JP5085353B2 - 金属微粒子担持体の製造方法及び金属微粒子担持体 - Google Patents

金属微粒子担持体の製造方法及び金属微粒子担持体 Download PDF

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Description

本発明は、担体の表面に金属微粒子を担持させる方法及び金属微粒子担持体に関し、詳しくは、電析反応によって半導体又は導体からなる担体表面に金属微粒子を担持する方法、及び略球形の金属微粒子粒子を均一にかつ高密度で担持した金属微粒子担持体に関する。
酸化チタン上にナノサイズの金や白金を担持すると非常に高い触媒活性を示す。表面にナノサイズの金属微粒子を担持した半導体は、触媒のみならず光学デバイス、発光素子、量子ドット、磁気記録媒体など幅広い分野で応用されており、近年では、その触媒活性を向上させるための研究が盛んに行われている。高い触媒活性を発現させるには表面積の拡大が重要であり、担体の表面に、例えば5nm以下のナノサイズ微粒子ができるだけ均一な粒子径で高密度に担持されていることが求められる。したがって、作製した金属微粒子担持体を触媒等として利用するとき、担持金属微粒子のサイズ制御は必要不可欠である。担体表面に金属微粒子を担持させる技術としては、従来では真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどの物理的気相法のほか、液相法がある。真空蒸着を使用した担持方法としては特許文献1があり、液相法による担持方法としては非特許文献1がある。特許文献1のような真空蒸着に代表される物理的気相法では、蒸着量と蒸着時間を制御することで、担持金属のサイズ制御が比較的容易である。非特許文献1では、水を溶媒とする単液相中で光(紫外線)を照射することで光触媒による還元反応を生じさせて、担体表面に金属微粒子を担持させている。
液相法は、真空蒸着など指向性を有する物理的気相法よりも物質拡散の自由度が高く、液相溶媒中を反応物や担持金属、担体が自由に拡散することで担体形状の影響を少なくすることが可能な点において有利である。しかし、単に水のみを溶媒とする単液相中では、自由度の高い溶液反応によって担持金属の凝集や粒成長が活発に起こり、ナノサイズの均一な金属微粒子を担持することは非常に困難であった。特に、例えば粒子径200nm以上の比較的粒子径の大きい担体に超微粒子を担持させる場合は、担体の表面エネルギーの増大によって金属微粒子が凝集し易い。そこで、シアノ基、アミノ基、チオール基などの官能基を有する高分子で担体や担持金属を修飾し、位置の自由度を制御した技術として特許文献2ないし特許文献4がある。また、金属錯体を用いることで、原子レベルで結晶成長を抑制する技術として特許文献5もある。
特開2007−231306号公報 特開平11−253820号公報 特開2007−98197号公報 特開2007−69159号公報 特開平9−122478号公報 Y.Maeda, T. Fujitani, S. Tsubota, M. Haruta, Surface Science, 562 (2004) 1
しかしながら、特許文献1のような物理的気相法は指向性を有することで担体の全面に亘って金属微粒子を均一に担持させには限界があると共に、装置コストが多大につく。特許文献2ないし特許文献5に記載の方法では、担体と担持金属または担持金属同士の物理的接触を断つことで、担持金属の凝集や粒成長を抑制することには成功している。しかし、反応・吸着位置の制御のみのこれらの技術では担持金属の形状やサイズを精密に制御することはできていない。また、一般的にこれらの金属微粒子としては高価な貴金属が使用されるが、同一寸法の担体に同量の金属微粒子を担持させる場合でも、担持金属源の使用量を少なくすることによる、材料コストの低減が工業的に大きな課題ともなっている。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、金属微粒子等の拡散自由度が高い液相法において、担持金属微粒子の形状やサイズを精密に制御しながら、比較的粒子径の大きい担体表面にでも、従来よりも少ない担持金属源の使用量によってナノサイズの金属微粒子を均一に高密度で担持することができる金属微粒子担持体の製造方法と、略球形の金属微粒子粒子を均一にかつ高密度で担持した金属微粒子担持体を提供することを目的とする。
本発明によれば、イオン液体と、該イオン液体と不溶の関係にある液体との2相系を反応溶媒に用い、電析反応により、半導体又は導体からなる担体の表面に金属微粒子を担持させる金属微粒子担持体の製造方法を提案することができる。すなわち、本発明に係る金属微粒子担持体の製造方法は、液相法における還元反応による電析反応によって担体表面に金属微粒子を担持する際に、イオン液体とこれに不溶な液体とからなる2相系溶媒を用いていることを特徴とする。
具体的には、担体を加えたイオン液体及び該イオン液体と不溶の関係にある溶媒としての液体とからなる2相系混合溶媒に、担持金属源を溶解させる工程と、該担持金属源を溶解させた2相系混合溶液中で電析反応を生じさせる工程と、電析反応後に溶媒及びイオン液体を除去する工程と、を有する。担持金属源を溶解させた2相系混合溶液では、金属原子源はカチオン(陽イオン)としてイオン液体と不溶な液体相中に浮遊しており、拡散自由度が高い状態にある。すなわち、イオン液体と不溶な関係にある液体が溶媒となる。また、イオン液体と溶媒としての液体とが相分離して溶媒より比重の高いイオン液体が下層に沈殿しており、当該イオン液体相中に担体が沈殿している。担持金属源を溶解させた2相系混合溶液中で電析反応を生じさせる工程では、各担体がそれぞれイオン液体で被覆されており、還元反応により高イオン伝導性のイオン液体層を透して担持金属カチオンが担体表面に析出し出す。このとき、各担体がイオン液体で被覆されていることで、反応場の位置と共に担体表面に拡散する担持金属カチオンの速度と濃度が制御される。最後に、溶媒及びイオン液体を除去することで、金属微粒子担持体を得ることができる。
電析反応は、担体を光触媒活性を有する半導体としたうえで、光の照射、すなわち光触媒による還元反応によって生じさせることができる。光触媒の光源としては、太陽光と人工光とを問わない。担体(触媒)によっては可視光によっても光触媒が生じるが、好ましくは紫外線である。人工的な紫外線としては、ブラックライトが挙げられる。
または、電析反応を電圧印加による還元反応によって生じさせることもできる。この場合、担体は半導体でも導体でも構わない。
イオン液体と不溶の関係にあり、混合しても相分離する液体としては、水や有機溶媒が挙げられる。ここで、イオン液体には疎水性のイオン液体と親水性のイオン液体とがある。同様に、イオン液体と混合される液体にも親水性の液体と疎水性の液体とがある。本発明では、イオン液体と液体とを混合した際、両者が不溶な関係にあることで2相に分離した2相系の混合溶媒を使用することから、水や親水性の有機溶媒に対しては疎水性のイオン液体を混合し、疎水性の有機溶媒に対しては親水性のイオン液体を混合する。
疎水性イオン液体のアニオン(陰イオン)としては、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)メチリド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチリド、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)メチリド、ビス(トリフルオロアセチル)イミド、ビス(トリフルオロアセチル)メチリドからなる群から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。イオン液体のカチオン(陽イオン)としては、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム、及びこれらのフッ素誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上からなる脂肪族系イオン液体やピリジニウム系イオン液体などがあるが、脂肪族系イオン液体が好ましい。親水性のイオン液体としては、イミダゾリウム系イオン液体がある。
担体は、粒子状、板状、繊維状、チップ状、不定形状など、その形状を問わず表面に金属微粒子を担持できるが、中でも粒子状の担体とすることが好ましい。粒子状の担体には、必ずしもきれいな球形ではなく楕円形や歪な球形のものも含まれる。担持金属としては貴金属が使用される。
また、本発明によれば、半導体又は導体からなる担体粒子の表面に、金属微粒子が担持された金属微粒子担持体であって、担体粒子の粒子径が200nm以上であり、金属微粒子の平均粒子径が5nm以下であり、金属微粒子同士の粒子間距離が、金属微粒子の平均粒子径の3倍以下であり、担体粒子の表面における単位面積あたりに担持された金属微粒子の個数が、3×1016個/m2以上である金属微粒子担持体を提供することもできる。当該金属微粒子担持体における金属微粒子の粒度分布の標準偏差は、金属微粒子の平均粒子径の50%以下となっている。担体粒子が真球でない場合、その粒子径は最も直径の大きい部分とする。
本発明は、電析反応において溶媒としてイオン液体を含む2相系を使用しているので、イオン液体相(正確には担体表面を被覆しているイオン液体層)で担持金属イオンの拡散を制御することができる。これにより、例えば直径200nmを超える比較的粒子径の大きな担体表面に担持させる場合でも、担体のサイズに依存せず担持金属微粒子の形状やサイズを高精度に制御可能となる。つまり、1つの溶媒を加えるという単純な工程で、従来非常に困難だった一桁低いオーダーサイズ(具体的には5nm以下)で、金属微粒子粒子を均一にかつ高密度で担持することが出来る。この場合の金属微粒子は略球形を呈する。表面自由エネルギーの小さいイオン液体で担体及び析出過程の金属微粒子を被覆することで、当該イオン液体が、担体表面に析出した金属微粒子の凝集による粒成長を抑制し、臨界核サイズを小さくすることができる。このとき、イオン液体層は高イオン伝導性を有するので、還元反応が阻害されることはない。これにより、成長核の析出密度が高くなり、担体粒子の表面における単位面積あたりに多くの金属微粒子を担持することができる。したがって、従来法と同量の担持金属源を使用した場合でも、従来法よりも多くの金属微粒子を担持できる。これを換言すれば、担体の表面に同量の金属微粒子を担持させる場合でも、高価な担持金属源の使用量が従来法に比して少なくて済み、材料コストを大幅に削減することができることによる工業的な価値は非常に大きい。
担体として金属酸化物、金属硫化物、又は炭素系物質を使用し、光触媒により担体から生じた電子や電圧印加により担体に生じた電子を還元反応に使う電析法なので、金属を析出させるための還元剤は必要無く、反応過程で塩も生成しない。また、表面修飾種を除去するための加熱等も不要であり、かつイオン液体は再利用も可能なので、エネルギーコストや材料コストも抑えられる。電析反応を光の照射による光触媒で行えば、太陽光をも利用できるクリーンな担持法となる。電圧を印加する場合、担体が導体であれば、その組成、形状、サイズを問わずナノサイズの金属微粒子を担持出来る。
疎水性のイオン液体と親水性の液体(溶媒)とを混合するか、親水性のイオン液体と疎水性の液体(溶媒)とを混合すれば、確実に両者を2相に分離できる。溶媒として水を使用すれば材料コストの面でも有利である。中でも、脂肪族系イオン液体は疎水性が高いので確実に水等と相分離を起こし、高精度な金属微粒子の形状及びサイズの制御が可能となる。粒子状の担体とすれば生産性が高く、かつ得られる金属微粒子担持体も粒子状であり、触媒活性のみならず工業的汎用性も高い。
本発明の製造方法によれば、粒子径200nm以上の担体粒子の表面に対しても、平均粒子径が5nm以下の担持金属微粒子を、当該金属微粒子同士の粒子間距離が平均粒子径の3倍以下で、かつ担体粒子の表面における単位面積あたりに担持された金属微粒子の個数(担持密度)が3×1016個/m2以上の金属微粒子担持体が得られ、高い触媒活性を発現できる。また、粒度分布の標準偏差が平均粒子径の50%以下の均一な粒子径の金属微粒子を担持できる。このように、形状や粒子径などが高精度に制御された均一な金属微粒子を高密度で担持できるので、担持金属源の使用量を従来に比して削減でき、これによる材料コスト低減効果は工業的に大きな意義を有する。
本発明の金属微粒子担持体は、イオン液体(ionic liquid)と、該イオン液体と不溶の関係にある溶媒としての液体との2相系を反応溶媒に用い、電析反応により担体の表面に金属微粒子を担持させることで製造される。
溶媒(液体)としては、従来から液相法で使用されているものであれば特に限定されず、代表的には水がある。また、水の他に有機溶媒を使用することもできる。有機溶媒の具体例としては、例えばアセトン,アセトニトリル,N−N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,酢酸,ブタノール,プロパノール,エタノール,メタノール,ギ酸等の親水性有機溶媒や、ヘキサン,ベンゼン,トルエン,ジエチルエーテル,クロロホルム,酢酸エチル,テトラヒドロフラン,塩化メチレン等の疎水性有機溶媒を挙げることができる。イオン液体との組み合わせによって親水性有機溶媒を使用するか疎水性有機溶媒を使用するかが決まるが、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒とを区別していれば、これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
イオン液体とは、陽イオンと陰イオンのみから構成される塩であるにもかかわらず、常温で液体である一連の化合物の総称であり、常温溶融塩とも呼ばれる。イオン液体には、液相法において好適な高イオン伝導性、高酸化・還元耐性、不揮発性等の特有の特性を有し、他にも高温安定性が高い、液体温度範囲が広いなどの特性を有する。本発明では、上記メインとなる溶媒と不溶な関係にあるイオン液体が使用される。すなわち、水や親水性の有機溶媒に対して使用する場合は、疎水性のイオン液体を使用する。一方、疎水性の有機溶媒に対して使用する場合は、親水性のイオン液体を使用する。
親水性のイオン液体としてはイミダゾリウム系イオン液体があり、具体的には、1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム塩などが挙げられる。具体的には、1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイドや1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(L)−乳酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(以下、EMI−BF4という)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(以下、BMI−BF4という)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(L)−乳酸塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライドなどが挙げられる。1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム塩としては、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイドや1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトラフルオロホウ酸塩、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩などが挙げられる。これら親水性のイミダゾリウム系イオン液体は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
疎水性のイオン液体としては、脂肪族系イオン液体やピリジニウム系イオン液体等がある。この場合、アニオン(陰イオン)としては、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)メチリド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチリド、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)メチリド、ビス(トリフルオロアセチル)イミド、ビス(トリフルオロアセチル)メチリドなどを挙げることができ、これらからなる群から選ばれる1種又は2種以上を適宜使用できる。これに組み合わされるイオン液体のカチオン(陽イオン)としては、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム、及びこれらのフッ素誘導体を挙げることができ、これらからなる群から選ばれる1種又は2種以上を適宜使用できる。
具体的には、脂肪族系イオン液体として、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、TMPA−TFSIということがある)やN−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロホウ酸塩などを挙げることができる。また、ピリジニウム系イオン液体としては、エチルピリジニウム塩やブチルピリジニウム塩、ヘキシルピリジニウム塩などが挙げられる。具体的には、エチルピリジニウム塩としては、1−エチルピリジニウムブロマイドや1−エチルピリジニウムクロライドが挙げられ、ブチルピリジニウム塩としては、1−ブチルピリジニウムブロマイドや1−ブチルピリジニウムクロライド、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩などが挙げられ、ヘキシルピリジニウム塩としては、1−ヘキシルピリジニウムブロマイドや1−ヘキシルピリジニウムクロライド、1−ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩などを挙げることができる。これらの中でも、疎水性の高い脂肪族系イオン液体が好ましく、脂肪族系イオン液体の中でもTMPA−TFSIが好ましい。
本発明では、担体から生じた電子や担体に生じた電子を還元反応に使うことで、担体表面に担持金属を析出(電析)担持させている。電析の手段としては、2相系混合溶液に電圧を印加したり、光の照射による光触媒活性を利用できる。電圧を印加した場合は、担体に電子が生じる。一方、光を照射した場合は、担体から電子が生じる。光触媒により還元反応を行うための光源としては、代表的には波長約380nm以下の紫外線が挙げられるが、触媒によっては波長400〜600nm程度の可視光でも可能である。紫外線を照射する場合の光源としては、人工的なブラックライトでもよいし、太陽光でもよい。
その表面に金属微粒子を担持する担体としては、光触媒活性を示す金属化合物からなる半導体や、導体たる炭素系物質が使用される。光触媒活性を示す半導体としては、チタン、亜鉛、スズ、タングステン、バナジウム、カドミウム、鉄、インジウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等の金属酸化物や、カドミウム、亜鉛、鉛、タングステン、インジウム等の金属硫化物や、バリウム、ストロンチウム、ナトリウム等のチタン酸塩や、カドミウム、亜鉛、鉛、タングステン等のカルコゲナイド系半導体を挙げることができる。具体的には、金属酸化物系半導体として、TiO2、ZnO、SnO2、WO3、V25、CdO、Fe23、In23、ZrO2、KTaO3、SrTiO3、Nb25、ZrOなどがある。金属硫化物系半導体として、CdS、ZnS、PbS、WS3、In23、ZnxCd(1-x)S、CdSxSe(1-x)などがる。カルコゲナイド系半導体として、CdSe、ZnSe、CdTe、ZnTe、PbSe、WSe3などがある。チタン酸塩として、BaTi49、SrTiO3、Na2Ti613などがある。これらの中でも、二酸化チタンが代表的である。これらの担体となる半導体の中では、酸化物系半導体(金属酸化物)と硫化物系半導体(金属硫化物)が好ましく、酸化物系半導体がより好ましい。また、これら半導体の結晶構造は特に制限されない。例えばTiO2の場合には、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型、アモルファス型があるが、いずれであってもよいし、単独または2種以上の組み合わせでもよい。炭素系物質としては、活性炭、グラファイト、炭素繊維、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブなどがある。なお、担体は、粒子状、板状、繊維状、チップ状、不定形状など、その形状を問わず表面に金属微粒子を担持できる。中でも粒子状の担体とすることが好ましい。
上記担体となる半導体の表面に担持される金属としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、タングステン()、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、珪素(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、などが挙げられる。中でも、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムなどの貴金属が好ましい。より好ましくは金又は白金である。
上述のように、本発明では、担体からもしくは担体に生じた電子を還元反応に使うことで、担体表面に担持金属微粒子を電析させている。したがって、担持金属カチオンの還元準位よりも高いエネルギー順位に伝導帯の下端を有する半導体を担体とすることで、当該担体表面に担持金属が担持されることになる。そこで、光触媒により担持金属微粒子を電析させる場合、担体としての上記半導体と上記担持金属との組み合わせは、このようなエネルギー順位を満たす関係とする。一方、担持金属イオンの還元準位よりも高いエネルギー順位に伝導帯の下端を有する半導体以外、例えば導体を担体とする場合は、担体に電圧を印加することで上述のような、エネルギー順位の関係を満たす。
次に、製造手順について説明する。図1に、本発明に係る製造方法の模式図を示す。本発明における製造手順は、大きく分けて、担体を加えた、溶媒とイオン液体とからなる2相系混合溶媒に担持金属源を溶解させる工程と(工程A)、該担持金属源を溶解させた2相系混合溶液中において、電圧印加もしくは光照射により還元反応を行う電析工程と(工程B)、還元反応により担体表面に金属微粒子を析出させた後、溶媒及びイオン液体を除去する工程(工程C)とからなる。以下には、担体粒子を使用した場合を例に挙げて説明する。
[工程A]
まず、メインとなる溶媒(例えば水)に、担体となる半導体又は導体を添加する。担体は、粉砕など公知の方法により粒子化して添加する。溶媒に添加された担体粒子は、溶媒に溶融することなく沈殿する。担体粒子の粒子径は少なくとも100nm以上、好ましくは200nm以上、より好ましくは300nm以上とする。従来、担体粒子の粒子径が100nm未満になると、個々の担体粒子の表面に担持される金属微粒子担持体の粒子径は小さくなるが、担体粒子の粒界で担持金属微粒子が凝集し易く平均的な金属微粒子担持体の粒子径は大きくなる。本発明では、イオン液体を使用していることでこのような問題はないが、本金属微粒子担持体を光触媒などに応用する場合、担体粒子の粒子径を小さくすると表面積が増える半面、吸収される光は指数関数的に減少し、材料としての強度も減少していく。そこで、光吸収などの光学特性のサイズ依存や担体粒子の結晶構造の安定性等を鑑みて、担体粒子の粒子径を100nm以上とする。また、担体粒子の粒子径が大きいと粒界は相対的に少なくなるが、個々の担体粒子の表面に担持される金属微粒子が凝集し易く、担体表面に超微細サイズかつ整った形状で均一に担持させることが困難となる。一般的に、担体粒子の粒子径が200nm以上では、担持金属微粒子の形状及び粒子径の制御は困難であるといわれており、担体粒子の粒子径が300nm以上では担持金属微粒子の形状及び粒子径の制御が極めて困難となる。しかし本発明では、詳細は後述するが、担体粒子のサイズ(粒子径)による悪影響が少なく、比較的粒子径の大きい担体の表面にでも、担持金属を整った形状かつ超微細なナノサイズで均一に担持できるという大きな効果を有する。したがって、担体粒子の粒子径が300nm以上でも、上記のような問題は生じない。担体粒子の粒子径の上限は特に制限されない。装置的に可能である限り、極端に言えば直径数mレベルの担体にも金属微粒子を担持できる。
溶媒への担体粒子の添加量は特に限定されず、その粒子径や生産性などによって適宜変更することができるが、担体粒子との配合比を考慮しながら添加される担持金属の拡散自由度や溶解度が阻害されない範囲とすることが好ましい。例えば、担体粒子の密度にもよるが、溶媒1lに対して、担体粒子の添加量23g以下もしくは2.2ml以下を目安とすればよい。これより担体粒子の添加量が多いと、良好な反応場を確保し難くなる場合もある。担体粒子の添加量の下限は特に規定されないが、溶媒が無駄に多い場合は生産効率が悪化するので、溶媒1lに対して担体粒子の添加量を0.1g以上を目安とすればよい。
次いで、担体粒子を添加した溶媒に、これと不溶な関係にあるイオン液体(例えば水に対して疎水性のイオン液体)を混合する。このとき、担体粒子が溶媒中で凝集していることもあり、イオン液体を混合する前に、超音波などによって凝集した担体粒子を分離しておくことが好ましい。イオン液体は溶媒と比べて比重が高く、かつ両者が不溶な関係にあることで、イオン液体は溶媒の下層域に沈殿分離され、2相系の溶媒となる。このとき、メインとなる溶媒中に沈殿していた担体粒子もイオン液体相中に取り込まれる。
または、イオン液体に所定量の担体粒子を添加した後に、所定量の溶媒を混合してもよい。
イオン液体の添加量は、担体粒子の添加量に応じて適宜決定される。個々の担体粒子がイオン液体で被覆され、これにより担持金属が担持されるときの形状や粒子径が制御されるからである。具体的には、担体粒子0.1μlに対して10〜200μlとする。イオン液体の添加量が担体粒子1mgに対して10μl未満では、個々の担体粒子を被覆するイオン液体の層厚みが小さくなって、担持金属の形状及び粒子径の制御を的確に行えなくなる。一方、イオン液体の添加量が担体粒子1mgに対して100μlより多くても、イオン液体は高イオン伝導性により反応場を阻害することは少ないが、添加量に対して担持金属制御効果は向上せず、コストの無駄になる。好ましくは担体粒子0.1μlに対して20〜150μl、より好ましくは30〜100μlである。また、上記イオン液体の添加量との関係から、個々の担体粒子がイオン液体で被覆された際のイオン液体層の厚みは、0.01〜1.5μmが好ましい。その理由は上記と同様である。より好ましくは0.1〜1.2μm、さらに好ましくは0.5〜1.0μmである。また、イオン液体の粘度は20〜650Pが好ましく、50〜200Pがより好ましい。イオン液体の粘度が650Pより高いと、イオン伝導性が低下する。一方、イオン液体の粘度が20Pより低いと、個々の担体粒子の表面に良好に存在(被覆)し難くなる。
イオン液体を添加した後、溶媒相とイオン液体相とに確実に分離されるまで静置する。所定時間静置してイオン液体相と溶媒相とが確実に上下に分離されたところで、担持金属源を添加する。担持金属源は、溶媒に可溶な化合物溶液の形で添加する。担持金属源がカチオンとして存在し、かつイオン液体と反応しないイオン結合性の溶液であれば、アニオン組成は問わない。例えば金を担持させたい場合、水、アルコール、エーテルに可溶な塩化金酸(テトラクロロ金酸、HAuCl)を添加し、塩化金酸溶液として添加する。他にも、担持金属源に応じて塩化白金酸溶液、硝酸銀溶液、硫酸銅溶液などを適時利用することができる。溶媒に可溶な化合物として添加された担持金属は、溶媒中でカチオンとして自由拡散している(図1(a)参照)。
担持金属源(カチオン)の添加量に関し、従来では担体粒子の添加量に対して1〜3重量%とすることが一般的であった。これに対し、2相系の反応溶媒を用いる本発明では、イオン液体が担持金属源(カチオン)濃度の調整層として機能するため、厳密な担持金属源(カチオン)の添加量の制御を必要としない。しかも、詳細は後述するが、本発明では従来法よりも少ない担持金属源の使用量で、従来法よりも多くの金属微粒子を担持できる。したがって、担持金属源の添加量は、担体粒子の添加量に対して0.1重量%程度以上とすればよい。担持金属源の添加量が担体粒子の添加量に対して0.1重量%より少ないと、電析反応の速度が遅くなり、上述のエネルギー順位とイオン液体種によってはイオン液体の電気分解が起こる場合がある。担持金属源の添加量の上限は、担体粒子の添加量に対して20重量%程度とすればよい。担持金属源の添加量が担体粒子の添加量に対して20重量%より多いと、電析反応の速度が過度に早くなり、通常の光源や電子源を用いた場合に担持金属のサイズ制御が困難になる場合がある。担持金属源の添加量は、担体粒子の添加量に対して好ましくは0.2〜5.0重量%であり、より好ましくは0.3〜1.0重量%である。
[工程B]
次いで、担持金属源を溶解させた2相系混合溶液中において、還元反応により金属微粒子を電析させる工程Bに移行する。このとき、2相系混合溶液を静置状態で電析させることもできるが、確実に個々の担体粒子をイオン液体で被覆し、かつイオン液体で被覆された担体粒子を溶媒相中に分散させることで、各担体粒子の表面に均一な反応場を確保できるよう、2相系混合溶液を撹拌しながら電析させることが好ましい。2相系混合溶液の撹拌は、磁気撹拌子、撹拌羽根の回転、反応装置自体をクランクにより左右あるいは上下に振盪することによる撹拌など、反応系のサイズに適した撹拌法を使用しればよい。もちろん手動で行ってもよい。また、2相系混合溶液の温度を上げることで担持金属カチオンの拡散を増大させることができ、さらに光電析の場合は、光源を種々の方向から照射することで、静置状態でも攪拌と同様の効果を得ることが出来る。上下2相に分離された混合溶液を撹拌すると、溶媒の下層域に沈殿していたイオン液体相中の担体粒子が、溶媒中に分散される。同時に、イオン液体は個々の担体粒子を被覆する形で多数に分割され、各担体粒子とともに溶媒中を分散し(図1(b)参照)、混合溶液は白濁する。電析反応は、イオン液体で被覆された担体粒子が分散している2相系混合溶液に電圧を印加したり、光を照射することで行う。担体粒子が導体であれば、電析は電圧印加により行う。一方、担体粒子が半導体であれば、電圧印加により電析させたり光照射により光電析させたりできる。なお、電圧印加や光照射は撹拌と同時に行ってもよいが、所定時間撹拌して確実にイオン液体で被覆された個々の担体粒子を溶媒中に分散させてから行うことが好ましい。光を照射する場合、太陽光を照射可能な環境であれば太陽光を照射することが好ましいが、例えば密閉容器(機器)内で行う場合はブラックライトを使用すればよい。
電圧を印加した場合、陽極とした担体には電子が生じる。また、光を照射した場合は、光触媒活性を示す半導体からなる担体が光を吸収することで励起電子が生じる。この担体からもしくは担体に生じた電子が、高イオン伝導性のイオン液体を介して、溶媒中を自由拡散している担持金属カチオンに還元することで、担体表面に金属微粒子が析出する。このとき、担体表面を被覆するイオン液体によって、担持金属カチオンの凝集及び析出位置の偏在が抑制される。また、析出する担持金属微粒子の形状も均一化される。
担持金属微粒子の粒子径は、イオン液体の種類と濃度、および担持金属源(カチオン)の濃度による制御のほかに、従来の電析法と同様に、印加電圧や光の強さ、及び印加や照射時間によって制御できる。例えば、直径200nmのアナターゼ型酸化チタン粒子に平均粒子径5nm以下の金微粒子を担持させたい場合は、波長360nmにピークを持つ強度10mW/cmの紫外光を10秒〜5分程度照射すればよい。
ここで、光電析を例に挙げて金属微粒子析出のメカニズムについて詳説する。図1(a)に示すごとく担体粒子1、溶媒2、及び不溶関係にあるイオン液体3が同一の容器内にある2相系混合溶液10の場合、クーロン相互作用により、担体粒子1は溶媒2より強い極性を有するイオン液体3と強く引き合う、また、より担体との界面自由エネルギーの低いイオン液体3に取り込まれ、イオン液体3と共に沈殿する。これを攪拌すると、図1(b)に示されるように、担体粒子1の表面にイオン液体3がコーティングされた状態で溶媒2中に拡散すると考えられる。これに紫外線を照射すると、溶媒2中を自由拡散していた担持金属カチオン4は、担体粒子1を被覆するイオン液体層3を透過して担体粒子1の表面に到達し、図1(c)に示すように担持金属微粒子5が析出する。この状態における担体粒子1表面の拡大模式図を図2に示す。なお、図2中、符号7はカチオン、符号8はアニオンを示す。
光触媒反応の速度は現在までの研究では完全には解明されてはいないが、反応物の濃度に大きく依存していると考えられる。この場合、担体粒子の表面に光電析される担持金属微粒子の総量は、担体粒子の表面近傍に存在する担持金属カチオンにより決まる。反応開始前には全ての担持金属カチオンは溶媒中に存在している。この状態で担体粒子とイオン液体との界面と、イオン液体と溶媒との界面との間には、イオン液体を挟んで濃度勾配が存在する。従来、このような濃度勾配がある系の拡散は、定温・定圧を前提とし、外部からの強制的な攪拌などはないと仮定して、Fickの式で記述されてきた。正確にいえば「拡散係数」あるいは「拡散度」という、拡散量と濃度勾配(推進力)との間の比例定数で反応を定式化してきた。しかし、現実の反応系では変動的な熱拡散や圧力拡散に、攪拌による強制的な拡散も加わる。濃度勾配が、担持金属カチオンを物質拡散させ、担体粒子の表面で析出反応させるための大きな原動力であることは間違いないが、より平均的な濃度分布の違いについて定義する。つまり、イオン液体や溶媒中の局所的な濃度分布ではなく、平均的なイオン液体中の担持金属カチオン濃度と溶媒中の担持金属カチオン濃度との違いを定義する。イオン液体が、拡散過程において担持金属カチオンの拡散速度に直接関係し、担持金属微粒子のサイズを制御していると推考される。
担持金属カチオンが溶媒中を拡散する速度uは、


で示され、同一のイオンの場合では粘度に反比例する。そのためイオン液体の粘度が溶媒より大きい場合は、平衡状態において溶媒相よりも少量の担持金属カチオンしか存在できない。つまり、担持金属カチオンの濃度は、溶媒相よりもイオン液体相の方が小さい。
また、両相における担持金属カチオン濃度の比率は、図2に示すような担体粒子の表面にイオン液体の被膜層が形成されている状態において、溶媒相中の担持金属カチオン濃度をC、イオン液体相中の担持金属カチオン濃度をCとすると、


で表され、ネルンストの分配律より、分配比Dは定温・定圧の条件下では常に一定となる。そのため、光触媒反応による担持金属カチオンの還元反応に伴うCの減少は、イオン液体相と平衡状態にある溶媒相からの、担持金属カチオンの供給によって補われる。この効果により、担体粒子と接するイオン液体相の担持金属カチオン濃度は、イオン液体を添加しない単相の場合と違い、一定の状態を保つことができる。つまり、担体粒子表面の担持金属カチオン濃度を非常に低い一定の値に保つことが可能となる。担持金属微粒子が析出する際に、担持金属微粒子を5nm以下の非常に小さいナノサイズで析出しやすい状態に制御されることになる。
次に、イオン液体が行う粒成長の抑制機構について説明する。本発明において好適に使用される貴金属の成長機構は、Volmer-Weberの成長機構(VWモード)と称される。VWモードとは、図3(a)に示すように、成長の初期段階において担体1の表面に3次元的な核15が複数個形成され、それから図3(b)のように各核15が蒸着量の増加とともに成長し、やがてそれらが互いに合体して連続な膜になる成長様式である。一般的に、ある相の中に新しい相ができる過程を核形成と言う。この現象が均一相の中で起こるときは、均一核形成と言う。一方、異なる相、例えば固体や不純物などの界面において起こるとは、不均一核形成と呼ぶ。本発明において、固体(担体)表面で生じる担持金属カチオンの還元析出反応は、後者に属する。
核形成の理論は、蒸気圧や界面エネルギーなどの巨視的物理量を用い、核形成を熱力学的に取り扱う界面エネルギー理論と、数個の原子からなるクラスターを考え、熱力学的量の代わりにクラスター間あるいはクラスターと基板間の結合エネルギーを用いるクラスター理論で大別される。ここでは、原子的な考えと巨視的物理量を併用した界面エネルギー理論について説明する。この理論の基本的な考え方は、あるクラスターの全自由エネルギーGを考え、そのクラスターに原子が付加されたときGが増加するか減少するかを考察して、クラスターの成長の可否を論ずる。ここでは、クラスターは図4に示すようなcap shapeをしていると仮定する。なお、図4中の各文字を
γ:クラスターの半径
θ:クラスターの接触角
:クラスターの単位体積あたりの自由エネルギー
σ:クラスターと真空の間の表面自由エネルギー
σwater:クラスターと水の間の界面自由エネルギー
σIL:クラスターとイオン液体の間の界面自由エネルギー
σS:クラスターと基板の間の表面自由エネルギー
σi:基板と真空の間の界面自由エネルギー
と置く。クラスターができたための表面自由エネルギーの変化Gsは、(クラスターと真空の境界の面積)+(クラスターと基板の境界の面積)であるから、


で与えられる。Youngの式からσS=σi+σcosθであり、σi−σS=−cosθを数式3に代入して、


が得られる。またクラスターが生じたための体積自由エネルギーの変化Gvは、クラスターの体積が4π3f(θ)/3であるから、


となる。したがって、クラスターの全自由エネルギーは、


で表される。ここで、単位体積あたりの自由エネルギーgvは凝集エネルギーに相当する量なので、負の値をもつ。Gの最大値をG*、最大値を与えるrをr*とおくとdG/dr=0とすることにより、


が得られる。クラスターは半径がr*より大きければ、成長するほどGが小さくなるので成長しやすく、逆にr*より小さければ消滅しやすい。r*の大きさのクラスターを臨界核(criticalnucleus)という。臨界核より大きな核が安定核(stable nucleus)である。ここで、G*は安定核が生成するために必要な活性化エネルギーとみなすことができる。溶媒中の臨界核サイズと活性化エネルギーはクラスターと真空の間の表面自由エネルギーσ0をクラスターと水の間の界面自由エネルギーσwaterやクラスターとイオン液体の間の界面自由エネルギーσILに置き換えることで拡張することができる。図5に、自由エネルギーの変化Gとcapshapeクラスター半径rの関係を示す。
金属種によって表面自由エネルギーが異なるので、臨界核の大きさも異なる。通常、非晶質のガラス基板に白金、金、銀を蒸着した場合、平均粒子径は3nm、5nm、10nm程度にピークを持ってそれぞれ分布する。これらは表面自由エネルギーの相違に起因するものである。本発明では、γIL(担体とイオン液体との界面エネルギー)とγsol(担体とイオン液体以外の反応溶媒の界面エネルギー)、担持金属と各溶媒との界面自由エネルギーのみを考慮すればよい。それらは濡れ性の測定や結合エネルギーから容易に見積もることができる。本発明では、相分離したイオン液体に担体が被覆される条件からγsolよりγILが小さいこと、析出した金属微粒子が小さくなるために、σwaterよりσILが十分に小さいこと、この2つの条件を満たす金属種そしてその金属種が拡散するイオン液体を選択することが前提となる。それにより、析出する金属の臨界核サイズはイオン液体を使用しない場合よりも確実に小さくなる。そして、粘の高いイオン液体によって臨界核サイズ以上の粒子の凝集が抑制されるという副次的な効果も重なり、小さくサイズの揃ったナノ粒子が担持される。
以上、σ0やθといった巨視的物理量を用いて核の安定性を議論する古典的な界面エネルギー理論で、イオン液体による析出金属の臨界核サイズの抑制とサイズ制御について定義した。つまり、本発明は担体をイオン液体で包むことで、担体表面に小さい金属が安定である空間を作り出し、そこにゆっくり一定の濃度で金属が送り込まれる。そのため、従来よりも小さく均一な金属が表面に担持することが出来る。
[工程C]
還元反応によって担体粒子の表面に担持金属微粒子を析出担持できたら、最後に、溶媒とイオン液体とを除去し、金属微粒子担持体を得る。まず、2相系混合溶液を、濾過、フィルタープレス、遠心分離などによって固液分離する。次いで、得られた固体をエタノールなどによって洗浄することで、金属微粒子担持体の表面を被覆しているイオン液体を除去する。次いで、洗浄後の金属微粒子担持体を乾燥することで、本発明に係る金属微粒子担持体を得ることができる。乾燥は、温風乾燥や冷風乾燥のほか、自然乾燥でもよく、自然乾燥の場合は天日干しと日陰干しとを問わない。担持した金属微粒子の凝集抑制に凍結乾燥、超臨界乾燥を利用してもよい。光触媒担体に金属微粒子を光電析した場合は、酸素雰囲気下での紫外照射によって表面に強く吸着したイオン液体を酸化分解することもできる。
このようにして得られた金属微粒子担持体は、高機能光触媒、三元触媒、高分子電解質型燃料電池、単色レーザー、フォトクロミック材、発光素子、量子トランジスター、生体分子マーカー、磁気記録媒体、新規電極材など、幅広い分野で使用できる。小さいサイズの均一な金属微粒子をより高密度で担持されたナノドットは、担持金属源の使用量を大幅に抑制しながら高い活性や機能を発揮させることができる。
[金属微粒子担持体の解析]
実施例として、疎水性のイオン液体と水とからなる2相系混合溶液を使用した光電析法によって、二酸化チタンに金や白金を担持させた金属微粒子担持体を作製した。これに対し、比較例として、水のみを溶媒として使用した光電析法により、実施例と同様の金属微粒子担持体を作製した。実施例及び比較例の具体的な製造方法は、次の通りである。
(実施例1)
TiO(ルチル型)単結晶(フルウチ化学社製)1mgを、粒子径700nm程度に粉砕した。これを、疎水性のイオン液体としてN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TMPA−TFSI)(関東化学社製、化学式C16 FW382.34)50μlに加えた。そこに蒸留水440μlを加えた。HAuCl(Aldrich社製、純度99.9%)水溶液(5.12mmol/l)を10μl加え、重量比でTiO:Au=100:1(TiOの添加量に対してAuの添加量0.99重量%)となるようにした。2相系混合溶液を撹拌しながら3分間紫外光を照射し、金粒子を光電析させた。それをろ過し、エタノールで洗浄することによってイオン液体を取り除いた。最後に、空気中ブラックライト照射下で、24時間、自然乾燥したしたものを実施例1とした。
(実施例2)
TiO(アナターゼ型)単結晶焼結体(石原産業社製、粒子径200nm)1mgを、疎水性のイオン液体としてN,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TMPA−TFSI)(関東化学社製、化学式C16 FW382.34)50μlに加えた。そこに蒸留水440μlを加えた。HPtCl(Aldrich社製、純度99.9%)水溶液(5.12mmol/l)を10μl加え、重量比でTiO:Pt=100:1(TiOの添加量に対してPtの添加量0.99重量%)となるようにした。2相系混合溶液を撹拌しながら3分間紫外光を照射し、白金粒子を光電析させた。それをろ過し、エタノールで洗浄することによってイオン液体を取り除いた。最後に、空気中ブラックライト照射下で24時間、自然乾燥したものを実施例2とした。
(比較例1、比較例2)
溶媒として水のみを使用、すなわちイオン液体を使用していない以外は、上記実施例と同じ条件で金(比較例1)及び白金(比較例2)を担持させた試料を作製した。
[表面観察]
実施例及び比較例の表面を、TEM(透過型電子顕微鏡)によって観察した。TEMとしてTecnai G2 Polaraを用い、加速電圧は300kVで行った。電子線トモグラフィーによる三次元解析は、傾斜角−75°〜76°の範囲で、STEM(走査型透過電子顕)微鏡像を1°間隔、露光時間8秒で取得した。三次元再構成はIMOD3.9.3を用いて行い、得られた断層像から金微粒子の粒子径を測定した。光学特性および有機物の分解活性の評価は紫外可視近赤外分光光度計を用いて行った。図6が比較例1のTEM写真(50000倍)であり、図7が比較例2のTEM写真(200000倍)であり、図8が実施例1のTEM写真(50000倍)であり、図9が、図8の拡大TEM写真(250000倍)であり、図10が実施例2のTEM写真(200000倍)である。
図6及び図7に示すように、水のみで作製した比較例1及び比較例2は、全体的にまばらにしか担体たる酸化チタンの表面に金や白金粒子が析出しておらず、比較例1では50nmを超える大きいサイズの金粒子も存在しているのが確認された。これは、光電析法の際に、担持金属微粒子が凝集したことに起因する。一方、疎水性イオン液体と水との混合相を溶媒として使用した実施例1及び実施例2は、図8乃至図10に示すように、酸化チタンの表面全体に金及び白金粒子が分布しており、粒子径約4nm程度の球形の微粒子が高密度で均一に存在していることが確認できる。 このように、共に700nm程度でほぼ同じ粒子径のTiOを使用した各実施例と各比較例とを比べても、イオン液体を使用した実施例1及び実施例2の方が、担体粒子上に明らかに形状が整い極めて小さいサイズの微粒子が、高密度で均一に析出することが確認できた。
[金微粒子の粒度分布測定]
同一の金微粒子の粒子径を三方向の断面像から測定し、その平均値を粒子のサイズとした。この方法によれば、球形ではない、すなわち歪な形状をしている金微粒子の粒子径も適正な値で測定できる。比較例1の粒度分布を図11に、実施例1の粒度分布を図12に示す。
図11において、比較例1は最大で50nmを超える粒子が存在し、粒子径のバラツキも大きい。比較例1の平均粒子径は18.4nmであり、粒子径分布の標準偏差は10.6nm(平均粒子径に対して57.6%)であった。一方、図12において、実施例1は10nmを超える金微粒子は存在せず、その殆どが5nm以下である。また、粒子径のバラツキが殆ど無く、全体的に均一な粒子径となっていることがわかる。実施例1の平均粒子径は3.7nmであり、標準偏差は0.9nm(平均粒子径に対して24.3%)であった。この結果から、イオン液体の添加によって、担持金属微粒子の形状及び粒子径を高精度で制御できることがわかる。
[光学特性による解析]
TEMやSTEMを用いた解析は、物質のナノ構造を実像として取得できるため局所的な情報を得るための手段としては非常に優れている。しかし、同時に観察できる範囲が絞られてしまうため、マクロな性質を反映し難いという短所がある。そこで、UV−Visを用いた光学特性の評価を行うことで、物質全体からの金粒子の情報を得た。金粒子はStephan Linkらによって粒子径が小さくなるほど短波長側から吸収ピークが検出されることが報告されており、本研究でもその結果に基づいて考察を行った。その解析結果を図13に示す。
図13中の400nm付近のピークの立ち上がりはTiO(ルチル型)を示し、550nm付近のピークは金ナノ粒子を示す。この結果から、比較例1の金のピークは565nm、実施例1の金のピークは544nmで、約20nm程度短波長側から検出されている。これにより、TiOの表面に担持されている金微粒子粒子は、全体的にも実施例1の方が比較例1よりも有意に小さいことがわかる。
[電子線トモグラフィーによる観測]
次に、電子線トモグラフィーによる三次元再構成像から、金属微粒子の平均粒子径、単位面積(1m)あたりの金属微粒子の個数(担持密度)及び重量(担持量)、並びに金属微粒子同士の粒子間距離を求めた。電子線トモグラフィーによる三次元再構成像では、立体情報が復元されているので、金属微粒子間の距離などを精密に測定することができる。その結果を表1に示す。

表1の結果より、比較例1と実施例1、及び比較例2と実施例2とをそれぞれ対比すると、水のみを溶媒とした両比較例1、2よりも、水とイオン液体との2相系溶媒とした両実施例1、2の方が、平均粒子径が小さく、担体粒子の表面における単位面積あたりの個数(担持密度)が多く、金属微粒子同士の粒子間距離は極めて狭くなっている。このように、両実施例1、2では両比較例1、2よりも細かい粒径の担持金属微粒子を高密度で均一に多数担持できるにも関わらず、担持量の対比から、担持金属源の使用量は両比較例1、2よりも少なくて済むことがわかった。
金担持酸化チタンの場合、比較例1は金微粒子同士の粒子間距離が平均粒子径の4.7倍であった。これに対し実施例1は、金微粒子同士の粒子間距離が平均粒子径の1.3倍であった。また、白金担持酸化チタンの場合、比較例2は白金微粒子同士の粒子間距離が平均粒子径の8.5倍であった。これに対し実施例2は、白金微粒子同士の粒子間距離が平均粒子径の2.8倍であった。したがって、本発明を使用した場合のみ、担持金属微粒子間距離は、これの平均粒子径の3倍以下となることが導き出せた。また、イオン液体がカチオンの拡散を制御し、より小さいサイズの金属微粒子を担持することができることの効果として、各実施例における酸化チタン単位面積あたりの金属微粒子の体積(担持量)は、各比較例の半分以下に抑制されていた。したがって、同じ寸法の担体に同量の金属微粒子を担持させたい場合でも、各実施例は各比較例に比べて担持金属源の使用量が少なくてすみ、本発明では従来法よりも材料コストを大幅に削減できることがわかった。
なお、表1の結果からも明らかなように、担持金属が白金の場合は、溶媒として水のみを使用した場合でもある程度白金微粒子のサイズが小さくなる。したがって、通常のTEM観察では、比較例2と実施例2とにおける担持金属微粒子の相違を見出し難い(図7及び図10参照)。そこで、比較例2及び実施例2に関しては、TEM像よりも金属微粒子間の距離などを精密に測定できる電子線トモグラフィーによる三次元再構成像を示す。具体的には、図14に比較例2の電子線トモグラフィーによる三次元再構成像を、図15に実施例2の電子線トモグラフィーによる三次元再構成像をそれぞれ示す。なお、担持金属が金の場合、電子線トモグラフィーにおける分光スペクトルに色の違いが出るが、白金の場合は色の違いもでない。
[有機物の分解活性]
次に、担持金属サイズ制御が物性に及ぼす影響を有機色素(メチレンブルー)分解活性により確認した。図16は、TiO2(アナターゼ型)単結晶焼結体(石原産業社製、粒子径200nm)に水のみで白金担持した比較例2、及び疎水性イオン液体と水との混合相を溶媒として白金担持した実施例2で測定したメチレンブルーの分解活性評価を示す。同時に、参考例として、金属微粒子を担持させていないTiO 2 で測定したメチレンブルーの分解活性評価も示す。指数関数フィッティングによって求めた分解活性は、参考例で0.021、比較例2は0.117であり、実施例2は0.196であった。粒子径2.2nmの白金粒子を高密度に担持した実施例2は、比較例2よりも白金の被覆量が6分の1以下であるにも関わらず、1.6倍以上高いメチレンブルーの分解活性を示した。

製造方法の模式図である。 担体粒子1表面の拡大模式図である。 Volmer-Weberの成長様式の模式図である。 cap shape クラスターである。 自由エネルギーの変化Gとcapshapeクラスター半径rの関係を示すグラフである。 比較例1の50000倍TEM写真である。 比較例2の200000倍TEM写真である。 実施例1の50000倍TEM写真である。 図8の250000倍TEM写真である。 実施例2の200000倍TEM写真である。 比較例1の金微粒子の粒子径分布を示すグラフである。 実施例1の金微粒子の粒子径分布を示すグラフである。 光学特性による解析結果を示すグラフである。 比較例2の電子線トモグラフィーによる三次元再構成像である。 実施例2の電子線トモグラフィーによる三次元再構成像である。 メチレンブルーの分解活性評価を示すグラフである。
符号の説明
1 担体粒子
2 溶媒
3 イオン液体
4 担持金属カチオン
5 担持金属微粒子
7 カチオン
8 アニオン
10 2相系混合溶液

Claims (13)

  1. 担体を加えたイオン液体及び該イオン液体と不溶の関係にある溶媒としての液体とからなる2相系混合溶媒に、担持金属源を溶解させる工程と、
    該担持金属源を溶解させた2相系混合溶液中で電析反応を生じさせる工程と、
    前記電析反応後に前記溶媒及びイオン液体を除去する工程と、
    を有する金属微粒子担持体の製造方法。

  2. 前記担体が、光触媒活性を有する半導体であり、
    前記電析反応を光の照射によって生じさせる、請求項1に記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  3. 前記照射する光が紫外線である、請求項2に記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  4. 前記電析反応を電圧印加によって生じさせる、請求項1に記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  5. 前記イオン液体が疎水性のイオン液体であり、
    前記イオン液体と不溶の関係にある溶媒が水又は親水性の有機溶媒である、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  6. 前記イオン液体のアニオンが、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)メチリド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチリド、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)メチリド、ビス(トリフルオロアセチル)イミド、ビス(トリフルオロアセチル)メチリドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、
    前記イオン液体のカチオンが、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、リジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム、及びこれらのフッ素誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項5に記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  7. 前記イオン液体が脂肪族系イオン液体である、請求項6に記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  8. 前記イオン液体が親水性のイオン液体であり、
    前記イオン液体と不溶の関係にある溶媒が疎水性の有機溶媒である、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  9. 前記イオン液体がイミダゾリウム系イオン液体である、請求項8に記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  10. 前記担体が粒子状を呈する、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  11. 前記担持金属が貴金属である、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の金属微粒子担持体の製造方法。
  12. 半導体又は導体からなる担体粒子の表面に、金属微粒子が担持された金属微粒子担持体であって、
    前記担体粒子の粒子径が200nm以上であり、
    前記金属微粒子の平均粒子径が5nm以下であり、
    前記金属微粒子同士の粒子間距離が、金属微粒子の平均粒子径の3倍以下であり、
    前記担体粒子の表面における単位面積あたりに担持された前記金属微粒子の個数が、3×1016個/m2以上である、金属微粒子担持体。
  13. 前記金属微粒子の粒度分布の標準偏差が、金属微粒子の平均粒子径の50%以下である、請求項12に記載の金属微粒子担持体。
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