JP5094549B2 - バルキング解消剤 - Google Patents

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Description

本発明は、バルキング解消剤に関する。
有機性排水の活性汚泥処理法では、排水を曝気槽において活性汚泥(以下、単に「汚泥」という場合がある。)と混合して曝気し、汚泥の沈降層や浮上層などの固液分離槽において汚泥を分離し、分離液を処理水として排出する一方、分離した汚泥の一部を返送汚泥として曝気槽に返送し、残りを余剰汚泥として排出している。このような活性汚泥処理法では、ズーグレアという細菌群を中心に、各種微生物が集まったフロック(活性汚泥)により有機物が分解されると言われているが、有機性排水の性状や各種処理条件によっては、固液分離槽において汚泥が分離不良となったり、発生する気泡を汚泥が巻き込んで曝気槽や沈降槽で浮上したりする現象が発生する。本発明では、これらの汚泥の分離不良や、汚泥の浮上現象を総称してバルキングと呼ぶ。バルキングが起こると、汚泥界面が上昇したり、汚泥が浮上したり、場合によっては汚泥が固液分離槽で分離しきれずにキャリーオーバーすることもある。
バルキングが起こる原因としては、例えば、汚泥フロックの解体により沈降性が低下する、活性汚泥中の微生物がフロックを形成しなくなる、活性汚泥中の微生物が粘性物質を生成して固液分離性が悪化する、油や放線菌等により汚泥が低比重となり沈降層にて沈降しにくくなったり、汚泥が高比重となり浮上層にて浮上しにくくなったりする、糸状性細菌が増殖してフロックを架橋し汚泥が膨潤化して固液分離性が悪化する、膨潤化した汚泥が気泡を巻き込んで曝気槽や沈降槽で浮上する、などといった様々な要因が挙げられる。
活性汚泥が一度バルキングを起こすと、その機能を回復するのは容易ではなく、汚泥の入れ替えの必要が生じる場合もあり、このような場合、工場等では汚泥の馴養期間は操業を中止しなければならなくなる。また、汚泥が流出すれば環境を汚染する他、汚泥濃度が低下することよりBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)および/またはCOD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)の除去能率が低下して環境汚染につながることもある。
そこで、バルキングの対処法として、例えば、薬剤の添加に頼らず嫌気性好気処理を実施する方法、SRT(活性汚泥滞留時間)を短くするなどの運転条件だけで正常な微生物相に復帰させ、バルキングのない活性汚泥を得る方法(例えば、特許文献1参照。)、糸状性細菌に対し、塩化物や界面活性剤などの殺菌剤を添加してバルキングを解消する方法(例えば、特許文献2、3参照。)、カチオン系高分子凝集剤や無機凝集剤などの凝集剤を添加してバルキングを解消する方法(例えば、特許文献4参照。)、凝集剤とガラス粉末を添加し低比重の汚泥を沈降促進させる方法(例えば、特許文献5参照。)、糸状性細菌を溶菌する作用をもつ微生物群を活性汚泥の処理槽中に添加してバルキングを解消する方法(例えば、特許文献6参照。)等が提案されている。
特開昭50−47459号公報 特開平6−63580号公報 特開平8−103788号公報 特開平10−244287号公報 特開2006−130458号公報 特開平3−154696号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、運転条件だけで正常な微生物相に復帰させる方法では、数週間を費やす必要があった。
また、特許文献2、3に記載のように、殺菌剤を添加する方法では、糸状性細菌のみならず活性汚泥中の有用な微生物も殺滅し、活性汚泥が解体されることがあった。
さらに、特許文献4、5に記載のように、凝集剤を添加する方法は、活性汚泥を強制的に沈降させるため一時的な効果は有するものの、糸状性細菌の異常増殖の解消に対する根本的な解決には至らなかった。また、活性汚泥中の微生物を凝集させ大きなフロックを形成させるため、微生物活性が低下する問題があった。
また、特許文献6に記載のように、糸状性細菌を溶菌する微生物群を添加する方法では、活性汚泥中においてそれらの微生物群を糸状性細菌に特定的に作用させることが困難であった。
以上のように、従来の方法は技術的問題が多く、また、多種多様な原因に適応してバルキングを解消できるものは知られていなかった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、活性汚泥中の有用な微生物には影響を与えることなく、多種多様な原因に適応してバルキングを解消できるバルキング解消剤の実現を目的とする。
本発明のバルキング解消剤は、下記式(1)および/または(2)で表されるアミジン構造単位を有する水溶性陽イオン重合体を有効成分として含有することを特徴とする。
Figure 0005094549
式(1)、(2)中、R〜Rは各々水素原子またはメチル基であり、X、Yは各々陰イオンである。
また、前記水溶性陽イオン重合体は、N−ビニルホルムアミド及びアクリロニトリルの共重合体を酸加水分解して得られ、当該水溶性陽イオン重合体100モル%中、上記式(1)および/または(2)で表されるアミジン構造単位を繰り返し単位として5〜90モル%含有し、1規定の食塩水にて0.1g/dLの溶液とした際の25℃における還元粘度が0.01〜10dL/gであることが好ましい。
本発明によれば、活性汚泥中の有用な微生物には影響を与えることなく、多種多様な原因に適応してバルキングを解消できるバルキング解消剤を実現できる。
また、本発明のバルキング解消剤によれば、活性汚泥の解体やフロック形成不良によるもの、粘性によるもの、糸状性細菌を原因とするもの、低比重によるものなど、多種多様な原因により生じるバルキングを解消できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[バルキング解消剤]
本発明のバルキング解消剤は、水溶性陽イオン重合体を有効成分として含有する。
水溶性陽イオン重合体は、下記式(1)および/または(2)で表されるアミジン構造単位を有する。
Figure 0005094549
式(1)、(2)中、R〜Rは各々水素原子またはメチル基であり、同一であってもよく、異なっていてもよい。
、Yは各々陰イオンであり、同一であってもよく、異なっていてもよい。陰イオンとしては、例えば、Cl、Br、1/2SO 2−、CH(CO)O、H(CO)Oなどが挙げられる。中でもClが好ましい。
このような水溶性陽イオン重合体の製造方法としては、特に制限されないが、例えば、一級アミノ基または変換反応により一級アミノ基が生成し得る置換アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーと、アクリロニトリルまたはメタアクリロニトリルのニトリル類との共重合体を製造し、酸加水分解後、該共重合体中のシアノ基と一級アミノ基を反応させてアミジン化する方法が挙げられる。
上記のエチレン性不飽和モノマーとしては、一般式CH=CR−NHCOR(式中、Rは水素原子またはメチル基を、Rは炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表わす。)で表わされる化合物が好ましい。共重合体中において、かかる化合物に由来する置換アミノ基は、加水分解あるいは加アルコール分解により容易に一級アミノ基に変換される。さらにこの一級アミノ基は、隣接したシアノ基と反応してアミジン化する。該化合物としては、N−ビニルホルムアミド(R=H、R=H)、N−ビニルアセトアミド(R=H、R=CH)等が例示される。
これらのエチレン性不飽和モノマーとニトリル類との重合モル比は、通常20:80〜80:20であるが、所望ならばこの範囲外の重合モル比、例えば、更にエチレン性不飽和モノマーの比率の大きい重合モル比を採用することもできる。一般的に水溶性陽イオン重合体に占めるアミジン構造単位の比率が多い方がバルキング解消剤とした際の性能は優れている。また、ビニルアミン構造単位もバルキング解消剤としての性能に有利に寄与していると考えられる。従って、バルキング解消剤として好適な共重合体を与える該エチレン性不飽和モノマーとニトリル類との重合モル比は、一般に20:80〜80:20であり、特に好ましくは40:60〜60:40である。
エチレン性不飽和モノマーとニトリル類との共重合の方法としては、通常のラジカル重合法が用いられ、塊状重合、水溶液沈殿重合、懸濁重合、乳化重合等のいずれも用いることができる。溶媒中で重合させる場合、原料モノマー濃度が通常5〜80質量%、好ましくは20〜60質量%で実施される。重合開始剤には一般的なラジカル重合開始剤を用いることができるが、アゾ化合物が好ましく、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)の塩酸塩等が例示される。また、重合反応は、一般に、不活性ガス気流下、30〜100℃の温度で実施される。得られた共重合体は、そのままの状態あるいは希釈してアミジン化反応に供することができる。また、公知の方法で脱溶媒、乾燥し、共重合体を固体として分離した後、再度溶解し、アミジン化反応に供することもできる。
アミジン化反応においては、エチレン性不飽和モノマーとして前記一般式で示されるN−ビニルアミド化合物を用いる場合には、共重合体の置換アミノ基を一級アミノ基に変換し、次いで、生成した一級アミノ基と隣接するシアノ基と反応させてアミジン構造を生成させるという2段階反応を行うことにより、本発明に用いられる水溶性陽イオン重合体を製造できる。
なお、共重合体を強酸の存在下、水中で加温して、一段階でアミジン構造を生成させてもよい。この場合においても、先ず、一級アミノ基が中間構造として生成しているものと考えられる。
アミジン化反応の具体的条件としては、例えば、共重合体中の置換アミノ基に対して通常0.1〜5.0倍、好ましくは0.5〜3.0倍当量の強酸、好ましくは塩酸を加え、通常80〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度で、通常0.5〜20時間加熱することによりアミジン構造単位を有する水溶性陽イオン重合体とすることができる。一般に置換アミノ基に対する強酸の当量比が大きいほど、かつ、反応温度が高いほど、アミジン化が進行する。また、アミジン化に際しては反応に供する共重合体に対し、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上の水を反応系内に存在させるのが好ましい。
本発明に用いられる水溶性陽イオン重合体は、最も典型的には、上記で説明したところに従い、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとを共重合させ、生成した共重合体を、通常、水懸濁液として塩酸の存在下に加熱して置換アミノ基と隣接するシアノ基からアミジン構造単位を形成させることにより製造されるのが好ましい。そして、共重合に供するN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのモル比、及び共重合体のアミジン化条件を選択することにより、各種の組成の水溶性陽イオン重合体が得られる。
このようにして得られる水溶性陽イオン重合体は、当該水溶性陽イオン重合体100モル%中、上記式(1)および/または(2)で表されるアミジン構造単位を繰り返し単位として5〜90モル%含有するのが好ましい。アミジン構造単位の含有率が5モル%未満であると、アミジン構造単位の含有量が少なすぎるため、バルキング解消剤を使用する際に、使用量が多くなる。一方、アミジン構造単位の含有率が90モル%を超えるものは、上述した方法で製造することが困難である。アミジン構造単位の含有率の下限値は、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上が特に好ましい。また、アミジン構造単位の含有率の上限値は、85モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。
なお、水溶性陽イオン重合体は、上述した方法により製造すると、前記アミジン構造単位以外にも、下記式(3)〜(5)で表される単位を含有する場合がある。
Figure 0005094549
式(3)〜(5)中、R、R、R10は各々水素原子またはメチル基であり、同一であってもよく、異なっていてもよい。
は炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。
は陰イオンである。陰イオンとしては、上記式(1)、(2)の説明において先に例示した陰イオンと同様である。
水溶性陽イオン重合体が上記式(3)〜(5)で表される単位を含有する場合、通常、当該水溶性陽イオン重合体100モル%中、上記式(3)で表される繰り返し単位を0〜40モル%、上記式(4)で表される繰り返し単位を0〜70モル%、上記式(5)で表される繰り返し単位を0〜70モル%含有する。
上記式(1)および/または(2)で表されるアミジン構造単位、および上記式(3)〜(5)で表される単位の組成は、エチレン性不飽和モノマーとニトリル類との重合モル比や、アミジン化反応の条件(温度や時間)によって調整できる。
また、これらの組成は、水溶性陽イオン重合体の13C−NMR(13C−核磁気共鳴)を測定することにより求めることができ、具体的には、各繰り返し単位に対応した13C−NMRスペクトルのピーク(シグナル)の積分値より算出できる。
本発明のバルキング解消剤は、上述した水溶性陽イオン重合体のみからなってもよいが、該水溶性陽イオン重合体を有効成分として含有すれば、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、蟻酸、塩化アンモニウムなどが挙げられる。
なお、本発明において「有効成分」とは、バルキング解消剤100質量%中の水溶性陽イオン重合体の含有量を意味し、通常、10〜100質量%含有するのが好ましい。
バルキング解消剤がその他の成分を含有する場合、水溶性陽イオン重合体を製造した後に所望の配合量となるようにその他の成分を添加してもよく、予め水溶性陽イオン重合体の原料にその他の成分を混合させておいてもよい。
このようにして得られるバルキング解消剤は、1規定の食塩水にて0.1g/dLの溶液とした際の25℃における還元粘度が0.01〜10dL/gであることが好ましく、より好ましくは0.1〜8dL/gである。還元粘度が0.01dL/g未満であると、バルキング解消剤を製造することが困難となったり、バルキング解消剤の機能が低下したりする傾向にある。一方、還元粘度が10dL/gを超えると、バルキング解消剤の水溶液の粘度が高くなりすぎるため、添加に不都合を生じる場合がある。
なお、上述した還元粘度は、バルキング解消剤の分子量、イオン性の割合、分子量分布、製造方法、組成分布等の調整によって制御できる。
例えば、バルキング解消剤の分子量を大きくすると、還元粘度は増加する傾向になる。
[バルキング解消剤の使用方法]
本発明のバルキング解消剤は、予め活性汚泥に添加して用いてもよく(前添加)、バルキングが発生した後に、曝気槽や固液分離槽に添加して用いてもよい(後添加)。予めバルキング解消剤を活性汚泥に添加して用いれば、活性汚泥に悪影響を与えることなくバルキングを予防できる。
(前添加)
予めバルキング解消剤を活性汚泥に添加する場合、バルキング解消剤の添加量は活性汚泥の乾燥固形分100質量部に対して0.0001〜25質量部が好ましく、0.0001〜10質量部がより好ましい。添加量が0.0001質量部未満であると、バルキング解消剤の効果が十分に得られにくくなる。一方、添加量が25質量部を超えると、活性汚泥中の微生物活性に悪影響を与える可能性がある。
なお、本発明において「活性汚泥に添加する」とは、活性汚泥処理系内の任意の場所に添加し活性汚泥中の微生物に接触させることを意味し、例えば、活性汚泥と共に原水槽に添加して曝気槽に導く、曝気槽に直接添加する、活性汚泥の沈降槽や浮上槽などの固液分離槽に直接添加する、脱窒等を目的とした無酸素槽がある施設で無酸素槽に直接添加するなどの他、バルキング解消効果がある限りいずれの添加方法を用いてもよい。さらには、各槽を連結する側溝や配管などの流路やこれら各槽の前に設けられた流量調整槽に添加することも可能である。
但し、本発明のバルキング解消剤を活性汚泥中の微生物に接触させる場合であっても、例えば、全量を廃棄する余剰汚泥の固液分離促進や脱水を目的として使用し、かつ当該バルキング解消剤を曝気槽に流入しない場合は、活性汚泥中の有用な微生物に悪影響を与えずに多種多様な原因に適応できるバルキング解消剤を実現するという本発明の主旨とは異なるため、本発明の及ぶところではない。しかし、このような場合でも、固液分離槽から一部を曝気槽などに返送したり、上流の曝気槽の汚泥浮上解消などに使用したりする等、本発明の効果が得られる場合は、本発明の範囲となる。
(後添加1)
バルキングが発生した後にバルキング解消剤を添加する場合、特に、活性汚泥の解体やフロック形成不良、粘性物質の生成、汚泥が低比重または高比重となることが原因で固液分離槽において汚泥の分離が不良となる場合は、通常、固液分離槽にそのまま、または水等に溶解させて直接添加するか、固液分離層に流入する汚泥等のラインに注入して固液分離層に導けばよい。
バルキング解消剤の使用量は、活性汚泥の種類により異なるので特に限定されないが、例えば活性汚泥の乾燥固形分100質量部に対して0.0001〜10質量部が好ましい。
また、バルキング解消剤の使用量は、バルキングを起こしている汚泥をビーカー等に採取して、当該バルキング解消剤を加え、SV30(活性汚泥沈殿率)(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p271)、上澄液の濁度(JIS K 0102)等を評価することでも決定できる。
なお、本発明に依るところのバルキング解消剤は、他のバルキング解消剤や、無機凝集剤、高分子凝集剤などの沈降促進効果を有する薬剤と併用することができる。
汚泥が低比重となることが原因で、沈降槽において沈降不良となる場合は、上述した使用量のバルキング解消剤を添加すればよいが、高比重の物質を同時に添加すればより効果的にバルキングを解消できる。
高比重の物質としては、例えば、ゼオライト、ケイソウ土、活性炭、焼却灰、粘土鉱物、ガラスなどの不溶性固形粉末の他、鉄系、アルミ系、水ガラスなど、活性汚泥に結合し比重を高める性質を有する溶解性物質等を使用することができ、使用量は活性汚泥に合わせてバルキング解消剤と共に適宜調整すればよい。
また、汚泥が高比重となることが原因で、浮上層において浮上不良となる場合は、上述した使用量のバルキング解消剤を添加すればよいが、低比重の物質を同時に添加すればより効果的にバルキングを解消できる。
低比重の物質には、例えば、植物、動物、鉱物を原料とするエステル構造を有する中性油、リン脂質のような酸性油などを使用することができ、使用量は活性汚泥に合わせてバルキング解消剤と共に適宜調整すればよい。
本発明のバルキング解消剤は、活性汚泥中の微生物活性を低下させることなく、フロック並びに微生物などを結合させる作用があるので、特に、活性汚泥の解体やフロック形成不良が原因で発生したバルキングに添加すると、フロックが大きくなるので、沈降が促進され速やかにバルキングが解消される。
また、バルキング解消剤は、粘性物質の粘性を低下させる効果が著しいので、特に、粘性物質の生成が原因で発生したバルキングに添加すると、固液分離性が向上してバルキングが速やかに解消される。
さらに、バルキング解消剤は、比重が低い部分を比重が高い部分に結合させる作用があるので、特に油や放線菌により汚泥が低比重となることが原因で発生したバルキングに添加すると、汚泥の沈降不良が低減してバルキングが解消される。また、バルキング解消剤は、例えば鉱物など比重が高いものを低比重の汚泥に結合させる作用もあるので、鉱物などと共に添加すれば、沈降槽における沈降不良の効果的な解消も可能である。
同様の作用により、汚泥が高比重となることが原因で、常圧・加圧浮上などの浮上分離時に、高比重の部分だけが浮上しない場合においても、バルキング解消剤を添加すれば、バルキングを解消できる。また、例えば油のような比重が低いものと共に添加すれば、浮上槽における浮上不良の効果的な解消も可能である。
(後添加2)
バルキングが発生した後にバルキング解消剤を添加する場合、特に、糸状性細菌が原因で固液分離槽において汚泥の分離が不良となる場合は、糸状性細菌が発生した全槽に添加すれば糸状性細菌をより多く殺滅し、バルキングを根本的に短時間で解消できるため望ましい。
繁殖した糸状性細菌に対する殺滅効果は、バルキング解消剤を添加したのち数分から数時間で現れ、糸状性細菌の細胞が破壊、切断されることにより生じる細かな断片状の浮遊物や、細胞内容物が漏出したり、細胞が折れ曲がったりするなどの細胞の損傷が顕微鏡下で観察できる。
本発明のバルキング解消剤は、糸状性細菌を殺滅することによって、小さくなったフロックを大きくする作用があり、結果として固液分離が促進され、バルキングが解消し、活性汚泥が正常な状態に回復する。
バルキング解消剤の使用量は、活性汚泥の種類により異なるので特に限定されないが、例えば活性汚泥の乾燥固形分100質量部に対して0.1〜25質量部が好ましい。
また、バルキング解消剤の使用量は、バルキングを起こしている汚泥をビーカー等に採取して、当該バルキング解消剤を加え、SV30(活性汚泥沈殿率)(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p271)、上澄液の濁度(JIS K 0102)等を評価することでも決定できる。さらに、必要に応じて、位相差顕微鏡等により、細胞の切断(浮遊物)や細胞の損傷を観察することで決定することもできる。
また、膨潤化した汚泥が気泡を巻き込んで曝気槽や沈降槽で浮上する場合は、ビーカー等に採取した活性汚泥に小型散気管等を用いて曝気し、バルキング解消剤添加前後での汚泥の浮上度合いを評価することで使用量を決定できる。
本発明のバルキング解消剤は、糸状性細菌類を短時間のうちに殺滅することができる。その際、断片化された菌体や細胞残渣の固液分離を促進する作用もあるので、バルキング解消剤の添加によって活性汚泥の固液分離性が相乗的に改善される。また、断片化された糸状性細菌の菌体や細胞残渣が処理水中へ混入し、処理水質が悪化するのを防ぐこともできる。さらに、発生した糸状性細菌の菌糸の間の空隙に気泡を含んで糸状性細菌が浮上するような現象に対しても、糸状性細菌を断片化する作用があるため短時間に解消できる。しかも、糸状性細菌を殺滅させる根本的解決法であるため、効果は長期間持続する。
以上説明したように、本発明のバルキング解消剤は、特定のアミジン構造単位を有する水溶性陽イオン重合体を有効成分として含有する。このようなバルキング解消剤は、活性汚泥中の有用な微生物や原生動物の生育に悪影響を及ぼしにくく、また、良好な水質の処理水を得ることができる。従って、本発明によれば、活性汚泥に悪影響を与えることなく、良好な水質を保ちながら、多種多様な原因に適応してバルキングを解消できる。
また、本発明によれば、活性汚泥が流出することによる環境汚染を抑制することもできる。さらに、曝気槽内での活性汚泥の膨化を解消し、活性汚泥濃度を高く保ち、BODおよび/またはCODの除去効果を著しく向上できる。さらに、沈降体積を小さくできるため、沈降槽においても活性汚泥の沈降分離が極めて容易になり、余剰活性汚泥の除去を頻繁に行う必要がない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[評価]
<SVI(汚泥容量指標)の測定>
SVIとは、活性汚泥の沈殿性状を表す指標で、活性汚泥混合液を30分間静置したときに1gの活性汚泥浮遊物質が占める容積を示したものであり、SV30(活性汚泥沈殿率)とMLSS(活性汚泥浮遊物質)から次式により算出し、SVIが200mL/g以下の場合を良好な状態とした。
SVI[mL/g]=SV30[%]×10,000/MLSS[mg/L]
なお、SV30は常法(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p271)に準じて、一方、MLSSは常法(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p269)に準じて測定した。
<糸状性細菌の生育数の測定>
位相差顕微鏡(レイマー顕微鏡、BX−2700TPH)にて、活性汚泥混合液中の糸状性細菌の生育数を数えた。糸状性細菌の生育数の判定は、出現状態の分類(社団法人 日本下水道協会編、「下水道試験法上巻1997年度版」p375)に基づいて行った。なお、「1」を非常に少ない、「6」を非常に多いとし、6段階にて判定した。
<上澄液の濁度の測定>
活性汚泥混合液の上澄液の濁度を、濁度計(アズワン(株)製、「TN−100」)にて測定した。
<原生動物の運動性への影響の判定>
位相差顕微鏡にて、活性汚泥混合液中の原生動物の運動性への影響の有無を、目視にて判定した。原生動物の運動性が通常に比べて低下している時、影響有りと判断した。
[バルキング解消剤1の製造]
攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、脱塩水を40g、ポリエチレングリコール20000を1.2g、次亜リン酸ナトリウムを0.2g入れ、70℃に昇温し、窒素気流下、アクリロニトリルとN−ビニルホルムアミドの混合物(モル比50:50)の70質量%水溶液120gを2時間かけて滴下した。その間10質量%の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)の2塩酸塩水溶液12.6gを5回にわけ分割添加した。さらに2時間熟成後、35%塩酸(対ホルミル基100モル%相当)を加え90℃に昇温し、3時間放置し、重合体濃度30質量%の水溶液を得た。これをバルキング解消剤1とした。
<バルキング解消剤1の特性>
(組成)
バルキング解消剤を少量とり、アセトン中に添加し、析出せしめ、これを真空乾燥して固体状の水溶性陽イオン重合体を得た。該水溶性陽イオン重合体を重水に溶解させ、NMRスペクトロメーター(日本電子社製、270MHz)にて13C−NMRスペクトルを測定した。13C−NMRスペクトルの各繰り返し単位に対応したピークの積分値より各単位の組成を算出した。なお、上記式(1)および(2)は区別することなく、その総量として求めた。
その結果、バルキング解消剤1は、上記式(1)および(2)で表されるアミジン構造単位が72モル%、上記式(3)で表される単位が0モル%、上記式(4)で表される単位が14モル%、上記式(5)で表される単位が14モル%からなる水溶性陽イオン重合体を含んでいた。
なお、このようにして得られたバルキング解消剤に含まれる各単位は、上記式(1)〜(5)中、R〜R10が水素原子、X、Y、Zが塩化物イオンであった。
(還元粘度測定)
組成の測定の際に得た固体状の水溶性陽イオン重合体0.1gを、1規定の食塩水100mLに溶解させ、0.1g/dLの溶液を調製した。該溶液の25℃における還元粘度をオストワルド粘度計(ハリオ研究所社製)にて測定した。
その結果、還元粘度は0.2dL/gであった。
[試験1]
<実施例1>
糸状性細菌(Thiothrix sp、Type0961)が優占化してバルキングを起こしている製糖工場の排水処理施設の活性汚泥(MLSS:5800mg/L、SV30:77%)1Lをビーカーに入れ、バルキング解消剤1を脱イオン水で10倍に希釈し、活性汚泥浮遊物質量に対して重合体添加量が5質量%になるように添加して2時間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。結果を表1に示す。
<比較例1>
バルキング解消剤1を添加しなかった以外は実施例1と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表1に示す。
Figure 0005094549
[試験2]
<実施例2>
糸状性細菌(Type021N、Nostocoida limicola、Type1701)が優占化してバルキングを起こしている化学工場のメチルアミン製造排水処理施設の活性汚泥(MLSS:8100mg/L、SV30:100%)1Lを用いた以外は実施例1と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表2に示す。
<比較例2>
バルキング解消剤1を添加しなかった以外は実施例2と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表2に示す。
Figure 0005094549
[バルキング解消剤2の製造]
塩酸量を対ホルミル基65%相当に減らした以外は、バルキング解消剤1と同様の方法で、バルキング解消剤2を得た。
<バルキング解消剤2の特性>
(組成)
バルキング解消剤1と同様にして13C−NMRスペクトルを測定し、各単位の組成を算出した。なお、上記式(1)および(2)は区別することなく、その総量として求めた。
その結果、バルキング解消剤2は、上記式(1)および(2)で表されるアミジン構造単位が65モル%、上記式(3)で表される単位が12モル%、上記式(4)で表される単位が14モル%、上記式(5)で表される単位が9モル%からなる水溶性陽イオン重合体を含んでいた。
なお、このようにして得られたバルキング解消剤に含まれる各単位は、上記式(1)〜(5)中、R〜R10が水素原子、X、Y、Zが塩化物イオンであった。
(還元粘度測定)
バルキング解消剤1と同様にして還元粘度を測定した。
その結果、還元粘度は0.2dL/gであった。
[試験3]
<実施例3>
糸状性細菌(Type021N、Beggiatoa、Sphaerotilus natans、Type0041)が優占化してバルキングを起こしているコーンスターチ製造工場の排水処理施設の活性汚泥(MLSS:3800mg/L、SV30:92.8%)1Lを用い、バルキング解消剤2を脱イオン水で10倍に希釈し、活性汚泥浮遊物質量に対して重合体添加量が5質量%になるように添加した以外は実施例1と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表3に示す。
<比較例3>
バルキング解消剤2を添加しなかった以外は実施例3と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表3に示す。
Figure 0005094549
[試験4]
<実施例4>
汚泥フロックの解体(顕微鏡観察において直径100μm以下のフロックの存在比率が50%以上の状態)により沈降不良を起こしている化学工場の医薬中間体製造排水処理施設の活性汚泥(MLSS:4670mg/L、SV30:96.5%)1Lを用い、バルキング解消剤2を脱イオン水で10倍に希釈し、活性汚泥浮遊物質量に対して重合体添加量が5質量%になるように添加した以外は実施例1と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表4に示す。
なお、試験4で用いた活性汚泥中には、糸状性細菌として、Type1851、Gordona amarae、Type0092が優占化していた。
<比較例4>
バルキング解消剤2を添加しなかった以外は実施例4と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表4に示す。
Figure 0005094549
[試験5]
<実施例5−1〜5−6>
汚泥フロックの分散(顕微鏡観察において分散状細菌の出現量が5.0×10個/cm以上の状態)により沈降不良を起こしている製紙工場の抄紙系排水処理施設の活性汚泥(MLSS:7800mg/L、SV30:94%)1Lをビーカーに入れ、市販のポリ塩化アルミニウムの1%水溶液を表5に示す濃度になるように添加した。ついで、バルキング解消剤2を脱イオン水で100倍に希釈し、表5に示す濃度になるように添加して3分間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。ポリ塩化アルミニウム水溶液とバルキング解消剤2の添加濃度、及び結果を表5に示す。
<比較例5−1、5−2>
バルキング解消剤2を添加しなかった以外は実施例5−1〜5−6と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表5に示す。
Figure 0005094549
[バルキング解消剤3の製造]
撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた50mLの四つ口フラスコに、アクリロニトリルとN−ビニルホルムアミドの混合物(アクリロニトリルの含有量:50モル%)6.0g、および脱塩水34.0gを入れた。窒素ガス気流中、撹拌しつつ60℃に昇温したのち、10質量%の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)の2塩酸塩水溶液1.2gを添加した。45℃で4時間、撹拌保持した後、60℃に昇温し、更に3時間保持し、水中に重合体が析出した懸濁物を得た。該懸濁物に水20gを添加し、次いで、重合体中のホルミル基に対して2当量の濃塩酸を添加して撹拌しつつ100℃に4時間保持し、重合体をアミジン化した。得られた重合体の溶液をアセトン中に添加し、析出せしめ、これを真空乾燥して固体状の水溶性陽イオン重合体を得た。この水溶性陽イオン重合体を水に溶解させ26質量%の水溶液とし、これをバルキング解消剤3とした。
<バルキング解消剤3の特性>
(組成)
得られた水溶性陽イオン重合体を重水に溶解し、バルキング解消剤1と同様にして13C−NMRスペクトルを測定し、各単位の組成を算出した。なお、上記式(1)および(2)は区別することなく、その総量として求めた。
その結果、バルキング解消剤3は、上記式(1)および(2)で表されるアミジン構造単位が54モル%、上記式(3)で表される単位が2モル%、上記式(4)で表される単位が23モル%、上記式(5)で表される単位が21モル%からなる水溶性陽イオン重合体を含んでいた。
なお、このようにして得られたバルキング解消剤に含まれる各単位は、上記式(1)〜(5)中、R〜R10が水素原子、X、Y、Zが塩化物イオンであった。
(還元粘度測定)
得られた水溶性陽イオン重合体0.1gを、1規定の食塩水100mLに溶解させ、バルキング解消剤1と同様にして還元粘度を測定した。
その結果、還元粘度は0.5dL/gであった。
[試験6]
<実施例6>
汚泥フロックの解体(顕微鏡観察において直径100μm以下のフロックの存在比率が50%以上の状態)により沈降不良を起こしている製紙工場の抄紙系排水処理施設の活性汚泥(MLSS:6300mg/L、SV30:100%)1Lをビーカーに入れ、バルキング解消剤3を脱イオン水で100倍に希釈し、活性汚泥混合液量に対して0.02質量%添加して3分間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。結果を表6に示す。
<比較例6>
バルキング解消剤3を添加しなかった以外は実施例6と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表6に示す。
Figure 0005094549
[試験7]
<実施例7>
活性汚泥の分散(顕微鏡観察において分散状細菌の出現量が5.0×10個/cm以上の状態)により沈降不良を起こしている水産物加工工場の排水処理施設の活性汚泥(MLSS:11600mg/L、SV30:98%)1Lをビーカーに入れ、バルキング解消剤3を脱イオン水で100倍に希釈し、活性汚泥混合液量に対して0.03質量%添加して3分間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。結果を表7に示す。
<比較例7>
バルキング解消剤3を添加しなかった以外は実施例7と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表7に示す。
Figure 0005094549
[バルキング解消剤4の製造]
攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた50mlの四つ口フラスコにアクリロニトリルとN−ビニルホルムアミドの混合物(モル比55:45)6gと34gの脱塩水の混合物を入れた。窒素ガス中攪拌しつつ60℃に昇温し、10質量%の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)の2塩酸塩水溶液0.12gを添加し、さらに3時間保持し、水中に重合体が析出した懸濁物を得た。該懸濁物に水20g添加し、さらに濃塩酸を重合体のホルミル基に対し2当量添加し100℃で4時間保持し、黄色の高粘度液を得た。これを多量のアセトンに添加し、重合体を析出させ、細断し、60℃で1中夜乾燥後粉砕して水溶性陽イオン重合体を得た。この水溶性陽イオン重合体を脱塩水に溶解させ0.1質量%の水溶液とし、これをバルキング解消剤4とした。
<バルキング解消剤4の特性>
(組成)
得られた水溶性陽イオン重合体を重水に溶解し、バルキング解消剤1と同様にして13C−NMRスペクトルを測定し、各単位の組成を算出した。なお、上記式(1)および(2)は区別することなく、その総量として求めた。
その結果、バルキング解消剤4は、上記式(1)および(2)で表されるアミジン構造単位が52モル%、上記式(3)で表される単位が1.6モル%、上記式(4)で表される単位が22.4モル%、上記式(5)で表される単位が24モル%からなる水溶性陽イオン重合体を含んでいた。
なお、このようにして得られたバルキング解消剤に含まれる各単位は、上記式(1)〜(5)中、R〜R10が水素原子、X、Y、Zが塩化物イオンであった。
(還元粘度測定)
得られた水溶性陽イオン重合体0.1gを、1規定の食塩水100mLに溶解させ、バルキング解消剤1と同様にして還元粘度を測定した。
その結果、還元粘度は6.4dL/gであった。
[試験8]
<実施例8>
汚泥フロックの粘性増加により沈降不良を起こしている化学工場の樹脂工場の乳化重合排水処理施設の活性汚泥(MLSS:7200mg/L、SV30:96%)1Lをビーカーに入れ、バルキング解消剤4を活性汚泥混合液量に対して0.02質量%添加して3分間撹拌した後、12時間放置した。12時間放置後のバルキング解消効果を判定した。結果を表8に示す。
<比較例8>
バルキング解消剤4を添加しなかった以外は実施例8と同様にし、バルキング解消効果を判定した。結果を表8に示す。
Figure 0005094549
表1〜8より明らかなように、各実施例では汚泥の沈降性が改善された。また、位相差顕微鏡で菌体の様子を観察すると、各糸状性細菌の糸状体が切断、断片化されており、生育数が各比較例(バルキング解消剤無添加の場合)に比べて減少した。さらに、上澄液の濁度が低下し、原生動物の運動への影響も認められなかった。
一方、各比較例では、糸状性細菌は断片化されず、生育数も実施例に比べて多かった。また、上澄液の濁度も実施例に比べて高かった。

Claims (2)

  1. 下記式(1)および/または(2)で表されるアミジン構造単位を有する水溶性陽イオン重合体を有効成分として含有することを特徴とするバルキング解消剤。
    Figure 0005094549
    式(1)、(2)中、R〜Rは各々水素原子またはメチル基であり、X、Yは各々陰イオンである。
  2. 前記水溶性陽イオン重合体は、N−ビニルホルムアミド及びアクリロニトリルの共重合体を酸加水分解して得られ、当該水溶性陽イオン重合体100モル%中、上記式(1)および/または(2)で表されるアミジン構造単位を繰り返し単位として5〜90モル%含有し、1規定の食塩水にて0.1g/dLの溶液とした際の25℃における還元粘度が0.01〜10dL/gであることを特徴とする請求項1に記載のバルキング解消剤。
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