JP5082783B2 - 矩形紡糸パックおよび矩形紡糸パックを用いた合成繊維の紡糸方法 - Google Patents

矩形紡糸パックおよび矩形紡糸パックを用いた合成繊維の紡糸方法 Download PDF

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Description

本発明は、合成繊維用の矩形紡糸パックおよび合成繊維の紡糸方法に関するものであり、さらに詳しくは、ポリマーが流入するパック内での空気の残存、ポリマー吐出斑を改善する矩形紡糸パックおよびこのパックを用いた合成繊維の紡糸方法に関するものである。
一般に合成繊維の紡糸に用いられる紡糸パックとしては、図3に示す丸型紡糸パックが広く使われており、下部パックケース5内に、紡糸されるポリマーの全体流れの方向に順に濾過材2と、多孔板3と、上面から見た形状が円形である口金4を配置し、これら濾過材2と、多孔板3と、口金4とをポリマー流入管6を有する上部パックケース1で一体に組み立てて構成されている。前記上部パックケース1は、図4に示すように、ポリマー流れに直交する断面を見たとき、その断面形状が円形であるポリマー流路Fを有しており、ポリマーは、図示しないポリマー供給管から上部パックケース1に備えられているポリマー流入管6へ導入され、濾過材2、多孔板3を経て口金4から紡糸されるようになっている。
これまで前記丸型紡糸パックについては、ポリマーの異常滞留による糸切れや糸状の品質斑といった課題に対する対策として、例えば、上部パックケースの適正な壁面形状について提案され(例えば、特許文献1参照)、また、上部パックケース端部を円弧状にすることで紡糸パックケース内端部における異常滞留の防止について提案されており(例えば、特許文献2参照)、丸型紡糸パック内での流れの適正化対策が講じられてきた。
しかしながら、近年生産性向上による生産機の大型化の流れを受け、口金ホール数をより増やすことができる矩形口金のニーズが高まっている。その中で合成繊維の紡糸に用いられる矩形紡糸パックとしては、図5に示す構造の矩形紡糸パックが知られているが、この矩形紡糸パック技術には次のような欠点がある。
前記矩形紡糸パックにおいては、ポリマーがポリマー流入管6から上部パックケース1内のポリマー流入管6の流出面と上部パックケース下端までを直線で結んだポリマー流路Fを経て、濾過材まで流入するが、ポリマー全体流れに直交する断面にて、図6に示すように、その断面の中心から壁面までの各距離が不均一であるため、流入されたポリマーがその断面における壁面に到達するまでの時間が異なる。そのため、上部パックケース1内にてポリマー滞留時間の異なる領域が生まれ、前記ポリマー滞留時間が長い領域ではポリマーが劣化され、糸切れが生じやすくなったり、太さに斑を生じさせるなどの品質斑を生じさせる問題があった。
また、ポリマー流路内において、ポリマー流速のバラツキが大きく、流速の遅い部分にて空気が残存しやすく、残存空気の流出による糸切れを発生させていた。
これらの課題に対し、上記特許文献の技術は丸型紡糸パックに限定した技術内容であり、仮に上記特許文献1を矩形紡糸パックの上部パックケースに適用させた場合、図21に示すように上部パックケース端部にポリマー全体流れに平行な方向に壁が作られ、上部パックケース端部においてポリマーの異常滞留が生じやすくなる。特に短辺方向においては前記壁が高くなるため、空気も残存しやすくなり、ポリマー流れを適正化することができない。また、ポリマーを外周方向へ導くことのできる多孔板を用いて紡糸パックの上部パックケース端部までの流れを適正化することについても提案されているが(例えば、特許文献3参照)、上部パックケース内のポリマー流入管の流出面と上部パックケース下端までを直線で結んだポリマー流路であるため、空気が残存しやすい領域が生まれ、残存空気の流出による糸切れが発生することから適用できず、上記問題の解決には至らなかった。
特開平6−264304号公報 特開2000−017517号公報 特開2003−342826号公報
本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決しようとするものであり、簡単な構造でポリマーの流路形状を最適化させることにより、空気の残存をなくし、糸切れの発生、紡出糸の品質斑を低減できる矩形紡糸パックおよび合成繊維の紡糸方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次のいずれかの構成を有する。すなわち、
(1)下部パックケース内に、紡糸されるポリマーの全体流れの方向に順に濾過材と、多孔板と、上面から見た孔配置が矩形である口金とをこの順序で配置し、これら濾過材と、多孔板と、口金とを上部パックケースで一体に組み立ててなる紡糸パックであり、前記上部パックケースはポリマー全体流れに直交する断面を見たとき、その断面形状が矩形であるポリマー流路を有しており、紡糸パックの中心軸を通り、ポリマー全体流れに平行な断面を見たとき、ポリマー流路壁面の傾斜が下流にいくにつれ緩やかになる末広がり状であることを特徴とする矩形紡糸パック。
(2)前記ポリマー流路において、紡糸パックの中心軸をポリマー流れ方向を負とするz軸とし、z軸と上部パックケース流出面とが交わる点を原点、原点を通り上部パックケース流出面の一辺に平行な方向をx軸、原点を通り前記x軸に直交する方向をy軸、上部パックケース流出面からポリマー流入管流出面までの距離をL、ポリマー流入管半径をrとすると、z軸に直交するポリマー流路断面が、下記式(1)
Figure 0005082783
を満足する点を中心値とし±15%の範囲内に頂点を有する矩形であることを特徴とする前記(1)に記載の矩形紡糸パック。
ただし、X:上部パックケース流出面におけるx軸方向の一辺長さの1/2
:上部パックケース流出面におけるy軸方向の一辺長さの1/2
(3)前記ポリマー流路において、紡糸パックの中心軸をポリマー流れ方向を負とするz軸とし、z軸と上部パックケース流出面とが交わる点を原点、原点を通り上部パックケース流出面の一辺に平行な方向をx軸、原点を通り前記x軸に直交する方向をy軸、上部パックケース流出面からポリマー流入管流出面までの距離をL、ポリマー流入管半径をr、前記ポリマー流路を、z=0を1段目としてz軸方向にnmax段に分割すると、z=zであるn段目のz軸に直交するポリマー流路断面が、下記式(1)
Figure 0005082783
を満足する点を中心値とし±15%の範囲内に頂点を有する矩形をしており、ポリマー流路壁面はz=zであるn段目断面の矩形の各辺と、z=zn+1である(n+1)段目断面の矩形の各辺が直線で結ばれた平面である、請求項1に記載の矩形紡糸パック。
ただし、X:上部パックケース流出面におけるx軸方向の一辺長さの1/2
:上部パックケース流出面におけるy軸方向の一辺長さの1/2
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の矩形紡糸パックを用いて紡糸することを特徴とする合成繊維の紡糸方法。
本発明の矩形紡糸パックによれば、ポリマー流路を最適化することができるようになる。したがって、パック内での空気の残存、ポリマー吐出斑を防止することができ、安定して紡糸することが可能となり、品質の低下を防ぎ、品質および生産性を大幅に向上させることができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
図1は、本発明に係る矩形紡糸パックの一実施形態を示すポリマー流れに平行な断面図である。図1において、下部パックケース5内に、紡糸されるポリマーの全体流れの方向に順に濾過材2と、多孔板3と、上面から見た孔配置が矩形である口金4を配置し、これら濾過材2と、多孔板3と、口金4とをポリマー流入管6を有する上部パックケース1で一体に組み立ててなるものである。上部パックケース1は、ポリマー流れに直交する断面を見たとき、その断面形状が矩形であり、かつ、紡糸パックの中心軸を通り、ポリマー全体流れに平行な断面を見たとき、ポリマー流路壁面の傾斜が下流にいくにつれ緩やかになる末広がり状のポリマー流路Fを形成している。なお、符号7は、組立時に各部材が直接接触して損傷したり、ポリマーの流出を防いだりするためのパッキンを示し、符号8は組立用のボルトを示している。
上記において、濾過材2は、金網や不織布のようなもので、紡糸にあたって問題になるようなポリマー中の異物を除去するとともに、比較的大きな流動抵抗を有していてポリマーを均一分散させる作用をもつ。また、多孔板3は濾過材を支えるものである。
この紡糸用口金パックにおけるポリマーの概略の全体流れを説明すると、ポリマーは、図示しない上流工程からポリマー供給管を経て、ポリマーを上部パックケース1に流入させるために備えられているポリマー流入管6を通り、ポリマー流路Fを経て、濾過材2で異物が除去された後、多孔板3を通って口金4に至り、その口金4から吐出されて糸となる。すなわち、紡糸される。
次にポリマー流路F形状について説明する。
図7〜9は、本発明に係る矩形紡糸パックにおける上部パックケース1のポリマー流路Fの三面図を示している。ポリマー流路Fとは、ポリマー流入管6から供給されたポリマーが、ポリマー全体流れに直交する方向に拡がるようにするためのものであり、そのポリマー全体流れに直交する断面形状は、ポリマー流路Fの流出面が矩形であるため、ポリマー全体流れに直交する断面形状も矩形となっている。また、ポリマー流路Fは、紡糸パックの中心軸を通り、ポリマー全体流れに平行な断面を見たとき、ポリマー流路壁面の傾斜が下流にいくにつれ緩やかになる末広がり状となっている。このような形状とすることで、ポリマーが壁面に沿って流れやすくなるため、ポリマー流入管6の流出面と上部パックケース下端までを単純に直線で結んだ流路形状にくらべ、全体流れの方向と直交する方向にポリマーを拡げることができ、紡糸パック内でのポリマー滞留時間が均一になる。ここで、ポリマー流路Fの流出面は、以後上部パックケース1の流出面とし、外周部に丸みを持たせたものも含むものとし、ポリマー流路Fへの流入面とポリマー流入管6との境界面を、以後ポリマー流入管6の流出面とし、外周部に丸みを持たせたものも含むものとする。
そして、この壁面の形状は、ポリマー全体流れに直交する断面をみたとき、下記計算式を満足する各頂点を有する矩形を有することが好ましい。
図7〜9中、矩形紡糸パックの中心軸をポリマー流れ方向を負とするz軸、z軸と上部パックケース1の流出面とが交わる点を原点、原点を通り上部パックケース1の流出面の一辺に平行する方向をx軸、原点を通り前記x軸に直交する方向をy軸、上部パックケース1の流出面からポリマー流入管6の流出面までの距離をL、ポリマー流入管半径をr、z=0における矩形面におけるx軸方向の辺長さの1/2をX、z=0における矩形面のy軸方向の辺長さの1/2をYとする。
ここでポリマー流路について、ポリマー流路壁面の傾斜が、図8に示すような上部パックケース1の流出面付近にて急に緩やかになるものであったり、あるいは図9に示すように、傾斜が少しずつ緩やかになるものであっても、ポリマー流路壁面の傾斜が下流にいくにつれ緩やかになる末広がり状である限り、ポリマーが壁面に沿って流れやすくなるため、ポリマーを全体流れの方向と直交する方向に拡がり易くすることができ、ポリマーの異常滞留を減らすことができるが、図7に示すようなポリマー流入管6の流出面における点と上部パックケース1の流出面における点を曲線で結び、任意の高さzにおける直交するポリマー流路断面が、下記式(1)
Figure 0005082783
を満足する点を頂点とする矩形断面となるとき、断面形状である矩形の各辺は等比倍されるため、ポリマー流路はポリマー流入管から前記x−y断面でみて、x,y方向に一定の割合で拡げられることとなり、ポリマーを全体流れに直交する方向に一定の割合で拡がり易くすることができるので、さらに効果的である。ここで、図8および図9においては、式(1)から導かれる壁面を参照のため点線で示している。なお、この矩形断面の頂点は正確に式(1)に一致しなくても、式(1)の値を中心値とし±15%の範囲内に頂点を有する矩形とすれば、実用上十分な効果を得ることができる。図7に対して、式(1)の値+15%に頂点を有する仮想壁面と、式(1)の値−15%に頂点を有する仮想壁面とを書き加えたものを、図10に示す。
また、前記式(1)を満足するポリマー流路が好ましいが、上記のような曲面を機械加工・製作するのは複雑であるため、ポリマー全体流れに対して直交する矩形面を数段に分けて作成し、段階的かつ直線的に拡がる流路形状としてもよい。矩形面を数段に分けて製作することで、上記式を満たすポリマー流路を有する上部パックケースと同等の効果が得られるだけでなく、複雑な加工を必要とすることなく、ポリマー流れを適正化できる上部パックケースに仕上げることができる。
このときの形状例についてさらに詳しく説明する。図2中、矩形紡糸パックの中心軸をポリマー流れ方向を負とするz軸、z軸と上部パックケース1の流出面とが交わる点を原点、原点を通り上部パックケース1の流出面の一辺に平行する方向をx軸、原点を通り前記x軸に直交する方向をy軸、上部パックケース1の流出面からポリマー流入管6の流出面までの距離をL、ポリマー流入管半径をr、z=0における矩形面におけるx軸方向の辺長さの1/2をX、z=0における矩形面のy軸方向の辺長さの1/2をYとする。
いま、上部パックケース1の流出面からポリマー流入管6の流出面までの高さLを、z=0を1段目としてz軸方向にnmax段に分割すると、z=zであるn段目のz軸に直交するポリマー流路断面は、下記式(1)
Figure 0005082783
を満たす各頂点を有する矩形となる。そして、z=zであるn段目の矩形の各辺と、z=zn+1である(n+1)段目の矩形の各辺が直線で結ばれ、さらにnmax段目については、ポリマー流入管6の流出面と同形状とし、(nmax−1)段目の矩形とは滑らかに連結することで、ポリマー流路壁面が曲面である形状と類似させることができる。また、nは2以上の自然数であり、ポリマー流路壁面を曲面に近付けるためにも、5以上であることが好ましく、上限値は限定しないが、機械加工を容易にするためにも好ましくはn=12以下がよい。
ここで、各段高さは均等になるように分割されることがより好ましいが、常に均等に分割される必要はなく、ポリマー流路における下流に行くにつれて各段高さが狭くなったり、あるいは広くなっても、z軸に直交する断面形状が前記式(1)を満たす各頂点を有する矩形であれば、十分な効果を得ることができる。
さらに、上記各段の矩形の頂点についても、必ずしも正確に上式の値である必要はなく、座標値を自然数にするためであったり、あるいは製作がしやすい値にするために上式(1)を中心とした値の±15%の範囲に設定すれば十分な効果を得ることができる。
また、ポリマー流路の各稜線はなめらかな丸みを持たせることが好ましく、本発明における矩形断面とはこのような角部に丸みを持たせた矩形も含むものとする。また、この稜線の丸みはR1mmからR10mmの範囲であることが好ましく、この範囲であれば、ポリマー流路の断面形状を矩形と見なすことができ、また、稜線の角部で流れが乱れることもなく、好ましい。
本発明の矩形紡糸パックは、特に高粘度の熱可塑性樹脂の紡糸に有用である。さらに粘度が50〜50,000ポイズのポリマーに対して特に有効であり、本発明の矩形紡糸パックを使用することにより、パック内で空気の残存をなくし、糸切れや糸条の太さ斑を起こすことなく安定に紡糸が可能になる。
以下、実施例をあげて本発明の効果を具体的に説明するが、本発明による実施態様は本実施例に限定されるものではない。本実施例では、紡糸パック内における流速分布について数値解析ツール(メーカー:CD−adapco、解析ソフト:STAR−CD)を用い、上部パックケース内でのポリマー流れについて定常流れ解析を行った。
(実施例1)
図1に示す本発明のポリマー流路を有する上部パックケースを用いた矩形紡糸パックにおいて、濾過材2、多孔板3、口金4を多孔体媒質として疑似し、この多孔体媒質にかかる圧力損失ΔPはErgun方程式を適用させた下記式(2)
Figure 0005082783
より多孔体媒質中を通過する流速vと透過係数α、βにて導かれる。このとき、αは多孔体媒質を通過する流速vの二乗に比例する項の係数であり、βは多孔体媒質を通過する流速vに比例する項の係数である。tは多孔体媒質の厚みであり、各多孔体媒質の厚みtは、濾過材2では1mm、多孔板3では25mm、口金4では9mmとした。各多孔体媒質の透過係数については、濾過材2ではα:1.0×10−5kg/m、β:1.0×1012kg/msとし、多孔板3ではα:9.3×10kg/m、β:6.5×10kg/ms、口金4ではα:1.3×1011kg/m、β:1.7×1011kg/msとした。また、計算を簡略化させるために矩形紡糸パックの4分の1対称形状について数値解析を行い、このときの上部パックケースは、均等に5段に分割されたものとし、各定数パラメータとして、r=8mm、L=40mm、X=160mm、Y=40mmとした。かかる紡糸原液としては、密度が1085kg/m、粘性係数が112.2kg/msの溶液をポリマー原液として用い、ポリマーを流量16m/hrで流入させた時の上部パックケース内の流速分布について計算し、ポリマー流れが流速0.005m/s以上の成分をもつ範囲を斜線部で示した。この時得られた結果を図12に示す。図12に示すように、流速0.005m/s以上の範囲(斜線部で示す範囲、以下の実施例、比較例も同様)は上部パックケース内において端部まで拡がることが確認された。従って、本口金パックを適用すれば、ポリマーが上部パックケース内の隅まで行き渡りやすくなり、ポリマーが滞留しやすい箇所が解消され、さらに空気が残存しやすくなる領域も見られないため、非常に良好な結果になると考えられる。
(実施例2)
上部パックケースの形状を図7に示す様な、z軸方向に対し多段には分割しない形式に代えた以外は、実施例1と同様の条件を用い数値解析を行った。得られた結果を図13(ポリマー流れが流速0.005m/s以上の成分をもつ範囲を斜線部で示すことも実施例1と同様である)に示す。実施例1と同様に非常に良好な結果が得られた。
(実施例3)
上部パックケースとして図10に示す式(1)のx、y、zの各値を(z=0とz=Lを除いて)+15%の値としたものに代えた以外は、実施例1と同様の条件を用い数値解析を行った。得られた結果を図14に示す。実施例1と同様に良好な結果が得られた。
(実施例4)
上部パックケースとして図10に示す式(1)のx、y、zの各値を(z=0とz=Lを除いて)−15%の値としたものに代えた以外は、実施例1と同様の条件を用い数値解析を行った。得られた結果を図15に示す。実施例1と同様に良好な結果が得られた。
(実施例5)
上部パックケースを図8に示すポリマー流路壁面が急に緩やかになる形式に代えた以外は、実施例1と同様の条件を用い数値解析を行った。得られた結果を図16に示す。ポリマー流路壁面が急に緩やかになる場合、ポリマーはポリマー流路壁面に沿って流れやすくなるので、空気が残存しやすい領域はなくなるが、実施例1と比較してポリマーが端部まで拡がりにくいため、口金における吐出孔を配置できる領域がやや限定されるという結果が得られた。かかる結果より、使用に当たっては口金の吐出孔の配置等に注意する必要はあるが、良好に使用できることが判った。
(実施例6)
上部パックケースを図9に示すポリマー流路壁面が少しずつ緩やかになる形式に代えた以外は、実施例1と同様の条件を用い数値解析を行った。得られた結果を図17に示す。ポリマー流路壁面が少しずつ緩やかになる場合、実施例5と比較してポリマーは端部まで拡がり易くなるが、特に短辺方向についてポリマーがポリマー流路壁面に沿って流れる難い部分があり、空気が残存しやすい領域が生じ、口金における吐出孔を配置できる領域がやや限定されるという結果が得られた。かかる結果より、使用に当たっては口金の吐出孔の配置等に注意する必要はあるが、良好に使用できることが判った。
(実施例7)
上部パックケースを図11に示す式(1)の値のx、y、zの各値を(z=0とz=Lを除いて)+20%の値に設定した形式に代えた以外は、実施例2と同様の条件を用い数値解析を行った。得られた結果を図18に示す。得られた結果は実施例3の上部パックケースを図10に示す式(1)の値の+15%の値に設定した形式と比較し、ポリマーの拡がり易さは変わらないが、やや、空気が残存しやすくなるため、口金における吐出孔を配置できる領域がやや限定されるという結果が得られた。かかる結果より、使用に当たっては口金の吐出孔の配置等に注意する必要はあるが、良好に使用できることが判った。
(実施例8)
上部パックケースを図11に示す式(1)の値のx、y、zの各値を(z=0とz=Lを除いて)−20%の値に設定した形式に代えた以外は、実施例2と同様の条件を用い数値解析を行った。得られた結果を図19に示す。得られた結果は実施例4の上部パックケースを図10に示す式(1)の値の−15%の値に設定した形式と比較し、空気が残存しやすい領域は見られないが、ポリマーが端部まで拡がりにくいため、口金における吐出孔を配置できる領域がやや限定されるという結果が得られた。かかる結果より、使用に当たっては口金の吐出孔の配置等に注意する必要はあるが、良好に使用できることが判った。
(比較例1)
上部パックケースを図6に示すポリマー流入管流出面から上部パックケース流出面まで単調に拡がる従来の上部パックケースの形状に代えた以外は、実施例1と同様の条件を用い数値解析を行った。得られた結果を図20(ポリマー流れが流速0.005m/s以上の成分をもつ範囲を斜線部で示すことも実施例1と同様である)に示す。図20に示すように従来の上部パックケースにおいては、ポリマーが端部まで拡がりにくいことが判る。このように、ポリマーが端部まで拡がりにくい場合、端部においてポリマーが滞留しやすくなるので、ポリマーゲルが発生しやすくなる。またポリマー流路壁面の上部にてポリマー流速が遅くなるため、空気が残存しやすくなり、残存した空気の気泡による糸切れが生じやすくなる。
本発明は、合成繊維等の紡糸において利用できる。
本発明の矩形紡糸パックの一実施形態を示すポリマー流れに平行な断面図である。 本発明における上部パックケースの壁面の形状を説明する三面図である。 丸型紡糸パックのポリマー流れに平行な断面図である。 丸型紡糸パックにおける上部パックケースの壁面の形状を説明する断面図である。 従来の矩形紡糸パックのポリマー流れに平行な断面図である。 従来の矩形紡糸パックにおける上部パックケースの壁面の形状を説明する三面図である。 本発明の一実施形態における上部パックケースの壁面の形状を説明する三面図である。 本発明の一実施形態における上部パックケースの壁面の形状を説明する三面図である。 本発明の一実施形態における上部パックケースの壁面の形状を説明する三面図である。 図7に、式(1)の値+15%に頂点を有する仮想壁面と、式(1)の値−15%に頂点を有する仮想壁面とを書き加えた図である。 図7に、式(1)の値+20%に頂点を有する仮想壁面と、式(1)の値−20%に頂点を有する仮想壁面とを書き加えた図である。 図1に示すポリマー流路を有する上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 図7に示すポリマー流路を有する上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 図10に示す式(1)の値の+15%の値に設定したポリマー流路を有する上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 図10に示す式(1)の値の−15%の値に設定したポリマー流路を有する上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 図6に示す従来のポリマー流路を有する上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 図8に示すポリマー流路壁面が急に緩やかになる上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 図9に示すポリマー流路壁面が少しずつ緩やかになる上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 図11に示す式(1)の値の+20%の値に設定したポリマー流路を有する上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 図11に示す式(1)の値の−20%の値に設定したポリマー流路を有する上部パックケース内におけるポリマー流速分布の数値解析結果である。 特許文献1を矩形紡糸パックに適用させた場合における上部パックケースの壁面の形状を説明する三面図である。
符号の説明
1:上部パックケース
2:濾過材
3:多孔板
4:口金
5:下部パックケース
6:ポリマー流入管
7:パッキン
8:締付ボルト
:ポリマー流路

Claims (4)

  1. 下部パックケース内に、紡糸されるポリマーの全体流れの方向に順に濾過材と、多孔板と、上面から見た孔配置が矩形である口金とをこの順序で配置し、これら濾過材と、多孔板と、口金とを上部パックケースで一体に組み立ててなる紡糸パックであり、前記上部パックケースはポリマー全体流れに直交する断面を見たとき、その断面形状が矩形であるポリマー流路を有しており、紡糸パックの中心軸を通り、ポリマー全体流れに平行な断面を見たとき、ポリマー流路壁面の傾斜が下流にいくにつれ緩やかになる末広がり状であることを特徴とする矩形紡糸パック。
  2. 前記ポリマー流路において、紡糸パックの中心軸をポリマー流れ方向を負とするz軸とし、z軸と上部パックケース流出面とが交わる点を原点、原点を通り上部パックケース流出面の一辺に平行な方向をx軸、原点を通り前記x軸に直交する方向をy軸、上部パックケース流出面からポリマー流入管流出面までの距離をL、ポリマー流入管半径をrとすると、z軸に直交するポリマー流路断面が、下記式(1)
    Figure 0005082783
    を満足する点を中心値とし±15%の範囲内に頂点を有する矩形である、請求項1に記載の矩形紡糸パック。
    ただし、X:上部パックケース流出面におけるx軸方向の一辺長さの1/2
    :上部パックケース流出面におけるy軸方向の一辺長さの1/2
  3. 前記ポリマー流路において、紡糸パックの中心軸をポリマー流れ方向を負とするz軸とし、z軸と上部パックケース流出面とが交わる点を原点、原点を通り上部パックケース流出面の一辺に平行な方向をx軸、原点を通り前記x軸に直交する方向をy軸、上部パックケース流出面からポリマー流入管流出面までの距離をL、ポリマー流入管半径をr、前記ポリマー流路を、z=0を1段目としてz軸方向にnmax段に分割すると、z=zであるn段目のz軸に直交するポリマー流路断面が、下記式(1)
    Figure 0005082783
    を満足する点を中心値とし±15%の範囲内に頂点を有する矩形をしており、ポリマー流路壁面はz=zであるn段目断面の矩形の各辺と、z=zn+1である(n+1)段目断面の矩形の各辺が直線で結ばれた平面である、請求項1に記載の矩形紡糸パック。
    ただし、X:上部パックケース流出面におけるx軸方向の一辺長さの1/2
    :上部パックケース流出面におけるy軸方向の一辺長さの1/2
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の矩形紡糸パックを用いて紡糸することを特徴とする合成繊維の紡糸方法。
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