JP5092851B2 - 分取液体クロマトグラフシステム - Google Patents

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Description

本発明は、液体クロマトグラフのカラムで分離された成分を分画して採取する(つまり分取する)分取液体クロマトグラフシステムに関する。
従来より、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を利用して、液体試料に含まれる複数の成分を分画して採取する、いわゆる分取液体クロマトグラフ(以下、分取LCと略す)が知られている(特許文献1など参照)。一般的な分取LCは、送液ポンプやカラムを含む分離部と、分離部の後段に配設された可視紫外分光光度計などの検出器、及びフラクションコレクタと、これらを制御する制御部とを備えており、カラムにおいて時間的に分離された成分を含む溶出液が検出器を通過する際に各成分が検出され、その溶出液がフラクションコレクタに導入されて成分毎に異なる容器(バイアル瓶など)に分取される。
フラクションコレクタにおける分取動作の制御方法としては、分取のタイミングを操作者自身が直接的に指示する手動分取と、分取のタイミングを検出器による検出結果に基づいて装置が自動的に決定する自動分取とがある(特許文献2など参照)。
自動分取では、例えばフラクションコレクタに内蔵されたマイクロコンピュータや所定の制御ソフトウエアを搭載したパーソナルコンピュータ或いは専用の制御装置(システムコントローラ)等により具現化される上記制御部が、検出器からの検出信号を受けて、それにより作成されるクロマトグラムの波形処理を行ってピークの開始点や終了点を検出し、ピーク開始点で分取を開始し、ピーク終了点で分取終了を行うようにしている。ピーク開始点及び終了点を検出するためのパラメータ(例えばクロマトグラムカーブの傾斜の閾値)や保持時間などは、分画パラメータとして予め操作者により設定される。
一方、手動分取では、モニタ上にほぼリアルタイムで表示される分析実行中のクロマトグラムを操作者が観察しつつ、そのクロマトグラムの波形形状を判断してキー操作により分取の開始点及び終了点を指示する。この指示に応じて制御部は、即座にフラクションコレクタでの分取の開始・終了を行うか、或いは、或る成分を含む溶出液が検出器を通過してからフラクションコレクタに到達するまでの流路での時間遅れを考慮し、その遅れ分に相当する時間だけ遅延したタイミングで分取の開始・終了を行うようにしている。
また、パーソナルコンピュータや専用の制御装置により上記制御部が具現化される従来の分取LCでは、分画されたピークを操作者に知らせるために、周期的にフラクションコレクタから分画情報を取得し、ほぼリアルタイムで表示するクロマトグラム上に分画情報から求まる分画されたピークの状態を重ね描きするようにしている。
一般にフラクションコレクタには、仕様が様々である各社のLC装置との接続を考慮した汎用性が要求される。そのため、多くのフラクションコレクタでは、検出器からの検出信号をアナログ信号で受け、内部でA/D変換を行った後に、得られたデータに対してデジタル的に波形処理を行うようにしている。サンプル/ホールド回路やA/D変換器を含む入力回路段には、入力信号の許容振幅範囲が設定されているため、この範囲を超えるような検出信号が入力されると信号飽和が生じる。また、上記入力回路段ではオフセット電圧などが調整可能となっているため、この調整が適切でない場合、入力回路段を通すとオフセット電圧が大きくなることがある。こうした要因のため、検出器からフラクションコレクタへ入力される検出信号で表されるクロマトグラムと波形処理対象とされる検出データで表されるクロマトグラムとが完全に一致するとは限らない。
そのため、検出器からの検出信号に基づいて表示されるクロマトグラムを参考にして事前に最適な分画パラメータ(分取開始点・終了点など)を決定し、これを用いて自動分取を実行しても、必ずしも操作者の意図とおりの分取が行えない場合がある。また、例えばフラクションコレクタの入力回路段が適切に調整されていない場合でも、操作者がそれに気付かずに分取動作を実行してしまい、大切な試料を無駄にしてしまうおそれもある。
また手動分取の場合には、目的ピークの立ち上がり及び立ち下がりの適宜の時点で操作者はキー操作により指示を与える必要があったが、従来のようにリアルタイムで表示されるクロマトグラムだけでは、そのタイミングを量ることが難しく、操作が遅れがちであった。それによって、分取した溶液に不純物が混じったり、目的成分の分取量が少なくなったりするおそれがあった。
また、周期的にフラクションコレクタから分画情報を取得し、その分画情報を用いて分画されたピークをクロマトグラム上に重ね描きする従来の方法では、表示のリアルタイム性が劣るため、適切な分取が行えたか否かの操作者による判断に遅れが生じる。これを回避するために、分画情報の取得の周期を短くしようとすると、データ伝送や処理の負荷が大きくなり、より高性能のパーソナルコンピュータや通信速度の速い通信線を利用する必要が生じる。
特開平3−29850号公報 特開2007−183173号公報
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その主な目的は、自動分取、手動分取のいずれでも目的成分を正確に且つ効率的に分取することができ、異常発生時にはこれを迅速且つ容易に認識して不必要な分取作業を停止する等の適切な対処をとることができる分取LCシステムを提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、試料中の成分を分離するカラム及び該カラムからの溶出液中の成分を検出する検出器を含む液体クロマトグラフと、前記溶出液中の1乃至複数の成分を分画して採取するフラクションコレクタと、を別体として備え、前記液体クロマトグラフは前記検出器による検出信号をアナログ信号として出力し、前記フラクションコレクタはそのアナログ信号である検出信号を受信してデジタル化した後に波形処理を行って分取のタイミングを決定する分取LCシステムにおいて、
a)目的試料に対する分析の進行に伴い、液体クロマトグラフから出力されるアナログ信号である検出信号又はこの検出信号が該液体クロマトグラフの内部でデジタル化されて出力される検出データを受け取り第1のクロマトグラムをリアルタイムで作成するとともに、前記フラクションコレクタにおいて検出信号がデジタル化された後の検出データを受け取り第2のクロマトグラムをリアルタイムで作成するデータ処理手段と、
b)第1及び第2のクロマトグラムを表示部の同一画面上に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る分取LCシステムにおいて、表示部の画面上に表示される第1のクロマトグラフは、フラクションコレクタを通さない信号に基づくものであり、同一画面上に表示される第2のクロマトグラフは、フラクションコレクタにおいて少なくともサンプル/ホールド回路やアナログ/デジタル変換部などを含む入力回路段を通した信号(検出データ)に基づくものである。したがって、この入力回路段での振幅範囲の制限による信号の飽和や不適切な調整によるオフセット電圧などの異常がある場合、その影響は第1のクロマトグラムには現れないが、第2のクロマトグラムに反映される。
これにより、例えば操作者が第1のクロマトグラムと第2のクロマトグラムとを目視で比較することで、上記のような異常の有無を容易に判断することができる。そして、異常の発生が見つかったならば、即座に分析を停止するといった適切な処置をとることができる。また、第2のクロマトグラムを記録し、それを用いた分画のシミュレーションを行って最適な分画パラメータを定めることで、自動分取の際に従来よりも正確な分取が可能となる。
また本発明に係る分取LCシステムの一態様では、前記フラクションコレクタは、或る成分を含む溶出液が前記検出器を通過してから該フラクションコレクタに到達するまでの時間遅れを考慮し、時間補正を行った検出データを第2のクロマトグラム作成用に出力する構成とすることができる。
上記時間遅れは配管の長さや内径などのハードウエア的な要素のほかに、移動相の流量(流速)、使用する移動相の種類、周囲温度などの分析条件によっても変化する。したがって、設定された分析条件に従って時間遅れを計算し、それに基づいて検出データの時間補正を行うようにするとよい。
時間補正がなされた検出データに基づいて作成され、リアルタイムで表示される第2のクロマトグラムは、その時点よりも以前にフラクションコレクタに導入された溶出液中の成分を反映したクロマトグラムである。したがって、検出器を通過したが未だフラクションコレクタには到達していない成分のピークは、第2のクロマトグラムには現れない。これに対し、同一画面上にリアルタイムで表示される第1のクロマトグラムには、検出器を通過したが未だフラクションコレクタには到達していない成分のピークも現れている。そこで、手動分取の場合、操作者はこの第1のクロマトグラム上のピークを参照して、時間的に遅れて第2のクロマトグラムに現れる同じ成分のピークの開始点や終了点を指示する。なお、この場合には、操作者による指示とほぼ同時に、フラクションコレクタでの分取の開始・終了が速やかに実行される。
これによれば、手動分取の際の目的成分の分取開始及び終了のタイミングを操作者が適切に指示することができ、分取開始の指示が遅れて採取される目的成分の量が減ったり、分取終了の指示が遅れて不純物が混入したりすることを回避し易くなる。
また本発明に係る分取LCシステムにおいて、前記フラクションコレクタは、前記時間補正のなされた検出データによるクロマトグラムに対する波形処理の結果に基づいて実行された又は実行中である分画の状態を示す分画情報を、前記検出データに付加して、又は該検出データと並行して出力し、前記表示制御手段は、その分画情報を第2のクロマトグラム上に重ねて表示するようにするとよい。
ここでいう分画情報とは、実際に分取が実行された期間(開始点と終了点)を示す情報であり、クロマトグラム上では、例えば分取が実行された期間に相当するピーク波形とベースラインとで囲まれる領域をハッチングで描出することで明示するとよい。これにより、操作者は、クロマトグラムの表示とほぼ同時にリアルタイムで分取開始及び終了時点を知ることができ、例えば何らかの不具合で適切でない分取が行われた場合に迅速にそれを認識して動作を停止する等の適切な対処が可能である。
また本発明に係る分取LCシステムでは、第1のクロマトグラムと第2のクロマトグラムとの信号強度を比較することにより、前記フラクションコレクタのアナログ/デジタル変換部を含む入力回路段の異常を検知する異常検知手段、をさらに備える構成とするとよい。さらにまた、異常検知手段により異常が検知されると、自動的に分取を停止したり、或いは異常が検知された時刻やそのときに分画していた成分などの情報を記録したりするようにしてもよい。
これにより、操作者がクロマトグラムを観察していなくても或いは見逃しても、操作者はフラクションコレクタの入力回路段の異常を迅速に且つ確実に認識して、必要な処置を執ることができる。
以下、本発明の一実施例である分取LCシステムを、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例の分取LCシステムの要部の構成図である。
LC部1において、移動相容器11に貯留されている移動相は送液ポンプ12により吸引され、一定流量でインジェクタ13を介してカラム14に流される。インジェクタ13において移動相中に注入された試料は移動相に乗ってカラム14に導入され、カラム14を通過する間に時間方向に分離されて溶出する。紫外可視分光光度計である検出器(以下「UV検出器」と称す)5は、光源51、溶出液が流れるフローセル52、回折格子などを含む分光器53、フォトダイオードアレイ検出器54、アンプ55、などを含む。光源51から発せられた測定光はフローセル52を流通する溶出液中を通過するが、その際に溶出液に含まれる成分に特有の波長の吸収を受ける。この透過光は分光器53で波長分散され、分散光はフォトダイオードアレイ検出器54により一斉に検出される。これにより、透過光の波長毎の信号強度、つまり吸収スペクトルが得られる。この信号がアンプ55により増幅されてUV検出器5から出力される。
なお、LC部1の検出器としては、フォトダイオードアレイ検出器を用いたUV検出器のほか、波長走査を行う構成のUV検出器でもよい。或いは、例えば示差屈折率検出器、電気伝導度検出器、分光蛍光検出器などの他の方式による検出器でもよい。また、質量分析計でもよいが、その場合には、導入された溶出液は消費されるので、カラム14からの溶出液の一部をスプリッタで分岐して質量分析計に導入し、残りの溶出液を後述のフラクションコレクタ6に導入するとよい。
UV検出器5を通過した溶出液はその全量(又は一部でもよい)がフラクションコレクタ6に導入される。フラクションコレクタ6は、導入される溶出液を複数の容器に分画・採取する、電磁バルブ61を含む分取機構部62のほか、電気系として、アナログ/デジタル変換器(ADC)63と、データ処理部64と、分取制御部65、とを備える。ここではADC63は、アンプやサンプル/ホールド回路などを含むものとする。
本分取LCシステム全体の動作の制御を実行する制御/処理部7は、アナログ/デジタル変換器(ADC)71、異常判定部72、記憶制御部73、表示制御部74などを含む。制御/処理部7はハードウエアとしては汎用のパーソナルコンピュータ(PC)を中心に構成され、PCに搭載された専用の制御/処理用ソフトウエアが実行されることで、上記異常判定部72、記憶制御部73、表示制御部74などの各機能が達成される。もちろん、ここでは本実施例のシステムに特徴的な機能のみを記載しているが、それ以外に多くの機能が制御/処理部7により達成されることは言うまでもない。記憶部81はPCに内装された又は外付けのHDDなどであり、操作部82はキーボードやマウス等のポインティングデバイスであり、表示部83は液晶モニタなどである。
次に、本実施例による分取LCシステムの特徴的な動作について説明する。LC部1での目的試料のLC分析の進行に伴って、UV検出器5では溶出液中の成分の量に対応した信号強度を持つ検出信号が連続的に得られ、これがLC部1の(又はUV検出器5の)出力端15から出力され、フラクションコレクタ6の入力端66と制御/処理部7の入力端75とに並行して入力される。フラクションコレクタ6において、入力されたアナログ信号である検出信号はADC63において、所定のサンプリング周期でサンプリングされてデジタルデータに変換される。このデジタル化された検出データがデータ処理部64に入力されるとともに、出力端67から出力され制御/処理部7の入力端76に入力される。
データ処理部64ではまず、或る成分を含む溶出液がUV検出器5を通過した時点からフラクションコレクタ6に到達するまでの遅れ時間τを考慮して、検出データの時間補正が施される。遅れ時間τは、配管の長さや径などのサイズのほか、送液ポンプ12による送液流量(流速)、移動相の種類(粘性)、周囲温度などの分析条件にも依存する。そこで、データ処理部64は制御/処理部7より分析条件を示す情報を受け取り、これを予め入力設定された配管のサイズなどの情報に加えて、遅れ時間τを推算する。そして、検出データを遅れ時間τだけ遅延させ、且つ現時点から遅れ時間τだけ遡った期間の検出データを除外することで、時間補正した検出データを求める。
この検出データを出力端68から出力するとともに、データ処理部64ではこの検出データからクロマトグラムを構成し、制御/処理部7から予め与えられる分画パラメータに基づいて波形処理を実行する。自動分取の場合には、この波形処理により、或る保持時間に対応したピークの開始点と終了点とを検出し、分取制御部65はそのピーク開始点のタイミングで分取を開始し、ピーク終了点のタイミングで分取を終了するように分取機構部62を制御する。時間補正された検出データに基づいて時々刻々と作成されるクロマトグラムの最新の強度データは、フラクションコレクタ6に導入される直前の成分を反映したものであるから、上述のような分取の開始及び終了の動作制御によって、フラクションコレクタ6に導入される目的成分を適切に分画・採取することができる。分取制御部65での分取開始及び分取終了を示す信号は分画情報として制御/処理部7にも送出される。
自動分取でなく手動分取の場合には、制御/処理部7から与えられる分取開始及び終了の指示が与えられると、分取制御部65は即座に分取の開始及び終了を行うように分取機構部62を制御する。
制御/処理部7の入力端75にはLC部1のUV検出器5によるアナログ信号である検出信号が入力され、入力端76にはフラクションコレクタ6でデジタル化された後で時間補正がなされていない検出データが入力され、入力端77にはフラクションコレクタ6で時間補正がなされた検出データが入力される。アナログ信号である検出信号はADC71でデジタル値に変換され、これと他の2つの検出データが記憶制御部73及び表示制御部74に入力される。また、ADC71でデジタル化されたデータと入力端76に入力されたデータとは異常判定部72にも入力される。
表示制御部74は上記3つのデータによりそれぞれクロマトグラムをリアルタイムで、つまり新たなデータが入力される毎にそのデータに対応したカーブを追加するようにクロマトグラムを作成し、これを表示部83の同一画面内に並べて表示する。また表示制御部74は分取制御部65から送られる分取の開始点及び終了点などの分画情報を受け取り、時間補正がなされた検出データに基づくクロマトグラム上にその分画情報を示す。具体的にはここでは、分取が実行された期間に相当するピーク波形とベースラインとで囲まれる領域をハッチングで示すようにする。
この表示の一例を図2に示す。図2において、下段の〔IN〕はADC71でデジタル化されたデータに基づくクロマトグラム、中段の〔OUT1〕は入力端76に入力された時間補正がなされていない検出データに基づくクロマトグラム、上段の〔OUT2〕は入力端77に入力された時間補正がなされた検出データに基づくクロマトグラムである。
電気的な処理による信号の遅延は溶出液の流れによる遅延に比べれば格段に小さいので、クロマトグラム〔IN〕とクロマトグラム〔OUT1〕とは基本的に、つまり後述するような波形形状の相違を除けば、ほぼ同じである。これに対し、クロマトグラム〔OUT2〕の元となるデータはクロマトグラム〔OUT1〕の元となるデータに対し上記遅れ時間τだけずれているから、表示画面上ではクロマトグラム〔OUT2〕はクロマトグラム〔OUT1〕よりも遅れ時間τの期間分のカーブが欠落したものとなる。この欠落部分が、UV検出器5は既に通過したが未だフラクションコレクタ6に導入されていない成分に対応している。
したがって、図2に示したクロマトグラム〔OUT2〕は時間経過に伴ってクロマトグラム〔OUT1〕やクロマトグラム〔IN〕と同様のピークが出現することが予想される。そこで、手動分取の際に、操作者は、このクロマトグラム〔OUT1〕やクロマトグラム〔IN〕を参照しながらクロマトグラム〔OUT2〕でピークが出現するであろう位置やピークが終了するであろう位置を適切に判断し、操作部82から分取の開始及び終了の指示を行うことができる。この指示が行われると、制御/処理部7からフラクションコレクタ6の分取制御部65に遅滞なく分取開始及び終了の指令が出され、上述のように分取制御部65は即座に分取の開始及び終了を行うように分取機構部62を制御する。これによって、正確に目的成分を分取することができる。
またクロマトグラム〔OUT2〕上に明示されている分画情報を見て、操作者は、クロマトグラムの表示とほぼ同時にリアルタイムで分取開始及び終了時点を知ることができる。これにより、例えば何らかの不具合で適切でない分取が行われた場合に迅速にそれを認識して動作を停止する等の適切な対処をとることができる。
異常判定部72は時々刻々と入力される2つのクロマトグラムデータを用いて、次のような処理を実行する。即ち、いまUV検出器5の出力信号に基づくデータの値をVin、フラクションコレクタ6でデジタル化されたデータの値をVoutとすると、フラクションコレクタ6の入力回路段が適切に調整されており、また入力信号の振幅が制限にかからずに信号飽和が生じない状態であれば、VinとVoutとは比例関係が成り立つ。つまり、
Vout=k・Vin (但しkは定数) …(1)
が成り立つ。
UV検出器5及びフラクションコレクタ6にはそれぞれ検出下限があり、検出下限未満では(1)式が成り立つとは限らない。そこで、UV検出器5の検出下限をLdet、フラクションコレクタ6の検出下限をLfctとすると、
|Vin|>Ldet
|k・Vin|>Lfct
となる強度Vin=Vthを定める。そして、
|Vin|>Vth
で、且つ、
|Vout/(k・Vin)−1|>Vref
であることを条件として、フラクションコレクタ6の入力回路段の異常であると判定する。定数k、閾値Vth、基準値Vrefは予めパラメータとして異常判定部72に与えておくものとする。
即ち、異常判定部72は、定数kによりVinとVoutとの信号強度差を調整した状態で両者の差が基準値以上に大きいときに、フラクションコレクタ6の入力回路段に異常があると判断する。何故なら、入力回路段で定められる振幅範囲を入力信号が超えてしまって信号が飽和したときや、入力回路段で大きなオフセット電圧が与えられたときに、上記のような異常状態となるからである。例えば図3に示すように、ピークが飽和すると[IN]と[OUT1]のピーク強度には強度差ΔVが生じる。異常判定部72が上記異常を検知すると、表示制御部74を介して表示部83の画面上に警告表示がなされる。或いは、警告音などを出力して操作者の注意を喚起するようにしてもよい。このときの警告表示の態様は特に限定されない。
操作者は上記警告報知がなされたときにフラクションコレクタ6の入力回路段に異常があるか、調整が不適切であると判断し、例えば分析を中止する等の適宜の対応をとる。これによって、不適切な分析を継続して試料を無駄にすることを回避できる。
なお、上述のように本実施例の分取LCシステムでは、フラクションコレクタ6の入力回路段に異常がある場合に異常報知がなされるが、仮に異常判定部72がない場合でも、表示部83の同一画面上にクロマトグラム〔IN〕とクロマトグラム〔OUT1〕とが並べて描出されるので、操作者は両者の波形形状を見比べて異常の有無を容易に判断することができる。
上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
本発明の一実施例による分取LCシステムの要部の構成図。 本実施例の分取LCにおける表示画面の一例を示す図。 本実施例の分取LCにおけるデータ処理の説明図。
符号の説明
1…LC部
11…移動相容器
12…送液ポンプ
13…インジェクタ
14…カラム
15…出力端
5…UV検出器
51…光源
52…フローセル
53…分光器
54…フォトダイオードアレイ検出器
55…アンプ
6…フラクションコレクタ
61…電磁バルブ
62…分取機構部
63、71…アナログ/デジタル変換器(ADC)
64…データ処理部
65…分取制御部
66…入力端
67、68…出力
…制御/処理部
72…異常判定部
73…記憶制御部
74…表示制御部
75、76、77…入力端
81…記憶部
82…操作部
83…表示部

Claims (4)

  1. 試料中の成分を分離するカラム及び該カラムからの溶出液中の成分を検出する検出器を含む液体クロマトグラフと、前記溶出液中の1乃至複数の成分を分画して採取するフラクションコレクタと、を別体として備え、前記液体クロマトグラフは前記検出器による検出信号をアナログ信号として出力し、前記フラクションコレクタはそのアナログ信号である検出信号を受信してデジタル化した後に波形処理を行って分取のタイミングを決定する分取液体クロマトグラフシステムにおいて、
    a)目的試料に対する分析の進行に伴い、液体クロマトグラフから出力されるアナログ信号である検出信号又はこの検出信号が該液体クロマトグラフの内部でデジタル化されて出力される検出データを受け取り第1のクロマトグラムをリアルタイムで作成するとともに、前記フラクションコレクタにおいて検出信号がデジタル化された後の検出データを受け取り第2のクロマトグラムをリアルタイムで作成するデータ処理手段と、
    b)第1及び第2のクロマトグラムを表示部の同一画面上に表示する表示制御手段と、
    を備えることを特徴とする分取液体クロマトグラフシステム。
  2. 請求項1に記載の分取液体クロマトグラフシステムであって、前記フラクションコレクタは、或る成分を含む溶出液が前記検出器を通過してから該フラクションコレクタに到達するまでの時間遅れを考慮し、時間補正を行った検出データを第2のクロマトグラム作成用に出力することを特徴とする分取液体クロマトグラフシステム。
  3. 請求項2に記載の分取液体クロマトグラフシステムであって、前記フラクションコレクタは、前記時間補正のなされた検出データによるクロマトグラムに対する波形処理の結果に基づいて実行された又は実行中である分画の状態を示す分画情報を、前記検出データに付加して、又は該検出データと並行して出力し、前記表示制御手段は、その分画情報を第2のクロマトグラム上に重ねて表示することを特徴とする分取液体クロマトグラフシステム。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の分取液体クロマトグラフシステムであって、第1のクロマトグラムと第2のクロマトグラムとの信号強度を比較することにより、前記フラクションコレクタのアナログ/デジタル変換部を含む入力回路段の異常を検知する異常検知手段、をさらに備えることを特徴とする分取液体クロマトグラフシステム。
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