JP5095530B2 - 充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置 - Google Patents

充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置 Download PDF

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Description

本発明は、蓄電器を含む充放電システムにおいて、蓄電器の端子間電圧の異常を判定する充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置に関する。
従来より、充放電を繰り返し行う蓄電器を含む充放電システムでは、蓄電器の端子間電圧を監視することにより、断線や過電圧等の異常を判定する異常判定方法が提案されている。このような異常判定方法では、端子間電圧が上限値と下限値の間にあれば正常と判定し、端子間電圧が上限値と下限値との間から外れた場合に異常と判定していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−153758号公報
ところで、端子間電圧の異常判定に用いられる上限値と下限値は、蓄電器の使用時の端子間電圧等に基づいて一定値に設定される。このため、誤判定を抑制する等の観点から、上限値と下限値は余裕を持った値に設定されている。
一般的に、端子間電圧の異常判定は、数ミリ〜数十ミリ秒の周期で繰り返し実行されるが、断線や過電圧等の異常が発生しているときの端子間電圧が上限値と下限値の間にあり、かつ、上限値または下限値に到達するまでに数周期以上の時間(複数周期の時間)を要するような状態では、異常発生の判定が遅れるという課題があった。
断線や過電圧は蓄電器やその周辺機器の損傷に繋がる虞があるため、迅速に異常判定を行うことのできる判定方法が求められていた。
そこで、本発明は、迅速かつ正確に異常判定を行うことのできる充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置を提供することを目的とする。
本発明の一局面の充放電システムの異常判定方法は、充放電を行う蓄電器の端子間電圧を繰り返し検出し、サンプリング周期毎に前記端子間電圧の異常を判定する充放電システムの異常判定方法であって、前記蓄電器の端子間電圧を検出する第1工程と、前記第1工程で検出した端子間電圧と、前記第1工程の1周期前に検出された端子間電圧との差が所定電圧範囲内であるか否かを判定する第2工程とを含み、前記所定電圧範囲は、前記所定時間内に前記端子間電圧が変化しうる電圧変化分によって規定される。
また、前記所定電圧範囲は、前記蓄電器の許容電流値に基づいて演算される前記所定時間内における最大電流変化分と、前記蓄電器の静電容量とに基づいて導出されてもよい。
また、前記所定電圧範囲は、前記第1工程の1周期前に検出された端子間電圧に対する増大分と減少分を含み、前記増大分と前記減少分の値は異なってもよい。
また、前記蓄電器の温度を計測する第3工程をさらに含み、前記所定電圧範囲は、前記第3工程で計測される前記蓄電器の温度によって変更されてもよい。
また、前記蓄電器の電流値を検出する第4工程と、前記第4工程によって検出される電流値が所定値以下の場合には、前記蓄電器に接続される回路に断線が生じていると判定する第5工程とをさらに含んでもよい。
また、この場合、前記第5工程において前記蓄電器に接続される回路に断線が生じていると判定した場合に、前記回路に接続されている機器を停止させる第6工程をさらに含んでもよい。
また、前記蓄電器の電流を検出する第4工程と、前記第4工程によって検出される電流値が所定値以上の場合には、前記蓄電器に接続されている回路の断線を除いた異常が発生していると判定する第7工程とをさらに含んでもよい。
また、この場合に、前記第7工程において、前記異常が、前記蓄電器に接続されている回路の断線を除いた異常であると判定した場合には、前記回路に接続されている機器を停止させる第8工程をさらに含んでもよい。
本発明の一局面の充放電システムの異常判定装置は、充放電を行う蓄電器の端子間電圧を繰り返し検出し、サンプリング周期毎に前記端子間電圧の異常を判定する充放電システムの異常判定装置であって、前記蓄電器の端子間電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部で検出された端子間電圧と、当該端子間電圧の1周期前に検出された端子間電圧との差が所定電圧範囲内であるか否かを判定する電圧判定部とを含み、前記所定電圧範囲は、前記所定時間内に前記端子間電圧が変化しうる電圧変化分によって規定される。
本発明によれば、迅速かつ正確に異常判定を行うことのできる充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置を提供できるという特有の効果が得られる。
以下、本発明の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置を適用した実施の形態について説明する。ここでは、本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置が適用される充放電システムとして昇降圧コンバータを含む回路を用いる。
図1は、本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置が適用される昇降圧コンバータの回路構成を概略的に示す図である。この昇降圧コンバータ10は、リアクトル11、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)12A、降圧用IGBT12B、バッテリ13を接続するための電源接続端子14、モータ15を接続するための出力端子16、一対の出力端子16に並列に挿入される平滑用のコンデンサ17、リアクトル電流検出部18、及び過電流を防止するためのヒューズ19を備える。なお、昇降圧コンバータ10の出力端子16とモータ15との間は、DCバス20によって接続される。
リアクトル11は、一端が昇圧用IGBT12A及び降圧用IGBT12Bの中間点に接続されるとともに、他端が電源接続端子14に接続されており、昇圧用IGBT12Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス9に供給するために設けられている。
昇圧用IGBT12A及び降圧用IGBT12Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子である。昇圧用IGBT12A及び降圧用IGBT12Bは、ゲート端子にPWM(Pulse Width Modulation)電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT12A及び降圧用IGBT12Bには、整流素子であるダイオード12a及び12bが並列接続される。
バッテリ13は、昇降圧コンバータ10を介してDCバス20との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよく、本実施の形態ではコンデンサによって構成される。なお、コンデンサで構成されるバッテリ13の代わりに、充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
電源接続端子14及び出力端子16は、バッテリ13及びモータ15が接続可能な端子であればよい。電源接続端子14及び出力端子16には、電源電圧及び出力電圧を検出する電圧検出部14A及び16Aがそれぞれ配設される。電圧検出部14Aは、バッテリ13の端子間電圧値(vbat_det)を検出する。
コンデンサで構成されるバッテリ13には内部抵抗成分と静電容量成分があり、また、バッテリ13と電圧検出部との間にはヒューズ19が配設されているため、この端子間電圧値(vbat_det)は、バッテリ13の内部抵抗成分における電圧降下と、ヒューズ19の抵抗成分による電圧降下が含まれる。また、電圧検出部16Aは、DCバス20の電圧値(以下、DCバス電圧値:vdc_det)を検出する。
出力端子16に接続される負荷であるモータ15は、力行運転及び回生運転が可能な電動機であればよく、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。図1には、直流駆動用のモータ15を示すが、インバータを介して交流駆動されるモータであってもよい。
平滑用のコンデンサ17は、出力端子16の正極端子と負極端子との間に挿入され、出力電圧を平滑化できる蓄電素子であればよい。
リアクトル電流検出部18は、リアクトル11に通流する電流の値を検出可能な検出手段であればよく、電流検出用の抵抗器を含む。このリアクトル電流検出部18は、バッテリ13に通流する電流値(ibat_det)を検出する。なお、バッテリ電流値(ibat_det)は、バッテリ13からDCバス19へ流れる方向を正とする。
コントローラ100は、電圧検出部14Aによって検出されるバッテリ13の端子間電圧値(vbat_det)、電圧検出部16Aによって検出されるDCバス電圧値(vdc_det)、及びリアクトル電流検出部18によって検出される電流値(ibat_det)に基づくPI(Proportional and Integral)制御を行い、DCバス電圧値が所定範囲内に入るように、かつ、バッテリ電流値が過電流とならないように、IGBT12A及び12BのゲートにPWM電圧を印加し、昇降圧制御を行う。
[昇降圧動作]
このような昇降圧コンバータ10において、DCバス20を昇圧する際には、昇圧用IGBT12Aのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT12Bに並列に接続されたダイオード12bを介して、昇圧用IGBT12Aのオン/オフに伴ってリアクトル11に発生する誘導起電力をDCバス20に供給する。これにより、DCバス20が昇圧され、バッテリ13は放電されるため、電圧検出部14Aで検出される端子間電圧は低下する。
また、DCバス20を降圧する際には、降圧用IGBT12Bのゲート端子にPWM電圧を印加し、降圧用IGBT12Bを介して、モータ15によって発生される回生電力をDCバス20からバッテリ13に供給する。これにより、DCバス20は降圧され、DCバス20に蓄積された電力がバッテリ13に充電されるため、電圧検出部14Aで検出される端子間電圧は上昇する。
ところで、モータ15の力行運転及び回生運転に際しては、力行運転に必要な電力はDCバス20からモータ15に供給されるとともに、回生運転によって得られる電力はモータ15からDCバス20に供給されるため、DCバス20の電圧値は変動し、これにより昇降圧コンバータ10を介して充放電が行われるバッテリ13の端子間電圧も変動する。
端子間電圧の変動によって過電流や過電圧が生じると、図1に示すようなバッテリ13を含む充放電システムでは、ヒューズ19の断線や回路の損傷(断線等)の異常が発生する可能性もある。このような異常は、迅速かつ正確に判定する必要があり、本実施の形態では、図2以下で説明する手法によって迅速かつ正確な異常判定を実現することができる。
図2は、本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置による異常判定手法を説明するための概念図であり、(a)は端子間電圧が上昇している場合の異常判定手法を示し、(b)は端子間電圧が低下している場合の異常判定手法を示す。
本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置では、コントローラ100によって異常判定が所定周期で繰り返し実行される。この周期は、例えば、5ミリ秒である。
また、コントローラ100は、端子間電圧の異常判定を行うために1周期毎に端子間電圧のサンプリングを行う。ここで、サンプリング時刻をtk(kはk番目のサンプリングであることを表す任意の整数)とし、時刻tn−1、tn(n−1とnはn−1番目とn番目のサンプリングであることを表す任意の整数)での端子間電圧をVc(n−1)、Vc(n)とする。すなわち、端子間電圧Vc(n−1)は端子間電圧Vc(n)の1周期前(サンプリング周期における1周期前)の端子間電圧を表す。
端子間電圧Vc(n−1)、Vc(n)に対し、異常判定は次式(1)を用いて行われる。
−ΔVa≦Vc(n)−Vc(n−1)≦ΔVb ・・・(1)
ここで、ΔVaは、サンプリング周期の1周期(5ミリ秒)における最大電圧低下分(放電側の電圧変化分)を表し、ΔVbは、1周期(5ミリ秒)における最大電圧上昇分(充電側の電圧変化分)を表す。なお、ΔVa自体は絶対値であるため(1)式では負の符号を付す。このように、異常判定範囲は、時間と電圧との関係式により導かれる。
これらΔVa及びΔVbは、サンプリング周期の1周期(5ミリ秒)内に端子間電圧が変化しうる電圧変化分を表しており、本実施の形態では、瞬時最大定格電流値Imax(A)、バッテリ13の静電容量成分の静電容量値C(F)、及びサンプリングの周期t(5ミリ秒)を用いると次式(2)(3)で表すことができる。
ΔVa=Imax×t/C(V) ・・・(2)
ΔVb=Imax×t/C(V) ・・・(3)
すなわち、(2)式及び(3)式に示すように、ΔVa及びΔVbは、1周期(5ミリ秒)内における瞬時最大定格電流値Imaxを静電容量値Cで除して求まる値であり、1周期内におけるバッテリ13の電圧変化分の最大値を表している。
ここで、時刻tm(mはm<nを満たす整数)と時刻tnにおける端子間電圧の異常判定を説明するために、時刻tm、tm−1における端子間電圧をVc(m−1)、Vc(m)とし、時刻tn、tn−1における端子間電圧をVc(n−1)、Vc(n)とする。
なお、時刻tm、tm−1における端子間電圧Vc(m−1)、Vc(m)は、時刻tn、tn−1における端子間電圧Vc(n−1)、Vc(n)と同様に、式(1)を満たし、また、式(2)(3)によって表されるΔVa、ΔVbは、時刻tm、tm−1における端子間電圧Vc(m−1)、Vc(m)についても同一の値である。
図2(a)、(b)に示すように、最大電圧低下分ΔVaと最大電圧上昇分ΔVbは、時刻tm−1については、時刻tm−1における端子間電圧Vc(m−1)、時刻tmにおける端子間電圧Vc(m−1)−ΔVa、及び時刻tmにおける端子間電圧Vc(m−1)+ΔVbの3点を頂点とする二等辺三角形によって表される領域を規定する。
同様に、時刻tn−1については、時刻tn−1における端子間電圧Vc(n−1)、時刻tnにおける端子間電圧Vc(n−1)−ΔVa、及び時刻tnにおける端子間電圧Vc(n−1)+ΔVbの3点を頂点とする二等辺三角形によって表される領域を規定する。
なお、この二等辺三角形は、時刻tm−1〜時刻tmと、時刻tn−1〜時刻tnの間に表せば足りるが、説明の便宜上、図2には、二等辺三角形を時間軸方向に拡大して(時刻tm、tnよりも時間が経過した領域にまで相似拡大して)表してある。
本実施の形態では、時刻tm、tnにおける端子間電圧Vc(m)、Vc(n)が(1)式を満たすか否かによって充放電システムの異常判定を行う。これは、時刻tm、tnにおける端子間電圧Vc(m)、Vc(n)が、時刻tm−1、tn−1における端子間電圧Vc(m−1)、Vc(n−1)を基準とする二等辺三角形で表される領域内にあれば、充放電システムは正常であると判定し、この二等辺三角形で表される領域内になければ充放電システムは異常であると判定することに相当する。
具体的には、図2(a)に示すように、端子間電圧が上昇している場合において、時刻tm−1と時刻tmの端子間電圧Vc(m−1)とVc(m)は、その差(Vc(m)−Vc(m−1))が微小であるため、時刻tmにおける端子間電圧Vc(m)は(1)を満たし、端子間電圧Vc(m−1)を頂点とする二等辺三角形の領域内にあるため、充放電システムは正常と判定される。
一方、時刻tn−1と時刻tnの端子間電圧Vc(n−1)とVc(n)は、その差(Vc(n)−Vc(n−1))が大きく、端子間電圧Vc(n)が急激に上昇しているため、時刻tnにおける端子間電圧Vc(n)は(1)を満たさない。このため、端子間電圧Vc(n−1)を頂点とする二等辺三角形の領域外となり、充放電システムは異常と判定される。
これは、図2(b)に示す端子間電圧が低下している場合においても同様であり、時刻tm−1と時刻tmの端子間電圧Vc(m−1)とVc(m)は、その差(Vc(m)−Vc(m−1))が微小であるため、時刻tmにおける端子間電圧Vc(m)は(1)を満たし、端子間電圧Vc(m−1)を頂点とする二等辺三角形の領域内にあるため、充放電システムは正常と判定される。
一方、時刻tn−1と時刻tnの端子間電圧Vc(n−1)とVc(n)は、その差(Vc(n)−Vc(n−1))が大きく、端子間電圧Vc(n)が急激に低下しているため、時刻tnにおける端子間電圧Vc(n)は(1)を満たさない。このため、端子間電圧Vc(n−1)を頂点とする二等辺三角形の領域外となり、充放電システムは異常と判定される。
図3は、本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置における異常判定処理の手順を示す図である。この異常判定処理は、コントローラ100によって実行される処理であり、本実施の形態の充放電システムの起動中は、5ミリ秒毎に繰り返し実行される処理である。なお、コントローラ100は、この図3に示す処理を実行する前に、第1工程として、1周期前の時刻tn−1の端子間電圧と、現在の時刻tnの端子間電圧とを測定する。この第1工程は、1周期毎に繰り返し実行される工程である。
コントローラ100は、第2工程として、現在の時刻tnと1周期前の時刻tn−1の端子間電圧の差(Vc(n)−Vc(n−1))を演算する(ステップS1)。
次いで、コントローラ100は、(2)(3)式を用いて放電側の電圧変化分ΔVaと充電側の電圧変化分ΔVbを演算する(ステップS2)。
コントローラ100は、(1)式が成立するか否かを判定する(ステップS3)。端子間電圧Vc(n)が急激に変化している場合は、(1)式が不成立となるため、時刻tnにおける端子間電圧Vc(n)が時刻tn−1の端子間電圧Vc(n−1)を頂点とする二等辺三角形の領域内にあるか否かを判定することにより、端子間電圧の急激な変化の有無を監視するためである。
コントローラ100は、(1)式が不成立であると判定した場合は、第4工程として、リアクトル電流検出部18によって検出されるバッテリ電流値の絶対値を計測し、このバッテリ電流の絶対値が極微小値未満であるか否かを判定する(ステップS4)。断線等の異常が生じている場合は、検出されるバッテリ電流値が略零となるからである。なお、判定閾値である極微小値は、例えば電流検出器の計測誤差が表れない程度の電流値に設定される。
コントローラ100は、バッテリ電流値の絶対値が極微小値未満であると判定した場合は、第5工程として、ヒューズ19または回路内のその他の箇所における断線が生じたと判定する(ステップS5)。電流値が略零であるからである。ステップS5の処理が終了すると、コントローラ100は一連の処理を終了し、次の周期にサンプリングされる端子間電圧Vc(n+1)に対する異常判定を行うために、手順をステップS1にリターンする。このように、極微小値を設けることで、電圧の急激な低下が断線によるものであると異常の種類を迅速に特定することができる。
また、コントローラ100は、ステップS4でバッテリ電流値の絶対値が極微小値以上であると判定した場合は、第7工程として、端子間電圧Vc(n)の急激な変化は、断線以外の原因によって生じたものであると判定する(ステップS6)。バッテリ電流が流れているため、断線以外の原因があると考えられるからである。ステップS6の処理が終了すると、コントローラ100は手順をステップS1にリターンする。
また、コントローラ100は、ステップS3で(1)式が成立すると判定した場合は、端子間電圧は正常であるため、本実施の形態の充放電システムは正常に動作していると判定する(ステップS7)。
以上、本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置によれば、バッテリ13の端子間電圧をサンプリングした際に、その1周期前にサンプリングされた端子間電圧との差を演算し、この電圧差をバッテリ13の瞬時最大定格電流値と静電容量値とに基づいて導出される最大電圧低下分ΔVa及び最大電圧上昇分ΔVbと比較することによって端子間電圧の異常を判定するので、バッテリ13の端子間電圧の異常を迅速に判定することができ、この結果、充放電システムの異常を迅速に判定することができる。
また、バッテリ13の瞬時最大定格電流値と静電容量値に基づいて導出されるサンプリング周期の1周期における電圧変化分(ΔVa、ΔVb)を用いて端子間電圧の異常判定を行うので、バッテリ13の端子間電圧の異常を正確に判定することができ、この結果、充放電システムの異常を正確に判定することができる。
また、本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置では、上述のように迅速に異常判定を行うことができるので、異常が生じた場合でも、昇降圧コンバータ10やモータ15等の機器の損傷を最小限に抑えることができる。また、充放電システムにおける制御的に異常な挙動を早期に検出することができ、充放電システムの制御的な信頼性を向上させることができる。
なお、以上では、バッテリ13の瞬時最大定格電流値に基づいて導出される1周期における電圧変化分(ΔVa、ΔVb)を用いて端子間電圧の異常判定を行う形態について説明したが、必ずしも瞬時最大定格電流値を用いる必要はなく、バッテリ13や昇降圧コンバータ10の特性や定格等に応じて、端子間電圧の判定に必要な電圧変化分(ΔVa、ΔVb)を演算してもよい。
また、端子間電圧の判定に必要な電圧変化分ΔVaとΔVbは異なる値であってもよい。これらの値は、バッテリ13や昇降圧コンバータ10の特性や定格等に応じて設定すればよい。
また、バッテリ13の温度を検出する温度検出部を備え、コントローラ100がバッテリ温度に応じて端子間電圧の判定に必要な電圧変化分ΔVa、ΔVbの値を設定するようにしてもよい。この場合、第3工程としてバッテリ13の温度を測定することにより、バッテリ13の端子間電圧の温度特性に応じて、端子間電圧の異常をより正確に判定することができる。
また、ステップS5、S6の後に、コントローラ100が断線等の異常の発生を表す警報を報知するステップを含んでもよい。報知手法としては、モニタへの警報内容の表示、警報灯の点灯、または警報音の発報等を用いればよい。これにより、充放電システムの利用者に早期に異常を通報することができる。
また、ステップS5の後に、あるいは、上述の警報を報知した後に、第6工程として、コントローラ100がモータ15の駆動を停止させてもよい。また、これに加えてコントローラ100が昇降圧コンバータ10の駆動を停止させてもよい。これにより、充放電システムの安全性を向上させることができる。
また、同様に、ステップS6の後に、あるいは、上述の警報を報知した後に、第8工程として、コントローラ100がモータ15の駆動を停止させてもよい。また、これに加えてコントローラ100が昇降圧コンバータ10の駆動を停止させてもよい。この場合も、充放電システムの安全性を向上させることができる。
以上、本発明の例示的な実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
本実施の形態の昇降圧コンバータの回路構成を概略的に示す図である。 本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置による異常判定手法を説明するための概念図であり、(a)は端子間電圧が上昇している場合の異常判定手法を示し、(b)は端子間電圧が低下している場合の異常判定手法を示す。 本実施の形態の充放電システムの異常判定方法及び異常判定装置における異常判定処理の手順を示す図である。
符号の説明
10 昇降圧コンバータ
11 リアクトル
12A 昇圧用IGBT
12B 降圧用IGBT
13 バッテリ
14 電源接続端子
14A、16A 電圧検出部
15 モータ
16 出力端子
17 コンデンサ
18 リアクトル電流検出部
19 ヒューズ
20 DCバス
100 コントローラ

Claims (9)

  1. 充放電を行う蓄電器の端子間電圧を繰り返し検出し、サンプリング周期毎に前記端子間電圧の異常を判定する充放電システムの異常判定方法であって、
    モータが力行運転又は回生運転を行っている際に、昇降圧コンバータの昇降圧制御により前記蓄電器の充放電を行うとともに、サンプリング周期毎に前記蓄電器の端子間電圧を検出する第1工程と、
    前記第1工程で検出した端子間電圧と、前記第1工程の1サンプリング周期前に検出された端子間電圧との差が所定電圧範囲内であるか否かを判定する第2工程と
    を含み、前記所定電圧範囲は、前記1サンプリング周期内に前記端子間電圧が変化しうる電圧変化分によって規定される、充放電システムの異常判定方法。
  2. 前記所定電圧範囲は、前記蓄電器の許容電流値に基づいて演算される前記1サンプリング周期内における最大電流変化分と、前記蓄電器の静電容量とに基づいて導出される、請求項1に記載の充放電システムの異常判定方法。
  3. 前記所定電圧範囲は、前記第1工程の1サンプリング周期前に検出された端子間電圧に対する増大分と減少分を含み、前記増大分と前記減少分の値は異なる、請求項1または2に記載の充放電システムの異常判定方法。
  4. 前記蓄電器の温度を計測する第3工程をさらに含み、
    前記所定電圧範囲は、前記第3工程で計測される前記蓄電器の温度によって変更される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の充放電システムの異常判定方法。
  5. 前記蓄電器の電流値を検出する第4工程と、
    前記第4工程によって検出される電流値が所定値以下の場合には、前記蓄電器に接続される回路に断線が生じていると判定する第5工程と
    をさらに含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の充放電システムの異常判定方法。
  6. 前記第5工程において前記蓄電器に接続される回路に断線が生じていると判定した場合に、前記回路に接続されている機器を停止させる第6工程をさらに含む、請求項5に記載の充放電システムの異常判定方法。
  7. 前記蓄電器の電流を検出する第4工程と、
    前記第4工程によって検出される電流値が所定値以上の場合には、前記蓄電器に接続されている回路の断線を除いた異常が発生していると判定する第7工程と
    をさらに含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の充放電システムの異常判定方法。
  8. 前記第7工程において、前記異常が、前記蓄電器に接続されている回路の断線を除いた異常であると判定した場合には、前記回路に接続されている機器を停止させる第8工程をさらに含む請求項7に記載の充放電システムの異常判定方法。
  9. 充放電を行う蓄電器の端子間電圧を繰り返し検出し、サンプリング周期毎に前記端子間電圧の異常を判定する充放電システムの異常判定装置であって、
    モータが力行運転又は回生運転を行っている際に昇降圧コンバータの昇降圧制御により前記蓄電器の充放電が行われるときに、サンプリング周期毎に前記蓄電器の端子間電圧を検出する電圧検出部と、
    前記電圧検出部で検出された端子間電圧と、当該端子間電圧の1サンプリング周期前に検出された端子間電圧との差が所定電圧範囲内であるか否かを判定する電圧判定部と
    を含み、前記所定電圧範囲は、前記1サンプリング周期内に前記端子間電圧が変化しうる電圧変化分によって規定される、充放電システムの異常判定装置。
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