本発明の一実施の形態について図1から図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図1は、本実施の形態にかかる表示制御装置10のブロック図である。
図1に示すように、表示制御装置10は、液晶用同期制御部11、テレビ用同期制御部12、主制御部13、インターフェース14、フレームメモリ(画像データ記憶部)15、回転処理部(回転処理手段)16、液晶第1レイヤ読み出し部(画像データ読み出し手段)17a、液晶第2レイヤ読み出し部(画像データ読み出し手段)17b、テレビレイヤ読み出し部(画像データ読み出し手段)17c、色空間変換部(色空間変換手段)18、アスペクト変換部(アスペクト変換手段)19、レイヤ合成部(レイヤ合成手段)20、信号処理部21により構成されている。そして、回転処理部16、液晶第1レイヤ読み出し部17a、液晶第2レイヤ読み出し部17b、テレビレイヤ読み出し部17c、色空間変換部18、およびアスペクト変換部19は、それぞれ液晶第1レイヤ、液晶第2レイヤ、およびテレビレイヤに対応して設けられている。
また、主制御部13は、処理部131、書き込みタイミング決定部(書き込みタイミング決定手段)132、書き込み部(画像データ書き込み手段)133により構成されている。
液晶用同期制御部11は、液晶表示に必要なタイミング信号を生成し、回転処理部16、液晶第1レイヤ読み出し部17a、液晶第2レイヤ読み出し部17b、色空間変換部18、アスペクト変換部19、レイヤ合成部20、および信号処理部21の各ブロックタイミングを制御する。また、テレビ用同期制御部12は、テレビ表示に必要なタイミング信号を生成し、回転処理部16、テレビレイヤ読み出し部17c、色空間変換部18、アスペクト変換部19、および信号処理部21の各ブロックタイミングを制御する。
処理部131は、表示制御装置10の各処理を各ブロックに実行させるものである。また、表示に必要な画像データを生成し、書き込み部133へ送信する。さらに、必要に応じて、液晶用同期制御部11または、テレビ用同期制御部12の同期タイミング情報を参照する。そして、参照した同期タイミング情報を書き込みタイミング決定部132へ送信する。また、表示制御装置10と接続された表示装置の縦横を検知し、生成した画像が縦長画像であるか横長画像であるかを判断し、回転処理部16が回転処理を行うか否かを決定し、決定した情報をインターフェース14を介して回転処理部16へ送信する。
また、処理部131は、書き込み部133がフレームメモリ15へ画像データ書き込む速度(書込速度)を決定する要素である書き込み部133のクロック周波数および書き込み部133とインターフェース14との間の接続方法(パラレルインターフェースかシリアルインターフェースか、同期か非同期か等)を取得し、その内容を示すデータを書き込みタイミング決定部132へ送信する。また、処理部131は、読み出し部17がフレームメモリ15から画像データを読み込む速度(読出速度)を決定する要素である読み出し部17のクロック周波数およびフレームメモリ15から回転処理部16を介して読み出し部17へ画像データを送信するバスのクロック周波数、バスの状態(ビット幅、同期か非同期か、クロスバスか単一バスか等)を取得し、その内容を示すデータを書き込みタイミング決定部132へ送信する。
書き込みタイミング決定部132は、液晶第1レイヤ読み出し部17a、液晶第2レイヤ読み出し部17b、テレビレイヤ読み出し部17cの中から、ユーザによって指定された表示装置に対応する読み出し部を選択する。そして、処理部131から受信した書き込み部133がフレームメモリ15に画像データを書き込む速度を決定する要素と選択された読み出し部がフレームメモリ15から画像データを読み込む速度を決定する要素とから、書込速度と読出速度とのどちらが速いかを判断する。そして、判断した結果と同期タイミング情報とから書き込み部133がフレームメモリ15に画像データを書き込むタイミングを決定し、決定した書き込みタイミングを書き込み部133に送信する。書き込みタイミングの決定についての詳細は後述する。
書き込み部133は、書き込みタイミング決定部132から受信した書き込みタイミングに従って、処理部131から受信した画像データをフレームメモリ15へ書き込む。フレームメモリ15は、画像データを記憶する記憶部である。
回転処理部16は、画像の角度変換を行うのもで、横位置で入力された画像データを縦位置で表示させる画像データに変換する。これは、受信した画像データのメモリ方向(メモリのアドレスが連続している方向)と表示走査方向とを一致させた状態で読み出し部17に送信するか、メモリ方向と表示走査方向とを垂直方向として読み出し部17に送信するかによって変換する。また、回転処理部16は、回転処理に用いるラインバッファ161を内蔵している。回転処理の詳細については後述する。
また、回転処理部16を備えることにより、画像データの走査方向を切換えて読み出すことができる。これにより、表示装置が表示画面を縦長の状態と横長の状態とを切換えることができるものであっても、それぞれの表示画面に対応した画像データを出力することができる。
そして、走査方向を切換えて読み出すことができるので、フレームメモリ15に走査方向の異なる画像データを用意しておく必要がなくなり、フレームメモリ15の容量を削減することができる。
液晶第1レイヤ読み出し部17a、液晶第2レイヤ読み出し部17b、テレビレイヤ読み出し部17cは、回転処理部16を介して、フレームメモリ15から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データを色空間変換部18へ送信する。なお、液晶第1レイヤ読み出し部17a、液晶第2レイヤ読み出し部17b、テレビレイヤ読み出し部17cは、フレームメモリ15から画像データをインターレース状に読み出すものであってもよい。これにより、画像データが動画像の画像データであった場合、表示装置に表示される動画像のちらつきを防止することができる。
色空間変換部18は、液晶第1レイヤ読み出し部17a、液晶第2レイヤ読み出し部17b、テレビレイヤ読み出し部17cから受信した画像データに対し、RGB(red, green, blue)データとYUV(輝度信号、青色色差信号、赤色色差信号)データ間の変換を施す。すなわち、フレームメモリ15上のデータがRGBデータであっても、YUVデータであっても、液晶表示用にはRGBデータに、テレビ表示用にはYUVデータに変換する。そして、変換した画像データをアスペクト変換部19へ送信する。
これにより、RGB形式のデータとYUV形式のデータとの相互変換が可能となる。そして、画像データ記憶部に記憶されている画像データがRGB形式とYUV形式とのどちらの形式のデータであっても、RGB形式の表示装置およびYUV形式の表示装置に対応した画像データを出力することができる。よって、フレームメモリ15に表示装置に対応した画像データをそれぞれ記憶しておく必要がなくなり、フレームメモリ15の容量を削減することができる。
アスペクト変換部19は、色空間変換部18から受信した画像データの縦方向の拡大、縮小、横方向の拡大、縮小処理が施す。そして処理を施した画像データを、液晶用の場合はレイヤ合成部20に、テレビ用の場合は信号処理部21へ送信する。
これにより、画像データを縦横それぞれ独立に拡大縮小することがきる。よって、画像データの縦横比と、表示装置の表示画面の縦横比とが異なっていても、表示装置の表示画面の縦横比に合わせた画像データで表示装置に出力することができる。
レイヤ合成部20は、アスペクト変換部19から受信したレイヤ毎の複数の画像データを、画素ごとにどちらのレイヤの画像データを表示装置に出力するかを選択し、選択した画像データを信号処理部21に送信する。または、それぞれのレイヤの画像データに対して予め設定した重みで加重平均した画像データを信号処理部21へ送信する。なお、複数のレイヤの表示装置上の場所と重なり情報は、予め設定されている。これにより、複数の画像データを合成した画面を表示装置に表示させることができる。
信号処理部21は、レイヤ合成部20またはアスペクト変換部19から受信した画像データに対し、ガンマ補正等の処理を施す。そして、表示装置へ画像データを送信する。
液晶表示装置26へ出力された画像データは、液晶ドライバ22へ送信され、液晶ドライバ22では画像データがデジタルデータからアナログ信号に変換される。また、液晶用同期制御部11からのタイミング信号によって液晶パネル23に必要なタイミング信号を生成し、液晶パネル23に出力して表示する。
テレビ受像機27への出力された画像データは、テレビエンコーダ24に送信され、テレビエンコーダ24では画像データがデジタルデータからアナログ信号に変換される。また、テレビ用同期制御部12からのタイミング信号によって必要な同期信号、カラーバースト信号等が付加され、テレビ受像機27に必要な信号、例えばNTSCコンポジット信号、あるいは、コンポーネント信号が生成され、テレビモニタ25に出力されて表示される。
次に、書き込みタイミング決定部132が書き込みタイミングを決定する処理の流れについて図2を用いて説明する。図2は、書き込みタイミング決定部132が書き込みタイミングを決定する処理の流れを示すフローチャートである。
図2に示すように、書き込みタイミング決定部132は、ユーザによって選択された表示装置に画像データを出力する読み出し部を選択する(S201)。ここでは、液晶第1レイヤ読み出し部17aを選択したとする。そして、液晶第1レイヤ読み出し部17aについて、書き込みタイミング決定部132は、書込速度が読出速度より速いか否かを判断する(S202)。そして、書込速度が読出速度より速ければ(S202でYES)、書き込みタイミング決定部132は、読み出し部17が画像データの読み出しを終了した時点を書き込みタイミングとして決定する(S203)。そして、決定したタイミングに従って、書き込み部133は画像データをフレームメモリ15に書き込む(S205)。そしてS201に戻る。
一方、書込速度が読出速度より遅ければ(S202でNO)、書き込みタイミング決定部132は、読み出し部17が画像データの読み出しを始めた時点を書き込みタイミングとして決定する。そして、決定したタイミングに従って、書き込み部133は画像データをフレームメモリ15に書き込む(S205)。そして最初に戻る。
次に、書き込みタイミングについて図3〜図6を用いて説明する。図3〜図6は、画像データの読み出し開始および終了時点と書き込み開始および終了時点とのタイミングの関係を示す図である。図3〜図6は、全て縦軸が読み出しアドレスまたは書き込みアドレスであり、横軸が時間である。そして、実線で、時間とともに読み出されるアドレスが表されており、破線で時間とともに書き込まれるアドレスが表されている。
図3は、1画面分の画像データを更新する場合で、書込速度が読出速度より遅い場合を示す図である。なお、書き込み部133によるフレームメモリ15への画像データの書き込みは、各表示装置における2フレーム期間以内で1フレームの画像データを書き込むことができるとする。なお、ここでは液晶第1レイヤ読み出し部17aが画像データを読み出す場合について説明する。
まず、液晶第1レイヤ読み出し部17aが画像データの読み出しを開始する時点を液晶用同期制御部11から割り込みとして処理部131に通知する。処理部131は、本割り込みを受け、書き込みタイミング決定部132に通知する。書き込みタイミング決定部132は、この割り込みを受けた時点で、画像データをインターフェース14を介してフレームメモリ15への送信を開始するよう書き込み部133に通知する。そして、液晶表示装置26における表示の2フレーム期間以内に1フレーム分の画像データの送信が終了する。
すなわち、まず、図3の3aの時点で読み出し部17は画像データの読み出しを開始する。そして、上記割り込みによる指示により、書き込み部133は、3bの時点で次に液晶第1レイヤ読み出し部17aが読み出すフレームの画像データの書き込みを開始する。そして、3cの時点で液晶第1レイヤ読み出し部17aは画像データの読み出しを終了し、3dの時点で、次のフレームの画像データの読み出しを開始する。そして、当該次のフレームの画像データの読み出しが終了する前の3eの時点で、書き込み部133による当該次のフレームの画像データの書き込みが終了する。その後、3fの時点で当該次のフレームの読み出しが終了する。
このようにすれば、図3に示すように、画像データの読み出しを開始した後に、読み出しアドレスを追いかけるように、書き込み部133がフレームメモリ15へ画像データを書き込む。そして、液晶第1レイヤ読み出し部17aが画像データを読み出すときに、書き込みが終了していないメモリ部分と書き込みが終了したメモリ部分とを、同一のフレームの画像データとして読み込むことがない。よって、表示装置に表示される画像に走査方向の境界線が現れることはなく、表示品位を保つことができる。
次に、1画面分の画像データを更新する場合で、書込速度が読出速度より速い場合を説明する。図4は、1画面分の画像データを更新する場合で、書込速度が読出速度より速い場合を示す図である。
まず、液晶第1レイヤ読み出し部17aが画像データの読み出しを終了した時点を液晶用同期制御部11から割り込みとして処理部131に通知する。処理部131は、は本割り込みを受け、書き込みタイミング決定部132に通知する。書き込みタイミング決定部132は、この割り込みを受けた時点で、画像データをインターフェース14を介してフレームメモリ15への送信を開始するよう書き込み部133に通知する。そして、書込速度は読出速度より速いので、1フレーム期間内に画像データの送信が終了する。
すなわち、まず、4aの時点で液晶第1レイヤ読み出し部17aは画像データの読み出しを開始し、4bの時点で読み出しを終了する。そして、上記割り込みによる指示により、書き込み部133は、4cの時点で次に液晶第1レイヤ読み出し部17aが読み出すフレームの画像データの書き込みを開始する。そして、4dの時点で液晶第1レイヤ読み出し部17aは当該次のフレームの画像データの読み出しを開始し、次のフレームの画像データの読み出しが終了する前の4eの時点で、書き込み部133による当該次のフレームの画像データの書き込みが終了する。その後、4fの時点で当該次のフレームの読み出しが終了する。
このようにすれば、液晶第1レイヤ読み出し部17aが画像データをフレームメモリ15から読み出すときに、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分を、同一のフレームの画像データとして読み込むことがない。よって、表示装置に表示される画像に走査方向の境界線が現れることはなく、表示品位を保つことができる。
また、画面の更新を1画面全てではなく、一部分のみ更新する場合は、上述した書き込み開始のタイミングを、更新する画像データの読み出し開始時または読み出し終了時とすればよい。図5は、一部分の画像データを更新する場合で、書込速度が読出速度より遅い場合を示す図である。また、図6は、一部分の画像データを更新する場合で、書込速度が読出速度より速い場合を示す図である。
すなわち、書込速度が読出速度より遅い場合は、図5に示すように、更新領域の読み出し開始時点である5aの時点で、液晶第1レイヤ読み出し部17aは更新領域の読み出しを開始し、読み出し開始による割り込みの指示により5bの時点で書き込み部133は次のフレームの更新領域の画像データの書き込みを開始する。そして、5cの時点で、更新領域の読み出しが終了し、5dの時点で読み出し部17は次のフレームの更新領域の画像データの読み出しを開始する。そして、読み出しが終了する前の5eの時点で書き込み部133による書き込みが終了する。その後、液晶第1レイヤ読み出し部17aの読み出しが終了する。
また、書込速度が読出速度より速い場合は、図6に示すように、6aの時点で、液晶第1レイヤ読み出し部17aは更新領域の読み出しを開始し、6bの時点で終了する。そして、読み出し終了による割り込みの指示により書き込み部133は、6cの時点で、次のフレームの更新領域の画像データの書き込みを開始する。そして6dの時点で書き込みが終了し、液晶第1レイヤ読み出し部17aは、6eの時点で次のフレームの更新領域の読み出しを開始し、6fの時点で読み出しを終了する。
このようにすれば、上述した1画面全てを更新する場合と同様に、液晶第1レイヤ読み出し部17aが画像データをフレームメモリ15から読み出すときに、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分を、同一のフレームとして読み込むタイミングが発生しない。よって、表示装置に表示される画像に走査方向の境界線が現れることはなく、表示品位を保つことができる。
また、書込速度と読出速度とが同じ場合は、書き込みタイミングは、上記書込速度が読出速度より遅い場合と書込速度が読出速度より速い場合とのどちらで対応してもよい。これは、書込速度と読出速度とが同じ場合は、どの時点で書き込みを始めても、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分とを、同一のフレームの画像データとして読み込むことがないためである。
なお、上述したタイミングで書き込みタイミングを決定しなければ表示品位を保つことができないのは以下の理由による。
すなわち、書込速度が読出速度よりも遅いときに、液晶第1レイヤ読み出し部17aが画像データの読み出しを開始する前に、書き込みを開始すると、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分とを、同一のフレームの画像データとして読み込むことになる。これにより、表示装置に表示される画像に走査方向の境界線が現れ、品位を確保できない。
また、書込速度が読出速度よりも速いときに、液晶第1レイヤ読み出し部17aが画像データの読み出しを開始した後に、書き込みを開始すると、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分とを、同一のフレームの画像データとして読み込むことになる。これにより、表示装置に表示される画像に走査方向の境界線が現れ、品位を確保できない。
ここで、画像に走査方向の境界線が現れ、画像の品位を確保できていない画像を図7に示す。図7は、読み出す方向と書き込む方向とが一致しており、書込速度が読出速度より遅い場合の例である。動画像更新のとき、動きの大きい対象物は、前のフレームデータと次のフレームデータとを、1フレームデータとして表示してしまう。これにより、画面が割れたように表示される。図7は、上半分が次のフレームデータで、書き込んでいる途中で読み出し部17が読み込むアドレスが書き込みアドレスを追い越してしまい、下半分は前のフレームデータを読み込んだ場合を示している。なお、後述する読み出す方向と書き込む方向とが直交している場合は、斜めに割れたような画像が表示される。
なお、一般に、液晶表示装置とテレビ受像機とでは、フレームレートは非同期であり、液晶表示の品位を保つと、テレビ受像機の表示品位を保つことはできない。これは、テレビ受像機では、画像データの書き込みと読み出しとが非同期となり、読み出すときに、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分とを、同一のフレームとして読み込むタイミングが発生してしまうためである。これにより、表示される画像に走査方向の境界線が現れ、表示品位を確保できない。一方、テレビ受像機の表示品位を保つと、液晶表示側の表示品位を確保できない。しかしながら、どちらの表示品位を優先させるかを設定することで、液晶表示装置とテレビ受像機とのどちらかの表示品位を保つことは可能である。
次に図8を用いて、回転処理部16の動作を説明する。図8は、フレームメモリ15、回転処理部16に内蔵されたラインバッファ161および出力される表示データを表している。そして、今、横長画像の画像データを、縦長表示装置に走査方向を回転して出力するとし、フレームメモリ15上に図8に示すように、横長画像データがメモリ方向と同一方向で記憶されているとする。
なお、フレームメモリ15は出力画像サイズに比例して必要容量は増大し、一般に表示制御装置のコストの大半を占める。そこで、可能な限り、コストを削減するためフレームメモリ15をDRAM(dynamic random access memory)として構成したとする。DRAMはメモリ方向に順次アクセスをすれば高速にアクセス可能であるが、不連続アドレスへのアクセスは非常に低速となる。そして、各レイヤの読み出し部17がメモリ方向とは垂直方向に画像データを読み込もうとすると、アドレスは不連続となり、そのままDRAMへのアクセスを行なうと、アクセスが低速となる。あるいは、必要なバンド幅を確保するためにはクロック周波数を上げる等の消費電力の増大を伴う。
そこで、これを避けるため、回転処理部16の内部に、数ライン分、例えば16ライン分のSRAM(static random access memory)で構成したラインバッファ161を内蔵する。まず、図8のフレームメモリ15上の画像データをラインバッファ161へ転送する。この時、図8に示すように、フレームメモリ15のメモリ方向と同一方向に読み出し、ラインバッファ161へは、ラインバッファ161のメモリ方向とは垂直方向に書き込む。また、ラインバッファ161は、フレームメモリ15に記憶されている画像データのうち、16ライン分を順に記憶し、出力する。そして、最終的に画像データの全てのデータを記憶し、出力する。
そして、SRAMは不連続アドレスへのアクセスであっても速度低下を伴わないため、ラインバッファ161への書き込みは不連続アドレスへのアクセスとなるが、速度低下は伴わない。その後、ラインバッファ161のデータを図8のように読み出し、図8の表示データ出力に示すように走査方向に変換した後、各レイヤの読み出し部17に画像データを出力する。
これにより、液晶第1レイヤ読み出し部17a、液晶第2レイヤ読み出し部17b、テレビレイヤ読み出し部17cが読み出す画像データの走査方向を切換える場合に、画像データの一部をラインバッファ161に記憶させておくことができる。そして、フレームメモリ15の記憶媒体がDRAMのように不連続アドレスに対してアクセス速度が低くなるものであっても、ラインバッファ161の記憶媒体がSRAMのように不連続アドレスに対して速度低下しないものとすることで、速度低下を伴わずに読み出す画像データの走査方向の切換えを行うことができる。
より具体的に説明すると、まずフレームメモリ15にはF1に示す画像データが記憶されているとする。そして、16ライン分のみラインバッファ161にコピーする。ここでは、16ライン分にあたる領域がF1で示す「かしつ」と表示された領域とほぼ同じ大きさの領域とする(L1)。そしてラインバッファ161に記憶されているL1を書き込み方向とは垂直の方向に読み出し(L2)、出力する画像データとする。これにより、出力される画像データは、H1のようになる。
次に、フレームメモリ15に記憶されている画像データの前回読み出した領域の隣の領域を16ライン分読み出す(F2)。そして、前回と同様に書き込み方向(L3)とは垂直方向に読み出し(L4)、出力する(H2)。そして、これを繰り返すことにより、最終的に、画像データの最後の領域(F3)をラインバッファ161にコピーし(L5)、書き込み方向と垂直方向に読み出し(L6)、出力する(H3)。これにより、1フレーム分の画像データを90°回転させることができる。
そして、フレームメモリ15のDRAMのバーストアクセス長に含まれる画素数とラインバッファ161のライン数を等しくすると、DRAM、SRAMへのアクセスは共に、速度低下を伴わない。また、比較すると高価であるSRAMの容量を最小化できる。さらに、結果として、各レイヤ部以降のデータを、フレームメモリ15内のデータのメモリ方向とは垂直方向のデータ順序に変換することができる。また、図8の例では、左に90°回転をする例を示しているが、右に90°、180°、ミラー反転等についても、同様に実現できる。
次に図9に、上記表示制御装置10を搭載した商品例を示す。図9は表示制御装置10を携帯電話機(液晶表示装置26)に搭載した例である。携帯電話機は、本体が上筐体と下筐体の2つの筐体に別れ、それぞれヒンジ部を介して、ボタン等の配置した操作部と液晶パネル23等を配置した表示部とを対向させて折りたたむ事ができる。そして、携帯電話機とテレビ受像機27とが、画像データの送信が可能となるように接続されている。
なお、液晶パネル23は、短辺方向にソースドライバ、長辺方向にゲートドライバが配置され、液晶の走査方向は左上から右上、さらに順次上から下へ走査していく方向となる。ここで、走査方向とは、液晶に表示される画像の画像データを、表示制御装置10が液晶パネルに送信する順序である。
ここで、フレームメモリ15上に必要な画像データのイメージを図10に示す。図10(b)の画像データを液晶第1レイヤ読み出し部17aが読み込む。そして、液晶第2レイヤとテレビレイヤとに同一フレームメモリ15上のアドレスとして同一アドレス設定とし、図10(a)の画像データを液晶第2レイヤ読み出し部17bとテレビレイヤ読み出し部17cとが同一画像データを読み込む。液晶第1レイヤ読み出し部17aが読み込んだ画像データと液晶第2レイヤ読み出し部17bが読み込んだ画像データは、レイヤ合成部20に出力される。そして、レイヤ合成部20は、図10(a)の画像データを図10(b)の画像データの中央部に貼り付け、出力イメージ通りの画像データを生成し、図9の液晶パネル23に表示されている表示イメージの画像データを出力する。
そして、液晶第1レイヤと液晶第2レイヤのアスペクト変換部19は、受信した画像データをそのまま出力する設定とする。すなわち、横方向にも縦方向にも拡大縮小処理を行なわず、フレームメモリ15上の画像データを縦横共に1:1に出力する。一方、テレビ受像機27のテレビモニタ25の画素アスペクト比は、縦横9:8である。そこで、液晶パネル23の画素アスペクト比を縦横1:1とすると、フレームメモリ15上の画素アスペクト比は縦横1:1であり、テレビ用レイヤのアスペクト変換部19で縦1:1設定、横9/8倍の拡大設定とし、横方向に拡大して出力するものとすれば、同一コンテンツが同一アスペクト比で液晶パネル23とテレビモニタ25とに同時に表示可能となる。
また、図10(a)の画像データは、ワンセグ放送画像や、動画再生画像等の自然画コンテンツであるとすると、元データは圧縮データを解凍したYUV形式のデータであることが多い。また、図10(b)の画像データは、字幕放送や時計表示等の、文字情報とピクト情報等からなるコンピュータ生成画像であるとすると、元データはRGBデータであることが多い。ここで、図10(a)画像データをYUV形式のデータ、図10(b)の画像データをRGB形式のデータとすると、液晶第1レイヤの色空間変換部18を変換なしとし、液晶第2レイヤの色空間変換部18をYUV⇒RGB変換設定とし、テレビレイヤの色空間変換部18を変換なしとすると、液晶表示装置26への出力はRGB形式、テレビ受像機27への出力はYUV形式となり、各表示装置が必要とするデータ形式となる。
また、携帯電話機は、図11に示すように、折りたたみを開いた時、上筐体は、さらに表示部の裏側に施されたレール、あるいは第2のヒンジを介して、右に90°倒して横長状態にすることができ、横長画像を横長状態で表示させることができる。なお、液晶パネル23は、短辺方向にソースドライバ、長辺方向にゲートドライバが配置されているため、右に90°倒した状態においては、液晶の走査方向は右上から右下、さらに順次右から左へ走査していく方向となる。
ここで、フレームメモリ15上に必要な画像データのイメージを図12に示す。図12(b)画像データを液晶第1レイヤ読み出し部17aが読み込み、液晶第2レイヤとテレビレイヤとに同一フレームメモリ15上のアドレスとして同一アドレス設定とし、図12(a)画像データを液晶第2レイヤ読み出し部17bとテレビレイヤ読み出し部17cが同一画像データを読み込む。液晶第1レイヤ読み出し部17aが読み込んだ画像データと液晶第2レイヤ読み出し部17bが読み込んだデータは、レイヤ合成部20に出力される。そして、レイヤ合成部20は、図12(a)の画像データを図12(b)の画像データの中央部に貼り付け、出力イメージ通りの画像データを生成し、図11の表示イメージの画像データを出力する。
そして、液晶第1レイヤと液晶第2レイヤのアスペクト変換部19は、受信した画像データをそのまま出力する設定とする。すなわち、横方向にも縦方向にも拡大縮小処理を行なわず、フレームメモリ15上の画像データを縦横共に1:1に出力する。一方、テレビ用レイヤのアスペクト変換部19は、縦1:1設定、横9/8倍の拡大設定とし、同一コンテンツを同一アスペクト比で液晶表示装置26とテレビ受像機27とに同時に表示する。図10(a)画像データをYUV形式のデータ、図10(b)の画像データをRGB形式のデータとすると、液晶第1レイヤの色空間変換部18を変換なしとし、液晶第2レイヤの色空間変換部18をYUV⇒RGB変換設定とし、テレビレイヤの色空間変換部18を変換なしとすると、液晶表示装置26への出力はRGB形式、テレビ受像機27への出力はYUV形式となり、各表示装置が必要とするデータ形式となる。
そして、この時、液晶第1レイヤと液晶第2レイヤの回転処理部16を、左90°回転設定とする。すなわち、液晶第1レイヤと液晶第2レイヤで読み込まれた画像データは、図8に示すように、回転処理部16に内蔵されたラインバッファ161を介して、左90°回転して、走査方向をフレームバッファのメモリ方向と垂直方向に変換された画像データが得られる。このようにすることで、図11に示す表示イメージの画像表示を得ることができる。
そして、液晶表示装置26では、図9に示すように液晶パネル23が縦長の状態である状態1と、図11に示すように液晶パネル23が横長の状態である状態2の2状態が存在する。状態1ではフレームメモリ15のメモリ方向と、液晶表示装置26の走査方向と、テレビ受像機27の走査方向とを、すべて一致させることができる。状態2では、フレームメモリ15のメモリ方向とテレビ受像機27の走査方向を一致させると、フレームメモリ15のメモリ方向と液晶表示装置26の走査方向とが直交関係となる。逆に、フレームメモリ15のメモリ方向と液晶表示装置26の走査方向とを一致させると、フレームメモリ15のメモリ方向とテレビ受像機27の走査方向とが直交関係となる。このように、直交関係となる場合に、回転処理部16によって、画像データを回転することにより画像データを表示装置に応じて表示させることができる。
また、状態2では、フレームメモリ15のメモリ方向と走査方向とが直交関係にある表示装置は、読み出しのとき、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分とを、同一のフレームとして読み込むタイミングが発生してしまう。これにより、表示される画像に斜め線が表れ、品位を確保できない。
すなわち、画像データの書き込みと、画像データ読み出しとの、走査方向が直交関係にあると、動画像等の更新レートの速い画像表示を行なう場合、読み出しのときに、書き込みが終了していないメモリ部分と、書き込みが終了したメモリ部分とを、同一のフレームとして読み込むタイミングが発生し、表示に斜め線が表れ見え、品位を確保できない。
しかしながら、画像データのメモリ方向と走査方向とが一致している表示装置は、上述した書き込みタイミングにより書き込み開始タイミングを制御して、表示品位を確保できる。例えば、図12の例ではフレームメモリ15の画像データを、テレビ受像機27側の走査方向に、メモリ方向を合わせることにより、テレビ受像機27での表示品位を確保している。
そして、液晶表示装置26の走査方向にフレームメモリ15の画像データのメモリ方向を合わせ、テレビ受像機27の走査方向とメモリ方向とを直交させると、液晶表示装置26の表示品位を確保することもできる。
したがって、液晶表示装置26とテレビ受像機27とのどちらの表示品位を優先させるかを設定することで、どちらかの表示品位を保つことは可能である。
最後に、表示制御装置10の各ブロック、特に主制御部13(処理部131、書き込みタイミング決定部132、書き込み部133)、回転処理部16、読み出し部17、色空間変換部18、アスペクト変換部19、レイヤ合成部20、および信号処理部21は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、表示制御装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである表示制御装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記表示制御装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU(microprocessor unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital video disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、表示制御装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(local area network)、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でも、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。