JP5087978B2 - 乗客コンベアの移動手摺取替方法 - Google Patents
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Description
移動手摺10自体は図10に示す如く、全体としてC字型の横断面を有し、全体としてT字型の内側スロットを構成し、T字型スロットの周りに延びる芯体層31と、この芯体層31の外部の周りに延び、移動手摺10の外側輪郭を定める化粧層32と、芯体層31の内側面に結合されたスライダー層33と、芯体層31内に延びるスチール製の伸び防止手段としての抗張体34とを備えている。芯体層31、化粧層32は熱可塑性エラストマーが使用されている。
しかし、乗客コンベアが長期間稼働されると、経年劣化等により損傷した移動手摺10を新規のものと交換する必要が生じる。このような場合、従来は無端状の新規移動手摺を乗客コンベア設置現場へ搬入して取り替えるという手法が一般的であった。
すなわち、まず移動手摺製造工場において、直尺状の新規移動手摺を製造してから、これを無端状に接続し、この無端状の新規移動手摺を乗客コンベア設置現場へ搬入する。
そして、乗客コンベア設置現場において、既設移動手摺10を撤去した後、無端状の新規移動手摺を組み込む上で障害となる乗客コンベア構成部品を取り外してから、この新規移動手摺の組み込み作業を行い、組み込み作業終了後に、取り外してあった前記乗客コンベア構成部品をそれぞれ元の位置に取り付けるとともに、これら乗客コンベア構成部品の動作寸法を再調整したり、動作確認試験を行って、新旧の移動手摺の取替作業が完了する。
なお、無端状の新規移動手摺を組み込む際に障害となる乗客コンベア構成部品とは、具体的には、図9に示すように、複数枚の踏板3と、上階および下階の乗降口に設けられているインレットガード40と、上階から下階に亘るすべてのデッキカバー41と、スカートガード42と、インレットガード40に子供が手を入れた場合などに乗客コンベアの運転を停止させるインレットガード安全スイッチ(図示せず)と、乗降口付近でスカートガード42と踏板3間に異物が強く挟まれた場合などに乗客コンベアの運転を停止させるスカートガード安全スイッチ(図示せず)等である。なお、図9中、43は内側板、44はデッキボード、45はランディングプレートである。
また、上記特許文献2には、抗張体としてスチールベルトを使用した方法が記載されているが、既設移動手摺と新規移動手摺を仮接続するために、既設移動手摺を切断後化粧層を一部剥がし、抗張体を剥き出しにした状態で抗張体に仮接続するための穴加工をするため、作業時間の増大を招き、かつ新規移動手摺にも仮接続用の穴加工が必要で、接続後はこの穴部分の強度が低下する恐れがあった。また、これに示された接続金具は、例えばボルトで止める方式やバインド線を使用すると記載されているが、これらの金具が挟圧式移動手摺駆動装置の駆動ローラと圧接ローラ間を通過する際の障害となることがあるので、乗客コンベアに装備されている挟圧式移動手摺駆動装置を移動手摺取替作業に使用することには問題があった。
このように、現地での既設移動手摺の加工が簡便であるので、熟練された加工技術を必要とせず、作業時間の短縮が図れ、また新規移動手摺の抗張体への穴あけ加工が無いので、接続部の強度低下の恐れがない。更に新規移動手摺の加工は全て工場にて事前に完了できるので、現地での複雑な加工を必要としないという効果がある。
以下、この発明の実施の形態1における乗客コンベアの移動手摺取替方法を図1〜図8に基づき説明する。
図1(a)はこの発明の実施の形態1における乗客コンベアの移動手摺取替方法の取替作業の途中の状態を示す側面図、図1(b)は乗客コンベアの移動手摺取替方法を示す斜視図である。
図2において、接続治具本体301は、新規移動手摺20と同じ構造のものを数10cm程度切ったものであって、その一端の301c−301d部は、図に示すように斜めに切り取られている。このように接続治具本体301の一端301c−301d部を斜めに切り取り、斜めに接続することで、周回中の曲げ荷重を分散させることが可能となり、移動手摺周回中の接続部の跳ね上がりを抑えられるという効果がある。
また、接続治具本体301の中央から一端にかけての301a−301b−301c−301d−301a部分は、図2(d)に示す如く除去部境界304より上部の化粧層32及び抗張体34を覆う芯体層31はナイフで取り除く。なお、この時超音波カッター等の熱ナイフを用いると、熱可塑性エラストマーを容易に除去できる。
次に、接続治具本体301の除去部分301a−301b−301c−301d−301a上にカバーウレタン302を被せ、カバーウレタン302の端部を接続治具本体301の中央端部の301a−301b部にのみ溶着する。このようにして、カバーウレタン302の自由端(反溶着端)は、溶着されないので、上部に簡単に跳ね上げることができ、新規移動手摺20との接続・取り外しが容易になるように工夫されている。
接続治具本体301の他端部には、ナット埋め込み用の穴303が4個所開けられている。305は接続治具本体301と旧移動手摺10Aとを接続するための金属板であり、スチール製抗張体34と同じものであってもよい。この金属板305の一半部は、ネジ305aで接続治具本体301の他端部と接続されている。
このネジ305aには頭の低い皿ネジなどを用い、金属板305にはバーニング加工によりネジ305aの頭が金属板305より出ないように工夫されており、化粧層32に座ぐり加工された穴303に挿入されたナットにて固定される。当然ながら移動手摺が挟圧式移動手摺駆動装置6をスムーズに通過できるように、ネジ305a先端は移動手摺表面には出ない長さのものが使用されている。
接続治具本体301は、新規移動手摺20と同じ熱可塑性エラストマーを用いたものとして説明したが、表面層がネオプレン等のゴムを使用したものにおいても、抗張体34としてスチールベルトを使用している場合には、この実施例の方法が使用できることは勿論である。この場合にはカバー302もウレタンである必要はないが、端部301a−301bは接続治具本体301の中央端部301a−301bに融着出来ないので、接着テープで固定し、跳ね上げられるようにしておく必要がある。
図3の如くおおよそ20cmほど抗張体34が剥き出しにされ、さらに10cm程度の区間である201a−201b−201c−201d−201a部は、図3(a)に示すように図2と同様に、化粧層32及び抗張体34上部の芯体層31を取り除く。
新規移動手摺20の端末20Aと反対側の端末(送り込み終端)も対称形状に加工され、更に領域201a−201b−201c−201d−201a部の抗張体34は芯体層31から剥がされる。
まず、既設移動手摺10を、上階の乗降口で切断するという切断工程を行う。
次に新旧の移動手摺10、20の接続方法について説明する。既設移動手摺10の切断部の一端部10Aに、接続治具300の他半部を取り付ける。そのために旧移動手摺10に接続治具300に合わせて穴加工をする。この時ナット埋め込みのために座ぐり加工を施す。この穴にネジ305bを通し、金属板305の他半部に固定する。
次に新規移動手摺20の一端部20Aと接続治具300の一半部を接続する。この新規移動手摺20は予め、上階の乗降口近傍に設置したドラム30に巻き付けて収納しておいたもので、図1(b)の如く下側から引き出される。
図4は移動手摺交換作業時の接続治具装着状態を表す図で、図4(a)は平面図、(b)は側面図である。図の如く新規手摺20Aの抗張体34は、接続治具300の抗張体34と重ね合わせ、抗張体34同士は両面テープで貼り付ける。接続治具300のカバーウレタン302は新規移動手摺20の取り除かれた表面層部分201a−201b−201c−201d−201aにぴったりと合致するので、図4の如く、表面層の接続部201a−201bをテープ307aで接着する。同様に301e−301fはテープ307bで接着する。
なお、図示していないが、カバーウレタン302の側面を、接続治具本体301、及び新規移動手摺20Aとテープで固定する。
なお、新規移動手摺20はドラム30に平巻きに巻回されている。ドラム30は、平巻きなので、重ね巻きよりも横幅寸法が大きくなるが、十分に実用の範囲である。このようにすると、新規移動手摺20を繰り出したドラム30の後に、既設移動手摺10が巻き込まれるようにして巻回されることになるので、1個のドラム30で済むものである。この時既設移動手摺10がドラム30にキチンと平巻きされるように、整列装置(図示せず)を用いると良い。
図5において、新規移動手摺20の両側の抗張体34同士の接合面に接着剤を塗布して(両面テープでもよい)重ね合わせ、その上に新しいカバーウレタン(化粧層)32aを被せて、加熱加圧釜に挿入する。
また、この発明ではドラム30で、新規移動手摺の繰り出し、および旧移動手摺の巻き取りをする方法で説明したが、特許文献1のように、移動手摺の繰り出し、巻き取りを別々のドラムで行ってもよい。
この実施の形態2では、カバーウレタンレスの方法で新規移動手摺20を無端状に接続する方法を示す。
図6は新規移動手摺の両端の加工後の形状を示し、図7に実施の形態2に使用する接続治具の構造を示す。
新規移動手摺20の端部20Aは、同図(c)の404a一404b線に沿って、ダイヤモンドカッター等の極薄刃のカッターで抗張体34の上面すれすれに切り込みを入れ、抗張体34から上部の芯体層31、及び化粧層32を手摺本体から剥がす。この切り込みは401Aa−401Abの線まで入れる。次に401Ac−401Adから先端401Aeまでは、抗張体34以外はすべて除去する。
一方、新規移動手摺20の反対側の端部20Bは、同様に404a−404b線から402Ba一402Bbまで切り込みを入れる。
更に402Bc−402Bd−402Be−402Bf−402Bcの領域は抗張体34より下はすべて除去する。
更に402Bb−402Ba−402Bd−402Bc−402Bbの領域の抗張体34は芯体層31から剥がされる。
このようにして、抗張体34から上部の芯体層31及び化粧層32は一体となって、402Ba−402Bbの所まで上部に跳ね上げることが出来る。
また、402Bc−402Bd、及び401Ac−401Adは接続時合致するように斜めに切断し、跳ね上がりが起きないようにすることは、実施の形態1に述べた通りである。
カバーレス接続治具本体400は新規移動手摺20と同じ構造のものを数10cm程度に切ったものであって、新規移動手摺20の加工と同様手順で、401a−401b−401f−401e−401a領域は抗張体34より下部化粧層を切り込み、かつ抗張体34は芯体層31から剥がす。
401c−401d−401e−401f−401c領域は抗張体34より下部は全て除去する。
このようにして、抗張体34から上部の芯体層31及び化粧層32は一体となって、401a−401bの所まで上部に跳ね上げることが出来る。
接続治具400と新規移動手摺20Aとの接続は、新規移動手摺20Aの抗張体34を接続治具400の抗張体34の下に潜り込ませる。この時両面テープで貼り合わせる。接続治具400の401c−401d−401e−401f−401c領域の化粧層32(芯体層31を一部含む)は新規移動手摺20の端部20Aとピッタリ合致するので、接続治具400の401e−401f及び旧移動手摺10Aと接続治具400の接合部にテープ407a、407bを貼って固定する。なお接合部の手摺側面にもテープ407c、407dを貼った方がよい。
旧移動手摺10が引き出されたら、接続治具400を取り外し、新規移動手摺20の両端同士20Aと20Bを重ね合わせる。この時の接続状態は図8の接続治具400と新規移動手摺20Aの場合と同じなので図示は省略する。
抗張体34同士の問には接着剤を塗布し、加熱加圧釜で接続する。
この例では図から明らかなようにカバーウレタンが不要であることは、特に説明を要しないと思う。
新しい移動手摺の一端部と既設移動手摺の一端部を仮接続して、既設移動手摺を架台内から引き出すと新しい移動手摺が架台内へ送り込まれるようにした乗客コンベアの移動手摺接続方法で、移動手摺の引き出しに既設の乗客コンベアの挟圧式移動手摺駆動装置を用いるので、手摺交換時新しい駆動機構を持ち込む必要がなく、また乗客コンベアが可変速の場合には低速で挟圧式移動手摺駆動装置を制御し安全に新規移動手摺を繰り込み、また乗客コンベアが可変速で無い場合は小容量の仮設の可変速度制御装置を乗客コンベアの電源側に仮接続して低速にすることで、安全で容易に新旧移動手摺を交換することができる。
上記では新旧手摺の繰り込み、繰り出しは挟圧式移動手摺駆動装置を用いたが、人力で実施する事も可能である。
また接続治具には使用済み手摺を流用することも可能であり、廃棄物を減らせる効果も期待できる。カバーレス接続では同一手摺からすべての接続材料を得ることができるため、カバーゴム方式に比べて色あわせの必要がないなどの効果もある。
1A 上部トラス
1B 下部トラス
1C 中部トラス
3 踏板
4 駆動機
4A 駆動チェーン
5 上部踏板鎖歯車
5A ステップリンク
6 挟圧式移動手摺駆動装置
8 下部踏板鎖歯車
10 既設移動手摺
11 移動手摺駆動チェーン
15 手摺ガイドレール
15a ガイドクリップ
20 新規移動手摺
30 ドラム
31 芯体層
32 化粧層
33 スライダー層
34 抗張体
40 インレットガード
41 デッキカバー
42 スカートガード
43 内側板
44 デッキボード
45 ランディングプレート
110 駆動ローラ
111 圧接ローラ
112 ローラ
113 チェーン
300 接続治具
301 接続治具本体
302 カバーウレタン
303 ナット埋め込み用穴
304 除去部境界
305 金属板
305a、305b ネジ
307a、307b テープ
400 接続治具
401 接続治具本体
407a、407b テープ
Claims (9)
- 架台内に設置された駆動手段により、無端状に連結された踏板と同期して駆動され、芯体層、化粧層及び抗張体を備える無端状の既設移動手摺を、新規移動手摺に取り替える乗客コンベアの移動手摺取替方法であって、
前記既設移動手摺を乗降口近傍で切断する工程と、
前記新規移動手摺と同じ芯体層、化粧層及び抗張体を備える構造のものを所定の長さに切り取って接続治具とし、切断した前記既設移動手摺の一端と両端が未接続の前記新規移動手摺の一端とを前記接続治具を用いて接続する工程と、
前記接続治具により接続した後の前記既設移動手摺を、前記架台内に設置され前記駆動手段により駆動される挟圧式移動手摺駆動装置により牽引して該既設移動手摺を前記架台内から引き出すことにより、前記新規移動手摺を前記架台内へと送り込むと同時に前記既設移動手摺を前記架台内を通過して引き出す工程と、
前記既設移動手摺を引き出す工程により、前記架台内から引き出された前記接続治具を、前記既設移動手摺及び前記新規移動手摺から取り外す工程と、
前記接続治具を取り外した後の前記新規移動手摺の両端を、互いに接続して無端状の新規移動手摺を前記架台内に組み込む工程とを備え、
両端の所定距離を化粧層と抗張体を覆う芯体層を除去し、更に前記所定距離の一部は抗張体以外全て取り除き、接続治具と接続されない片側端の抗張体を芯体層から剥がした新規移動手摺を用い、端部の所定距離を化粧層と抗張体を覆う芯体層を除去した接続治具を用い、新規移動手摺の抗張体と前記接続治具の抗張体同士を貼り合わせて接続することを特徴とする乗客コンベアの移動手摺取替方法。 - 新規移動手摺の端部を斜めに切断したことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの移動手摺取替方法。
- 既設移動手摺と接続治具を金属板とボルトで接続することを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの移動手摺取替方法。
- 接続された抗張体の上にカバーを被せることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの移動手摺取替方法。
- カバーの一端が予め接続治具に固定され、前記カバーの固定端と反対側は前記接続治具から跳ね上げられる構造にしたことを特徴とする請求項4記載の乗客コンベアの移動手摺取替方法。
- 熱可塑性エラストマーで構成された新規移動手摺を用い、接続治具を取り外した後、新規移動手摺の抗張体同士を貼り合わせ、熱可塑性エラストマーのカバーを被せ、新規移動手摺接続を加熱加圧釜で行うことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの移動手摺取替方法。
- 架台内に設置された駆動手段により、無端状に連結された踏板と同期して駆動され、芯体層、化粧層及び抗張体を備える無端状の既設移動手摺を、新規移動手摺に取り替える乗客コンベアの移動手摺取替方法であって、
前記既設移動手摺を乗降口近傍で切断する工程と、
前記新規移動手摺と同じ芯体層、化粧層及び抗張体を備える構造のものを所定の長さに切り取って接続治具とし、切断した前記既設移動手摺の一端と両端が未接続の前記新規移動手摺の一端とを前記接続治具を用いて接続する工程と、
前記接続治具により接続した後の前記既設移動手摺を、前記架台内に設置され前記駆動手段により駆動される挟圧式移動手摺駆動装置により牽引して該既設移動手摺を前記架台内から引き出すことにより、前記新規移動手摺を前記架台内へと送り込むと同時に前記既設移動手摺を前記架台内を通過して引き出す工程と、
前記既設移動手摺を引き出す工程により、前記架台内から引き出された前記接続治具を、前記既設移動手摺及び前記新規移動手摺から取り外す工程と、
前記接続治具を取り外した後の前記新規移動手摺の両端を、互いに接続して無端状の新規移動手摺を前記架台内に組み込む工程とを備え、
端部の所定距離を化粧層と抗張体を覆う芯体層を除去し、更に前記所定距離の一部は抗張体以外全て取り除き、反対側の端部の所定距離は化粧層と抗張体の間を切り込み、更に抗張体を芯体層から剥がし化粧層を跳ね上げられる構造とし、更に前記所定距離の一部は抗張体より下部全てを取り除いた新規移動手摺を用い、端部の所定距離は化粧層と抗張体の間を切り込み、更に抗張体を芯体層から剥がし化粧層を跳ね上げられる構造とし、更に前記所定距離の一部は抗張体より下部全てを取り除いた接続治具を用い、新規移動手摺の抗張体と前記接続治具の抗張体同士を貼り合わせて接続することを特徴とする乗客コンベアの移動手摺取替方法。 - 新規移動手摺の端部を斜めに切断したことを特徴とする請求項7記載の乗客コンベアの移動手摺取替方法。
- 熱可塑性エラストマーで構成された新規移動手摺を用い、接続治具を取り外した後、新規移動手摺の抗張体同士を貼り合わせ、新規移動手摺接続を加熱加圧釜で行うことを特徴とする請求項7記載の乗客コンベアの移動手摺取替方法。
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