JP5081008B2 - 作業車の走行変速構造 - Google Patents
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Description
この場合、特許文献1に開示されているように、機体の旋回開始に伴って、機体の走行速度が自動的に減速操作されるように構成されたものがあり、旋回時の機体の安定性が確保されている。
これにより、特許文献1のように、機体の旋回開始に伴って、無条件で機体の走行速度が自動的に減速操作されるように構成すると、例えば作業行程の機体の走行速度が低速である場合、一回の作業行程が終了して機体が作業地の端部に達し、機体の旋回を開始すると、機体の旋回時の走行速度がさらに減速されてしまい、機体の旋回に時間を要してしまう状態となって、作業能率と言う面で不利なものとなる。
本発明は、作業車の走行変速構造において、旋回時の機体の安定性を確保しながら、作業能率の向上を図ることを目的としている。
(構成)
本発明の第1特徴は作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
機体の走行速度を検出する速度センサーと、機体の旋回開始を検出する旋回検出手段とを備える。旋回検出手段により機体の旋回開始が検出された場合において、機体の旋回開始時に速度センサーによって検出された機体の走行速度が高速であるほど、機体の旋回時の走行速度が高速になる状態を維持しながら、機体の旋回開始時に速度センサーによって検出された機体の走行速度が高速であるほど、機体の走行速度を大きく減速操作して機体の旋回時の走行速度を設定する減速手段を備える。旋回検出手段により機体の旋回開始が検出された場合において、機体の旋回開始時に速度センサーによって検出された機体の走行速度が、事前に設定された設定速度よりも低速であると、減速手段の作動を阻止して機体の旋回開始時に速度センサーによって検出された機体の走行速度を機体の旋回時の走行速度とする牽制手段を備える。
本発明の第1特徴によると、例えば作業地の一辺に沿って直進しながら対地作業を行う作業行程を行い、一回の作業行程が終了して機体が作業地の端部に達して機体の旋回が開始された場合、旋回開始時の機体の走行速度が設定速度よりも高速であると、機体の走行速度が自動的に減速操作される。
これにより、機体の走行速度が高速の状態で機体の旋回を行ってしまう状態が回避されて、旋回時の機体の安定性が確保される。
この場合、旋回開始時の機体の走行速度が比較的低速(設定速度よりも低速)であるので、機体の走行速度の自動的な減速操作が行われなくても、機体の走行速度が高速の状態で機体の旋回を行ってしまう状態にはならず、旋回時の機体の安定性は確保される。機体の旋回時の走行速度が不必要に減速されてしまうことがなく、機体の旋回に時間を要してしまう状態は生じない。
本発明の第1特徴によると、作業車の走行変速構造において、旋回開始時の機体の走行速度が設定速度よりも高速であると、機体の走行速度が自動的に減速操作されるように構成して、旋回時の機体の安定性を確保しながら、旋回開始時の機体の走行速度が設定速度よりも低速であると、機体の走行速度の自動的な減速操作が行われないようにし、機体の旋回に時間を要してしまう状態を回避して、作業能率の向上を図ることができた。
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
減速手段を人為的に作動及び停止状態に設定可能な設定手段を備える。
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のように、例えば作業地の一辺に沿って直進しながら対地作業を行う作業行程を行い、一回の作業行程が終了して機体が作業地の端部に達して機体の旋回が開始された場合、作業地の状態、対地作業の形態や対地作業装置の種類等により、旋回開始時の機体の走行速度が比較的高速(設定速度よりも高速)であっても、旋回時の機体の安定性が確保されることがある。
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、旋回開始時の機体の走行速度が比較的高速(設定速度よりも高速)であっても、旋回時の機体の安定性が確保される状態の場合、機体の走行速度の自動的な減速操作が行われないようにすることができ、機体の旋回に要する時間を短くすることができて、作業能率の向上を図ることができた。
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
人為的に操作可能な操作具により設定速度を変更可能に構成する。
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のように、例えば作業地の一辺に沿って直進しながら対地作業を行う作業行程を行い、一回の作業行程が終了して機体が作業地の端部に達して機体の旋回が開始された場合、作業地の状態、対地作業の形態や対地作業装置の種類等により、旋回時の機体の安定性が確保される機体の走行速度は一定ではないことが多い。
例えば旋回開始時の機体の走行速度が比較的高速であっても、旋回時の機体の安定性が確保され易い状態の場合、設定速度を比較的高速に設定することにより、機体の走行速度の自動的な減速操作が行われない状態を多くして、機体の旋回に要する時間を短くすることができる。
逆に旋回開始時の機体の走行速度が比較的低速であっても、旋回時の機体の安定性が確保され難い状態の場合、設定速度を比較的低速に設定することにより、機体の走行速度の自動的な減速操作が行われる状態を多くして、旋回時の機体の安定性を確保することができる。
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、運転者が作業地の状態、対地作業の形態や対地作業装置の種類等に応じて適切な設定速度を設定することができるようになり、旋回時の機体の安定性を確保しながら、機体の旋回に時間を要してしまう状態を回避して、作業能率の向上を図ることができた。
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第1〜第3特徴の作業車の走行変速構造のうちのいずれか一つにおいて次のように構成することにある。
機体に昇降自在に連結された対地作業装置が接地状態から上昇操作されたことにより機体の旋回開始を検出するように、旋回検出手段を構成する。
操向操作自在な前輪が直進位置から設定角度以上に右又は左に操向操作されたことにより機体の旋回開始を検出するように、旋回検出手段を構成する。
本発明の第4及び第5特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[I]に記載のように、機体の旋回開始に伴って機体の走行速度が自動的に減速操作されるように構成する場合、機体の旋回開始を確実に検出するように構成する必要がある。
本発明の第4特徴によると、対地作業装置を昇降自在に機体に連結した場合に、機体の旋回開始に伴って、対地作業装置の接地状態からの上昇操作が略必ず行われると言ってよいことに着目し、対地作業装置の接地状態からの上昇操作を機体の旋回開始と判断しており、機体の旋回開始を確実に検出することができる。
本発明の第4及び第5特徴によると、本発明の第1〜第3特徴のうちのいずれか一つと同様に前項[I]〜[III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4及び第5特徴によると、機体の旋回開始に伴って機体の走行速度が自動的に減速操作されるように構成する場合、対地作業装置の接地状態からの上昇操作及び前輪の右又は左の操向操作により、機体の旋回開始を確実に検出することができるようになって、作業能率の向上を図ることができた。
図1に示すように、左右に操向操作自在な右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体に、エンジン3及びミッションケース4が備えられ、運転部5が備えられて、作業車の一例である農用トラクタが構成されている。
図1及び図2に示すように、ミッションケース4の後部にトップリンク14、右及び左のロアリンク15が昇降自在に支持され、油圧シリンダ16により揺動駆動されるリフトアーム17が備えられて、リフトアーム17と右及び左のロアリンク15とに亘って連係ロッド18が接続されている。油圧シリンダ16に作動油を給排操作する制御弁19が備えられて、制御装置10により制御弁19が操作されるのであり、制御装置10及び制御弁19により油圧シリンダ16が伸縮作動して、リフトアーム17によりトップリンク14、右及び左のロアリンク15が昇降駆動される。図1に示す状態はトップリンク14、右及び左のロアリンク15に、ロータリ耕耘装置20(対地作業装置に相当)が連結された状態である。
これにより、昇降制御手段が作動している状態(ロータリ耕耘装置20が接地して、ロータリ耕耘装置20の耕耘深さが設定値に維持されている状態)において、昇降レバー9を上昇位置Uに操作すると(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作すると)、昇降制御手段が一時停止して、制御装置10及び制御弁19、油圧シリンダ16によりトップリンク14、右及び左のロアリンク15(ロータリ耕耘装置20)が上限位置まで上昇駆動される。次に昇降レバー9を下降位置Dに操作すると(下降位置Dに操作して中立位置Nに操作すると)、ロータリ耕耘装置20が接地するまで、制御装置10及び制御弁19、油圧シリンダ16によりによりトップリンク14、右及び左のロアリンク15(ロータリ耕耘装置20)が下降駆動されて、昇降制御手段が作動する。
次に、機体の旋回時の減速操作の前半について、図2及び図3に基づいて説明する。
農用トラクタでは一般に、一回の作業行程が終了して機体が圃場の端部に達すると、運転者は昇降レバー9を上昇位置Uに操作して(上昇位置Uに操作し中立位置Nに操作して)、トップリンク14、右及び左のロアリンク15(ロータリ耕耘装置20)を上限位置まで上昇駆動し、操縦ハンドル8を操作して機体を約180度旋回させる。旋回が終了すると、昇降レバー9を下降位置Dに操作して(下降位置Dに操作し中立位置Nに操作して)、トップリンク14、右及び左のロアリンク15(ロータリ耕耘装置20)を下降駆動し、次の作業行程に入る。
次に、機体の旋回時の減速操作の後半について、図2及び図3に基づいて説明する。
前項[3]に記載のように、一回の作業行程が終了して機体が圃場の端部に達して機体の旋回が開始される場合、昇降レバー9が上昇位置Uに操作された時点の機体の走行速度V1が設定速度V11以下であると(ステップS6)、関係線A1により機体の走行速度V1がそのまま機体の旋回時の走行速度V2として設定されるので(ステップS7)、制御装置10及びアクチュエータ7により無段変速装置6が減速操作されない状態となり、機体の走行速度V1(機体の旋回時の走行速度V2)で旋回が行われる(牽制手段に相当)。
この場合、昇降レバー9を下降位置Dに操作すると(下降位置Dに操作し中立位置Nに操作すると)(ステップS10)、昇降レバー9が上昇位置Uに操作された時点の機体の走行速度V1(ステップS5)に復帰するように、制御装置10及びアクチュエータ7により無段変速装置6が増速操作される(ステップS11)。
前輪1の操向角度を検出する角度センサー(図示せず)を備え、角度センサーの検出値を制御装置10に入力するように構成してもよい。
これにより、前述の[発明を実施するための最良の形態]の図3のステップS4において、操縦ハンドル8により前輪1が直進位置から設定角度以上に右又は左に操向操作されたことにより、機体の旋回開始を検出するように構成して(旋回検出手段に相当)、機体の旋回時の走行速度V2で旋回が行われるように、制御装置10及びアクチュエータ7により無段変速装置6が減速操作されるように構成してもよい(図3のステップS8,S9)。
図3のステップS10において、操縦ハンドル8により前輪1が直進位置に操作されたことにより、機体の旋回終了を検出するように構成して、制御装置10及びアクチュエータ7により無段変速装置6が増速操作されるように構成してもよい(図3のステップS11)。
操縦ハンドル8により前輪1が直進位置から設定角度以上に右又は左に操向操作されたことにより、トップリンク14、右及び左のロアリンク15(ロータリ耕耘装置20)が上限位置まで自動的に上昇駆動され、操縦ハンドル8により前輪1が直進位置に操向操作されたことにより、トップリンク14、右及び左のロアリンク15(ロータリ耕耘装置20)が自動的に下降駆動されるように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]の図4において、無段変速装置6及び副変速装置による最高速度VMと設定速度V11との中間の速度V12ではなく、中間の速度V12よりも高速又は低速の速度と、設定速度V11とを結ぶことにより、直線の関係線A2が設定されるように構成してもよい。
前述の関係線A2や図4の関係線A2を、直線状ではなく、上に凸の2次曲線や下に凸の2次曲線、階段状の折れ線に設定してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、無段変速装置6に代えて有段のギヤ変速式の変速装置を備えて、ギヤ変速式の変速装置を減速及び増速操作するように構成してもよい。制御装置10及びアクチュエータ7により無段変速装置6やギヤ変速式の変速装置を減速及び増速操作するのではなく、エンジン3のガバナ装置(図示せず)を操作して、エンジン3の回転数を下降及び上昇操作することにより、機体の走行速度の減速及び増速操作を行うように構成してもよい。
20 対地作業装置
21 速度センサー
22 設定手段
23 操作具
V1 機体の走行速度
V2 機体の旋回時の走行速度
V11 設定速度
Claims (5)
- 機体の走行速度を検出する速度センサーと、機体の旋回開始を検出する旋回検出手段とを備え、
前記旋回検出手段により機体の旋回開始が検出された場合において、機体の旋回開始時に前記速度センサーによって検出された機体の走行速度が高速であるほど、機体の旋回時の走行速度が高速になる状態を維持しながら、機体の旋回開始時に前記速度センサーによって検出された機体の走行速度が高速であるほど、機体の走行速度を大きく減速操作して前記機体の旋回時の走行速度を設定する減速手段を備え、
前記旋回検出手段により機体の旋回開始が検出された場合において、機体の旋回開始時に前記速度センサーによって検出された機体の走行速度が、事前に設定された設定速度よりも低速であると、前記減速手段の作動を阻止して機体の旋回開始時に前記速度センサーによって検出された機体の走行速度を前記機体の旋回時の走行速度とする牽制手段を備えてある作業車の走行変速構造。 - 前記減速手段を人為的に作動及び停止状態に設定可能な設定手段を備えてある請求項1に記載の作業車の走行変速構造。
- 人為的に操作可能な操作具により前記設定速度を変更可能に構成してある請求項1又は2に記載の作業車の走行変速構造。
- 機体に昇降自在に連結された対地作業装置が接地状態から上昇操作されたことにより機体の旋回開始を検出するように、前記旋回検出手段を構成してある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の作業車の走行変速構造。
- 操向操作自在な前輪が直進位置から設定角度以上に右又は左に操向操作されたことにより機体の旋回開始を検出するように、前記旋回検出手段を構成してある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の作業車の走行変速構造。
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