JP5088966B2 - 多結晶シリコンの製造方法及び多結晶シリコン製造用の反応炉 - Google Patents

多結晶シリコンの製造方法及び多結晶シリコン製造用の反応炉 Download PDF

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本発明は、多結晶シリコンの製造方法及び該多結晶シリコンの製造方法を行うための反応炉に関するものであり、更に詳しくは、太陽電池用高純度多結晶シリコンを製造するための多結晶シリコンの製造方法及び該多結晶シリコンの製造方法を行うための反応炉に関するものである。
近年の太陽電池の普及に伴い、多結晶シリコンの需要は急増している。従来、高純度の多結晶シリコンを製造する方法としてシーメンス法(Siemens Method)が挙げられる。シーメンス法はトリクロロシラン(SiHCl)を水素(H)によって還元する方法である。シーメンス法により製造される多結晶シリコンは純度がイレブン−ナイン(11−N)と非常に高く、半導体用シリコンとして使用されている。太陽電池用シリコンもこの半導体用シリコンとして製造された製品の一部を使用してきたが、11−Nほどの純度を必要としない点とシーメンス法が多くの電力を消費する点から、太陽電池用シリコンに適した安価な製造方法が求められている。
このような中、太陽電池用シリコンの製造方法として、亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造方法が提案されており、その反応は下記式(1):
SiCl + 2Zn = Si + 2ZnCl (1)
により示すものである。
亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造方法では、製造される多結晶シリコンの純度はシックス−ナイン(6−N)程度であり、半導体用シリコンに比べると純度は低いものの、シーメンス法と比較して5倍程度にも達する程反応効率に優れ且つ製造コストも有利な製造方法である。
多結晶シリコンの製造方法としては、例えば、反応容器内で液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元し、生成した多結晶シリコンと塩化亜鉛とを含有する混合物を反応容器外に取り出し、前記混合物を分離容器に収容し、混合物中の塩化亜鉛を分離してのち、多結晶シリコンを分離容器から回収することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法(特許文献1)や、反応容器内で液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元し、生成した多結晶シリコンと塩化亜鉛とを含有する混合物を反応容器外に取り出してのち、前記混合物中の塩化亜鉛を分離して、多結晶シリコンを回収する高純度シリコンの製造方法であって、分離された塩化亜鉛を電気分解して金属亜鉛と塩素を回収し、回収された金属亜鉛を再び前記四塩化珪素の還元剤として用いるとともに、回収された塩素を水素と合成させて塩化水素とし、前記四塩化珪素を生成するための金属シリコンの塩化処理に用いることを特徴とする高純度シリコンの製造方法(特許文献2)が報告されている。
特許文献1および2はいずれも液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元している。しかし、溶融亜鉛を用いる方法では、多結晶シリコンが粉状となり、後処理の煩雑さや不純物処理の難しさ及びキャスティングの困難さのために高コストになるという問題がある。
そこで、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気を用いて亜鉛還元法を行うシリコンの製造方法としては、例えば、鉛直方向に立設された反応管に加熱しながら反応管の側周面に設けられた亜鉛蒸気供給口より亜鉛蒸気を供給するとともに、四塩化珪素蒸気を前記亜鉛蒸気供給口よりも下方から反応管の中心軸に沿って上方に向かって吐出させて、反応管内の温度分布を側周面側よりも中心軸側のほうが低くなるようにしてシリコン粉を製造する方法が報告されている(特許文献3)。
また、反応容器内に珪素化合物供給配管と亜鉛供給配管を有し、反応容器内の整流部材を通してシリコンを含む反応生成ガスを反応容器外に排出するシリコン製造装置も報告されている(特許文献4)。
特許文献3、4はともにシリコンを含む反応生成ガスを反応容器外に排出するもので、得られるシリコンはシリコン粉である。ところが、粉状のシリコンはインゴット製造のために溶融する際、非常に熔解し難いという問題に加え、単位重量当たりの表面積が大きいことから純度が低くなり利用価値が乏しいという問題があった。
このため、得られるシリコンの形状としてはある程度の大きさを有する針状又はフレーク状が好ましい。針状又はフレーク状のシリコンを製造する方法としては、例えば、高純度四塩化珪素及び高純度亜鉛をそれぞれ気化させて、ガス化雰囲気において反応を行うことにより、製品として取り出すシリコンの多くが針状又はフレーク状である太陽電池用高純度シリコンの製造方法が報告されている(特許文献5)。
特許文献5では、反応炉の内部に通電可能なタンタル芯またはシリコン芯を有し、この芯棒の温度を反応温度よりも上げることで反応炉よりも芯棒に針状、フレーク状のシリコンを析出させるものである。
特開平11−011925号公報(特許請求の範囲) 特開平11−092130号公報(特許請求の範囲) 特開2009−107896号公報(特許請求の範囲) 特開2009−167022号公報(特許請求の範囲) 特開2004−018370号公報(特許請求の範囲)
ところが、特許文献5では、タンタル芯又はシリコン芯を用いることにより、生成するシリコンをこれらの芯に析出させることはできるものの、反応炉の炉壁にもシリコンが析出してしまう。
そして、バッチ工程を繰り返すような亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造においては、1バッチ終了後に反応炉の炉壁にシリコンが析出した場合、次のバッチ工程を行う前に、炉壁からシリコンを取り除く必要があるが、炉壁に析出したシリコンを分離することは困難であるため、炉壁が傷ついたり、破損したりするということや、シリコンの除去に時間がかかり、製造効率が低下するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、反応炉の炉壁への多結晶シリコンの析出を防ぐことが可能な亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造方法及び反応炉を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、反応炉内に、内挿容器を設置し、その中に四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気とを供給して反応を行えば、反応炉の炉壁への多結晶シリコンの析出を防ぐことが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンを生成させる多結晶シリコンの製造方法であって、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を反応炉内に設置されている内挿容器の上部から該内挿容器内に供給し、該内挿容器の下部から排出ガスを排出して、該内挿容器内で四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気の反応を行うことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンを生成させる反応炉であって、該反応炉内に内挿容器が設置されており、該反応炉の上部に該内挿容器内に四塩化珪素蒸気を供給する四塩化珪素蒸気の供給管及び該内挿容器内に亜鉛蒸気を供給する亜鉛蒸気の供給管を有し且つ該反応炉の下部に排出ガスの排出管を有することを特徴とする多結晶シリコン製造用の反応炉を提供するものである。
本発明によれば、反応炉の炉壁への多結晶シリコンの析出を防ぐことが可能な亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造方法及び反応炉を提供することができる。また、本発明によれば、1つのバッチ工程が終了した後、内挿容器(炭化珪素棒が設置されている場合は、内挿容器及び炭化珪素棒)を反応炉の外に取り出し、別の内挿容器(炭化珪素棒が設置されている場合は、内挿容器及び炭化珪素棒)を設置すれば、直ぐに、次のバッチ工程を行うことができるので、生産効率が高くなる。
本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉の形態例を示す模式的な端面図である。 図1中の内挿容器を示す端面図である。 四塩化珪素蒸気の供給管及び亜鉛蒸気の供給管の設置位置及び形状の形態例を示す模式図である。 四塩化珪素蒸気の供給管及び亜鉛蒸気の供給管の設置位置及び形状の形態例を示す模式図である。 本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉のうち、内挿容器内に炭化珪素棒が設置されている形態例を示す模式的な端面図である。 図5中の内挿容器と炭化珪素棒とを示す端面図である。 本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉のうち、内挿容器内に炭化珪素棒が設置されている形態例を示す模式的な端面図である。 本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉のうち、内挿容器内に炭化珪素棒が設置されている形態例を示す模式的な端面図である。 本発明の多結晶シリコンの製造方法により得られる多結晶シリコンを示す模式図である。
本発明の多結晶シリコンの製造方法及び本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉について、図1〜図4を参照して説明する。図1は、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉の形態例の模式的な端面図である。また、図2は、図1中の内挿容器を示す端面図であり、垂直方向に切ったときの端面図である。また、図3及び図4は、四塩化珪素蒸気の供給管及び亜鉛蒸気の供給管の設置位置及び形状の形態例を示す模式図であり、図3の(3−1)及び図4は、四塩化珪素蒸気の供給管及び亜鉛蒸気の供給管を上側から見た時の図であり、図3の(3−2)は垂直方向に切ったときの端面図である。なお、図3及び図4では、説明の都合上、反応炉の内挿容器、四塩化珪素蒸気の供給管及び亜鉛蒸気の供給管のみを記載した。
図1中、反応炉20は、縦長の円筒形状を有する側壁部1と、該側壁部1の上下を塞ぐ蓋部2(2a、2b)と、該反応炉20を加熱するためのヒーター5と、からなる。該反応炉20内には、側面が円筒形状であり底面が円形の内挿容器13が設置されている。該反応炉20の上部には、該内挿容器13内に四塩化珪素蒸気9を供給するための四塩化珪素蒸気の供給管7及び該内挿容器13内に亜鉛蒸気10を供給するための亜鉛蒸気の供給管8が付設されている。該反応炉20の下部には、該内挿容器13内から排出される排出ガス11を反応炉の外に排出するための排出管6が付設されている。該反応炉20には、該反応炉20内に窒素ガス16を供給するための窒素ガス供給管151が付設されている。なお、該側壁部1と該蓋部2とは、例えば、それぞれのつば部の間にシール材を挟み込み、つば部同士をボルト締めすること等により、密閉されている。
図2に示すように、該内挿容器13の上側には、円板状の内挿容器の蓋部18が設置されており、該内挿容器の蓋部18には、四塩化珪素蒸気の供給管の挿入口21と、亜鉛蒸気の供給管の挿入口22が形成されている。該内挿容器13の下部には、該内挿容器13内から該排出ガス11を排出するための排出口17が形成されている。
該側壁1の内壁に形成されている炉内つば部12に引っ掛けるようにして、窒素ガス管の固定部材4が設置されており、該窒素ガス管の固定部材4には、該窒素ガス供給管151が固定されている。
該四塩化珪素蒸気の供給管7の一端は、該内挿容器13の内部に位置し、他端は、四塩化珪素の蒸発器に繋がっている。また、該亜鉛蒸気の供給管8の一端は、該内挿容器13の内部に位置し、他端は、亜鉛の蒸発器に繋がっている。また、該排出管6は、排出ガス11、すなわち、四塩化珪素と亜鉛が反応する際に生成する塩化亜鉛ガス及び未反応ガスである四塩化珪蒸気及び亜鉛蒸気を回収するための回収装置に繋がっている。
該反応炉20を用いる多結晶シリコンの製造方法について説明する。先ず、該ヒーター5により該反応炉20を加熱しておき、四塩化珪素及び亜鉛をそれぞれの蒸発器により気化させて、四塩化珪素蒸気9を四塩化珪素蒸気の供給管7から、亜鉛蒸気10を亜鉛蒸気の供給管8から、該内挿容器13内に供給しつつ、排出ガス11を該排出管6から、該反応炉20の外へ排出する。このとき、該内挿容器13内では、四塩化珪素と亜鉛が反応して、多結晶シリコンが生成し、該内挿容器13内で、生成した多結晶シリコンが析出する。そして、該内挿容器13の上部から四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給し、該内挿容器13の下部から該排出ガス11を排出しているので、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気は、該内挿容器13の上部から下向きに移動しており、これらの原料蒸気が下降しながら、該内挿容器13内で反応して多結晶シリコンの結晶が成長する。また、四塩化珪素と亜鉛の反応により、塩化亜鉛も生成するが、塩化亜鉛ガスは、未反応の四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気と共に、排出ガス11として、該排出管6から外へ排出される。
四塩化珪素と亜鉛の反応を行っている間、窒素ガス16を該窒素ガス供給管151から該反応炉20内に供給し、該排出管6から排出することにより、該内挿容器13の周囲の雰囲気を窒素雰囲気にする。
すなわち、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉は、四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンを生成させる反応炉であって、該反応炉内に内挿容器が設置されており、該反応炉の上部に該内挿容器内に四塩化珪素蒸気を供給する四塩化珪素蒸気の供給管及び該内挿容器内に亜鉛蒸気を供給する亜鉛蒸気の供給管を有し且つ該反応炉の下部に排出ガスの排出管を有することを特徴とする多結晶シリコン製造用の反応炉である。
該反応炉内は1,000℃程度の温度となるため、該反応炉の材質としては、透明石英、不透明石英などの石英、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられ、強度面からは、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、また、コスト面からは、石英が好ましい。また、反応炉の構造等によっては、反応時の加熱温度に耐えられるのであれば、該反応炉の材質としては、特に制限されない。また、該反応炉の壁部と蓋部が、異なる材質であってもよい。
該内挿容器の材質としては、透明石英、不透明石英などの石英、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられ、寿命や析出した多結晶シリコンを取り除く際に取り扱い易い点で、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、また、コスト面からは、石英が好ましい。
該反応炉及び該内挿容器の形状は、該反応炉内の該内挿容器の上部から該内挿容器内に供給された四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気が、該内挿容器の上部から下部に向かって下向きに移動しながら反応するような形状、すなわち、縦長の形状である。言い換えると、該反応炉及び該内挿容器の形状は、原料蒸気及び排出ガスが、該反応炉内の該内挿容器の上部から下部に向かって流れる形状である。
該反応炉の大きさは、特に限定されないが、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気の供給条件によって、適宜選択される。一般的には、好ましくは、該反応炉の縦方向の長さは、1,000〜6,000mmであり、円筒形状の場合、直径が200〜2,000mmである。また、該内挿容器の大きさは、該反応炉の側壁を損傷することがない程度で、該反応炉の内に収まる大きさであれば、特に制限されない。
該反応炉では、該四塩化珪素蒸気の供給管及び該亜鉛蒸気の供給管が、該反応炉の上部に付設される。また、該排出管は、該反応炉の下部に付設される。そして、該反応炉では、該反応炉内に設置されている該内挿容器内で原料蒸気の下方向の流れが形成され、該内挿容器内で四塩化珪素と亜鉛の反応を起こさせることができるような位置(上下方向の位置)に、該四塩化珪素蒸気の供給管及び該亜鉛蒸気の供給管と、該排出管とが付設される。なお、図1では、該四塩化珪素蒸気の供給管7及び該亜鉛蒸気の供給管8は、該内挿容器の蓋部18から該内挿容器の内部へと挿入されている旨記載したが、他には、例えば、該四塩化珪素蒸気の供給管7及び該亜鉛蒸気の供給管8が、該内挿容器13の側面から内部へと挿入されていてもよい。
該四塩化珪素蒸気の供給管及び該亜鉛蒸気の供給管の形状及び配置であるが、例えば、図3の(3−1)に示すように、該四塩化珪素蒸気の供給管及び該亜鉛蒸気の供給管の水平部が直線上に並ぶようにし、(3−2)に示すように、供給管の先をL字形状にして、供給管の出口を下向きにする形態例が挙げられる。また、図4に示すように、該四塩化珪素蒸気の供給管及び該亜鉛蒸気の供給管の水平部が直線上に並ばないようにする形態例が挙げられる。図4に示す形態例では、該四塩化珪素蒸気及び該亜鉛蒸気は、該内挿容器内を旋回するように移動する。
該反応炉の側壁の周囲には、ヒーターが設置される。該ヒーターとしては、電気ヒーターが好ましい。
図1では、該側壁部1の上側には、該炉内つば部12が形成され且つ該窒素ガス管の固定部材4が設置されている旨記載したが、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉においては、該窒素ガス管の固定部材4を使用しない場合は、該炉内つば部12は形成されていなくてもよい。
また、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉においては、該反応炉の側壁と該内挿容器との隙間に窒素ガス等の不活性ガスを流すことにより、該反応炉の側壁と該内挿容器との隙間に、該排出ガスや該内挿容器内へ供給されるべき原料蒸気(四塩化珪素蒸気、亜鉛蒸気)等が漏れ出さないようにすることができる。
本発明の多結晶シリコンの製造方法は、四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンを生成させる多結晶シリコンの製造方法であって、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を反応炉内に設置されている内挿容器の上部から該内挿容器内に供給し、該内挿容器の下部から排出ガスを排出して、該内挿容器内で四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応を行うことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法である。
本発明の多結晶シリコンの製造方法を行うための反応炉としては、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉が挙げられる。
四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を用いる亜鉛還元法による多結晶シリコンの製造においては、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気が、反応炉内で激しく撹拌されると、直径が3μm以下の細粒状の多結晶シリコンが生成するが、このような細粒状の多結晶シリコンは、充填密度が低く溶融に時間がかかる。一方、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気とが、該反応炉内で穏やかに接触すると、好ましくは線速5cm/秒以下の速度で接触すると、樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンが生成するが、このような樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンは、細粒状の多結晶シリコンに比べ、溶融し易く、溶融時間が短くなる。そのため、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気が、該内挿容器内で激しく撹拌されないような条件、すなわち、直径が3μm以下の細粒状の多結晶シリコンが生成し難い条件で、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を、該内挿容器内に供給する。つまり、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンが生成し易い原料蒸気の供給条件で、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を、該内挿容器内に供給する。樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンが生成し易い原料蒸気の供給条件は、該反応炉及び該内挿容器の大きさ等により、適宜選択される。
四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の供給量比率(モル比)は、四塩化珪素蒸気:亜鉛蒸気=0.9:2〜1.2:2であり、好ましくは1:2〜1.2:2であり、特に好ましくは1:2〜1.1:2である。また、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気は、窒素ガス等の不活性ガスで希釈されていてもよく、その場合、四塩化珪素蒸気の希釈率は、体積割合((四塩化珪素蒸気+不活性ガス)/四塩化珪素蒸気)で、好ましくは1.01〜1.5、特に好ましくは1.05〜1.3であり、亜鉛蒸気の希釈率は、体積割合((亜鉛蒸気+不活性ガス)/亜鉛蒸気)で、好ましくは1.01〜1.3、特に好ましくは1.03〜1.2である。
亜鉛の沸点は、「化学便覧」(日本化学会編)によると907℃であるため、該反応炉内の温度が、亜鉛の沸点である907℃以上になるように、該反応炉を加熱する。該反応炉内の温度は、907〜1,200℃、好ましくは930〜1,100℃である。また、該反応炉内の圧力は、好ましくは0〜700kPaG、特に好ましくは0〜500kPaGである。上記範囲に反応条件を設定することで、安定的に多結晶シリコンを析出させることが可能となる。
そして、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を下向きに移動させて、該内挿容器内で四塩化珪素と亜鉛の反応を行い、該内挿容器内に多結晶シリコンを析出させ、結晶を成長させる。
また、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、図1に示すように、窒素ガス等の不活性ガスの供給管を該反応炉に付設して、不活性ガスを該反応炉内に供給することができる。本発明では、不活性ガスを該反応炉内への供給することにより、該反応炉内に外気が侵入するのを防止すると共に、不活性ガスを該反応炉の側壁と該内挿容器との隙間に流し、該排出ガスが該反応炉の側壁と該内挿容器との隙間に漏れて、多結晶シリコンが該反応炉の側壁に析出するのを防止することができる。また、本発明の多結晶シリコンの製造方法において、不活性ガスの供給管を該反応炉に付設して、不活性ガスを該反応炉内に供給する場合、図1に示すように、該反応炉20の上側の該蓋部2aから不活性ガスを供給し、該排出ガス11として該排出管6から不活性ガスを排出してもよいし、他には、例えば、該反応炉20の上側の該蓋部2aに付設した複数の不活性ガス供給管により不活性ガスを供給してもよいし、あるいは、該反応炉20の上側の該蓋部2a及び該反応炉20の下側の該蓋部2bに付設した不活性ガス供給管により不活性ガスを供給してもよい。
本発明の多結晶シリコンの製造方法では、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気の供給を止めることにより、多結晶シリコンの製造を終了する。該反応炉を冷却した後、内部に多結晶シリコンが析出した該内挿容器を、該反応炉の外に取り出す。例えば、図1の形態例では、該四塩化珪素蒸気の供給管7や該亜鉛蒸気の供給管8等の付設部材を外した後、該反応炉20の下側の該蓋部2bを開け、該側壁部1の下側から、該内挿容器13を取り出す。そして、析出した多結晶シリコンを該内挿容器内から掻き出して、多結晶シリコンを得る。
多結晶シリコンを掻き出した後の該内挿容器は、再び、本発明の多結晶シリコンの製造方法にて、使用される。また、再使用する前に、該内挿容器を、純水又は塩酸、硝酸、フッ化水素酸等の酸などで洗浄してもよい。
また、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉は、該内挿容器内に多結晶シリコンを析出させるための析出棒が設置されていてもよい。該析出棒としては、例えば、炭化珪素棒、窒化珪素棒、タンタル棒、シリコン棒が挙げられ、好ましくは炭化珪素棒である。
本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉のうち、該内挿容器内に析出棒として炭化珪素棒が設置されている形態例について、図5〜図8を参照して説明する。なお、以下では、該内挿容器内に析出棒が設置されていない形態例と異なる点のみ説明し、同様な点については省略する。図5、図7及び図8は、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉のうち、内挿容器内に炭化珪素棒が設置されている形態例を示す模式的な端面図である。図6は、図5中の内挿容器と炭化珪素棒とを示す端面図であり、水平方向に切ったときの端面図である。なお、説明の都合上、図6では、内挿容器及び炭化珪素棒のみを記載した。
図5に示す形態例は、該炭化珪素棒を窒素ガス管の固定部材の上部から挿入することにより、該炭化珪素棒を該内挿容器内に設置する形態例である。図5に示す反応炉30aでは、炭化珪素棒3は、窒素ガスの固定部材4及び内挿容器の蓋部18に開けられている挿入口を通して、内挿容器13内に上から下に向けて突き出すようにして、該内挿容器13内に設置されている。なお、該炭化珪素棒3は、該窒素ガス管の固定部材4に固定されていてもよく、該内挿容器の蓋部18に固定されていてもよい。
図7に示す形態例は、該炭化珪素棒を該内挿容器の底に固定することにより、該炭化珪素棒を該内挿容器内に設置する形態例である。図7に示す反応炉30bでは、内挿容器13の底に、炭化珪素棒3が固定されている。なお、該炭化珪素棒3は、該内挿容器13内で下から上に向けて突き出すようにして、該内挿容器13内に設置されている。
図8に示す形態例は、該炭化珪素棒を、内挿容器の蓋部に固定し、該内挿容器内に設置する形態例である。図8に示す反応炉30cでは、炭化珪素棒3は、内挿容器の蓋部18に固定されており、内挿容器13内に上から下に向けて突き出すようにして、該内挿容器13内に設置されている。
該析出棒は、該反応炉内に設置される。該析出棒の形状としては、角柱状、円柱状が好ましく、特に、円柱状が好ましい。該析出棒の形状が円柱状の場合、該析出棒の直径は、強度や加工面から、1〜20cmが好ましく、2〜10cmが特に好ましい。また、該内挿容器の蓋部18の下側から該排出管6の上側の間に存在する該炭化珪素棒の長さは、50〜1,200mmが好ましく、100〜1,100mmが特に好ましく、200〜1,000mmが更に好ましい。
該析出棒のうち該炭化珪素棒は、炭化珪素の成形体であるが、通常、炭化珪素の成形体は、多数の細孔を有する多孔質体である。そして、該炭化珪素棒は、多孔質の炭化珪素にシリコンが含浸されているシリコン含浸炭化珪素棒であることが、含浸されているシリコンが、反応により生成する多結晶シリコンの結晶の種となり、炭化珪素棒への多結晶シリコンの析出を促進できる点で好ましい。該シリコン含浸炭化珪素棒では、炭化珪素:含浸シリコンの質量比が、80:20〜95:5であることが好ましく、80:20〜90:10が特に好ましい。該シリコン含浸炭化珪素棒は、多孔質の炭化珪素棒を、溶融シリコン中に浸漬し、溶融シリコンを炭化珪素の孔に含浸させることにより得られる。
また、シリコンが含浸されていない多孔質の炭化珪素棒であっても、該内挿容器内に設置され、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応が行われた場合、反応の初期の段階では、炭化珪素棒の外側近傍の多孔質構造内で、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気との接触が起こり、そこでシリコンが生成するので、炭化珪素棒の外側近傍は、孔内にシリコンが含浸されているのと同様な状態になる。そのため、シリコンが含浸されていない多孔質の炭化珪素棒でもよく、特に、該炭化珪素棒が繰り返し使用される場合は、シリコンが含浸されていない多孔質の炭化珪素棒は、繰り返し使用により、シリコンが含浸されている多孔質の炭化珪素棒と同様な状態になる。
該析出棒の設置本数は、1本であっても、2本以上であってもよい。また、該炭化珪素棒の設置位置は、特に限定されない。例えば、該炭化珪素棒(析出棒)が4本の場合、図6に示すように、該炭化珪素棒3は、該内挿容器13の中心を中心とする円弧上に、等間隔に設置されることが好ましい。なお、該析出棒の設置本数及び設置位置は、原料蒸気の供給条件等の反応条件、反応炉の大きさ等により、多結晶シリコンが効率よく析出するように、適宜選択される。
該反応炉30a、該反応炉30b及び該反応炉30cを用いる多結晶シリコンの製造方法について説明する。先ず、該ヒーター5により該反応炉30a、30b、30cを加熱しておき、次いで、四塩化珪素及び亜鉛をそれぞれの蒸発器により気化させて、四塩化珪素蒸気9を四塩化珪素蒸気の供給管7から、亜鉛蒸気10を亜鉛蒸気の供給管8から、該内挿容器13内に供給しつつ、排出ガス11を排出管6から、該反応炉30a、30b、30cの外へ排出する。このとき、該内挿容器13内では、四塩化珪素と亜鉛が反応して、多結晶シリコンが生成するが、該内挿容器13内には、該炭化珪素棒3が設置されているので、生成した多結晶シリコンが、該炭化珪素棒3に析出する。そして、該内挿容器13の上部から四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を供給し、該内挿容器13の下部から該排出ガス11を排出しているので、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気は、該内挿容器13の上部から下向きに移動しており、その流れに沿うように該炭化珪素棒3が存在しているので、該炭化珪素棒3を覆うように、多結晶シリコンの結晶が成長する。また、四塩化珪素と亜鉛の反応により、塩化亜鉛も生成するが、塩化亜鉛ガスは、未反応の四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気と共に、排出ガス11として、該排出管6から外へ排出される。
本発明の多結晶シリコンの製造方法では、該内挿容器内に析出棒を設置して、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応を行いつつ、生成する多結晶シリコンを該析出棒に析出させてもよい。
本発明の多結晶シリコンの製造方法のうち、該内挿容器内に析出棒を設置して、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応を行いつつ、生成する多結晶シリコンを該析出棒に析出させる形態例について説明する。なお、以下では、該内挿容器内に析出棒を設置せずに、該内挿容器内で四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応を行う形態例と異なる点のみ説明し、同様な点については省略する。
本発明の多結晶シリコンの製造方法のうち、該内挿容器内に該析出棒を設置して、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応を行いつつ、生成する多結晶シリコンを該析出棒に析出させる形態例を行うための反応炉としては、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉のうち、該内挿容器内に該析出棒として炭化珪素棒が設置されている形態例、例えば、該反応炉30a、該反応炉30b及び該反応炉30cが挙げられる。
本発明の多結晶シリコンの製造方法に係る該析出棒及び該炭化珪素棒は、本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉に係る該析出棒及び該炭化珪素棒と同様である。
本発明の多結晶シリコンの製造方法では、該析出棒として、ヒータが内装されているものを1本又は2本以上使用し、該析出棒を加熱してもよい。その際、該反応炉内に設置されている析出棒の全てを加熱してもよいし、一部を加熱してもよい。また、該析出棒の加熱開始時期は、多結晶シリコンが該析出棒への析出を開始する前、つまり、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気の供給前であってもよく、あるいは、該析出棒にある程度の多結晶シリコンが析出してからでもよい。
そして、本発明の多結晶シリコンの製造方法では、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を下向きに移動させて、該内挿容器内で四塩化珪素と亜鉛の反応を行い、多結晶シリコンを生成させながら、該析出棒を、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気の流れに沿うように存在させることで、該析出棒に、多結晶シリコンを析出させる。
本発明の多結晶シリコンの製造方法が終了すると、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気の供給を止め、該反応炉を冷却した後、内部に多結晶シリコンが析出した該内挿容器及び表面に多結晶シリコンが析出した該析出棒を、該反応炉の外に取り出す。そして、該内挿容器内に析出した多結晶シリコンを掻き出し、該析出棒に析出した多結晶シリコンを該析出棒から掻き落して、多結晶シリコンを得る。例えば、図5の形態例では、該四塩化珪素蒸気の供給管7や該亜鉛蒸気の供給管8等の付設部材を外した後、該反応炉30aの上側の該蓋部2aを開け、該側壁部1の上側から、該炭化珪素棒3を取り出し、該反応炉30aの下側の該蓋部2bを開け、該側壁部1の下側から、該内挿容器13を取り出す。あるいは、該炭化珪素棒3が、該内挿容器の蓋部18に固定されており、該窒素ガス管の固定部材4に固定されていない場合には、該四塩化珪素蒸気の供給管7や該亜鉛蒸気の供給管8等の付設部材を外した後、該反応炉30aの下側の該蓋部2bを開け、該側壁部1の下側から、該炭化珪素棒3及び該内挿容器の蓋部18ごと該内挿容器13を取り出す。また、図7の形態例では、該四塩化珪素蒸気の供給管7や該亜鉛蒸気の供給管8等の付設部材を外した後、該反応炉30bの下側の該蓋部2bを開け、該側壁部1の下側から、該炭化珪素棒3が固定されている該内挿容器13を取り出す。また、図8の形態例では、該四塩化珪素蒸気の供給管7や該亜鉛蒸気の供給管8等の付設部材を外した後、該反応炉30cの下側の該蓋部2bを開け、該側壁部1の下側から、該炭化珪素棒3及び該内挿容器の蓋部18ごと該内挿容器13を取り出す。
該析出棒のうち多結晶シリコンを掻き落した後の該炭化珪素棒は、再び、本発明の多結晶シリコンの製造方法にて、使用される。また、再使用する前に、該炭化珪素棒を、純水又は塩酸、硝酸、フッ化水素酸等の酸などで洗浄してもよい。
このようにして、本発明の多結晶シリコンの製造方法により得られる多結晶シリコンは、亜鉛を還元剤に用いて製造されるため、亜鉛を含有する。本発明の多結晶シリコンの製造方法により得られる多結晶シリコン中の亜鉛含有量は、0.1〜100質量ppm、好ましくは0.1〜10質量ppm、特に好ましくは0.1〜1質量ppmである。多結晶シリコン中の亜鉛含有量が、上記範囲内であることにより、6−N以上の高純度の多結晶シリコンインゴットを製造することができる。なお、多結晶シリコンの純度の分析は高周波誘導プラズマ発光分析法(ICP−AES)により求められる。その分析方法は、以下に示す通りである。
得られた多結晶シリコン1.5gに、38%フッ化水素酸16mlと55%硝酸30mlを加えて、完全に溶解させた後、蒸発乾固させる。次いで、1%硝酸5mlで定溶し、ICP−AES(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製IRIS Advantage/RP型)により不純物濃度を測定して、多結晶シリコンの純度を算出する。
また、本発明の多結晶シリコンの製造方法により得られる多結晶シリコンの主な形状は、樹枝状、針状又は板状であり、直径が3μm以下の細粒状ではない。本発明の多結晶シリコンの製造方法では、樹枝状又は針状にシリコンの結晶が成長するので、大きな樹枝状又は針状のものに成長するが、得られる多結晶シリコン中には、大きな樹枝状又は針状のものの他に、板状になるものや、小さな樹枝状又は針状のものもあり、また、該内挿容器内から掻き出す際、該炭化珪素棒から掻き落す際に樹枝状又は針状のものが砕けて、小さな樹枝状又は針状となったものもある。該樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンの大きさは、好ましくは100μm以上、特に好ましくは500μm以上、更に好ましくは1,000μm以上である。そして、該樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンとしては、50質量%以上が100μmメッシュサイズのスクリーンを通過しない樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンであることが好ましく、50質量%以上が500μmメッシュサイズのスクリーンを通過しない樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンであることが特に好ましい。なお、該樹枝状とは、図9の(9−1)に示すような、幹部31と該幹部31から伸びる枝部32とからなる形状であり、また、該針状とは、図9の(9−2)に示すような、略直線に伸びた形状であり、また、該板状とは、鱗片状、フレーク状等の略平面方向に広がった形状である。また、該樹枝状の該枝部32から更に分岐して結晶が伸びている形状もある。また、該樹枝状、針状又は板状の多結晶シリコンの大きさとは、樹枝状の場合は結晶の最も長い部分の長さ(図9の(9−1)では符号33aの長さ)を指し、針状の場合は結晶の長さ(図9の(9−2)では符号33bの長さ)を指し、板状の場合は結晶の最も長い径を指す。
本発明の多結晶シリコンの製造方法及び本発明の多結晶シリコン製造用の反応炉によれば、該内挿容器が該反応炉内に設置されているので、該反応炉の側壁への多結晶シリコンの析出を防ぐことができる。
該内挿容器内に該炭化珪素棒を設置する形態例の場合、炭化珪素は、硬い材料であるため、製造工程の終了後、該炭化珪素棒から、多結晶シリコンを掻き落すときに、該炭化珪素棒が壊れない。そのため、該炭化珪素棒の再使用が可能である。また、炭化珪素はシリコンと膨張係数が近いため、反応終了後に冷却する際に、収縮量の違いによる炭化珪素棒の破壊が起こり難い。また、該炭化珪素棒の存在により、該炭化珪素棒への析出が促進されるため、多結晶シリコンの収率が高くなり、また、多結晶シリコンを取り出し難い該内挿容器へのシリコンの析出が少なく、多結晶シリコンを分離し易い該炭化珪素棒に多く析出するので、析出した多結晶シリコンの回収時間が短くなり、製造効率が高くなる。また、炭化珪素は、黒色又は暗緑色の材料であるため、反応炉内の輻射熱を吸収し易く、多結晶シリコンの収率が高くなる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
下記反応炉において、亜鉛蒸気の供給管から930℃に加熱して気化させた亜鉛蒸気を窒素ガスと共に反応炉内に導入し、四塩化珪素蒸気の供給管から930℃に加熱して気化させた四塩化珪素蒸気を反応炉内に設置された内装容器内に供給しつつ、反応炉内を930℃、炭化珪素棒の加熱温度を1,000℃にして、四塩化珪素を74g/分の速度で、亜鉛を50g/分の速度で供給し、四塩化珪素と亜鉛の反応を行った。
<反応炉(図1の形態例)>
反応炉:内径300mm×長さ2,500mmの石英製反応管を使用
内挿容器:内径260mm×長さ1,700mmの蓋部を有する内挿容器を使用、炭化珪素製
四塩化珪素蒸気供給管と亜鉛蒸気供給管の垂直方向の位置関係:同一高さ
四塩化珪素蒸気供給管と亜鉛蒸気供給管の水平方向の位置関係:図4に示す位置関係
反応炉出口の排出管内径:100mm
排出管の位置:排出管6の下側が反応炉の下側の蓋部2bの上面より700mm上側
窒素ガスの供給量:10NL/分
そして、40時間反応を行った後、冷却した。次いで、内挿容器を反応炉の外に取り出し、次のバッチ用の内挿容器を設置し、次バッチの準備を行った。このとき、内挿容器の取り出しを開始してから、次バッチの準備が完了するまでの時間は、およそ1時間であった。また、内挿容器を取り出した後、反応炉の側壁を目視にて観察したところ、シリコンの析出は観察されなかった。
また、取り出した内挿容器内に針状の多結晶シリコンが析出していることが確認された。次いで、内挿容器から多結晶シリコンを掻き出して、多結晶シリコンを得た。多結晶シリコンの収率は、供給原料に対し64%であり、多結晶シリコンの純度は6−Nであった。
(実施例2)
下記反応炉を用いる以外は、実施例1と同様に行った。つまり、炭化珪素棒を内挿容器内に設置すること以外は、実施例1と同様に行った。
<反応炉(図5の形態例で、炭化珪素棒の設置本数が3本の形態例)>
反応炉:内径300mm×長さ2,500mmの石英製反応管を使用
内挿容器:内径260mm×長さ1,700mmの蓋部を有する内挿容器を使用、炭化珪素製
四塩化珪素蒸気供給管と亜鉛蒸気供給管の垂直方向の位置関係:同一高さ
四塩化珪素蒸気供給管と亜鉛蒸気供給管の水平方向の位置関係:図4に示す位置関係
反応炉出口の排出管内径:100mm
排出管の位置:排出管6の下側が反応炉の下側の蓋部2bの上面より700mm上側
炭化珪素棒:シリコン含浸炭化珪素棒、炭化珪素:含浸シリコンの質量比は85:15、外径30mm×長さ1,000mm、本数3本(反応炉の中心を中心とする円弧上に、等間隔に設置)
窒素ガスの供給量:10NL/分
そして、40時間反応を行った後、冷却した。次いで、炭化珪素棒及び内挿容器を反応炉の外に取り出し、次のバッチ用の炭化珪素棒及び内挿容器を設置し、次バッチの準備を行った。このとき、炭化珪素棒及び内挿容器の取り出しを開始してから、次バッチの準備が完了するまでの時間は、およそ1時間であった。また、内挿容器を取り出した後、反応炉の側壁を目視にて観察したところ、シリコンの析出は観察されなかった。
また、取り出した炭化珪素棒の表面及び内挿容器内に針状の多結晶シリコンが析出していることが確認された。次いで、炭化珪素棒から多結晶シリコンを掻き落し、内挿容器から多結晶シリコンを掻き出して、多結晶シリコンを得た。多結晶シリコンの収率は、供給原料に対し64%であり、多結晶シリコンの純度は6−Nであった。なお、炭化珪素棒は、多結晶シリコンを掻き落す際に、破壊されることはなく、再使用可能な状態であった。
(比較例1)
内挿容器を設置しないこと以外は、実施例1と同様に行った。
そして、48時間反応を行った後、冷却した。冷却後、反応炉内に析出したシリコンを反応炉の外に取り出し、次のバッチの準備を行った。このとき、シリコンの取り出しを開始してから、次バッチの準備が完了するまでの時間は、およそ5時間であった。また、反応炉内には、炉壁に付着してシリコンが析出していた。
本発明によれば、反応炉の炉壁に多結晶シリコンが析出し難いため、効率的に多結晶シリコンを製造することができる。
1 反応炉の側壁
2、2a、2b 蓋部
3 炭化珪素棒
4 窒素ガス管の固定部材
5 ヒーター
6 排出管
7 四塩化珪素蒸気の供給管
8 亜鉛蒸気の供給管
9 四塩化珪素蒸気
10 亜鉛蒸気
11 排出ガス
12 炉内壁つば部
13 内挿容器
16 窒素ガス
17 排出口
18 内挿容器の蓋部
20、30a、30b、30c 反応炉
31 幹部
32 枝部
151 窒素ガスの供給管

Claims (8)

  1. 四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンを生成させる多結晶シリコンの製造方法であって、四塩化珪素蒸気及び亜鉛蒸気を反応炉内に設置されている内挿容器の上部から該内挿容器内に供給し、該内挿容器の下部から排出ガスを排出して、該内挿容器内で四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応を行うことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。
  2. 前記内挿容器内に析出棒を設置し、四塩化珪素蒸気と亜鉛蒸気の反応を行いつつ、生成する多結晶シリコンを該析出棒に析出させることを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコンの製造方法。
  3. 前記析出棒が炭化珪素棒であることを特徴とする請求項2記載の多結晶シリコンの製造方法。
  4. 前記炭化珪素棒は、多孔質の炭化珪素にシリコンが含浸されているシリコン含浸炭化珪素棒であり、炭化珪素:含浸シリコンの質量比が80:20〜95:5であることを特徴とする請求項3記載の多結晶シリコンの製造方法。
  5. 四塩化珪素と亜鉛を反応させて多結晶シリコンを生成させる反応炉であって、該反応炉内に内挿容器が設置されており、該反応炉の上部に該内挿容器内に四塩化珪素蒸気を供給する四塩化珪素蒸気の供給管及び該内挿容器内に亜鉛蒸気を供給する亜鉛蒸気の供給管を有し且つ該反応炉の下部に排出ガスの排出管を有することを特徴とする多結晶シリコン製造用の反応炉。
  6. 前記内挿容器内に析出棒が設置されていることを特徴とする請求項5記載の多結晶シリコン製造用の反応炉。
  7. 前記析出棒が炭化珪素棒であることを特徴とする請求項6記載の多結晶シリコン製造用の反応炉。
  8. 前記炭化珪素棒は、多孔質の炭化珪素にシリコンが含浸されているシリコン含浸炭化珪素棒であり、炭化珪素:含浸シリコンの質量比が80:20〜95:5であることを特徴とする請求項7記載の多結晶シリコン製造用の反応炉。
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