JP5094031B2 - スカンジウム含有合金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スカンジウム含有合金の製造方法およびこの方法により得られたスカンジウム含有合金に関する。
資源としてのスカンジウム(Sc)は、地殻中に5〜10ppm程度含まれており、いわゆるクラーク数は5ppm程度であるといわれている。現在知られているスカンジウム単独鉱石として、トルベイト石((Sc,Y)Si)が知られているが、産出量は非常に少なく工業的な製錬対象となっていない。スカンジウム資源は、スズ、チタン、ウラン等の製錬の際に生成される製錬残渣から工業的に回収されているのが現状である。この製錬残渣には、数十ppm程度のスカンジウムが含まれている。
このように、スカンジウムは非常に稀少な金属であり、安定的に供給することが困難であり、さらに非常に高価なため、実用的な用途開発もあまり進んでいない状況であった。しかしながら、近年、アルミニウムに少量のスカンジウムを加えることによりその性状、機械的性質が飛躍的に向上することがわかり、活発に研究が行われている。
また、ニッケル酸化鉱石中に微量であるが、クラーク数の2〜20倍程度のスカンジウムが含まれていることが確認されている。このニッケル酸化鉱石からスカンジウムを回収する方法が、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されている。これらの公報には、ニッケル酸化鉱石を酸浸出するいわゆる湿式製錬における副産物により、スカンジウムが元の含量に対して10〜2000倍の濃縮物として回収できる方法が記載されている。この濃縮物は、水酸化物や炭酸化物の形態で回収できるため、高純度な酸化スカンジウムを得ることができる。
通常、金属スカンジウムの製造方法として、ハロゲン化したスカンジウム(主としてフッ素化スカンジウム)に、金属還元剤であるカルシウムを混合した原料を、坩堝内で溶融還元する方法が用いられている。
その応用として、特許文献3には、ハロゲン化スカンジウムに、金属還元剤であるカルシウムと、低融点合金化剤として亜鉛と、さらにはフラックス剤としてフッ素化リチウム等とを混合した原料を、不活性ガス雰囲気において坩堝内で溶融還元処理を行って、Zn-Sc合金を製造する方法が記載されている。その後、Znを揮発除去して金属スカンジウムを得るというものである。
また、Al−Sc母合金を製造する方法が特許文献4に記載されている。特許文献4には、Alと、Al中のスカンジウム含有量が2%前後となるような量のハロゲン化スカンジウムとを原料として、それらに金属還元剤を加えて溶融還元し、Al−Scの溶融金属を生成させる。次いで、その溶融金属を冷却し、Al合金塊の一部分に、Al−Sc含有化合物を高密度に析出させる。さらに、この高密度析出部分を取り出すことにより、スカンジウム含有率が7%以上、場合によっては20%をも超えるAl−Sc母合金が得られると記載されている。
これらの方法は、坩堝内で溶融還元処理を行うため、坩堝素材等から不純物がAl−Sc母合金中に混入することがあった。
また、酸化スカンジウムをAlと共にペレット化し、それを溶融Al浴で合金化する方法が特許文献5に記載されている。この方法においては、Alと酸化スカンジウムの粒度に十分配慮し、しかも一定以上の圧力下においてペレット化する必要があり、製造設備や製造工程が複雑化する傾向があった。
また、金属原料成形体に金属還元剤の蒸気を接触させて、金属原料を還元する方法が、特許文献6に記載されている。
特開2000−313928号公報 特開平9−143588号公報 特開平4−131308号公報 特開2003−171724号公報 特開平4−235231号公報 特開2004−68150号公報
このように、従来のスカンジウム含有合金の製造方法においては、坩堝内で溶融還元処理を行うため、坩堝素材などの不純物がスカンジウム含有合金に混入することがあった。さらに、製造設備や製造工程が複雑化する傾向があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不純物による汚染が抑制され、さらに簡便な製造工程等で高純度のスカンジウム含有合金を得ることができる製造方法およびこの方法により得られたスカンジウム含有合金を提供することにある。
本発明によれば、坩堝内の、スカンジウム含有化合物と、Al、Mg、CuおよびAgから選択される1種以上の金属Xとからなる溶融原料に、該坩堝外で発生した金属還元剤Zの蒸気を接触させて、該スカンジウム含有化合物を熱還元することによりX−Sc−Z合金を得るスカンジウム含有合金の製造方法が提供される。

本発明によれば、金属還元剤の蒸気を溶融しているスカンジウム含有化合物と接触させて還元しているため、坩堝素材や金属還元剤などからの不純物の混入が抑制され、さらに簡便な製造工程で高純度なスカンジウム含有合金を得ることができる製造方法、およびこの方法により得られたスカンジウム含有合金が提供される。
本実施形態に係るスカンジウム含有合金の製造方法及びその製法により得られるスカンジウム含有合金について、図1の製造装置に基づいて詳細に説明する。
図1に示されるように、スカンジウム含有合金の製造装置10は、耐熱材料からなる密閉耐熱容器12と、その内部に複数セットされた耐熱反応容器14と、耐熱反応容器14内に複数段設けられた耐熱支柱16と、耐熱支柱16上に載置された坩堝18とを有している。坩堝18内には、スカンジウム含有化合物と、金属(X)等からなる原料22が投入され、坩堝18の下方に金属還元剤(Z)24が投入される。密閉耐熱容器12は、TIG溶接により密閉されていてもよい。スカンジウム含有合金を製造する際には、このようにセットされた密閉耐熱容器12を所定の温度に過熱された加熱装置20の中に入れ、耐熱反応容器14内を加熱する。これにより、坩堝18内の原料22を溶融させるとともに金属還元剤(Z)24を蒸気化する。この蒸気化した金属還元剤(Z)24を坩堝18内の溶融した原料22に接触させてスカンジウム含有化合物を熱還元することによりスカンジウム含有合金を製造する。
密閉耐熱容器12は、完全に密閉できるものであればよく、ステンレスや耐熱鋼或いはセラミック製容器を使用することができる。耐熱反応容器14も、ステンレスや耐熱鋼或いはセラミック容器を使用することができる。耐熱反応容器14は必ずしも密閉する必要はなく、キャップや蓋等で系を閉じた状態で用いることができる。これにより、密閉耐熱容器12を開放する場合でも、耐熱反応容器14内において生成物への汚染が生じることがない。
耐熱支柱16もステンレスや耐熱鋼或いはセラミック製とすることができる。この耐熱支柱16により、坩堝18内に投入される原料22と、金属還元剤(Z)24や捕捉剤26とが直接固体状態で接触しないようにすることができる。本発明においては、耐熱支柱16を設けた例によって説明するが、これらが接触しなければこの構成に限定されるものではない。
坩堝18の材質は、ステンレスや耐熱鋼或いはセラミックスを使用することができるが、原料の汚染等を防止する観点からタンタル製坩堝が好ましい。これらいずれの材料も再使用が可能であり、経済性に優れている。
製造装置10を用いてスカンジウム含有合金を製造するには、まず坩堝18内に、主原料であるスカンジウム含有化合物と、抽出母剤である金属(X)とからなる原料22を入れる。なお、生成する金属相とスラグ相との分離性を改良し、回収率を向上させる観点から、原料22にはフラックス剤を含むことが好ましい。
さらに、この原料22とは接触しないように耐熱反応容器14内に金属還元剤(Z)24と捕捉剤26とを入れる。金属還元剤(Z)24は、スカンジウム含有化合物を還元することができ、また捕捉剤26は、容器内の酸素や窒素を捕捉することができる。
スカンジウム含有化合物としては、特に限定されるものではないが、フッ素化スカンジウム、酸化スカンジウムを用いることが好ましい。本発明においては、酸化スカンジウムを用いることがさらに好ましい。
金属(X)としては、Al,Mg,Cu,Ag等を挙げることができ、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。金属(X)は、目的とする合金の種類に応じて適宜選択される。例えば、X−Sc−Z合金を母合金として用いて、Al−Sc合金を製造する場合には、金属(X)としてはAlを用い、Mg−Sc合金を製造する場合には、金属(X)としてはMgを用いる。
スカンジウム含有化合物と金属材料(X)との配合量は、金属材料(X)に対してスカンジウムを好ましくは0.1モル%以上、25モル%以下、さらに好ましくは1モル%以上、7モル%以下となるようにすることが望ましい。上記範囲内にあると、母合金として用いた場合、その添加効果を得ることができ、さらに安定な金属間化合物(例えば、AlSc)を得ることができるため、スカンジウムの歩留まりが改善され、回収率が向上する。
フラックス剤はスラグ生成促進剤として機能を有するものである。フラックス剤としては、後述する金属還元剤(Z)24の塩化物、フッ素化物、酸化物から選ばれる1種類以上のものを使用することが好ましい。フラックス剤として、例えば、CaCl、MgCl、NaCl、KCl等の塩化物、CaF、MgF、NaF、KF等のフッ素化物、CaO、MgO、NaO、KO等の酸化物を用いることができる。フラックス剤は、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら原料は混合して使用することが望ましく、粉末状のものがより望ましい。フラックス剤の添加量は、理論的に得られるX−Sc−Z合金の生成量に対して(フラックス剤/X−Sc−Z合金)、好ましくは1/20倍重量以上、10/1倍重量以下、より好ましくは1/8倍重量以上、2/1倍重量以下となる量で使用することができる。フラックス剤の量が上記範囲であると還元反応で生成したスラグとX−Sc−Z合金との分離性に優れ、スラグ中への合金の混入を抑制することができ、回収率を向上させることができる。
金属還元剤(Z)24は、Ca,Mg,NaおよびKからなる群より選ばれる1種類以上のものを使用することが望ましい。金属還元剤(Z)24は、金属スカンジウムが得られる反応における理論還元量の好ましくは0.5倍当量以上、5倍当量以下、さらに好ましくは1倍当量以上、2倍当量以下が望ましい。上記範囲にあると、十分に還元反応が行われ還元率の向上によりスカンジウムの回収率が向上する。
捕捉剤26は、例えば、Ti、NbおよびTaから選択される1種以上の金属からなる。捕捉剤26は、反応により生成する酸素等を捕捉する。
耐熱反応容器14内に上記の原料等を投入した後、加熱装置20により耐熱反応容器14内を加熱し、原料22を溶融させるとともに金属還元剤(Z)24を蒸気として供給する。金属還元剤(Z)の蒸気を、溶融された原料22に接触させることにより、スカンジウム含有化合物が熱還元される。なお、金属還元剤(Z)の蒸気でスカンジウム含有化合物を熱還元する場合において、金属還元剤(Z)が、溶融原料22中で部分的に凝集して液状化することがある。この場合、液状の金属還元剤(Z)が、スカンジウム含有化合物の熱還元に寄与する。金属還元剤(Z)の蒸気をスカンジウム含有化合物に接触させる際における、金属還元剤(Z)の蒸気圧は、好ましくは1×10−4atm以上、より好ましくは1×10−2atm以上であることが望ましい。上限は特に制限されないが、1atm以下とすることが好ましい。金属(Z)の蒸気圧が上記の範囲であれば、実用的な蒸発速度が得られ、スカンジウム含有化合物との反応を迅速に進めることができる。
耐熱反応容器14内の温度は、金属還元剤(Z)24の種類によって好ましい範囲が異なるが、好ましくは800℃以上、1400℃以下、さらに好ましくは1000℃以上、1200℃以下の温度範囲とすることが望ましい。上記範囲内であれば、金属還元剤(Z)24は、還元反応を進めるのに十分な蒸気圧を得ることができ、スカンジウムの回収率が向上する。さらに安価な耐熱材料を使用することができるとともに、エネルギーコストも低減され経済性に優れる。
また、反応時間は、上記温度範囲において0.5時間以上、8時間以下で十分であり、例えば温度1000℃では3時間以上、6時間以下で十分に還元反応が進行する。
上記方法により、スカンジウム含有合金として、X−Sc−Z合金が得られる。X−Sc−Z合金は、X−Sc−Z合金(XはAl,Mg,Cu,Agのいずれかを表し、ZはCa,Mg,Na,Kのいずれかを表す)として表すことができる。
このX−Sc−Z合金をX−Sc合金の添加剤(母合金)として使用する場合、X−Sc−Z母合金中に存在する金属還元剤量にもよるが、この金属還元剤Zを除去することが望ましい。この場合、金属還元剤Zを含むX−Sc−Z母合金を高周波誘導炉、アーク炉、電子ビーム炉等の溶解炉で真空溶解することにより、X−Sc−Z母合金中に含まれた金属還元剤Zを揮発除去する。これにより、X−Sc合金の添加剤として最適なX−Sc母合金を得ることができる。
以下に本実施形態の効果を説明する。
本実施形態においては、スカンジウム含有化合物と、Al、Mg、CuおよびAgから選択される1種以上の金属Xとからなる溶融原料に、金属還元剤Zの蒸気を接触させることにより、該スカンジウム含有化合物を熱還元してX−Sc−Z合金を製造している。
このような方法によれば、スカンジウム含有化合物と金属還元剤とを溶融させる溶融還元処理とは異なり、坩堝素材や金属還元剤由来の不純物の混入が抑制され、高純度なスカンジウム含有合金を簡便な方法で得ることができる。また、金属還元剤Zを蒸気としているため、溶融還元法に比べて低温で還元工程を行うことが可能となり、製造プロセスのマージンを広げることができる。
また、本実施形態においては、金属還元剤Zの蒸気を接触させることにより、スカンジウム含有化合物を熱還元しているため、スカンジウム含有化合物の材料選択の幅を広げることができる。例えば、極めて安定な酸化スカンジウムを原料として用いて、スカンジウム含有合金を得ることができる。
酸化スカンジウムは極めて安定であるため、一般的な溶融還元法によりスカンジウム含有合金を製造することが困難であった。そのため、従来、熱力学的な観点からフッ素化スカンジウムを原料として用いた溶融還元法によりスカンジウム含有合金が製造されている。
しかしながら、フッ素化スカンジウムを原料として用いた場合、(a)フッ素化スカンジウムは酸化スカンジウムをフッ素化することにより得られるため、フッ素化工程を別途必要とすること、(b)フッ素を用いているため環境や人体等への負荷が大きいこと、などを認めることができる。
このような状況下において、本発明者らは鋭意研究したところ、酸化スカンジウムと、Al、Mg、CuおよびAgから選択される1種以上の金属Xと、フラックス剤とからなる溶融原料に、金属還元剤Zの蒸気を接触させて、該スカンジウム含有化合物を熱還元することにより、スカンジウム含有合金が得られることを見出したのである。
なお、特許文献6には、金属化合物を粘結剤と混合して成形した後、焼成して金属原料成形体を作製し、この金属原料成形体を金属蒸気と接触させることにより、金属原料成形体を還元する方法が記載されている。しかしながら、当該文献に記載の方法は、成形体とした金属化合物を金属蒸気として接触させる方法であり、溶融原料に金属還元剤の蒸気を接触させる方法と比較してスカンジウム含有合金を安定的に生成することは困難である。
これに対し、本実施形態では、酸化スカンジウムを、上記金属Xとともに溶解させ、この溶融原料に金属還元剤Zの蒸気を接触させることにより、還元反応が可能となり、スカンジウム含有合金を安定的に得ることができる。
[実施例]
[実験例1]
図1に示した製造装置10を用いて金属スカンジウムの製造を行った。ステンレス鋼(SUS316)の耐熱反応容器14内の上部において、耐熱支柱16にタンタル製坩堝18を設置しその中に酸化スカンジウム原料をセットした。さらに、耐熱反応容器14内の底部に、酸化スカンジウムの理論反応当量の2倍量となるように金属還元剤24であるカルシウムを入れ、酸素や窒素ガスの捕捉剤26となるスポンジチタンを入れた。このステンレス鋼製耐熱反応容器14の4セットをスポンジチタンとともにステンレス鋼製密閉耐熱容器(チャンバー)12内に入れ、TIG溶接により密閉した。この密閉したチャンバーを外熱式電気炉(加熱装置20)により1000℃に昇温し、6時間保持し、Ca蒸気により還元を行った。その後、チャンバーごと水中に浸漬し急冷した後、チャンバーの蓋を取り外し、粉末状の生成物を得た。得られた粉末状の生成物をXRD測定により相の同定を行った。図2に得られた生成物の外観写真と、XRD測定結果を示す。
X線パターン結果から金属スカンジウムのピークが確認されたことから、従来熱力学的に不可能とされていた酸化スカンジウムから金属スカンジウムが生成された。しかし、複合酸化物であるCaSc相やScの存在が確認され、還元反応はまだ十分に進行しておらず、改良の余地があった。
[実験例2]
タンタル製坩堝18内に、酸化スカンジウムと、抽出剤として金属Al粉末とを、全量(100モル%)に対してScが3モル%となるように配合した以外は実験例1と同様にして実施した。得られた粉末状の生成物をXRD測定により相の同定を行った。図3に、得られた生成物の外観写真と、XRD測定結果を示す。X線パターン結果から、抽出母剤のAlとAlSc相の存在が確認され、Al−Sc含有合金を直接製造することができた。還元剤であるカルシウムを過剰に使用したためAlCaとしての存在も確認された。
以上のことから、Al−Sc−Ca合金の生成が確認された。また、同定できない回折ピークもいくつか認められ、金属相とスラグ相の分離を完全に行うことはできなかった。
[実験例3]
タンタル製坩堝18内に、酸化スカンジウムと、抽出剤として金属Al粉末と、スラグ生成のフラックス剤であるCaClをAl−Sc含有合金の理論生成量に対して0.125、0.25、0.5、1.0、1.2倍量となるように配合した以外は実験例2と同様にして実施した。得られた粉末状の生成物をXRD測定により相の同定を行った。図4に、CaClをAl−Sc含有合金の理論生成量に対して1.0倍量の条件で還元を行って得られた生成物の外観写真と、XRD測定結果を示す。X線パターン結果から抽出母剤のAlとAlSc相の存在が確認され、Al−Sc含有合金を直接製造することができた。還元剤であるCaを過剰に使用したためAlCaの存在も確認された。
以上のことから、Al−Sc−Ca合金の生成が確認された。また、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析により分析した結果、元素組成比はSc:Ca:Al=4.3:0.8:94.7であった。
また、図5に記載の生成物の外観から解るように、フラックス剤量が0.25倍量以上使用することにより、数ミリ粒径のAl−Sc含有合金相が得られスラグ相との分離性が良好であることが確認された。また、フラックス剤量が多くなるに従って粒径の大きい合金が得られる傾向が確認され、Al−Sc含有合金相とスラグ相の分離性が一層向上することが確認された。
[実験例4]
タンタル製坩堝18内にフッ素化スカンジウムをセットして実施した以外は、実験例1と同様にして行った。得られた粉末状の生成物をXRD測定により相の同定を行った。図6に生成物の外観写真と、XRD測定結果を示す。X線パターン結果から金属スカンジウムが生成したことがわかる。このことから、1000℃と低い温度でフッ素化スカンジウムから金属スカンジウムを生成することが確認された。
上記の実験例においては、捕捉剤を用いることによりAl−Sc−Ca合金が得られることが確認された。また、捕捉剤を用いることなくAl−Sc−Ca合金を製造したところ、Al−Sc−Ca合金が得られることが確認された。
実施の形態に係るX−Sc−Z合金の製造装置を模式的に示した断面図である。 実験例1において得られた生成物の外観写真(a)とXRD測定結果(b)とを示す。 実験例2において得られた生成物の外観写真(a)とXRD測定結果(b)とを示す。 実験例3において、フラックス剤であるCaClをAl−Sc含有合金の理論生成量に対して1.0倍量となるように配合した場合に得られた生成物の外観写真(a)とXRD測定結果(b)とを示す。 実験例3において、フラックス剤であるCaClをAl−Sc含有合金の理論生成量に対して1.2、0.5,0.25,0.125倍量となるように配合した場合に得られた生成物の外観写真(a)〜(d)を示す。 実験例4において得られた生成物の外観写真(a)とXRD測定結果(b)とを示す。
符号の説明
10 X−Sc−Z合金の製造装置
12 密閉耐熱容器
14 耐熱反応容器
16 耐熱支柱
18 坩堝
20 加熱装置
22 原料
24 金属還元剤Z
26 捕捉剤

Claims (11)

  1. 坩堝内の、スカンジウム含有化合物と、Al、Mg、CuおよびAgから選択される1種以上の金属Xとからなる溶融原料に、該坩堝外で発生した金属還元剤Zの蒸気を接触させて、該スカンジウム含有化合物を熱還元することによりX−Sc−Z合金を得ることを特徴とするスカンジウム含有合金の製造方法。
  2. 前記スカンジウム含有化合物として、酸化スカンジウムまたはフッ素化スカンジウムを用いることを特徴とする請求項1に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  3. 前記スカンジウム含有化合物として、酸化スカンジウムを用いることを特徴とする請求項1に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  4. 前記溶融原料中に、フラックス剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  5. 前記フラックス剤が、前記金属還元剤Zの塩化物、フッ素化物および酸化物から選択される1種以上の化合物であることを特徴とする請求項4に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  6. 前記金属還元剤Zが、Ca、Mg、NaおよびKから選択される1種以上の金属であることを特徴とする請求項1に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  7. 前記金属還元剤Zの蒸気を接触させる際における、前記金属還元剤Zの蒸気圧が1×10−4atm以上であることを特徴とする請求項1に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  8. 捕捉剤の存在下において、前記スカンジウム含有化合物を熱還元することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  9. 前記捕捉剤が、Ti、NbおよびTaから選択される1種以上の金属からなることを特徴とする請求項8に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  10. 前記X−Sc−Z合金から、金属Zを揮発除去することによりX−Sc合金を得ることを特徴とする請求項1に記載のスカンジウム含有合金の製造方法。
  11. 坩堝内の、酸化スカンジウムと、Al、Mg、CuおよびAgから選択される1種以上の金属Xと、フラックス剤とからなる溶融原料中で、該坩堝外で発生した金属還元剤Zを接触させ、該酸化スカンジウムを熱還元することによりX−Sc−Z合金を得ることを特徴とするスカンジウム含有合金の製造方法。
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