以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1乃至図5は、本発明による実施例1の液晶表示装置における主要部の概略構成の一例を説明するための模式図である。
図1は、本発明による実施例1の液晶表示装置におけるバックライトの概略構成の一例を示す模式斜視図である。図2は、実施例1の液晶表示装置の主要部の概略構成の一例を示す模式側面図である。図3は、液晶表示パネルの第2の基板の平面構成の一例を示す模式平面図である。図4は、図3のA−A’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式断面図である。図5は、図3のB−B’線における液晶表示パネルの断面構成の一例を示す模式断面図である。
実施例1の液晶表示装置は、たとえば、図1に示すように、結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2とからなる導光板LGを有する。また、結合部導光板LG1の端部には光源LSが配置されている。光源LSは、たとえば、白色発光ダイオードであり、光源LSが発する光は、強度分布で見た主成分が、導光板LGの長辺方向(y方向)と平行な方向に進行する。
また、結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2との接合部には、反射型偏光板RPを有し、反射型偏光板RPは、光源LSからの光が入射する部分が、導光板LGの長辺に対して垂直ではなく、垂直方向(x方向)に対して斜めに配置されている。また、結合部導光板LG1の端部には、四分の一波長板QWと反射板RFを有し、これらもまた導光板の長辺の垂直方向(x方向)に対して斜めに配置されている。
また、面発光部導光板LG2の底部には、光取出し構造MPが多数設けられており、図1にはその一部を示している。光取出し構造MPは、面発光部導光板LG2内を伝播する光を導光板LGの外側に出射させるためのものである。このとき、光取出し構造MPは、たとえば、図1に示したように、中空でかつプリズム状の突起であり、傾斜面を光源LS側に有し、この傾斜面で反射した光は導光板LGの外側に出射する。光源LSの発光面からその法線方向に発した光(強度分布で見た主成分の光)に着目すると、導光板LG内には、たとえば、第一の光路OP1と第二の光路OP2がある。第一の光路OP1は反射型偏光板RPを通過しており、第二の光路OP2は反射型偏光板RPで反射した後、四分の一波長板QWを通過し、反射板RFで反射し、再び四分の一波長板QWを通過している。本発明の液晶表示装置に用いるバックライトは、このような第一の光路OP1と第二の光路OP2を有することを特徴とする。
また、実施例1では、携帯電話の表示部などに用いられる小型の液晶表示装置に本発明を適用した場合を想定しているため、導光板LG(結合部導光板LG1)の一端に2個の光源LSを配置している。光源LS(発光ダイオード)が発する光は、発光分布に異方性を有し、発光面の法線方向に極大を有するが、発光分布の広がりにより、面発光部導光板LG2の液晶表示パネルと重畳する部分において光源LSからの光の分布はほぼ均一になる。また、導光板LGを伝播する光は、光源LSから遠ざかるにつれて強度が低下する。そのため、光取出し構造MPは、光の強度が大きい光源LSの近傍ではより疎に分布し、光の強度が小さい光源LSから離れた部分ではより密に分布するように配置する。これにより、導光板LGの外側に向けて出射する光の強度を均一化している。
実施例1の液晶表示装置における導光板LGの構成および光源LSからの光の偏光状態の変化に関する詳細な説明は、後述する。
このような導光板方式のバックライトを有する実施例1の液晶表示装置は、たとえば、図2に示すように、面発光部導光板LG2の上側に液晶表示パネルLCPが配置され、面発光部導光板LG2と液晶表示パネルLCPとの間に、液晶表示パネルLCPに近接する側より第一のプリズムシートPS1と第二のプリズムシートPS2が積層されている。第一のプリズムシートPS1および第二のプリズムシートPS2は、導光板(面発光部導光板LG2)の液晶表示パネルLCPと対向する面から出射した光の進行方向を、液晶表示パネル1の平面法線方向(z方向)に向ける機能を有し、それぞれ、液晶表示パネルLCPと対向する面上に、断面が三角錐状で平面分布がストライプ状の突起構造を備える。このとき、第一のプリズムシートPS1における突起構造のストライプは導光板の長辺方向(y方向)に平行であり、第二のプリズムシートPS2における突起構造のストライプは導光板の短辺方向(x方向)に平行である。
なお、実施例1の液晶表示装置では、導光板(面発光部導光板LG2)と液晶表示パネルLCPとの間に配置するプリズムシートを一枚にすることも可能である。プリズムシートを一枚にした場合は、液晶表示パネルLCPに向かう光源光の角度分布が狭くなるが、液晶表示装置全体の厚さを低減できる。また、プリズムシートに設ける突起構造は、導光板と対向する面上に配置することも可能である。また、導光板(面発光部導光板LG2)と液晶表示パネルLCPとの間には、プリズムシートに加えて光拡散板などを積層することも可能であり、光拡散板を配置することにより液晶表示パネルLCPに向かう光源光の角度分布を拡大する効果が得られる。
また、液晶表示パネルLCPは、第一の基板SU1と第二の基板SU2との間に図示していない液晶層があり、第一の基板SU1、液晶層、および第二の基板SU2は、第一の偏光板PL1と第2の偏光板PL2で挟まれている。
実施例1の液晶表示装置における液晶表示パネルLCPは、たとえば、図3乃至図5に示すような構成であり、第一の基板SU1は、液晶層LCLと対向する面上に、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、平坦化膜LL、および第一の配向膜AL1が順次積層されている。
第一の基板SU1は、たとえば、厚さが約0.4mmのホウケイサンガラスでなるガラス基板である。ブラックマトリクスBMは、たとえば、黒色樹脂または遮光性の金属膜をパターニングして形成された遮光膜である。カラーフィルタCFは、たとえば、赤色を呈する顔料を含むレジスト、緑色を呈する顔料を含むレジスト、および青色を呈する顔料を含むレジストの3種類のレジストがあり、1つの画素は、上記3種類のレジストのうちの1つを有する。またこのとき、カラーフィルタCFは、たとえば、走査信号線GLの延在方向(x方向)で連続する3つの画素が、赤色を呈する顔料を含むレジストを有する画素、緑色を呈する顔料を含むレジストを有する画素、および青色を呈する顔料を含むレジストを有する画素になるように配置される。平坦化膜LLは、たとえば、アクリル系樹脂であり、透明性に優れ、下地の凹凸を平坦化すると共に溶液の浸透を防止する機能を有する。第一の配向膜AL1は、たとえば、ポリイミド系の有機高分子膜であり、ラビング法で配向処理されており、近接する液晶層LCLの液晶分子に対して、約1.5度のプレチルト角を付与する水平配向膜である。
一方、第二の基板SU2は、液晶層LCLと対向する面上に、たとえば、走査信号線GL、第一の絶縁膜GIL、映像信号線SL、TFT(Thin Film Transistor)素子、第二の絶縁膜SCIL、共通電極CE、第三の絶縁膜PCIL、画素電極PE、および第二の配向膜AL2が順次積層されている。
第二の基板SU2は、第一の基板SU1と同様にホウケイサンガラス製のガラス基板である。また、第二の配向膜AL2は、第一の配向膜AL1と同様の水平配向膜である。
走査信号線GLと、映像信号線SLおよびTFT素子のソース電極SEとは、それぞれ、たとえば、アルミニウムなどの金属膜をエッチングして形成された配線である。また、TFT素子のゲート電極は走査信号線GLと一体形成されており、ドレイン電極は映像信号線SLと一体形成されている。画素電極PEと共通電極CEとは、いずれもITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜をエッチングして形成された電極であり、層厚は、それぞれ、約80nmである。このとき、共通電極CEは、たとえば、走査信号線GLの延在方向に沿って並んだ複数の画素で共有される帯状の電極である。また、画素電極PEは、コンタクトホールCHによりソース電極SEと接続している。またこのとき、画素電極PEの平面形状は、図3に示したような櫛歯状であり、櫛歯部分の先端に見られる三角形状の平面構造は、外部から押し圧力を加えた際に、異常配向の発生を抑制する機能を有する。
第1の絶縁膜GIL、第二の絶縁膜SCIL、および第三の絶縁膜PCILは、たとえば、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜、あるいは酸窒化シリコン膜などの絶縁膜である。このとき、共通電極CEと画素電極PEとの間に介在する第三の絶縁層PCILの膜厚は、たとえば、約250nmである。
また、液晶層LCLは、室温を含む広い温度範囲でネマチック相を示し、誘電率異方性が正で、かつ高抵抗の液晶材料を用いる。このような液晶材料は、液晶温度範囲が広いことから、使用環境の温度変化が広範に渡るモバイル用途にも適用可能である。また、誘電率異方性が正の液晶材料は、負の液晶材料に比較してより低粘度であるため、後者を用いた場合に比較してより高速応答の表示が可能になる。高抵抗なことから、TFT素子がオフとなる保持期間中における電圧低下が十分に少なく、保持期間中に透過率を維持し、かつフリッカの発生を防ぐことができる。
図3乃至図5に示したような構成の画素を有する液晶表示パネルLCPは、いわゆるIPS(In-Plane Switching)方式であり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差が生じると、画素電極PEと共通電極CEとの間にフリンジ電界と呼ばれるアーチ状の電気力線が形成される。このとき、電気力線は液晶層LCLを通っており、液晶層LCLには、基板平面に対して平行な成分を有する横電界が印加される。これにより、電圧印加時に液晶配向方向が主に層平面内で回転するように変化する。
液晶層LCLの厚さ方向(z方向)に電界を印加するVA(Vertically Aligned)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式などの液晶表示パネルの場合、電界印加に伴う液晶層LCLの配向変化は、液晶分子のチルト角の変化が主であるが、IPS方式の液晶表示パネルではチルト角の変化が少ない。そのため、IPS方式の液晶表示パネルでは、電界印加にともなうリタデーションの実効値の変化が少なく、広い視角範囲において階調再現性に優れた表示が得られる。
また、図3乃至図5に示したような構成の液晶表示パネルLCPの場合、画素電極PEと共通電極CEとが重畳する部分が多数存在するが、この部分は液晶層LCLに対して並列に結合しているため、保持期間中に液晶層LCLに印加される電圧値を一定に保つ透明保持容量として機能する。透明保持容量の電気容量は画素電極PEと共通電極CEの重畳部の面積に比例するとともに第三の絶縁膜PCILの誘電率に比例し、かつ、第三の絶縁膜PCILの膜厚に反比例する。透明保持容量が充分であれば、フリッカや輝度傾斜などの視認性低下に繋がる現象が生じない。
また、第一の基板SU1と第二の基板SU2の間のギャップ(間隙)は、たとえば、第一の基板SU1側に配置した柱状スペーサ(図示しない)によって均一に維持される。柱状スペーサは、たとえば、台形回転体(円錐台形)であり、底辺の直径が約10μmである。第一の基板SU1と第二の基板SU2の間のギャップに液晶材料を真空封入して、前述の液晶層LCLとする。液晶層LCLはホモジニアス配向で、その配向方向は以下のような理由から、走査信号線GLに対して5度傾くように設定する。このとき、電圧印加時の電界方向と配向方向のなす角度が85度と充分に大きいため、電圧印加時に十分な液晶配向方向の回転が生じ、高透過率が得られる。
また、第一の偏光板PL1と第二の偏光板PL2は、それぞれ、配向処理されたヨウ素系色素を含み、その2色性により自然光を偏光に変換する。第一の偏光板PL1および第二の偏光板PL2は、入射した光の吸収率が最大となる方位と最小となる方位を、それぞれ吸収軸と透過軸と呼び、吸収軸と透過軸に平行な偏光成分はそれぞれ吸収成分、透過成分と呼ぶ。第一の偏光板PL1と第二の偏光板PL2は、その平面法線方向から観察したときに互いの吸収軸が直交しており、かつ、第二の偏光板PL2の吸収軸が電界無印加時の液晶配向方向に平行になるように配置する。第一の偏光板PL1と第二の偏光板PL2をこのような配置にすることで、電圧無印加時を暗表示にできる。
なお、実施例1の液晶表示装置における液晶表示パネルLCPは、図3乃至図5に示したような構成のものに限らず、従来の透過型または半透過型の液晶表示装置で用いられてる種々の液晶表示パネルのいずれかであればよい。
図6は、実施例1の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の平面構成の一例および光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。
光は電磁波の一種であるが、液晶表示装置における光と偏光板との相互作用を考える際には、光の電気ベクトルに着目する。電気ベクトルは光の進行方向(等位相面に対して垂直な方向)に対して垂直な面内に存在する。液晶表示装置のバックライトが発する光や、その利用効率について考える際には、光は電気ベクトルの振動方向の異なる光の混合として考えるべきである。これにより、光には以下の2つの極限的な状態が想定される。一つは完全偏光であり、電気ベクトルの振動方向が完全に同一な光である。もう一つは自然光であり、あらゆる振動方向の光が均一に混合した光である。しかしながら、一般に光は部分偏光と呼ばれる完全偏光と自然光の中間の状態、すなわち振動方向の異なる光が不均一に混合した状態であり、たとえば、液晶表示装置に用いられる偏光板を通過した光は完全偏光ではなく、透過成分を主にした完全偏光に近い部分偏光である。このような部分偏光は、単に偏光と呼ぶことが多いので、本明細書でも偏光板を通過した光は偏光と呼んでいる。
実施例1の液晶表示装置における導光板は、結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2とを有し、これらの導光板LG1,LG2の接合部に反射型偏光板RPを介在させている。
反射型偏光板RPには、その内部を通過する可視光の波長の二分の一に厚さが等しい2種類の高分子膜を交互に積層した構成のものを用いた。なお、2種類の高分子膜は、一方が面内の屈折率異方性のある高分子膜であり、他方が屈折率異方性のない高分子膜である。また、屈折率異方性のある高分子膜は、異常光屈折率neまたは常光屈折率noが、屈折率異方性のない高分子膜の屈折率に等しい。このとき、仮に、常光屈折率noが、屈折率異方性のない高分子膜の屈折率に等しいとすると、常光屈折率noに振動方向が平行な偏光に対しては、反射型偏光板RPの内部において常に一定の屈折率となるため、当該偏光成分は反射型偏光板RPを透過する。またこのとき、異常光屈折率neに振動方向が平行な偏光に対しては、反射型偏光板RPの内部において波長と同周期で屈折率が変動するため、当該偏光成分は反射型偏光板RPで反射する。このように、反射型偏光板RPは、振動方向が直交する二つの偏光成分のうちの一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反射する。
また、反射型偏光板RPには、たとえば、ワイヤーグリッド型偏光板を用いることもできる。ワイヤーグリッド型偏光板は、ストライプ状にパターンニングされた金属薄膜であり、ストライプ方向に振動方向を有する偏光成分を反射し、ストライプ方向に垂直な振動方向を有する偏光成分を透過する性質を有する。このとき、ストライプ構造のピッチは、可視領域の波長以下である。ワイヤーグリッド型偏光板を反射型偏光板RPとして用いる場合は、ストライプ構造を導光板平面内に平行になるように配置することにより、P偏光成分を透過し、かつ、S偏光成分を反射することができる。ワイヤーグリッド型偏光板は、たとえば、面発光部導光板LG2の断面(接合面)に直接形成しても良いし、透明樹脂膜上にワイヤーグリッド型偏光板を形成し、これを面発光部導光板LG2の断面に貼り付けてもよい。
光源LSが発した光のうちの最も強度の大きい成分、言い換えると発光面の法線方向(y方向)に向けて発した主成分は、たとえば、図6に示すように、結合部導光板LG1を伝播して反射型偏光板RPに入射する。このとき、光源LSが発する光は、いわゆる自然光であるため、結合部導光板LG1を伝播する光は、P偏光成分とS偏光成分の両方を含む。このP偏光成分とS偏光成分を含む光が反射型偏光板RPに入射すると、入射した光のうちのP偏光成分は透過し、S偏光成分は反射する。反射型偏光板RPを透過したP偏光は、第一の光路OP1で面発光部導光板LG2を伝播し、光取出し構造MPの傾斜面で反射すると液晶表示パネルLCP側に出射する。
なお、P偏光は、導光板内を伝播する光が導光板の外に出射する際に、導光板と空気界面の法線(z軸)と当該界面に入射する光線が作る平面内に振動方向を有する偏光成分であり、S偏光は、P偏光に対して垂直な偏光成分である。S偏光は導光板面内に平行な振動成分からなり、P偏光は導光板面内に垂直な振動成分を含む。
このとき、反射型偏光板RPのうちの、光源LSからの光が入射する部分は、図6に示したように、導光板(面発光部導光板LG2)の長辺方向と垂直な方向(x方向)に対して角度αだけ傾いている。そのため、反射型偏光板RPで反射したS偏光成分は、当該光を発した光源LSの方向ではなく、2個の光源LSの間に配置された四分の一波長板QWに向かい、当該四分の一波長板QWを通過する過程で円偏光(右回りの円偏光CPL1)になって反射板RFに入射する。
この右回りの円偏光CPL1は、反射板RFでした後、再び四分の一波長板QWを通過するが、その過程でP偏光に変換される。四分の一波長板QWおよび反射板RFによりP偏光に変換された光は、反射型導光板RPを透過して第二の光路OP2で面発光部導光板LG2を伝播し、光取出し構造MPの傾斜面で反射すると液晶表示パネルLCP側に出射する。
四分の一波長板QWには、シクロオレフィン系有機高分子を用いた。シクロオレフィン系有機高分子は、二重結合部位が少ないため、近紫外域に吸収を有しない。そのため、シクロオレフィン系有機高分子を用いた四分の一波長板QWは、可視光域における透明度が高く、かつ耐候性に優れるという特長を有し、高輝度の光源LS(発光ダイオード)の近傍に配置してその光を照射しても劣化が生じにくいという利点がある。また、反射板RFには、高分子膜を基材とし、その表面にアルミ膜を形成したものを用いた。
また、四分の一波長板QWおよび反射板RFは、図6に示したように、反射型偏光板RPの傾斜部分と概ね平行に配置し、変換されたP偏光の進行方向(第二の光路OP2)が、光源LSが発した光の法線方向成分におけるP偏光成分の進行方向(第一の光路OP1)、すなわち導光板LGの長辺方向(y方向)と概ね平行になるようにする。
またこのとき、反射型偏光板RPの角度αや、結合部導光板LG1の端部から反射型偏光板RPの最遠部までの距離Uは、一方の光源LSが発した光の第一の光路OP1および第二の光路OP2と、他方の光源LSが発した光の第一の光路OP1および第二の光路OP2とが、等間隔Wになるようにすることが望ましい。
このように、実施例1の液晶表示装置では、反射型偏光板RPを傾けて配置したことにより、光源LSの発光面からその法線方向に向けて発光した主成分の光のうちの反射型偏光板RPで反射した成分が、当該光源LSには戻らずに、光源LSの近傍に配置されている四分の一波長板QWと反射板RFの方向に向かう。そのため、実施例1の液晶表示装置では、光源LSが発する光のうちの最も発光強度の強い成分(主成分の光)におけるS偏光成分をP偏光に変換することができる。また、実施例1の液晶表示装置では、四分の一波長板QWと反射板RFもまた導光板LGの短辺方向(x方向)に対して傾いており、かつ、反射型偏光板RPと平行であるため、ここで反射された光は再び導光板LGの長辺に対して平行方向に向かう。反射型偏光板RPを通過したP偏光成分の進行方向(第一の光路OP1)と、変換されたP偏光の進行方向(第二の光路OP2)は互いに平行になるため、面発光部導光板LG2を伝播するP偏光は、ほぼ均一に分布する。
また、面発光部導光板LG2を伝播する光が光取出し構造MPで反射して導光板の外側に出射する際には、S偏光成分よりもP偏光成分のほうが出射しやすい。P偏光成分は、導光板と空気界面における反射率が小さいため導光板LGの外側に出やすい。これに対して、S偏光成分は当該反射率が大きいため大部分が導光板LG内に戻されるので、導光板LGの外側に出にくい。以上のような理由から、光源LSが発した光の利用効率を高めるためには、光源LSが発した光を、振動方向が導光板LGの厚さ方向に対して平行なP偏光にすれば良い。
実施例1のバックライトでは、以上のような方法で、光源LSが発した光のS偏光成分をP偏光に変換し、光の利用効率を向上させる。
また、導光板(面発光部導光板LG2)内での偏光状態の変化に着目すると、当該導光板内を伝播する光は、図1に示したように、導光板界面で反射を繰り返すうちに光取出し構造MPに入射し、光取出し構造MPで反射されて導光板LGの外側に向かう。また、導光板LGの外側に出射した光は、図2に示したように、第二のプリズムシートPS2および第一のプリズムシートPS1で屈折して液晶表示パネルLCPの法線方向(z方向)に向かう。このとき、導光板内での光の進行方向が導光板LGの長辺に平行であり、かつ導光板LGが等方性もしくは異方性であっても、その光軸が長辺にあれば、いずれの反射、屈折においてもP偏光成分のみが生じ、S偏光成分は発生しない。したがって、プリズムシートPS2,PS1を通過して液晶表示パネルLCPの法線方向に向かう光の振動方向は液晶表示パネルLCPの長辺方向に平行になる。
このことから、上記のバックライトと組合わせる液晶表示パネルLCPの第二の偏光板PL2の透過軸を、液晶表示パネルLCPの長辺方向に平行、もしくはこれに近い角度に設定すれば、バックライトから光は、第二の偏光板PL2を極めて高い効率で透過する。
映像信号線SLと走査信号線GLは、通常、液晶表示パネルLCPの長辺もしくは短辺に対して平行に配置するため、個々の画素の形状は長方形になる。一画素あたりの書き込み時間をより長くしようとすると走査信号線GLの数を低減させるため、走査信号線GLの延在方向は、液晶表示パネルLCPの長辺方向に平行になる。映像信号線SLは、R(赤),G(緑),B(青)の3色の副画素に対応するため走査信号線GLの3倍の数があり、その結果各画素の長辺は液晶表示パネル1の短辺に平行になる。液晶表示パネルLCPが実施例1のようなIPS方式の場合には、画素電極PE(櫛歯電極)の櫛歯部分の長手方向を液晶表示パネルLCPの長辺もしくは短辺に対して平行にすれば、画素内においてフリンジ電界が分布しない無効領域を低減できる。
また、櫛歯電極の方向に対して液晶層LCLの配向方向を、前述のように5度傾ける場合は、第二の偏光板PL2の透過軸が液晶表示パネルLCPの長辺もしくは短辺となす角も5度に設定する。このとき、バックライトからの光の振動方向は、前述のように、液晶表示パネルLCPの長辺方向に平行になるので、第二の偏光板PL2の透過軸に対してバックライトからの光の振動方向は完全に平行にならず、5度だけずれることになる。しかしながら、この程度のずれであれば、バックライトから光は、第二の偏光板PL2を十分に高い効率で透過できる。これは、バックライトからの光は完全偏光でかつ直線偏光であり、第二の偏光板PL2が完全偏光板であるものと仮定し、バックライトからの光の振動方向が第二の偏光板PL2の透過軸となす角をθとすると、バックライトからの光が第二の偏光板PL2を透過する効率は、cos2θに比例するからであり、θ=0°の理想的な場合に対して、θ=5°の場合の透過効率の低減は約1%である。したがって、第二の偏光板PL2に入射するバックライトからの光の偏光状態がその透過軸に対して完全に平行な直線偏光にならずに、5度程度のずれがあっても、十分な透過率向上効果が得られる。なお、完全偏光板とは、吸収成分の透過率が0%であり、透過成分の透過率が100%である理想的な偏光板のことである。
また、結合部導光板LG1および面発光部導光板LG2は、いずれもアクリルなどの透明樹脂製であり、通常、射出成型により形成される。このとき、射出成型における透明樹脂の流動方向は、主に導光板の長辺方向となるようにしており、これにより光源LSからの光の進行方向は、透明樹脂の流動方向と平行になる。具体的には、透明樹脂の注入口を導光板の短辺に相当する部位に多数設ける。透明樹脂は、注入口を中心に放射状に広がるが、隣接する注入口が十分に近ければ、隣接する注入口からの透明樹脂とぶつかり、流動方向が導光板の長辺方向に向けられる。また、射出成型で形成した場合は、たとえば、透明樹脂を構成する高分子鎖が流動方向を向いた状態で固体化することにより、導光板に複屈折が生じることがあるが、流動方向が導光板の長辺方向であれば、光源LSからの光は導光板の遅相軸に対して平行に伝播するため、光源LSからの光の偏光状態が導光板の複屈折によって変化することはない。したがって、反射型偏光板RPを透過したP偏光は、面発光部導光板LG2内を伝播して導光板LGの外側に出射するまで、その偏光状態が良好に維持される。
また、結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2は、近接面(向かい合わせる面)を同一の形状にし、反射型偏光板RPを挟んで一体化する。結合部導光板LG1は光源LS(たとえば、白色発光ダイオード)に近接する側に平坦面と傾斜面を有し、光源LSはこのうち平坦面に接するように配置する。一方、傾斜面上には、結合部導光板LG1に近接する側より、四分の一波長板QW、反射板RFの順に積層する。光源LSは、図2に示したように、フレキシブル基板FP上に固定しており、図示しないフレームにより、面発光部導光板LG2、結合部導光板LG1、およびフレキシブル基板FPの3者を一体化している。
また、実施例1の液晶表示装置では、図2に示したように、液晶表示パネルLCPに重畳する部分において導光板(面発光部導光板LG2)の厚さを低減し、光源LSに近接する部分においてより厚くし、両者の中間において厚さが連続的に変化しているが、これは液晶表示装置を薄型化するためである。面発光部導光板LG2において厚さが連続的に変化し、結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2の接合部は一定の厚さでかつ光源LSに近接する部分と同じ厚さである。結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2の接合部をより厚くすることにより、両者を安定的に保持できる。また、反射型偏光板RPで反射した光は、導光板の上端もしくは下端で反射されずに直接、四分の一波長板QWおよび反射板RFに入射する割合が増大するため、導光板LGをこのような形状にすることで、偏光変換を高効率化できる。
このように、実施例1の液晶表示装置は、光源LSが発した光のうちのS偏光成分をP偏光に変換するとともに、第二の偏光板PL2の透過軸をその振動方向に概略平行になるように設定したことにより、第二の偏光板PL2においてバックライトからの光を高効率で透過でさせることができる。その結果として、実施例1の液晶表示装置では、たとえば、同一の消費電力でより高輝度の表示を実現することができる。
(比較例1)
図7および図8は、比較例1のバックライトの主要部の概略構成の一例を示す模式図である。
図7は、比較例1のバックライトの主要部の概略構成の一例を示す模式斜視図である。図8は、比較例1のバックライトにおける光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。
比較例1のバックライトは、たとえば、図7および図8に示すように、反射型偏光板RP、四分の一波長板QW、および反射板RFを、導光板LGの短辺方向(x方向)に対して平行になるように配置している。このとき、比較例1のバックライトにおいて、実施例1のバックライトと異なる点は、反射型偏光板RP、四分の一波長板QW、および反射板RFの傾きのみであり、光源LS、導光板LGの材料、光取出し構造MPの形状や数などは同じにしている。このような比較例1のバックライトを用いた液晶表示装置の輝度は、実施例1の液晶表示装置の輝度に比較して低下した。
比較例1のバックライトにおいても、光源LSが発した光は、図7に示すように、結合部導光板LG1を伝播して反射型偏光板RPに入射する。このとき、光源LSの発光面の法線方向に向けて発した光のうちのS偏光成分は、反射型偏光板RPで反射し、光源LSに戻ってしまう。光源LS(発光ダイオード)は、それ自体に光を反射する機能や偏光状態を変換する機能がないため、光源LSに戻る光(S偏光成分)は再利用できない。そのため、比較例1のバックライトでは、光源LSから発した光のうちの、最も強い発光成分を再利用できない。すなわち、比較例1のバックライトは、実施例1のバックライトにおける第二の光路OP2の光を生成することができないので、その分だけ液晶表示装置の輝度が低くなる。
また、光源LSが発する光には、たとえば、発光面の法線方向に対して左方向に傾い成分なども含まれる。このように、発光面の法線方向に対して傾いて発した光のS偏光成分は、反射型偏光板RPで反射した後、四分の一波長板QWおよび反射板RFがある方向に向かうため、当該S偏光成分はP偏光に変換し、光路OP2Lで伝播させることが可能である。
しかしながら、光源LSとして用いる白色発光ダイオードは、発光分布が等方的ではなく、発光面の法線方向で特に強く、法線方向から傾くにつれて急速に弱くなる。すなわち、図8に示した光路OP1L,OP2Lの光は、P偏光であるものの、その強度は主成分の光のP偏光成分、すなわち第一の光路OP1の光の強度に比べて低い。したがって、比較例1のバックライトでは、十分な利用効率の向上が得られない。
比較例1のバックライトの構成は、たとえば、特許文献1などで開示されている従来の反射型偏光板を有するバックライトの構成に相当する。したがって、上記の比較からも、実施例1のバックライトを有する液晶表示装置は、従来のバックライトを有する液晶表示装置よりも光の利用効率が高いといえる。
(比較例2)
図9は、比較例2のバックライトにおける光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。
比較例1のバックライトは、前述のように、光源LSの発光面の法線方向に対して傾いている光のS偏光成分をP偏光に変換できる。そこで、比較例2のバックライトでは、たとえば、図9に示すように、結合部導光板LG1の端部(光源LSの発光面)と反射型偏光板RPとの距離Uを、比較例1のバックライトよりも長くしている。
比較例2のバックライトは、反射型偏光板RPと反射板RFが互いに平行である点は比較例1と同様であるが、結合部導光板LG1の端部と反射型偏光板RPとの距離Uを拡大したことにより、反射型偏光板RPで反射された光(S偏光成分)が光源LSに向かう割合が比較例1に比べて減少する。そのため、比較例2のバックライトは、比較例1よりも法線方向により近い発光成分も反射型偏光板RPで反射した後に四分の一波長板QWと反射板RFがある方向に向うので、P偏光に変換可能なS偏光成分が増える。
しかしながら、比較例2のバックライトにおいても、最も強い発光成分が光源LSに向けて反射され、これを再利用できないことには変わりないので、光源光全体では充分な利用効率の向上が得られない。そのため、比較例2のバックライトを有する液晶表示装置の輝度は、比較例1のバックライトを有する液晶表示装置の輝度と比較して若干向上したが、実施例1の液晶表示装置の輝度と比較すると依然として低かった。
また、比較例2のバックライトは、結合部導光板LG1の端部から反射型偏光板RPまでの距離Uを拡大したことにより、液晶表示パネルLCPと重ねたときに、はみ出す量が多くなる。したがって、比較例2のバックライトを有する液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置に比べて幅が増大した。
以上説明したように、実施例1の液晶表示装置は、液晶表示装置のサイズを小さく保ちながら、光源LSが発した光の利用効率を向上させることができる。そのため、実施例1の液晶表示装置は、たとえば、従来と同一の消費電力を保ちながらより明るい表示を実現することができる。また、実施例1の液晶表示装置は、たとえば、従来と同一の明るさを保ちながら低消費電力を少なくすることができる。したがって、実施例1の液晶表示装置を、たとえば、携帯電話などの携帯型情報機器に搭載すると、たとえば、晴天時の屋外など明るい環境下での視認性の向上、または電池による駆動時間の増大などの効果が得られる。
図10は、本発明による実施例2の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の概略構成の一例および光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。
実施例2の液晶表示装置は、基本的には、実施例1の液晶表示装置と同じ構成であるため、液晶表示装置の全体的な構成の説明は省略する。実施例2の液晶表示装置において、実施例1と異なる点は、たとえば、図10に示すように、バックライトの結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2との間に介在させる反射型偏光板RPの配置方法のみである。
実施例2の液晶表示装置では、結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2との間に反射型偏光板RPを配置するときに、光源LSからの光のうちの主成分の光が通過する部分のみに反射型偏光板RPを配置し、四分の一波長板QWおよび反射板RFにより変換されたP偏光が通る部分には配置しない。
このとき、結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2との間のうちの、反射型偏光板RPを配置しない部分は、たとえば、結合部導光板LG1および面発光部導光板LG2と同じ材料、または結合部導光板LG1および面発光部導光板LG2と屈折率が概ね等しい透明樹脂を充填する。
実施例2のバックライトにおいても、光源LSが発した光のうちの最も強度の大きい成分、言い換えると発光面の法線方向(y方向)に向けて発した主成分の光は、たとえば、図10に示すように、結合部導光板LG1を伝播して反射型偏光板RPに入射する。このとき、光源LSが発する光は、いわゆる自然光であるため、結合部導光板LG1を伝播する光は、P偏光成分とS偏光成分の両方を含む。このP偏光成分とS偏光成分を含む光が反射型偏光板RPに入射すると、入射した光のうちのP偏光成分は透過し、S偏光成分は反射する。反射型偏光板RPを透過したP偏光は、第一の光路OP1で面発光部導光板LG2を伝播し、光取出し構造MPの傾斜面で反射すると液晶表示パネルLCP側に出射する。
一方、反射型偏光板RPで反射したS偏光成分は、実施例1と同様に、四分の一波長板QWおよび反射板RFによりP偏光に変換され、面発光部導光板LG2に向かう。四分の一波長板QWおよび反射板RFにより変換されたP偏光は、第二の光路OP2で面発光部導光板LG2を伝播し、光取出し構造MPの傾斜面で反射すると液晶表示パネルLCP側に出射する。
ところで、反射型偏光板RPは、完全偏光板ではないので、透過軸に対して平行な振動成分を100%透過するわけではない。そのため、実施例1のように、変換されたP偏光が反射型偏光板RPを透過してから面発光部導光板LG2を伝播する構成になっていると、反射型偏光板RPを透過した分、第二の光路OP2で伝播するP偏光の強度が低下する。
これに対し、実施例2のバックライトの場合、変換されたP偏光は、反射型偏光板RPを透過することなく面発光部導光板LG2に到達し、第二の光路OP2で伝播する。したがって、実施例2のバックライトは、実施例1のバックライトに比べて光利用効率をさらに向上させることができる。
図11は、実施例1のバックライトにおける改善の余地の一例を説明するための模式平面図である。
実施例1の液晶表示装置のバックライトは、光源LSから発した光のうちの、発光面の法線方向に向けて発した光成分におけるS偏光成分をP偏光に変換することで、光の利用効率を向上させている。
ところで、光源LSが白色発光ダイオードの場合、光源LSが発した光は放射状に広がる。そのため、光源LSが発した光が反射型偏光板RPに入射するときには、たとえば、図11に示すように、法線方向から離れるにつれて反射型偏光板RPに入射する角度が変化する。したがって、反射型偏光板RPが平面状であれば、反射型偏光板RPで反射された光(S偏光成分)はより広い範囲に反射される。
このとき、発光面の法線方向に対して左側に傾いて発した光の一部は、図11に示したように、反射型偏光板RPで反射した後、光源LSに入射するので、これをP偏光に変換することはできない。またこのとき、発光面の法線方向に対して右側に傾いて発した光の一部は、図11に示したように、反射型偏光板RPで反射された後、四分の一波長板QWおよび反射板RFが存在しない方向に向かうので、これをP偏光に変換することはできない。これらの発光成分は、発光面の法線方向の発光成分に比較して強度が弱いものの、これらの発光成分におけるS偏光成分をP偏光に変換できないということは、光の利用効率の低下の原因になる。
また、反射型偏光板RFで反射した光は、これを通過する光に比較して光路が長いため、より拡散する。そのため、光の進行方向が法線方向からずれると、導光板下面のプリズム状突起(光取出し構造MP)で反射される際や、その後プリズムシートPS2,PS1で反射される際にS偏光成分が発生する。前述のように、S偏光成分は導光板の外部に透過しにくい。また、S偏光成分は、その振動方向の方位が第二の偏光板PL2の吸収軸角度に近いため、導光板の外部に透過したとしても第二の偏光板PL2により吸収される。
このように、実施例1または実施例2のバックライトは、従来のバックライトに比べると光の利用効率が高いものの、さらに利用効率を高めるための改善の余地がある。
図12乃至図15は、本発明による実施例3の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の構成例および光の偏光状態の変化を説明するための模式図である。
図12は、本発明による実施例3の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の概略構成の第一の例および光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。図13は、実施例3の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の概略構成の第二の例および光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。図14は、実施例3の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の概略構成の第三の例および光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。図15は、実施例3の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の概略構成の第四の例および光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。
実施例3の液晶表示装置では、光源LSの発光面の法線方向に対して傾いた方向に進行する光のS偏光成分の利用効率を高めるために、たとえば、図12に示すように、反射型偏光板RPのうちの、光源LSからの光のうちの主成分の光が通過する部分を、光源LS側(入射する光)に対して凹になる曲面状にする。これにより、反射型偏光板RPで反射した光は、広がらずに四分の一波長板QWおよび反射板RFに向かう。このように、反射型偏光板RPで反射した光(S偏光成分)の角度分布を狭めることにより、光源LSへの再入射や、四分の一波長板QWおよび反射板RFが存在しない方向への反射を防ぐことができる。
また、図12に示した構成のバックライトの場合、反射型偏光板RPで反射した光の角度分布が狭まるので、その分、四分の一波長板QWおよび反射板RFにより変換されたP偏光の角度分布が狭くなり、光路OP2L,OP2Rの進行方向と第二の光路OP2の進行方向とのずれが小さくなる。したがって、図12に示した構成のバックライトは、前述のような法線方向からのずれにより発生するS偏光成分の量を低く抑えることができ、第2の偏光板PL2での吸収などによる利用効率の低下を抑えることができる。
なお、図12に示した構成は、実施例1の構成を基にしており、四分の一波長板QWおよび反射板RFにより変換されたP偏光は、反射型偏光板RPを通過してから面発光部導光板LG2を伝播する。このとき、当該変換されたP偏光は、反射型偏光板RPを通過する際に強度が低下するので、図12に示した構成のバックライトの場合、その分だけ光の利用効率が低下する。
この光の利用効率の低下を防ぐためには、実施例2の構成を基にし、たとえば、図13に示すように、四分の一波長板QWおよび反射板RFにより変換されたP偏光が通過する部分に反射型偏光板RPを配置しないようにすればよい。
また、図12および図13に示した構成では、四分の一波長板QWおよび反射板RFが平面状であるため、反射板RFで反射した光の角度分布が広くなる。そのため、図12および図13に示した構成の場合、実施例1および実施例2の構成に比べて光の利用効率が高くなるものの、さらに利用効率を高めるための改善の余地があるといえる。
反射板RFで反射した光の角度分布の拡がりを抑えるには、たとえば、図14に示すように、四分の一波長板QWと反射板RFの平面分布も、結合部導光板LG1側(入射する光)に対して凹になる曲面状にすればよい。このようにすることで、光路OP2L,OP2Rの進行方向と第二の光路OP2の進行方向とのずれがさらに小さくなる。
また、図14に示した構成は、実施例1の構成を基にしており、四分の一波長板QWおよび反射板RFにより変換されたP偏光は、反射型偏光板RPを通過してから面発光部導光板LG2を伝播する。このとき、当該変換されたP偏光は、反射型偏光板RPを通過する際に強度が低下するので、図14に示した構成のバックライトの場合、その分だけ光の利用効率が低下する。
この光の利用効率の低下を防ぐためには、実施例2の構成を基にし、たとえば、図15に示すように、四分の一波長板QWおよび反射板RFにより変換されたP偏光が通過する部分に反射型偏光板RPを配置しないようにすればよい。
なお、実施例3のバックライトにおいて、反射型偏光板RPの曲面部や、四分の一波長板QWおよび反射板RFの曲面部の曲率は、適宜変更可能であり、光源LSの配置間隔や、結合部導光板LG1の端部から反射型偏光板RPの最遠部までの距離などに応じて最適化すればよいことはもちろんである。
以上説明したように、実施例3の液晶表示装置は、反射型偏光板RPで反射した光のうちの、光源LSにもどる光などの再利用できない発光成分を低減するとともに、導光板の長辺に対して平行に伝播する成分を増やすことにより、光利用効率をさらに向上でき、より高輝度の表示をすることが実現できる。
図16は、本発明による実施例4の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の概略構成の一例および光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。
実施例4の液晶表示装置は、基本的には、実施例1の液晶表示装置と同じ構成であるため、液晶表示装置の全体的な構成の説明は省略する。実施例4の液晶表示装置において、実施例1と異なる点は、たとえば、図16に示すように、バックライトの結合部導光板LG1と面発光部導光板LG2との間に反射型偏光板RPおよび二分の一波長板HWを介在させ、結合部導光板LG1の端部には反射板RFのみを配置する点である。
このとき、反射型偏光板RPは、実施例2のバックライトと同様に、光源LSからの光のうちの主成分の光が通過する部分のみに配置する。また、二分の一波長板HWは、反射型偏光板RPおよび反射板RFで反射した光が通過する部分に配置する。またこのとき、二分の一波長板HWは、遅相軸方位が導光板LGの厚さ方向(z方向)に対して45度傾くように配置する。
実施例4のバックライトにおいても、光源LSが発した光のうちの最も強度の大きい成分、言い換えると発光面の法線方向(y方向)に向けて発した主成分の光は、たとえば、図16に示すように、結合部導光板LG1を伝播して反射型偏光板RPに入射する。このとき、光源LSが発する光は、いわゆる自然光であるため、結合部導光板LG1を伝播する光は、P偏光成分とS偏光成分の両方を含む。このP偏光成分とS偏光成分を含む光が反射型偏光板RPに入射すると、入射した光のうちのP偏光成分は透過し、S偏光成分は反射する。反射型偏光板RPを透過したP偏光は、第一の光路OP1で面発光部導光板LG2を伝播し、光取出し構造MPの傾斜面で反射すると液晶表示パネルLCP側に出射する。
一方、反射型偏光板RPで反射した光(S偏光成分)は、反射板RFで反射した後、S偏光の状態のまま、二分の一波長板HWに入射する。このとき、二分の一波長板HWに入射する光(S偏光)の振動方向は、二分の一波長板HWの遅相軸に対し45度をなすため、二分の一波長板HWを通過する過程でその振動方向が90度回転し、P偏光に変換されて出射する。二分の一波長板HWにより変換されたP偏光は、第二の光路OP2で面発光部導光板LG2を伝播し、光取出し構造MPの傾斜面で反射すると液晶表示パネルLCP側に出射する。
このように、図16に示したような構成のバックライトは、実施例1乃至実施例3の四分の一波長板QWを用いたバックライトと同様に、光源LSが発した光のS偏光成分をP偏光に変換して面発光部導光板LG2内を伝播させることができる。したがって、図16に示したような構成のバックライトを有する実施例4の液晶表示装置は、光源が発した光の利用効率を向上させることができる。
また、実施例1乃至実施例3のバックライトでは、四分の一波長板QWと反射板RFとを積層して配置しており、反射型偏光板RPで反射した光をS偏光からP偏光に変換する過程で、当該光は四分の一波長板QWを二回通過する。これに対し、実施例4のバックライトでは、反射型偏光板RPで反射した光をS偏光からP偏光に変換する過程で、当該光は二分の一波長板HWを一回だけ通過する。このように、実施例4のバックライトは、S偏光をP偏光に変換する際に波長板を通過する回数が少ないので、たとえば、使用時間の増大にともなう二分の一波長板HWの劣化がより少ないという利点がある。
図17は、本発明による実施例5の液晶表示装置におけるバックライトの主要部の概略構成の一例および光の偏光状態の変化を示す模式平面図である。
実施例5の液晶表示装置は、基本的には、実施例1の液晶表示装置と同じ構成であるため、液晶表示装置の全体的な構成の説明は省略する。実施例5の液晶表示装置において、実施例1と異なる点は、たとえば、図17に示すように、バックライトの面発光部導光板LG2と反射型偏光板RPとの間に四分の一波長板QWを介在させ、結合部導光板LG1の端部には反射板RFのみを配置する点である。
このとき、反射型偏光板RPおよび四分の一波長板QWは、それぞれ、光源LSからの光のうちの主成分の光が通過する部分および反射板RFで反射した光が通過する部分の両方に配置する。またこのとき、四分の一波長板QWは、遅相軸方位が導光板の厚さ方向(z方向)に対して45度傾くように配置する。
また、実施例5のバックライトでは、反射型偏光板RPに高分子コレステリック液晶層を用いた。高分子コレステリック液晶層は、捩れ構造を有しかつその捩れ構造のピッチが層内を捩れの軸に平行に通過する可視波長光の波長に等しい場合に、入射した光を右回りと左回りの円偏光に分解するとともに、自身の捩れ方向と同じ回転方向の円偏光成分を反射する性質を有する。実施例5のバックライトでは、反射型偏光板RPとして、捩れ構造が右捩れの高分子コレステリック液晶層を用い、かつこれを実施例1と同様の位置に配置した。
また、四分の一波長板QWは、実施例1で挙げたシクロオレフィン系有機高分子を用い、反射型偏光板RPと面発光部導光板LG2との間に配置した。
実施例5のバックライトにおいても、光源LSが発した光のうちの最も強度の大きい成分、言い換えると発光面の法線方向(y方向)に向けて発した主成分の光は、たとえば、図17に示すように、結合部導光板LG1を伝播して反射型偏光板RPに入射する。このとき、光源LSが発する光は、いわゆる自然光であるため、結合部導光板LG1を伝播する光は、P偏光成分とS偏光成分の両方を含む。このP偏光成分とS偏光成分を含む光が反射型偏光板RP(高分子コレステリック液晶層)に入射すると、入射した光は右回りの円偏光CPL1および左回りの円偏光CPL2に分離される。このとき、左回りの円偏光CLP2は、反射型偏光板RPを透過し、四分の一波長板QWに入射する。四分の一波長板QWの遅相軸方位は、導光板の厚さ方向に対して45度を成すため、入射した左回りの円偏光CPL2は、振動方向が導光板の厚さ方向である直線偏光、すなわちP偏光に変換されて面発光部導光板LG2側に出射する。このとき、面発光部導光板LG2に出射したP偏光は、第一の光路OP1で面発光部導光板LG2を伝播し、光取出し構造MPの傾斜面で反射すると液晶表示パネルLCP側に出射する。
一方、右回りの円偏光CPL1は、反射型偏光板RPで反射し、反射板RFに向かう。反射板RFに向かう右回りの円偏光CPL1は、反射板RFで反射する際に、回転方向が反転して左回りの円偏光CPL2になり、反射型偏光板RPに向かう。このとき、左回りの円偏光CPL2は、偏光状態が維持された状態で反射型偏光板RPを通過し、四分の一波長板QWを通過する過程でP偏光に変換されて面発光部導光板LG2に出射する。このとき、面発光部導光板LG2に出射したP偏光は、第二の光路OP2で面発光部導光板LG2を伝播し、光取出し構造MPの傾斜面で反射すると液晶表示パネルLCP側に出射する。
このように、反射型偏光板RPに高分子コレステリック液晶層を用いた場合でも、光源LSからの光のS偏光成分をP偏光に変換することができる。
また、実施例5のバックライトでは、反射型偏光板RPとして、捩れ構造が右捩れの高分子コレステリック液晶層を用いたが、これに限らず、捩れ構造が左捩れの高分子コレステリック液晶層を用いても、同様にして光源LSからの光のS偏光成分をP偏光に変換することができる。ただしこの場合は、四分の一波長板QWの遅相軸方位角を、右捩れの場合から90度変える必要がある。
ところで、高分子コレステリック液晶層が上記性質を示す波長域は、その複屈折値に比例するが、複屈折値の最も大きい場合でも100nm程度である。したがって、捩れ構造のピッチの異なる高分子コレステリック液晶層を複数積層すれば、可視波長全域の光に対して上記のように作用させることが可能である。また、捩れ構造のピッチの異なる高分子コレステリック液晶層を複数積層する代わりに、捩れのピッチを連続的に変化させた高分子コレステリック液晶層を用いても、同様の効果が得られる。
高分子コレステリック液晶層は、低分子の光重合性液晶にカイラル材を混合した溶液を水平配向処理した基材の上に塗布し、これに光照射して重合化することにより作成できる。そのため、この過程を複数回繰り返せば、捩れのピッチが異なる高分子コレステリック液晶層を複数積層できる。このとき、基材に柔軟性のあるプラスチック薄膜を用いれば、結合部導光板の接合部上に積層可能である。また、高分子コレステリック液晶層を積層するときには、基材を用いる代わりに、結合部導光板LG1の接合部上に低分子の光重合性液晶を直接塗布して、これを光重合して作成することも可能である。
また、四分の一波長板QWは、面発光部導光板LG2の接合部上に積層し、反射型偏光板RPは結合部導光板LGの接合部上に積層する。これにより、両者を組合わせた際に四分の一波長板QWと反射型偏光板RPとが近接し、かつ後者が光源LSに近接するように配置することができる。
図18は、本発明による実施例6の液晶表示装置における液晶表示パネルの主要部の概略構成の一例を示す模式断面図である。
実施例1では、本発明の液晶表示装置に用いる液晶表示パネルLCPの一例として、図3乃至図5に示したような構成のIPS方式の液晶表示パネルを挙げている。しかしながら、本発明の液晶表示装置はバックライトの導光板LGの構成に特徴があり、液晶表示パネルLCPの構成は、前述のように、従来の透過型または半透過型の液晶表示パネルのいずれかであればよい。そこで、実施例6では、本発明の液晶表示装置に用いることが可能な液晶表示パネルLCPの別の構成例として、VA方式の液晶表示パネルを挙げる。
VA方式の液晶表示パネルLCPは、たとえば、図18に示すように、第一の偏光板PL1と第一の基板SU1との間に第一の四分の一波長板QW1を有し、第二の偏光板PL2と第二の基板SU2との間に第二の四分の一波長板QW2を有する。このとき、第一の四分の一波長板QW1および第二の四分の一波長板QW2は、遅相軸が基板法線方向(z軸上)から見て互いに直交し、かつ、第一の偏光板PL1および第二の偏光板PL2の透過軸に対して45度を成すように配置する。
なお、実施例6の液晶表示装置は、実施例1乃至実施例5のバックライトのいずれかを有する。そのため、実施例1で述べたように、第二の偏光板PL2に入射するバックライトからの光は、液晶表示パネルLCPの長辺方向に振動方向を有する直線偏光である。したがって、VA方式の液晶表示パネルLCPの場合も、第二の偏光板PL2を、その透過軸が液晶表示パネルLCPの長辺方向を向くように配置する。これにより、VA方式の液晶表示パネルLCPを有する実施例6の液晶表示装置は、バックライトからの光を高効率で利用することが可能になる。
また、VA方式の液晶表示パネルLCPでは、共通電極CEを第一の基板SU1の液晶層近接面に配置する。また、画素電極は画素形状と同等の長方形の形状にし、第二の基板SU2の液晶層近接面に配置する。
また、VA方式の液晶表示パネルLCPでは、第一の配向膜AL1と第二の配向膜AL2を垂直配向膜とし、液晶層LCLの液晶分子の長軸方向が、基板平面に対して概ね垂直になるようにする。またこのとき、液晶層LCLに用いる液晶材料の誘電率異方性は負であり、配向方向の誘電率はその垂直方向よりも小さい。
垂直配向した負の誘電率異方性の液晶層LCLに縦電界を印加すると、液晶分子のチルト角が低減し、液晶層LCLの配向は任意の方位角に傾斜する。このとき、熱揺らぎの影響を排除して方位角を特定するために、画素内に配向制御構造PTを配置する。実施例5では、配向制御構造PTを第一の基板SU1の液晶層近接面、より詳細には共通電極CEと第一の配向膜AL1の間に配置した。その平面形状は線状でかつ画素の長辺方向に並行であり、画素を二等分するように分布する。配向制御構造PTは、柱状スペーサと同様に透明有機膜からなり、線状にパターンニングした後に加熱して溶融状態にすることにより、その断面形状を概略2次曲線状にする。このとき、配向制御構造PTの周辺にある液晶分子は、配向制御構造PTの表面に対して垂直になるように配向するため、配向制御構造PTの近傍では液晶層LCLの配向が基板法線に対して若干傾斜する。また、配向制御構造PTの近傍では電界方向が基板法線方向に対して若干傾斜する。これらの効果により、配向制御構造PTに対して垂直になるように、電圧印加時の液晶層LCLの方位角が定まり、かつ、配向制御構造PTの右側と左側でチルト角が反転する。
このようなVA方式の液晶表示パネルLCPは、一画素内にチルト角が反転した2つの領域がほぼ等しい面積で生じることにより、当該2つの領域の視角依存性が相殺されるため、一画素の示す視角特性が向上する。また、液晶層LCLに入射する光は、第二の四分の一波長板QW2の作用により円偏光になっているため、液晶配向がいずれの方位を向いても、その位相差により透過光の偏光状態を変更できる。そのため、VA方式の液晶表示パネルLCPでは、明表示時には配向制御構造PTの中心部を除く画素の広い領域で透過率が向上する。
また、VA方式の液晶表示パネルLCPにおいて配向制御構造PTを配置するときには、たとえば、配向制御構造PTを円形とし、一画素内に2個以上配置しても良い。この場合、一画素内の画素電極PEは、配向制御構造PTと同数の副画素電極で構成し、各副画素電極の平面形状は正方形状、もしくはこれに近い長方形状とし、配向制御構造PTを中心に分布させる。またこのとき、各副画素電極間の導通を確保するために、各副画素電極を画素中心部において連結する。この場合、電圧印加時に液晶層LCLの配向方向は、配向制御構造PTを中心にして回転対称に分布する。そのため、視角特性の方位角依存性が相殺され、前述の線状の配向制御構造PTを用いた場合に比較して視角特性が向上する。
図19は、本発明による実施例7の液晶表示装置における液晶表示パネルの主要部の概略構成の一例を示す模式断面図である。
実施例7では、本発明の液晶表示装置に用いることが可能な液晶表示パネルLCPのさらに別の構成例として、TN方式の液晶表示パネルを挙げる。
TN方式の液晶表示パネルLCPは、たとえば、図19に示すように、第一の偏光板PL1と第一の基板SU1との間に第一の視角拡大フィルムWV1を有し、第二の偏光板PL2と第二の基板SU2との間に第二の視角拡大フィルムWV2を有する。
また、TN方式の液晶表示パネルLCPでは、共通電極CEを第一の基板SU1の液晶層近接面に配置する。また、画素電極は画素形状と同等の長方形の形状にし、第二の基板SU2の液晶層近接面に配置する。
また、TN方式の液晶表示パネルLCPでは、第一の配向膜AL1と第二の配向膜AL2を実施例1と同様の水平配向膜とし、ラビング法で配向処理して、前者と後者の配向方向をそれぞれ液晶表示パネルLCPの短辺方向、長辺方向とした。すなわち、第一の配向膜AL1と第二の配向膜AL2は、配向方向が互いに90度をなすようにした。このとき、液晶層LCLは第一の配向膜AL1と第二の配向膜AL2の配向方向にしたがい、捩れ配向となる。またこのとき、液晶材料の誘電率異方性は正であり、配向方向の誘電率はその垂直方向よりも大きい。またさらに、液晶層LCLは、旋光性物質であるカイラル材を添加して自発的に捩れ配向となるようにし、捩れ配向を安定化した。
このような液晶表示パネルLCPは、電圧無印加時には第二の偏光板PL2を通過した直線偏光の振動方向が液晶層LCLのねじれに沿って回転するため、第一の偏光板PL1を透過して明表示となる。また、液晶層LCLに電圧を印加すると、液晶層LCLのチルト角が増大し、十分な電圧値において垂直配向に近い状態になる。このとき、液晶層LCLは光学的に等方性になり、暗表示となる。
なお、実施例7の液晶表示装置は、実施例1乃至実施例5のバックライトのいずれかを有する。そのため、実施例1で述べたように、第二の偏光板PL2に入射するバックライトからの光は、液晶表示パネルLCPの長辺方向に振動方向を有する直線偏光である。したがって、TN方式の液晶表示パネルLCPの場合も、第二の偏光板PL2を、その透過軸が液晶表示パネルLCPの長辺方向を向くように配置する。これにより、TN方式の液晶表示パネルLCPを有する実施例7の液晶表示装置は、バックライトからの光を高効率で利用することが可能になる。
また、TN方式の液晶表示パネルLCPは、視角特性を向上するため、たとえば、第一の偏光板PL1と第一の基板SU1との間に第一の視角補償層を配置し、第二の偏光板PL2と第二の基板SU2との間に第二の視角補償層を配置しても良い。TN方式の液晶表示パネルLCPは、中間調表示において液晶層LCLが大きなチルト角を示すが、これにより、液晶層LCLのリタデーションΔndが視角方向と共に大きく変化する。そのため、TN方式は、一般に、IPS方式に比較して視角特性が低い。第一の視角補償層、第二の視角補償層は、大きなチルト角を有する高分子液晶層から構成される。また、これらは法線方向から観察した場合に、近接する液晶層LCLの配向方向に対して高分子液晶層の配向方向が平行になり、かつ、近接する液晶層LCLのチルト角に対して、チルト角の符号が逆になるように配置する。これにより、TN方式の液晶表示パネルLCPは、液晶層LCLの有するリタデーションΔndの視角変化が補償され、視角特性が向上する。
また、第一の配向膜AL1と第二の配向膜AL2の配向方向をそれぞれ液晶表示パネルLCPの短辺方向、長辺方向とすると、視角特性は両者の中間、すなわち液晶表示パネルLCPの四辺に対して45度傾いた軸を対称軸とする左右対称になる。しかしながら、視角特性は、液晶表示パネルLCPの水平方向において左右対称となるのがより好ましい。そのためには、実施例7の液晶表示装置(液晶表示パネルLCP)における光学異方性部材の軸方向、すなわち第一の偏光板PL1および第二の偏光板PL2の透過軸の方向、および液晶層LCLの軸方向を45度回転すれば良い。液晶層LCLの軸方向を45度回転するには、第一の配向膜AL1と第二の配向膜AL2の配向処理方向を45度回転させればよい。また、第一の視角補償層と第二の視角補償層を有する場合には、これらの軸(配向方向)も同時に45度回転する。これにより、TN方式の液晶表示パネルLCPの視角特性は、水平方向において左右対称になる。
しかしながら、上記のように光学異方性部材の軸方向を45度回転させた場合、第二の偏光板PL2の透過軸と、これに入射するバックライトからの光の振動方向の成す角はおよそ45度になり、バックライトからの光の利用効率が低下して明るさが低下する。前述のように、バックライトからの光が第二の偏光板PL2を透過する際の透過効率は、cos2θに比例するが、θ=0°の理想的な場合に対する、θ=45°の場合の透過効率は約50%であり、透過効率は約半分に低減する。視角特性の左右対称と、バックライトからの光の利用効率の向上とを両立するには、たとえば、第二の偏光板PL2とバックライトとの間に、二分の一波長板を配置すればよい。このとき、二分の一波長板は、より具体的には、第二の偏光板PL2のバックライト側に積層して配置する。またこのとき、二分の一波長板は、その遅相軸が第二の偏光板PL2の透過軸とバックライト光の振動方向の成す角を二等分する方位になるように配置する。このようにすると、バックライトからの光は、二分の一波長板を通過する過程で振動方向が45度回転し、第二の偏光板PL2の透過軸に対して平行になる。これにより、TN方式の液晶表示パネルLCPの視角特性を水平方向において左右対称にする場合でも、光の利用効率を高くすることができる。
実施例1乃至実施例5に挙げたバックライトの構成は、たとえば、携帯電話などの表示部に用いられる小型の液晶表示装置への適用を想定した構成であり、光源LSが2個の場合を示している。
しかしながら、本発明の導光板方式のバックライトは、これに限らず、たとえば、ノートブック型コンピュータやカーナビゲーションシステムの表示部に用いられるような液晶表示装置にも適用できる。その場合、導光板(結合部導光板LG1)の端部に配置する光源LSの数は、2個に限らず、3個以上になることもある。また、携帯電話の表示部に用いられる液晶表示装置も、近年、大画面化が進んでおり、たとえば、十分な輝度や面輝度の均一性を確保するために3個以上の光源LSを必要とする場合がある。
そこで、実施例8では、光源LSの数を3個以上にした液晶表示装置の構成例のいくつかについて、簡単に説明する。
図20は、本発明による実施例8の液晶表示装置における主要部の概略構成の第一の例を示す模式平面図である。
携帯電話の表示部に用いる液晶表示装置は、近年、大画面化が進んでおり、表示領域の対角の寸法が、たとえば、3インチから4インチ程度になってきている。また、PDAなどの携帯型情報端末の表示部に用いる液晶表示装置も、表示領域の対角の寸法が、たとえば、4インチ程度である。そのため、これらの液晶表示装置では、たとえば、光源LSを4個用いることがある。
導光板(結合部導光板LG1)の端部に4個の光源LSを配置するときには、たとえば、図20に示すように、実施例2で挙げた構成(図10に示した構成)が、結合部導光板LG1の短辺方向(x方向)に沿って二組並ぶようにすればよい。
このとき、導光板(面発光部導光板LG2)から液晶表示パネルLCP側に出射する光は、前述のように、その振動方向が液晶表示パネルLCPの短辺方向と概ね平行な直線偏光である。そのため、液晶表示パネルLCPの第二の偏光板PL2の透過軸PLT2を液晶表示パネルLCPの短辺方向と平行にし、第一の偏光板PL1の透過軸PLT1を透過軸PLT2と垂直にすることで、バックライトからの光の利用効率を高めることができる。
なお、4個の光源LSを用いる場合は、図20に示した構成に限らず、たとえば、実施例1、および実施例3乃至実施例5で挙げた構成のいずれかを二組並べてもよいことはもちろんである。
図21は、実施例8の液晶表示装置における主要部の概略構成の第二の例を示す模式平面図である。
導光板(結合部導光板LG1)の端部に4個の光源LSを配置するときに、図20に示したような配置にすると、導光板(面発光部導光板LG2)を伝播する光は、中央部および両端部を伝播する光が反射型偏光板RPを1回透過しただけの光(第一の光路OP1で伝播する光)であり、中央部と端部との間を伝播する光が反射型偏光板RPで反射した後でP偏光に変換された光(第二の光路OP2で伝播する光)である。そのため、このような配置の場合、たとえば、中央部および両端部における輝度と、中央部と端部との間の部分における輝度の違いによる面輝度の均一性の低下が懸念される。
また、導光板(結合部導光板LG1)の端部に4個の光源LSを配置するときに、図20に示したような配置にすると、中央に配置される2個の光源LSの距離が近くなるので、たとえば、当該2個の光源LSの放熱性が低下し、長時間使用したときの温度上昇による発光効率の低下が懸念される。
そのため、導光板(結合部導光板LG1)の端部に4個の光源LSを配置するときには、たとえば、図21に示すように、光源LSが等間隔で並ぶように、反射型偏光板RP、四分の一波長板QW、および反射板RFの配置を変更してもよい。
このような構成にすると、導光板(面発光部導光板LG2)を伝播する光は、反射型偏光板RPを1回透過しただけの光(第一の光路OP1で伝播する光)と、反射型偏光板RPで反射した後でP偏光に変換された光(第二の光路OP2で伝播する光)とが交互に並ぶ。そのため、たとえば、反射型偏光板RPを1回透過しただけの光の強度と反射型偏光板RPで反射した後でP偏光に変換された光の強度との差による面輝度の均一性の低下が目立ちにくくなると考えられる。また、このように光源LSを等間隔で配置することにより、隣接する光源LSの干渉を防ぎ、放熱性の低下を抑えることができる。
なお、光源LSが等間隔に並ぶようにする場合も、光源LSからの光のS偏光成分をP偏光に変換するための構成は、図21に示した構成に限らず、実施例1乃至実施例5で挙げた構成のいずれかであればよい。
図22は、実施例8の液晶表示装置における主要部の概略構成の第三の例を示す模式平面図である。
導光板方式のバックライトを有する液晶表示装置は、たとえば、ノートブック型コンピュータやカーナビゲーションシステムの表示部などにも用いられる。これらの液晶表示装置は、対角の寸法がさらに大きいので、十分な輝度や面輝度の均一性を確保するためには、さらに多くの光源LSが必要になる。
また、ノートブック型コンピュータの表示部などに用いられる液晶表示装置は、通常、画面(表示領域)が横長であり、走査信号線GLの延在方向が液晶表示パネルLCPの長辺方向になる。
そのため、ノートブック型コンピュータの表示部などに用いられる液晶表示装置の導光板に本発明を適用する場合は、たとえば、図22に示すように、液晶表示パネルLCPの2つの長辺のそれぞれに沿って複数の光源LSを配置する。このとき、反射型偏光板RP、四分の一波長板QW、および反射板RFは、図21に示した配置方法を適用し、光源LSが等間隔で並ぶようにする。
図22に示した構成では、光源光の進行方向(第一の光路OP1および第二の光路OP2)と、液晶表示パネルLCPの長辺および短辺との関係が、実施例1乃至実施例5で挙げた構成とは逆になっている。そのため、図22に示した構成の場合、導光板(面発光部導光板LG2)から液晶表示パネルLCP側に出射する光は、その振動方向が液晶表示パネルLCPの長辺方向(x方向)と概ね平行な直線偏光である。したがって、このような構成の液晶表示装置の場合は、液晶表示パネルLCPの第二の偏光板PL2の透過軸PLT2を液晶表示パネルLCPの長辺方向と平行にし、第一の偏光板PL1の透過軸PLT1を透過軸PLT2と垂直にすることで、バックライトからの光の利用効率を高めることができる。
図23は、実施例8の液晶表示装置における主要部の概略構成の第四の例を示す模式平面図である。
図22に示したバックライトの構成では、導光板の2つの長辺に配置されている光源LS、反射型偏光板RP、四分の一波長板QW、および反射板RFが、長辺方向(x方向)を対称軸とした上下対称になっている。
しかしながら、導光板の2つの長辺のそれぞれに光源LSを配置するときには、たとえば、図23に示すように、導光板の2つの長辺に配置されている光源LS、反射型偏光板RP、四分の一波長板QW、および反射板RFが、導光板の中心の法線方向(z方向)を対称軸とした180度回転対称であってもよい。
図24は、実施例8の液晶表示装置における主要部の概略構成の第五の例を示す模式平面図である。
図22に示したバックライトの構成では、導光板の上側の長辺に配置された光源LSからの第一の光路OP1と、下側の長辺に配置された光源LSからの第一の光路OP1とのx方向の位置が一致している。
しかしながら、導光板の2つの長辺のそれぞれに光源LSを配置するときには、たとえば、図24に示すように、導光板の上側の長辺に配置された光源LSからの第一の光路OP1と、下側の長辺に配置された光源LSからの第一の光路OP1とのx方向の位置が、第一の光路OP1と第二の光路OP2との間隔Wの半分W/2だけずれるように配置してもよい。
図25は、実施例8の液晶表示装置における主要部の概略構成の第六の例を示す模式平面図である。
図22乃至図24に示したバックライトの構成では、導光板の2つの長辺のそれぞれに沿って光源LSを配置している。
しかしながら、ノートブック型コンピュータの表示部などに用いられる液晶表示装置の導光板に本発明を適用する場合は、このような配置に限らず、たとえば、図25に示すように、液晶表示パネルLCPの2つの短辺のそれぞれに沿って複数の光源LSを配置してもよい。このとき、反射型偏光板RP、四分の一波長板QW、および反射板RFは、図21に示した配置方法を適用し、光源LSが等間隔で並ぶようにする。
このような構成にすると、光の進行方向(第一の光路OP1および第二の光路OP2)と、液晶表示パネルLCPの長辺と短辺と関係が、実施例1乃至実施例5で挙げた構成と同じになる。そのため、図25に示した構成の場合、導光板(面発光部導光板LG2)から液晶表示パネルLCP側に出射する光は、その振動方向が液晶表示パネルLCPの短辺方向(x方向)と概ね平行な直線偏光である。したがって、このような構成の液晶表示装置の場合は、液晶表示パネルLCPの第二の偏光板PL2の透過軸PLT2を液晶表示パネルLCPの短辺方向と平行にし、第一の偏光板PL1の透過軸PLT1を透過軸PLT2と垂直にすることで、バックライトからの光の利用効率を高めることができる。
なお、実施例8で挙げた図20乃至図25のバックライトの構成は、3個以上の光源LSを用いる場合のバックライトの構成の一例である。すなわち、3個以上の光源LSを用いる導光板方式のバックライトに本発明を適用する際には、上記の図示した構成に限らず、実施例1乃至実施例5で説明したような構成のいずれかを適用すればよいことはもちろんである。
さて、本発明に関わる導光板方式のバックライトを有する液晶表示装置は、上記のように、主として、携帯型情報機器の表示部に用いられるものであり、屋外で使用されることも多い。
屋外では、光源(太陽や照明装置)などから直接照射される光の他に、たとえば、道路や水面などからの反射光がある。これらの反射光は、たとえば、自動車の運転や釣りの際の妨げになるが、いずれも水平な面からの反射光であるため、振動方向が水平面内にある直線偏光である。近年、これらの直線偏光を除くために、吸収軸を水平方向に有する偏光板を備えた偏光サングラスが普及している。
したがって、本発明を適用した液晶表示装置には、たとえば、偏光サングラスをかけた観察者も観察可能なことも要求される。すなわち、本発明を適用した液晶表示装置のうちの、屋外での使用が想定される液晶表示装置では、使用者側に面する第一の偏光板PL1の透過軸PLT1が、水平方向から充分に傾いていることが望ましく、水平方向に対して垂直であれば理想的である。
本発明を大画面の液晶表示装置に適用した場合、その用途としては、たとえば、街頭広告用の表示装置などが考えられる。これらの表示装置は、液晶表示パネルLCPの長辺が水平になるように設置することが想定される。そのため、これらの表示装置を、偏光サングラスをかけた観察者でも観察できるようにするには、当該観察者が観察する第一の偏光板PL1の透過軸PLT1の方向が長辺に対して垂直になるようにすることが望ましい。したがって、液晶表示パネルLCPの長辺が水平になるように設置する液晶表示装置に本発明を適用する場合は、バックライトの構成を、たとえば、図25に示すような構成にすることが望ましい。
また、大画面の液晶表示装置は、たとえば、複数枚の液晶表示パネルを並べて1つの大画面(表示領域)を構成することもある。そのような液晶表示装置は、液晶表示パネルLCPの短辺が水平になるように設置することもある。この場合、偏光サングラスをかけた観察者でも観察できるようにするには、当該観察者が観察する第一の偏光板PL1の透過軸PLT1の方向が長辺に対して平行になるようにすることが望ましい。したがって、液晶表示パネルLCPの長辺が水平になるように設置する液晶表示装置に本発明を適用する場合は、バックライトの構成を、たとえば、図22に示すような構成にすることが望ましい。
このように、実施例8の液晶表示装置は、使用する際の液晶表示パネルLCPの向きに応じて光源LSを配置する辺を選択することで、偏光サングラスをかけた観察者にも観察可能となる。
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
たとえば、実施例1では、導光板LG(面発光部導光板LG2)に設ける光取出し構造MPの一例として、図1に示したようなプリズム状の突起を挙げているが、当該光取出し構造MPは、これに限らず、たとえば、凸曲面状または凹曲面状の突起であってもよい。また、光取出し構造MPは、たとえば、第1の光路OP1および第2の光路OP2に対して概ね垂直な方向に延びるストライプ状の反射溝であってもよい。
また、液晶表示パネルLCPは、たとえば、第一の基板SU1と第一の偏光板PL1との間、および第二の基板SU2と第二の偏光板PL2との間に、それぞれ、1層乃至複数層の位相差板を配置した構成であってもよい。
また、前記実施例で挙げた液晶表示パネルLCPは、第一の基板SU1、第二の基板SU2、および液晶層LCLを挟むように、第一の偏光板PL1および第二の偏光板PL2を配置している。しかしながら、第一の偏光板PL1および第二の偏光板PL2は、液晶層LCLを挟むように配置されていればよいので、たとえば、第二の偏光板PL2が、第二の基板SU2と液晶層LCLとの間に配置されていてもよい。
またさらに、液晶表示パネルLCPは、たとえば、液晶層LCLに青色相を有する液晶材料やキュービック対称性を有する液晶材料などを用い、第一の配向膜AL1および第2の配向膜AL2を有さないものであってもよい。