JP5094549B2 - バルキング解消剤 - Google Patents
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Description
また、特許文献2、3に記載のように、殺菌剤を添加する方法では、糸状性細菌のみならず活性汚泥中の有用な微生物も殺滅し、活性汚泥が解体されることがあった。
さらに、特許文献4、5に記載のように、凝集剤を添加する方法は、活性汚泥を強制的に沈降させるため一時的な効果は有するものの、糸状性細菌の異常増殖の解消に対する根本的な解決には至らなかった。また、活性汚泥中の微生物を凝集させ大きなフロックを形成させるため、微生物活性が低下する問題があった。
また、特許文献6に記載のように、糸状性細菌を溶菌する微生物群を添加する方法では、活性汚泥中においてそれらの微生物群を糸状性細菌に特定的に作用させることが困難であった。
以上のように、従来の方法は技術的問題が多く、また、多種多様な原因に適応してバルキングを解消できるものは知られていなかった。
また、本発明のバルキング解消剤によれば、活性汚泥の解体やフロック形成不良によるもの、粘性によるもの、糸状性細菌を原因とするもの、低比重によるものなど、多種多様な原因により生じるバルキングを解消できる。
[バルキング解消剤]
本発明のバルキング解消剤は、水溶性陽イオン重合体を有効成分として含有する。
X−、Y−は各々陰イオンであり、同一であってもよく、異なっていてもよい。陰イオンとしては、例えば、Cl−、Br−、1/2SO4 2−、CH3(CO)O−、H(CO)O−などが挙げられる。中でもCl−が好ましい。
なお、共重合体を強酸の存在下、水中で加温して、一段階でアミジン構造を生成させてもよい。この場合においても、先ず、一級アミノ基が中間構造として生成しているものと考えられる。
R8は炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。
Z−は陰イオンである。陰イオンとしては、上記式(1)、(2)の説明において先に例示した陰イオンと同様である。
また、これらの組成は、水溶性陽イオン重合体の13C−NMR(13C−核磁気共鳴)を測定することにより求めることができ、具体的には、各繰り返し単位に対応した13C−NMRスペクトルのピーク(シグナル)の積分値より算出できる。
その他の成分としては、例えば、蟻酸、塩化アンモニウムなどが挙げられる。
なお、本発明において「有効成分」とは、バルキング解消剤100質量%中の水溶性陽イオン重合体の含有量を意味し、通常、10〜100質量%含有するのが好ましい。
例えば、バルキング解消剤の分子量を大きくすると、還元粘度は増加する傾向になる。
本発明のバルキング解消剤は、予め活性汚泥に添加して用いてもよく(前添加)、バルキングが発生した後に、曝気槽や固液分離槽に添加して用いてもよい(後添加)。予めバルキング解消剤を活性汚泥に添加して用いれば、活性汚泥に悪影響を与えることなくバルキングを予防できる。
予めバルキング解消剤を活性汚泥に添加する場合、バルキング解消剤の添加量は活性汚泥の乾燥固形分100質量部に対して0.0001〜25質量部が好ましく、0.0001〜10質量部がより好ましい。添加量が0.0001質量部未満であると、バルキング解消剤の効果が十分に得られにくくなる。一方、添加量が25質量部を超えると、活性汚泥中の微生物活性に悪影響を与える可能性がある。
バルキングが発生した後にバルキング解消剤を添加する場合、特に、活性汚泥の解体やフロック形成不良、粘性物質の生成、汚泥が低比重または高比重となることが原因で固液分離槽において汚泥の分離が不良となる場合は、通常、固液分離槽にそのまま、または水等に溶解させて直接添加するか、固液分離層に流入する汚泥等のラインに注入して固液分離層に導けばよい。
また、バルキング解消剤の使用量は、バルキングを起こしている汚泥をビーカー等に採取して、当該バルキング解消剤を加え、SV30(活性汚泥沈殿率)(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p271)、上澄液の濁度(JIS K 0102)等を評価することでも決定できる。
汚泥が低比重となることが原因で、沈降槽において沈降不良となる場合は、上述した使用量のバルキング解消剤を添加すればよいが、高比重の物質を同時に添加すればより効果的にバルキングを解消できる。
高比重の物質としては、例えば、ゼオライト、ケイソウ土、活性炭、焼却灰、粘土鉱物、ガラスなどの不溶性固形粉末の他、鉄系、アルミ系、水ガラスなど、活性汚泥に結合し比重を高める性質を有する溶解性物質等を使用することができ、使用量は活性汚泥に合わせてバルキング解消剤と共に適宜調整すればよい。
低比重の物質には、例えば、植物、動物、鉱物を原料とするエステル構造を有する中性油、リン脂質のような酸性油などを使用することができ、使用量は活性汚泥に合わせてバルキング解消剤と共に適宜調整すればよい。
また、バルキング解消剤は、粘性物質の粘性を低下させる効果が著しいので、特に、粘性物質の生成が原因で発生したバルキングに添加すると、固液分離性が向上してバルキングが速やかに解消される。
同様の作用により、汚泥が高比重となることが原因で、常圧・加圧浮上などの浮上分離時に、高比重の部分だけが浮上しない場合においても、バルキング解消剤を添加すれば、バルキングを解消できる。また、例えば油のような比重が低いものと共に添加すれば、浮上槽における浮上不良の効果的な解消も可能である。
バルキングが発生した後にバルキング解消剤を添加する場合、特に、糸状性細菌が原因で固液分離槽において汚泥の分離が不良となる場合は、糸状性細菌が発生した全槽に添加すれば糸状性細菌をより多く殺滅し、バルキングを根本的に短時間で解消できるため望ましい。
繁殖した糸状性細菌に対する殺滅効果は、バルキング解消剤を添加したのち数分から数時間で現れ、糸状性細菌の細胞が破壊、切断されることにより生じる細かな断片状の浮遊物や、細胞内容物が漏出したり、細胞が折れ曲がったりするなどの細胞の損傷が顕微鏡下で観察できる。
本発明のバルキング解消剤は、糸状性細菌を殺滅することによって、小さくなったフロックを大きくする作用があり、結果として固液分離が促進され、バルキングが解消し、活性汚泥が正常な状態に回復する。
また、バルキング解消剤の使用量は、バルキングを起こしている汚泥をビーカー等に採取して、当該バルキング解消剤を加え、SV30(活性汚泥沈殿率)(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p271)、上澄液の濁度(JIS K 0102)等を評価することでも決定できる。さらに、必要に応じて、位相差顕微鏡等により、細胞の切断(浮遊物)や細胞の損傷を観察することで決定することもできる。
また、膨潤化した汚泥が気泡を巻き込んで曝気槽や沈降槽で浮上する場合は、ビーカー等に採取した活性汚泥に小型散気管等を用いて曝気し、バルキング解消剤添加前後での汚泥の浮上度合いを評価することで使用量を決定できる。
<SVI(汚泥容量指標)の測定>
SVIとは、活性汚泥の沈殿性状を表す指標で、活性汚泥混合液を30分間静置したときに1gの活性汚泥浮遊物質が占める容積を示したものであり、SV30(活性汚泥沈殿率)とMLSS(活性汚泥浮遊物質)から次式により算出し、SVIが200mL/g以下の場合を良好な状態とした。
SVI[mL/g]=SV30[%]×10,000/MLSS[mg/L]
なお、SV30は常法(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p271)に準じて、一方、MLSSは常法(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p269)に準じて測定した。
位相差顕微鏡(レイマー顕微鏡、BX−2700TPH)にて、活性汚泥混合液中の糸状性細菌の生育数を数えた。糸状性細菌の生育数の判定は、出現状態の分類(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p375)に基づいて行った。なお、「1」を非常に少ない、「6」を非常に多いとし、6段階にて判定した。
活性汚泥混合液の上澄液の濁度を、濁度計(アズワン(株)製、「TN−100」)にて測定した。
位相差顕微鏡にて、活性汚泥混合液中の原生動物の運動性への影響の有無を、目視にて判定した。原生動物の運動性が通常に比べて低下している時、影響有りと判断した。
攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、脱塩水を40g、ポリエチレングリコール20000を1.2g、次亜リン酸ナトリウムを0.2g入れ、70℃に昇温し、窒素気流下、アクリロニトリルとN−ビニルホルムアミドの混合物(モル比50:50)の70質量%水溶液120gを2時間かけて滴下した。その間10質量%の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)の2塩酸塩水溶液12.6gを5回にわけ分割添加した。さらに2時間熟成後、35%塩酸(対ホルミル基100モル%相当)を加え90℃に昇温し、3時間放置し、重合体濃度30質量%の水溶液を得た。これをバルキング解消剤1とした。
(組成)
バルキング解消剤を少量とり、アセトン中に添加し、析出せしめ、これを真空乾燥して固体状の水溶性陽イオン重合体を得た。該水溶性陽イオン重合体を重水に溶解させ、NMRスペクトロメーター(日本電子社製、270MHz)にて13C−NMRスペクトルを測定した。13C−NMRスペクトルの各繰り返し単位に対応したピークの積分値より各単位の組成を算出した。なお、上記式(1)および(2)は区別することなく、その総量として求めた。
その結果、バルキング解消剤1は、上記式(1)および(2)で表されるアミジン構造単位が72モル%、上記式(3)で表される単位が0モル%、上記式(4)で表される単位が14モル%、上記式(5)で表される単位が14モル%からなる水溶性陽イオン重合体を含んでいた。
なお、このようにして得られたバルキング解消剤に含まれる各単位は、上記式(1)〜(5)中、R1〜R10が水素原子、X−、Y−、Z−が塩化物イオンであった。
組成の測定の際に得た固体状の水溶性陽イオン重合体0.1gを、1規定の食塩水100mLに溶解させ、0.1g/dLの溶液を調製した。該溶液の25℃における還元粘度をオストワルド粘度計(ハリオ研究所社製)にて測定した。
その結果、還元粘度は0.2dL/gであった。
<実施例1>
糸状性細菌(Thiothrix sp、Type0961)が優占化してバルキングを起こしている製糖工場の排水処理施設の活性汚泥(MLSS:5800mg/L、SV30:77%)1Lをビーカーに入れ、バルキング解消剤1を脱イオン水で10倍に希釈し、活性汚泥浮遊物質量に対して重合体添加量が5質量%になるように添加して2時間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。結果を表1に示す。
バルキング解消剤1を添加しなかった以外は実施例1と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表1に示す。
<実施例2>
糸状性細菌(Type021N、Nostocoida limicola、Type1701)が優占化してバルキングを起こしている化学工場のメチルアミン製造排水処理施設の活性汚泥(MLSS:8100mg/L、SV30:100%)1Lを用いた以外は実施例1と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表2に示す。
バルキング解消剤1を添加しなかった以外は実施例2と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表2に示す。
塩酸量を対ホルミル基65%相当に減らした以外は、バルキング解消剤1と同様の方法で、バルキング解消剤2を得た。
(組成)
バルキング解消剤1と同様にして13C−NMRスペクトルを測定し、各単位の組成を算出した。なお、上記式(1)および(2)は区別することなく、その総量として求めた。
その結果、バルキング解消剤2は、上記式(1)および(2)で表されるアミジン構造単位が65モル%、上記式(3)で表される単位が12モル%、上記式(4)で表される単位が14モル%、上記式(5)で表される単位が9モル%からなる水溶性陽イオン重合体を含んでいた。
なお、このようにして得られたバルキング解消剤に含まれる各単位は、上記式(1)〜(5)中、R1〜R10が水素原子、X−、Y−、Z−が塩化物イオンであった。
バルキング解消剤1と同様にして還元粘度を測定した。
その結果、還元粘度は0.2dL/gであった。
<実施例3>
糸状性細菌(Type021N、Beggiatoa、Sphaerotilus natans、Type0041)が優占化してバルキングを起こしているコーンスターチ製造工場の排水処理施設の活性汚泥(MLSS:3800mg/L、SV30:92.8%)1Lを用い、バルキング解消剤2を脱イオン水で10倍に希釈し、活性汚泥浮遊物質量に対して重合体添加量が5質量%になるように添加した以外は実施例1と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表3に示す。
バルキング解消剤2を添加しなかった以外は実施例3と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表3に示す。
<実施例4>
汚泥フロックの解体(顕微鏡観察において直径100μm以下のフロックの存在比率が50%以上の状態)により沈降不良を起こしている化学工場の医薬中間体製造排水処理施設の活性汚泥(MLSS:4670mg/L、SV30:96.5%)1Lを用い、バルキング解消剤2を脱イオン水で10倍に希釈し、活性汚泥浮遊物質量に対して重合体添加量が5質量%になるように添加した以外は実施例1と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表4に示す。
なお、試験4で用いた活性汚泥中には、糸状性細菌として、Type1851、Gordona amarae、Type0092が優占化していた。
バルキング解消剤2を添加しなかった以外は実施例4と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表4に示す。
<実施例5−1〜5−6>
汚泥フロックの分散(顕微鏡観察において分散状細菌の出現量が5.0×105個/cm2以上の状態)により沈降不良を起こしている製紙工場の抄紙系排水処理施設の活性汚泥(MLSS:7800mg/L、SV30:94%)1Lをビーカーに入れ、市販のポリ塩化アルミニウムの1%水溶液を表5に示す濃度になるように添加した。ついで、バルキング解消剤2を脱イオン水で100倍に希釈し、表5に示す濃度になるように添加して3分間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。ポリ塩化アルミニウム水溶液とバルキング解消剤2の添加濃度、及び結果を表5に示す。
バルキング解消剤2を添加しなかった以外は実施例5−1〜5−6と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表5に示す。
撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた50mLの四つ口フラスコに、アクリロニトリルとN−ビニルホルムアミドの混合物(アクリロニトリルの含有量:50モル%)6.0g、および脱塩水34.0gを入れた。窒素ガス気流中、撹拌しつつ60℃に昇温したのち、10質量%の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)の2塩酸塩水溶液1.2gを添加した。45℃で4時間、撹拌保持した後、60℃に昇温し、更に3時間保持し、水中に重合体が析出した懸濁物を得た。該懸濁物に水20gを添加し、次いで、重合体中のホルミル基に対して2当量の濃塩酸を添加して撹拌しつつ100℃に4時間保持し、重合体をアミジン化した。得られた重合体の溶液をアセトン中に添加し、析出せしめ、これを真空乾燥して固体状の水溶性陽イオン重合体を得た。この水溶性陽イオン重合体を水に溶解させ26質量%の水溶液とし、これをバルキング解消剤3とした。
(組成)
得られた水溶性陽イオン重合体を重水に溶解し、バルキング解消剤1と同様にして13C−NMRスペクトルを測定し、各単位の組成を算出した。なお、上記式(1)および(2)は区別することなく、その総量として求めた。
その結果、バルキング解消剤3は、上記式(1)および(2)で表されるアミジン構造単位が54モル%、上記式(3)で表される単位が2モル%、上記式(4)で表される単位が23モル%、上記式(5)で表される単位が21モル%からなる水溶性陽イオン重合体を含んでいた。
なお、このようにして得られたバルキング解消剤に含まれる各単位は、上記式(1)〜(5)中、R1〜R10が水素原子、X−、Y−、Z−が塩化物イオンであった。
得られた水溶性陽イオン重合体0.1gを、1規定の食塩水100mLに溶解させ、バルキング解消剤1と同様にして還元粘度を測定した。
その結果、還元粘度は0.5dL/gであった。
<実施例6>
汚泥フロックの解体(顕微鏡観察において直径100μm以下のフロックの存在比率が50%以上の状態)により沈降不良を起こしている製紙工場の抄紙系排水処理施設の活性汚泥(MLSS:6300mg/L、SV30:100%)1Lをビーカーに入れ、バルキング解消剤3を脱イオン水で100倍に希釈し、活性汚泥混合液量に対して0.02質量%添加して3分間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。結果を表6に示す。
バルキング解消剤3を添加しなかった以外は実施例6と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表6に示す。
<実施例7>
活性汚泥の分散(顕微鏡観察において分散状細菌の出現量が5.0×105個/cm2以上の状態)により沈降不良を起こしている水産物加工工場の排水処理施設の活性汚泥(MLSS:11600mg/L、SV30:98%)1Lをビーカーに入れ、バルキング解消剤3を脱イオン水で100倍に希釈し、活性汚泥混合液量に対して0.03質量%添加して3分間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。結果を表7に示す。
バルキング解消剤3を添加しなかった以外は実施例7と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表7に示す。
攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた50mlの四つ口フラスコにアクリロニトリルとN−ビニルホルムアミドの混合物(モル比55:45)6gと34gの脱塩水の混合物を入れた。窒素ガス中攪拌しつつ60℃に昇温し、10質量%の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)の2塩酸塩水溶液0.12gを添加し、さらに3時間保持し、水中に重合体が析出した懸濁物を得た。該懸濁物に水20g添加し、さらに濃塩酸を重合体のホルミル基に対し2当量添加し100℃で4時間保持し、黄色の高粘度液を得た。これを多量のアセトンに添加し、重合体を析出させ、細断し、60℃で1中夜乾燥後粉砕して水溶性陽イオン重合体を得た。この水溶性陽イオン重合体を脱塩水に溶解させ0.1質量%の水溶液とし、これをバルキング解消剤4とした。
(組成)
得られた水溶性陽イオン重合体を重水に溶解し、バルキング解消剤1と同様にして13C−NMRスペクトルを測定し、各単位の組成を算出した。なお、上記式(1)および(2)は区別することなく、その総量として求めた。
その結果、バルキング解消剤4は、上記式(1)および(2)で表されるアミジン構造単位が52モル%、上記式(3)で表される単位が1.6モル%、上記式(4)で表される単位が22.4モル%、上記式(5)で表される単位が24モル%からなる水溶性陽イオン重合体を含んでいた。
なお、このようにして得られたバルキング解消剤に含まれる各単位は、上記式(1)〜(5)中、R1〜R10が水素原子、X−、Y−、Z−が塩化物イオンであった。
得られた水溶性陽イオン重合体0.1gを、1規定の食塩水100mLに溶解させ、バルキング解消剤1と同様にして還元粘度を測定した。
その結果、還元粘度は6.4dL/gであった。
<実施例8>
汚泥フロックの粘性増加により沈降不良を起こしている化学工場の樹脂工場の乳化重合排水処理施設の活性汚泥(MLSS:7200mg/L、SV30:96%)1Lをビーカーに入れ、バルキング解消剤4を活性汚泥混合液量に対して0.02質量%添加して3分間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。結果を表8に示す。
バルキング解消剤4を添加しなかった以外は実施例8と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表8に示す。
一方、各比較例では、糸状性細菌は断片化されず、生育数も実施例に比べて多かった。また、上澄液の濁度も実施例に比べて高かった。
Claims (2)
- 前記水溶性陽イオン重合体は、N−ビニルホルムアミド及びアクリロニトリルの共重合体を酸加水分解して得られ、当該水溶性陽イオン重合体100モル%中、上記式(1)および/または(2)で表されるアミジン構造単位を繰り返し単位として5〜90モル%含有し、1規定の食塩水にて0.1g/dLの溶液とした際の25℃における還元粘度が0.01〜10dL/gであることを特徴とする請求項1に記載のバルキング解消剤。
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