以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図である。
図1において、1はレーザビームプリンタ、1Aはレーザビームプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。このレーザビームプリンタ1は、スキャナユニット7によって潜像が形成される感光ドラム6、感光ドラム6にトナー像を形成するよう潜像をトナーを用いて現像する不図示の現像器、クリーナ等を一体的に包括したプロセスカートリッジCAを有している。そして、これら感光ドラム6、不図示の現像器等により画像形成部300を構成している。
また、このレーザビームプリンタ1は、プリンタ本体1Aに着脱自在に装着された給紙カセット2と、給紙カセット2に収納されたシートSを給送するシート給送ローラ9とを有し、シートSを画像形成部300に給送するシート給送装置1Bを備えている。
そして、シートSに画像を形成する場合は、シート給送部材であるシート給送ローラ9によりシートSを画像形成部300に向けて送り出すようにしている。なお、シート給送ローラ9により送り出されたシートSは、まずシート給送ローラ9と摩擦板17とにより構成される分離部により一枚ずつ分離給送された後、搬送ローラ対8に搬送される。
次に、シートSは搬送ローラ対8からレジストローラ対19に搬送され、レジストローラ対19よって斜行を補正された後、所定のタイミングで転写ローラ10と感光ドラム6により構成される転写部15に搬送される。そして、この転写部15において、転写ローラ10により、それまでに感光ドラム6上に形成されたトナー像が転写される。
次に、トナー像が転写されたシートSは、定着器11に搬送され、この定着器11によって加熱加圧されてトナー像が定着される。この後、シートSは、シート排出下ローラ12及びシート排出上ローラ13によってシート排出トレイ14上に排出される。
ところで、給紙カセット2は、図2に示すように、シートを収納するカセット本体を構成するカセットケース3と、カセットケース3に上下方向に回動自在に設けられた中板31と、幅規制板32と、後端規制板33とを備えている。中板31は、シートを積載すると共にシート給送時上方回動し、シートSをシート給送ローラ9に押し付け、シート給送動作を補助するものであり、この中板31には、後述する第2後端規制部材5が進入する切り込み31aが形成されている。
幅規制板32は、シートを収納する際にシートの幅方向の端部位置を規制するものである。また後端規制板33は、シートの後端位置を規制するものであり、この後端規制板33は、第1後端規制部材4と第2後端規制部材5とを備えている。
ここで、第1後端規制部材4は、図3に示すようにシートの後端と当接する本体4Aと、シートの後端部分を支持する支持面4Bを備えると共に、カセットケース3にスライド可能に取り付けられている。また、第2後端規制部材5は、この第1後端規制部材4の幅方向中央部に、第1後端規制部材4に対してスライド可能に設けられている。
そして、給紙カセット2にシートが収納される際、シートサイズに応じた位置に幅規制板32と後端規制板33とを移動させることにより、幅規制板32によってシートの端部を規制する一方、第1及び第2後端規制部材4,5によってシートの後端を規制する。これにより、シートのサイズによらず任意のシートにおいて安定したシート給送を行うことができる。
なお、図2は大きなサイズのシートの後端を規制するときの第1及び第2後端規制部材4,5の位置を示している。また、図4は、中板31のシート給送方向の長さよりも短い、所定サイズ例えばA5サイズよりも小さいサイズのシートの後端を規制するときの第2後端規制部材5の位置を示している。なお、この場合、第2後端規制部材5を中板31に形成された切り込み31a内に進入させることにより、シートの後端を規制するようにしている。
ところで、既述したように第1後端規制部材4は、カセットケース3に対しスライド可能になっている。そして、シートの後端を規制する場合には、第2後端規制部材5と共に第1後端規制部材4を後端規制位置に移動した後、第1及び第2後端規制部材4,5をこの位置に固定(保持)する必要がある。そこで、このように第1及び第2後端規制部材4,5を後端規制位置に固定(保持)するため、本実施の形態においては第1の固定機構2A及び第2の固定機構2Bを設けている。
次に、第1後端規制部材4及び第2後端規制部材5を固定する第1及び第2の固定機構2A,2Bの構成について説明する。まず、第1後端規制部材4を固定する第1の固定機構2Aの構成について説明する。
第1の固定機構2Aは、図5に示すようにカセットケース3の底面3aに設けられ、複数の三角形状の歯により構成されると共に、シート給送方向に沿って平行に延びた第1係合手段である第1ラック歯列34と、第2ラック歯列35を備えている。また、第1の固定機構2Aは、第1後端規制部材4に回動可能に保持された第1保持部材である第1ロック部材42を備えている。ここで、この第1ロック部材42の底面には、第1ラック歯列34及び第2ラック歯列35にそれぞれ対応して三角形状の歯により構成される第1歯列48、第2歯列49が設けられている。
なお、本実施の形態のように、第1及び第2歯列48,49の歯と、第1及び第2ラック歯列34,35を三角形状の歯とすることで、機械的に高い保持強度を確保することができる。この結果、第1及び第2歯列48,49と、第1及び第2ラック歯列34,35のピッチを小さくすることができるようになり、第1後端規制部材4の設定位置を任意の位置に微調整することが可能となる。
また、本実施の形態において、第1歯列48及び第1ラック歯列34の歯の形状は、第1後端規制部材4を大サイズ規制方向に移動するときに、大きな抵抗力を発生するように大サイズ規制方向側に略垂直な面を有している。そして、第1後端規制部材4が大サイズ規制方向に力を受けた場合には、第1歯列48及び第1ラック歯列34のそれぞれの略垂直な面が圧接するようにしている。
このように、第1後端規制部材4が大サイズ規制方向に力を受けた場合、第1歯列48及び第1ラック歯列34のそれぞれの略垂直な面が圧接することにより、この力を受け止めることができ、これにより第1後端規制部材4の高い保持力を確保することができる。
また、第2歯列49及び第2ラック歯列35の歯の形状は、第1歯列48及び第1ラック歯列34の形状と逆向き、即ち第1後端規制部材4を小サイズ規制方向に移動するときに、大きな抵抗力を発生するように小サイズ規制方向側に略垂直な面を有している。これにより、第1後端規制部材4が小サイズ規制方向に力を受けた場合、この力を、第2歯列49及び第2ラック歯列35の略垂直な面が当接することによって受け止めることができ、第1後端規制部材4の高い保持力を確保することができる。
次に、第2後端規制部材5を固定するための第2の固定機構2Bの構成について説明する。
第2の固定機構2Bは、図6に示すように第1後端規制部材4の支持面4Bに設けられ、複数の三角形状の歯により構成されると共に、シート給送方向に沿って平行に延びた第2係合手段である第3ラック歯列36と、第4ラック歯列37を備えている。また、第2の固定機構2Bは、第2後端規制部材5の本体51に、上下方向に移動可能に保持される第2保持部材である第2ロック部材52を備えている。ここで、この第2ロック部材52の底面には、第3ラック歯列36及び第4ラック歯列37にそれぞれ対応して第3歯列58、第4歯列59が設けられている。
なお、本実施の形態のように、第3及び第4歯列58,59の歯及び第3及び第4ラック歯列36,37を三角形状の歯とすることで、機械的に高い保持強度を確保することができる。この結果、第3及び第4歯列58,59と第3及び第4ラック歯列36,37のピッチを小さくすることができるため、第2後端規制部材5の設定位置を任意の位置に微調整することが可能となる。
また、本実施の形態において、第3歯列58及び第3ラック歯列36の歯の形状は、第2後端規制部材5を大サイズ規制方向に移動するときに、大きな抵抗力を発生するように大サイズ規制方向側に略垂直な面を有している。そして、第2後端規制部材5が大サイズ規制方向に力を受けた場合には、第3歯列58及び第3ラック歯列36のそれぞれの略垂直な面が圧接するようにしている。
このように、第2後端規制部材5が大サイズ規制方向に力を受けた場合、第3歯列58及び第3ラック歯列36のそれぞれの略垂直な面が圧接することにより、この力を受け止めることができ、これにより第2後端規制部材5の高い保持力を確保することができる。
また、第4歯列59及び第4ラック歯列37の歯の形状は、第3歯列58及び第3ラック歯列36の形状と逆向き、即ち第2後端規制部材5を小サイズ規制方向に移動するときに、大きな抵抗力を発生するように小サイズ規制方向側に略垂直な面を有している。これにより、第2後端規制部材5が小サイズ規制方向に力を受けた場合、この力を、第4歯列59及び第4ラック歯列37の略垂直な面が当接することによって受け止めることができ、第2後端規制部材5の高い保持力を確保することができる。
なお、本実施の形態において、第1及び第2後端規制部材4,5の後端規制方向と給紙カセット2がプリンタ本体1へ挿入される方向と同じである。このため、シートを収納した状態で給紙カセット2がプリンタ本体に勢いよく挿入されると、シートの容量に応じた衝撃が第1及び第2後端規制部材4,5に加わるようになる。
そして、このとき、この荷重(衝撃)が左右均等にかからないと、第1後端規制部材4が斜めに傾く可能性がある。ここで、第1後端規制部材4が傾くと、第1後端規制部材4により後端が規制及び支持されている給紙カセット内のシートの姿勢が変わるため、シート給送の際、斜行、ジャム等の不具合を起こす恐れがある。このため、第1及び第2後端規制部材4,5にかかる荷重が均等になるよう本実施の形態においては、図7及び図8に示すように第1〜第4ラック歯列34〜37は幅方向の中央寄りに配置している。
また、シートを収納した状態で給紙カセット2が勢いよく挿入されることにより、シートの収納量に応じた衝撃を直接的に受ける第1及び第4ラック歯列34,37は、第2及び第3ラック歯列35,36より強い強度が必要となる。そこで、本実施の形態においては、第1及び第4ラック歯列34,37は第3及び第4ラック歯列35,36より歯幅を大きくしている。なお、この場合、これら第1及び第4ラック歯列34,37に噛合(係合)する第1ロック部材42の第1歯列48及び第2ロック部材52の第3歯列58も、図9に示すように第2歯列49及び第4歯列59より歯幅を大きくしている。
一方、第1及び第2後端規制部材4,5を移動させる際は、このような構成の第1及び第2の固定機構2A,2Bによる固定を解除する必要がある。次に、第1及び第2の固定機構2A,2Bの固定を解除するための構成について説明する。
図10及び既述した図6に示すように、第2後端規制部材5には、後端規制レバー61が回動可能に設けられている。ここで、この後端規制レバー61の上部にはユーザが触る操作部62が設けられ、下部には第1ロック部材42に当接する第1カム63及び第2カム64と、第2ロック部材52に当接する第3カム65及び第4カム66が設けられている。
なお、図10において、43は第1ロック部材42の第1及び第2歯列48,49に対応する位置に設けられた第1ロックバネである。そして、この第1ロックバネ43によって第1ロック部材42が押圧されることにより、第1後端規制部材4がカセットケース3に対して保持される。
また、第1ロック部材42は、第1後端規制部材4に揺動軸42aを支点として揺動可能に配置されており、一方の揺動端には第1及び第2歯列48,49が設けられ、他方の揺動端には第1ロックカム46、第2ロックカム47が設けられている。
一方、後端規制レバー61の回動中心よりやや下側には、第1ロック部材42を回動させて第1ロック部材42による第1後端規制部材4のロックを解除する第1保持解除部を構成する2つのカム形状である第1カム63と第2カム64が設けられている。
なお、この第1カム63と第2カム64は、後端規制レバー61の下部の第1ロック部材側側面に、第1ロック部材42の第1及び第2ロックカム46,47に対応して設けられている。また、第1ロック部材42の第1ロックカム46及び第2ロックカム47は、後述するように第2後端規制部材5が第1後端規制部材4に対し、離脱または一体化が可能となるように第1後端規制部材4の支持面4Bよりも上方に突出している。
また、図10において、53は第2ロック部材52を付勢する第2ロックバネであり、この第2ロックバネ53によって第2ロック部材52を付勢することにより、第2後端規制部材5が第1後端規制部材4に保持される。
ここで、第2ロック部材52は、第2後端規制部材5に対し上下に移動可能に配置されており、既述した図6に示すように、下端に設けられた第3及び第4歯列58,59と第2ロックバネ53の間に第3ロックカム56、第4ロックカム57が設けられている。
一方、後端規制レバー61の回動中心よりやや上側には、第2ロック部材52を上昇させて第2ロック部材52による第2後端規制部材5のロックを解除する第2保持解除部を構成する2つのカム形状である第3カム65と第4カム66が設けられている。なお、この第3カム65と第4カム66は、第2ロック部材52の第3ロックカム56及び第4ロックカム57に対応して設けられると共に、その作用点の位置(高さ)は略同じに設けられている。
次に、第1後端規制部材4をシートサイズに応じた位置に移動させる際、第1後端規制部材4を保持状態から解除状態にする際の操作について説明する。
この場合、後端規制レバー61の操作部62を、例えば図10に示す矢印cもしくはd方向へ倒す。これにより、後端規制レバー61の各カム63〜66が回動し、対応する第1及び第2ロック部材42,52の各ロックカム46,47,56,57に作用して第1及び第2ロック部材42,52が保持位置から解除方向に移動する。
例えば、図11に示すように、矢印c方向に後端規制レバー61の操作部62を倒した場合、後端規制レバー61は回動軸を中心に回動し、後端規制レバー61の第1カム63が第1ロック部材42の第1ロックカム46を押し下げる。
これにより、第1ロック部材42は、第1ロックバネ43の押圧力に抗しながら揺動軸42aを中心として保持解除方向に揺動し、これに伴い揺動軸42aを挟んで反対側に設けられた第1歯列48,49が押し上げられる。この結果、第1ロック部材42の第1及び第2歯列48,49とカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35の係合が解除され、第1後端規制部材4はカセットケース3に対し、保持状態から解除状態になる。
同時に、第2後端規制部材5に関しても、後端規制レバー61の第3カム65が第2ロック部材52の第3ロックカム56を押し上げるため、第2ロック部材52は第2ロックバネ53の押圧力に抗しながら保持解除方向である上方に押し上げられる。この結果、第2ロック部材52の第3及び第4歯列58,59と第1後端規制部材4の第3及び第4ラック歯列36,37の係合が解除され、第2後端規制部材5は第1後端規制部材4に対し、保持状態から解除状態になる。
一方、図12に示すように矢印d方向に後端規制レバー61の操作部62を倒した場合、後端規制レバー61は、回動軸を中心に回動し、後端規制レバー61の第2カム64が第1ロック部材42の第2ロックカム47を押し下げる。
これにより、第1ロック部材42は、第1ロックバネ43の押圧力に抗しながら揺動軸42aを中心として揺動し、これに伴い第1及び第2歯列48,49が押し上げられる。この結果、第1ロック部材42の第1及び第2歯列48.49とカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35の係合が解除され、第1後端規制部材4はカセットケース3に対し、保持状態から解除状態になる。
同時に第2後端規制部材5に関しても、後端規制レバー61の第4カム66が第2ロック部材52の第4ロックカム57を押し上げるため、第2ロック部材52は第2ロックバネ53の押圧力に抗しながら押し上げられる。この結果、第2ロック部材52の第3及び第4歯列58,59と第1後端規制部材4の第3及び第4ラック歯列36,37の係合が解除され、第2後端規制部材5は第1後端規制部材4に対し、保持状態から解除状態になる。
なお、ユーザが後端規制レバー61を倒す量は、倒し過ぎによって全ての係合部の接離動作及び全ての対応するカム部の動きに問題がないようにするため、即ち倒し過ぎがないよう不図示のストッパ等により適切な倒し量に設定されている。また、後端規制レバー61を倒した状態から、即ち第1及び第2後端規制部材4,5が解除状態となった状態から、ユーザが後端規制レバー61を放すと、既述した第1及び第2ロックバネ43,53の押圧力により、自動的に後端規制レバー61は元の位置に戻る。これにより、第1及び第2後端規制部材4,5は、移動した位置において保持状態に戻る。
以上説明したように、本実施の形態においては、唯一のユーザ操作部である共通の解除部としての後端規制レバー61の操作部62をどちらの方向へ倒しても、第1及び第2後端規制部材4,5の両方とも解除状態に移行することができる。つまり、本実施の形態によれば、ユーザは1つの後端規制レバー61の操作により第1及び第2後端規制部材4,5をロック保持またはロック解除状態にすることができる。また、1つの後端規制レバー61の操作により、第1及び第2後端規制部材4,5を、後端規制レバー61の操作方向と同方向に移動させ、シートサイズに応じた後端規制位置に移動させることができる。さらに、1つの後端規制レバー61の操作により、第1及び第2後端規制部材4,5を、後端規制レバー61の操作方向と反対方向にも移動させることができる。
ところで、既述したように、本実施の形態において、シートを収納する際、シートサイズ、言い換えればシートのシート給送方向の長さに応じた位置まで第1及び第2後端規制部材4,5をスライド移動させるようにしている。
ここで、第1及び第2後端規制部材4,5をスライドする際、シートが所定以上のシート給送方向の長さを有する場合は、第1及び第2後端規制部材4,5によりシートの後端位置を規制するように第1及び第2後端規制部材4,5を一体的にスライドさせる。また、シートが所定以上のシート給送方向の長さを有さない、所定サイズ以下の小サイズのシートの場合は、第2後端規制部材5のみスライドするようにしている。
なお、本実施の形態においては、第1及び第2後端規制部材4,5が一体的にスライドする範囲の最小サイズのシートをA5サイズのシートとし、A5サイズのシートより小さいサイズのシートの場合には、第2後端規制部材5のみスライドするものとする。
ここで、A5サイズのシートより大きいサイズのシートを収納する場合には、第1及び第2後端規制部材4,5が一体的にスライドするよう第2後端規制部材5を第1後端規制部材4と一体化させるための第3ロック部材54を設けている。
なお、この第1及び第2後端規制部材4,5を連結する連結部である第3ロック部材54は、図13に示すように、第2後端規制部材5に鉛直方向に移動可能に設けられている。そして、この第3ロック部材54は、下端に差込部79を有し、通常、上端を付勢する第3ロックバネ55による下向きに押圧力により、第1後端規制部材4に形成されたスリット部67に差し込まれるようになっている。
これにより、第2後端規制部材5は、第1後端規制部材4に対し前後方向にずれない構成になっている。また、第3ロック部材54は第2後端規制部材5に対しても前後方向には拘束されているため、第1後端規制部材4と第2後端規制部材5が一体化した状態となる。
なお、第1及び第2後端規制部材4,5が一体化した状態において第1後端規制部材4をカセットケース3に対して移動する場合には、既述したように第2後端規制部材5に回動可能に設けられた後端規制レバー61の操作部62をユーザが移動方向に倒す。これにより、第1後端規制部材4のカセットケース3に対するロックが解除されると同時に第2後端規制部材5の第1後端規制部材4に対するロックが解除される。
しかし、第2後端規制部材5の第1後端規制部材4に対するロックが解除された場合でも、第3ロック部材54の差込部79が第1後端規制部材4のスリット部67と係合しているため、第1及び第2後端規制部材4,5は一体化した状態となっている。
このため、この後、さらにユーザが後端規制レバー61を押せば、第2後端規制部材5は、第3ロック部材54が第1後端規制部材4のスリット部67と係合しているので、第1後端規制部材4と一体化した状態で移動する。この場合、第1後端規制部材4の移動方向が、後端規制レバー61の操作部62の倒す方向と略同方向、略逆方向のどちらであっても第1及び第2後端規制部材4,5が一体化した状態で、カセットケース3に対し移動する。
なお、本実施の形態においては、既述したように第3ロック部材54の差込部79が第1後端規制部材4のスリット部67に対し、前後方向にずれないようにしている。しかし、第3ロック部材54の差込部79がスリット部67に対し、前方向(シート給送方向)のみずれないようにし、後ろ方向においては第2後端規制部材5が直接第1後端規制部材4に突き当たるようにしても良い。そして、このようにして前後を拘束することにより、第1後端規制部材4と第2後端規制部材5が一体化した状態とするようにしても良い。
一方、A5サイズのシートより小サイズのシートを給紙カセット2に収納する場合は、第2後端規制部材5を、第1後端規制部材4から離脱させ、第2後端規制部材5のみ、第1後端規制部材上をスライドさせるようにする。
次に、このように第2後端規制部材5のみをスライドさせるための構成について説明する。なお、本実施の形態において、第1後端規制部材4がスライドする際、第1及び第2後端規制部材4,5が一体的にA5サイズのシートの収納位置まで移動すると、第1後端規制部材4の前側先端がカセットケース3の不図示の突き当て部にぶつかるようになる。この結果、第1後端規制部材4は、これ以上シート給送方向下流側、即ち中板側へ移動することができない。なお、以下、A5サイズのシートの収納位置をA5収納位置、A5サイズよりも小さいサイズのシートの収納位置を小サイズ収納位置、A5サイズよりも大きいシートの収納位置を大サイズ収納位置という。
ここで、第2後端規制部材5を第1後端規制部材4から離脱して第2後端規制部材5のみスライド可能にするためには、第3ロック部材54の第1後端規制部材4のスリット部67との係合を解除する必要がある。
このため、本実施の形態においては、図13に示すようにカセットケース3には、第3ロック部材54によるロックを解除するための傾斜部77を備えた連結解除部材である第3ロック解除リブ38が設けられている。そして、A5サイズよりも大サイズのシートに対応する位置にある第1後端規制部材4を小サイズのシートに対応する位置まで後端規制方向にスライドさせると、第3ロック部材54の差込部79が第3ロック解除リブ38の傾斜部77に当接する。
ここで、差込部79が傾斜部77に当接した後、さらに第1後端規制部材4を移動させると、第3ロックバネ55に抗しながら第3ロック部材54は第3ロック解除リブ38の傾斜部77に押されて、図14に示すように第2後端規制部材内を上方に移動する。これにより、第3ロック部材54の差込部79が第1後端規制部材4のスリット部67から抜けるようになり、第2後端規制部材5が第1後端規制部材4から離脱する。
なお、本実施の形態において、第3ロック部材54がスリット部67と係合している際、図13に示すように第3ロック解除リブ38の上端面高さを、スリット部67の下端面高さよりも高く設定し、両者を上下方向でオーバーラップさせている。これにより、第3ロック部材54の下端の差込部79が第1後端規制部材4のスリット部67から抜けやすくしている。
また、第3ロック部材54の差込部79が第1後端規制部材4のスリット部67から抜けやすくするため、差込部79の先端部を略V字形状にしている。さらに、第1後端規制部材4のスリット部67のシート給送方向側端部上部にC面取りのように傾斜面であるテーパ部78を設けている。
ここで、第3ロック解除リブ38は、第3ロック部材54とスリット部67が係合している状態では、第3ロック部材54の差込部79のV字形状とスリット部67のテーパ部78がぶつからないように、互いの鉛直面同士が突き当たるように構成されている。また、第3ロック解除リブ38の傾斜部77は、第1後端規制部材4がA5サイズ収納位置にあるとき、第3ロック部材54の差込部79とスリット部67の鉛直面同士がぶつからないように差込部79をガイドする位置に設けられている。
これは、以下の理由によるものである。A5収納位置において、差込部79とスリット部67の鉛直面同士がぶつかると、小サイズ収納位置に第1後端規制部材4を移動させようとする際、差込部79が第3ロック解除リブ38の傾斜部77に沿って上方移動することができない。なお、これは、この状態のとき、第1後端規制部材4がカセットケース3に対して突き当たって移動しないためである。そして、このような場合、第3ロック部材54はスリット部67から抜け出せずに第2後端規制部材5は第1後端規制部材4からの離脱ができない。
そこで、本実施の形態においては、既述したように第3ロック部材54の差込部79にV字形状を設けると共に、スリット部67に、テーパ形状を設け、これらV字形状とテーパ形状とにより差込部79を上方移動させるガイド部を構成する。
そして、このようなガイド部を設けることにより、第1後端規制部材4を大サイズ収納位置から小サイズ収納位置に移動する際、ある位置からA5収納位置までは第3ロック解除リブ38の傾斜部77により第3ロック部材54を上方に移動させることができる。さらに、小サイズ収納位置へ移動する際は、第2後端規制部材5と共に前方向に移動する第3ロック部材54の差込部79が、ガイド部により上方向へ移動するようにする。この結果、第3ロック部材54が第1後端規制部材4のスリット部67から抜け出し、第2後端規制部材5は第1後端規制部材4から離間した状態となる。
なお、図14に示すように、第3ロック解除リブ38の傾斜部77の第1後端規制部材4のスライド方向(略水平方向)に対する角度(以下、傾斜角度αという)よりも、第3ロック部材54の差込部79のV字角度γの方が大きく設定されている。また、第3ロック解除リブ38の傾斜部77の傾斜角度αよりも、スリット部67のテーパ78の第1後端規制部材4のスライド方向に対する角度(以下、テーパ角度βという)の方が大きく設定されている。
本来、第1後端規制部材4を大サイズ収納位置からA5収納位置に移動させると、A5収納位置の直前までは第3ロック部材の差込部79と第1後端規制部材4のスリット部67が鉛直面同士で接触する。これにより、第1及び第2後端規制部材4,5が一体的に移動する。また、この後、A5収納位置においてカセットケース3の第3ロック解除リブ38の作用により第3ロック部材の差込部79が第1後端規制部材4のスリット部67より上方に移動して係合が解除される。
しかし、この第3ロック部材の差込部79の上方移動は、部品精度やガタ等のばらつきがあった場合には、確実に行うことはできない。さらに、部品精度やガタ等のばらつきがあった場合には、既述したようにA5収納位置において、第3ロック部材54の差込部79と第1後端規制部材4のスリット部67が鉛直面同士で接触してしまう可能性もある。
このため、第1後端規制部材4を大サイズ収納位置からA5収納位置に移動するわずか前には、第3ロック解除リブ38の傾斜部77が作用して第3ロック部材54を押し上げるようにしている。これにより、第3ロック部材54の差込部79とスリット部67の鉛直面同士が当たることなく、どちらか一方もしくは両者にある傾斜面が接触するようになる。
なお、このとき、まだ第1後端規制部材4の前側先端はカセットケース3の突き当て部に達していないため、この後、第1後端規制部材4の前側先端をカセットケース3の突き当て部に確実に突き当てるようにする必要がある。そこで、第1後端規制部材4の前側先端をカセットケース3の突き当て部に確実に突き当てるようにするため、第3ロック部材54の差込部79と第1後端規制部材4のスリット部67のどちらか一方もしくは両者にある傾斜面の角度を大きくしている。
これにより、第3ロックバネ55の押圧力に抗して第3ロック部材54が第3ロック解除リブ38の傾斜部77に沿って上方移動するのを難しくすることができ、鉛直面同士の接触でなくても差込部79がスリット部67を前方向に押し出すことができる。この結果、第1後端規制部材4をカセットケース3の突き当て部まで確実に移動させることができ、A5サイズ収納位置まで確実に第1及び第2後端規制部材4,5を一体化状態で移動させることができる。
さらに、差込部79とスリット部67の傾斜面の角度を大きくすることにより、第1及び第2後端規制部材4、5がA5サイズ収納位置にある状態のとき、操作部を小サイズ収納位置へ押し込む際、第3ロック部材54の上方移動を難しくすることができる。これにより、鉛直面同士の接触でなくても第3ロック部材54の差込部79が第1後端規制部材4のスリット部67を前方向に押し出すことができる。
さらに、第3ロック解除リブ38の傾斜角度α等について詳しく説明する。本実施の形態において、第1後端規制部材4を大サイズ収納位置から小サイズ収納位置方向へ移動させていくと、やがて既述したように第3ロック部材54の差込部79が第3ロック解除リブ38の傾斜部77に当接する。この後、さらに第1後端規制部材4を移動させると、第3ロックバネ55に抗しながら第3ロック部材54は第3ロック解除リブ38の傾斜部77に押されて第2後端規制部材5内を上方向に移動する。
このとき、第1後端規制部材4の移動に必要な操作力が第3ロック部材54の差込部79が第3ロック解除リブ38の傾斜部77に当接する前に比べて大きくならないように、なるべく第3ロック解除リブ38の傾斜角度αは小さくしている。
しかし、もともと第1後端規制部材4が大サイズ収納位置からA5収納位置付近まで移動したとき、第3ロック部材54の差込部79とスリット部67は、互いの鉛直面同士での接触から、少なくともどちらか一方が傾斜した面で接触するようになる。そして、このように傾斜した面で接触するようにすることにより、第3ロック部材54の差込部79が第1後端規制部材4のスリット部67に対し抜けやすくしている。
このため、第3ロック部材54の差込部79のV字角度γを第3ロック解除リブ38の傾斜角度αと比べて同等もしくは小さくすると、第1後端規制部材4が突き当て部にぶつかる前に、第2後端規制部材5が第1後端規制部材4から離脱する可能性がある。つまり、第1後端規制部材4がA5収納位置まで移動する前に、第2後端規制部材5が第1後端規制部材4に対し離脱してしまう可能性がある。
また、スリット部67のテーパ角度βを第3ロック解除リブ38の傾斜角度αと比べて同等もしくは小さくすると、第1後端規制部材4がカセットケース3の突き当て部にぶつかる前に第2後端規制部材5が第1後端規制部材4から離脱してしまう可能性がある。
一方、既述したように確実に第1後端規制部材4の前側先端がカセットケース3の突き当て部にぶつかった後に、第2後端規制部材5を第1後端規制部材4から離脱させる必要がある。そこで、既述したように第3ロック部材54の差込部79のV字角度γもしくは第1後端規制部材4のスリット部67のテーパ角度βを第3ロック解除リブ38の傾斜角度αと比べて大きくしている。
このように構成することにより、差込部79が傾斜部77に当接し、上方向に移動する状態で必要な操作力の方が、差込部79がスリット部67に当接していても、第1後端規制部材4を前方向に移動させる操作力よりも大きくなるようにすることができる。これにより、確実に第1後端規制部材4の前側先端がカセットケース3の突き当て部にぶつかるまで第1後端規制部材4を移動することができ、またA5収納位置まで第1後端規制部材4と第2後端規制部材5が一体化して移動する状態を実現できる。
また、第1後端規制部材4をA5収納位置からさらに小サイズ収納位置へ移動する際、例えば図10に示す後端規制レバー61の第1及び第2カム63,64と、第1ロック部材42の第1及び第2ロックカム46,47は離れる必要がある。つまり、第1後端規制部材4から第2後端規制部材5が離脱する際、後端規制レバー61の第1及び第2カム63,64と、第1ロック部材42の第1及び第2ロックカム46,47は離れる必要がある。
そこで、本実施の形態においては、図10〜図12に示す通り、後端規制レバー61のシート給送方向上流側に位置する第2カム64の作用点の位置は、シート給送方向下流側に位置する第1カム63の位置よりも高くなるように設定されている。また、同様に対向する第1ロック部材42の第2ロックカム47の位置も第1ロックカム46の位置よりも高くなるように設定されている。
これにより、後端規制レバー61の操作部62をユーザがc方向、d方向のどちらに倒した状態で第1後端規制部材4を移動させても、第1後端規制部材4から第2後端規制部材5が離脱する際に進行方向に対し逆段差による引っかかりが少なくなる。この結果、第1後端規制部材4をA5収納位置から、さらに小サイズ収納位置へ移動する際、第1及び第2後端規制部材4,5が離脱しやすくなる。
以上のように構成することにより、第2後端規制部材5に取り付けられた後端規制レバー61の操作部62を操作して第1後端規制部材4を大サイズ収納位置から小サイズ収納位置へ移動する際、途中で第1後端規制部材4と第2後端規制部材5が離脱可能になる。
一方、第1後端規制部材4が大サイズ収納位置からA5収納位置まで移動する際は、第1ロック部材42の第1及び第2歯列48,49とカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35は離間した状態である。
また、第1後端規制部材4がA5収納位置から小サイズ収納位置まで移動する際は、第1及び第2後端規制部材4,5が離脱する。このため、後端規制レバー61の第1及び第2カム63,64は対向する第1ロック部材42の第1及び第2ロックカム46,47と離間する。なお、このとき第1ロック部材42の第1及び第2歯列48,49とカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35は係合するので、第1後端規制部材4はA5収納位置のまま、カセットケース3に保持される。
さらに後端規制レバー61の操作部62を操作していくと、第2後端規制部材5のみカセットケース3に保持された第1後端規制部材4上を前方向に移動する。そして、この後、第2後端規制部材5の前側先端部が、カセットケース3に設けられた第1後端規制部材4とは別の突き当て部にぶつかって停止する。この状態が本実施の形態における最小サイズのシートの収納状態となる。
また、ユーザが後端規制レバー61の操作部62から手を放すと、即ち操作部62に加えた操作力を解放すると、後端規制レバー61の第3及び第4カム65,66による第2ロック部材52の第3及び第4ロックカム56,57への押し上げがなくなる。これにより、第2ロックバネ53の下への押圧力により第2ロック部材52が下降する。
この結果、第2ロック部材52の下端に設けられた第3及び第4歯列58,59が、カセットケース3に係合状態の第1後端規制部材4に設けられた第3及び第4ラック歯列36,37に係合し、第2後端規制部材5が第1後端規制部材4に対し保持される。
このように、最小サイズのシートの収納状態、即ち、第1後端規制部材4と第2後端規制部材5とが離脱した状態においても、カセットケース3に対し第1及び第2後端規制部材4,5を保持することができる。次に、給紙カセット2を最小サイズのシートの収納状態からA5サイズのシート、さらには最大サイズのシート収納状態へと、シート給送方向の長さを長くする方向へ伸張する動作について説明する。
給紙カセット2を、最小サイズ仕様に設定した状態から、A5サイズのシート収納状態へ設定変更する場合、まず後端規制レバー61の操作部62を前後どちらかの方向に倒す。これにより、既述したように後端規制レバー61の第2カム65が第2ロック部材52を持ち上げ、第1後端規制部材4に対する第2後端規制部材5のロックが解除される。
このとき、第1後端規制部材4はカセットケース3に対しロックされているため、さらに後端規制レバー61の操作部62を後ろ方向に移動させると、後端規制板上を第2後端規制部材5がスライド移動し、A5収納位置まで移動する。
そして、このように第2後端規制部材5がA5収納位置まで移動すると、それまで第3ロック解除リブ38に沿って第2後端規制部材5と一体的に移動していた第3ロック部材54が第3ロック解除リブ38から外れる。これにより、第3ロックバネ55の下向きの押圧力によって第3ロック部材54がスリット部67に係合し、第1後端規制部材4と第2後端規制部材5が一体化した状態となる。
ところで、A5収納位置に達する直前、図15に示すように、後端規制レバー61の第1及び第2カム63,64が、第1ロック部材42の第1及び第2ロックカム46,47に対して離間状態から当接状態になるよう接近する。この際、第1及び第2カム63,64と、第1及び第2ロックカム46,47がぶつかる可能性がある。
つまり、第2後端規制部材5が小サイズ収納位置からA5収納位置に達する前に後端規制レバー61の第1及び第2カム63,64と第1ロック部材42の第1及び第2ロックカム46,47がぶつかる可能性がある。なお、この衝突は、部品精度上の不具合や部品間の隙間のみならず、後端規制レバー61を倒した状態で移動することを考慮すると、避けることは難しい。
そして、このようにぶつかった状態でさらに後端規制レバー61の操作部62を押すと、設定された位置以外で第1及び第2カム63,64が第1及び第2ロックカム46,47と押圧し、第1及び第2ロックカム46,47を下方向に押し込んでしまう。
この場合、第1ロック部材42が揺動し、これに伴って第1及び第2歯列48,49がカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35から離間し、カセットケース3に対して第1後端規制部材4が解除状態となる。その上、この状態でさらに後端規制レバー61を押すことにより、設定された位置以外で第1及び第2カム63,64が第1及び第2ロックカム46,47を下方向と同時に後ろ方向にも押し込んでしまう。
この結果、第2後端規制部材5がA5収納位置に達する前に第1後端規制部材4が大サイズ収納方向に移動してしまう。そして、このような事態が起こると、第1後端規制部材4と第2後端規制部材5のA5サイズ収納位置における一体化動作が行われなくなってしまう。
このため、本実施の形態では、第1後端規制部材4を移動した際に、カセットケース3に弾性的に係合し、ユーザに対してクリック感を与えるクリック部材を用いて第1後端規制部材4と第2後端規制部材5の一体化動作を実現している。
ここで、このように第1後端規制部材4を移動した際にクリック感を与える部材として、本実施の形態においては、例えば既述した図7に示すように後端クリック部材44を備えている。
なお、この後端クリック部44は、第1後端規制部材4を定型サイズのシートの収納位置(後端規制位置)に移動させた際にクリック感を出すためのものであり、第1後端規制部材4に対し特に前後方向に拘束され、上下方向に移動可能に取り付けられる。45は後端クリック部材44を下方向に押圧するための後端クリックバネである。
また、カセットケース3には第1後端規制部材4が定型サイズのシートの収納位置に正しく保持されるように、図8に示すように後端クリック部材44の下端のV字形状に対応するV字形状を有する凹部(第1凹部)44aが複数形成されている。このように後端クリック部材44の下端のV字形状とカセットケース側の凹部が係合することにより、大サイズ収納位置からA5収納位置までの第1後端規制部材4が移動する際、定型サイズのシートの収納においてユーザにクリック感を与えることができる。
一方、小サイズのシートを収納する際には第2後端規制部材5のみが移動するが、このように第2後端規制部材が移動するときにも、定型サイズのシートを収納する際、同様なクリック感を与えるようにしている。このため、本実施の形態においては、第3ロック部材54の下端のV字形状を利用している。なお、図16に示すように、第3ロック部材54の下端のV字形状に対応するV字形状の凹部(第2凹部)38aが、カセットケース3の第3ロック解除リブ38上に形成されている。
ここで、第2後端規制部材5が小サイズ収納位置からA5収納位置に移動する際に、第1及び第2カム63,64と第1及び第2ロックカム46,47がぶつかることへの対策として、第1後端規制部材4のA5収納位置でのクリック感を大きくしている。このため、複数形成されているセットケース側の凹部のうち、A5収納位置で後端クリック部材44と係合する凹部の形状を他凹部の形状と異なるようにし、これにより抵抗が大きくなるようにしている。そして、このようにすることにより、カセットケース3に対し第1後端規制部材4がA5収納位置から移動し難くすることができる。
この後端クリック部材44の係合動作は、後端規制レバー61の操作とは独立しており、第1後端規制部材4の第1ロック部材42の第1及び第2歯列48,49とカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35との係合が離間していても作用する。このため、第1及び第2カム63,64と第1及び第2ロックカム46,47がぶつかっても、後端クリック部材44により、第1後端規制部材4がA5収納位置から移動しないようにすることができる。そして、このように第1後端規制部材4が移動しなければ、そのまま後端規制レバー61を押すことにより第1及び第2後端規制部材4,5の一体化が可能となる。
なお、本実施の形態においては、図25(a)、(b)に示す第1カム63と第1ロックカム46とのぶつかる際の第1カム部の角度δ、及び第2カム64と第2ロックカム47とのぶつかる際の第2ロックカム部の角度εを小さくしている。なお、角度δ及び角度εは水平方向からの角度を示している。
ここで、ぶつかる際の角度が水平方向に対し大きいと、ぶつかった際、第1及び第2カム63,64が第1及び第2ロックカム46,47を下方向と後ろ方向へ同時に押し込んでしまう。この場合、第1ロック部材42の第1及び第2歯列48,49がカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35から離間し、さらに第1後端規制部材4を後ろに押してしまい第1後端規制部材4がカセットケース3に対し移動してしまう。
そこで、このような第1後端規制部材4の移動を防ぐため、後端規制レバー61の第1及び第2カム63,64と第1及び第2ロックカム46,47とがぶつかる際の角度を小さくしている。なお、このように構成した場合、ぶつかった際、第1及び第2カム63,64が第1及び第2ロックカム46,47を下方向へ押してしまうようになる。このため、第1ロック部材42の第1及び第2歯列48,49がカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35から離間する。
しかし、さらに第1後端規制部材4を後ろに押そうとしても、両者がぶつかる角度は小さいため抵抗が小さくなる。そして、このときの抵抗は、既述した第1後端規制部材4のA5収納位置での後端クリック部材44による抵抗と比べて小さいため、第1後端規制部材4はカセットケース3に対しA5収納位置から移動し難くすることができる。
なお、第1及び第2カム63,64と第1及び第2ロックカム46,47とのぶつかる際の角度を小さくするのは、第1ロック部材42の第1及び第2歯列48,49とカセットケース3の第1及び第2ラック歯列34,35の離間量の関係で難しい場合がある。
このため、本実施の形態では、図17に示すように、第2カム64及び第1ロックカム46を幅方向に左右非対称のカム形状にする。ここで、第2カム64の側端側を第1カム部73、中央側を第2カム部74とする。また、第1ロックカム46の側端側を第1ロックカム部75、中央側を第2ロックカム部76とする。なお、第2カム部74は第1カム部73に対し逃げた形状となっており、第1ロックカム部75は第2ロックカム部76に対し逃げた形状となっている。また、後端レバー61をd方向に倒し、第1及び第2後端規制部材4、5を一体化する際に、第1ロックカム部75は第1カム部73を、第2カム部74は第2ロックカム部76をそれぞれ回避する形状となっている。そして、第1及び第2後端規制部材4、5が一体状態において、後端規制レバー61をd方向に倒したときに第1カム部73は第2ロックカム47を押し下げる。さらに、後端規制レバー61をc方向に倒したときに第1カム63は第1ロックカム部76を押し下げる。これにより、第1ロック部材42を解除する。
ここで、図17は後端規制レバー61をd方向に倒して第2後端規制部材5を小サイズ収納位置からA5収納位置へ移動しようとした際の状態を示している。このとき、後端規制レバー61の第2カム部74が逃げ形状となることで部品精度上の不具合や後端規制レバー61を倒して移動することで生じる第1ロックカム46の第2ロックカム部76のカム形状とのぶつかりの角度を小さくすることができる。あるいは、ぶつかりを避けることができる。また、第1ロックカム46の第1ロックカム部75が逃げ形状となることで第2カム64の第1カム部73のカム形状とのぶつかりの角度を小さくする、あるいはぶつかりを避けることを実現している。
なお、このようにカム形状を左右非対称の形状にして逃げ形状を追加しても、第2カム64の第1カム部73及び第1ロック部材42の第2ロックカム47と、第1カム63と第1ロックカム46の第2ロックカム部76において既述した説明と同様の形状である。このため、第1後端規制部材4と第2後端規制部材5が一体化した際にカム関係が崩れることなく、正常に動作することが可能である。
または、図24(a),(b)に示すように、幅方向に第2カム64及び第1ロックカム46をお互い回避する形状とする。ここで、第2カム64の中央側を第1カム部73a、両端部側を第2カム部74a、74bとする。また、第1ロックカム46の中央側を第1ロックカム部75a、両端部側を第2ロックカム部76a、76bとする。第2カム部74a、74bは第1カム部73aに対して逃げる形状となっており、第1ロックカム部75aは第2ロックカム部76a、76bに対して逃げる形状となっている。さらに、図24(b)に示すように後端レバー61をd方向に倒し、第1及び第2後端規制部材4、5を一体化する際に、第1ロックカム部75aは第1カム部73aに対し回避する形状となっている。また、第2カム部74a、74bは第2ロックカム部76a、76bに対しそれぞれ回避する形状となっている。これにより、第1及び第2後端規制部材4、5が一体状態において、後端規制レバー61をd方向に倒したときに中央にある第1カム部73aが第2ロックカム47を押し下げる。さらに、後端規制レバー61をc方向に倒したときに両端にある第1カム63が第1ロックカム部76a、76bを押し下げる。これにより、第1ロック部材42を解除する。この際、両端、中央にカム形状が存在することにより安定して第1ロック部材42に接触可能となり、ユーザビリティが向上する。
一方、後端規制レバー61をc方向に倒して第2後端規制部材5を小サイズ収納位置からA5収納位置へ移動しようとした際には、後端規制レバー61の第1及び第2カム63,64と第1及び第2ロックカム46,47とのぶつかる際の角度が小さくなる。このため、第1後端規制部材4はカセットケース3に対しA5収納位置から移動し難くなる。
以上説明したように、第2カム64及び第1ロックカム46を幅方向に左右非対称のカム形状とすることにより、円滑に第1後端規制部材4と第2後端規制部材5の一体化動作が可能となる。
ところで、本実施の形態においては、第1後端規制部材4の本体4A及び第2後端規制部材5の本体51には、図2に示すシート収納時のシートと突き当たる突き当て面4A1,5A1が設けられている。そして、第1及び第2後端規制部材4,5が別体となっている小サイズ収納状態においては、シートの後端は第2後端規制部材5のシート突き当て面5A1にのみ突き当たる。
しかし、第1及び第2後端規制部材4,5が一体化したA5サイズのシートを含む大サイズシートの収納状態においては、第2後端規制部材5の突き当て面5A1が第1後端規制部材4の突き当て面4A1よりシート後端に対し逃げるように配置している。これにより、シート後端は、第1後端規制部材4の突き当て面4A1にのみ突き当たるようになる。
そして、このように構成することにより、大サイズシートの場合、第2後端規制部材5よりも幅方向に長い第1後端規制部材4の突き当て面4A1をシートの後端に積極的に突き当てることができる。これにより、シートの収納位置のずれ、つまりシート給送方向からの傾き、ずれ等を無くし、シート給送時の斜行を防止することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ユーザは1つの後端規制レバー61の操作により、第1及び第2後端規制部材4,5の後端規制位置の保持を解除し、収納するシートのサイズに応じた後端規制位置に移動させることができる。この結果、ユーザビリティを向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図18は、本実施の形態に係るシート給送装置に設けられた給紙カセットの構成を説明する図である。なお、図18において、既述した図11と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
本実施の形態においては、給紙カセット2のシート収納容量を増やすため、第1及び第2後端規制部材4,5の高さを高くしている。ここで、このように第2後端規制部材5の高さを高くすると、後端規制レバー61の回動中心の位置も高くなり、このように後端規制レバー61の回動中心の位置が高くなると、後端規制レバー61を操作しても回動角度が小さくなる。
この結果、後端規制レバー61に設けられた第1カム63及び第2カム64が、対応する第1ロック部材42の第1ロックカム46及び第2ロックカム47を押す構成が適切でなくなってしまい、第1後端規制部材4のロックを解除できない可能性がある。
そこで、本実施の形態においては、図19に示すように第1後端規制部材4に回動自在に取り付けられた第1ロック部材42に第5ロックカム82を設けている。また、第2後端規制部材5に、後端規制レバー61と第1ロック部材42との間に位置し、後端規制レバー61の操作を第1ロック部材42に伝達するリンク部材であるリンクカム部材83を上下方向に移動可能に設けている。
ここで、リンクカム部材83は、後端規制レバー61の第1カム81に対応する第1リンクカム84及び第2リンクカム85を有すると共に、第1ロック部材42の第1ロックカム82に対応する第3リンクカム86とを有している。
そして、例えば図20に示すようにユーザが後端規制レバー61の操作部62をc方向に倒すと、後端規制レバー61に設けられた第1カム81が回動し、第2リンクカム85を押し込むので、リンクカム部材83が下方向に移動する。この結果、第3リンクカム86が第1ロックカム82を押すことができる。
また、図21に示すようにユーザが後端規制レバー61の操作部62をd方向に倒しても同様に、後端規制レバー61に設けられた第1カム81が回動し第1リンクカム84を押し込むので、リンクカム部材83が下方向に移動する。この結果、第3リンクカム86が第1ロックカム82を押すことができる。
これにより、リンクカム部材83を用いた場合においても、ユーザが後端規制レバー61の操作部62をc方向、d方向のどちらに倒しても、第1ロック部材42によるカセットケース3に対する第1後端規制部材4のロックを解除することができる。
このように、本実施の形態のように、リンクカム部材83を用いることにより、後端規制レバー61の操作により、第1及び第2後端規制部材4,5の後端規制位置の保持を解除し、収納するシートのサイズに応じた後端規制位置に移動させることができる。これにより、大量のシートが収納できるように、シート積載高さを高くするため第2後端規制部材5の高さを大きくした場合でも、ユーザビリティを向上させることができる。