上記特許文献1〜3に記載の技術では、文字や線などの画像や均一なハーフトーン濃度の画像においては良好であるが、千鳥状に配置されたイメージセンサに位置ズレがあった場合や網点で構成された画像の場合には重なり部分の濃度が低下したり、かすれが生じたりしてしまう場合があった。また、カラーの画像データに対しては実際の原稿にはない色ができてしまう場合があった。
そこで以下に説明を行う実施の形態では、繋ぎ目補正処理を行う場合に、文字やハーフトーン濃度の画像と網点部分とで処理を分けて、濃度の低下やかすれを防止し、より原稿に忠実な色を再現することができる画像読取装置、画像形成装置および画像データ処理プログラムを提供するようにした。
実施の形態の画像データ補正方法は、隣接するイメージセンサの読み取り部分を所定の画素数だけ主走査方向に千鳥状に重ねて配置した読み取り手段と、前記各イメージセンサの重なり部分の画像データを取得する取得手段と、前記重ねて配置した部分を補正し繋げる繋ぎ目補正処理手段とを備え、前記各手段によって繋ぎ目の画像データを補正する画像データ補正方法であって、前記イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じて前記取得した画像データに補正係数を乗算して予想画素の値を算出する第1の工程と、前記第1の工程によって得られた補正画像データに対して、隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算する第2の工程と、前記第1の工程および前記第2の工程によって得られた補正画像データを加算して重なり部分の画像データを生成する第3の工程と、読み取り手段によって読み取った画像データがカラーであるかモノクロであるかを判定する第4の工程とを備える。
上記イメージセンサとしては、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)が挙げられる。
上記構成によれば、イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じて、取得した画像データに補正係数を乗算して予想画素の値を算出し、得られた補正画像データに対して、隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算し、得られた補正画像データを加算して重なり部分の画像データを生成することにより、補正の精度が向上するので、重なり部分の画像データにおける、上記イメージセンサの位置ズレによる影響が緩和される。また、読み取り手段によって読み取った画像データがカラーであるかモノクロであるかを判定することにより、データが適切に処理される。
また前記画像データ補正方法では、前記第1の工程および第2の工程での処理結果により画像データの色見に変化があった場合に色補正を行う第5の工程(色補正)を備えるようにしてもよい。その結果、第1の工程および第2の工程での処理結果により画像データの色見に変化があった場合に色補正を行うことにより、処理後の画像の忠実度が向上する。
更に画像データに対してシェーディングを行う第6工程と、前記第1の工程および第2の工程および前記第6の工程での処理結果により画像データの色見に変化があった場合に色補正を行う第7の工程(色補正)を備えるようにしてもよい。その結果処理後の画像の忠実度が向上する。
更に取得した画像データが網点か否かを判定する第8の工程と、前記第8の工程で網点であると判定された画像データについては前記第1の工程および前記第2の工程を行わず前記第3の工程を実行することを選択できるようにしてもよい。
また前記第4の工程のカラーモノクロ判定により、モノクロであると判定した場合は色補正を行わないことを選択できるようにしてもよい。
また前記第4の工程のカラーモノクロ判定により、モノクロであると判定した場合は色補正により濃度調整が可能となるようにしてもよい。
また実施の形態の画像読取装置は、隣接するイメージセンサの読み取り部分を所定の画素数だけ主走査方向に千鳥状に重ねて配置した読み取り手段と、前記各イメージセンサの重なり部分の画像データを取得する取得手段と、前記重ねて配置した部分を繋げる繋ぎ目補正処理手段とを備えた画像読取装置であって、前記繋ぎ目補正処理手段は、前記イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じて前記取得した画像データに補正係数を乗算して予想画素の値を算出する第1の補正手段と、前記第1の補正手段によって得られた補正画像データに対して、隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算して補正する第2の補正手段と、前記第1の補正手段および前記第2の補正手段によって得られた補正画像データに基づいて重なり部分の画像データを生成する生成手段を備え、前記読み取り手段によって読み取った画像データがカラーであるかモノクロであるかを判定する。
上記画像読取装置では、イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じて取得した画像データに補正係数を乗算して予想画素の値を算出し、得られた補正画像データに対して、隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算し、得られた補正画像データを加算して重なり部分の画像データを生成することにより、補正の精度が向上するので、重なり部分の画像データにおける、イメージセンサの位置ズレによる影響が緩和される。また、読み取り手段によって読み取った画像データがカラーであるかモノクロであるかを判定することにより、データが適切に処理される。
また前記第1および第2の補正手段での処理結果により画像データの色見に変化があった場合に色補正を行うようにしてもよい。その結果処理後の画像の忠実度が向上する。
また画像データに対するシェーディング補正と、前記第1および第2の補正手段での処理結果により、画像データの色見に変化があった場合に色補正を行うようにしてもよい。その結果処理後の画像の忠実度が向上する。
また前記補正係数を前記ズレの大きさに応じて選択できるようにしてもよい。
また前記補正係数が複数の中から選択できるようにしてもよい。
また前記重み付け係数が複数の中から選択できるようにしてもよい。
また重なり部分の画像データが網点画像であるか非網点画像であるかを認識する網点検出手段を備え、網点画像である場合はライン毎に前記繋ぎ目補正処理を行うラインと行わないラインとを組み合わせるようにしてもよい。
なお「ライン」とは、主走査方向に並んで延在する画素のラインを意味する。ラインが副走査方向に順次並べられることにより、画素が2次元に配列され、2次元の画像が表現される。
また重なり部分の画像データが網点画像であるか非網点画像であるかを判定する網点判定領域を設定する網点注目領域設定手段を備え、当該設定された注目領域で網点であると判定されたときには、ライン毎に繋ぎ目補正処理を行うラインと行わないラインとを組み合わせるようにしてもよい。
また前記繋ぎ目補正処理を行うライン数と行わないライン数とを任意に設定する設定手段を備えるようにしてもよい。
またライン毎に網点判定を行い、網点画像のラインでは繋ぎ目補正処理を行わず、非網点画像のラインについて繋ぎ目補正処理を行うようにしてもよい。
また網点画像である場合に重なり部分に行う繋ぎ目補正処理を行う画素数を少なくする手段を備えるようにしてもよい。
また実施の形態として、上記画像読取装置を備えた画像形成装置も含まれる。
また実施の形態として、隣接するイメージセンサの読み取り部分を所定の画素数だけ主走査方向に千鳥状に重ねて配置した読み取り手段と、前記各イメージセンサの重なり部分の画像データを取得する取得手段とを有する画像読取装置において、前記重ねて配置した部分を補正し繋げる繋ぎ目補正処理手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、コンピュータに、繋ぎ目の画像データを補正する処理を実行させるプログラムが含まれる。ここで前記繋ぎ目補正処理手段は、前記イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じて前記取得した画像データに補正係数を乗算して予想画素の値を算出する処理、当該処理で得られた補正画像データに対して、隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算する処理、補正画像データを加算して重なり部分の画像データを生成する処理、前記読み取り手段によって読み取った画像データがカラーであるかモノクロであるかを判定する処理を実行する手段である。
当該プログラムによれば、イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じて取得した画像データに補正係数を乗算して予想画素の値を算出し、得られた補正画像データに対して、隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算し、得られた補正画像データを加算して重なり部分の画像データを生成することにより、補正の精度が向上するので、重なり部分の画像データにおける、イメージセンサの位置ズレによる影響が緩和される。また、読み取り手段によって読み取った画像データがカラーであるかモノクロであるかを判定することにより、データが適切に処理される。
実施の形態として、当該プログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記録媒体も含まれる。
これらの実施の形態によれば、イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じて取得した画像データに補正係数を乗算して予想画素の値を算出し、得られた補正画像データに対して、隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算し、得られた補正画像データを加算して重なり部分の画像データを生成することにより、補正の精度が向上するので、重なり部分の画像データにおける、イメージセンサの位置ズレによる影響が緩和される。また、読み取り手段によって読み取った画像データがカラーであるかモノクロであるかを判定することにより、画像データが適切に処理される。
なお以下に図とともに詳細に述べる実施の形態では、上記読み取り手段は第1、第2及び第3のイメージセンサCIS151,152,153に対応し、上記取得手段は第1のA/D変換器〜第3のA/D変換器101〜103並びに第1および第2のメモリ11,112に対応し、上記カラー/モノクロ判定手段はカラー/モノクロ判定部202に対応する。
また上記繋ぎ目補正処理手段は繋ぎ目補正処理回路200に対応し、上記第1の補正手段は3次関数コンボリューション部230,231,232に対応し、上記第2の補正手段は重み付け係数部210,211,212及び乗算回路220,221,222に対応し、上記生成手段は加算回路250に対応する。
また上記網点検出手段および網点注目領域設定手段は網点検出回路201に対応し、上記繋ぎ目補正処理を行うライン数と行わないライン数とを任意に設定する手段はセレクタ245,246,247,248に対応し、上記画素数を少なくする手段はセレクタ245,246,247,248に対応し、上記画像読取装置は画像読取装置100に対応し、画像形成装置は複写機本体500にそれぞれ対応する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る画像読取装置を示したブロック図である。
この画像読取装置100は、第1イメージセンサ〜第3のイメージセンサCIS151,152,153(すなわち密着型イメージセンサ:Contact Image Sensor)、第1のA/D〜第3のA/D(すなわちアナログ/デジタル)変換器101,102,103、第1のメモリおよび第2のメモリ111,112、ライン合成処理部120を有する。
この画像読取装置100では、第1のイメージセンサ〜第3のイメージセンサCIS151,152,153を、それぞれ隣り合うセンサと主走査方向に所定画素重なって読み取るように配置してある。また、第2のイメージセンサCIS152が副走査方向について上流側(図1において上側)に、第1のイメージセンサCIS151および第3のイメージセンサCIS153が下流側(この場合下側)に所定の間隔をもって千鳥状に配置されている。
第1のイメージセンサCIS151から出力される画像データは第1のA/D変換器101によってデジタル信号に変換され、ライン合成処理部120に入力される。第2および第3のイメージセンサCIS152,153から出力される画像データは、第2および第3のA/D変換器102,103によってデジタル信号に変換され、副走査方向のタイミング合わせのための遅延を行うために第1および第2のメモリ111,112にそれぞれ一時的に蓄積され、その後、タイミングを合わせてライン合成処理部120に転送される。
なお、第1のイメージセンサCIS151は副走査方向の最下流側に位置し、遅延の必要がないことから、第1のイメージセンサCIS151から出力される画像データはメモリには蓄積されず直接ライン合成処理部120に転送される。
一方、第3のイメージセンサCIS153は調整容易化のため、第1のイメージセンサCIS151に対し数ライン上流側に配置されていることから、第3のイメージセンサCIS153から出力される画像データは第2のメモリ112に蓄積される。
第1のイメージセンサ〜第3のイメージセンサCIS151,152,153で得られ必要に応じ所望のライン分遅延された画像データは、前述のようにライン合成処理部120に送られる。ここで、重なり部分の補正処理を経た画像データ、並びに同画像データと並列に転送されてきた第1のイメージセンサ〜第3の各イメージセンサCIS151,152,153からの画像データに対し、1ライン化処理回路123で1ライン化処理が行われ、当該1ライン化処理後の画像データは後段に渡される。
図2は、図1に示した画像読取装置に用いられるライン合成処理部120の詳細を示すブロック図である。
図2に示すようにライン合成処理部120は、繋ぎ目補正処理回路200および網点検出回路201、カラー/モノクロ判定部202を有する。
まずカラー/モノクロ判定部202でカラー画像かモノクロ画像かの判定がなされた画像データは繋ぎ目補正処理回路200に転送される。繋ぎ目補正処理回路200は第1の3次関数コンボリューション部〜第3の3次関数コンボリューション部230,231,232、第1の重み付け係数部〜第3の重み付け係数部210,211,212、第1の乗算回路〜第3の乗算回路220,221,222、第1のセレクタ〜第3のセレクタ240,241,242、および加算回路250を有する。
ここでは第1の3次関数コンボリューション部230、第1の乗算回路220および第1のセレクタ240が直列に接続され、第1のセレクタ240には、前記第1の乗算回路220からの入力の他に前記第1の3次関数コンボリューション部230および第1の乗算回路220を迂回された画像データが入力される。従って、第1のセレクタ240は第1の乗算回路220からの画像データとこれらを迂回された画像データのいずれかを選択する。
また、第1の乗算回路220にはさらに重み付け係数部210からの重み付け係数と、第1の3次関数コンボリューション部230を迂回された画像データとが入力される。このような回路が第2および第3の3次関数コンボリューション部231,232側にも並列に接続され、それぞれ第1〜第3のイメージセンサCIS151〜153の重なり部分の画像データD1,D2,D3が入力される。
第1のセレクタ〜第3のセレクタ240,241,242の後段には加算回路250が設けられ、前記各セレクタ240,241,242からの画像データが入力され、加算処理が行われた後、色補正部125で色補正処理が行われた後、繋ぎ目補正処理後の画像データとして出力される。
また、繋ぎ目補正処理回路200とは別に設けられた前記網点検出回路201には、第1のイメージセンサ〜第3のイメージセンサCIS151〜3の重なり部分の画像データD1,D2,D3が入力され、網点領域の画像データか非網点(すなわち文字等)領域の画像データかが判断され、その判断結果に基づいてセレクタ240,241,242によって選択される画像データが決定される。
本実施の形態では、非網点(文字)領域であると判断されたときは"0"、網点領域であると判断されたときは"1"がそれぞれ網点検出回路201から出力される。非網点領域の画像データは上記3次関数コンボリューション部で処理され、網点領域の画像データは3次関数コンボリューション部での処理が省略されるようにすることができる。網点領域の画像データの場合には、入力された画像データがそのまま出力されるようにすることができる。
ただし、例えばいわゆるベタ画像の画像データの場合、上記3次関数コンボリューション部による処理を必要としないことから、第1の3次関数コンボリューション部230を迂回されたベタ画像の画像データが第1の乗算回路220に入力され、乗算回路220で乗算処理が実行されるようにすることができる。
なお、画像データが網点領域のものか非網点領域のものかを検出する技術は公知技術であり、種々の方法が知られているので、ここでは特に説明しないが、例えば、後述の実施の形態2における図22〜図25を参照して説明するような処理によって網点の検出を行うことにより、画像データが網点領域のものか非網点領域のものかを検出することができる。
このように構成されたライン合成処理部120では、第1のイメージセンサCIS151〜第3のイメージセンサCIS153が主走査方向において相互に重なっている部分(すなわち上記「重なり部分」であり、「繋ぎ目部分」である、以下同様)の画像データD1,D2,D3が、まずカラー/モノクロ判定部202に入力されカラー画像のものかモノクロ画像のものかの判定がなされ、繋ぎ目補正処理回路200に同時に入力され、網点検出回路201からの結果A(非網点領域のものか網点領域のものかを示す結果)により決定された経路を通って、前記繋ぎ目補正処理回路200による補正処理後の画像データとして出力される。
ただし、カラー画像のものかモノクロ画像ものもかの判定は図1に示される操作部115からの設定によるものとすることも可能であり、操作部115から同上の設定がなされていれば、画像データはカラー/モノクロ判定部202を通らない経路を通るようにすることができる。
また、カラー/モノクロ判定部202の判定結果は色補正部125に送信され、当該判定結果により、後述するように、色補正部125での処理が決定される。網点検出回路201からの結果Aが文字(非網点領域のもの)(0)の場合には繋ぎ目補正処理回路200による補正処理がなされ、網点検出回路201からの結果Aが網点領域のもの(1)の場合には、繋ぎ目補正処理回路200による処理が省略されるようにすることができる。
なお、第1の3次関数コンボリューション部230〜第3の3次関数コンボリューション部232、第1の重み付け係数210〜第3の重み付け係数212の詳細は後述する。
このように実施の形態1では、画像データが文字画像(すなわち非網点領域のもの)であった場合、上記重なり部分につき、3次関数コンボリューション部230〜232を用いて予想画素の値が算出されて主走査方向の位置ズレに対する補正処理がなされる。当該補正処理については後述する。次に当該補正処理後の画像データD1,D2,D3に対し、重み付け係数部210,211,212で任意の重み付け係数が選択され、第1の乗算回路220〜第3の乗算回路222でそれぞれ画像データに乗算される。その後加算回路250にて、このようにして補正処理および重み付け係数が乗算された重なり部分の画像データD1〜D3が相互に加算される。当該加算の詳細については後述する。一方、画像データが網点領域のものであった場合、3次関数コンボリューション部230〜232および乗算回路220〜222によるそれぞれの処理が省略され、重なり部分の画像データD1〜D3は加算回路250に直接送信され、加算回路250で相互に加算されるようにすることができる。当該加算の詳細については後述する。
図3は、上記3次関数コンボリューション部230〜232によってなされる、3次関数コンポリューション法による予想画素の値の算出、すなわち階調計算についての説明図であり、図4は、画素間距離と補正係数との関係を示す図であり、図5は、補正係数のテーブルを示す図である。
図4において、横軸は距離を示し、縦軸は補正係数を示す。
以下、これらの図3〜5を参照し、3次関数コンボリューション部230〜232による予想画素の値の算出方法につき説明する。
図3は、同一ライン上において、注目画素(Si)、注目画素(Si)の1画素先の画素(Si+1)、注目画素(Si)の2画素先の画素(Si+2)、および注目画素(Si)の1画素手前の画素(Si-1)の4つの画素の画像データを用いて注目画素Siと1画素先の画素Si+1との間にある予想画素の値(σ)を求め、当該予想画素の値(σ)を注目画素(Si)の値とする。
ここで図3は、イメージセンサCISの位置が主走査方向の反対方向、すなわち図3中、左方向に距離rだけズレた場合の例を示す。なお図3中、画素Si-1、Si、Si+1、Si+2とは、イメージセンサCISが有する各画素に対応するそれぞれのセンサ要素を意味する。図3の場合、注目画素Siの本来の位置はσの位置であるため、注目画素Siの本来の値として、σの位置の画素、すなわち予想画素の値を求める必要がある。
予想画素(σ)の値を算出する演算式として、図3に示す式(1)
σ={Si−1×h(1+r)+Si×h(r)+Si+1×h(1−r)+Si+2×h(2−r)}/{h(1+r)+h(r)+h(1−r)+h(2−r)} ・・・(1)
を用いる。
図3の式(1)中の変数h(r)は、画素間の距離rと、対応する補正係数h(r)との関係を表す式であり、図4に示す式(2)
h(r)=1−2|r|2+|r|3 (0≦|r|≦1),
4−8|r|+5|r|2−|r|3 (1≦|r|≦2),
0 (2≦|r|) ... (2)
で表される。
図4は上記画素間の距離rに対する、対応する補正係数h(r)の変化を示すグラフを示す。
図5は、式(2)から導き出された上記補正係数h(r)をテーブル化して示す図であり、精度1/8画素の補正係数のテーブルの一例を示す。図5中、r(コード)、「10進表示」の0,1,2,・・・,6,7のそれぞれの行は、それぞれ図3に示される、イメージセンサCISの主走査方向の位置ズレ量rが0/8画素、1/8画素,2/8画素,...,6/8画素,7/8画素の場合の各補正係数h(1+r)、h(r)、h(1−r)、h(2−r)の値を示す。ここで上記0/8画素、1/8画素,2/8画素,...,6/8画素,7/8画素とは、画素間距離を基準とし、当該画素間距離の0/8、1/8,2/8,...,6/8,7/8の距離を、それぞれ示す。
図6は、繋ぎ目補正処理後の画像データを導出する方法を説明するための図である。
図5に示されるテーブルに示される各補正係数h(1+r)、h(r)、h(1−r)、h(2−r)の値が式(1)に代入されて予想画素の値が算出される。例えばイメージセンサCISの主走査方向のズレ量がrが7/8画素であった場合、基本的な方法では、図5の最下段、r(コード)、「10進表示」が「7」の行の各補正係数h(1+r)、h(r)、h(1−r)、h(2−r)の値を式(1)に代入することにより、各画素Si-1、Si、Si+1、Si+2のそれぞれ値から、予想画素σの値が算出される。本実施の形態における、上記例、すなわちイメージセンサCISの主走査方向のズレ量がrが7/8画素の場合の、繋ぎ目補正処理回路200で実行される3次関数コンボリューション法を用いた予想画素の値の実際の求め方は以下の通りである。
網点検出回路201からの判定結果が文字(非網点領域)であった場合、相互に隣接するイメージセンサCIS151,152の画像データ同士を繋ぎ合わせる重なり部分の128画素を設定する。そして左側の第1のイメージセンサCIS151からの画像データにつき、前記128画素中、16画素単位で、左側から順に、図5に示すr(コード)「10進表示」の0,1,2,・・・,6,7の補正係数を用いて予想画素の値を算出する(図6参照−黒丸)。さらに左側から順に7/8,6/8,・・・,1/8の重み付け係数を、第1の乗算回路220で乗算する。
すなわちこの場合、左側のイメージセンサCIS151の右側の端部の128画素が、右側のイメージセンサCIS152の左側の端部の128画素とそれぞれ重なっている(図1参照)。したがって当該右側の端部の128画素は重なり部分の画素である。ここで上記左側のイメージセンサCIS151の当該重なり部分の128画素を上記の如く16画素単位に分割すると、16画素単位が8単位得られる。当該8単位のうち、当該左側のイメージセンサCIS151の上記重なり部分の基部、すなわち128画素中、左端の単位の16画素につき、3次関数コンボリューション部230により、図5に示すr(コード)「10進表示」の「0」の補正係数を用いて予想画素の値を算出する。また当該16画素につき、「7/8」の重み付け係数を、第1の乗算回路220で乗算する。次に当該重なり部分の8単位のうち、基部から2番目、すなわち左端から2番目の単位の16画素につき、図5に示すr(コード)「10進表示」の「1」の補正係数を用いて予想画素の値を算出する。また当該16画素につき、「6/8」の重み付け係数を、第1の乗算回路220で乗算する。同様に、当該重なり部分の8単位のうち、基部から3〜8番目、すなわち左端から3〜8番目の単位の各々の16画素につき、図5に示すr(コード)「10進表示」の「2」〜「7」の補正係数をそれぞれ用いて予想画素の値を算出する。また当該16画素につき、「5/8」〜「1/8」の重み付け係数をそれぞれ、第1の乗算回路220で乗算する。なお当該重み付け係数の割り当てにつき、図8に示される如く、「4/8」の重み付け係数が、左から4,5番目の単位につき、重ねて割り当てられる。
したがって、イメージセンサの上記重なり部分、すなわち読み取り部分が主走査方向に重複した範囲における画素ごとの補正方法を、当該イメージセンサの前記主走査方向に重複した範囲における基部から端部に向けて、補正する位置ズレ量が段階的に増加するように決定する。他方、重み係数につき、当該イメージセンサの前記主走査方向に重複した範囲における基部から端部に向けて段階的に減少するように決定する。
第2のイメージセンサCIS152からの画像データは、逆に重なり部分の右側より図5に示すr(コード−10進表示)0,1,2,・・・6,7の補正係数により予想画素の値を算出し、さらに7/8,6/8,・・・,1/8の重み付け係数を第2の乗算回路221で演算処理する。
すなわち上記同様、右側のイメージセンサCIS152の左側の端部の128画素が、左側のイメージセンサCIS151の右側の端部の128画素とそれぞれ重なっている(図1参照)。したがって当該左側の端部の128画素は重なり部分の画素である。上記同様、当該128画素から16画素の単位が8単位得られる。当該8単位のうち、当該右側のイメージセンサCIS152の上記重なり部分の基部、すなわち右端の単位の16画素につき、3次関数コンボリューション部231により、図5に示すr(コード)「10進表示」の0の補正係数を用いて予想画素の値を算出する。また当該16画素につき、7/8の重み付け係数を、第1の乗算回路221で乗算する。次に当該重なり部分の8単位のうち、基部から2番目、すなわち右端から2番目の単位の16画素につき、図5に示すr(コード)「10進表示」の1の補正係数を用いて予想画素の値を算出する。また当該16画素につき、6/8の重み付け係数を、第1の乗算回路220で乗算する。同様に、当該重なり部分の8単位のうち、基部から3〜8番目、すなわち右端から3〜8番目の単位の各々の16画素につき、図5に示すr(コード)「10進表示」の2〜7の補正係数をそれぞれ用いて予想画素の値を算出する。また当該16画素につき、5/8〜1/8の重み付け係数をそれぞれ、第1の乗算回路220で乗算する。
この場合も上記同様、イメージセンサの上記重なり部分、すなわち読み取り部分が主走査方向に重複した範囲における画素ごとの補正方法を、当該イメージセンサの前記主走査方向に重複した範囲における基部から端部に向けて、補正する位置ズレ量が段階的に増加するように決定する。他方、重み係数につき、当該イメージセンサの前記主走査方向に重複した範囲における基部から端部に向けて段階的に減少するように決定する。
ここで上記補正係数に関し、本実施の形態では16画素単位で0〜7、すなわち0/8画素、...,7/8画素に対する補正係数を使用したが、この方法に限定されず、上記128画素すべてに対し、同じ補正係数を使用して予測画素の値を算出して画像データを補正するなど、様々な方法を任意に選択し得る。
なお上記説明においては3個のイメージセンサCIS151〜153のうち、2個のイメージセンサ151,152相互間の重なり部分の画像データの処理について説明したが、2個のイメージセンサ152,153相互間の重なり部分の画像データの処理についても同様であり、重複する説明を省略する。
その後、加算回路250で加算処理を行う。すなわち、2個のイメージセンサ151,152相互間の重なり部分の画像データにつき、上記の如く、3次関数コンボリューション部230による予想画素の値の算出及び乗算回路220による重み付けがなされたイメージセンサ151の重なり部分の画像データと、3次関数コンボリューション部231による予想画素の値の算出及び乗算回路221による重み付けがなされたイメージセンサ152の重なり部分の画像データとが、それぞれ対応する画素ごとに加算される(図6参照)。その結果、2個のイメージセンサ151,152相互間の重なり部分の補正後の画像データが得られる。
同様に、2個のイメージセンサ152,153相互間の重なり部分の画像データにつき、3次関数コンボリューション部231による予想画素の値の算出及び乗算回路221による重み付けがなされたイメージセンサ152の重なり部分の画像データと、3次関数コンボリューション部232による予想画素の値の算出及び乗算回路222による重み付けがなされたイメージセンサ153の重なり部分の画像データとが、それぞれ対応する画素ごとに加算される。その結果、2個のイメージセンサ152、153相互間の重なり部分の補正後の画像データが得られる。
更に、上記の如く得られたイメージセンサ151,152相互間の重なり部分の補正後の画像データおよびイメージセンサ152,153相互間の重なり部分の補正後の画像データは、図2に示す色補正部125における処理を経て、図1に示される1ライン化処理回路123に転送される。そして当該1ライン化処理回路123により、上記の如く得られたイメージセンサ151,152相互間の重なり部分の補正後の画像データおよびイメージセンサ152,153相互間の重なり部分の補正後の画像データと、対応するライン上の、当該重なり部分以外の画像データとが合成され、1ライン分の画像データが得られる。なお上記色補正部125の処理につき、後述する。すなわち図1において、3個のイメージセンサCIS151〜153で得られた画像データのうち、相互に主走査方向に重複する上記重なり部分から得られた画像データD1,D2,D3はカラー/モノクロ判定部202での処理を経て繋ぎ目補正処理回路200で上述した繋ぎ目補正処理が施される。その後色補正処理部125を経て1ライン化処理回路123に転送される。他方、3個のイメージセンサCIS151〜153で得られた画像データのうち、上記重なり部分から得られた画像データD1,D2,D3以外の画像データは直接1ライン化処理回路123に転送され、上記の如く繋ぎ目補正処理等が施された後の、上記重なり部分で得られた画像データとともに合成され、1ライン分の画像データが得られる。
なお、上記の如く、カラー/モノクロ判定部202でカラー画像のものと判定された画像データは繋ぎ目補正処理回路200で上述の処理を施された後に1ライン化処理回路123で合成される。他方カラー/モノクロ判定部202でモノクロ画像のものと判定された画像データは繋ぎ目補正処理回路200には転送されず、直接1ライン化処理回路123に転送されるようにすることができる。この場合、モノクロ画像のものと判定された、上記重なり部分で得られた画像データのうち、重複する2個のイメージセンサ151,152あるいは152,153のうちの何れか一方の画像データが使用され、1ライン化処理回路123で、重なり部分以外の部分で得られた画像データと合成され、1ライン分の画像データが得られる。
このように実施の形態1の構成によれば、隣り合ったイメージセンサの重なり部分の位置ズレによる読み取り時の濃度の段差の影響を段階的に低減させて繋ぐことが可能となり、イメージセンサの位置ズレによる濃度段差を緩和することができる。
一方、網点検出回路201からの判定結果が「網点領域」であった場合に、文字画像(すなわち「非網点領域」)と同様の処理を行うと、イメージセンサの位置ズレがある場合などでは網点部分が消えてしまう可能性がある。
そこでこの場合、図7に示すようにライン毎に、1ライン目はイメージセンサ同士の重なり部分の画像データとして第1のイメージセンサCIS151の画像データをそのまま使い、第2のイメージセンサCIS152の画像データと繋ぎ合わせるようにすることができる。
図7は、イメージセンサCIS151およびイメージセンサCIS152のそれぞれで得られた画像データが示す濃度と主走査方向の位置との関係を説明するための図である。
図7において、最上段が、イメージセンサCIS151の画素(1升目が16画素を示す)を主走査方向に一列に並べた状態を示す。次の段はイメージセンサCIS152をイメージセンサCIS151と複数画素(図7の例では8升分、すなわち128画素分)重なるように、主走査方向にずらして一列に並べた状態を示す。更に次の段は、イメージセンサCIS151の出力(濃度)と位置との関係を示し、更に次の段はイメージセンサCIS152の出力(濃度)と位置との関係を示す。最下段は両イメージセンサCIS151、CIS152の出力(濃度)を主走査方向に沿って重ね合わせた状態を示す。
図7の例の場合、上記最下段に示される、両イメージセンサCIS151,CIS152の出力を重ね合わせた状態において、イメージセンサCIS151の出力が占める割合がイメージセンサCIS152の出力が占める割合より大きく、イメージセンサCIS151の出力が上記重なり部分の出力を含むことが分かる。
そして2ライン目の画像データについては、文字部(すなわち非網点領域)の場合と同じ処理を行う。すなわち3次関数コンボリューション部230,231において上記補正係数を使用して予測画素の値を求め、その後乗算回路220,221にて重み付け係数を乗算してから加算回路250にて第1のCIS151と第2のCIS152の画像データを繋ぎ合わせる。
図8は、上記2ライン目の画像データを処理する場合の、イメージセンサCIS151およびイメージセンサCIS152の出力(濃度)と主走査方向の位置との関係を説明するための図である。
図8において、最上段がイメージセンサCIS151の画素を主走査方向に一列に並べた状態を示す。次段がイメージセンサCIS152がイメージセンサCIS151と複数画素(この例の場合、8升分、すなわち128画素分)重なるように主走査方向にずらして一列に並べた状態を示す。更に次の段は、イメージセンサCIS151の出力(濃度)と位置との関係を示し、更に次の段はイメージセンサCIS152の出力(濃度)と位置との関係を示す。最下段は両イメージセンサCIS151、CIS152の出力(濃度)を重ね合わせた状態を示す。
図8中、3段目と4段目とで示されるように、上記重なり部分においては、イメージセンサCIS151,152それぞれの出力に対し、乗算回路220,221にて、段階的(すなわち階段状)に異なる値の重み付け係数による重み付けがなされる。すなわち上記非網点領域の場合同様、重み係数が、当該イメージセンサの主走査方向に重複した範囲における基部から端部に向けて段階的に減少するように決定される。
次に3ライン目の画像データの場合には上記1ライン目の画像データの場合とは逆に、イメージセンサの重なり部分の画像データとしては第2のCIS152の画像データをそのまま使うようにして、イメージセンサCIS151およびCIS152の画像データを繋ぎ合わせる。
図9は、上記3ライン目の画像データの場合の、イメージセンサCIS151およびイメージセンサCIS152の出力(濃度)と主走査方向の位置との関係を説明するための図である。
図9において、最上段がイメージセンサCIS151の画素を主走査方向に一列に並べた状態を示す。次段がイメージセンサCIS152がイメージセンサCIS151と複数画素(この例の場合、8升分、すなわち128画素分)重なるように主走査方向にずらして一列に並べた状態を示す。更に次の段は、イメージセンサCIS151の出力(濃度)と位置との関係を示し、更に次の段はイメージセンサCIS152の出力(濃度)と位置との関係を示す。
図9の例の場合、上記最下段に示される、両イメージセンサCIS151,CIS152の出力を重ね合わせた状態において、イメージセンサCIS152の出力が占める割合がイメージセンサCIS151の出力が占める割合より大きく、イメージセンサCIS152の出力が上記重なり部分の出力を含むことが分かる。
次に4ライン目の画像データの場合には、上記2ライン目の画像データの場合と同様に、文字部(すなわち非網点領域)の場合と同じ処理を行う。
図10はその場合の、イメージセンサCIS151およびイメージセンサCIS152の出力(濃度)と主走査方向の位置との関係を説明するための図である。
図10において、最上段がイメージセンサCIS151の画素(1升目が16画素を示す)を主走査方向に一列に並べた状態を示す。次段がイメージセンサCIS152がイメージセンサ151と複数画素(この例の場合、8升分、すなわち128画素分)重なるように主走査方向にずらして一列に並べた状態を示す。更に次の段は、イメージセンサCIS151の出力(濃度)と位置との関係を示し、更に次の段はイメージセンサCIS152の出力(濃度)と位置との関係を示す。最下段は両イメージセンサCIS1、CIS152の出力(濃度)を重ね合わせた状態を示す。
図10中、3段目と4段目とで示されるように、上記重なり部分においては、イメージセンサCIS151,152それぞれの出力に対し、乗算回路220,221にて、段階的(すなわち階段状)に異なる値の重み付け係数による重み付けがなされる。すなわち上記非網点領域の場合同様、重み係数が、当該イメージセンサの主走査方向に重複した範囲における基部から端部に向けて段階的に減少するように決定される。
その後はまた図7とともに上述の処理に戻り、以降、図7,8,9,10とともに上述の処理を繰り返す。
このように本実施の形態における制御方式により、網点部分の画像が消えてしまうということを防止することが可能になる。
図7乃至10とともに説明した方式とは異なる方式の例として、網点検出回路201からの判定結果が網点であった場合、図11に示すような処理を行うようにすることもできる。
図11は、イメージセンサCIS151およびイメージセンサCIS152の出力(濃度)と主走査方向の位置との関係を説明するための説明図である。
すなわち、図11に示すように、文字部(すなわち非網点領域)の場合と同様に3次関数コンボリューション部230,231において上記補正係数を使用して予測画素の値を求め、その後乗算回路220,221にて重み付け係数を乗算してから加算回路250にて第1のCIS151と第2のCIS152の画像データを繋ぎ合わせる。しかしながら図11の場合、3次関数コンボリューション部230,231にける上記補正係数を使用した予測画素の値を算出およびその後乗算回路220,221による重み付け係数の乗算を行う画素数を少なくする。具体的には上記重なり部分の中心から第1のCIS151側と第2のCIS152側にそれぞれ16画素、計32画素の範囲において3次関数コンボリューション部230,231にける上記補正係数を使用した予測画素の値を算出およびその後乗算回路220,221による重み付け係数の乗算を行う。この際に、3次関数コンボリューション部230,231で予想画素の値を得たイメージセンサCIS151,152の出力に対し乗算回路220,221によって乗算される重み付け係数はそれぞれ1/2とされ、当該重み付け係数が乗算されたイメージセンサCIS151,152の出力が加算回路250によって相互に足し合わされ、イメージセンサCIS151,152の出力が繋ぎ合わされる。
当該図11の方式により、繋ぎ目補正処理回路200による繋ぎ目補正処理によって網点部分の画像が消えてしまうということを防止することが可能になる。ここでは、繋ぎ目補正処理を行う画素数を32画素としたが、この画素数は任意に変更することができる。
網点部分(すなわち網点領域)の処理について本実施の形態では2つの方式、すなわち上記図7乃至10の方式及び図11の方式を挙げたが、どちらの方式を選択するかは、必要に応じて任意に決定し得る。
次に図2に示される色補正部125における色補正処理について説明する。なお以下に説明する色補正部125による色補正処理の内容は、後述する実施の形態2の場合における色補正処理であって、図26とともに説明する処理の内容と同様である。
まずカラーモノクロ判定部202でカラー画像の画像データと判定された場合の処理について説明する。
イメージセンサCIS151とイメージセンサCIS152との重なり部分と、イメージセンサCIS152とイメージセンサCIS153との重なり部分とでは同様の処理を行うため、ここではイメージセンサCIS151とイメージセンサCIS152との重なり部分のみについて説明を行い、イメージセンサCIS152とイメージセンサCIS153との重なり部分についての処理の説明を省略する。
イメージセンサCIS151とイメージセンサCIS152との相互間の重なり部分の出力のRGB(Red、Green、Blue)の画像データを、それぞれの画素につき周知のL*a*b*の画像データに変換し、保持しておく。この保持しておく画素数は任意に設定することが可能とされる。
次に、繋ぎ目補正処理回路200における繋ぎ目補正処理後の画像データを同様にL*a*b*の画像データに変換する。そして画素ごとに、L、a、bの各々の要素同士の差、すなわちΔL、Δa、Δbから、以下の式により、相対的な色差を算出する。この計算はイメージセンサCIS151で得られた画像データおよびイメージセンサCIS152で得られた画像データの各々につき、個別に行う。ただし、イメージセンサCIS151で得られた画像データおよびイメージセンサCIS152のうちのいずれか一方の画像データついてのみ行うように選択することも可能とされる。
ΔE*=[(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2]1/2
このようにして求められた、イメージセンサCIS151の出力に対するΔE*であるΔE1と、イメージセンサCIS152の出力に対するΔE*であるΔE2とのうちの、少なくとも何れかが、何れかの画素について1.5(この数値は任意に設定可能とされる)以上であった場合、上記繋ぎ目補正処理により、上記重なり部分の画素データの色見が変わってしまっていると判断する。上記繋ぎ目補正処理により上記重なり部分の画素データの色見が変わってしまっていると判断した場合、ΔE1とΔE2とのうち、平均値が小さい方のイメージセンサCIS151の出力の画像データであって、繋ぎ目補正処理回路200による処理が未だなされていない状態の画像データを、イメージセンサCIS151,152相互間の重なり部分の画像データとして使用し、当該画像データを後段へ出力する。ここで上記ΔE1およびΔE2の平均値は、繋ぎ目部分の画素(例えば上記の例では128画素)全てに亘る平均値でもよいし、繋ぎ目部分の画素中、所定範囲の画素に亘る平均値としてもよい。その後1ライン化処理回路123により現在処理中のライン上の他の画像データと組み合わされて1ラインの画像データとされる。
次にカラーモノクロ判定部202で画像データがモノクロ画像のものと判定された場合の処理を説明する。
カラー/モノクロ判定部202で画像データがモノクロ画像のものと判定された場合上記の如く、繋ぎ目補正処理回路200および色補正部125による上記処理を省略し、イメージセンサCIS151,152相互間の重なり部分の画像データのうち、イメージセンサCIS151,152のいずれかの出力を選択し、当該重なり部分の画像データとして使用し、後段に出力し、その後処理中のライン上の他の画像データと組み合わせて1ライン化処理回路123により一ライン化されるようにしてもよい。又他の方法として、カラー画像の画像データの場合と同様の処理を行う方法を採用することも可能とする。
当該他の方法では、上記繋ぎ目補正処理回路200による繋ぎ目補正処理の前後における、イメージセンサCIS151の上記重なり部分の出力のR、G、Bのそれぞれの画像データの、対応する色要素同士の差(dif_r1、dif_g1、dif_b1)および、イメージセンサCIS152の上記重なり部分の出力のR、G、Bのそれぞれの画像データの、対応する色要素同士の差(dif_r2、dif_g2、dif_b2)を算出する。上記dif_r1、dif_g1、dif_b1、dif_r2、dif_g2、dif_b2のうちのいずれかが、何れかの画素につき、例えば1digit(ここで画像データが8ビットのデータである場合256階調となり、1digitはそのうちの1階調を示し、この閾値は任意に設定可能とする)以上であれば、上記dif_r1、dif_g1、dif_b1およびdif_r2、dif_g2、dif_b2の平均値が小さい方のイメージセンサCISの出力の画像データであって、繋ぎ目補正処理回路200による処理がなされる前の状態の画像データを、イメージセンサCIS151,152相互間の重なり部分の画像データとして使用し、当該画像データを後段へ出力する。その後1ライン化処理回路123により現在処理中のライン上の他の画像データと組み合わされて1ラインの画像データとされる。ここで上記dif_r1、dif_g1、dif_b1およびdif_r2、dif_g2、dif_b2の平均値は、繋ぎ目部分の画素(例えば上記の例では128画素)全てに亘る平均値でもよいし、繋ぎ目部分の画素中、所定範囲の画素に亘る平均値としてもよい。
図12は、実施の形態1におけるシステム全体の構成を示す図である。
このシステムは複写機装置本体500と、複写機装置本体500の背面側に連結された紙折り装置401とからなる、広幅の用紙に対応した画像形成システムである。
紙折り装置401は、用紙の端面折りやジャバラ状折りを行う。紙折り装置401は、複写機装置本体500との連結部402、用紙の耳を折る耳折り部403、用紙を搬送方向にジャバラ状に折るジャバラ折り部404、搬送方向を90°変更する搬送切換装置405、クロス折り装置(不図示)、表裏を反転させる反転装置407、用紙を90°回転させ、例えばA4横をA4縦に替える回転装置408、および折られた用紙を排出しスタックするトレイ409を有する。
複写機装置本体500には画像読取装置100が配置されていると共に、その下部に手差し給紙台508が配置されている。この手差し給紙台508に用紙をセットし、この用紙は、レジストロール507により一次停止され、タイミングをとって作像ユニット506に供給される。
作像ユニット506では、感光体505に画像データに対応した潜像が形成され、この潜像がトナーにより現像され、このトナーが用紙に転写され、定着装置510により定着される。
定着装置510でトナーが定着された記録済用紙は記録済用紙排出ロール511により、紙折りを行う場合は紙折り装置401へ排出される。
また、紙折りを行わない場合は、図示されていない切換爪により上排紙ローラ509により本体胴内へ排出される。用紙を折る場合は記録済用紙排出ロール511より用紙は紙折り装置401に送られ、耳折りする場合は耳折り部403で用紙の角部が折られる。
耳折り部403で用紙の角部が折られた後、用紙はジャバラ折り部404でジャバラ状に折られ、搬送切換装置405に送られる。搬送切換装置405では、搬送方向が変更され、クロス折り装置でジャバラ折りされた用紙の短手方向が折られ、反転装置407で表裏を反転され、さらに用紙方向を回転装置408で回転させてトレイ409上にスタックされる。前記画像読取装置100は、このような広幅対応の画像形成装置に使用される。
<実施の形態2>
以下、実施の形態2について説明する。
なお、実施の形態1と同一の構成については適宜、重複する説明を省略する。
例えば前述の特許文献3に記載されているような繋ぎ目補正処理では、隣接するイメージセンサの位置ズレにより、隣接するイメージセンサ間の重なり部分につき、それぞれのイメージセンサで読み取った、画像中の位置が相互に異なる画素値同士がそのまま重み付けされ加算されていた(図13(a)参照)。その結果、特に網点領域を有する画像の場合、重なり部分の濃度が低下したり、かすれが生じたりすることがあった。
本実施の形態ではこのような現象の発生を防止するため、図13(b)に示すように、補正演算を行うことにより、隣接するイメージセンサ間の重なり部分につき、当該イメージセンサの位置ズレによって、それぞれのイメージセンサで読み取った、画像中の位置が相互に異なる画素値同士の重み付け加算を行う場合、前記位置ズレによる影響を緩和するように繋ぎ目補正処理を行うようにした。
ここで図13(a)は、従来の補正処理の概念図であり、図13(b)は本実施の形態における補正処理の概念図である。図13(a)、(b)の場合、隣接するイメージセンサの重なり部分において、下段の正方形で示される画素を有するイメージセンサに対し、上段の正方形で示される画素を有する方のイメージセンサが、相対的に、右方向に「位置ズレ」で示された距離位置ズレを起こした場合を想定している。当該位置ズレの結果、相対的に右方向に位置ズレを起こした方のイメージセンサでは、他方のイメージセンサの画素が読み取る画像中の位置に対し、上記位置ズレの分、右にずれた位置を読み取ることになる。図13(a)の場合、このように、隣接するイメージセンサの重なり部分において、上記位置ズレにより、相互に異なる位置を読み取って得られた画素値同士が、そのまま重み付け加算される。その結果上記の如く、特に網点領域を有する画像の場合、重なり部分の濃度が低下したり、かすれが生じたりすることがあった。これに対し図13(b)の場合、上記相対的に右方向に位置ズレを起こした方のイメージセンサの画素値に対し、他方のイメージセンサが読み取る画像中の位置と同位置の画素値を、すなわち予想画素の値を算出する。そして当該予想画素の値を、前記相対的に右方向に位置ズレを起こした方のイメージセンサの画素値として使用し、他方のイメージセンサの画素値と重み付け加算する。その結果上記問題点は解決する。
図14は、実施の形態2に係る画像読取装置の概略を示したブロック図である。
この画像読取装置100は、実施の形態1におけるライン合成処理部120にアービタ121とメモリコンピュータ122とを設けたもので、メモリ130にメモリコントローラ122が接続され、メモリコントローラ122はアービタ121と相互に情報の送受が可能とされる。また、アービタ121には、第1のA/D変換器101からの第1のイメージセンサCIS151の読み取り画像データと、第1のメモリからの第2のイメージセンサCIS152の読み取り画像データと、第2のメモリからの第3のイメージセンサCIS153の読み取り画像データとが入力される。
アービタ121からはカラー/モノクロ判定部202、繋ぎ目補正処理回路200、網点検出回路201、色補正部125および1ライン化処理回路123に対し、メモリ130に記憶された読み取り画像データが出力される。
すなわち、第1のイメージセンサCIS151〜第3のイメージセンサCIS153で読み取られた読み取り画像データは、ライン合成処理部120に同時に入力され、アービタ121を経由し一時的にメモリ130に蓄積される。
メモリ130に蓄積された画像データのうち、重なり部分以外の画像データはその後、メモリコントローラ122及びアービタ121を介し、1ライン化処理を行うため、1ライン化処理回路123へ送られる。他方メモリ130に蓄積された画像データのうち、重なり部分の画像データは繋ぎ目補正処理回路200へと送られる。ここでアービタ121、メモリコントローラ122及びメモリ130により、イメージセンサCIS151〜153により読み取られた画像データは、所定のタイミングでカラー/モノクロ判定部202あるいは1ライン化処理部123に転送される。特に隣接するイメージセンサ同士の重なり部分の画像データとして、イメージセンサCIS151,152の重なり部分の画像データと、イメージセンサCIS152,153の重なり部分の画像データとが、異なるタイミングでカラー/モノクロ判定部202に転送され、その後繋ぎ目補正処理回路200で処理される。そしてあるタイミングでは、イメージセンサCIS151,152からの画像データがそれぞれ画像データD4,D5として、繋ぎ目補正処理回路200で処理される。また他のタイミングでは、イメージセンサCIS152,153からの画像データがそれぞれ画像データD4,D5として、繋ぎ目補正処理回路200で処理される。その結果実施の形態2においても、図15とともに後述するように繋ぎ目補正処理回路200は、2個の3次関数コンボリューション部230,231、2個の乗算回路220,221等を有する、2個の並列回路のみを有するが、図2に示す如くの3個の並列回路を有する実施の形態1の場合同様の機能を奏する。
図15は、カラー/モノクロ判定部202、繋ぎ目補正処理回路200および色補正部125、網点検出回路201の詳細を示すブロック図の一例である。
同図において、繋ぎ目補正処理回路200は第1および第2の3次関数コンボリューション部230,231と、第1および第2の重み付け係数210,211と、第1及び第2の乗算回路220,221と、第1および第2の3次関数コンボリューション部230,231の前段に設けられた第1および第2のセレクタ245,246と、第1および第2の3次関数コンボリューション部230,231と第1および第2の乗算回路220,221との間にそれぞれ設けられた第3および第4のセレクタ247,248と、を備えている。
また、第1および第2の3次関数コンボリューション部230,231と並列に第1および第2の迂回経路251,252が設けられ、さらに、第1および第2の重み付け係数部210,211と並列に第3および第4の迂回経路が設けられている。そして、第1および第2の重み付け係数部210,211の出力が乗算回路220,221で乗算された値、および第3および第4の迂回経路の出力が加算回路250に入力され、加算回路250で加算され、加算値が出力される。
第1および第2のセレクタ245,246には、第1のイメージセンサCIS151と第2のイメージセンサCIS152との重なり部分の画像データ、もしくは第2のイメージセンサCIS152と第3のイメージセンサCIS153との重なり部分の画像データであるD4,D5が入力される。これらの画像データはまずカラー/モノクロ判定部202で判定を行い、結果を色補正部125に反映する。
その後、網点検出回路201にも入力され、網点検出回路で画像データD4,D5が網点領域のものか非網点領域のものかが判断され、この判断に基づいて第1のセレクタ〜第4のセレクタ245〜248によって画像データの処理の選択が行われる。
このように構成された繋ぎ目補正処理回路200および網点検出回路201では、重なり部分の画像データD4、D5は、網点検出回路201の網点検出結果Aにより処理経路が決定される。
すなわち、画像データD4が文字画像(すなわち非網点領域)であると判断されたときには、網点検出回路201の検出結果は"0"となり、各セレクタ245〜248では"0"が選択され、画像データD4およびD5に対して繋ぎ目補正処理が行われる。繋ぎ目補正処理では、3次関数コンボリューション部230,231による予想画素の値の算出が実行され、さらに、乗算回路220,221で重み付け係数が乗算され、このようにして得られた画像データD4と画像データD5との補正結果が加算回路250で加算され、色補正部125で補正された後、補正画像データとして出力される。当該繋ぎ目補正処理は、例えば実施の形態1において説明した繋ぎ目補正処理と同様の処理とすることができる。
網点検出回路201による網点検出は1ライン毎に行うことが可能であり、網点検出回路201からの結果Aが文字(0)(すなわち非網点領域)の場合には繋ぎ目補正処理が選択される。また、網点検出回路201からの結果Aが網点(1)(すなわち網点領域)の場合には、迂回処理が選択されるようにすることができる。この場合、画像データD4,D5に対する3次関数コンボリューション部230,231による予想画素の値を算出する処理および乗算回路220,221で重み付け係数が乗算される処理が省略され、直接加算回路250に転送される。その場合、重なり部分の画像データD4,D5のうちのいずれかが当該重なり部分の画像データとして選択され、後段の1ライン化処理部123による1ラインの生成において使用される。
ただし、網点検出回路201による網点検出結果に関わらず、レジスタの設定によりセレクタ245,246、247,248によって繋ぎ目補正処理を行うかどうかを選択するようにすることも可能である。3次関数コンボリューション部230,231による3次関数コンボリューション法を利用した予想画素の値の算出の方法および重み付け係数を選択して乗算回路220,221で乗算する方法は前述の実施の形態1におけるものと同様一の方法が使用される。
このように実施の形態2では、画像情報を認識し、重なり部分の画像が文字画像であった場合には、重なり部分につき、3次関数コンボリューション法を用いた予想画素の値の算出を行い、任意の重み付け係数を選択して乗算し、加算処理を行う。
一方、画像が網点であった場合には、ライン毎に重なり部分に繋ぎ目補正処理を行うか、同処理を迂回するかを選択し、加算処理を行って補正後の画像データとすることができる。詳細は後述する。
3次関数コンボリューション部による予想画素の値の算出の仕方は図3〜図6を参照して実施の形態1で説明した通りであるのでここでの説明は省略する。
以下に繋ぎ目補正処理回路200によって実行される、3次関数コンボリューション法を用いた予想画素の値の求め方について説明する。
網点検出回路201からの判定結果が文字(非網点)であった場合には、実施の形態1の場合同様、繋ぎ合せる左右の重なり部分を128画素(但し8,16,32,64,128,256画素の間で任意に変更可能とする)を設け、重なり画素数を8分割した単位(128画素の場合は各単位が16画素)ごとに同じrコードの補正係数(図5参照)を使用して、上記式(1)により、予想画素の値を求める。
ここで重なり部分のすべての上記単位において同じrコードの係数を使用して上記式(1)により予想画素の値を求めると、一のイメージセンサが有する画素のうち、重なり部分と重なり部分以外の部分との境目でギャップが生じてしまう可能性がある。このような状況を緩和するため、図16に示す如くの、隣接するイメージセンサ間の相対的な主走査方向のズレ量(すなわち図16中、「主走査ズレ量」として示す)、各イメージセンサ(すなわち図16中、「CIS」として示す)、および使用する補正係数との関係となるように、上記各単位の予想画素の値を算出する際に使用する補正係数を選択する。そのようにしてイメージセンサの位置の1画素分未満のズレ量に対し、使用する補正係数の値を段階的に変化させる。
上記図16は、上記主走査ズレ量に対する補正係数のテーブルの一例を示す図である。
ここで主走査ズレ量が4/8画素だった場合を例として、図16のテーブルを使用した方法について説明する。なお上記「主走査ズレ量が4/8画素」とは、イメージセンサの主走査方向の位置ズレ量が、隣接する画素間の距離の4/8の距離、すなわち1画素分未満の距離に相当することを示す(以下同様)。
図16に示される如く、主走査ズレ量が4/8画素であった場合(すなわち図16中、「±4/8」で示される行)、イメージセンサCIS151の重なり部分128画素中、上記16画素の単位の8単位に対し、それぞれ、左から(r0,r1,r1,r2,r2,r3,r3,r4)の補正係数を使用する。同様にイメージセンサCIS152の重なり部分128画素中、16画素の単位の8単位に対し、それぞれ、左から(r4,r3,r3,r2,r2,r1,r1,r0)の補正係数を使用する。ここでrコードr0,r1,r2,r3,...,r7の補正係数とは、それぞれ図5に示されるr(コード)の10進表示の0,1,2,3,...,7の行の補正係数をそれぞれ示す。すなわち例えばr1とは、主走査ズレ量が1/8画素であった場合に当該ズレ量を補正する際、予想画素の値を上記式(1)を用いて求めるために使用される補正係数を示す。図16のテーブルを用いた補正係数の選択方法を採用することにより、一のイメージセンサCIS内の重なり部分と重なり部分以外の部分との境目でのギャップの軽減をすることができる。以下に図17とともに、この点を更に具体的に説明する。
図17は、主走査ズレ量が4/8画素の場合に図16のテーブルを使用して、イメージセンサの重なり部分の画素値を補正する方法を説明するための図である。また図18(a)、(b)は、乗算回路220,221による重み付け係数演算の一例を説明するための図である。図19は、乗算回路220,221による重み付け係数演算の他の一例を説明するための図である。
図17中、「重なり部分」として示されている範囲は、主走査方向、すなわち図17中、右方向に沿って、隣接するイメージセンサCIS151,152が相互に重なり合あっている範囲の画素を示す。また図17中、各正方形は、イメージセンサにおいて、それぞれ1/8画素分の範囲を示す。この場合、イメージセンサCIS151の方が、4/8画素分、相対的に、主走査方向の反対方向、すなわち左方向に位置ズレを有している。したがって図17中、下段のイメージセンサCIS151の右端の4升は、上記位置ズレが無かった場合のイメージセンサCIS151の右端部分の位置を示す。図17中、イメージセンサCIS151では、端部、すなわち図17中、「重なり部分」の右端の上記単位の画素に対しては、図16に示す如く、r4の補正係数が使用される。すなわち4/8画素分の位置ズレを補正するために予想画素の値を求め、当該予想画素の値を、前記単位の画素の値として使用する。他方、基部、すなわち図17中、「重なり部分」の左端の上記単位の画素に対し、図16に示す如く、r0の補正係数が使用される。すなわち0/8画素分の位置ズレ(すなわちズレがない状態)を補正するために予想画素の値を求め、当該予想画素の値を、前記単位の画素の値として使用する。また上記端部と基部との中間の部分、すなわち図17中、「重なり部分」の中間点の上記単位の画素に対し、図16に示す如く、r2の補正係数が使用される。すなわち2/8画素分の位置ズレを補正するために予想画素の値を求め、当該予想画素の値を、前記単位の画素の値として使用する。
図17の上段に示す他のイメージセンサCIS152の場合も同様である。すなわち、イメージセンサCIS152の「重なり部分」の端部、すなわち左端の上記単位の画素に対しては、図16に示す如く、r4の補正係数が使用される。すなわち4/8画素分の位置ズレを補正するために予想画素の値を求め、当該予想画素の値を、前記単位の画素の値として使用する。また基部、すなわち「重なり部分」の右端の上記単位の画素に対し、図16に示す如く、r0の補正係数が使用される。すなわち0/8画素分の位置ズレを補正するために予想画素の値を求め、当該予想画素の値を、前記単位の画素の値として使用する。また上記端部と基部との中間の部分、すなわち図17中、「重なり部分」の中間点の上記単位の画素に対し、図16に示す如く、r2の補正係数が使用される。すなわち2/8画素分の位置ズレを補正するために予想画素の値を求め、当該予想画素の値を、前記単位の画素の値として使用する。
上記の如く、イメージセンサの重なり部分、すなわち読み取り部分が主走査方向に重複した範囲における画素ごとの補正方法を、当該イメージセンサの前記主走査方向に重複した範囲における基部から端部に向けて、補正する位置ズレ量が段階的に増加するように決定する。
このようにして図17に示したような3次関数コンボリューション法にしたがって上記式(1)にて予想画素の値を求めた後、乗算回路220,221によって図18(a)、(b)に示す重み付け係数演算(乗算)を行う。すなわち上記重なり部分の8単位の画素に対し、第1のイメージセンサCIS151の左から順に、7/8、6/8,・・・,1/8の重み係数を掛け、第2のイメージセンサCIS152では逆に右から7/8,6/8,・・・,1/8の重み係数を掛ける。すなわち上記の如く、重み係数につき、当該イメージセンサの主走査方向に重複した範囲における基部から端部に向けて段階的に減少するように決定する。これにより重なり部分の第1のイメージセンサCIS151の上記基部に近いほど、第1のイメージセンサCIS151の画素値に重みが置かれ、第2のイメージセンサCIS152の上記基部に近いほど第2のイメージセンサCIS152の画素値に重みが置かれ(図18(a))、合成される(図18(b))。
また重み付け係数として、他にも図19に示すように1/2の重み付け係数を使用し、当該重み付け係数を乗算回路220,221でイメージセンサCIS151,152の双方の重なり部分の画像データに乗算して相互に合成することもできる。この場合には、第1および第2のイメージセンサCIS151,152の出力(濃度)を平均化して合成することになる。
また図15に示されるセレクタ247およびセレクタ248で"1"を選択することにより、このような乗算回路220,221による重み付け係数演算を省略し、図20(a)に示すように、双方の重なり部分の中心で繋ぎ合わせるようにすることもできる。図20(a)の場合図示の如く、双方の重なり部分の中心より図中、左側の部分につきイメージセンサCIS151からの出力を使用し、右側の部分につきイメージセンサCIS152からの出力を使用する。あるいは、双方の重なり部分の画像データとして、片方のイメージセンサCIS151あるいは152からの画像データを用いるようにすることもできる。図20(b)は上記片方のイメージセンサCISとしてイメージセンサCIS151からの画像データを用いた例を示し、図20(c)は上記片方のイメージセンサCISとしてイメージセンサCIS152からの画像データを用いた例を示す。
上述の如くの、乗算回路220,221による重み付け係数演算後、加算回路250で第1のイメージセンサCIS151および第2のイメージセンサCIS152の双方の重なり部分、又は第2のイメージセンサCIS152および第3のイメージセンサCIS153の双方の重なり部分の画像データが相互に足し合わされる。その後、上述の実施の形態1の場合と同様に、色補正部125により、上述した繋ぎ目補正処理回路200による繋ぎ合わせ補正処理の前後の重なり部分の画像データを相互に比較し、必要に応じて色補正を実施する。その後図14に示されるアービタ121からの、重なり部分以外の画像データと、上記色補正部125を経た重なり部分の画像データとが、1ライン化処理回路123で相互に繋ぎ合わされ、1ライン分の画像データが生成される。
本実施の形態のように処理することによって、隣り合ったイメージセンサCIS151,152あるいはイメージセンサCIS152,153間の重なり部分の位置ズレに対する補正を行うことによる、当該補正を行った部分と行わなかった部分との間で生じ得る画像データの濃度の段差に対し、補正方法を段階的に異ならせることにより、当該段差を緩和することができる。
網点画像(すなわち網点領域)に対し、上記したような文字画像(すなわち非網点領域)における処理と同様の処理を行うと、イメージセンサの位置ズレがある場合などでは、網点部分が消えてしまう可能性がある。図21はそのような場合について説明するための図である。図21(a)中、上段はイメージセンサCIS151、下段は隣接するイメージセンサCIS152のそれぞれの重なり部分を示す。また各正方形はそれぞれ1画素を示し、各正方形中の数値は画素値を示す。画素値は、その数値が大きいほど、濃度が低い、即ち、より白に近い状態を示す。図21(a)はイメージセンサCIS151がイメージセンサCIS152に対し相対的に、1画素分、図中右方向(すなわち主走査方向)に位置ズレを起こしている状態を示す。また図21(a)中、左側の網掛けされた縦長の長方形は、読み取り画像中に存在する細線を示す。当該細線の位置の画素値は「200」であり濃度が高い、すなわち黒に近い状態を示し、それ以外の部分(すなわち背景部分)の画素値は「255」であり濃度が低い、すなわち白に近い状態を示す。ここで上記位置ズレがなかった場合には、上記細線の部分の画素値として、イメージセンサCIS151,152の双方の画素値「200」が、それぞれ重み付け係数を乗算されて加算される。しかしながらこれに対し図21(a)に示される如く、上記位置ズレの結果、イメージセンサCIS151中、上記細線を読み取るはずであった画素の左隣の画素が当該細線を読み取り画素値が「200」となっている。他方上記細線を読み取るはずであった画素は当該細線以外の背景部分を読み取った結果画素値が「255」となっている。その結果、イメージセンサCIS152が上記細線を読み取った画素値「200」と、イメージセサCIS151が背景部分を読み取った画素値「255」とが、それぞれ重み付け係数を乗算されて加算される。その結果、上記本来の場合、すなわちイメージセンサCIS151,152の双方の画素値「200」が、それぞれ重み付け係数を乗算されて加算された場合に比し、結果として得られる画素値は大きい値となる。すなわち例えば図21(b)に示される如く、元々の画素値「200」に対して大きい画素値「220」となる。その結果、細線の読み取り結果の画素値として、本来の細線の濃度より低い濃度が得られることになる。その結果上記の如く、網点部分が消えたり、かすれたりしてしまうような現象が生じ得る。網点画像の場合、さらに副走査のズレなどが生じると、該当する画像分が消えてしまったりする。
図21(a)、(b)は、以前繋ぎ目補正処理の説明図であり、図21(a)は重み付け演算加算処理前の状態を示し、図21(b)は重み付け演算加算処理後の状態を示している。
そこで図15に示される網点検出回路201からの判定結果が「網点領域」であった場合には、例えば前述の実施の形態1の図7〜図10とともに説明した方法で処理する。あるいは「網点領域」であった場合には、前述の実施の形態1における図11とともに説明した方法で処理することもできる。
又更に他の変形例として、網点検出回路201からの判定結果が「網点領域」であった場合、以下に示す如くの方法で処理することもできる。
すなわち、ライン毎に網点検出回路201で網点検知を行い、網点画像(すなわち「網点領域」)の場合には図15に示されるセレクタ245,246,247,248を切り換えて迂回処理を行うようにする。すなわち、3次関数コンボリューション部230,231による、予想画素の値を求める処理および乗算回路220,221による重み付け係数の乗算を行う処理を省略する。このような迂回処理を行った場合は、先ほどと同様に、図20(a)、(b)、(c)のいずれかの方法の中から一の方法を選択できるようにする。また、網点画像の場合、図11とともに説明した方法により、重なり部分の画素数を少なし、繋ぎ目補正処理を行うようにすることができる。
次に網点検出回路201による、画像データが網点領域のものか非網点領域のものかを検出するための方法について説明する。
図22は、網点検出回路201による、画像データが網点領域のものか非網点領域のものかを検出するための方法による処理手順を示すフローチャートである。
図22の処理手順では、入力された画像データ(ステップS1)に対して、フィルタをかけ(ステップS2)、単純2値化(ステップS3)を行う。
その後、指定の判定基準(後述)に従って判定を行う(ステップS4)。すなわち、ステップS2では、入力された画像データに対して図23に示すフィルタを使用しフィルタ演算を行う。
図23は、フィルタの一例を示す説明図である。
次いで、ステップS3でフィルタ演算後の画像データに対して単純2値化を行う。その際の量子化閾値は画像データが8ビットの場合は128、10ビットの場合は512とする。単純2値化した画像データに対して、注目領域内の画像の変化点の数が一定数以上であれば網点領域と判定し、そうでなければ非網点領域と判定する。
ただし、注目領域は(注目画素)+(注目画素の左右20画素ずつ)の計41点とし、網点検出回路201で当該注目領域の領域設定が行われる(図24参照)。変化点の閾値としては、図25に示されるように、変化点閾値10〜12のいずれかが選択される。なお、上記量子化閾値、変化点閾値は変更することができる。また、図22〜図25とともに上述した網点検出方法自体は公知技術であり、種々の方法が知られており、上述した方法以外の方法を適用することもできる。ただし、上述の方法ではパターンマッチング等を行わないため、安価に網点を検知し得る点が特徴である。
図24は、網点判定注目領域の説明図であり、図25は、変化点閾値を示す図である。
図26は図15で示される色補正部125による色補正のフローチャートの一例である。
図26中、まず、イメージセンサCIS151,152のL*a*bの値を保存する(ステップS11)。
そしてカラー/モノクロ判定部202により、画像データがカラー画像のものかモノクロ画像のものかを判断する(ステップS12)。
カラー画像もののである場合(ステップS12、「カラー」)はカラー画像データ用の繋ぎ目補正処理を行い(ステップS18)、モノクロ画像のものである場合(ステップS12、「モノクロ」)はモノクロ画像データ用の繋ぎ目補正処理を行う(ステップS13)。ここでステップS18のカラー画像用の繋ぎ目補正処理とは、上述の、繋ぎ目補正処理回路200による処理である。他方、ステップS13のモノクロ画像データ用の繋ぎ目補正処理とは、上記実施の形態1の場合同様、以下の2つの方法による処理が可能である。
第1の方法(ステップS12Aの「第1」)では、当該画像データは繋ぎ目補正処理回路200による処理を経ず、直接1ライン化処理回路123に転送される。そして当該重なり部分の画像データのうち、重複する2個のイメージセンサ151,152あるいは152,153のうちの何れか一方の画像データが使用され、1ライン化処理回路123で、重なり部分以外の画像データと合成され、1ライン分の画像データが得られる。他方第2の方法では、カラー画像データ同様に、モノクロ画像データが繋ぎ目補正処理回路200による繋ぎ目補正処理を経る。
図26中、ステップS12Aにて、上記第1の方法を採用するか第2の方法を採用するかを判断する。ステップS12Aの判定は、例えば当該画像読取装置に対するユーザによる操作部115からの設定行為により、第1の方法を採用するか第2の方法を採用するかが設定され、当該設定に基づいてなされるようにすることが可能である。
このように、カラー画像もののと判定され、カラー用の繋ぎ目補正処理が施された画像データのL*a*bの値が保持される。そして色素の算出が行われて実施の形態1の場合同様ΔE1,ΔE2が得られる(ステップS15)。
次に実施の形態1の場合と同様にして、ΔE1又はΔE2が1.5より大きいか否かが判断される(ステップS16)。
ΔE1又はΔE2が1.5より大きい場合、ΔE1とΔE2とのうちの平均値が小さい方のイメージセンサの出力の画像データ、すなわち繋ぎ目補正処理回路200による処理を経ない状態の画像データが、イメージセンサ相互間の重なり部分の画像データとして使用される(ステップS16のYES、ステップS17)。ここで上記ΔE1およびΔE2の平均値は、繋ぎ目部分の画素(例えば上記の例では128画素)全てに亘る平均値でもよいし、繋ぎ目部分の画素中、所定範囲の画素に亘る平均値としてもよい。他方、ΔE1,ΔE2のいずれもが1.5より大きい値ではない場合は、当該処理を終了して後段へ進む(ステップS16のNO)。この場合、繋ぎ目補正処理回路200による処理が施された画像データが使用される。
他方ステップS12Aで第2の方法と判定された場合(「第2」)、ステップS12でモノクロ画像のものと判定された画像データは、ステップS13での繋ぎ目補正処理、すなわち上記の如く、カラー画像データの場合同様の、繋ぎ目補正処理回路200による処理が施された後、実施の形態1の場合同様、RGB差が算出され、上記dif_r1、dif_g1、dif_b1、dif_r2、dif_g2、dif_b2が得られる(ステップS19)。そしてdif_r1、dif_g1、dif_b1、dif_r2、dif_g2、dif_b2のいずれかが1より大きいかが判定される(ステップS20)。dif_r1、dif_g1、dif_b1、dif_r2、dif_g2、dif_b2のいずれかが1より大きい場合(ステップS20のYES)、dif_r1、dif_g1、dif_b1およびdif_r2、dif_g2、dif_b2の平均値が小さい方のイメージセンサの出力の画像データであって、繋ぎ目補正処理回路200による処理を経ない状態の画像データがイメージセンサ相互間の重なり部分の画像データとして使用される。ここでdif_r1、dif_g1、dif_b1およびdif_r2、dif_g2、dif_b2の平均値は、繋ぎ目部分の画素全てに亘る平均値でもよいし、繋ぎ目部分の画素のうち、所定範囲の画素に亘る平均値としてもよい。他方、dif_r1、dif_g1、dif_b1、dif_r2、dif_g2、dif_b2のいずれもが1より小さい場合(ステップS20、NO)は、終了して後段へ進む。この場合、繋ぎ目補正処理回路200による処理が施された画像データが使用される。
<実施の形態3>
図27は、本発明の実施の形態3に係る画像読取装置の概略を示したブロック図である。
この画像読取装置100は上記実施の形態1、2の場合同様、第1〜第3のイメージセンサCIS151,CIS152,CIS153、第1〜第3のA/D(アナログ/デジタル)変換器101,102,103、第1および第2のメモリ111,112、ライン合成処理部120を有する。
この画像読取装置100では、第1〜第3のイメージセンサCIS151,CIS152,CIS153を、それぞれ隣り合うセンサと主走査方向に所定画素重なって読み取るように配置してある。また、第2のイメージセンサCIS152が副走査方向について上流側に、第1のイメージセンサCIS151および第3のイメージセンサCIS153が下流側に所定の間隔をもって千鳥状に配置されている。
第1のイメージセンサCIS151から出力される画像データは第1のA/D変換器101によってデジタル信号に変換され、ライン合成処理部120に入力され、第2および第3のイメージセンサCIS152,153から出力される画像データは第2および第3のA/D変換器102,103によってデジタル信号に変換され、副走査方向のタイミングを合わせの遅延を行うために第1および第2のメモリ111,112にそれぞれ一時的に蓄積され、その後、タイミングを合わせてライン合成処理部120に転送される。
なお、第1のイメージセンサCIS151は副走査方向の最下流側に位置し、遅延の必要がないことからメモリには蓄積せずに直接ライン合成処理部120にデータ転送される。
一方、第3のイメージセンサCIS153は第1のイメージセンサCIS151と同一線上にあるが、調整容易化のため数ライン上流側に配置されていることから、第2のメモリ112に画像データを蓄積している。第1〜第3の各メージセンサCIS151〜153で所望のライン遅延された画像データは、前述のようにライン合成処理部120に送られる。
ここで、シェーディング補正、重なり部分の補正処理、並びに並列に流れてきた第1〜第3の各イメージセンサCIS151〜153の画像データに対して1ライン化処理回路で1ライン化処理が行われ、後段に渡している。
図28は、ライン合成処理部120の詳細を示すブロック図である。
図28に示すようにライン合成処理部120は、シェーディング補正部126、カラー/モノクロ判定部202、繋ぎ目補正処理回路200を有する。
まずシェーディング補正部126とカラー/モノクロ判定部124とを経た画像データは、繋ぎ目補正処理回路200に転送される。繋ぎ目補正処理回路200は上述した実施の形態1における繋ぎ目補正処理回路200と同様の構成を有し、同様の機能を有する。すなわち実施の形態3の実施の形態1との相違は、実施の形態3の場合、カラー/モノクロ判定部202の手前にシェーディング補正部126が設けられている点である。
繋ぎ目補正処理回路200は、第1〜第3の3次関数コンボリューション部230,231,232、第1〜第3の重み付け係数部210,211,212、第1〜第3の乗算回路220,221,222、第1〜第3のセレクタ240,241,242、および網点検出回路201を有する。
ここでは第1の3次関数コンボリューション部230、第1の乗算回路220および第1のセレクタ240が直列に配置され、第1のセレクタ240には、第1の乗算回路220からの入力の他に第1の3次関数コンボリューション部230および第1の乗算回路220を迂回された画像データが入力される。
従って、第1のセレクタ240は第1の乗算回路220からの画像データとこれらを迂回された画像データとのうちのいずれかを選択する。また、第1の乗算回路220には、第1の3次関数コンボリューション部230を経た画像データと、重み付け係数部210からの重み付け係数と、第1の3次関数コンボリューション部230が迂回された画像データとが入力される。
図28に示される如く、上記構成の回路が、第2および第3の3次関数コンボリューション部231,232の各々についても、上記第1の3次関数コンボリューション部230の回路と並列に配置されており、それぞれの並列回路に対し、第1〜第3のイメージセンサCIS151〜153の画像データD1,D2,D3が入力される。
第1〜第3のセレクタ240,241,242の後段には加算回路250が設けられ、上述した実施の形態1の場合同様、隣接するイメージセンサの重なり部分の画像データ同士が対応する画素間で加算され、当該重なり部分の画像データが得られる。このようにして加算部250で得られた画像データは色補正部125に入力される。更に、加算回路250における加算前の各イメージセンサの重なり部の画像データも又、色補正部125に入力される。更に又、各イメージセンサの重なり部分の画像データは、繋ぎ目補正処理回路200の入力端子から直接色補正部125に入力される。このように、各イメージセンサの重なり部分の画像データが、繋ぎ目補正処理回路200の入力端子から直接、加算回路250の入力端子から直接および加算回路250の出力端子からの、計3段階でそれぞれ抽出され、それぞれの処理段階の画像データが補正処理部125に入力される。なお上記実施の形態1および実施の形態2の各々においても同様である。
色補正部125で色補正が施された重なり部分の画像データは1ライン化処理部123に転送される。また、繋ぎ目補正処理回路200とは別に設けられた網点検出回路201には、第1〜第3のイメージセンサCIS151〜153の画像データD1,D2,D3が入力され、網点領域のものか非網点領域のもの(すなわち文字)かが判断され、その判断結果に基づいてセレクタ240,241,242によって選択される画像データが決定される。
このように構成されたライン合成処理部120では、第1〜第3のイメージセンサCIS151〜153の相互の重なり部分の画素データD1,D2,D3は、まずシェーディング補正部126によりシェーディング補正が施され、カラー/モノクロ判定部で判定がなされ、繋ぎ目補正処理回路200に同時に入力され、網点検出回路201からの結果A(非網点か網点)により決定された経路を通って処理がなされる。
ただし、カラーとモノクロの判定はユーザによる、操作部115からの設定操作による設定も可能であり、操作部115から設定がされていればカラー/モノクロ判定部202は迂回される。また上記各実施の形態の場合同様、カラー/モノクロ判定の結果は色補正部125に反映され、色補正部125での処理が決定される。網点検出回路201からの結果Aが文字(非網領域)(0)の場合には繋ぎ目補正処理回路200による処理が選択され、網点検出回路201からの結果Aが網点領域(1)の場合には、繋ぎ目補正処理回路200を迂回するような処理経路とすることが可能である。
なお、第1〜第3の3次関数コンボリューション部230,231,232、第1〜第3の重み付け係数210,211,212の詳細は上記した実施の形態1、実施の形態2の場合同様であり、ここでの重複する説明を省略する。このように実施の形態3では、シェーディング補正後の画像データを認識し、画像が文字画像であった場合には、重なり部分につき、3次関数コンボリューション法を用いた予想画素の値を算出し、重み付け係数部210,211,212から任意の重み付け係数を選択して乗算し、モノクロ/カラー判定の結果により色補正を行った後、1ライン化処理回路123により1ライン化を行う。
一方、画像データが網点領域のものであった場合には、ライン毎に重なり部分に補正処理を行うか、迂回するかが選択され、加算処理が行われ、補正後の画像データが得られる。
<実施の形態4>
以下、実施の形態4について説明する。
なお、実施の形態4は図14〜26とともに上述の実施の形態2と略同様の構成を有する。実施の形態2と同一の構成について適宜重複する説明を省略する。
図29は、本発明の実施の形態4に係る画像読取装置の概略を示したブロック図である。
この画像読取装置100は、実施の形態2におけるライン合成処理部120にアービタ121とメモリコンピュータ122とを設けたもので、メモリ130にメモリコントローラ122が接続され、メモリコントローラ122はアービタ121と相互に情報の送受が可能である。また、アービタ121には、第1のA/D変換器101からの第1のイメージセンサCIS151の読み取り画像データと、第1のメモリからの第2のイメージセンサCIS152の読み取り画像データと、第2のメモリからの第3のイメージセンサCIS153の読み取り画像データとが入力され、シェーディング補正、カラー/モノクロ判定後の画像データが入力される。
アービタ121,メモリコントローラ122およびメモリ130の機能については、図14,図15とともに説明した実施の形態2におけるアービタ121,メモリコントローラ122およびメモリ130の機能と同様である。
アービタ121からは、繋ぎ目補正処理回路200、網点検出回路201、色補正部125および1ライン化処理回路123に対し、メモリ130に記憶された読み取り画像データが出力される。
すなわち、第1〜第3の各イメージセンサCIS151〜153で読み取った読み取り画像データは、ライン合成処理部120に同時に入力され、シェーディング補正、カラー/モノクロ判定後、アービタ121を経由し一時的にメモリ130に蓄積される。その後、1ライン化処理を行うために、重なり部分以外の画像データは1ライン化処理回路123へ送られ、重なり部分の画像データは繋ぎ目補正処理回路200へと送られる。
図30は、ライン合成処理部120内の繋ぎ目補正処理部200,網点検出回路201の詳細を示すブロック図である。
同図において、繋ぎ目補正処理回路200は第1および第2の3次関数コンボリューション部230,231と、第1および第2の重み付け係数210,211と、第1及び第2の乗算回路220,221と、前記第1および第2の3次関数コンボリューション部230,231の前段に設けられた第1および第2のセレクタ245,246と、前記第1および第2の3次関数コンボリューション部230,231と、第1及び第2の乗算回路220,221との間にそれぞれ設けられた第3および第4のセレクタ247,248と、を備えている。
また、第1および第2の3次関数コンボリューション部230,231と並列に第1および第2の迂回経路251,252が設けられ、さらに、第1および第2の重み付け係数部210,211と並列に第3および第4の迂回経路253,254が設けられている。そして、第1および第2の乗算回路220,221の出力が加算回路250で相互に加算される。その結果、上記した実施の形態2の場合同様、イメージセンサCIS151,152の重なり部分の画像データあるいはイメージセンサCIS152,152の重なり部分の画像データが得られる。当該得られた画像データは上記した実施の形態2の場合同様の方法にて、色補正部125にて色補正が施される。
第1および第2のセレクタ245,246には、第1のイメージセンサCIS151と第2のイメージセンサCIS152の重なり部分のデータ、もしくは第2のイメージセンサCIS152と第3のイメージセンサCIS153の重なり部分のデータであるD4,D5が入力される。
これらのデータ網点検出回路201にも入力され、網点検出回路で前記データD4,D5部分が網点領域のものか非網点領域のものかが判断され、この判断に基づいて第1〜第4のセレクタ245〜248によって画像データの処理の選択が行われる。
このように構成された繋ぎ目補正処理回路200および網点検出回路201では、重なり部分の画像データD4、D5は、網点検出回路201の網点検出結果Aにより処理経路が決定される。すなわち、データD4、D5が文字画像(非網点領域)であると判断されたときには、検出結果は"0"となり、各セレクタ245〜248では"0"が選択され、データD4およびD5に対し、繋ぎ目補正処理回路200による繋ぎ目補正処理が行われる。繋ぎ目補正処理では、上記の各実施の形態の場合同様、3次関数コンボリューション法によるが予測画素の値の算出がなされ、さらに、重み付け係数が乗算され、画像データD4およびD5の補正結果が更に色補正部125で補正された後、1ライン化処理部123により1ライン化がなされて出力される。
網点検出はライン毎に行うことが可能であり、網点検出回路201からの結果Aが文字(0)(非網点領域)の場合には繋ぎ目補正処理が選択される。また、網点検出回路201からの結果Aが網点文字(1)(網点領域)の場合には、繋ぎ目補正処理が迂回される迂回処理が選択されるようにすることができる。
ただし、網点検出回路201による判定の結果に関わらず、ユーザによる操作部115からの設定行為によるレジスタの設定によりセレクタ245,246,247,248によって繋ぎ目補正処理を行うかどうかを選択するようにすることも可能である。3次関数コンボリューション法、重み付け係数を選択して乗算する方法は前述の実施の形態2の場合と同様の方法で行われる。
このように実施の形態4では、画像データを認識し、重なり部分の画像が文字画像であった場合には、重なり部分につき、3次関数コンボリューション法を用いた予想画素の値を算出し、任意の重み付け係数を選択して乗算し、加算処理を行う。一方、画像が網点であった場合には、ライン毎に重なり部分に補正処理を行うか、迂回するかを選択し、加算処理を行って補正後のデータを得る。
〔作用効果〕
1)各イメージセンサの重なり部分の画像データを取得し、イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じた補正係数を使用した補正を行い、さらに隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算し、双方の画像データを足し合わせることによって重なり部分の画像データを補正するので、重なり部分を目立たなくすることができる。
2)繋ぎ目補正処理において、色見の変化を抑制し、より原稿に近い画像のデータを得ることができる。
3)補正係数、重み付け係数を複数の中から任意に選択するので、用途に応じた補正処理を行うことができる。
4)重なり部分の画像データが網点画像であるか非網点画像であるかを認識するものであって、その網点判定領域を任意に設定できる構成の網点検出手段を備え、網点画像である場合はライン毎に繋ぎ目補正処理を行うラインと行わないラインとを組み合わせることができるので、繋ぎ目が網点画像であった場合でも画像の濃度低下やかすれ、欠落を防止することが可能となる。
5)繋ぎ目補正処理を行うライン数と行わないライン数を任意に設定することにより、用途に応じた補正処理を行うことができる。
6)網点画像であると判定された場合に重なり部分に行う繋ぎ目補正処理を行う画素数を少なくすることにより、用途に応じた最適な網点部分の繋ぎ目の補正処理を行うことができる。
7)ライン毎に網点判定を行い、網点画像であるラインでは繋ぎ目補正処理を行わず、非網点画像である場合のみ繋ぎ目補正処理を行うことにより、繋ぎ目が網点画像であった場合でも画像の欠落を防止することができる。
8)ライン毎に網点判定を行い、非網点画像である場合のみ繋ぎ目補正処理を行い、網点画像であるラインでは繋ぎ目補正処理を行う画素数を少なくすることにより、用途に応じた網点部分の繋ぎ目の補正処理を行うことができる。
<実施の形態5>
実施の形態5は、上述の各実施の形態による画像読取装置におけるライン合成処理部120の機能を、コンピュータに実行させるための、画像データ処理プログラムをコンピュータに実行させることによって実現する場合の実施の形態である。
当該実施の形態5では、図31に示す如く、上記ライン合成処理部120をCPU10及びメモリ20を含むコンピュータで構成することができる。当該実施の形態では、上述したライン合成処理部120に含まれる各部の処理は、CPU10に当該処理を実行させるためのプログラムをメモリ20に格納し、CPU10がメモリ20から当該プログラムを読み出して当該プログラムに記載された命令を順次実行することにより実現される。
すなわち、隣接するイメージセンサの読み取り部分を所定の画素数だけ主走査方向に千鳥状に重ねて配置した読み取り手段と、各イメージセンサの重なり部分の画像データを取得する取得手段とを備えた画像読取装置において、上記重ねて配置した部分(すなわち重なり部分)の画像データを補正し繋げる繋ぎ目補正処理手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを設ける。当該プログラムは、コンピュータに以下の各処理を実行させるためのプログラムである。(a)繋ぎ目補正処理手段として、イメージセンサの位置にズレが生じている場合はそのズレの大きさに応じて、取得した画像データに補正係数を乗算して予想画素の値を算出し、当該予想画素の値を補正画像データとして得る処理。(b)上記補正画像データに対し、隣接したイメージセンサの双方の主走査方向の位置に応じた重み付け係数を乗算する処理。(c)重み付け係数が乗算された補正画像データを加算して重なり部分の画像データを生成する処理。(d)読み取り手段によって読み取った画像データがカラー画像もののであるかモノクロ画像のものであるかを判定する処理。
上記コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
これにより、画像データ処理プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、上記実施の形態1〜4のいずれの実施の形態による画像読取装置や画像読取装置を実現することができる。
このような画像データ処理プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されて使用される。
ここで当該記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、HDD(Hard Disc Driver)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリが挙げられる。
<シミュレーション結果>
図32は上記各実施の形態の作用効果を示すためのシミュレーション結果を示す図である。
図32、(a)が、上記各実施の形態の画像読取装置が読み取る原稿画像を示し、(b)が上記繋ぎ目補正処理のうち、上記乗算回路による階段状の重み付けによる処理のみを実施した結果得られた画像データを示し、(c)が上記繋ぎ目補正処理のうち、上記3次関数コンボリューション部による予想画素の値の算出および上記乗算回路による階段状の重み付けによる処理の両方を実施した結果得られた画像データを示す。
上記原稿画像は、12画素×12画素の範囲に、画素値が240[digit]、1画素幅のラインを2本描いたものである。上記2本のライン以外の部分、すなわち背景部分の画素値は255[digit]である。当該原稿画像を読み取る、隣接するイメージセンサ同士の重なり部分の画素は図32,(a)中、中央部分の8画素であり、上記隣接するイメージセンサ間の位置ズレ量として、7/8画素分のズレがあった場合を想定している。
図32,(b)の場合、すなわち上記繋ぎ目補正処理のうち、上記乗算回路による階段状の重み付けによる処理のみを実施した結果得られた画像データにおいて、上記2本のライン中、左側のラインの画素値が241[digit](すなわち原稿画像との濃度差は1[digit])であり、右側のラインの画素値が246[digit](すなわち原稿画像との濃度差は6[digit])であった。他方、図32,(c)の場合、すなわち上記繋ぎ目補正処理のうち、上記3次関数コンボリューション部による予想画素の値の算出および上記乗算回路による階段状の重み付けによる処理の両方を実施した結果得られた画像データにおいて、左側のラインの画素値が241[digit](すなわち原稿画像との濃度差は1[digit])であり、右側のラインの画素値が243[digit](すなわち原稿画像との濃度差は3[digit])であった。したがって上記繋ぎ目補正処理のうち、上記3次関数コンボリューション部による予想画素の値の算出および上記乗算回路による階段状の重み付けによる処理の両方を実施した結果得られた画像データの方が、右側のラインの画素値が3[digit]分、原稿画像のものに近い濃度であった。すなわち上記3次関数コンボリューション部による予想画素の値の算出および上記乗算回路による階段状の重み付けによる処理の両方を実施した方が、乗算回路による階段状の重み付けによる処理のみを実施した場合に比し、原稿画像に近い画像データが得られた。
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。