JP5091103B2 - インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録をする場合、異なる配色の領域間の境界部において、インクが滲むブリーディングが生じる場合がある。前記ブリーディングが生じると、カラー画像の記録品質が低下する。前記ブリーディングを抑制するために、例えば、前記境界部に用いるインクを、浸透性により選択する技術(特許文献1)、前記境界部に反応性カラーインクを用いる技術(特許文献2)、前記境界部にプリント性向上液を塗布する技術(特許文献3)および前記境界部に記録をしない間引き領域を形成する技術(特許文献4)がある。
特開平9−193529号公報 特開2002−79695号公報 特開平8−216389号公報 特開2008−959号公報
しかし、上述の技術には、つぎの問題がある。まず、前記境界部に用いるインクを、浸透性により選択する技術では、ブリーディング防止効果が不充分という問題がある。また、前記反応性カラーインクを用いる技術および前記プリント性向上液を用いる技術では、インクとは別に、前記反応性カラーインクおよび前記プリント性向上液を用意する必要があり、インクジェット記録装置においても、そのための機構が必要となり、コストが高くなる。そして、前記境界部に間引き領域を形成する技術では、前記間引き領域の色が、記録用紙の色(通常は白色)に限定されるため、記録品質に問題がある。
そこで、本発明は、コストが低く、記録物の記録品質に優れ、かつブリーディングを効果的に防止可能なインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明のインクジェット記録方法は、二種類以上のインクを含むインクセットから選択された少なくとも一つのインクを用いて記録するインクジェット記録方法であって、前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成されたインクAにより記録部Aを形成する記録部A形成工程と、前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成され、かつ前記インクAの構成とは異なる構成のインクBにより記録部Bを形成する記録部B形成工程と、前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成され、かつ前記インクAおよび前記インクBの構成とは異なる構成のインクCにより、前記記録部Aおよび前記記録部Bの境界に境界部Cを形成する境界部C形成工程とを含み、前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクが、顔料を含み、前記境界部C形成工程は、下記条件(I)を満足するように、前記記録部Aを形成する前記インクAおよび前記記録部Bを形成する前記インクBに応じて、前記インクセットから少なくとも一つのインクを選択して前記インクCを構成するインクC構成工程を含むことを特徴とする。

条件(I):下記式(1)および下記式(2)の少なくとも一方を満たす。
G(AC)>G(AB) (1)
G(BC)>G(AB) (2)
G(AC):前記インクAおよび前記インクCが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
G(BC):前記インクBおよび前記インクCが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
G(AB):前記インクAおよび前記インクBが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部およびインク吐出手段を含み、前記インク収容部には、二種類以上のインクがインクセットとして収容され、前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクを用いて記録するインクジェット記録装置であって、さらに、前記インク吐出手段を制御する制御手段を含み、前記制御手段は、前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成されたインクAにより記録部Aを形成する記録部A形成手段と、前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成され、かつ前記インクAの構成とは異なる構成のインクBにより記録部Bを形成する記録部B形成手段と、前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成され、かつ前記インクAおよび前記インクBの構成とは異なる構成のインクCにより、前記記録部Aおよび前記記録部Bの境界部に境界部Cを形成する境界部C形成手段とを含み、前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクが、顔料を含み、前記境界部C形成手段は、下記条件(I)を満足するように、前記記録部Aを形成する前記インクAおよび前記記録部Bを形成する前記インクBに応じて、前記インクセットから少なくとも一つのインクを選択して前記インクCを構成するインクC構成手段を含み、
前記インクC構成工程は、
前記インクセットの各インクが相互に接触した場合の凝集度データから、下記G(AB)を導出する凝集度導出工程と、
導出された下記G(AB)に基づき、前記凝集度データから、下記条件(I)を満たす前記インクCを構成するインクを選択するインク選択工程とを含む
ことを特徴とする。

条件(I):下記式(1)および下記式(2)の少なくとも一方を満たす。
G(AC)>G(AB) (1)
G(BC)>G(AB) (2)
G(AC):前記インクAおよび前記インクCが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
G(BC):前記インクBおよび前記インクCが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
G(AB):前記インクAおよび前記インクBが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
本発明では、前記記録部Aおよび前記記録部Bの境界に、記録用のインクを用いて前記境界部Cを形成する。このため、本発明では、インクとは別に特殊な処理液を用いることがなく、特別な機構も必要ないため、コストを低くすることが可能である。また、本発明では、前記境界部Cを形成するインクを、凝集度により選択するため、ブリーディングの防止効果が高い。しかも、本発明では、前記境界部Cの色相は調整可能であるため、記録物の記録品質を高くすることが可能である。
本発明のインクジェット記録方法において、前記インクC構成工程は、前記インクセットの各インクが相互に接触した場合の凝集度データから、前記凝集度G(AB)を導出する凝集度導出工程と、導出された前記凝集度G(AB)に基づき、前記凝集度データから、前記条件(I)を満たす前記インクCを構成するインクを選択するインク選択工程とを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、前記インクC構成工程は、前記条件(I)に加え、さらに、下記条件(II)を満足するように、前記インクセットから少なくとも一つのインクを選択して前記インクCを構成することが好ましい。

条件(II):下記式(3)を満たす場合は、前記式(1)を満たし、または、下記式(4)を満たす場合は、前記式(2)を満たす。

(A)<L(B) (3)
(A)>L(B) (4)
(A):前記インクAの明度L
(B):前記インクBの明度L
本発明において、前記条件(II)の「明度L」は、例えば、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化されたL表色系(CIE1976(L)表色系)に基づくL値(JIS Z 8729参照)を採用してもよい。
本発明において、前記明度L(A)は、例えば、前記インクAそのものの明度であってもよいし、前記記録部Aの明度であってもよい。同様に、本発明において、前記明度L(B)は、例えば、前記インクBそのものの明度であってもよいし、前記記録部Bの明度であってもよい。前記インクAおよび前記インクBそのものの明度は、例えば、市販の分光測色計を用いて透過により測定できる。また、前記記録部Aおよび前記記録部Bの明度は、例えば、市販の分光測色計を用いて反射により測定できる。
本発明のインクジェット記録方法において、前記凝集度データおよび前記条件(II)を用いる場合、前記インクC構成工程は、さらに、前記インクセットの各インクの明度データから、前記明度L(A)および前記明度L(B)を導出する明度導出工程と、導出された前記凝集度G(AB)、前記明度L(A)および前記明度L(B)に基づき、前記凝集度データから、前記条件(II)を満たす前記インクCを構成するインクを選択する明度選択工程とを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、前記条件(II)を用いる場合、前記インクC構成工程は、前記インクセットの各インクの明度データから、前記明度L(A)および前記明度L(B)を導出する明度導出工程と、導出された前記明度L(A)および前記明度L(B)に基づき、前記条件(I)および前記条件(II)を満たす前記インクCを構成するインクを選択する明度選択工程とを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、前記インクC構成工程は、前記条件(I)を満たす前記インクCが複数存在する場合、さらに、下記条件(III)を満足するように、前記複数のインクCから一つのインクCを選択することが好ましい。

条件(III):前記インクAと前記インクCとの色差ΔE(AC)および前記インクBと前記インクCとの色差ΔE(BC)の少なくとも一方の色差ΔEが、最小となる。
本発明において、前記条件(III)の「色差ΔE」は、例えば、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化されたL表色系(CIE1976(L)表色系)に基づき、下記式で算出されるもの(JIS Z 8729参照)を採用してもよい。

ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL:2種類のインク間のL値の差
Δa:2種類のインク間のa値の差
Δb:2種類のインク間のb値の差
本発明において、前記色差ΔE(AC)は、例えば、前記インクAおよび前記インクCそのもののL値、a値およびb値から算出されたものであってもよいし、前記記録部Aおよび前記境界部CのL値、a値およびb値から算出されたものであってもよい。同様に、本発明において、前記色差ΔE(BC)は、例えば、前記インクBおよび前記インクCそのもののL値、a値およびb値から算出されたものであってもよいし、前記記録部Bおよび前記境界部CのL値、a値およびb値から算出されたものであってもよい。前記インクA、前記インクBおよび前記インクCそのもののL値、a値およびb値は、例えば、市販の分光測色計を用いて透過により測定できる。また、前記記録部A、前記記録部Bおよび前記境界部CのL値、a値およびb値は、例えば、市販の分光測色計を用いて反射により測定できる。
本発明のインクジェット記録方法において、前記条件(III)を用いる場合、前記インクC構成工程は、さらに、前記インクセットの各インクの色相データから、前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)を導出する色差導出工程と、導出された前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)に基づき、前記複数のインクCの中から、前記条件(III)を満たす前記インクCを選択する色差選択工程とを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクが、黒顔料を含む水性黒色インクを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法では、前記インクC構成工程において、記録関連情報を参照して、前記インクCを構成するインクを選択してもよい。前記記録関連情報としては、例えば、前記記録部A、前記記録部Bおよび前記境界部Cを形成する被記録媒体に関する情報(例えば、前記被記録媒体の色、材質等)、記録に用いるインクの種類等があげられる。前記被記録媒体の色は、特に限定されず、白色であってもよいし、有色(例えば、青、緑、黄等)であってもよい。前記白色の被記録媒体としては、例えば、L値が90以上の被記録媒体を採用してもよい。
本発明のインクジェット記録装置において、さらに、データ記憶手段を含み、前記データ記憶手段には、前記インクセットの各インクが相互に接触した場合の凝集度データが格納され、前記インクC構成手段は、前記凝集度データから、前記凝集度G(AB)を導出する凝集度導出手段と、導出された前記凝集度G(AB)に基づき、前記凝集度データから、前記条件(I)を満たす前記インクCを構成するインクを選択するインク選択手段とを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置において、前記インクC構成手段は、前記条件(I)に加え、さらに、下記条件(II)を満足するように、前記インクセットから少なくとも一つのインクを選択して前記インクCを構成することが好ましい。

条件(II):下記式(3)を満たす場合は、前記式(1)を満たし、または、前記式(4)を満たす場合は、下記式(2)を満たす。

(A)<L(B) (3)
(A)>L(B) (4)
(A):前記インクAの明度L
(B):前記インクBの明度L
本発明のインクジェット記録装置において、前記凝集度データおよび前記条件(II)を用いる場合、前記データ記憶手段には、さらに、前記インクセットの各インクの明度データが格納され、前記インクC構成手段は、さらに、前記明度データから、前記明度L(A)および前記明度L(B)を導出する明度導出手段と、導出された前記凝集度G(AB)、前記明度L(A)および前記明度L(B)に基づき、前記凝集度データから、前記条件(II)を満たす前記インクCを構成するインクを選択する明度選択手段とを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置において、前記条件(II)を用いる場合、さらに、データ記憶手段を含み、前記データ記憶手段には、前記インクセットの各インクの明度データが格納され、前記インクC構成手段は、前記明度データから、前記明度L(A)および前記明度L(B)を導出する明度導出手段と、導出された前記明度L(A)および前記明度L(B)に基づき、前記条件(I)および前記条件(II)を満たす前記インクCを構成するインクを選択する明度選択手段とを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置において、前記インクC構成手段は、前記条件(I)を満たす前記インクCが複数存在する場合、さらに、下記条件(III)を満足するように、前記複数のインクCから一つのインクCを選択することが好ましい。

条件(III):前記インクAと前記インクCとの色差ΔE(AC)および前記インクBと前記インクCとの色差ΔE(BC)の少なくとも一方の色差ΔEが、最小となる。
本発明のインクジェット記録装置において、前記条件(III)を用いる場合、前記データ記憶手段には、さらに、前記インクセットの各インクの色相データが格納され、前記インクC構成手段は、さらに、前記色相データから、前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)を導出する色差導出手段と、導出された前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)に基づき、前記複数のインクCの中から、前記条件(III)を満たす前記インクCを選択する色差選択手段とを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置において、前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクが、黒顔料を含む水性黒色インクを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置において、さらに、記録関連情報取得手段を含み、前記インクC構成手段は、前記記録関連情報取得手段により取得した記録関連情報を参照して、前記インクCを構成するインクを選択してもよい。
つぎに、本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置について、例をあげて、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に制限および限定されない。
前述のように、本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置では、前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクを用いて被記録媒体に記録する。
前記インクセットを構成するインクは、例えば、水性インクがあげられる。前記水性インクは、着色剤および水を含む。
前記着色剤は、特に限定されず、顔料または染料のいずれであってもよい。また、前記着色剤として、顔料および染料を混合して用いてもよい。ただし、前記インクセットを構成するインクのうち少なくとも一つは、顔料を含む。
前記顔料は、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、無機顔料および有機顔料等が使用できる。前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料およびカーボンブラック系無機顔料等をあげることができる。前記有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料等があげられる。また、その他の顔料であっても水相に分散可能なものであれば使用できる。これら顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、6および7;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、15、16、17、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、114、128、129、138、150、151、154、180、185および194;C.I.ピグメントオレンジ31および43;C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、12、15、16、48、48:1、53:1、57、57:1、112、122、123、139、144、146、149、166、168、175、176、177、178、184、185、190、202、221、222、224および238;C.I.ピグメントバイオレット196;C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、22および60;C.I.ピグメントグリーン7および36等があげられる。
前記顔料は、自己分散型顔料を含んでもよい。前記自己分散型顔料は、例えば、顔料粒子の表面にカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン基等の親水性官能基およびそれらの塩の少なくとも一種が、直接または多価の基を介して化学結合により導入されていることによって、分散剤を使用しなくても水に分散可能なものである。
前記自己分散型顔料は、特に限定されず、例えば、特開平8−3498号公報、特表2000−513396号公報等に記載の方法によって表面処理された自己分散型顔料を用いることができる。前記自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「CAB−O−JET(登録商標)200」、「CAB−O−JET(登録商標)250」、「CAB−O−JET(登録商標)260」、「CAB−O−JET(登録商標)270」、「CAB−O−JET(登録商標)300」および「CAB−O−JET(登録商標)700」;オリエント化学工業(株)製の「BONJET(登録商標)BLACK CW−1」、「BONJET(登録商標)BLACK CW−2」および「BONJET(登録商標)BLACK CW−3」;東洋インキ製造(株)製の「LIOJET(登録商標)WD BLACK 002C」;等があげられる。
前記自己分散型顔料の原料として用いることができる顔料は、特に限定されず、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。また、前記表面処理を行うのに適した無機顔料としては、例えば、三菱化学(株)製の「MA8」および「MA100」;デグサ社製の「カラーブラックFW200」;等のカーボンブラックがあげられる。
前記水性インク全量に対する前記顔料の配合量(顔料割合)は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度または色彩等により、適宜決定できる。前記顔料割合は、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜8重量%である。前記顔料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記染料は、特に限定されず、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等があげられる。前記染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトブラウン、C.I.ダイレクトグリーン、C.I.アシッドブラック、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.ベーシックブラック、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレットおよびC.I.フードブラック等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラックとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154および168等があげられる。前記C.I.ダイレクトブルーとしては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106、199および307等があげられる。前記C.I.ダイレクトレッドとしては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83および227等があげられる。前記C.I.ダイレクトイエローとしては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142および173等があげられる。前記C.I.ダイレクトオレンジとしては、例えば、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46および60等があげられる。前記C.I.ダイレクトバイオレットとしては、例えば、C.Iダイレクトバイオレット47および48等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラウンとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン109等があげられる。前記C.I.ダイレクトグリーンとしては、例えば、C.I.ダイレクトグリーン59等があげられる。前記C.I.アシッドブラックとしては、例えば、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112および118等があげられる。前記C.I.アシッドブルーとしては、例えば、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229および234等があげられる。前記C.I.アシッドレッドとしては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、289、315および317等があげられる。前記C.I.アシッドイエローとしては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61および71等があげられる。前記C.I.アシッドオレンジとしては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7および19等があげられる。前記C.I.アシッドバイオレットとしては、例えば、C.I.アシッドバイオレット49等があげられる。前記C.I.ベーシックブラックとしては、例えば、C.I.ベーシックブラック2等があげられる。前記C.I.ベーシックブルーとしては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28および29等があげられる。前記C.I.ベーシックレッドとしては、例えば、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14および37等があげられる。前記C.I.ベーシックバイオレットとしては、例えば、C.I.ベーシックバイオレット7、14および27等があげられる。前記C.I.フードブラックとしては、例えば、C.I.フードブラック1および2等があげられる。これらの染料は、例えば、鮮明性、水溶性および安定性等の特性に優れる。
前記水性インク全量に対する前記染料の配合量(染料割合)は、特に限定されず、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、2重量%〜8重量%である。前記染料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。前記水性インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、所望のインク特性等に応じて適宜決定される。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
前記水性インクは、さらに、インクジェットヘッドのノズル部におけるインクの乾燥を防止する湿潤剤および被記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤を含むことができる。
前記湿潤剤は、特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの中でも、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好適である。前記湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インク全量に対する前記湿潤剤の配合量(湿潤剤割合)は、特に限定されず、例えば、0重量%〜95重量%であり、好ましくは、10重量%〜80重量%であり、より好ましくは、10重量%〜50重量%である。
前記浸透剤は、特に限定されず、例えば、グリコール系エーテルがあげられる。前記グリコール系エーテルは、特に限定されず、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インク全量に対する前記浸透剤の配合量(浸透剤割合)は、特に限定されず、例えば、0重量%〜20重量%である。前記浸透剤割合を前記範囲とすることで、前記インクの記録用紙等の被記録媒体への浸透性を、より好適なものとできる。前記浸透剤割合は、好ましくは、0.1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、0.5重量%〜10重量%である。
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
前記水性インクは、例えば、前記着色剤および水と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
前記インクセットは、二種類以上のインクを含む。前記インクセットは、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の4色の水性インクを含んでいてもよい。前記ブラック(Bk)としては、黒顔料を含む水性黒色インクが好ましい。また、前記インクセットは、前記4色のインクに加え、水性ライトインクを含んでいてもよい。前記水性ライトインクとは、例えば、前記インクセットに含まれる同一色の通常の水性インクより、前記着色剤の配合量が少ない(例えば、前記着色剤の配合量が、前記通常の水性インクの半分以下の)インクである。前記水性ライトインクとしては、例えば、水性ライトイエロー(LY)、水性ライトマゼンタ(LM)および水性ライトシアン(LC)があげられる。
つぎに、本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部、インク吐出手段および前記インク吐出手段を制御する制御手段を有する。前記インク吐出手段は、前記記録部A形成手段、前記記録部B形成手段および前記境界部C形成手段を含む。さらに、本発明のインクジェット記録装置は、前記データ記憶手段および前記記録関連情報取得手段を備えていてもよい。本発明のインクジェット記録装置において、前記制御手段、前記データ記憶手段および前記記録関連情報取得手段以外の構成は、従来のインクジェット装置と同様にすることができる。
図10に、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例(制御手段、データ記憶手段および記録関連情報取得手段を除く構成)を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインクカートリッジ2と、インクジェットヘッド3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成部材として含む。インクジェット記録装置1において、前記インクカートリッジ2が、前記インク収容部であり、前記インクジェットヘッド3が、前記インク吐出手段である。前記インクジェットヘッド3により、前記記録部A、前記記録部Bおよび前記境界部Cを含む画像が記録可能である。
前記4つのインクカートリッジ2は、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)の4色のインクを、それぞれ1色ずつ含む。前記インクジェットヘッド3は、記録用紙等の被記録媒体Pに記録を行う。前記ヘッドユニット4は、前記インクジェットヘッド3を備えている。前記キャリッジ5には、前記4つのインクカートリッジ2および前記ヘッドユニット4が搭載される。前記駆動ユニット6は、前記キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。前記プラテンローラ7は、前記キャリッジ5の往復方向に延び、前記インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
前記駆動ユニット6は、キャリッジ軸9と、ガイド板10と、2つのプーリ11および12と、エンドレスベルト13とを含む。前記キャリッジ軸9は、前記キャリッジ5の下端部に配置され、前記プラテンローラ7と平行に延びている。前記ガイド板10は、前記キャリッジ5の上端部に配置され、前記キャリッジ軸9と平行に延びている。前記2つのプーリ11および12は、前記キャリッジ軸9と前記ガイド板10との間であって、前記キャリッジ軸9の両端部に配置されている。前記エンドレスベルト13は、前記2つのプーリ11および12の間に掛け渡されている。
このインクジェット記録装置1において、前記プーリ11がキャリッジモータ101の駆動により正逆回転されると、前記プーリ11の正逆回転に伴って、前記エンドレスベルト13に接合されている前記キャリッジ5が、前記キャリッジ軸9および前記ガイド板10に沿って、直線方向に往復移動する。
前記被記録媒体Pは、このインクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。前記被記録媒体Pは、前記インクジェットヘッド3と、前記プラテンローラ7との間に導入される。すると、前記被記録媒体Pに、前記インクジェットヘッド3から吐出されるインクにより所定の記録がなされる。前記被記録媒体Pは、その後、前記インクジェット記録装置1から排紙される。なお、図10において、前記被記録媒体Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
前記パージ装置8は、前記プラテンローラ7の側方に設けられ、前記ヘッドユニット4がリセット位置(この例においては、前記パージ装置8の上部)にある時に、前記インクジェットヘッド3と対向するように配置されている。前記パージ装置8は、パージキャップ14と、ポンプ15およびカム16と、インク貯留部17とを含む。前記パージキャップ14は、前記ヘッドユニット4が前記リセット位置にある時に、前記インクジェットヘッド3の複数のノズル(図示せず)を覆う。前記ポンプ15は、前記カム16の駆動により前記インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。これにより、前記インクジェットヘッド3が回復する。前記吸引された不良インクは、前記インク貯留部17に貯蔵される。
前記パージ装置8の前記プラテンローラ7側の位置には、前記パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。前記ワイパ部材20は、へら状に形成されており、前記キャリッジ5の移動に伴って、前記インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図10において、キャップ18は、インクの乾燥を防止するため、記録が終了すると前記リセット位置に戻される前記インクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
この例のインクジェット記録装置1においては、前記4つのインクカートリッジ2は、1個のキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。本発明のインクジェット記録装置において、前記4つのインクカートリッジは、複数のキャリッジに搭載されていてもよい。また、前記インクカートリッジは、前記キャリッジには搭載されず、インクジェット記録装置内に配置、固定されていてもよい。この態様においては、例えば、前記インクカートリッジと、前記キャリッジに搭載された前記ヘッドユニットとが、チューブ等により連結され、前記インクカートリッジから前記ヘッドユニットに前記インクが供給される。
本発明のインクジェット記録装置は、図10に示したシリアル型インクジェット記録装置であってもよいし、ライン型インクジェット記録装置であってもよい。
つぎに、本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置では、前記インクセットから適宜インクを選択して前記インクAおよび前記インクBを構成する。前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクは、顔料を含む。そして、前記インクAにより前記記録部Aを形成し、前記インクBにより前記記録部Bを形成する。具体的には、例えば、所定の画像情報に基づき、前記記録部Aおよび前記記録部Bの配色が決定され、前記配色に応じて、前記インクセットから選択されたインクを、所定の割合で被記録媒体に吐出し前記記録部Aおよび前記記録部Bが形成される。例えば、前記記録部Aが黒色の場合、前記インクセットから黒色インクが選択されて被記録媒体に吐出され、被記録媒体上に黒色の記録部Aが形成される。また、例えば、前記記録部Bが、複数色が混合したカラー色の場合(例えば、レッド)、所定の画像情報に基づき、前記インクBを構成するために、前記インクセットから複数色のカラーインクと吐出割合が決定されて被記録媒体上に吐出され、前記記録部Bを形成するための前記インクBが被記録媒体上で調製されることになる。したがって、本発明において、前記記録部Aおよび前記記録部Bの配色に対応したインクが、インクセットに存在する場合は、前記インクセットから選択されたインクが、前記インクAおよび前記インクBとなる。一方、本発明において、前記記録部Aおよび前記記録部Bの配色に対応したインクが、前記インクセットに存在しない場合は、前記配色に応じて前記インクセットからインクを選択して被記録媒体に吐出することになるため、この場合は、前記インクAおよび前記インクBは、被記録媒体上で調製されることになる。これらのことは、前記境界部Cを形成する前記インクCについても同じである。本発明において、前記記録部A、前記記録部B、前記境界部Cの形成の順序は、特に制限されないが、前記境界部Cを、前記記録部Aおよび前記記録部Bの少なくとも一方より先に形成することが好ましく、前記記録部A、前記記録部Bおよび前記境界部Cを限りなく同時に形成することが特に好ましい。
つぎに、本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置では、前記記録部Aおよび前記記録部Bの境界に、前記インクCを用いて境界部Cを形成する。前述のように、本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置では、凝集度を指標とした前記条件(I)を満足するように、前記インクセットからインクを選択して前記インクCを構成する。
図7に、前記記録部A(21)、前記記録部B(22)および前記境界部C(23)の構成例を示す。例えば、図7(A)に示すように、前記記録部A(21)と前記記録部B(22)を隣接するように記録する場合、前記記録部A(21)を記録した後、前記記録部A(21)と前記記録部B(22)の境界となる部分に前記境界部C(23)を記録し、ついで、前記境界部C(23)の前記記録部A(21)とは反対側に前記記録部B(22)を記録してもよい。これとは別に、例えば、図7(B)に示すように、文字や図形として記録部A(21)を記録した後、前記記録部A(21)の周囲に境界部C(23)を記録し、ついで、背景として記録部B(22)を記録してもよい。
前記境界部Cは、記録品質の向上のために、目立たないようにすることが好ましい。前記境界部Cを目立たないようにするためには、例えば、下記の(a)〜(c)の方法がある。なお、下記(a)の方法は、前記条件(II)に該当し、下記(b)の方法は、前記条件(III)に該当する。
(a) 前記境界部Cの凝集が生じる位置を選択する。
(b) 前記境界部Cとの色差を調整する。
(c) 前記境界部Cの幅を狭くする。
前記(a)の前記境界部Cの凝集が生じる位置を選択する方法とは、前記記録部Aと前記記録部Bとの間で、明度が異なる場合、前記境界部Cの凝集が生じる位置を、明度が低い記録部側に位置するように前記境界部Cを形成する方法である。例えば、前記記録部Aの明度L(A)が、前記記録部Bの明度L(B)よりも低い場合(明度L(A)<明度L(B))、前記境界部Cの前記記録部A側に凝集するようにする(前記式(1):前記凝集度G(AC)>前記凝集度G(AB))。これとは逆に、例えば、前記記録部Bの明度L(B)が、前記記録部Aの明度L(A)よりも低い場合(明度L(B)<明度L(A))、前記境界部Cの前記記録部B側に凝集するようにする(前記式(2):前記凝集度G(BC)>前記凝集度G(AB))。
前記(b)の前記境界部Cとの色差を調整する方法とは、前記記録部Aおよび前記記録部Bの少なくとも一方と、前記境界部Cとの色差ΔEを最小にする方法である。前記色差ΔEが小さいほど、前記記録部Aおよび前記記録部Bの少なくとも一方と、前記境界部Cとの色相が類似していることになる。
前記(c)の前記境界部Cの幅を狭くする方法において、前記幅は、細いほど好ましく、例えば、10μm〜100μmであり、好ましくは、10μm〜60μmであり、より好ましくは、10μm〜30μmである。
前記境界部Cは、連続した領域として形成されていてもよいし、不連続の領域として形成されてもよい。図8(A)に示すように、例えば、前記記録部A(21)と前記記録部B(22)の間において、連続したドットとして前記境界部C(23)を形成してもよい。また、図8(B)に示すように、例えば、前記記録部A(21)と前記記録部B(22)の間において、不連続のドットとして前記境界部C(23)を形成してもよい。
本発明において、「凝集度」とは、二種類のインクが、接触した場合、前記両インク中の成分が凝集物としてインク中に生じる程度をいう。例えば、顔料水性インクと染料水性インクが接触した場合、染料水性インク中の成分の作用によって、インク中に分散していた顔料が凝集することがある。本発明において、「凝集度」は、凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標として決定する。本発明において、「凝集度」は、例えば、図9に示すような手法で評価することができる。図9(A)に示すように、スライドグラス31上に、二種類のインク32、33を滴下する。つぎに、図9(B)に示すように、前記二種類のインク32、33の上にカバーグラス34を被せる。すると、図9(B)に示すように、前記二種類のインク32、33は、界面35で接する。そして、界面35付近での凝集物の発生を、光学顕微鏡等を用いて観察し、凝集度を決定する。本発明において、「凝集度」は、例えば、「凝集有り」および「凝集無し」の二段階に設定してもよいが、凝集物の大小に応じて、三段階以上に設定することが好ましい。
つぎに、本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置における前記境界部Cの形成方法について、例を示して説明する。
[実施形態1]
図1に、前記条件(I)のみを用いて、前記インクCを構成するインクを選択する例のフローチャート(図1(A))およびブロック図(図1(B))を示す。図1(B)のブロック図は、本実施形態のインクジェット記録装置における前記制御手段、前記データ記憶手段および前記インク吐出手段の関係を示す。図1(B)に示すように、前記データ記憶手段120は、凝集度データ121が格納されており、前記制御手段110は、凝集度導出手段111およびインク選択手段112を含む。凝集度導出手段111およびインク選択手段112は、凝集度データ121と接続している。本実施形態のインクジェット記録装置は、さらに、前記記録関連情報取得手段を含んでもよい(図示せず)。前記制御手段110としては、例えば、中央処理装置(CPU)があげられる。前記データ記憶手段120としては、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)があげられる。前記データ記憶手段120は、装置内蔵型であってもよいし、外部記憶装置のような外付け型であってもよい。前記記録関連情報取得手段としては、例えば、被記録媒体や記録に用いるインクの種類の選択に用いるメニュー選択ボタンや、ドライバソフトウェア等があげられる。前記制御手段、前記データ記憶手段および前記記録関連情報取得手段については、以下の実施形態においても同様である。
本発明において、前記凝集度データは、例えば、二つのインク間の凝集度を示した凝集度テーブルがあげられる。
表1に、前記凝集度テーブルの一例を示す。表1に示す凝集度テーブルは、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の4種類の各単色インクと、3種類の混合インクの合計7種類のインク間の凝集度を示す。前記3種類の混合インクは、前記イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各単色インクから選んだ2色のインクを5:5の割合で混合して調製したもの(Y:M=5:5、Y:C=5:5、M:C=5:5)である。表1の凝集度テーブルでは、凝集度を、凝集が無い0から最大値10まで段階的に分類している。数値が大きいほど凝集度が高くなる。
Figure 0005091103
凝集度を評価したい二つのインクのうちの一方のインクを第1のインク(または第2のインク)とし、他方のインクを第2のインク(または第1のインク)として、表1の凝集度テーブルから凝集度を求める。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合の凝集度は、前記凝集度テーブルから、「8」となる。そして、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」である。したがって、前記条件(I)を満たすインクCは、前記凝集度テーブルから、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。
表1の凝集度テーブルに表記した凝集度から、表記していない凝集度を算出することも可能である。例えば、前記インクA、前記インクBおよび前記インクCが、二次色で構成されている場合、前記二次色を構成する各一次色の凝集度および割合から、二次色の凝集度を求めることができる。例えば、ブラック(Bk)と混合インク(Y:M=7:3)の間の凝集度G(Bk(Y:M=7:3))は、ブラック(Bk)とイエロー(Y)の凝集度G(BkY)「10」と、ブラック(Bk)とマゼンタ(M)の凝集度G(BkM)「8」と、イエロー(Y)とマゼンタ(M)との混合比率7:3とから、下記の式で求めることができる。

凝集度G(Bk(Y:M=7:3))=10×0.7+8×0.3=9.4
表1の凝集度テーブルでは、前記混合インクの凝集度については、一次色の構成割合が5:5の場合のみ記載されているが、本発明は、これに限定されず、前記混合インクの一次色の構成割合が、例えば、9:1や7:3等のように多段階の場合について凝集度を記載したものを使用してもよい。
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置における前記境界部Cの形成は、表1の凝集度データを用い、例えば、つぎのようにして実施される。
まず、図1(A)および(B)に示すように、凝集度導出手段111により、前記凝集度データ121を参照して、前記インクAおよび前記インクBとの間の凝集度G(AB)を導出する(ステップS1)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合の凝集度G(AB)は、前記凝集度データ121から、「8」となる。
つぎに、図1(A)および(B)に示すように、インク選択手段112により、導出された前記凝集度G(AB)に基づき、前記凝集度データ121から、前記条件(I)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS2)。例えば、前記凝集度G(AB)が「8」の場合、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」である。したがって、前記条件(I)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。なお、インクCが複数選択された場合は、後述のように、条件(II)または条件(III)を用いることで一つのインクにしぼることもできるし、その他の条件で一つのインクにしぼってもよい。
つぎに、図1(A)および(B)に示すように、インク選択手段112からの指示に基づき、インク吐出手段130により、選択されたインクを吐出して前記境界部Cの記録を実施する(ステップS3)。インクジェット記録装置のインク収容部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の四種類の単色インクが収容されている場合、例えば、イエロー(Y)が選択された場合は、イエロー(Y)を前記境界部C形成部分に吐出すればよい。また、前記インクジェット記録装置において、混合インク(Y:M=5:5)が選択された場合は、5:5の割合で、イエロー(Y)とマゼンタ(M)をそれぞれ吐出し、前記境界部C形成部分で、混合インク(Y:M=5:5)を調製すればよい。
本実施形態では、前記凝集度G(AB)と、前記凝集度G(AC)および前記凝集度G(BC)の大小の判断において、差の大きさを規定していないが、本発明はこれに限定されず、下記式(1´)および下記式(2´)のように差の大きさを規定してもよい。下記式(1´)および下記式(2´)において、kが差の大きさの規定になる。
G(AC)>G(AB)+k (1´)
G(BC)>G(AB)+k (2´)
前述の例では、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)の二種類が選択されたが、差の大きさkを「1」とすると、前記二種類のインクから、前記式(1´)を満たすイエロー(Y)がインクCとして選択されることになる。
本実施形態では、前記凝集度G(AB)の導出および前記インクCを構成するインクの選択に前記凝集度データを用いたが、本発明はこれに限定されず、前記凝集度データの有無は問わず、前記凝集度データを用いることなく、前記凝集度G(AB)を導出し、かつ、前記インクCを構成するインクを選択してもよい。
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置において、例えば、前記記録部A、前記記録部Bおよび前記境界部Cを形成する被記録媒体の材質(例えば、普通紙であるか、光沢紙であるか等)、記録に用いるインクの種類(例えば、顔料水性インクであるか、染料水性インクであるか等)の前記記録関連情報を参照して、前記条件(I)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択してもよい。この場合において、異なる前記記録関連情報毎に前記凝集度データを複数種類準備しておき、前記記録関連情報に応じて適切な凝集度データを選択して用いてもよい。前記凝集度データについては、以下の実施形態においても同様である。
[実施形態2]
つぎに、図2に、前記条件(I)および前記条件(II)を用いて、前記インクCを構成するインクを選択する例のフローチャート(図2(A))およびブロック図(図2(B))を示す。図2(B)のブロック図は、本実施形態のインクジェット記録装置における前記制御手段、前記データ記憶手段および前記インク吐出手段の関係を示す。図2(B)に示すように、前記データ記憶手段120は、凝集度データ121および明度データ122が格納されており、前記制御手段110は、凝集度導出手段111、インク選択手段112、明度導出手段113および明度選択手段114を含む。凝集度導出手段111、インク選択手段112および明度選択手段114は、凝集度データ121と接続している。明度導出手段113は、明度データ122と接続している。
本発明において、前記明度データは、例えば、色相テーブルがあげられる。また、前述のように、本発明において、前記条件(II)の「明度L」は、例えば、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化されたL表色系(CIE1976(L)表色系)に基づくL値(JIS Z 8729参照)を採用してもよい。前記色相テーブルの例を、表2に示す。表2の色相テーブルは、表1の凝集度テーブルに示す7種類のインクにより白色(L=93.6、a=2.8、b=−8.8)の記録用紙に形成した記録部のL値、a値およびb値を示すものである。表2の色相テーブルにおける各L値が、前記各インクにより形成した前記記録部の明度である。ただし、表2の色相テーブルは例示に過ぎず、本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置において、前記記録部A、前記記録部Bおよび前記境界部Cを形成する被記録媒体は、前記白色の記録用紙に限定されない。
Figure 0005091103
表2の色相テーブルでは、前記混合インクの一次色の構成割合が5:5の場合のみ記載されているが、本発明は、これに限定されず、前記混合インクの一次色の構成割合が、例えば、9:1や7:3等のように多段階の場合について、L値、a値およびb値を記載したものを使用してもよい。
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置における前記境界部Cの形成は、表1の凝集度データおよび表2の明度データを用い、例えば、つぎのようにして実施される。
まず、図2(A)および(B)に示すように、凝集度導出手段111により、前記凝集度データ121を参照して、前記インクAおよび前記インクBとの間の凝集度G(AB)を導出する(ステップS1)。例えば、前記実施形態1と同様に、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記凝集度G(AB)は「8」となる。
つぎに、図2(A)および(B)に示すように、インク選択手段112により、導出された前記凝集度G(AB)に基づき、前記凝集度データ121から、前記条件(I)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS2)。例えば、前記凝集度G(AB)が「8」の場合、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」である。したがって、前記条件(I)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。
つぎに、図2(A)および(B)に示すように、インクCが複数存在するか否かを判断する(ステップS3)。複数存在しない場合(No)は、後述のようにして、前記境界部Cの記録を実施する。複数存在する場合(Yes)は、明度導出手段113により、前記明度データ122を参照して、前記インクAの明度L(A)および前記インクBの明度L(B)を導出する(ステップS3−1)。ついで、明度選択手段114により、導出された前記凝集度G(AB)、前記明度L(A)および前記明度L(B)に基づき、前記凝集度データ121から、前記条件(II)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS3−2)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)の二つが選択されたので、インクCが複数存在することになる。したがって、明度データ122から、ブラック(Bk)およびマゼンタ(M)のそれぞれの前記明度L(A)および前記明度L(B)を導出すると、前記明度L(A)は「10」であり、前記明度L(B)は「52」となり、前記条件(II)では、前記式(3)の「明度L(A)<明度L(B)」の場合に該当する。この場合、前記式(1)「凝集度G(AC)>凝集度G(AB)」を満たすようにする必要がある。前記の場合、前記凝集度G(AB)は「8」であるから、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」であり、両者とも前記式(1)を満たす。したがって、前記条件(II)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。なお、インクCが複数選択された場合は、後述のように、条件(III)を用いることで一つのインクにしぼることもできるし、その他の条件で一つのインクにしぼってもよい。
つぎに、図2(A)および(B)に示すように、インク選択手段112または明度選択手段114からの指示に基づき、インク吐出手段130により、選択されたインクを吐出して前記境界部Cの記録を実施する(ステップS4)。前記実施形態1と同様に、インクジェット記録装置のインク収容部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の四種類の単色インクが収容されている場合、例えば、イエロー(Y)が選択された場合は、イエロー(Y)を前記境界部C形成部分に吐出すればよい。また、前記インクジェット記録装置において、混合インク(Y:M=5:5)が選択された場合は、5:5の割合で、イエロー(Y)とマゼンタ(M)をそれぞれ吐出し、前記境界部C形成部分で、混合インク(Y:M=5:5)を調製すればよい。
本実施形態では、前記凝集度G(AB)の導出および前記インクCを構成するインクの選択に前記凝集度データを用い、かつ、前記明度の導出に前記明度データを用いたが、本発明はこれに限定されず、前記凝集度データおよび前記明度データの有無は問わず、前記凝集度データおよび前記明度データの一方のみを用いてもよいし、双方を用いなくてもよい。
本実施形態では、前記凝集度の導出の後に、前記明度を導出したが、本発明はこれに限定されず、前記凝集度の導出および前記明度の導出の前後は問わず、いずれかを先に実施してもよいし、後述の実施形態6のように双方を同時に実施してもよい。
本実施形態では、前記明度L(A)および明度L(B)が異なっている場合を例示したが、前記明度L(A)および前記明度L(B)が同じ場合もある。インクCが複数存在し、かつ前記明度L(A)および前記明度L(B)が同じ場合、下記(条件II´)または下記条件(II´´)のようにすれば、さらに、インクCの選択幅を狭めることが可能である。

(条件II´):下記式(3´)を満たす場合は、前記式(1)を満たし、または、下記式(4)を満たす場合は、前記式(2)を満たす。
(A)≦L(B) (3´)
(A)>L(B) (4)

(条件II´´):下記式(3)を満たす場合は、前記式(1)を満たし、または、下記式(4´)を満たす場合は、前記式(2)を満たす。
(A)<L(B) (3)
(A)≧L(B) (4´)
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置において、例えば、前記記録部A、前記記録部Bおよび前記境界部Cを形成する被記録媒体の色(例えば、白色であるか、有色(例えば、青、黄、緑等)であるか等)、前記被記録媒体の材質(例えば、普通紙であるか、光沢紙であるか等)、記録に用いるインクの種類(例えば、顔料水性インクであるか、染料水性インクであるか等)の前記記録関連情報を参照して、前記条件(I)および前記条件(II)の少なくとも前記条件(I)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択してもよい。この場合において、異なる前記記録関連情報毎に前記明度データを複数種類準備しておき、前記記録関連情報に応じて適切な明度データを選択して用いてもよい。前記明度データについては、以下の実施形態においても同様である。
[実施形態3]
つぎに、図3に、前記条件(I)、前記条件(II)および前記条件(III)を用いて、前記インクCを構成するインクを選択する例のフローチャート(図3(A))およびブロック図(図3(B))を示す。図3(B)のブロック図は、本実施形態のインクジェット記録装置における前記制御手段、前記データ記憶手段および前記インク吐出手段の関係を示す。図3(B)に示すように、前記データ記憶手段120は、凝集度データ121および色相データ123が格納されており、前記制御手段110は、凝集度導出手段111、インク選択手段112、明度導出手段113、明度選択手段114、色差導出手段115および色差選択手段116を含む。前記色相データ123には、明度データ122が含まれる。凝集度導出手段111、インク選択手段112および明度選択手段114は、凝集度データ121と接続している。明度導出手段113は、明度データ122と接続している。色差導出手段115および色差選択手段116は、色相データ123と接続している。
本発明において、前記色相データは、例えば、色相テーブルがあげられる。前述のように、本発明において、前記条件(III)の「色差ΔE」は、例えば、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化されたL表色系(CIE1976(L)表色系)に基づき、下記式で算出されるもの(JIS Z 8729参照)を採用してもよい。
ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL:2種類のインク間のL値の差
Δa:2種類のインク間のa値の差
Δb:2種類のインク間のb値の差
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置における前記境界部Cの形成は、表1の凝集度データおよび表2の色相データを用い、例えば、つぎのようにして実施される。
まず、図3(A)および(B)に示すように、凝集度導出手段111により、前記凝集度データ121を参照して、前記インクAおよび前記インクBとの間の凝集度G(AB)を導出する(ステップS1)。例えば、前記実施形態1と同様に、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記凝集度G(AB)は「8」となる。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、インク選択手段112により、導出された前記凝集度G(AB)に基づき、前記凝集度データ121から、前記条件(I)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS2)。例えば、前記凝集度G(AB)が「8」の場合、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」である。したがって、前記条件(I)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、インクCが複数存在するか否かを判断する(ステップS3)。複数存在しない場合(No)は、後述のようにして、前記境界部Cの記録を実施する。複数存在する場合(Yes)は、明度導出手段113により、前記明度データ122を参照して、前記インクAの明度L(A)および前記インクBの明度L(B)を導出する(ステップS3−1)。ついで、明度選択手段114により、導出された前記凝集度G(AB)、前記明度L(A)および前記明度L(B)に基づき、前記凝集度データ121から、前記条件(II)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS3−2)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)の二つが選択されたので、インクCが複数存在することになる。したがって、明度データ122から、ブラック(Bk)およびマゼンタ(M)のそれぞれの前記明度L(A)および前記明度L(B)を導出すると、前記明度L(A)は「10」であり、前記明度L(B)は「52」となり、前記条件(II)では、前記式(3)の「明度L(A)<明度L(B)」の場合に該当する。この場合、前記式(1)「凝集度G(AC)>凝集度G(AB)」を満たすようにする必要がある。前記の場合、前記凝集度G(AB)は「8」であるから、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」であり、両者とも前記式(1)を満たす。したがって、前記条件(II)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、インクCが複数存在するか否かを判断する(ステップS4)。複数存在しない場合(No)は、後述のようにして、前記境界部Cの記録を実施する。複数存在する場合(Yes)は、色差導出手段115において、前記インクAと前記インクCの色差ΔE(AC)および前記インクBと前記インクCの色差ΔE(BC)を、色相データ123から導出する(ステップS4−1)。ついで、色差選択手段116において、色相データ123を参照し、導出された色差ΔE(AC)および色差ΔE(BC)から、前記条件(III)を満たすインクCを一つ選択する(ステップS4−2)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)の二つが選択されたので、インクCが複数存在することになる。したがって、色相データ123から、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)のそれぞれの前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)を導出すると下記のようになる。したがって最小の色差は、混合インク(Y:M=5:5)の場合の前記色差ΔE(BC)=47.17であるから、混合インク(Y:M=5:5)を選択する。

イエロー(Y)の場合
色差ΔE(AC)=117.04
色差ΔE(BC)=131.38
混合インク(Y:M=5:5)の場合
色差ΔE(AC)=84.20
色差ΔE(BC)=47.17
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、インク選択手段112、明度選択手段114または色差選択手段116からの指示に基づき、インク吐出手段130により、選択されたインクを吐出して前記境界部Cの記録を実施する(ステップS5)。前記実施形態1と同様に、インクジェット記録装置のインク収容部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の四種類の単色インクが収容され、かつ混合インク(Y:M=5:5)が選択された場合は、5:5の割合で、イエロー(Y)とマゼンタ(M)をそれぞれ吐出し、前記境界部C形成部分で、混合インク(Y:M=5:5)を調製すればよい。
本実施形態では、前記凝集度G(AB)の導出に前記凝集度データを用い、かつ、前記明度の導出に前記明度データを用いたが、本発明はこれに限定されず、前記凝集度データおよび前記明度データの有無は問わず、前記凝集度データおよび前記明度データの一方のみを用いてもよいし、双方を用いなくてもよい。
本実施形態では、前記色差の導出および前記条件(III)を満たすインクCの選択に前記色相データを用いたが、本発明はこれに限定されず、前記色相データの有無は問わず、前記色相データを用いることなく、前記色差を導出し、かつ、前記条件(III)を満たすインクCを選択してもよい。
本実施形態では、前記凝集度の導出の後に、前記明度を導出したが、本発明はこれに限定されず、前記凝集度の導出および前記明度の導出の前後は問わず、いずれかを先に実施してもよいし、双方を同時に実施してもよい。
本実施形態では、前記明度の導出の後に、前記色差を導出したが、本発明はこれに限定されず、前記明度の導出および前記色差の導出の前後は問わず、いずれかを先に実施してもよいし、双方を同時に実施してもよい。
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置において、例えば、前記記録部A、前記記録部Bおよび前記境界部Cを形成する被記録媒体の色(例えば、白色であるか、有色(例えば、青、黄、緑等)であるか等)、前記被記録媒体の材質(例えば、普通紙であるか、光沢紙であるか等)、記録に用いるインクの種類(例えば、顔料水性インクであるか、染料水性インクであるか等)の前記記録関連情報を参照して、前記条件(I)、前記条件(II)および前記条件(III)の少なくとも前記条件(I)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択してもよい。この場合において、異なる前記記録関連情報毎に前記色相データを複数種類準備しておき、前記記録関連情報に応じて適切な色相データを選択して用いてもよい。前記色相データについては、以下の実施形態においても同様である。
[実施形態4]
つぎに、図4に、前記条件(I)および前記条件(III)を用いて、前記インクCを構成するインクを選択する例のフローチャート(図4(A))およびブロック図(図4(B))を示す。図4(B)のブロック図は、本実施形態のインクジェット記録装置における前記制御手段、前記データ記憶手段および前記インク吐出手段の関係を示す。図4(B)に示すように、前記データ記憶手段120は、凝集度データ121および色相データ123が格納されており、前記制御手段110は、凝集度導出手段111、インク選択手段112、色差導出手段115および色差選択手段116を含む。凝集度導出手段111およびインク選択手段112は、凝集度データ121と接続している。色差導出手段115および色差選択手段116は、色相データ123と接続している。
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置における前記境界部Cの形成は、表1の凝集度データおよび表2の色相データを用い、例えば、つぎのようにして実施される。
まず、図4(A)および(B)に示すように、凝集度導出手段111により、前記凝集度データ121を参照して、前記インクAおよび前記インクBとの間の凝集度G(AB)を導出する(ステップS1)。例えば、前記実施形態1と同様に、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記凝集度G(AB)は「8」となる。
つぎに、図4(A)および(B)に示すように、インク選択手段112により、導出された前記凝集度G(AB)に基づき、前記凝集度データ121から、前記条件(I)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS2)。例えば、前記凝集度G(AB)が「8」の場合、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」である。したがって、前記条件(I)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。
つぎに、図4(A)および(B)に示すように、インクCが複数存在するか否かを判断する(ステップS3)。複数存在しない場合(No)は、後述のようにして、前記境界部Cの記録を実施する。複数存在する場合(Yes)は、色差導出手段115において、前記インクAと前記インクCの色差ΔE(AC)および前記インクBと前記インクCの色差ΔE(BC)を、色相データ123から導出する(ステップS3−1)。ついで、色差選択手段116において、色相データ123を参照し、導出された色差ΔE(AC)および色差ΔE(BC)から、前記条件(III)を満たすインクCを一つ選択する(ステップS3−2)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)の二つが選択されたので、インクCが複数存在することになる。したがって、色相データ123から、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)のそれぞれの前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)を導出すると下記のようになる。したがって最小の色差は、混合インク(Y:M=5:5)の場合の前記色差ΔE(BC)=47.17であるから、混合インク(Y:M=5:5)を選択する。

イエロー(Y)の場合
色差ΔE(AC)=117.04
色差ΔE(BC)=131.38
混合インク(Y:M=5:5)の場合
色差ΔE(AC)=84.20
色差ΔE(BC)=47.17
つぎに、図4(A)および(B)に示すように、インク選択手段112または色差選択手段116からの指示に基づき、インク吐出手段130により、選択されたインクを吐出して前記境界部Cの記録を実施する(ステップS4)。前記実施形態1と同様に、インクジェット記録装置のインク収容部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の四種類の単色インクが収容され、かつ混合インク(Y:M=5:5)が選択された場合は、5:5の割合で、イエロー(Y)とマゼンタ(M)をそれぞれ吐出し、前記境界部C形成部分で、混合インク(Y:M=5:5)を調製すればよい。
本実施形態では、前記凝集度G(AB)の導出および前記インクCを構成するインクの選択に前記凝集度データを用いたが、本発明はこれに限定されず、前記凝集度データの有無は問わず、前記凝集度データを用いることなく、前記凝集度G(AB)を導出し、かつ、前記インクCを構成するインクを選択してもよい。
本実施形態では、前記色差の導出および前記条件(III)を満たすインクCの選択に前記色相データを用いたが、本発明はこれに限定されず、前記色相データの有無は問わず、前記色相データを用いることなく、前記色差を導出し、かつ、前記条件(III)を満たすインクCを選択してもよい。
[実施形態5]
つぎに、図5に、前記条件(II)および前記条件(III)のいずれを利用するかを判断した上で、前記インクCを構成するインクを選択する例のフローチャート(図5(A))およびブロック図(図5(B))を示す。図5(B)のブロック図は、本実施形態のインクジェット記録装置における前記制御手段、前記データ記憶手段および前記インク吐出手段の関係を示す。図5(B)に示すように、前記データ記憶手段120は、凝集度データ121および色相データ123が格納されており、前記制御手段110は、凝集度導出手段111、インク選択手段112、付加条件選択手段117、明度導出手段113、明度選択手段114、色差導出手段115および色差選択手段116を含む。前記色相データ123には、明度データ122が含まれる。凝集度導出手段111、インク選択手段112および明度選択手段114は、凝集度データ121と接続している。明度導出手段113は、明度データ122と接続している。色差導出手段115および色差選択手段116は、色相データ123と接続している。
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置における前記境界部Cの形成は、表1の凝集度データおよび表2の色相データを用い、例えば、つぎのようにして実施される。
まず、図5(A)および(B)に示すように、凝集度導出手段111により、前記凝集度データ121を参照して、前記インクAおよび前記インクBとの間の凝集度G(AB)を導出する(ステップS1)。例えば、前記実施形態1と同様に、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記凝集度G(AB)は「8」となる。
つぎに、図5(A)および(B)に示すように、インク選択手段112により、導出された前記凝集度G(AB)に基づき、前記凝集度データ121から、前記条件(I)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS2)。例えば、前記凝集度G(AB)が「8」の場合、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」である。したがって、前記条件(I)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。
つぎに、図5(A)および(B)に示すように、インクCが複数存在するか否かを判断する(ステップS3)。複数存在しない場合(No)は、後述のようにして、前記境界部Cの記録を実施する。複数存在する場合(Yes)は、付加条件選択手段117により、条件(II)および条件(III)のいずれを利用するかを判断する(ステップS4)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)の二つが選択されたので、インクCが複数存在することになる。したがって、付加条件選択手段117により、条件(II)および条件(III)のいずれを利用するかを判断する。前記付加条件選択手段における条件(II)および条件(III)のいずれを利用するかの判断手法は、特に限定されず、いかなる手法であってもよい。前記判断手法としては、例えば、前記凝集度G(AC)または前記凝集度G(BC)と、前記凝集度G(AB)との最大差が所定の値jを超える場合に、条件(II)を利用すると判断する手法があげられる。具体的には、例えば、前記凝集度G(AB)が「2」、前記凝集度G(AC)の最大値が「9」、j=5の場合に、前記条件(II)を利用すると判断する。また、前記判断手法としては、例えば、前記複数のインクCの中に、前記インクAまたは前記インクBと同系色のインクが含まれる場合に、条件(III)を利用すると判断する手法もあげられる。具体的には、前記インクAがブラック(Bk)、前記インクBがマゼンタ(M)であり、前記複数のインクCの中に前記インクBと同系色のライトマゼンタ(LM)が含まれる場合に、前記条件(III)を利用すると判断する。
条件(II)を利用する場合は、明度導出手段113により、前記明度データ122を参照して、前記インクAの明度L(A)および前記インクBの明度L(B)を導出する(ステップS4−1a)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記明度L(A)は「10」であり、前記明度L(B)は「52」となる。ついで、明度選択手段114により、導出された前記凝集度G(AB)、前記明度L(A)および前記明度L(B)に基づき、前記凝集度データ121から、前記条件(II)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS4−2a)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記明度L(A)は「10」であり、前記明度L(B)は「52」となり、前記条件(II)では、前記式(3)の「明度L(A)<明度L(B)」の場合に該当する。この場合、前記式(1)の「凝集度G(AC)>凝集度G(AB)」を満たすようにする必要がある。前記の場合、前記凝集度G(AB)は「8」であるから、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」であり、両者とも前記式(1)を満たす。したがって、前記条件(I)および前記条件(II)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。
一方、条件(III)を利用する場合は、色差導出手段115において、前記インクAと前記インクCの色差ΔE(AC)および前記インクBと前記インクCの色差ΔE(BC)を、色相データ123から導出する(ステップS4−1b)。ついで、色差選択手段116において、色相データ123を参照し、導出された色差ΔE(AC)および色差ΔE(BC)から、前記条件(III)を満たすインクCを一つ選択する(ステップS4−2b)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、色相データ123から、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)のそれぞれの前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)を導出すると下記のようになる。したがって最小の色差は、混合インク(Y:M=5:5)の場合の前記色差ΔE(BC)=47.17であるから、混合インク(Y:M=5:5)を選択する。

イエロー(Y)の場合
色差ΔE(AC)=117.04
色差ΔE(BC)=131.38
混合インク(Y:M=5:5)の場合
色差ΔE(AC)=84.20
色差ΔE(BC)=47.17
つぎに、図5(A)および(B)に示すように、インク選択手段112、明度選択手段114または色差選択手段116からの指示に基づき、インク吐出手段130により、選択されたインクを吐出して前記境界部Cの記録を実施する(ステップS5)。前記実施形態1と同様に、インクジェット記録装置のインク収容部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の四種類の単色インクが収容され、かつ混合インク(Y:M=5:5)が選択された場合は、5:5の割合で、イエロー(Y)とマゼンタ(M)をそれぞれ吐出し、前記境界部C形成部分で、混合インク(Y:M=5:5)を調製すればよい。
本実施形態では、前記凝集度G(AB)の導出に前記凝集度データを用い、かつ、前記明度の導出に前記明度データを用いたが、本発明はこれに限定されず、前記凝集度データおよび前記明度データの有無は問わず、前記凝集度データおよび前記明度データの一方のみを用いてもよいし、双方を用いなくてもよい。
本実施形態では、前記色差の導出および前記条件(III)を満たすインクCの選択に前記色相データを用いたが、本発明はこれに限定されず、前記色相データの有無は問わず、前記色相データを用いることなく、前記色差を導出し、かつ、前記条件(III)を満たすインクCを選択してもよい。
[実施形態6]
つぎに、図6に、前記凝集度の導出および前記明度の導出を同時に実施して、前記インクCを構成するインクを選択する例のフローチャート(図6(A))およびブロック図(図6(B))を示す。図6(B)のブロック図は、本実施形態のインクジェット記録装置における前記制御手段、前記データ記憶手段および前記インク吐出手段の関係を示す。図6(B)に示すように、前記データ記憶手段120は、凝集度データ121および明度データ122が格納されており、前記制御手段110は、凝集度導出手段111、明度導出手段113およびインク選択手段112を含む。凝集度導出手段111およびインク選択手段112は、凝集度データ121と接続している。明度導出手段113は、明度データ122と接続している。
本実施形態のインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置における前記境界部Cの形成は、表1の凝集度データおよび表2の明度データを用い、例えば、つぎのようにして実施される。
まず、図6(A)および(B)に示すように、凝集度導出手段111により、前記インクAおよび前記インクBとの間の凝集度G(AB)を導出する(ステップS1−1)。例えば、前記実施形態1と同様に、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記凝集度G(AB)は「8」となる。前記凝集度の導出と同時に、図6(A)および(B)に示すように、明度導出手段113により、前記インクAの明度L(A)および前記インクBの明度L(B)を導出する(ステップS1−2)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記明度L(A)は「10」であり、前記明度L(B)は「52」となる。
つぎに、図6(A)および(B)に示すように、インク選択手段112により、導出された前記凝集度G(AB)、前記明度L(A)および前記明度L(B)に基づき、前記条件(I)および前記条件(II)を満たすように、前記インクCを構成するインクを選択する(ステップS2)。例えば、前記インクAがブラック(Bk)であり、前記インクBがマゼンタ(M)の場合、前記明度L(A)は「10」であり、前記明度L(B)は「52」となり、前記条件(II)では、前記式(3)の「明度L(A)<明度L(B)」の場合に該当する。この場合、前記式(1)「凝集度G(AC)>凝集度G(AB)」を満たすようにする必要がある。前記の場合、前記凝集度G(AB)は「8」であるから、「8」を超える凝集度のインクの組み合わせは、ブラック(Bk)およびイエロー(Y)の「10」と、ブラック(Bk)および混合インク(Y:M=5:5)の「9」であり、両者とも前記式(1)を満たす。したがって、前記条件(I)および前記条件(II)を満たすインクCは、前記凝集度データ121から、イエロー(Y)または混合インク(Y:M=5:5)を選択することができる。
つぎに、図6(A)および(B)に示すように、インク選択手段112からの指示に基づき、インク吐出手段130により、選択されたインクを吐出して前記境界部Cの記録を実施する(ステップS3)。
条件(I)を満たすインクが1つである場合には、明度を導出し、条件(II)を満たすインクを選択する必要はないが、条件(I)を満たすインクが複数存在する場合には、本実施形態のように凝集度の導出および明度の導出を同時に実施することで、前記条件(I)および前記条件(II)の双方を満たすインクを短時間で選択できる。
本実施形態では、前記条件(III)を用いていないが、本発明はこれに限定されず、実施形態3と同様に、前記インクCを構成するインクの選択の後、前記境界部Cの記録に先立ち、前記条件(III)を用いてもよい。
[実施形態7]
本実施形態は、下記条件(X)を用い、前記実施形態3と同様にして、前記インクCを選択し、前記境界部Cを形成した例である。なお、前記条件(X)は、前記条件(II´)において、前記凝集度G(AB)に閾値8を設定し、前記閾値に応じて、差の大きさk=2の適否を判断する条件である。
条件(X)
(i)明度L(A)≦明度L(B)、かつ、凝集度G(AB)<8の場合
凝集度G(AC)>凝集度G(AB)+2
(ii)明度L(A)≦明度L(B)、かつ、凝集度G(AB)≧8の場合
凝集度G(AC)>凝集度G(AB)

(iii)明度L(A)>明度L(B)、かつ、凝集度G(AB)<8の場合
凝集度G(BC)>凝集度G(AB)+2
(iv)明度L(A)>明度L(B)、かつ、凝集度G(AB)≧8の場合
凝集度G(BC)>凝集度G(AB)
まず、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS1において、表1の凝集度データから、前記凝集度G(AB)=8が導出される。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS2において、表1の凝集度データから、イエロー(Y)(凝集度10)および混合インク(Y:M=5:5)(凝集度9)の2つのインクが選択される。この結果、前記ステップS3において、前記条件(I)を満たすインクCが複数存在する(Yes)と判定され、ステップS3−1に進む。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS3−1において、表2の色相データから、前記明度L(A)=10および前記明度L(B)=52が導出される。したがって、前記条件(X)の前記(ii)が適用され、インクCとして凝集度8を超えることが条件となる。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS3−2において、凝集度8を超えるインクCを構成するインクとして、イエロー(Y)および混合インク(Y:M=5:5)の2つのインクが選択される。この結果、前記ステップS4において、前記条件(II)を満たすインクCが複数存在する(Yes)と判定され、ステップS4−1に進む。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS4−1において、表2の色相データから、前記2つのインクそれぞれについて、前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)が導出される。つぎに、前記ステップS4−2において、前記条件(III)を満たすインクCとして、混合インク(Y:M=5:5)が選択される。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS5において、混合インク(Y:M=5:5)により、前記境界部Cの記録が実施される。
[実施形態8]
本実施形態は、前記インクAとしてブラック(Bk)を使用し、前記インクBとして混合インク(M:C=5:5)を使用した他は、前記実施形態7と同様にして、前記インクCを選択し、前記境界部Cを形成した例である。
まず、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS1において、表1の凝集度データから、前記凝集度G(AB)=5が導出される。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS2において、表1の凝集度データから、イエロー(Y)(凝集度10)、マゼンタ(M)(凝集度8)、混合インク(Y:M=5:5)(凝集度9)および混合インク(Y:C=5:5)(凝集度6)の4つのインクが選択される。この結果、前記ステップS4において、前記条件(I)を満たすインクCが複数存在する(Yes)と判定され、ステップS3−1に進む。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS3−1において、表2の色相データから、前記明度L(A)=10および前記明度L(B)=50が導出される。したがって、前記条件(X)の前記(i)が適用され、インクCとして凝集度7を超えることが条件となる。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS3−2において、凝集度7を超えるインクCを構成するインクとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)および混合インク(Y:M=5:5)の3つのインクが選択される。この結果、前記ステップS4において、前記条件(II)を満たすインクCが複数存在する(Yes)と判定され、ステップS4−1に進む。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS4−1において、表2の色相データから、前記3つのインクそれぞれについて、前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)が導出される。つぎに、前記ステップS4−2において、前記条件(III)を満たすインクCとして、混合インク(Y:M=5:5)が選択される。
つぎに、図3(A)および(B)に示すように、前記ステップS5において、混合インク(Y:M=5:5)により、前記境界部Cの記録が実施される。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例により限定ないし制限されない。
(インクの調製)
(1)顔料水性黒色インク
インク組成成分(表3)のうち、「CAB−O−JET(登録商標)300」を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、「CAB−O−JET(登録商標)300」に前記インク溶媒を徐々に加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、インクジェット記録用顔料水性黒色インク(Bk−1)を得た。
(2)染料水性インク
インク組成成分(表3)を均一に混合した後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製の親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)タイプメンブレンフィルタ(孔径0.20μm)でろ過することで、インクジェット記録用染料水性イエローインク(Y−1〜Y−3)、水性マゼンタインク(M−1、M−2)、水性ライトマゼンタインク(LM−1)および水性シアンインク(C−1、C−2)を調製した。
Figure 0005091103
(凝集度評価)
まず、図9(A)に示すように、インク32およびインク33を、柴田科学(株)製の分注器デジフィットAU−20を用いて、それぞれ、3μLずつ清浄なスライドグラス31上に約10mm離して滴下した。ついで、図9(B)に示すように、前記滴下したインクをカバーグラス34で覆うことで、両インクを接触させた。このようにして作製したプレパラートの前記両インクの界面35を、(株)ニコン製の工業顕微鏡ECLIPSE LV100Dで20倍の倍率で観察し、下記評価基準に従って評価した。
凝集度評価 評価基準
1:図12(A)に示すように、両インクの界面35に、凝集は見られなかった。
2:図12(B)に示すように、両インクの界面35付近に、凝集による小さな固形物36が見られた。
3:図12(C)に示すように、両インクの界面35付近に、凝集による大きな固形物37が見られた。
(ブリーディング評価)
表3中の水性インクのうちBk−1およびBk−1以外の2〜3種類のインクを、それぞれ、インクカートリッジに充填した。ついで、前記インクカートリッジを、ブラザー工業(株)製のインクジェットプリンタ搭載デジタル複合機DCP−330Cに装着した。つぎに、普通紙(XEROX社製の「Recycled Supreme」)にBk−1および前記Bk−1以外の2〜3種類のインク中の1〜2種類の水性インクを用いてブリーディング評価用サンプル1(図11(A))を記録した。ついで、前記普通紙にBk−1および前記Bk−1以外の2〜3種類の水性インクを用いてブリーディング評価用サンプル2(図11(B))を記録した。前記ブリーディング評価用サンプル1は、記録部A(21)と記録部B(22)が接して記録されたものであり、前記ブリーディング評価用サンプル2は、記録部A(21)と境界部C(23)、および記録部B(22)と境界部C(23)とが接して記録されたものである。前記ブリーディング評価用サンプル1および前記ブリーディング評価用サンプル2の記録部Aと記録部Bの間のブリーディングを目視で比較し、下記評価基準に従って評価した。
ブリーディング評価 評価基準
G :ブリーディング評価サンプル1よりブリーディング評価サンプル2のブリーディングが良好であった。
NG:ブリーディング評価サンプル1よりブリーディング評価サンプル2のブリーディングが劣っていたか、前記両ブリーディングが同等であった。
[実施例1]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとしてC−1を、前記インクCとしてY−1を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=1、凝集度G(AC)=2となり、前記条件(I)を満たした。
[実施例2]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとして(Y−1:C−1=5:5)を、前記インクCとしてY−2を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=2、凝集度G(AC)=3となり、前記条件(I)を満たした。
[実施例3]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとしてY−1を、前記インクCとしてY−3を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=2、凝集度G(AC)=3となり、前記条件(I)を満たした。
[実施例4]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとしてM−1を、前記インクCとしてY−3を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=1、凝集度G(AC)=3となり、前記条件(I)を満たした。
[実施例5]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとして(Y−1:M−1=5:5)を、前記インクCとしてLM−1を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=2、凝集度G(AC)=3となり、前記条件(I)を満たした。
[実施例6]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとしてM−1を、前記インクCとして(Y−2:M−1=5:5)を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=1、凝集度G(AC)=3となり、前記条件(I)を満たした。
[比較例1]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとしてY−1を、前記インクCとしてC−1を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=2、凝集度G(AC)=1となり、前記条件(I)を満たさなかった。
[比較例2]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとして(Y−1:C−1=5:5)を、前記インクCとしてY−1を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=2、凝集度G(AC)=2となり、前記条件(I)を満たさなかった。
[比較例3]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとしてM−2を、前記インクCとしてC−1を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=2、凝集度G(AC)=1となり、前記条件(I)を満たさなかった。
[比較例4]
前記インクAとしてBk−1を、前記インクBとしてC−2を、前記インクCとしてC−1を用いて前記凝集度評価を行ったところ、凝集度G(AB)=3、凝集度G(AC)=1となり、前記条件(I)を満たさなかった。
実施例および比較例で用いたインクの種類、凝集度およびブリーディング評価結果を、表4に示す。
Figure 0005091103
表4に示すとおり、前記条件(I)を満たした実施例1〜6は、ブリーディング評価結果が優れていた。一方、前記条件(I)を満たさなかった比較例1〜4は、ブリーディング評価結果が劣っていた。なお、比較例4では、前記インクCであるC−1の浸透性が、前記インクBであるC−2の浸透性よりも高いが、ブリーディングの改善は見られなかった。
以上のように、本発明のインクジェット記録方法は、コストが低く、記録物の記録品質に優れ、かつブリーディングを効果的に防止可能なものである。本発明のインクジェット記録方法は、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。
図1(A)は、本発明の実施形態1におけるフローチャートであり、図1(B)は、本発明の実施形態1におけるインクジェット記録装置の制御手段、データ記憶手段およびインク吐出手段の関係を示すブロック図である。 図2(A)は、本発明の実施形態2におけるフローチャートであり、図2(B)は、本発明の実施形態2におけるインクジェット記録装置の制御手段、データ記憶手段およびインク吐出手段の関係を示すブロック図である。 図3(A)は、本発明の実施形態3におけるフローチャートであり、図3(B)は、本発明の実施形態3におけるインクジェット記録装置の制御手段、データ記憶手段およびインク吐出手段の関係を示すブロック図である。 図4(A)は、本発明の実施形態4におけるフローチャートであり、図4(B)は、本発明の実施形態4におけるインクジェット記録装置の制御手段、データ記憶手段およびインク吐出手段の関係を示すブロック図である。 図5(A)は、本発明の実施形態5におけるフローチャートであり、図5(B)は、本発明の実施形態5におけるインクジェット記録装置の制御手段、データ記憶手段およびインク吐出手段の関係を示すブロック図である。 図6(A)は、本発明の実施形態6におけるフローチャートであり、図6(B)は、本発明の実施形態6におけるインクジェット記録装置の制御手段、データ記憶手段およびインク吐出手段の関係を示すブロック図である。 図7(A)および図7(B)は、境界部Cを説明する図である。 図8(A)および図8(B)は、境界部Cにおける記録ドットについて説明する図である。 図9(A)および図9(B)は、2種類のインク間の凝集度の測定方法の一例を説明する図である。 図10は、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す図である。 図11(A)および図11(B)は、本発明の実施例におけるブリーディング評価方法を説明する図である。 図12(A)および図12(B)は、本発明の実施例における凝集度評価の評価基準を説明する図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2 インクカートリッジ
3 インクジェットヘッド
4 ヘッドユニット
5 キャリッジ
6 駆動ユニット
7 プラテンローラ
8 パージ装置
9 キャリッジ軸
10 ガイド板
21 記録部A
22 記録部B
23 境界部C
31 スライドグラス
32、33 インク
34 カバーグラス
35 界面
36、37 固形物
110 制御手段
111 凝集度導出手段
112 インク選択手段
113 明度導出手段
114 明度選択手段
115 色差導出手段
116 色差選択手段
117 付加条件選択手段
120 データ記憶手段
121 凝集度データ
122 明度データ
123 色相データ
130 インク吐出手段

Claims (11)

  1. 二種類以上のインクを含むインクセットから選択された少なくとも一つのインクを用いて記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成されたインクAにより記録部Aを形成する記録部A形成工程と、
    前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成され、かつ前記インクAの構成とは異なる構成のインクBにより記録部Bを形成する記録部B形成工程と、
    前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成され、かつ前記インクAおよび前記インクBの構成とは異なる構成のインクCにより、前記記録部Aおよび前記記録部Bの境界に境界部Cを形成する境界部C形成工程とを含み、
    前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクが、顔料を含み、
    前記境界部C形成工程は、下記条件(I)を満足するように、前記記録部Aを形成する前記インクAおよび前記記録部Bを形成する前記インクBに応じて、前記インクセットから少なくとも一つのインクを選択して前記インクCを構成するインクC構成工程を含み、
    前記インクC構成工程は、
    前記インクセットの各インクが相互に接触した場合の凝集度データから、下記G(AB)を導出する凝集度導出工程と、
    導出された下記G(AB)に基づき、前記凝集度データから、下記条件(I)を満たす前記インクCを構成するインクを選択するインク選択工程とを含む
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。

    条件(I):下記式(1)および下記式(2)の少なくとも一方を満たす。
    G(AC)>G(AB) (1)
    G(BC)>G(AB) (2)
    G(AC):前記インクAおよび前記インクCが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
    G(BC):前記インクBおよび前記インクCが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
    G(AB):前記インクAおよび前記インクBが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
  2. 前記インクC構成工程において、前記条件(I)に加え、さらに、下記条件(II)を満足するように、前記インクセットから少なくとも一つのインクを選択して前記インクCを構成する請求項1記載のインクジェット記録方法。

    条件(II):下記式(3)を満たす場合は、前記式(1)を満たし、または、下記式(4)を満たす場合は、前記式(2)を満たす。
    (A)<L (B) (3)
    (A)>L (B) (4)
    (A):前記インクAの明度L
    (B):前記インクBの明度L
  3. 前記インクC構成工程は、
    さらに、前記インクセットの各インクの明度データから、前記L (A)および前記L (B)を導出する明度導出工程と、
    導出された前記G(AB)、前記L (A)および前記L (B)に基づき、前記凝集度データから、前記条件(II)を満たす前記インクCを構成するインクを選択する明度選択工程とを含む請求項2記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記インクC構成工程において、前記条件(I)を満たす前記インクCが複数存在する場合、さらに、下記条件(III)を満足するように、前記複数のインクCから一つのインクCを選択する請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。

    条件(III):前記インクAと前記インクCとの色差ΔE(AC)および前記インクBと前記インクCとの色差ΔE(BC)の少なくとも一方の色差ΔEが、最小となる。
  5. 前記インクC構成工程は、
    さらに、前記インクセットの各インクの色相データから、前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)を導出する色差導出工程と、
    導出された前記色差ΔE(AC)および前記色差ΔE(BC)に基づき、前記複数のインクCの中から、前記条件(III)を満たす前記インクCを選択する色差選択工程とを含む請求項4記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクが、黒顔料を含む水性黒色インクを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  7. インク収容部およびインク吐出手段を含み、
    前記インク収容部には、二種類以上のインクがインクセットとして収容され、
    前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクを用いて記録するインクジェット記録装置であって、
    さらに、前記インク吐出手段を制御する制御手段を含み、
    前記制御手段は、
    前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成されたインクAにより記録部Aを形成する記録部A形成手段と、
    前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成され、かつ前記インクAの構成とは異なる構成のインクBにより記録部Bを形成する記録部B形成手段と、
    前記インクセットから選択された少なくとも一つのインクから構成され、かつ前記インクAおよび前記インクBの構成とは異なる構成のインクCにより、前記記録部Aおよび前記記録部Bの境界部に境界部Cを形成する境界部C形成手段とを含み、
    前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクが、顔料を含み、
    前記境界部C形成手段は、下記条件(I)を満足するように、前記記録部Aを形成する 前記インクAおよび前記記録部Bを形成する前記インクBに応じて、前記インクセットから少なくとも一つのインクを選択して前記インクCを構成するインクC構成手段を含み、
    さらに、データ記憶手段を含み、
    前記データ記憶手段には、前記インクセットの各インクが相互に接触した場合の凝集度データが格納され、
    前記インクC構成手段は、
    前記凝集度データから、下記G(AB)を導出する凝集度導出手段と、
    導出された下記G(AB)に基づき、前記凝集度データから、下記条件(I)を満たす前記インクCを構成するインクを選択するインク選択手段とを含む
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。

    条件(I):下記式(1)および下記式(2)の少なくとも一方を満たす。
    G(AC)>G(AB) (1)
    G(BC)>G(AB) (2)
    G(AC):前記インクAおよび前記インクCが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
    G(BC):前記インクBおよび前記インクCが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
    G(AB):前記インクAおよび前記インクBが接触した場合の凝集物の有無および凝集物の大小の少なくとも一方を指標とした凝集度
  8. 前記インクC構成手段において、前記条件(I)に加え、さらに、下記条件(II)を満足するように、前記インクセットから少なくとも一つのインクを選択して前記インクCを構成する請求項7記載のインクジェット記録装置。

    条件(II):下記式(3)を満たす場合は、前記式(1)を満たし、または、下記式(4)を満たす場合は、前記式(2)を満たす。

    (A)<L (B) (3)
    (A)>L (B) (4)
    (A):前記インクAの明度L
    (B):前記インクBの明度L
  9. 前記データ記憶手段には、さらに、前記インクセットの各インクの明度データが格納され、
    前記インクC構成手段は、さらに、前記明度データから、前記L (A)および前記L (B)を導出する明度導出手段と、
    導出された前記G(AB)、前記L (A)および前記L (B)に基づき、前記凝集度データから、前記条件(II)を満たす前記インクCを構成するインクを選択する明度選択手段とを含む請求項8記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記インクC構成手段において、前記条件(I)を満たす前記インクCが複数存在する場合、さらに、下記条件(III)を満足するように、前記複数のインクCから一つのインクCを選択する請求項7〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
    条件(III):前記インクAと前記インクCとの色差ΔE(AC)および前記インクBと前記インクCとの色差ΔE(BC)の少なくとも一方の色差ΔEが、最小となる。
  11. 前記インクAおよび前記インクBの少なくとも一方のインクが、黒顔料を含む水性黒色インクを含む請求項7〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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