JP5080036B2 - 乗用型水田作業機 - Google Patents

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Description

本発明は、主として水田の溝切り作業や水田の中耕除草作業を行う乗用型の水田作業機に関するものである。
従前の水田の溝切り作業や水田の中耕除草作業を行う機体としては、一輪駆動の駆動部分で、後部が低位となる傾斜状の下縁を備えた溝切り体を牽引する構成で、駆動部に所定のハンドルを備えて作業者が後方より歩行しながら操作する機体や(特許文献1)、駆動輪の上部位置に作業者が腰掛けて操作するものが知られている(特許文献2)。
また四輪タイプの溝切り作業機も知られているが、基本的に田植え用作業機であって、走行機体の工法に溝切り部材を備えている(特許文献3)。
また溝切り作業には採用されていないが、自転車タイプの水田作業機も知られている(特許文献4)。この機体は、ラグ付きゴムタイヤ(モトクロス用自転車タイヤ)を採用し、サドル下方位置に除草器や移植器を装着しているものである。
実公平1−42401号公報。 特開2006−75109号公報。 特開平9−205816号公報。 特開平9−182505号公報。
水田の溝切り作業は、田植え後の稲がある程度生育した後に、水田内の排水が効率的に行なわれるように数条間隔で水田内に溝を形成するもので、前記の通り、特許文献1,2で記載した作業機を使用して行っている。この特許文献1記載の作業機を採用して溝切り作業を行うには、作業者が走行機体の後方を歩いて作業機の操作を行うので、作業者の労力負担が大きい。
また特許文献2記載の乗用タイプによる溝切り作業は、車輪に作業者の体重が加わって、車体が沈み込みすぎて作業走行は困難なものとなる。例え乗用走行が可能だとしても一輪車形態となり安定性に欠けるので、慣れない作業者にとっては扱い難く、また作業能率を高めるために駆動力を大きくすると、より以上、舵取り操作がし難くなる。
尚特許文献3記載の四輪タイプの作業機は、田植え直後か田植え作業と同時に行う施肥作業において、施肥溝を形成するためのもので、稲がある程度育った後の作業においては、方向転換に際して生育した稲を踏み潰してしまうので使用されていない。
また特許文献4記載の自転車タイプは慣れ親しんだ形態で取り扱いが容易であるが、車輪タイプや作業部位に問題があり、溝切り作業には使用できない。
そこで本発明は、使い易く作業者に負担をかけない溝切り作業などができる新規な乗用型水田作業機を提案したものである。
本発明に係る乗用型水田作業機は、適宜なスポークを備えた外輪に鍬歯状掻き板を付設した車輪を、中間部分にサドル部を備えたフレーム前部に設けた舵取り操行ハンドルと連動する箇所とフレーム後部とに装着し、前後車輪を各々駆動する駆動機構を装備させた二輪走行機体と、後方箇所が低位なる傾斜形状を備え、前記走行機体の後部に装着され牽引されることで土壌を掻き分ける溝切り体とで構成したことを特徴とするものである。
而して作業者が走行機体に跨って乗り、前後車輪の駆動で走行機体を、水田の稲植条間を前進させ溝切り体を牽引することで、水田の所望箇所に溝を形成することができるものである。
また本発明は、溝切り体を、フレーム後方部に跳ね上げ保持可能又は着脱自在に設けてなるものである。
従って、溝切り作業を行わない場合においては、溝切り体を作用させない状態で水田内を走行すると、前後車輪によって土壌の掻き上げ・掻き起こし(所謂中耕・除草作業)を行うことになる。
本発明は上記の構成のとおり二輪駆動の自転車タイプの水田作業機で、一般に乗用操作が慣れ親しんでいるので作業者にとって使い易く、特に二輪駆動としたことによって、溝切り作業を効率的に行うことができ、同時に中耕作業も確実に行うことができたものである。
次に本発明の実施の形態について説明する。実施形態に示した乗用型水田作業機は、所定のフレーム部1の前後に車輪部2,3を配置した所謂自転車形式の二輪タイプの走行機体と、溝切り体4とで構成される。
フレーム部1は、所定のパイプを溶接して形成してフレーム11と、フレーム11の前部に設けた舵取り機構12とを備えてなる。
フレーム11は、一般の自転車のフレームと同様の構造で、上パイプ111と下パイプの前部にハンドルステム保持パイプ112を溶接し、上パイプと下パイプの後部を縦パイプで接続して、更に上下パイプの後方に、後輪ハブを支持する後方上下パイプを溶接したもので、前記の各パイプの必要に応じて補強パイプを併設する。
また上パイプ111の後方部分の上部にサドル部113を設け、更に後方上部に後述する溝切り体4を連結する連結パイプ114を突設してなる。
舵取り機構12は、フレーム前部のハンドルステム保持パイプ112に相通したハンドルステムと、ハンドルステムの頂部に設けた操行ハンドル121と、ハンドルステム下方部分のフォーク122とを備えてなる。
前後車輪部2,3は、各々車輪21,31と、駆動部22,32を備えており、車輪21,31は、ハブから放射状に設けたスポーク211,311で支持した外輪(リム)212,312に、鍬歯状掻き板213,313を付設したもので、前輪21はフォーク122にハブを軸止し、後輪31は、後方パイプにハブを軸止したものである。
駆動部22,32は、前輪21に対してはフォーク122に固定したもので、後輪31に対しては後方パイプに固定してなり、適宜なエンジンと減速装置を備えも前後車輪21、31を駆動するものである。尚エンジン回転数を前後調整する必要があるが、多少前後エンジンのスロットルの開方状態が相違しても、作業時においての負荷分担で調整されるので実用上問題はない。勿論後述するように単一エンジンに前後輪同時駆動を行なうようにしても良い。
溝切り体4は、基本的に従前の溝切り体と変わりは無く、船の舳先形状のように後方箇所が低位なる傾斜形状を備えた本体部41と、前記本体部41を走行機体に連結する支持腕42で構成され、更に支持腕42は、本体部41を所定位置(作業時位置)と跳ね上げ位置(非作業時位置)とを選択して、各々の位置で固定できる枢結固定部43を介して走行機体(連結パイプ114)に連結してなる。
更に本体部41を跳ね上げた際に、跳ね上げ状態を維持するように溝切り体4側に固定杆44と、走行機体側に固定支持杆115を設け、連結解除自在な構造としておくものである。
而して溝切り体4の本体部41を溝切り作業位置(図2)に固定して、作業者Aが走行機体に跨って乗り、各駆動部22,32を作動して、水田の稲植条間を前進操行させると、前後車輪21,31は各々駆動回転を行ない、且つ鍬歯状掻き板213,313で水田の土壌を強く鋤起こすので、強い牽引力をもって溝切り体4を牽引することになる。
溝切り作業は、土壌が雨などによってぬかるんだ状態では溝切り後に溝が崩れてしまうので、ある程度硬い状態の場合に行うものであるために、溝切り体には強い負荷が加わるが、前記の通り本作業機は強い牽引力を備えているので、溝切り作業を能率的に実施できる。
また作業者Aは、サドル部113に腰掛けて作業を行うもので、ハンドル操作と両足による機体の倒伏防止を行なうのみであるから、一輪式作業機に比較して作業負担が著しく軽減されるものである。
また溝切り体4を跳ね上げた状態(又は取外した状態)においては、そのまま溝切り作業と同様に水田の稲植え条の間を走行すると、前後輪で、水田の土壌を掘り返すことになるので、中耕・除草作業を効果的に、且つ作業者に労力負担を強いることなく容易に行うことができる。
尚前記実施形態は駆動部を前後車輪独立して設けているが、フレーム部に装備した単独のエンジンによって、所定の伝達軸で前後輪を駆動できるようにしても良い。この場合には、前輪の駆動伝達軸をハンドルステム内に配置する必要があり、駆動力は、縦軸の駆動伝達軸から横軸の車輪回転駆動軸に伝達され、この車輪回転駆動軸に車輪を装着することになる。従って前輪はハンドルの操行中心より横方にずれた位置に設けられ、これに伴なって後輪も前輪位置に対応して前輪と同一走行線上に配置することになる。
また本発明の走行機体は、前後二輪駆動による走破力の強い二輪車であるから、タイヤを変更することによって山道、雪道等の悪路も容易に走破でき、種々の作業に使用することができる。
本発明の実施形態の正面図。 同使用状態の説明図。 同車輪の斜視図。
符号の説明
1 フレーム部
11 フレーム
111 上パイプ
112 ハンドルステム保持パイプ
113 サドル部
114 連結パイプ
115 固定支持杆
12 舵取り機構
121 操行ハンドル
122 フォーク
2,3 前後車輪部
21,31 車輪
211,311 スポーク
212,312 外輪(リム)
213,313 鍬歯状掻き板
22,32 駆動部
4 溝切り体
41 本体部
42 支持腕
43 枢結固定部
44 固定杆

Claims (1)

  1. 適宜なスポークを備えた外輪に鍬歯状掻き板を付設した車輪を、中間部分にサドル部を備えたフレーム前部に設けた舵取り操行ハンドルと連動する箇所とフレーム後部とに装着し、前後車輪を各々独立して駆動する駆動機構を装備させた二輪走行機体に、後方箇所が低位なる傾斜形状を備え、前記走行機体の後部に装着され牽引されることで土壌を掻き分ける溝切り体を、フレーム後方部に跳ね上げ保持可能又は着脱自在に設けて構成したことを特徴とする乗用型水田作業機。
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