JP5093073B2 - 電動機の制御装置および制御方法 - Google Patents

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本発明は、電動機の制御装置および制御方法に関し、特に、立ち上がり時間を短縮可能とした電動機の制御装置および制御方法に関する。
電動機(3相モータ)の制御においては、インバータからモータのU相、V相、W相の各相に駆動信号を出力して、3相出力電圧を制御し、回転磁界を生成している。
3相モータを制御する場合、電動機に対する電圧指令値を制御することで、その電動機の実電流を電流指令値に収束させる制御を行なっている。
電圧指令値は電圧方程式(後述の(3)式および(4)式)によって求められるが、立ち上がり時やモータ回転数の上昇時に実電流が電流指令値に収束するまでに時間がかかってしまう、という問題がある。
すなわち、実電流が電流指令値に向かうときに直ちに収束するようにその電流指令値に向かうのではなく、一旦、その電流指令値を超えてから、その電流指令値に漸近するようにして収束する(このことを以下では、「オーバーシュートする」という)。この性質のために、立ち上がり時に実電流が電流指令値に収束するまでに時間がかかってしまう。
なお、周辺技術として、例えば、特許文献1では、交流電動機の制御装置として、電動機への印加電圧が飽和状態となったときに、PI制御における積分項をゼロにして、比例項による電圧制御に切り換える技術が示されている。
特開2002−325498号公報
本発明は、立ち上がり時に実電流が電流指令値に収束するまでの時間を短縮することを可能とした電動機の制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
提案する電動機の制御装置は、電動機に対する電圧指令値を制御することで、その電動機の実電流を電流指令値に収束させる制御を行なう。
この制御装置は、上記電流指令値と上記実電流との差分に対する閾値と、上記電圧指令値のうちの積分項に対する第1制限値と、その積分項に対する上記第1制限値より小さい第2制限値とを記憶するメモリと、上記メモリのデータを基に、上記積分項を制限するリミッタとを有する。そして、動作時に電流指令値と実電流との差分が上記閾値より小さくなったときに、上記リミッタは上記積分項を上記第1制限値に制限し、動作時に電流指令値と実電流との差分がさらにゼロ以下になったときに、上記リミッタは上記積分項を上記第2制限値に制限するものである。
例えば、上記収束させる制御における、上記電圧指令値のうちの積分項の時間変化を予めシミュレーションしておき、その積分項のピーク値近傍の値であり、その近傍の値に対応する時刻以降の、上記差分が正である間の時刻においてその近傍の値で上記積分項を制限したときに、上記実電流がぎりぎり上記電流指令値を超える場合に、その近傍の値を上記第1制限値とするとともに、その近傍の値に対応する時刻における電流指令値と実電流との差分を上記閾値とし、さらに、上記収束させる制御のシミュレーションにおける、時間が十分経過した後の上記積分項の平衡値を上記第2制限値とする。
提案する電動機の制御装置によれば、上記リミッタは、電流指令値と実電流との差分が差分の閾値より小さくなったときに、積分項を上記第1制限値に制限し、電流指令値と実電流との差分がさらにゼロ以下になったときに、積分項を上記第2制限値に制限する。
このように、実電流がぎりぎり電流指令値を超えるような第1制限値により、積分項のピーク値のやや手前からその積分項を制限することで、実電流が電流指令値を超えることを担保しつつ、実電流が電流指令値を超えるときの勢いをやや落とすことが可能となる。よって、電流指令値と実電流との差分が正からゼロに切り替わる時点(オーバーシュートが始まるタイミング)を特定した場合でも、実電流が電流指令値を超えた、電流指令値に近い値からその電流指令値に対し漸近するように収束するために、立ち上がり時に実電流が電流指令値に収束するまでの時間を短縮することができる。
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、制御装置1は、d軸電圧指令値算出部2、q軸電圧指令値算出部3、2相/3相変換部4、電動機(3相モータ、以下単に「モータ」という)5、3相/2相変換部6、を有する。
また、図2は、図1の2相/3相変換部4の構成を詳細に示す図である。
図2に示すように、2相/3相変換部4は、モータ5を駆動するインバータ13、インバータ13のU相電流を検出する電流センサ14−1、インバータ13のW相電流を検出する電流センサ14−2、ロータ電気角算出部17、回転速度算出部19、角速度算出部21、PWM制御部23、を有する。
ロータ電気角算出部17は、モータ5が内蔵するエンコーダ15から出力される信号に基づいて、モータ5のある位置(例えば、U相軸)を基準とするロータ電気角θを算出する。
回転速度算出部19は、ロータ電気角θと、ロータの回転時間に基づいてモータ5のロータ回転速度V(r/min)を算出する。
角速度算出部21は、ロータ回転速度Vから角速度ω(rad/sec)を算出する。
PWM制御部23は、d軸電圧指令値算出部2が算出したd軸電圧指令値Vdと、q軸電圧指令値算出部3が算出したq軸電圧指令値Vqと、ロータ電気角算出部17が算出したロータ電気角θとを入力して、インバータ13のスイッチング素子Q1〜Q6をそれぞれPWM(Pulse Width Modulation)制御によりオン/オフさせるための駆動信号S1〜S6を生成し出力する。
インバータ13は、6個のスイッチング素子Q1〜Q6によって構成される。スイッチング素子Q1〜Q6は、例えば、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。
スイッチング素子Q1、Q3、Q5は、図2では不図示のバッテリーのプラス端子側に接続され、スイッチング素子Q2、Q4、Q6は、そのバッテリーのマイナス端子側に接続される。また、スイッチング素子Q1とQ2は直列に接続され、それらの間の接合点がモータ5のU相端子に接続される。スイッチング素子Q3とQ4は直列に接続され、それらの間の接合点がモータ5のV相端子に接続される。スイッチング素子Q5とQ6は直列に接続され、それらの間の接合点がモータ5のW相端子に接続される。
図1の3相/2相変換部6は、モータ5と、2相/3相変換部4内のインバータ13との間に設けられる電流センサ14−1および14−2から出力される、U相電流IuおよびW相電流Iwと、ロータ電気角算出部17が算出したロータ電気角θとに基づいて、モータ5の各相に流れる電流(U相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iw)を、モータ5のd軸方向に流れる実電流Idおよびモータ5のq軸方向に流れる実電流Iqに変換する。
なお、本実施形態では、モータ5の制御にはベクトル制御と呼ばれる制御方式が用いられている。このベクトル制御では、モータの等価モデルから以下の(1)式および(2)式を導出し、これらの式を基準に出力電圧を制御している。
Vd = (R+pLd)Id − ωLqIq ・・・(1)
Vq = (R+pLq)Iq + ωLdId + ωKe ・・・(2)
ここで、Vdはd軸電圧指令値、Vqはq軸電圧指令値、pは微分演算子、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Rは巻線抵抗、ωは角速度(rad/sec)、Keは誘起電圧定数、である。
一般には、上記(1)式および(2)式の微分演算子pと抵抗Rの部分をPI制御にて置き換えた下記(3)式および(4)式にて制御を行っている。
ΔId = Id_ref − Id
Vd = KpdΔId + ∫KidΔId − ωLqIq ・・・(3)
ΔIq = Iq_ref − Iq
Vq = KpqΔIq + ∫KiqΔIq + ωLdId + ωKe ・・・(4)
ここで、Id_refはd軸電流指令値、Iq_refはq軸電流指令値、Idはd軸実電流、Iqはq軸実電流、Kpdはd軸P(Proportional)項ゲイン、Kpqはq軸P項ゲイン、Kidはd軸I(Integral)項ゲイン、Kiqはq軸I項ゲイン、である。
このようにして算出されたVd、Vqに基づいて、モータ5のdq軸の電流を制御する。なお、実際にモータに印加される電圧は、下記(5)式の条件により制限される。
(Vd^2 + Vq^2)^0.5 < Vmax ・・・(5)
ここで、Vmaxは入力電圧(印加電圧)である。
例えば、(3)式および(4)式によって算出されたVd、Vqが(5)式の条件を満たさない場合、その算出されたVd、Vqを出力することは当然のこととしてできなくなる。すなわち、Vd、Vqとして無駄な値が算出される場合もある。
図1のd軸電圧指令値算出部2は、上記(3)式に示されるように、d軸実電流Id、q軸実電流Iq、d軸電流指令値Id_ref、q軸インダクタンスLq、角速度ωから、d軸電圧指令値Vdを算出する。
q軸電圧指令値算出部3は、上記(4)式に示されるように、d軸実電流Id、q軸実電流Iq、q軸電流指令値Iq_ref、d軸インダクタンスLd、誘起電圧定数Ke、角速度ωから、q軸電圧指令値Vqを算出する。
図3は、図1のd軸電圧指令値算出部2の構成を詳細に示した図である。この図は、ソフトウェアにより実行される処理を示したものである。
図3において、演算器31は、d軸電流指令値Id_refと、d軸実電流Idを符号反転したものを入力し、それらを加算することで、d軸電流指令値Id_refとd軸実電流Idとの差分ΔId(=Id_ref−Id)を出力する。
乗算器32は、演算器31の出力ΔIdに対し、d軸P項ゲインKpdを乗算し、その乗算結果KpdΔId(d軸のP項)を出力する。
乗算器33は、演算器31の出力ΔIdに対し、d軸I項ゲインKidを乗算し、その乗算結果KidΔId(d軸のI項)をリミッタ35に出力する。
続いて、リミッタ35の動作につき、図4を参照して説明する。
図4は、図3のリミッタ35の詳細な構成を示すブロック図である。
図4において、リミッタ35は、乗算器33の出力KidΔIdが入力されるd軸I項算出部41を備えている。d軸I項算出部41は、入力されたKidΔIdを前回の積分値に加算することにより、∫KidΔId(d軸のI項)を算出し、出力選択部42に出力する。
第1のフラグ変更部43は、差分ΔIdと、メモリ46に保持される第1のフラグFLG_1とを入力し、図5Aに示す電流指令値と実電流の差分の閾値と第1フラグの値とを対応付けたテーブルを参照して、その第1のフラグFLG_1の値を変更する。
図5Aに示すように、入力した差分ΔIdの値が、差分の閾値“10”より小さいときに、第1のフラグFLG_1(値は“オフ”に初期化されているものとする)の値を“オン”に設定し、差分ΔIdの値が、差分の閾値“10”以上のときに、第1のフラグFLG_1の値を“オフ”に設定する。
第2のフラグ変更部44は、差分ΔIdと、メモリ46に保持される第2のフラグFLG_2とを入力し、図5Bに示すテーブルを参照して、その第2のフラグFLG_2の値を変更する。
図5Bに示すように、入力した差分ΔIdの値が、“0(ゼロ)”以下のときに、第2のフラグFLG_2(値は“オフ”に初期化されているものとする)の値を“オン”に設定し、差分ΔIdの値が、“0”より大きいときに、第2のフラグFLG_2の値を“オフ”に設定する。
出力選択部42は、メモリ46から第1のフラグFLG_1および第2のフラグFLG_2を読み出す。そして、図6に示すテーブルを参照して、第1のフラグFLG_1と第2のフラグFLG_2との組み合わせに応じて、リミッタ35の出力としてd軸I項算出部41が算出したものを採用するか、あるいは、その組み合わせに応じたリミット値を採用するかを選択し、その選択した値を後段の演算器に出力する。
すなわち、図6のテーブルに示すように、メモリ46から読み出した第1のフラグFLG_1=“オフ”かつ第2のフラグFLG_2=“オフ”のとき、出力選択部42は、d軸I項算出部41による算出結果をリミッタ35の出力として選択し出力する。第1のフラグFLG_1=“オン”かつ第2のフラグFLG_2=“オフ”のとき、出力選択部42は、第1のリミット値(本実施形態では“40”)をリミッタ35の出力として選択し出力する。第1のフラグFLG_1=“オン”かつ第2のフラグFLG_2=“オン”のとき、出力選択部42は、第2のリミット値(本実施形態では“12”)をリミッタ35の出力として選択し出力する。
上記(1)式と(3)式、あるいは、(2)式と(4)式を比較すると、(3)式あるいは(4)式のPI制御におけるI項は、R×I(抵抗と電流の積)に相当することが分かる。モータの巻線に抵抗成分が存在する以上、I項はどのような状態下でもゼロとなることはない。実電流が電流指令値に収束しようとする状態下における各パラメータ(図5Aの“10”や図6の“40”)を、後述するように、モータの設計時に、モータの用途、動作条件等に応じて適切な値に設定することにより、応答性すなわち立ち上がり時間(収束に要する時間)を向上させることができる。
図4の説明に戻る。
演算器36は、q軸実電流Iqと、q軸インダクタンスLqと、角速度ωとを入力し、それらの乗算結果(ωLqIq)を出力する。
演算器38は、乗算器32の出力KpdΔId(d軸のP項)と、リミッタ35の出力(d軸のI項あるいはそれを制限したもの)と、演算器36の出力を符号反転したもの(−ωLqIq)とを加算することで、d軸電圧指令値Vdを算出し出力する。
続いて、q軸電圧指令値算出部3の動作について説明する。
図7は、図1のq軸電圧指令値算出部3の構成を詳細に示した図である。この図は、ソフトウェアにより実行される処理を示したものである。
図7において、演算器51は、q軸電流指令値Iq_refと、q軸実電流Iqを符号反転したものを入力し、それらを加算することで、q軸電流指令値Iq_refとq軸実電流Iqとの差分ΔIq(=Iq_ref−Iq)を出力する。
乗算器52は、演算器51の出力ΔIqに対し、q軸P項ゲインKpqを乗算し、その乗算結果KpqΔIq(q軸のP項)を出力する。
乗算器53は、演算器51の出力ΔIqに対し、q軸I項ゲインKiqを乗算し、その乗算結果KiqΔIq(q軸のI項)をリミッタ55に出力する。
リミッタ55は、乗算器53の出力KiqΔIqを前回の積分値に加算することにより、∫KiqΔIq(q軸のI項)を算出する。そして、第1のフラグFLG_1(q軸用)と第2のフラグFLG_2(q軸用)との組み合わせに応じて、リミッタ55の出力として算出したq軸のI項を採用するか、あるいは、その組み合わせに応じたリミット値を採用するかを選択し、その選択した値を後段の演算器に出力する。その詳細はd軸の場合と同様であり、省略する。
演算器56は、d軸実電流Idと、d軸インダクタンスLdと、角速度ωとを入力し、それらの乗算結果(ωLdId)を出力する。
演算器57は、角速度ωと、誘起電圧定数Keとを入力し、それらの乗算結果(ωKe)を出力する。
演算器58は、乗算器52の出力KpqΔIq(q軸のP項)と、リミッタ55の出力(q軸のI項あるいはそれを制限したもの)と、演算器56の出力(ωLdId)と、演算器57の出力(ωKe)とを加算することで、q軸電圧指令値Vqを算出し出力する。
続いて、電圧指令値Vを制御することで、実電流Iが電流指令値I_refに収束していく様子を、図8〜図13を参照して説明する。このうち、図8〜図11は、積分項(I項)のリミット制御を行わない従来の場合に相当するシミュレーション結果を示した図であり、図12および図13は、本実施形態の積分項(I項)のリミット制御を行う場合に相当するシミュレーション結果を示した図である。以下に各図について説明する。
図8は、PI制御におけるP項ゲインKp=1、I項ゲインKi=1としたときの、P項、I項、電流指令値、実電流の時間変化を示す従来のシミュレーション結果を示した図である。
図8において、縦軸の左側の目盛りは、電圧指令値のうちのP項(KpΔI、ただし、ΔI=I_ref−I)、実電流I、電流指令値I_refに対応しており、縦軸の右側の目盛りは、電圧指令値のうちのI項(∫KiΔI)に対応している。また、横軸には時間(任意単位)が示されている。このことは、図9〜図13についても同様である。
また、図8において、直線61は電流指令値I_refを示している。曲線62は実電流Iの時間変化を示している。曲線63はP項(KpΔI)の時間変化を示している。曲線65はI項(∫KiΔI)の時間変化を示している。また、図9は図8からP項の曲線63を除いたものの拡大図である。
図8および図9の例では、P項ゲインKp=1、I項ゲインKi=1に設定してI項のリミット制御を行わずにシミュレーションを実行している。I項ゲイン(Ki)の値が“1”程度の値の場合、このシステムでは、オーバーシュートが発生しないために、実電流Iが電流指令値I_refに収束していくまでに要する時間(電流安定までの時間)、すなわち、実電流Iの曲線62が、直線61で示される電流指令値I_refに十分近づくまでに要する時間が“10000(msec)”程度で収まっている。
図10は、PI制御におけるP項ゲインKp=1、I項ゲインKi=5としたときの、P項、I項、電流指令値、実電流の時間変化を示す従来のシミュレーション結果を示した図である。
図10において、直線71は電流指令値I_refを示している。曲線72は実電流Iの時間変化を示している。曲線73はP項(KpΔI)の時間変化を示している。曲線75はI項(∫KiΔI)の時間変化を示している。また、図11は図10からP項の曲線73を除いたものの拡大図である。
図10および図11の例では、P項ゲインKp=1、I項ゲインKi=5に設定してI項のリミット制御を行わずにシミュレーションを実行している。I項ゲイン(Ki)の値が“5”程度の値の場合、このシステムでは、オーバーシュートが発生し、実電流Iが電流指令値I_refに収束していくまでに要する時間(電流安定までの時間)、すなわち、実電流Iの曲線72が、直線71で示される電流指令値I_refに十分近づくまでに “25000(msec)”程度の時間を要してしまう。
図12は、PI制御におけるP項ゲインKp=1、I項ゲインKi=5としたときの、P項、I項、電流指令値、実電流の時間変化を示す本実施形態のシミュレーション結果を示した図である。
図12において、直線81は電流指令値I_refを示している。曲線82は実電流Iの時間変化を示している。曲線83はP項(KpΔI)の時間変化を示している。曲線85はI項(∫KiΔI)の時間変化を示している。また、図13は図12からP項の曲線83を除いたものの拡大図である。
図12および図13の例では、P項ゲインKp=1、I項ゲインKi=5に設定し、かつ、本実施形態のI項のリミット制御を行ってシミュレーションを実行している。
I項ゲイン(Ki)の値が“5”程度の値の場合、このシステムではI項のリミット制御を実施しない限り、対応する図10および図11の例に示されるように、オーバーシュートが発生し、実電流が電流指令値に十分近づくまでに要する時間として、 “25000(msec)”程度の時間を要してしまう。
このため、本実施形態では、I項のリミット制御を行わない場合の時間変化を図10、図11として予めシミュレーションしておき、I項のピーク値近傍の値(ここでは、その近傍の値=“40”)であり、その近傍の値に対応する時刻以降の、電流指令値I_refと実電流Iとの差分が正である間の時刻においてその近傍の値でI項を制限したときに、図13の実電流Iの時間変化を示す曲線82のピーク値がぎりぎり電流指令値I_refを示す直線81を超える場合に、その近傍の値(すなわち、“40”)を図6の第1のリミット値としてメモリ上に予め記憶するとともに、その近傍の値に対応する時刻における電流指令値と実電流との差分(ここでは、“10”とする)を図5Aの差分の閾値としてメモリ上に予め記憶する。
さらに、前記収束させる制御のシミュレーションにおける、時間が十分経過した後のI項の平衡値(ここでは、“12”とする)を図6の第2のリミット値としてメモリ上に予め記憶する。
立ち上がり時もしくはモータ回転数の上昇時には、実電流は電流指令値より小さい値から、その電流指令値に向かうように制御される。よって、電流指令値と実電流との差分は始めのうちは正の値であり、実電流が電流指令値を超えた時点で負の値になり、時間をかけて実電流が電流指令値に漸近するように収束する。
上述のリミッタ35または55は、電流指令値と実電流との差分が図5Aの差分の閾値(ここでは、“10”)より小さくなったときに、対応するI項を上記第1のリミット値(すなわち、“40”)に制限し、電流指令値と実電流との差分がさらにゼロ以下になったときに、対応するI項を上記第2のリミット値(すなわち、“12”)に制限する。
このように、実電流がぎりぎり電流指令値を超えるような第1制限値により、積分項のピーク値のやや手前からその積分項を制限することで、実電流が電流指令値を超えることを担保しつつ、実電流が電流指令値を超えるときの勢いをやや落とすことが可能となる。よって、実電流が電流指令値を超えた、電流指令値に近い値からその電流指令値に対し漸近するように収束するために、立ち上がり時に実電流が電流指令値に収束するまでの時間を短縮することができる。
また、実電流がぎりぎり電流指令値を超えるという条件を満たした上で、積分項のピーク値までの範囲内で第1のリミット値(すなわちI項)を大きくすれば、そのI項が含まれる電圧指令値も大きくなるので、実電流が電流指令値に収束するまでの時間を短くできる。また、実電流がぎりぎり電流指令値を超えるという条件を満たした上で、積分項のピーク値までの範囲内で第1のリミット値(すなわちI項)を小さくすれば、そのI項が含まれる電圧指令値も小さくなるので、実電流が電流指令値に収束するまでの時間を長くできる。
すなわち、I項のピーク値付近のある時刻でのI項の値に対応する第1のリミット値、および、そのピーク値付近のある時刻における、電流指令値と実電流との差分に対応する差分の閾値として、適切な値を設定することにより、収束するまでの時間として要求される時間を満たして、実電流が電流指令値に収束するまでの時間を短くするように調整できる。
本発明の一実施形態に係る電動機の制御装置の構成を示すブロック図である。 図1の2相/3相変換部の構成を詳細に示した図である。 図1のd軸電圧指令値算出部の構成を詳細に示した図である。 図3のリミッタの構成を詳細に示した図である。 差分ΔIdに応じて、第1のフラグFLG_1を変更する際に使用されるテーブルを示した図である。 差分ΔIdに応じて、第2のフラグFLG_2を変更する際に使用されるテーブルを示した図である。 第1のフラグFLG_1および第2のフラグFLG_2に応じて、図3のリミッタの出力がどのように切り替わるかを示した図である。 図1のq軸電圧指令値算出部の構成をより詳細に示した図である。 PI制御におけるP項ゲインKp=1、I項ゲインKi=1としたときの、P項、I項、電流指令値、実電流の時間変化を示す従来のシミュレーション結果を示した図である。 図8からP項を省いた拡大図である。 PI制御におけるP項ゲインKp=1、I項ゲインKi=5としたときの、P項、I項、電流指令値、実電流の時間変化を示す従来のシミュレーション結果を示した図である。 図10からP項を省いた拡大図である。 PI制御におけるP項ゲインKp=1、I項ゲインKi=5としたときの、P項、I項、電流指令値、実電流の時間変化を示す本実施形態のシミュレーション結果を示した図である。 図12からP項を省いた拡大図である。
符号の説明
1 制御装置
2 d軸電圧指令値算出部
3 q軸電圧指令値算出部
4 2相/3相変換部
5 モータ
6 3相/2相変換部
13 インバータ
14−1、14−2 電流センサ
15 エンコーダ
17 ロータ電気角算出部
19 回転速度算出部
21 角速度算出部
23 PWM制御部
31、36、38、51、56、57、58 演算器
32、33、52、53 乗算器
35、55 リミッタ
61、71、81 直線
62、63、65、72、73、75、82、83、85 曲線

Claims (4)

  1. 電動機に対する電圧指令値を制御することで、該電動機の実電流を電流指令値に収束させる制御を行なう該電動機の制御装置において、
    前記電流指令値と前記実電流との差分に対する閾値と、前記電圧指令値のうちの積分項に対する第1制限値と、該積分項に対する前記第1制限値より小さい第2制限値とを記憶するメモリと、
    前記メモリのデータを基に、前記積分項を制限するリミッタとを有し、
    動作時に電流指令値と実電流との差分が前記閾値より小さくなったときに、前記リミッタは前記積分項を前記第1制限値に制限し、
    動作時に電流指令値と実電流との差分がさらにゼロ以下になったときに、前記リミッタは前記積分項を前記第2制限値に制限することを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記収束させる制御における、前記電圧指令値のうちの積分項の時間変化を予めシミュレーションしておき、
    該積分項のピーク値近傍の値であり、その近傍の値に対応する時刻以降の、前記差分が正である間の時刻においてその近傍の値で前記積分項を制限したときに、前記実電流がぎりぎり前記電流指令値を超える場合に、その近傍の値を前記第1制限値とするとともに、その近傍の値に対応する時刻における電流指令値と実電流との差分を前記閾値とし、
    さらに、前記収束させる制御のシミュレーションにおける、時間が十分経過した後の前記積分項の平衡値を前記第2制限値としたことを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  3. 動作時に電流指令値と実電流との差分が前記閾値より小さくなってから、該差分がゼロ以下となるまでの間に、前記第1制限値と前記第2制限値との間の値をもつ制限値を1以上設け、
    前記積分項の値を、それら制限値の間で段階的に下げることを特徴とする請求項1記載の電動機の制御装置。
  4. 電動機に対する電圧指令値を制御することで、該電動機の実電流を電流指令値に収束させる制御を、前記電流指令値と前記実電流との差分に対する閾値と、前記電圧指令値のうちの積分項に対する第1制限値と、該積分項に対する前記第1制限値より小さい第2制限値とを記憶するメモリと、前記メモリのデータを基に、前記積分項を制限するリミッタとを用いて行なう該電動機の制御方法において、
    動作時に電流指令値と実電流との差分が前記閾値より小さくなったときに、前記リミッタは前記積分項を前記第1制限値に制限し、
    動作時に電流指令値と実電流との差分がさらにゼロ以下になったときに、前記リミッタは前記積分項を前記第2制限値に制限することを特徴とする電動機の制御方法。
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