この発明に係る気泡検出装置は、4種類の態様を採用することができる。これら4種類の態様は、測温手段における気泡付着を判別する気泡付着判別手段を有する点において、共通する。
前記4種類の態様としては、
測温手段、記憶手段及び気泡付着判別手段を備えた気泡検出装置(以下、この態様を「第1気泡検出装置」と称することがある。)、
脈動手段、測温手段及び気泡付着判別手段を備えた気泡検出装置(以下、この態様を「第2気泡検出装置」と称することがある。)、
複数の測温手段、気泡付着判別手段を備えた気泡検出装置(以下、この態様を「第3気泡検出装置」と称することがある。)、並びに
測温手段、加熱手段、制御手段及び気泡付着判別手段を備えた気泡検出装置(以下、この態様を「第4気泡検出装置」と称することがある。)
を挙げることができる。これら第1気泡検出装置、第2気泡検出装置、第3気泡検出装置及び第4気泡検出装置はいずれも、気泡と流路内を流通する液体との温度変化のし易さの違いに因って生じる温度差を利用することにより、気泡の測温手段への付着を検出する。なお、第1気泡検出装置、第2気泡検出装置及び第3気泡検出装置の各呼称における序数は、単にそれぞれを区別することができるように付しているに過ぎず、重要性についての序列でもなく、また、いずれかの態様が概念として広いという訳ではない。
先ず、第1気泡検出装置について、図1を参照しつつ説明する。この発明の気泡検出装置の一例である第1気泡検出装置1は、上述したように、測温手段2、記憶手段3及び気泡付着判別手段4Aを備えている。
第1気泡検出装置1における測温手段2は、流路5内を流通する液体例えば試料液の温度を測定する手段であり、例えばサーミスタ、熱電対、測温抵抗体、サーマルダイオード(thermal diode)を用いて形成されることができる。また、測温手段2は、測温結果を電気信号として後述の気泡付着判別手段4Aに出力する。
第1気泡検出装置1における記憶手段3は、予め設定される温度上限値又は温度変化率を記憶する手段である。なお、記憶手段3は、温度上限値又は温度変化率を電気信号として後述の気泡付着判別手段4Aに出力する。
第1気泡検出装置1における気泡付着判別手段4Aは、前記測温手段2の測温結果と前記温度上限値とに基づいて、又は前記測温手段から出力される測温結果から求められる温度変化率に基づいて、気泡が測温手段2に付着しているか否かを判別する手段である。この気泡付着判別手段は、測温手段に付着して測温手段に滞留する気泡と流路内を流通する液体とが熱を蓄積する程度が相違することに基づいて測温手段における気泡付着を判定しようとする。
気泡付着判別手段4Aが温度上限値に基づいて気泡付着を判別する場合について、以下に説明する。
流通路内に液体を流通させない状態、つまり測温手段2の雰囲気が空気である状態で、測温手段2により室温を測定しておく。次いで、流通路内に液体を流通させ、前記測温手段2で、流通する液体の温度(液温)を測定する。前記測定された室温の温度Tと前記液温tとの温度範囲内で、閾値温度を決定する。そこで、第1気泡検出装置1を有する生体成分測定装置を操作する場合に、前記流通路内を流通する液体の温度を測定する測温手段2から出力される検出温度が前記閾値温度を超えると、気泡付着判別手段4Aは、気泡が測温手段2に付着していると判別するように設定される。このように判別をするのは、通常、室温と液温とを比較すると、液温が蒸発熱により室温よりも低くなることを基礎にしている。室温の上下が大きくない環境下では上記手法が気泡付着判別に有効である。
前記記憶手段3は、予め設定された前記閾値温度を記憶しておく代わりに、予め設定された温度変化率を、記憶しておくこともできる。したがって、この第1気泡検出装置1は、前記温度手段2の測温結果と予め設定された温度変化率とに基づいて、気泡が測温手段2に付着しているか否かを判別する気泡付着判別手段4Aを有することもできる。
所定の温度変化率を記憶する記憶手段3を有する第1気泡検出装置1においては、測温手段2が時刻t1に試料液の温度T1を測定してその温度T1を示すデータを気泡付着判別手段4Aに出力する。気泡付着判別手段4Aは、その内部メモリにて前記温度T1を一時的に記憶する。前記時刻t1後である時刻t2となった時点で、測温手段2が試料液の温度T2を測定してその温度T2を示すデータを気泡付着判別手段4Aに出力する。気泡付着判別手段4Aは、この時刻t2における温度T2と時刻t1における温度T1とから温度の変化率(以下において、「温度変化率」と称することがある。)を演算する。算出された温度変化率が所定値に達している場合は、気泡付着判別手段4Aは、測温手段に気泡が付着していると判別する。すなわち、気泡付着判別手段4Aは、所定の時間(t2−t1)で変化する温度(T2−T1)が所定値に達している場合には、気泡が測温手段2に付着していると判別する。逆に、温度(T2−T1)が所定値に達していない場合には、気泡付着判別手段4Aは、気泡が測温手段2に付着することなく、正常に液体が流路5内を流通していると判別する。
前記温度変化率は、流通する液体の温度特性及び混入し得る気泡の温度特性等に応じて決定することができる。
温度上限値と測温手段で検出される温度との比較により気泡付着を検出する手法、及び所定時間内における温度上昇率を観察することにより気泡付着を検出する手法は、いずれも、測温手段に付着する気泡の熱容量と流通する液体の熱容量との相違に基づいて気泡を検出しようとする。
温度変化率に基づいて気泡付着を検出する第1気体検出装置は、この第1気体検出装置が配置されている環境における温度による影響を受けずに、また、液体例えば試料液の温度に左右されずに、測温手段における気泡の付着を検出することができる。
この第1気泡検出装置1を生体成分測定装置例えば人工膵臓装置に装備する場合には、前記生体成分測定装置は、第1気泡検出装置1によって気泡の付着が検出された場合に、例えば警報等を鳴動させて操作者に対して気泡の検出を報知することができるように、警報手段を設けておくのが好ましい。
第1気泡検出装置1の設計変更として、例えば流路5中の測温手段2近傍を流通する液体を加熱する加熱手段(図示せず)を取り付けることを挙げることができる。この加熱手段を設けるのは、流路内を流通する試料液を加熱手段により加熱するとともに、流路内を流通する試料液の温度を測温手段2により測定し、測温手段2により測定された試料液の温度に応じて加熱手段による試料液の加熱を制御することにより試料液の温度を一定に維持することを、目的とする。加熱手段を取り付ける位置は測温手段2の近傍である限り種々の取り付け位置を挙げることができ、測温手段2の水平方向における周囲のいずれかの位置、及び測温手段2の直下位置を挙げることができる。
加熱手段を有する第1気泡検出装置1にあっては、測温手段2に気泡が付着しない場合には、加熱手段により加熱された試料液の温度が測温手段2により測定され、その測定された温度に応じて加熱手段による加熱の程度を制御することにより試料液の温度が所定の温度に維持されるという前記目的を達成することができるものの、何らかの理由により測温手段2に気泡が付着すると、測温手段2に付着する気泡の温度が、流路内を流通する液体例えば試料液の温度よりも高くなる。加熱手段が設けられていると、測温手段2に付着した気泡の温度上昇が促進される。よって、測温手段2に気泡が付着している場合には、測温手段3から出力される温度結果が記憶手段3に記憶されている温度上限値に達するまでの時間が短縮されるので、気泡の付着を迅速にかつ正確に検出することができる。
次に、第2気泡検出装置について、図2を参照しつつ説明する。この発明の気泡検出装置の一例である第2気泡検出装置6は、上述したように、脈動手段7、測温手段2及び気泡付着判別手段4Bを備えている。なお、第2気泡検出装置6における流路5と、前記第1気泡検出装置1における流路5とは、同一部材及び同一構造にて形成することができる。
第2気泡検出装置6における脈動手段7は、流路5内を流通する液体例えば試料液の流量を一定間隔で変化させる手段である。この脈動手段7は、流路5内を流通する液体の流量を変化させることができる限り様々の構造を有する部材を採用して形成することができ、例えば、開閉弁、しごきポンプ、ダイヤ不ラムポンプ等を採用して形成することができる。
また、第2気泡検出装置6における測温手段2は、前記第1気泡検出装置1における測温手段2と同様の構造を有し、また同様に形成されることができ、流路5内を流通する液体の温度を測定することができる限り様々の製品又は部品を使用して形成することができる。測温手段2は、測温結果を電気信号として後述の気泡付着判別手段4Bに出力する。
更に、第2気泡検出装置6における気泡付着判別手段4Bは、前記測温手段2から出力されるデータに基づく温度が経時的に変化する傾向に基づいて気泡付着の有無を判別する手段である。詳しく言うと、前記脈動手段7によってその流量に脈動が生じている液体は、時系列にみると、単位時間あたりの流通する容積が大きい期間と流通する容積の小さい期間とが交互に現れるように、流通している。単位時間あたりの流通する液体の容積が小さい期間においては、流路中を流通する液体の温度は上昇し易く、一方、単位時間あたりの流通する液体の容積が大きい期間においては、流路中を流通する液体の温度は上昇し難い。したがって、前記測温手段2は、流路内を流通する液体に生じる脈動に合わせて上下する液体の温度を測定することとなるので、流量が少ない場合には相対的に高温となり、かつ流量が多い場合には相対的に低温となる測温結果が得られる。もしも、測温手段2に気泡が付着すると、測温手段2は、脈動する液体の温度を測定するのではなく気泡の温度を測定し、その温度測定データを気泡付着判別手段4Bに出力することになる。気泡の温度は、流通する液体の脈動に応じた温度変化がないか、無視可能な程度に温度変化が小さい。したがって、前記気泡付着判別手段4Bでは、流通する液体の脈動に対応する温度の脈動変化が小さいか消失してしてしまい、測温手段2から出力される温度変化における振幅又は最高温度と最低温度との温度間隔が一定値以下となったときに、測温手段に気泡が付着していると判別する。
第2気泡検出装置6の設計変更として、前記第1気泡検出装置1と同様に、例えば流路5中の測温手段2近傍を流通する液体を加熱する加熱手段(図示せず)を取り付けることができる。加熱手段を設けることにより、測温手段2近傍の液体及び/又は測温手段2に付着した気泡の温度上昇が促進される。よって、測温手段2に気泡が付着している場合には、加熱されることにより温度の上下幅が大きくなるので、気泡の付着をより一層正確に検出することができる。加熱手段の取付位置は、前記第1気泡検出装置におけるのと同様にすることができる。
流路5内に気泡が混入して前記測温手段2に気泡が付着した場合には、測温手段2と流通する液体とが付着した気泡により断熱状態となるので、測温手段2で測定される温度は、液体の脈動に合わせて温度が変化し難くなる。すなわち、気泡が付着した前記測温手段2が測温した結果として、気泡が付着していない場合に液体の脈動に対応して変化する温度変化よりも小さな変化となって現れる温度変化である態様、又は気泡の温度変化が無く、温度変化自体を測定できなくなる態様が生じ得る。
よって、第2気泡検出装置6は、本来、脈動に合わせて上下していたであろう液体の温度において、上下幅が小さくなること又は無くなることで気泡を検出したと判別する。更に言うと、第2気泡検出装置6が気泡を検出した場合に、例えば警報等を鳴動させて操作者に対して気泡の検出を報知することもできる。
続いて、第3気泡検出装置8について、図3を参照しつつ説明する。この発明の気泡検出装置の一例である第3気泡検出装置8は、上述したように、第1測温手段2A、第2測温手段2B及び気泡付着判別手段4Cを備えている。なお、第3気泡検出装置8における流路5と、前記第1気泡検出装置1における流路5とは、同様の構造又は構成にすることができる。また、この発明の気泡検出装置における複数の測温手段は、図3に示される2個に限らず、3個以上でも良い。
第3気泡検出装置における複数の測温手段は、流路内の異なる位置に設置され、かつ液体の温度を測定する手段である。各測温手段は、第1気泡検出装置における測温手段と同様の構造又は構成とすることができる。図3に示されるように、第3気泡検出装置8における第1測温手段2Aは、上流側の液体の温度を測定し、第2測温手段2Bは、下流側の液体の温度を測定する部材である。
第3気泡検出装置8における気泡付着判別手段4Cは、第1測温手段2A及び第2測温手段2Bの測温結果に基づいて気泡の付着の有無を判別する手段である。前記第1測温手段2A及び前記第2測温手段2Bそれぞれは測温結果として測定データである電気信号を前記気泡付着判別手段4Cに出力する。前記気泡付着判別手段4Cは、第1測温手段2A及び第2測温手段2Bから出力される測温結果の差が大きい場合、又は測温結果の差の微分値を算出して温度変化の傾向が一定の範囲外である場合には、第1測温手段2A又は第2測温手段2Bに気泡が付着していると判別する。逆に、第1測温手段2A及び第2測温手段2Bから出力される測温結果の差又は温度変化の傾向が一定である場合には、気泡が第1測温手段2A又は第2測温手段2Bに付着することなく正常に液体が流通しているとみなして判別する。もっとも、第1測温手段2A及び第2測温手段2Bのいずれにも気泡が付着してしまうことが有り得るが、その場合においても「いずれの測温手段にも気泡が付着していないとみなし」てしまうことになる。このようなレアケースに基づく事故を防止するには、測温手段の数を例えば3個以上の多数にすること、複数の測温手段に振動装置を装着すること等を採用するのが、好ましい。
複数の測温手段に振動装置を設ける場合、複数の測温手段から出力される温度検出データ即ち温度を示す電気信号を入力する気泡付着判別手段が、複数の温度検出データを比較することにより、複数の測温手段で測定された温度の差が所定の範囲内つまり閾値以下であること、又は、各測温手段で測定された温度の変化の傾向が所定の範囲内つまり閾値以下であることを演算により確認した後に、前記振動装置に駆動信号を出力してその振動装置を振動させる。そうすると、複数の測温手段のいずれにも気泡が付着している場合には、振動装置により測温手段から気泡が脱離する。気泡の脱離により複数の測温手段にはもはや気泡が付着していない状態となる。そうすると、複数の測温手段から出力される測定温度の相互の差分は、いずれも閾値の範囲内に収まり、又は複数の測温手段から出力される測定温度の変化傾向はいずれもほぼ同じ傾向となるので、複数の測温手段のいずれにも気泡が付着していないと、気泡付着判別手段は確定的な結論を出力することができる。
第3気泡検出装置8の設計変更として、前記第1気泡検出装置1と同様に、例えば流路5中の第1測温手段2A及び第2測温手段2B近傍を流通する液体を加熱する加熱手段(図示せず)を取り付けることができる。加熱手段を設けることにより、第1測温手段2A及び第2測温手段2B近傍の液体、並びに/又は、第1測温手段2A若しくは第2測温手段2Bに付着した気泡の温度上昇が促進される。よって、第1測温手段2A又は第2測温手段2Bに気泡が付着している場合には、それぞれの温度変化の差が顕著となるので、気泡の付着をより一層正確に検出することができる。加熱手段の取付位置は、前記第1気泡検出装置におけるのと同様にすることができる。
仮に、前記第1測温手段2Aに気泡が付着した場合には、気泡が付着した第1測温手段2Aは流通する液体に比べて温度変化し易い気泡の温度を測定し、気泡が付着していない第2測温手段2Bは流通する液体の温度を測定することとなる。したがって、第1測温手段2Aからは、第2測温手段2Bが出力する温度データによる測定温度よりも相対的に高い温度を示す温度データが測温結果として気泡付着判別手段4Cに出力され、かつ第2測温手段2Bからは、第1測温手段2Aが出力する温度データによる測定温度よりも相対的に低い温度を示す測温データが測温結果として気泡付着判別手段4Cに出力される。これにより、第1測温手段2Aの測温結果と第2測温手段2Bの測温結果との差が大きいので、気泡付着判別手段4Cは、気泡が第1測温手段2A又は第2測温手段2Bに付着していると判別することができる。また、第1測温手段2Aの測温結果と第2測温手段2Bの測温結果との差を微分して算出される値は、一方の測温手段に気泡が付着していると、減少し続ける状態又は増加し続ける状態となるので、気泡付着判別手段4Cは、気泡が第1測温手段2A又は第2測温手段2Bに気泡が付着していると判別することができる。更に言うと、第3気泡検出装置8が気泡を検出した場合に、例えば警報等を鳴動させて操作者に対して気泡の検出を報知することもできる。
次いで、第4気泡検出装置について、図4を参照しつつ説明する。この発明の気泡検出装置の一例である第4気泡検出装置9は、上述したように、測温手段2C、加熱手段10、制御手段11及び気泡付着判別手段4Dを備えている。
第4気泡検出装置9における測温手段2Cは、流路5内を流通する液体の温度を測定する手段である。なお、測温手段2Cと、前記第1気泡検出装置1及び前記第2気泡検出装置6における測温手段2とは、第3気泡検出装置9における測温手段2Cはその測温結果を電気信号として後述の制御手段11に出力するに対し、前記第1気泡検出装置1及び前記第2気泡検出装置6における測温手段2はその測温結果を電気信号として気泡付着判別手段に出力する点において、相違する。
前記加熱手段10は、前記測温手段2C近傍の液体を加熱する部材である。なお、加熱手段10は、後述の制御手段11によって制御されることにより、流路内を流通する液体に供給する熱の供給量を制御する。加熱手段10の取付位置は、前記第1気泡検出装置におけるのと同様にすることができる。
制御手段11は、前記測温手段2Cから出力された測温結果に基づいて加熱手段10による加熱状態を制御する部材である。制御手段11は、加熱手段10の制御状態を電気信号として後述の気泡付着判別手段4Dに出力する。この制御手段11は、測温手段2Cの測温結果が予め設定される温度に達していない場合には、加熱手段10に測温手段2C近傍の液体を加熱し続けるように制御信号を出力し、逆に測温手段2Cの測温結果が予め設定される温度に達している場合には、加熱手段10に測温手段2C近傍の液体の加熱を停止するように制御信号を出力する。
第4気泡検出装置9における気泡付着判別手段4Dは、前記制御手段11から出力される制御状態に基づいて、気泡の付着の有無を判別する手段である。
詳しく言うと、流通している液体は、その流体が測温手段2Cに接触する部位において、流通しているが故に液体は常に交換されている。換言すると、測温手段2Cに接触した液体は直ちに流れ去り、流れ去った液体の元の部位に新たなる液体が位置する。このような表現はミクロに観察した場合の記述であって、実際には、測温手段2Cに液体が流通し続けている。そうすると、測温手段2Cが測定しようとする液体は常に流通しており、測温手段2Cに接触した液体は何らかの原因により熱を吸収しても直ちに流れ去ってしまうので、最終的には、測温手段2Cに接触する液体は熱の蓄積による温度上昇はないか、限りなく小さいので、測温手段2Cは、流通する液体の、環境温度に左右されない温度を測定することになる。一方、測温手段2Cに気泡が付着すると、気泡は測温手段2Cに付着した状態が継続するので環境温度による熱がその気泡に蓄積されることになる。そうすると、気泡の付着がなくて流通する液体に接触する測温手段2Cから出力される温度データに基づく測定温度よりも、気泡が付着する測温手段2Cから出力される温度データに基づく測定温度のほうが、相対的に高くなる。
複数の測温手段2Cそれぞれから高い測定温度である温度データと相対的に低い測定温度である温度データとを入力する制御手段11は、高い測定温度である温度データを出力する測温手段には加熱手段による加熱を実行させる制御信号を出力せず、又は加熱手段による加熱を停止させる加熱駆動停止信号を出力し、一方では、相対的に低い測定温度である温度データを出力する測温手段には加熱手段による加熱を実行させる制御信号を出力する。複数の測温手段2Cに出力される、加熱実行を指示する制御信号は、気泡付着判別手段4Dにも出力される。
気泡付着判別手段4Dは、制御手段11から制御信号が出力されない期間を計測し、又は加熱駆動停止信号が出力されている期間を計測し、その計測した期間が所定の時間に一致すると、その制御信号が出力されない測温手段、又は加熱駆動停止信号が出力されている測温手段には気泡が付着していると、判別する。また、気泡付着判別手段4Dにおいては、別の判別態様として、制御手段11のデューティー比を算出することにより、制御状態の時間比から気泡の付着を検出することもできる。
この発明の気泡検出装置の実施態様、すなわち第1気泡検出装置、第2気泡検出装置、第3気泡検出装置及び第4気泡検出装置は、それぞれの測温手段が測定する温度が変化することにより、気泡の付着を正確に検出することができる。
好ましくは、上述した第1気泡検出装置1、第2気泡検出装置6、第3気泡検出装置8及び第4気泡検出装置9が気泡を検出した場合に、加振手段を気泡検出装置に設けておくと、流路又は測温手段に自動で振動を加えることにより、付着した気泡を除去することができるようになる。これにより、この発明の気泡検出装置が気泡を検出しても、使用者が気泡を手動で除去する必要がなく、測温手段に付着する気泡が自動的に除去されることになる。
この発明に係る気泡検出装置は、測温手段等の種々の検知手段への気泡の付着を監視すべき流路を有する装置に組み込まれることにより、気泡の付着を正確に検出することができる。気泡の付着を監視すべき流路を有する装置としては、例えば生体成分測定装置を挙げることができる。以下、この発明に係る気泡検出装置を備える生体成分測定装置を、本発明として説明することとする。
この発明に係る生体成分測定装置は、医療行為の実施をするに当り、測定すべき生体成分を測定する装置である。なお、この発明の生体成分測定装置は、医療機器に組み込まれても良い。
前記生体成分としては、例えばグルコース、尿素、尿酸、乳糖、ショ糖、ラクテート(乳酸)、エタノール、グルタミン酸、アンモニア、クレアチニン、酸素等が挙げられる。なお、医療行為を実施する際には、場合により生体液中のpH値、酸素濃度等を測定する必要がある。この発明の生体成分測定装置においては、生体成分なる概念に生体液のpH値、酸素濃度等を含める。
前記生体成分測定装置は、例えばインスリンを生体に供給する人工膵臓装置、透析を行う人工透析装置、生体の体液中に含まれる尿素の濃度を測定する尿素濃度計、生体の体液中に含まれる尿酸の濃度を測定する尿酸濃度計、生体の体液中に含まれる糖分例えば乳糖、蔗糖等を測定する糖分測定装置、ラクテート等を測定する乳酸測定装置、生体中のグルタミン酸濃度を測定するグルタミン酸濃度計、体液中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計、体液中のクレアチニンの濃度を測定するクレアチニン濃度計等を挙げることができる。
これら各種の生体成分測定装置は、前記生体成分を測定する生体成分センサを装備する。この生体成分センサは、生体成分の種類に応じて各種のセンサを採用することができる。
前記生体成分センサ(以下において「バイオセンサ」と称することがある。)として、例えば、酵素を用いた酵素センサ、微生物を用いた微生物センサ、酵素と微生物とを用いたハイブリッド型センサ等が挙げられる。
このようなバイオセンサにおいて固定化される酵素又は微生物は、測定される被測定対象物つまり生体成分に応じて選択される。例えば、被測定対象物がグルコースであるときにはβ−D−グルコースオキシダーゼ、Pseudomonas fluorecens、被測定対象物が尿素であるときにはウレアーゼ、被測定対象物が尿酸であるときにはウリカーゼ、被測定対象物がラクテートであるときにはラクテートオキシダーゼ、被測定対象物が乳糖であるときにはラクターゼ又はβ−ガラクトシダーゼ、被測定対象物がエタノールであるときにはアルコールオキシダーゼ、Trichosporon brassicaes、被測定対象物がグルタミン酸であるときにはグルタメートデヒドロゲナーゼ、Escherichia coli、被測定対象物がアンモニアであるときには硝化細菌等が選択される。
この発明に係る生体成分測定装置においては、測定可能な生体成分は一種であっても二種以上であってもよい。測定する生体成分が二種以上であるときには、生体から採取した体液そのままを試料液として、又は前記体液を希釈液で希釈してなる試料液を移送する体液移送流路の途中に二種以上のバイオセンサを接続するとよい。また、複数の生体成分を測定するときには、前記体液移送流路を複数に分岐させ、各分岐流路に一つ又は二つ以上のバイオセンサを接続させることもできる。
この発明の生体成分測定装置は、強制的又は積極的に一方向にかつ定量的に体液等の液体を移送する流体移送手段と流通路とが協働して移送することのできる流通路を搭載していると、好ましい。なお、流通路で流通させようとする流体の種類としては、生体から採取したままの体液例えば血液、尿、リンパ液、髄液等、生体から採取した体液と他の液例えば生理食塩水、ヘパリン含有液等の体液希釈用液との混合液、バイオセンサを較正する較正液、体液移送流路を較正する較正液(この較正液を、前記「バイオセンサを較正する較正液」と区別するために、「第2較正液」と称することがある。)、バイオセンサと体液移送流路とにおける経時変化を同時に較正する較正液(この較正液を、前記「バイオセンサを較正する較正液」及び「第2較正液」と区別するために、「第3較正液」と称することがある。)、及び生体成分を測定し終わった後の廃液等を挙げることができる。更に言うと、この発明の生体成分測定装置における流通路は、複数に機能分化した複数種の流通路の総称である。生体成分測定装置における流通路は、この発明に係る気泡検出装置における流路でもある。また、機能分化した複数種の流通路のうち、ある流通路は生体から採取した体液と他の液との混合液を流通させ、別の流通路は較正液を流通させるとともに、さらに別の流通路は前記気泡検出装置における流路である。
以下に、この発明に係る生体成分測定装置の一例として、人工膵臓装置について図面を参照しつつ説明する。この人工膵臓装置は、人工膵臓装置本体と、この人工膵臓装置本体に着脱自在に装着されるグルコース測定装置(なお、以下において「血糖値測定装置」と称することがある。)とを有する。なお、この発明の気泡検出装置の実施態様である第1気泡検出装置、第2気泡検出装置、第3気泡検出装置及び第4気泡検出装置は、上述したように、正確に気泡の付着を検出することができる点において、その技術的効果が共通している。よって、以下に示す血糖値測定装置として、第1気泡検出装置1を組み込んだ態様を示すこととする。
図5に示される血糖値測定装置12は、第1気泡検出装置1と、基板13と、生理食塩水用タンク14と、希釈液用タンク15と、較正液用タンク16と、廃液用タンク17と、グルコースセンサ18と、カテーテル19と、混合部20と、各種流通路とを備えている。前記各種流通路としては、グルコース測定流路21と、較正液移送流路22と、希釈液移送流路23と、第2希釈液移送流路24と、廃液移送流路25と、試料液移送流路26と、生理食塩水移送流路27と、試料液導入路28と、試料液導出路29とを挙げることができる。また、上述の流通路の途中には、各種流通路中の流体の流通を切り替えることのできる第1流路切替部30及び第2流路切替部31が付設されている。各種流通路は、コネクタ32により着脱自在に接続されている。
この発明に係る生体成分測定装置例えば人工膵臓装置は、生体成分測定装置本体特に人工膵臓装置本体と、この生体成分測定装置本体特に人工膵臓装置本体に着脱自在に装着される基板とで形成されることができる。
前記基板13には、面から裏へと貫通するように開口する開口部33が設けられる。この開口部33には、各種の流通路が張り渡される。また、この基板13を生体成分測定装置本体特に人工膵臓装置本体に装着した場合に、生体成分測定装置本体特に人工膵臓装置本体に供えられているところ、回転軸(図示せず。)に対して半径方向に延在する複数の腕部材(図示せず。)の先端部に回転可能に装着されたローラ(図示せず。)と、基板13とは別体となっているとともに、前記腕部材の回転により形成される前記ローラの回転軌跡に沿って湾曲する押圧背面湾曲板と、前記ローラと押圧背面湾曲板とに挟まれる前記流通路とで、ローラポンプが形成される。
このようなローラポンプが駆動すると、つまり前記腕部材が前記回転軸を中心にして円を描くように回転すると、前記押圧背面湾曲板に流通路がローラで押しつぶされるとともに、前記押圧背面湾曲板にローラが押し付けられた状態のままに前記回動する前記ローラにより前記ローラがしごかれ、ローラのしごきにより流通路内の液体が移送される。
基板13は、第1気泡検出装置1及び種々の液体を貯留可能なタンクと接続され、前記各種流通路が配置され、かつ適宜の接液品に接続されている。なお、基板13は、血糖値測定装置12が設置される環境に応じて、その形状、材料及び大きさを適宜に決定することができる。
例えば、柔軟性を有する薄いシートで形成された基板の厚みとしては、0.01〜3mm、好ましくは0.05〜0.5mmを挙げることができる。基板の硬さとしては、10度以上90度以下(JIS K 6253、デュロメータタイプA(ショアA))であることが好ましい。基板の材料としては、基板を介してローラが流通路をしごくことにより流通路内の流体を移送することができれば特に限定されず、例えば、軟質PVC、各種エラストマー、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(PTFE、ETFE、PFA、FEP等)及びゴム類(天然ゴム、NBR、CR、FKM、FFKM、VQM等の合成ゴム等)等を挙げることができる。
前記生理食塩水用タンク14には生理食塩水が貯留され、希釈液用タンク15には採取した血液を希釈する希釈液が貯留され、較正液用タンク16にはセンサを較正する較正液が貯留され、廃液用タンク17には血糖値測定後の流体及び較正後の較正液等の廃液が貯留される。このような機能を満たす限り、前記生理食塩水用タンク14、前記希釈液用タンク15、前記較正液用タンク16、前記廃液用タンク17は適宜の材質で適宜の形状に形成することができる。
グルコースセンサ18は、血液と希釈液とが混合されて得られる試料液に含まれるグルコース濃度を測定する部材である。
カテーテル19は、血液を採取する部材であり、生体に留置して使用する。なお、図5に示す実施態様においては、前記カテーテル19としてダブルルーメンカテーテルを採用している。
混合部20は、前記カテーテル19が採取した血液と前記希釈液用タンク15に貯留されている希釈液とを混合する部材である。
グルコース測定流路21は、血液と希釈液とが混合部20により混合されて得られる試料液が流通する流通路である。較正液移送流路22は、グルコースセンサ18を較正する較正液が流通する流通路である。希釈液移送流路23及び第2希釈液移送流路24は、血液又は較正液を希釈する希釈液が流通する流通路である。廃液移送流路25は、血糖値測定後の試料液及びセンサ較正後の較正液が流通する流通路である。試料液移送流路26は、カテーテル17において採取された血液が流通する流通路である。生理食塩水移送流路27は、カテーテル17に導入される生理食塩水が流通する流通路である。試料液導入路28は、測定前の試料液をグルコースセンサ18に導入する流通路であり、試料液導出路29は、測定後の試料液をグルコースセンサ18から導出する流通路である。
なお、希釈液について言うと、好ましくは、グルコースセンサ18に供給される試料液のpHを一定に維持することのできる液であれば良く、例えばリン酸緩衝液を例示することができる。リン酸緩衝液を一例とする液は緩衝液とも称される。したがって、図5に示される一実施形態においては、希釈液は緩衝液であるとも言える。希釈液として緩衝液を使用すると、緩衝液により試料液のpHが一定に維持されるので、pHに対する感度の鋭敏なグルコースセンサで、患者に依存することなく、安定した血糖値測定を行うことができる。
図5に示される混合部20は、試料液移送流路26から供給される血液と、希釈液移送流路23から供給される希釈液例えば緩衝液とを混合することができる限り、様々の構造を採用することができる。この発明の生体成分測定装置の一実施態様である血糖値測定装置12においては、混合部20からグルコースセンサ18迄の流通路が短いので、グルコースセンサ18に至るまでに血液と希釈液とを十分に混合する機構を採用するのが好ましい。
この発明の一例である第1気泡検出装置1は、前記グルコース測定流路21の途中であって、第1流路切替部30とグルコースセンサ18との間に装着された測温手段2例えばサーミスタと、判別手段4Aと、記憶手段3とを備えて成る。
前記測温手段2例えばサーミスタは、前記グルコース測定流路21である管の内壁に装着され、したがって、前記グルコース測定流路21内を流通する試料液が測温手段2に接触する。
以下に、この発明の生体成分測定装置の一実施態様である血糖値測定装置12の使用方法及びその作用について、図5を参照しつつ説明する。
(i)グルコースを測定する方法及びその作用
先ず、基板13の各流通路を、それぞれ、前記生理食塩水用タンク14、前記カテーテル19、前記希釈液用タンク15、前記較正液用タンク16、前記廃液用タンク17及び分岐流路4に接続する。更に、各流通路をローラポンプ(図示せず)が作用するように配置し、第1流路切替部30及び第2流路切替部31が流体の流通を切替可能なように設置する。各流通路の接続は、各流通路の端部におけるコネクタ32と各接液品のコネクタ32とを接続することにより行われる。このようにして、血糖値測定装置12の配管接続作業が終了し、血糖値測定装置が駆動可能な状態となる。
次に、カテーテル19を生体内に留置する。続いて、生理食塩水用タンク14からカテーテル19へとヘパリン含有生理食塩水が送液される。また、このカテーテル19により採取された血液は、カテーテル19内でヘパリン含有生理食塩水と混合される。これにより、カテーテル19内のヘパリン含有血液つまり試料液が、開口部33を介して各種流通路に当接するローラポンプにしごかれることにより、試料液移送流路26内を強制的に移送され、混合部20に到達する。
一方、ローラポンプにしごかれて、希釈液用タンク15から、希釈液が希釈液移送流路23内を送液される。送液された希釈液は、混合部20に到達する。この混合部20の混合により試料液が調製される。
なお、図5に示される血糖値測定装置12では、設置場所の室温の変化、及び他の接液品の不具合等により、気泡の混入が生じ得る。仮に、様々の流通路において気泡が混入し、例えば測温手段2への気泡の付着を生じたとしても、血糖値測定装置12は、この発明の一実施態様である第1気泡検出装置1を備えているので、操作者は気泡の付着の有無を監視することができる。
図5に示される状態では、第1流路切替部30は、グルコース測定流路21に対して較正液移送流路22を不通状態にし、グルコース測定流路21と試料液移送流路26とを流通状態にしている。したがって、試料液は、グルコース測定流路21内を流通して、コネクタ32を介し、グルコースセンサ18内に注入される。グルコースセンサ18内では、試料液中のグルコースが測定される。なお、測定されたグルコースの量のデータは、操作者が認識することができるように、図示しない表示手段例えば液晶表示画面等に転送される。
グルコース測定流路21を流通する液体は、測温手段2により測温され、測温結果が気泡付着判別手段4に出力される。気泡が測温手段2に付着していない場合には、流通する液体の温度を正確に測定することができ、血糖値測定装置12の温度管理を正確に行うことができる。逆に、気泡が測温手段2に付着している場合、測温手段2は、流通する液体の温度ではなく、付着している気泡の温度を測定することとなるので、血糖値測定装置12の温度管理が正確ではなくなり、グルコースセンサ18の測定値と真の血糖値とに差異が生じてしまう。気泡付着判別手段4は、前記測温結果が記憶手段3の記憶する温度上限値を超えた場合に、気泡が測温手段2に付着していると判別することにより、気泡の付着を検出することができる。
測定の終わった試料液は、試料液導出路29、廃液移送流路25を通ってローラポンプにより、廃液移送流路25内を送液される。送液された試料液は、廃液用タンク17に達し、廃液用タンク17に貯留される。
したがって、図5に示される実施形態においては、第1気泡検出装置1により正確に気泡の測温手段への付着を監視することができるので、仮に測温手段に気泡が付着していると判別される場合には、基板13自体を適宜の部材で振動を与えること、又は基板13に、若しくはグルコース測定流路に加振手段を設けてその加振手段の駆動により基板13又はグルコース測定流路に振動を与えること、等の加振により気泡を測温手段から脱離させることができる。その結果として、血糖値測定の正確さが向上することにより、医療支援装置である生体成分測定装置例えば人工膵臓装置に対する安全性を向上させることができる。
このようにして、生体のグルコース測定が終了したら、体内に留置されたカテーテル19を抜去し、必要により、前記カテーテル19及び各流路に存在する生体の血液を前記廃液用タンク17に排出する。
(ii)グルコースセンサを洗浄する方法及びその作用
前記(i)の場合と同様にして、各流路の接続及び配置等を行う。なお、カテーテル19は生体の体内に留置されていても、されていなくてもよい。
先ず、図5に示される希釈液用タンク15から、第2流路切替部31及び第1流路切替部30を経由して、希釈液が第2希釈液移送流路24に送液される。希釈液は、第2流路切替部31を切り替えることにより、第2希釈液移送流路24から較正液移送流路22に送液される。
次に、第1流路切替部30の切り替えにより、グルコース測定流路21側を閉じる。この操作により、第2希釈液移送流路24から較正液移送流路22を経由してグルコース測定流路21に送液された希釈液は、グルコース測定流路21には流入せずに、グルコースセンサ18内へ送液される。送液された希釈液は、グルコースセンサ18内を洗浄する。
洗浄の完了した希釈液は、グルコースセンサ18外へ排出され、廃液移送流路25を介して、廃液用タンク17に達し、廃液用タンク17に貯留される。
グルコースセンサ18の洗浄が終了した血糖値測定装置12は、前記生体のグルコース測定に再度供され、又は、その使用が停止される。
(iii)グルコースセンサを較正する際の作用
先ず、前記(i)の場合と同様にして、各流通路の接続及び配置等を行う。なお、カテーテル19は生体の体内に留置されていても、されていなくてもよい。
次いで、第2流路切替部31を切り替えることにより、較正液用タンク16から、較正液が較正液移送流路22を経由してグルコース測定流路21に送液される。
次に、第1流路切替部30の切り替えにより、第1流路切替部30からグルコースセンサ18迄の流通路と較正液移送流路22とを流通状態にする。この操作により、較正液移送流路22からグルコース測定流路21に送液された較正液は、グルコースセンサ18内へ送液される。送液された較正液は、グルコースセンサ18内に達する。この際、グルコースセンサ18内では、較正液が送液された状態でデータが測定される。なお、測定されたデータは、図示しない表示手段例えば液晶表示画面等に転送される。所定の較正値に達したことを確認するまで、較正液を送液して、データが測定される。
較正が終了すると較正液は、前記ローラポンプにより、グルコースセンサ18外へ排出される。排出された較正液は、廃液移送流路25内を送液され、廃液用タンク17に達し、廃液用タンク17に貯留される。
グルコースセンサ18の較正が終了した血糖値測定装置12は、前記生体のグルコース測定に再度使用され、又は、使用を停止される。
図5に示される血糖値測定装置12は、血液中のグルコースを測定しているが、血液以外の体液を測定してもよい。このような体液としては、例えば、尿、汗、細胞間質液等を挙げることができる。
更に、血糖値測定装置12におけるカテーテル19は、血糖値測定装置12とは別体的に外部から接続されているが、この発明に係る生体成分測定装置においては、例えばカテーテル等の採血手段は、この生体成分測定装置に予め搭載されていてもよい。この場合には、前記採血手段における導入管に取り付けられたコネクタを前記生理食塩水移送流路27の他端のコネクタ32に結合すればよい。
以上のようにして、この発明に係る生体成分測定装置は、グルコース等の生体成分を測定することができるだけでなく、この発明に係る気泡検出装置を備えているので、気泡の付着を正確に監視することができる。仮に、生体成分を測定するセンサに流入する液体の温度管理が不正確である場合には、正確な生体成分の測定を行うことができないので、正確でない測定結果に基づいて生体に治療を施す可能性がある。しかしながら、この発明に係る気泡検出装置により、気泡の付着を正確に検出することができるので、生体成分の測定結果の正確さが向上することとなり、更にこの発明に係る生体成分測定装置を医療機器に組み込んでも安全性を担保することができる。