JP5091733B2 - 加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼 - Google Patents

加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼 Download PDF

Info

Publication number
JP5091733B2
JP5091733B2 JP2008067944A JP2008067944A JP5091733B2 JP 5091733 B2 JP5091733 B2 JP 5091733B2 JP 2008067944 A JP2008067944 A JP 2008067944A JP 2008067944 A JP2008067944 A JP 2008067944A JP 5091733 B2 JP5091733 B2 JP 5091733B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
stainless steel
mass
absorption performance
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008067944A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009221554A (ja
Inventor
誠一 磯崎
聡 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Nisshin Co Ltd filed Critical Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Priority to JP2008067944A priority Critical patent/JP5091733B2/ja
Publication of JP2009221554A publication Critical patent/JP2009221554A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5091733B2 publication Critical patent/JP5091733B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は、Niを節減するため、Niを必要最小限の含有量に抑制しつつも優れた深絞り性、張出し性を発現し、トラックをはじめとする自動車の車体、構造部材や補強材などに対し、優れた衝撃吸収性能をも発揮するステンレス鋼に関する。
自動車分野では最近、衝突時の人体の安全性確保ならびに省エネルギー化と環境対応を考慮した軽量化が盛んに検討されている。安全面では衝突時に車体の一部の部品が衝撃を吸収し、人体への衝撃を極小化するための構造ならびに素材が検討されている。その衝撃吸収部材の一例としてクラッシュボックスが挙げられる。クラッシュボックスは、その性能として軽衝突時の際サイドメンバーを含む車体を損傷防止し、かつ高速衝突時の高エネルギーを吸収することで、衝突時の修理工数を低減するとともに人体損傷を回避することが要求されている。クラッシュボックスで優れた衝撃吸収性能を発現するには、圧壊過程において高い平均荷重を維持する必要があり、その素材自体が優れた衝撃吸収性能を有することが望まれる。
クラッシュボックスを含む自動車車体における銅板の代表的接合法はスポット溶接であり、衝撃吸収部材の圧壊過程においてはスポット溶接部の強度が吸収エネルギーに大きく影響する。つまり、母材のみならずスポット溶接部においても優れた衝撃吸収性能を有することが重要である。従来から、自動車の車体や補強部材には普通鋼ハイテンが多用されている。しかも、高い衝撃吸収性能を有しつつ薄肉軽量化を図る上で、引張強さ780N/mmあるいはそれ以上の高強度材の適用が検討されている。一方で、加工性ならびに衝撃吸収性能に優れる素材として、SUS301およびSUS304に代表される加工硬化型の準安定オーステナイト系ステンレス鋼の適用も検討されている。
高強度の普通鋼ハイテンにスポット溶接を施した場合、溶着部において一部あるいは全体でマルテンサイトが生成する。このマルテンサイトは溶接部を強化する役割を果たすこともあるが、溶接条件によってはそのマルテンサイト変態に起因して溶着部が脆化することがある。特に、板厚方向に剥離させる応力が外部より作用した場合にはその脆化が現れやすく、母材よりもかなり低い強度で破断することがある。今後、さらに高衝撃エネルギー化・軽量化を図るうえで、従来の普通鋼ハイテンよりもさらに優れた強度ならびに衝撃吸収性能を有する材料、つまりスポット溶接部の強度を向上させた材料、あるいはスポット溶接の省略が可能となるレベルまで加工性を向上させた材料の開発が必要とされてきている。
SUS304、SUS301などの加工硬化型の準安定オーステナイト系ステンレス鋼は、高強度の普通鋼ハイテンに比べ加工性に優れ、スポット溶接強度が高く衝撃吸収性能に優れるなど、特性面では普通鋼ハイテンを凌駕するものである。しかしながら、昨今のNi原料高騰により、Niを6%以上含有するSUS301や8%以上含有するSUS304などでは、コスト面で自動車の車体部材や補強材などへの適用が困難である。
近年、以下の特許文献1〜4に記される、いわゆる200系ステンレス鋼をベースとした鋼が300系ステンレス鋼の代替材として提供されつつある。また、特許文献5、6のように、大量のMnを含有させずとも、Niを節減したオーステナイト系ステンレス鋼の技術も提示されている。
特開2006−111932号公報 特開2007−197806号公報 特開平11−241145号公報 特開平7−70700号公報 特公昭60−33186号公報 特開2006−22369号公報
上記特許文献1〜4に記される鋼はNiに代わるオーステナイト形成元素として多くは約4%以上のMnを含有させている。4%以上のMnを含有する技術では、その製鋼、精錬の際に有害なMn酸化物の微細粒子が生成し、環境保全の観点から課題が多い。さらに、ステンレス鋼をリサイクルする際に、従来は非磁性であれば300系スクラップとして処理して来たが、高Mn含有鋼も非磁性であるために、Niを多く含有する有用なスクラップとNiが少なくMnを多量に含有する鋼とを区分することが困難となり、スクラップ市場の混乱を招くことが懸念される。また、Mn含有量が高いことで表面品質が低下し、焼鈍酸洗性や光輝焼鈍などの生産性を損ない、Niを低減したにも関わらず、これらの生産性低下によりその効果が総コスト面で相殺されてしまうという課題があった。
一方、Mnを抑制したNi低減鋼である上記特許文献5および6の技術では、得られる強度あるいは加工性が低く、必ずしも優れた衝撃吸収性能が得られないという課題があった。
本発明は以上のような問題を解消すべく案出されたものであり、Niを節減しつつも車体部材として優れた加工性ならびに衝撃吸収性能を有するオーステナイト系ステンレス鋼を提供するものである。
上記課題は、質量%で、0.10%≦C+0.5N≦0.25%(但し、C>0.05%、N>0.05%)、Si≦1.5%、0.5%≦Mn<3.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、1.5%≦Ni<5.0%、15.0%≦Cr≦19.0%、0.8%≦Cu≦4.0%、を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で示されるオーステナイト安定度指標Md30が0〜60、下記(2)式で示される積層欠陥エネルギー生成指標SFEが0〜40未満である、加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼によって達成される。
Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr…(1)
SFE=6.2Ni+18.6Cu+0.7Cr+3.2Mn−53…(2)
ここで、上記(1)〜(2)式の元素記号の箇所には質量%で表されたそれぞれの元素の含有値が代入される。
本発明によれば、Ni含有量を5.0質量%未満に節減しつつもMn含有量の多量添加を回避し、優れた加工性と衝撃吸収性能を兼ね備えたオーステナイト系ステンレス鋼が提供される。この鋼を素材として製造される車体部材は、素材が普通鋼ハイテンおよび300系ステンレス鋼である車体部材に代替でき、コストおよび品質の両面で優れた効果を発揮する。
本発明者らは、高い衝突安全性能が必要とされる部材に好適な素材について種々検討を重ねてきた。
その結果、加工前は比較的軟質で加工性に優れ、加工後高強度を呈する準安定オーステナイト系ステンレス鋼が有効との知見を得た。そこで、コストを考慮しNi含有量を5.0質量%未満に抑制したオーステナイト系ステンレス鋼において、上記課題を達成すべく鋭意研究し、以下の知見を得るに至った。
まず、従来普通鋼ハイテンで必要とされてきたスポット溶接を極力省略することによりスポット溶接部における衝撃吸収性能低下を回避するため、その素材として優れた深絞り性および張出し性を具備させる必要があると考えた。また、成形加工後に優れた衝撃吸収性能を発現させるためには、加工後に高強度であること、かつ圧壊過程において割れを生じることなく変形が進行することが必要とされる。成形加工時はオーステナイトの一部が硬質な加工誘起マルテンサイト(以下、α’と記す)へ変態する、いわゆる加工誘起変態塑性(TRIP)現象が起こり、またα’の強度には固溶強化元素であるC,N含有量が深く関与する。したがって、オーステナイト安定度ならびにC、N量を適正範囲に調整することにより優れた成形加工性ならびに加工後の強度が得られると考えられた。ただし、これのみでは安定して優れた衝撃吸収性能が得られないことが分かった。そこで、本発明者らはさらに鋭意研究を重ねた結果、積層欠陥エネルギーの生成指標であるSFEを適正範囲に調整することで、安定して高い衝撃吸収性能が得られることが明らかとなった。この理由として、SFEが大きいとオーステナイトの加工硬化が小さくなるためにα’とオーステナイトとの硬度差が大きくなり、圧壊過程での変形で割れを生じやすくなること、逆にSFEが小さいとオーステナイトの加工硬化が大きくなり、圧壊変形部で急激な硬さ上昇が生じて割れやすくなり、このいずれも衝撃吸収性能を低下させる要因となるためであると推定される。
「成分元素」
以下、本発明鋼に含まれる合金成分ならびに含有範囲限定理由について説明する。
1)CおよびN
C,Nは、α’相を固溶強化するために有用な元素である。本発明鋼においてはCに対するNの固溶強化の寄与はおおよそ半分であり、成形加工によりα’相を生成させて優れた強度を得るには、C,Nとも0.05質量%を越える含有量を確保しつつ、C質量%+0.5×N質量%(以下、C+0.5Nと略記)を0.10質量%以上とする必要がある。一方、C、Nの含有量が多くなりすぎると過度に硬質化し、加工性を阻害する要因となる。この傾向は(C+0.5N)が0.25質量%を越えると顕著に現れるため、これ以下となるように調整する必要がある。より好ましくは、C含有量が0.12質量%以下、N含有量が0.18質量%以下で調整されるのが良い。
2)Si
Siは、製鋼での脱酸に有用な元素であるが、1.5質量%を越えて過剰に含有させると鋼が硬質化し加工性を損なう要因となる。また、Siはフェライト生成元素であるため、過剰添加は高温域でのδフェライト相の多量生成を招き、熱間加工性を阻害する。したがって、Si含有量は1.5質量%以下に制限される。
3)Mn
MnはNiに比べて安価で、Niの機能を代替できる有用なオーステナイト形成元素である。本発明においてその機能を活用するために0.5%以上のMn含有量を確保する必要がある。一方、Mn含有量が過剰となると、製鋼工程における環境保全の問題が生じやすくなる。また、表面性状に起因する生産性の低下ならびにMnSなどの介在物生成に起因する加工性の劣化を引き起こす要因となる。このため、Mn含有量は3.0質量%未満、このましくは2.5質量%未満に制限される。
4)PおよびS
PおよびSは不可避的不純物として混入するが、その含有量は低いほど望ましく、加工性その他の材料特性や製造性に多大な悪影響を与えない範囲として、Pについては0.06質量%以下、Sは0.005質量%以下に規定した。
5)Ni
Niはオーステナイト系ステンレス鋼に必須の元素であるが、本発明ではコスト低減の観点からNi含有量を極力低く抑える成分設計を行っており、上限を5.0質量%未満に規定する。ただし、上記Mn含有量の範囲で製造性や加工性を兼備させる成分バランスを実現させるためには1.5質量%以上のNi含有量を確保する必要がある。
6)Cr
Crはステンレス鋼の耐食性を担保する不動態皮膜の形成に必須の元素である。Cr含有量が15.0質量%未満であると、本発明の代替対象となる従来の300系オーステナイト系ステンレス鋼に要求される耐食性が十分に確保できない場合がある。ただし、Crはフェライト生成元素であるため、過度のCr含有は高温域でのδフェライト相の多量生成を招き、熱間加工性を損なう要因となるため好ましくない。種々検討の結果、本発明では19.0質量%までCrを含有させることができる。したがって、Cr含有量は15.0〜19.0質量%に規定される。
7)Cu
Cuはオーステナイト生成元素であることから、Cu含有量の増加に応じてNi含有量の設定自由度が拡大し、Niを抑制した成分設計が容易になる。また、α’相の生成に起因する加工硬化が抑制されるとともに、SFE値を高める上で有効な元素でもある。これらの作用を有効に得るためには0.8質量%以上のCu含有量を確保する必要がある。ただし、4.0質量%を越える多量のCu含有は熱間加工性を阻害しやすい。このため、Cu含有量は0.8〜4.0質量%に規定される。
本発明鋼は、上記の成分に加えて、熱間加工性確保を目的としたB、Caの1種あるいは2種、耐食性向上を目的としたMoを含有することができる。ただし、含有される場合には、BあるいはCaは総量で0.0070質量%以下、Moは1.5質量%以下で含有されるのが望ましい。
(1)式で表されるオーステナイト安定度指標Md30が大きいほどオーステナイトからα’相への変態が起こり易く、成形加工時の加工ひずみが付与された部分が高強度化するため、優れた衝撃吸収性能を呈する。このような効果はMd30が0以上で顕著に現れる。ただし、Md30が60を越えて大きくなると、成形加工時に生成するα’量が多くなり過ぎるため、張出し性、深絞り性ならびに絞り後の耐時期割れ性が低下する。また、圧壊過程で割れが生じやすくなり、衝撃吸収性能も低下する。したがって、Md30は0〜60の範囲に規定した。
(2)式で表される積層欠陥エネルギー指標SFEは、良好な衝撃吸収性能を安定して得る上で0〜40未満の範囲に規定した。この理由として、前述の通り、SFEが40以上となるとオーステナイトの加工硬化が小さくなるためにα’とオーステナイトとの硬度差が大きくなり、これに起因して圧壊時の変形部で割れを生じやすくなるためであると考える。また、逆にSFEが0未満の場合にはオーステナイトの加工硬化が大きくなり、変形部におけるオーステナイト相の延性が低下し割れやすくなるためと推定される。また、この場合、オーステナイトの延性が乏しくなるため、成形加工時の張出し性、深絞り性も低下する。
本発明鋼は、一般的なオーステナイト系ステンレス鋼板の製造プロセスにより製造可能である。熱間圧延以降の冷間圧延および中間・仕上焼鈍を施すことにより、例えば板厚0.1〜3mmの仕上焼鈍材とすることができる。その後、形状矯正や調質圧延が適宜実施されても良い。
(実施例1)
表1の組成をもつ鋼を溶製した。表1において、A1〜A11が本発明で規定する化学成分を有する発明対象鋼、B1〜8が比較鋼、C1〜4は順に従来鋼であるSUS301、SUS304、590N普通鋼ハイテン、980N級普通鋼ハイテンである。なお、B1およびB2はSFE、B3およびB4はMd30、B5およびB6はC+0.5Nの値、B7はS含有量が本発明で規定する範囲を外れる。
Figure 0005091733
従来鋼C3およびC4を除くステンレス鋼について、100kgの鋼塊を得た後に、抽出温度1230℃で熱間圧延することにより板厚3mmの熱延鋼帯を製造した。熱延鋼帯に1080℃で均熱1分の焼鈍を施した後、冷間圧延、中間焼鈍を繰り返すことにより、板厚0.50mmの冷間圧延鋼帯とし、さらに1080℃で均熱1分の仕上焼鈍を行い水冷することにより冷延焼鈍板を得た。
上記の板厚0.5mmの冷延焼鈍板を用いて、深絞り性、耐時期割れ性および張出し性の調査を行った深絞り性は、径56〜84mmに加工した円板を用いて深絞り試験機により1段の円筒絞りを行い、割れの発生しない絞り比(=円板径/ボンチ径)の最大値(以下、限界絞り比と記す)にて評価した。試験は、ポンチ径40mm、ダイス径41.2mm、ボンチ速度20mm/min、しわ押さえ力9.8kNの条件で室温(23℃)で実施した。耐時期割れ性は、深絞り後常温で24h保持後割れの発生しない最大の絞り比(以下、耐時期割れ限界比と記す)により評価した。張出し性は、JIS Z2247に準拠したエリクセン試験B法によりエリクセン値を測定し、これにより評価した。試験は、試験片寸法90mm角、しわ押さえ力10.2kN、ボンチ速度5mm/minの条件で常温で行った。表2に限界絞り比、耐時期割れ限界比およびエリクセン値を示す。
Figure 0005091733
本発明鋼は限界絞り比が1.8〜2.0、耐時期割れ限界比が1.4〜1.5、エリクセン値が13.0〜14.7mmと、C1のSUS301と同等レベルの特性を示す。一方、比較鋼のBl、B4、B6、B7の特性は本発明鋼に比べ劣る。この理由として、Md30あるいは(C+0.5N)量が本発明範囲の上限を外れるB4、B6では、加工変形部における強度が過剰に高くなったためであり、SFEが本規定範囲の下限を外れるB1はオーステナイト相の延性が低下したためであると推察される。Sが本規定の上限を外れるB7についても加工性が低下していることが確認された。
(実施例2)
表1に示したステンレス鋼の板厚3mmの熱延鋼帯に1080℃で均熱1分の焼鈍を施した後、1.0mmまで冷間圧延し、その後1080℃で均熱1分の仕上焼鈍を行い水冷することにより、板厚1.0mmの冷延焼鈍板を得た。その冷延焼鈍板に多段絞りならびに張出し加工を施すことにより、図1に示す加工品を作製した。従来鋼C3、C4についても焼鈍、冷延を繰り返し、仕上焼鈍条件を調整することにより、それぞれ引張強さが591N/mm、978N/mmの板厚1.0mm材を得た。C3の590N級鋼は図1形状に加工が可能であったが、C4の980N鋼は加工途中で割れが生じたため、図2に示すように4箇所にスポット溶接を施した胴部と天板部の2部品を作製後、6箇所の肉盛溶接により接合した。
図1および図2に示した加工品の長手方向(図の上下方向)に質量400kgの錘を速度25km/hで衝突させて圧壊させ、変位量が0〜80mmの座屈変形過程における吸収エネルギーを測定した。表3に調査結果を示す。
Figure 0005091733
本発明鋼の衝撃吸収エネルギーは5.2〜6.4kJであり、C1のSUS301と同等あるいはそれ以上で、C2のSUS304よりも高い値を示した。本発明鋼ではいずれも圧壊過程で割れを生じることなく座屈変形していた。一方、比較鋼の衝撃吸収エネルギーはいずれも本発明鋼よりも低い値を示した。そのうち、比較鋼B1、B2、B4、B6およびB7では変形部の一部に割れが認められた。B1、B2の結果より、割れを生じることなく高い衝撃吸収性能を得るには、SFEを本発明範囲に規定する必要があることが示唆される。B4ではMd30が本発明範囲よりも高く、変形部に多量のα’が生成したために延性が低下したためであり、B6では(C+0.5N)量が高いことに起因して、変形中に生成したα’の強度が過剰に高くなったために割れが生じたと推察される。B3およびB5では、割れ発生が認められなかったものの衝撃吸収エネルギーが低かった。この理由として、B3はMd30が低く変形中に生成するα’量が少なかったためであり、B5は(C+0.5N)量が少なくα’相の硬さが低かったためと考えられる。
590N級普通鋼ハイテンであるC3では割れの発生は認められなかったが、強度が低いことに起因して本発明鋼ほどの衝撃吸収性能は得られなかった。980N級鋼であるC4ではスポット溶接部、母材変形部ともに一部で割れが発生したために、母材強度が高いにもかかわらず衝撃吸収性能が低かった。
以上の実施例により、本発明で規定した範囲に各元素の含有量を調整しバランスさせることで、優れた加工性ならびに衝撃吸収性能が得られることが確認された。
ステンレス鋼および590N級普通ハイテンを素材として作製された加工品の形状を示す。 980N級普通ハイテンを素材として作製された加工品の形状を示す。

Claims (1)

  1. 質量%で、0.10%≦C+0.5N≦0.25%(但し、C>0.05%、N>0.05%)、Si≦1.5%、0.5%≦Mn<3.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、1.5%≦Ni<5.0%、15.0%≦Cr≦19.0%、0.8%≦Cu≦4.0%、を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で示されるオーステナイト安定度指標Md30が0〜60、下記(2)式で示される積層欠陥エネルギー生成指標SFEが0〜40未満である、加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼。
    Md30=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr…(1)
    SFE=6.2Ni+18.6Cu+0.7Cr+3.2Mn−53…(2)
JP2008067944A 2008-03-17 2008-03-17 加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼 Active JP5091733B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008067944A JP5091733B2 (ja) 2008-03-17 2008-03-17 加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008067944A JP5091733B2 (ja) 2008-03-17 2008-03-17 加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009221554A JP2009221554A (ja) 2009-10-01
JP5091733B2 true JP5091733B2 (ja) 2012-12-05

Family

ID=41238628

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008067944A Active JP5091733B2 (ja) 2008-03-17 2008-03-17 加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5091733B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5421615B2 (ja) * 2009-02-24 2014-02-19 日新製鋼株式会社 Ni節減型ステンレス鋼製自動車用部材
JP2014001422A (ja) * 2012-06-18 2014-01-09 Nippon Steel & Sumitomo Metal オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP6111109B2 (ja) * 2013-03-26 2017-04-05 日新製鋼株式会社 時効硬化特性に優れた低Niオーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP6029662B2 (ja) 2013-12-09 2016-11-24 新日鐵住金株式会社 オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04202643A (ja) * 1990-11-30 1992-07-23 Nkk Corp 高強度、高靭性ステンレス鋼およびその製造方法
JP4772588B2 (ja) * 2006-05-23 2011-09-14 新日鐵住金ステンレス株式会社 延性に優れる太径の高強度ステンレス鋼線および線材並びに鋼線の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009221554A (ja) 2009-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5388589B2 (ja) 加工性と衝撃吸収特性に優れた構造部材用フェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP5597006B2 (ja) 構造部材用高強度および高延性オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
RU2535890C2 (ru) Способ изготовления горячекатаной стальной ленты и стальная лента
KR101530835B1 (ko) 고강도 냉연 강판 및 그 제조 방법
JP5206244B2 (ja) 冷延鋼板
KR101540507B1 (ko) 연성 및 내지연 파괴 특성이 우수한 초고강도 냉연 강판 및 그 제조 방법
JP4498847B2 (ja) 加工性に優れたオ−ステナイト系高Mnステンレス鋼
JP4692259B2 (ja) 成形性および形状凍結性に優れる高強度鋼板
JP5165236B2 (ja) 衝撃吸収特性に優れた構造部材用ステンレス鋼板
US10053757B2 (en) Process for producing hot-rolled steel strip
JP6700398B2 (ja) 高降伏比型高強度冷延鋼板及びその製造方法
JP5906324B2 (ja) 自動車用衝突エネルギー吸収部材およびその製造方法
JP5504636B2 (ja) 高強度熱延鋼板およびその製造方法
JP2009030128A (ja) 衝撃吸収特性に優れた構造部材用オーステナイト系ステンレス鋼板
JP6628561B2 (ja) 加工性に優れた構造部材用ステンレス鋼板及びその製造方法
JP2010168651A (ja) 高強度熱延鋼板およびその製造方法
JP5220311B2 (ja) 衝撃吸収特性に優れた構造部材用ステンレス鋼板
KR20160104077A (ko) 내충돌성이 우수한 강재 및 그의 제조 방법
JP5091733B2 (ja) 加工性および衝撃吸収性能に優れた低Ni車体部材用ステンレス鋼
JP4327030B2 (ja) 張出し性と耐発銹性に優れた低Niオ−ステナイト系ステンレス鋼
JP5421615B2 (ja) Ni節減型ステンレス鋼製自動車用部材
JP4299774B2 (ja) 延性および疲労特性に優れた高強度低比重鋼板とその製造方法
JP4539447B2 (ja) 高強度熱延鋼板およびその製造方法
US20210071278A1 (en) High yield ratio-type high-strength steel sheet and method for manufacturing same
JP5151510B2 (ja) 低温靭性、亀裂伝搬停止特性に優れた高張力鋼の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101101

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120814

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120821

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120914

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150921

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5091733

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250