから落下させると、衝撃に耐えられずボトルが破損する場合があり、消防法、毒物及び劇物取締法に定められたポリ容器落下試験(−18℃)の一部または全てに不合格となる場合があることを見出した。
【0006】
そこで、低温における耐落下強度を改善すべく鋭意検討した結果、炭酸カルシウムを30重量%以下の割合で含有する高密度ポリエチレンを外層に用いれば、従来の容器と同等の機能特性を有すると共に、低温における耐落下強度が向上することを見出した。
【0007】
即ち、本発明は以下の〔1〕〜〔9〕に関するものである。
【0008】
〔1〕外層が0〜30重量%の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
【0009】
〔2〕外層が無機フィラーを含有しない高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
【0010】
〔3〕外層が5〜30重量%の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
【0011】
〔4〕無機フィラーが炭酸カルシウムであることを特徴とする、上記〔1〕ないし〔3〕に記載の多層プラスチック容器。
【0012】
〔5〕内層がエバール樹脂であることを特徴とする、上記〔1〕ないし〔4〕に記載の多層プラスチック容器。
【0013】
〔6〕内層がナイロン樹脂であることを特徴とする、上記〔1〕ないし〔4〕に記載の多層プラスチック容器。
【0014】
〔7〕接着層がアドマー樹脂であることを特徴とする、上記〔5〕または〔6〕に記載の多層プラスチック容器。
【0015】
〔8〕容器の内容積V(ml)と重量W(g)の関係が、0.06V+10≦W≦0.084V+12である、上記〔1〕ないし〔7〕に記載の多層プラスチック容器。
【0016】
〔9〕農薬用であることを特徴とする、上記〔1〕ないし〔8〕に記載の、多層プラスチック容器。
【0017】
なお、外層中の無機フィラーの含有量を減量した本発明の多層プラスチック容器は、外層中に無機フィラー、特に炭酸カルシウムを40重量%以上含有する従来容器に比べて、焼却性は低下する。しかしながら、従来は使用済みの容器を処分するために野焼きを行う場合が多く良好な焼却性が求められていたのであるが、今後は環境への悪影響に配慮して専用の焼却設備で焼却処分する場合が多くなると予想される。従って、将来的には良好な焼却性は容器に求められる必須特性ではなくなると予想される。
【0018】
【発明の実施の形態】
多層プラスチック容器の外層に含有される無機フィラーの量は、低温における実用的な耐落下強度を得るため、含有させる無機フィラーを含めた外層総重量に対して0〜30重量%でなければならないが、より強度を高める点から0〜20重量%であることが望まれる。
【0019】
また、無機フィラーを含有しない高密度ポリエチレンを外層に用いれば、従来の容器と同等の機能特性を有すると共に、低温における耐落下強度が大幅に向上する。
【0020】
さらに、容器内容積と容器重量の関係を最適化することで、低温における耐落下強度を格段に向上させることが可能となり、消防法、毒物及び劇物取締法に定められたポリ容器落下試験(−18℃)を遵守することができる、多層プラスチック容器を得ることが可能であることを見出した。即ち、その関係は、容器の内容積をV(ml)、容器の重量をW(g)とすると、0.06V+10≦Wであり、より望ましくは、0.06V+10≦W≦0.084V+12であり、さらに望ましくは0.06V+10≦W≦0.08V+10である。
【0021】
なお、容器の内容積とは、内容物の容量表示値、即ち有効容積のことを示すものである。
【0022】
たとえば、内容積が500ml(満水容積555±12ml)の容器の場合、所定の製品性能を得るためには、容器の重量は40g以上であることが望ましい。より望ましくは40g以上54g以下、さらに望ましくは40g以上50g以下である。
【0023】
内容積が2000ml(満水容積2197±50ml)の容器の場合、所定の製品性能を得るためには、容器の重量は130g以上であることが望ましい。より望ましくは130g以上180g以下、さらに望ましくは130g以上170g以下である。
【0024】
本発明の無機フィラーとしては、特に限定されるものではないが、炭酸カルシウム及びタルク等が挙げられる。
【0025】
なお、ブロー成型に用いる金型の材質に依っては、無機フィラー含有量により冷却速度に違いが生じるため、容器の外観特性(特に肌荒れ)に問題が発生する場合があることが判明した。検討の結果、外層の高密度ポリエチレン中の無機フィラー含有量が5〜30重量%であれば、金型の材質に依らず外観特性の良好な容器を製造することが可能であることを見出した。
【0026】
本発明の多層プラスチック容器は、ブロー成形等、通常行われる容器成形方法で製作することができる。
【0027】
また、外層に用いる高密度ポリエチレン樹脂、外層に混合する無機フィラーとして用いる炭酸カルシウムやタルク、内層に用いるエバール樹脂やナイロン樹脂、接着層として用いるアドマー樹脂は、一般に容器用に使用されているものを用いることができる。
【0028】
本発明の多層プラスチック容器は、その用途は特に限定されないが、容器の耐落下強度が優れているため、可燃性の有機溶剤を含有したり有効成分が毒物又は劇物に相当したりする場合がある農薬用、特に乳剤、液剤、懸濁剤、乳濁剤又は乳懸濁剤用の容器として適している。
【0029】
【実施例】
1.低温落下試験
(1)500ml多層容器
〔実施例1〕
下記の500ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを含有しない高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:エバール樹脂
ボトル重量:45g
【0030】
〔比較例1〕
下記の500ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを40重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:エバール樹脂
ボトル重量:55g
【0031】
〔試験例1〕
毒物及び劇物取締法に定められたポリ容器落下試験(−18℃)に定められた方法に従い、容器に不凍液を入れ、流通する荷姿(箱詰)とし、−18℃に冷却して、高さ1.8mから落下させた。
【0032】
結果を以下にしめす。
実施例1:容器は破損せず、変形もなかった。
比較例1:容器が破損し、内容物が漏洩した。
【0033】
(2)2000ml多層容器
〔実施例2〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
【0034】
外層:炭酸カルシウムを含有しない高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:150g
【0035】
〔実施例3〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを10重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:163g
【0036】
〔実施例4〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを20重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:164g
【0037】
〔実施例5〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを30重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:165g
【0038】
〔比較例2〕
下記の2000ml多層プラスチック容器をブロー成型により製造した。
外層:炭酸カルシウムを40重量%含有する高密度ポリエチレン
接着層:アドマー樹脂
内層:ナイロン樹脂
ボトル重量:165g
【0039】
〔試験例2〕
毒物及び劇物取締法に定められたポリ容器落下試験(−18℃)に定められた方法に従い、容器に不凍液を入れ、流通する荷姿(箱詰)とし、−18℃に冷却して、高さ0.8mから落下させた。
【0040】
結果を以下に示す。
実施例2:容器は破損せず、変形もなかった。
実施例3:容器は破損せず、変形もなかった。
実施例4:容器は破損せず、変形もなかった。
実施例5:容器は破損せず、わずかに変形が認められた。
比較例2:容器が破損し、内容物が漏洩した。
【0041】
2.機能特性試験
前記の低温落下試験に用いた容器全てについて、機能特性試験を実施した。
【0042】
〔試験例3〕
(1)液漏れ
着色常温水を内容積と等量充填し、本体に締め付けトルク25kg・cmでキャップをセットし、−600mmHgに減圧し、15分間放置後、液漏れの有無を目視で確認する。液漏れがなければ合格とする。
(2)挫屈強度(空瓶)
空容器に100mm/分の速度で垂直に加重を加え、歪量5mmの時点で加重を測定し、25kg以上を合格とする。
(3)挫屈強度(実瓶)
常温水を内容積と等量充填し、100mm/分の速度で垂直に加重を加え、歪量5mmの時点で加重を測定し、50kg以上を合格とする。
(4)落下強度
常温水を内容積と等量充填し、本体に締め付けトルク25kg・cmでキャップをセットし、1.2mの高さから5回正落下(衝撃面金属)させて、液漏れ、破損の有無を目視で確認する。液漏れ及び破損がなければ合格とする。
【0043】
結果を以下に示す。
実施例1:機能特性試験の全ての項目に合格した。
比較例1:機能特性試験の全ての項目に合格した。
実施例2:機能特性試験の全ての項目に合格した。
実施例3:機能特性試験の全ての項目に合格した。
実施例4:機能特性試験の全ての項目に合格した。
実施例5:機能特性試験の全ての項目に合格した。
比較例2:機能特性試験の全ての項目に合格した。
【0044】
3.外観特性評価
前記の低温落下試験に用いた容器全てについて、外観特性評価を実施した。
【0045】
〔試験例4〕
すわり、変形、色調、肌、キズ、口部バリ、生地ゴミ の各項目について、目視で問題の有無を確認した。
【0046】
結果を以下に示す。
実施例1:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
比較例1:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
実施例2:肌荒れが認められた。他の項目は問題なかった。
実施例3:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
実施例4:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
実施例5:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
比較例2:外観特性評価の全ての項目において、問題なかった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の多層プラスチック容器は、従来の容器と同等の機能特性を有すると共に、低温における耐落下強度が向上する。
Claims (9)
- 外層が0〜30重量%の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
- 外層が無機フィラーを含有しない高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
- 外層が5〜30重量%の無機フィラーを含有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、多層プラスチック容器。
- 無機フィラーが炭酸カルシウムであることを特徴とする、請求項1ないし3に記載の多層プラスチック容器。
- 内層がエバール樹脂であることを特徴とする、請求項1ないし4に記載の多層プラスチック容器。
- 内層がナイロン樹脂であることを特徴とする、請求項1ないし4に記載の多層プラスチック容器。
- 接着層がアドマー樹脂であることを特徴とする、請求項5または6に記載の多層プラスチック容器。
- 容器の内容積V(ml)と重量W(g)の関係が、0.06V+10≦W≦ 0.084V+12である、請求項1ないし7に記載の多層プラスチック容器。
- 農薬用であることを特徴とする、請求項1ないし8に記載の、多層プラスチック容器。
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