JP5079068B2 - 噴射器配列における故障検出 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射器配列(アレンジメント)における故障を検出するための方法および装置に関し、詳細には、燃料噴射器配列の圧電アクチュエータにおける短絡故障および開回路故障を検出するための方法および装置に関する。
自動車両エンジンには一般に、燃料(例えば、ガソリンまたはディーゼル燃料)をエンジンの個々のシリンダまたは吸気マニホルドに噴射するための、燃料噴射器が装備されている。エンジン燃料噴射器は、燃料供給システムを経由して供給される高圧燃料を含む燃料レールに結合される。ディーゼルエンジンでは、従来型の燃料噴射器で一般にニードル弁が使用され、ニードル弁は、燃料レールから計量供給されて、対応するエンジンシリンダまたは吸気マニホルドに噴射される液体燃料の量を制御するために、開閉するように作動される。
燃料を正確に計量供給する燃料噴射器の1つのタイプが、圧電燃料噴射器である。圧電燃料噴射器は、エンジンに噴射される燃料を計量供給するように噴射ニードル弁を開閉するための、機械的に直列に配列された圧電素子のスタックで形成される圧電アクチュエータを使用する。圧電燃料噴射器は、自動車エンジンでの使用がよく知られている。
圧電燃料噴射器での燃料の計量供給は一般に、圧電素子に印加される電圧電位を、圧電素子が膨張および収縮する量を変化させるように制御することによって実現される。圧電素子の膨張および収縮の量が、ニードル弁の移動距離を変化させ、したがって、燃料噴射器を通過する燃料の量を変化させる。圧電燃料噴射器は、少量の燃料を正確に計量供給する能力をもたらす。
一般に、燃料噴射器は、1つまたは複数の噴射器からなるバンクの形で一緒にグループ化される。EP1400676に記載されるように、噴射器の各バンクは、噴射器の動作を制御するための、それ自体の駆動回路を有する。この回路は、動力源によって発生された電圧を昇圧、すなわち12ボルトからより高い電圧に昇圧させる変圧器などの電源と、電荷、したがってエネルギーを蓄積するための蓄積コンデンサとを含む。高い方の電圧が、噴射事象ごとに圧電燃料噴射器の充放電に電力を供給するために使用される蓄積コンデンサ全体にわたって印加される。変圧器など、専用の電源を必要としない駆動回路も、WO 2005/028836A1に記載されるように開発されてきた。
これらの駆動回路を使用すると、蓄積コンデンサ、したがって圧電燃料噴射器全体にわたって印加される電圧が、動的に制御されることが可能になる。これは、噴射器配列に交互に接続される2つの蓄積コンデンサを使用することによって実現される。蓄積コンデンサの一方が、放電電流が噴射配列内を流れる放電段階中に噴射器配列に接続されて、噴射事象を開始させる。他方の蓄積コンデンサが、充電段階中に噴射器配列に接続されて、噴射事象を終了させる。充電段階の終了後、後の放電段階の前に、蓄積コンデンサを補充するために再生スイッチが使用される。
どんな回路でも同じように、駆動回路内に故障が発生する恐れがある。ディーゼルエンジン燃料噴射システムなどのセーフティクリティカルシステムでは、駆動回路内の故障が、噴射システムの障害を招く恐れがあり、したがってそれが、エンジンの破局的な障害を招く恐れがある。そのような故障の例には、燃料噴射器の圧電アクチュエータ内の短絡または開回路故障がある。したがって、圧電アクチュエータ内のそのような故障を、特に駆動回路が使用されている間に検出するために、堅牢な診断システムが必要である。
EP1400676 WO 2005/028836A1 EP 06254039.8
したがって、本発明の目的は、噴射器配列の致命的障害モード、または故障応答特性を検出することができる診断ツール、およびその診断ツールを動作させる方法を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、エンジン内にある、圧電アクチュエータを有する少なくとも1つの燃料噴射器を備える噴射器配列における故障を検出する方法であって、圧電アクチュエータを充電段階中に充電するステップと、圧電アクチュエータを、充電段階の終了後に続く時間間隔後に開始するテスト段階中に再充電するように試みるステップと、テスト段階中に圧電アクチュエータ内を流れる電流を感知するステップと、および感知電流が、圧電アクチュエータ内に短絡があることを示す第1の所定の閾値電流に到達する場合、短絡故障信号を生成するステップとを含む方法が提供される。
この方法は、テスト段階中に第1の制御信号を生成するステップを含むことができる。第1の制御信号は、感知電流に応答して、第1の状態と第2の状態の間で可変でよい。感知電流が第1の所定の閾値電流に到達する場合、第1の制御信号を、第1の状態と第2の状態の間でチョップすることができ、テスト段階中に第1の制御信号内にチョップが生じたとき、短絡故障信号を生成することができる。
開回路故障を検出することもできる。開回路故障を検出するためには、この方法は、圧電アクチュエータを放電段階中に放電させるステップと、および放電段階中に圧電アクチュエータ内を流れる電流を感知するステップを含むことができる。放電段階中の感知電流が、第2の所定の閾値電流に到達しない場合、開回路故障信号を生成することができる。
放電段階中に第2の制御信号を生成することができ、第2の制御信号は、放電段階中の感知電流に応答して、第1の状態と第2の状態の間で可変でよい。感知電流が、第2の所定の閾値電流を超える場合、第2の制御信号を、第1の状態と第2の状態の間でチョップすることができ、放電段階中に第2の制御信号においてチョップが生じない場合、開回路故障信号を生成することができる。放電段階の開始に続く所定の時間間隔後に第2の制御信号内にチョップが生じていない場合、開回路故障信号を生成することができる。
時間間隔は、エンジンのクランク軸の回転角に依存することができ、回転角は、エンジン速度および/または負荷に依存することができる。
本発明の第2の態様によれば、圧電アクチュエータを有する少なくとも1つの燃料噴射器を備える噴射器配列における故障を検出するための装置であって、圧電アクチュエータを充電するための充電手段と、圧電アクチュエータを通る電流を感知するための電流感知手段と、充電手段を、充電段階中に圧電アクチュエータに接続させるように、また充電段階に続く時間間隔後に開始するテスト段階中に、圧電アクチュエータに再接続させるように構成された制御手段とを備え、制御手段が、テスト段階中の感知電流が第1の所定の閾値電流に到達する場合、短絡故障信号を生成するようにさらに構成される装置が提供される。
この装置は、テスト段階中の感知電流が第1の所定の閾値電流に到達したときに第1の状態と第2の状態の間でチョップされる第1の制御信号を生成するための手段を含むことができる。制御手段を、テスト段階中に第1の制御信号内にチョップが生じる場合に短絡故障信号を生成するように構成することができる。
この装置は、圧電アクチュエータを放電段階中に放電させるための放電手段を備えることもでき、制御手段を、放電段階中の感知電流が第2の所定の閾値電流を超えない場合に、開回路故障信号を生成するように構成することができる。
この装置は、放電段階中の感知電流が第2の所定の閾値電流を超える場合に第1の状態と第2の状態の間でチョップされる第2の制御信号を生成するための手段をさらに備えることができ、制御手段を、放電段階中に第2の制御信号においてチョップが生じない場合に、開回路故障信号を生成するように構成することができる。制御手段を、放電段階の開始に続く所定の時間間隔後に第2の制御信号においてチョップが生じていない場合に開回路故障信号を生成するように、さらに構成することができる。
本発明の第3の態様によれば、駆動回路内に接続された圧電アクチュエータを有する少なくとも1つの燃料噴射器を備える、エンジンの噴射器配列における故障を検出する方法であって、圧電アクチュエータを充電段階中に充電するステップと、圧電アクチュエータを駆動回路に加わるように選択して、充電段階の終了後に選択された圧電アクチュエータにかかる電圧を求めるステップと、圧電アクチュエータを駆動回路から選択解除し、圧電アクチュエータを駆動回路に加わるように再度選択する前に期間が経過するのを可能にして、選択された圧電アクチュエータにかかる電圧を求めるステップと、電圧降下または電圧傾度を計算するステップと、および
(a)電圧降下が、所定の電圧降下値よりも大きい、または
(b)電圧傾度が、所定の電圧傾度値よりも大きい
場合に、短絡故障信号を生成することを含む方法が提供される。
時間間隔は、エンジンのクランク軸の回転角に依存することができ、回転角は、エンジン速度および/または負荷に依存することができる。
本発明の第4の態様によれば、圧電アクチュエータを有する少なくとも1つの燃料噴射器を備える噴射器配列における故障を検出するための駆動回路であって、圧電アクチュエータを充電するための充電手段と、圧電アクチュエータを駆動回路に加わるように選択するための噴射器選択手段と、圧電アクチュエータが充電された直後に、選択された圧電アクチュエータに関する第1の電圧を求めるための、また圧電アクチュエータの充電に続く期間後に、選択された圧電アクチュエータに関する第2の電圧を求めるための手段と、電圧降下または電圧傾度を計算し、
(a)電圧降下が、所定の電圧降下値よりも大きい、または
(b)電圧傾度が、所定の電圧傾度値よりも大きい
場合に、短絡故障信号を生成するようにプログラムされた処理手段とを備える駆動回路が提供される。
本発明の概念は、実行環境内で実行されると、上述の方法を実施するように動作可能な少なくとも1つのコンピュータプログラムソフトウェア部分を備えるコンピュータプログラムプロダクトを包含する。本発明の概念は、そのコンピュータソフトウェア部分または各コンピュータソフトウェア部分がその上に記憶されたデータ記憶媒体、および前記データ記憶媒体が設けられたマイクロコンピュータも包含する。
次に本発明が、一例として添付の図面を参照して説明される。
エンジンにおける圧電燃料噴射器からなるバンクを備える噴射器配列を制御するための駆動回路を示すブロック図である。 図1の駆動回路の第1の実施形態を示す回路図である。 図2aの駆動回路の動作を制御するために使用される、マイクロプロセッサの入力端および出力端を示す簡略図である。 図1の圧電燃料噴射器のうち1つの開放段階および閉鎖段階に関する、(a)電流対時間、(b)放電イネーブル信号、(c)充電イネーブル信号、および(d)チョップされた電流制御信号の理想的なグラフである。 図1の噴射器配列内に短絡がない状況に関する、(a)短絡テスト段階中の感知電流、(b)充電イネーブル信号パルス、および(c)チョップされた制御信号の理想的なグラフである。 図1の噴射器配列内に短絡がある状況に関する、(a)短絡テスト段階中の感知電流、(b)充電イネーブル信号パルス、および(c)制御信号の理想的なグラフである。 エンジン始動時に噴射器に対して実施される、各種の診断テストを示す流れ図である。 図1の駆動回路の第2の実施形態を示す回路図である。
図1を参照すると、自動車両エンジンなどのエンジン10は、第1の燃料噴射器12aおよび第2の燃料噴射器12bを備える燃料噴射器配列を有して全体的に示されている。各燃料噴射器12a、12bは、噴射器ニードル弁14と、それぞれ圧電アクチュエータ16a、16bとを有する。圧電アクチュエータ16a、16bは、噴射器ニードル弁14を開閉させて、エンジン10の関連するシリンダへの燃料の噴射を制御するように動作可能である。燃料噴射器12a、12bを、ディーゼル燃料をエンジン10に噴射させるためにディーゼル内燃エンジンにおいて使用しても、可燃ガソリンをエンジン10に噴射させるために火花点火内燃エンジンにおいて使用してもよい。
燃料噴射器12a、12bは、噴射器バンク18を形成し、駆動回路20、20Aを用いて制御される。実際には、エンジン10には、2つ以上の噴射器バンク18を設けることができ、各噴射器バンク18は、1つまたは複数の燃料噴射器12a、12bを有することができる。分かりやすくするために、以下の説明は、ただ1つの噴射器バンク18に関する。以下に説明される本発明の実施形態では、燃料噴射器12a、12bは、負電荷変位タイプである。したがって、燃料噴射器12a、12bは、放電段階中に燃料をエンジンシリンダに噴射するために開かれ、充電段階中に燃料の噴射を終了するために閉じられる。
エンジン10は、駆動回路20、20Aがその不可欠な部分を形成する、エンジン制御モジュール(ECM)22によって制御される。ECM22は、エンジン10の動作を制御するための、燃料噴射器配列の制御を含む各種のルーチンを実施するように構成された、マイクロプロセッサ24およびメモリ26を含む。信号が、マイクロプロセッサ24と駆動回路20、20Aの間で伝達され、駆動回路20、20Aから受け取られた信号に含まれるデータが、メモリ26内に記録される。ECM22は、エンジン速度および負荷を監視するように構成される。ECM22は、噴射器12a、12bに供給される燃料の量、および噴射器12a、12bの動作のタイミングも制御する。ECM22は、約12ボルトのバッテリ電圧を有する車両バッテリ(図示せず)に接続される。ECM22の動作、およびエンジン10を動作させているときのその機能、特に噴射器配列の噴射サイクルのさらなる詳細が、WO 2005/028836A1に詳細に記載されている。
駆動回路20、20Aは、放電段階、充電段階、テスト段階、および再生段階の4つの主要な段階において動作する。放電段階中、駆動回路20は、燃料噴射器12aの圧電アクチュエータ16aまたは燃料噴射器12bの圧電アクチュエータ16bを放電させて、噴射器ニードル弁14を開くことによって、燃料を関連するエンジンシリンダに噴射させるように動作する。充電段階中、駆動回路20は、先に放電された圧電アクチュエータ16aまたは16bを充電して、関連する噴射器12aまたは12bの噴射器ニードル弁14を閉じることによって、燃料の噴射を終了させるように動作する。テスト段階中、駆動回路20は、圧電アクチュエータ16a、16bのいずれかに短絡があるか否かテストするように動作し、再生段階中に、電荷の形をとるエネルギーが、後続の噴射サイクルで使用することができるように、(図2aに示す)第1の蓄積コンデンサCおよび第2の蓄積コンデンサCに補充される。動作のこれらの段階はそれぞれ、図2aを参照して以下にさらに詳細に説明される。
図2aは、本発明の第1の実施形態による駆動回路20を示す。駆動回路20は、高電圧レールV、低電圧レールV、およびグランド電圧レールVGNDを含む。駆動回路20は全体的に、低電圧レールVが双方向中間電流経路21として役目を果たすハーフHブリッジとして構成される。噴射器12aの圧電アクチュエータ16aおよび噴射器12bの圧電アクチュエータ16b(図1)が、低電圧レールVに接続される。圧電アクチュエータ16aおよび16bは、また低電圧レールVに接続されるインダクタLと電流感知および制御手段28との間に配置され、それらと直列に結合される。
圧電アクチュエータ16aおよび16b(以後、単に「アクチュエータ」と呼ばれる)は、並列に接続される。アクチュエータ16a、16bはそれぞれ、コンデンサの電気特性を有し、その充電(+)端子と放電(−)端子の間の電位差である電圧を保持するように充電可能である。各アクチュエータ16a、16bは、それぞれに対応する噴射器選択スイッチSQ、SQに直列に接続され、噴射器選択スイッチSQはその両端間に接続されたダイオードDを、また噴射器選択スイッチSQはその両端間に接続されたダイオードDを有する。
噴射器バンク18は、アクチュエータ16a、16bと並列に再生分枝30を含む。再生分枝30は、再生スイッチRSQ、再生スイッチRSQの両端間に接続された第1のダイオードRSD、および再生スイッチRSQと直列に接続された第2のダイオードRSDを含む。第1のダイオードRSDおよび第2のダイオードRSDは、電流が再生分枝30を通って、そのうえ再生スイッチRSQが閉じられるときにだけ、一方向にのみ流れることができるように互いに対置される。
駆動回路20は、低電圧レールVとグランドレールVGNDの間に接続された電圧源32を含む。電圧源32は、車両バッテリ(図示せず)を、バッテリからの電圧を低電圧レールVの必要な電圧に増大させるための昇圧変圧器(図示せず)と併用することによってもたらすことができる。この例では、低電圧レールV上の電圧が約55ボルトであり、高電圧レール上の電圧が約255ボルトであるが、当業者なら、同様の効果に対して他の電圧が使用できることを理解するであろう。一般には、VがVを約200ボルト上回ることが好ましい。高電圧レールV上の電圧は、後により詳細に説明されるように、再生段階中に実現される。
第1のエネルギー蓄積コンデンサCは、高電圧レールVと低電圧レールVの間に接続され、第2のエネルギー蓄積コンデンサCは、低電圧レールVとグランド電圧レールVGNDの間に接続される。コンデンサC、Cは、充電段階および放電段階中にそれぞれ、アクチュエータ16a、16bを充電および放電するのに使用されるエネルギーを蓄積する。充電スイッチQが、高電圧レールVと低電圧レールVの間に接続され、放電スイッチQが、低電圧レールVとグランドレールVGNDの間に接続される。各スイッチQ、Qは、再生段階中に電流がコンデンサC、Cに戻るのを可能にするために、その両端間に接続されたそれぞれに対応するダイオードRD、RDを有する。
基本的には、駆動回路20は、充電回路および放電回路を備える。充電回路は、高電圧レールV、低電圧レールV、第1のコンデンサC、および充電スイッチQを備え、一方放電回路は、低電圧レールV、グランドレールVGND、第2のコンデンサC、および放電スイッチQを備える。次に、駆動回路20の動作の、放電段階、充電段階、および再生段階についての簡単な説明が続く。
噴射器ニードル弁14(図1)を開いて、噴射器12aまたは12bの一方から噴射を開始するためには、駆動回路20が、アクチュエータ16a、16bの一方が放電される放電段階において動作する。放電段階中、噴射器12aまたは12b(図1)が噴射のためにそれぞれ、関連する噴射器選択スイッチSQまたはSQを閉じることによって選択され、放電スイッチQが閉じられ、充電スイッチQが開いた状態である。例えば、第1の噴射器12aから噴射させるためには、第1の噴射器選択スイッチSQが閉じられて、電流が第2のコンデンサCの正端子から、電流感知および制御手段28を通り、選択された第1の噴射器12aのアクチュエータ16aを(低電圧側−から高電圧側+に向かって)通り、インダクタLを(矢印「I−DISCHARGE」の方向に)通り、放電スイッチQを通って第2のコンデンサCの負側に戻る。ダイオードDのため、また関連する噴射器選択スイッチSQが開いた状態であるため、選択されていない第2の噴射器12bのアクチュエータ16b内に電流が流れることができない。
充電段階中にアクチュエータ16a、16bを充電するためには、充電スイッチQが閉じられて、放電スイッチQが開いた状態である。第1のコンデンサCは、完全に充電されると、約200ボルトの電位差をその両端間に有し、したがって充電スイッチQを閉じると、電流が充電回路内を、第1のコンデンサCの正端子から、充電スイッチQ、およびインダクタLを(矢印「I−CHARGE」の方向に)通り、アクチュエータ16aおよび16b(高電圧側+から低電圧側−に向かって)ならびにそれぞれ関連するダイオードDおよびDを通り、電流感知および制御手段28を通って流れ、第1のコンデンサCの負端子に戻る。充電段階では、先に放電されたアクチュエータ16aが充電され、それにより噴射器12aの噴射器ニードル弁14(図1)が閉じられて、関連するシリンダ(図示せず)への燃料の噴射が終了する。
コンデンサC、Cが、その後の充電段階および放電段階において使用できる状態になるように、再生段階中にエネルギーがコンデンサC、Cに補充される。再生段階を開始するためには、再生スイッチRSQおよび放電スイッチQが閉じられるとともに、充電スイッチQが開いた状態である。車両バッテリ(図示せず)からの電流が、放電回路を流れて、第2のコンデンサCを充電する。次いで、放電スイッチQが開かれ、インダクタLのインダクタンスのため、幾らかの電流が、放電スイッチQが開かれた後に短時間、中間電流経路21内を流れ続ける。この電流が、充電スイッチQの両端間に接続されたダイオードRDを通って、第1のコンデンサCの正端子に流れ込むことによって、第1のコンデンサCが部分的に充電される。放電スイッチQが、第1のコンデンサCをその両端間の電位差が約255ボルトに増大するまでさらに充電するために、繰り返し開閉される。再生プロセスは、WO 2005/028836A1に、より詳細に記載されている。
駆動回路20は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、同時係属の特許出願EP 06254039.8に詳細に記載された「電荷制御」法に基づいて動作する。電荷制御法は、充電段階および放電段階中にアクチュエータ16a、16bに供給される電流を制御する、また充電段階および放電段階の継続時間を制御するものである。充電段階中にアクチュエータ16a、16bに追加される電荷、および放電段階中にアクチュエータ16a、16bから取り出される電荷が、電荷=電流×時間(Q=It)という関係に基づいて制御される。
実際には、充電段階および放電段階中に、変動電流がアクチュエータ16a、16bを通り駆動される。変動電流は、インダクタLがあることによって、また充電段階中に充電スイッチQを繰り返し開閉すること、および放電段階中に放電スイッチQを繰り返し開閉することによって実現される。スイッチQおよびQは、マイクロプロセッサ24の制御下で、電流感知および制御手段28から受け取られた信号に応答して開閉される。
インダクタLは、電流の変化を妨げる。したがって、充電段階中に、インダクタLは、充電スイッチQが開位置から閉位置に変化したとき、充電回路内を流れる電流の増加を遅延させる。同様に、インダクタLは、充電スイッチQが閉位置から開位置に変化したとき、電流の減少を遅延させる。すなわち電流は、充電スイッチQが開かれた後、短時間流れ続ける。インダクタLは、放電段階中に同様の効果を有する。したがって、充電スイッチQおよび放電スイッチQをそれぞれ開閉すると、充電回路および放電回路内に変動電流が生じる。
放電段階中および充電段階中の電流の制御について、アクチュエータ16aまたは16bの放電段階tおよび充電段階t中にそれぞれ発生された変動電流34の理想的なグラフを示す図3(a)を参照して、以下に説明される。電流34は、充電段階t中に正、放電段階t中に負として示される。その理由は、これら2つの段階において、電流が中間電流経路21(図2a)を反対方向に流れるためである。放電イネーブル信号36を示す図3(b)、充電イネーブル信号38を示す図3(c)、および制御信号40を示す図3(d)も参照されたい。放電イネーブル信号36および充電イネーブル信号38は、マイクロプロセッサ24から直接出力され、一方制御信号40は、電流感知および制御手段28(図2a)から出力される。
図3(b)を参照すると、放電段階tが時刻tに開始される。放電段階tをtに開始するために、マイクロプロセッサ24が、論理ハイレベルの放電イネーブル信号36を生成し、電流感知および制御手段28が、論理ハイレベルの制御信号40(図3(d))を出力する。放電イネーブル信号36が制御信号40と、マイクロプロセッサ24内の論理ANDゲートによって組み合わされ、その結果得られる信号(36AND40=HIGH)が、マイクロプロセッサ24から放電スイッチQに出力されて、放電スイッチQが閉じる。図2bは、信号36、38および40用の各種の入力端、ならびに図2aに示されるスイッチQ、Q、SQ、SQおよびRSQの動作を制御するための信号用の各種の出力端を示す、マイクロプロセッサ24の簡略図である。
選択された噴射器12aのアクチュエータ16aまたは噴射器12bのアクチュエータ16bを放電させるために電流Iが中間電流経路21を流れるとき、電流感知および制御手段28が電流Iを感知する。電流感知および制御手段28は、感知電流Iを基準電流と比較して、Iが所定の上側閾値電流Iより上に上昇したときに論理ロウレベルの信号を、またIが所定の下側閾値電流Iより下に下降したときに論理ハイレベルの信号を生成する、電流比較器を備える。すなわち、電流感知および制御手段は、所定の閾値電流IおよびIが感知されたとき、制御信号40を論理ロウレベルと論理ハイレベルの間で「チョップ」する。
図3(a)を参照すると、燃料の噴射を開始するために放電段階tがtに開始されると、インダクタLのインダクタンスのため、感知電流Iが徐々に増加する。この電流の増加は、図3(a)上の参照番号41で示されており、グラフのこの部分は、負の傾きを有するように示されているが、電流は、所定の閾値電流Iに向かって増加している。時刻tに、感知電流Iが所定の上側閾値電流Iに到達し、したがって電流感知および制御手段28が、制御信号40(図3(d))を論理ロウレベルにチョップする。時刻tに、放電イネーブル信号36と制御信号40が組み合わされた結果(36AND40=LOW)により、放電スイッチQ(図2a)が開く。次いで、電流が、インダクタLのインダクタンスのため、時刻tにIが所定の下側閾値電流Iに到達するまで、徐々に下降し始める。電流感知および制御手段28が、電流Iがtにより低い電流閾値Iに到達したことを感知して、制御信号40を論理ハイレベルにチョップする。その結果得られる、組合せ信号(36AND40=HIGH)により、放電スイッチQが再度閉じる。このプロセスが、期間tの間続く。
燃料の噴射を終了させるための充電段階tは、上述された放電段階tに類似しており、したがって本明細書では詳細に説明されない。充電段階tの間、マイクロプロセッサ24(図2b)内で制御信号40が充電イネーブル信号38と組み合わされ、その結果得られる信号(38AND40)が充電スイッチQ(図2a)に印加されて、図3(a)に示されるように、期間tにわたってIとIの間で変動する電流が発生する。
マイクロプロセッサのメモリ26内のルックアップテーブルが、放電段階t中に上側(より負の)電流閾値Iの値をもたらす。放電段階t中の下側電流閾値Iは、上側電流閾値Iの比から計算される。同様に、充電段階t中に、上側電流閾値Iがルックアップテーブルから得られ、下側電流閾値Iが、上側電流閾値Iの比から計算される。IおよびIの値は、スタック圧力、スタック温度、燃料要求、および燃料レール圧力を含むいくつかの要因に応じて選択される。駆動回路20、したがって燃料供給は、ECM22によって制御される。ECM22は、トルク、エンジン速度、および動作温度を含む現在のエンジン動作状態に基づいて、必要な燃料供給および噴射パルスのタイミングを決定する方策を組み込んでいる。いつ噴射器12a、12bが開閉するかについてのタイミングはECMによって決定され、それは本発明の理解には重要でない。
アクチュエータ16a、16bに短絡があるか否かテストされるテスト段階tが一般に、噴射終了後の充電段階tに続く。アクチュエータ16aまたは16bは、短絡を生じている場合、抵抗性要素が並列接続された容量性要素として電気的に振舞う。故障しているアクチュエータ16aまたは16bが充電されると、容量性要素が抵抗性短絡要素を通じてそれ自体を徐々に放電させる。短絡がない場合、アクチュエータ16aまたは16bは、充電されたままである。
本発明の第1の実施形態では、アクチュエータ16aおよび16bの短絡を検出するために、テスト段階tにおいて「チョップフィードバック」法が使用される。チョップフィードバック法では、充電段階tの終了後に続く所定の時間間隔後に、短い充電パルスがアクチュエータ16aおよび16bに対して実施される。適切に機能しているアクチュエータ16a、16b、すなわち短絡のないものの場合、この充電パルスが実施されているとき、電流が流れるべきではない。アクチュエータ16aおよび/または16bに短絡がある場合、アクチュエータ16aおよび/または16bは、充電段階に続く時間間隔中にその短絡抵抗を通じてそれ自体をある程度まで放電させる。その場合、テスト段階中に充電パルスが実施されると、放電されたアクチュエータ16aおよび/または16bを再充電するために電流が流れる。この電流を、電流感知および制御手段28(図2a)を使用して検出することができる。
充電段階tおよび放電段階tと同様に、テスト段階t中にも、電流感知および制御手段28が、ハイ状態とロウ状態の間で可変である制御信号40を出力するようにプログラムされる。電流感知および制御手段28は、アクチュエータ16a、16bの一方または両方内に短絡があることを示す所定の閾値電流ISCに到達するまたはそれを超える電流Iが感知された場合、制御信号40をチョップするようにさらにプログラムされる。ISCは、ゼロアンペアに非常に近い値となるように選択される。その理由は、噴射器が全て正しく機能しており、どれにも短絡がない場合、テスト段階中に実質的に電流が流れるべきではないためである。制御信号40は、図2bに示すようにマイクロプロセッサ24の入力端に供給され、マイクロプロセッサ24は、テスト段階中に制御信号40にチョップがあることを検出した場合、噴射器バンク18に短絡があることを示すための警告信号を生成する。
警告信号が生成される場合、マイクロプロセッサ24は、噴射器バンク18に対するその後の全ての活動をディスエーブルにする。これは、後続の全ての放電段階、充電段階、および再生段階をディスエーブルにすることを含む。ISCのレベルが低いほど、短絡検出がより堅牢になる。その理由は、より高い抵抗の短絡が検出可能になるためである(すなわち、テスト段階t中により少ない電流が流れる)。短絡を検出するこのチョップフィードバック法は、図3〜6を参照して以下により詳細に説明される。
電流感知および制御手段28から出力される充電イネーブル信号38を示す図3(c)を再度参照すると、テスト段階tが、充電段階tの終了後に続く所定の期間Δt後の、時刻tに開始する。実際には、クランク角が測定され、テスト段階tは、クランクが所定の角度だけ回転された後に開始する。したがって、期間Δtは、エンジン速度および負荷で異なり、エンジン速度が増加すると共に減少する。これは、低エンジン速度のとき、故障検出の分解能が最大にされることを意味する。その理由は、充電された噴射器が短絡を通じて放電することができるより多くの時間が利用できるためである。したがって、エンジン速度が低いときの方が、より高抵抗の短絡を測定することができる。
時刻tに、マイクロプロセッサ24が、充電イネーブル信号38(図3(c))を、論理ハイレベルの信号パルス42が生成されるように論理ロウレベルから論理ハイレベルに切り替える。この信号パルス42の継続時間はtであり、これはt−t(t引くt)に等しい。信号パルス42は、図4(b)および図5(b)にも示されている。
図4および5は、(a)テスト段階t中の感知電流I、(b)図3(c)に示される充電イネーブル信号パルス42、および(c)テスト段階t中の制御信号40の理想的なグラフを示す。図4は、噴射器バンク18におけるアクチュエータ16a、16b両方が正しく機能していて、どちらにも短絡がない状況を表し、一方図5は、アクチュエータ16a、16bの一方または両方に短絡がある状況を表す。
まず図4を参照すると、時刻tに、制御信号40(図3(c))が、充電イネーブル信号38(図3(b))と同時に論理ロウレベルから論理ハイレベルに切り替えられる。制御信号40は、充電イネーブル信号38と組み合わされて、その結果得られる組合せ信号(38+40=HIGH)により、時刻tに充電スイッチQ(図2)が閉じる。テスト段階t中の感知電流Iが実質的にゼロアンペアであり、したがって、テスト段階t中に、アクチュエータ16a、16bのどちらかを再充電するために実質的に電流が流れないことが、図4(a)から分かる。これは、アクチュエータ16aにも16bにも短絡がないので、アクチュエータ16aと16bのどちらも、テスト段階tの初めに依然として実質的に完全に充電されているためである。
先に説明されたように、制御信号40は、テスト段階t中の感知電流Iが、図4(a)上に点線44で示される所定の閾値電流ISCに到達する場合、高レベルから低レベルにチョップする。図4(a)の感知電流Iは、閾値電流ISCに到達せず、したがって制御信号40(図4(c))が、テスト段階t中にチョップされず、その代わりに論理ハイレベルにとどまる。テスト段階t中、制御信号40にチョップが検出されない場合、アクチュエータ16a、16bは正しく機能しており、噴射器バンク18に短絡がない。充電イネーブル信号38が、tに論理ハイレベルから論理ロウレベルに切り替わり、その結果得られる組合せ信号(38AND40=LOW)により、充電スイッチQが開いて、テスト段階tが終了する。
次に、アクチュエータ16aおよび/または16bのうち1つまたは複数に短絡がある状況を表す図5を参照されたい。図4を参照して先に説明されたように、短絡テスト段階の初め(時刻t)に、充電イネーブル信号38と制御信号40がどちらも高レベルに設定されて組み合わされ、その影響で、充電スイッチQ(図2a)が閉じる。しかし、図5に示されるケースでは、アクチュエータ16a、16bの一方または両方が、充電段階に続く期間Δt(図3)中に短絡を通じてある程度まで放電されている。したがって、充電パルス42によって、先に放電されたアクチュエータ16aおよび/または16bを再充電するためにテスト段階t中に電流が流れる。
図5(a)は、アクチュエータ16a、16bの一方または両方に短絡があるときに、テスト段階t中に流れる電流Iを示す。時刻tSCDに、電流Iが、所定の上側閾値電流ISCに到達し、それによって電流感知および制御手段28が、制御信号40(図5(c))を論理ハイレベルから論理ロウレベルにチョップ46する。組み合わされた信号(38AND40=LOW)によって、tSCDに充電スイッチQが開き、故障しているアクチュエータが、その短絡を通じて再度放電し始める。図5(a)に示されるように、感知電流Iは流れ続けるが、tSCDに充電スイッチQが開いた後の短い期間中、減少する。これは、インダクタLのインダクタンスのためである。制御信号40がマイクロプロセッサ24にフィードバックされる。テスト段階t中の制御信号40にチョップ46があることは、噴射器バンク18に短絡があることを示し、チョップ46があることにより、マイクロプロセッサ24が警告信号を生成する。次いで、短絡が検出された場合、後続の放電段階、充電段階および再生段階が、故障している噴射器バンク18に対して中断される。
短絡の検出に加えて、電流感知および制御手段28、ならびにマイクロプロセッサ24を、開回路故障の検出に使用することもできる。開回路故障は放電段階t中にテストされ、したがって、開回路故障があるか否かをテストするために、駆動回路の通常動作内に余分な段階を導入する必要がない。放電スイッチQ(図2a)が閉じられ、かつ噴射器、例えば第1の噴射器12aが噴射のために、噴射器選択スイッチSQ(図2a)を閉じることによって選択されると、選択された噴射器12aのアクチュエータ16aに電流が流れるべきである。選択された噴射器12aのアクチュエータ16aが開回路である場合、この放電段階t中に実質的に電流が流れない。
このとき、先に図3を参照して説明されたように、放電段階t中に流れる電流が、制御信号40を使用して下側電流レベルIと上側電流レベルIの間で、上側電流レベルIに到達すると制御信号40がチョップされるように制御される。したがって、選択された噴射器12aのアクチュエータ16aが開回路である場合、放電段階t中に上側電流閾値Iに到達せず、したがって制御信号40がチョップされない。制御信号40はマイクロプロセッサ24にフィードバックされ、放電段階t中の制御信号40にチョップがない場合、マイクロプロセッサ24は開回路警告信号を出力する。
開回路検出法の一改良形態として、「タイムウィンドウ」を導入し、それによって、放電段階tの開始に続く所定の時間間隔後に制御信号40にチョップが生じていない場合に、開回路警告信号を生成することができる。選択された噴射器12aが開回路であると判明した場合、噴射器12aがディスエーブルにされる。噴射器バンク18上の残りの噴射器12bはディスエーブルにされず、通常動作を続けることができる。噴射器バンク18上の全ての噴射器12a、12bが開回路であると判明した場合、噴射器バンク18が完全にディスエーブルにされる。
上述のチョップフィードバックを使用して短絡および開回路を検出する方法は、車両運転中に使用され、したがって故障があればそれが発生したときに検出される。短絡の検出は、駆動回路20の通常運転に余分な段階を導入するが、アクチュエータ16a、16bの充電と、その次の噴射器バンク18からの噴射との間には、常にある期間がある。短絡テスト段階はこの、次の噴射の直前に実施され、したがって車両の通常運転に悪影響を及ぼさない。開回路検出は、放電段階中に実施されるので、駆動回路20の通常運転にどんな余分な段階も導入しない。
車両運転中に短絡故障および開回路故障を検出することに加えて、図2aの駆動回路20は、エンジン始動中に短絡故障および開回路故障を検出するためにも使用される。ただしその方法は、始動中にはわずかに異なる。この方法が、次に図6の流れ図を参照して説明される。
[ステップ48]始動時に、高電圧レールV上に較正可能な小電圧が発生される。この電圧は一般に約75ボルト、または低電圧レールVの電圧より約20ボルト上である。これは、高電圧レールが約255ボルトである、エンジンの通常運転中の状況とは対照的である。
[ステップ50]噴射器バンク18上の各アクチュエータ16a、16bが、高電圧レールVと同じ電圧に充電される。
[ステップ52]較正可能な期間が経過し、その間、短絡のある任意のアクチュエータ16aおよび/または16bが、ある程度まで放電する。
[ステップ54]充電パルスがアクチュエータ16a、16bに対して、較正可能な電流で較正可能な期間の間実施される。
[ステップ56]電流感知および制御手段28が、充電パルス中に流れる電流Iを感知する。
[ステップ58]感知電流Iが、アクチュエータ16a、16bのうち少なくとも一方に短絡があることを示す所定の閾値電流ISCと比較される。
[ステップ60]感知電流Iが、所定の閾値電流ISCに到達する、またはそれを超える場合、電流感知および制御手段28が、マイクロプロセッサ24にフィードバックされる制御信号40をチョップする。制御信号40にチョップがあることは、アクチュエータ16a、16bのうち少なくとも一方に短絡があることを示す。
[ステップ62]感知電流Iが、所定の閾値電流ISCに到達しない、またはそれを超えない場合、すなわち制御信号40にチョップが生じない場合、短絡がないと見なされ、次いで噴射器12a、12bが、後続の放電段階t中に、噴射器12a、12bを選択しかつ放電スイッチQを閉じることによって、1つずつ開回路故障があるか否かテストされる。
[ステップ64]電流感知および制御手段28が、放電段階t中に流れる電流Iを感知する。
[ステップ66]電流感知および制御手段28が、感知電流Iが所定の閾値電流IOCに到達する、またはそれを超える場合、制御信号40をチョップする。始動時に使用される閾値電流IOCは、運転中に開回路テストに使用される閾値電流Iよりも低い。これは、アクチュエータ16a、16bが、始動時により低いレベルに充電され、したがって始動時の放電段階t中に、より少ない電流が流れるためである。
[ステップ68]感知電流Iが、所定の閾値電流IOCに到達しない、またはそれを超えない場合、制御信号40にチョップが生じない。制御信号40にチョップがないことは、選択された噴射器12aのアクチュエータ16aまたは噴射器12bのアクチュエータ16bが開回路であることを示し、したがってマイクロプロセッサ24が、警告信号を生成する。警告信号が生成された場合、選択された噴射器12aのアクチュエータ16aまたは噴射器12bのアクチュエータ16bが開回路であり、次いでその噴射器がディスエーブルにされる。
[ステップ70]感知電流Iが、所定の閾値電流IOCに到達する、またはそれを超える場合、制御信号40にチョップが生じる。チョップがあることは、選択された噴射器12aのアクチュエータ16aまたは噴射器12bのアクチュエータ16bが開回路でないことを示し、残りの噴射器12a〜12Nが、噴射器バンク18上の全ての噴射器12a〜12Nがテストされるまでそれぞれテストされる。
[ステップ72]全ての噴射器12a〜12Nがテストされた後、テストが完了する。テストの結果が、噴射器バンク18に短絡があるか否か、またアクチュエータ16a、16bのいずれかが開回路であるか否かを示す。さらに、このテストは、アクチュエータ16a、16bのうち(もしあれば)どちらが開回路であるかを判定することができる。
本発明の第2の実施形態では、噴射器配列における短絡を検出するために、一代替方法が使用される。この代替方法が次に、図1の駆動回路20Aの第2の実施形態を示す図7を参照して説明される。図7では、等価な構成要素は、図2aの参照番号と同じ参照番号を有する。駆動回路20Aは、図2aの駆動回路20と基本的に同じであるが、高電圧レールVとグランドレールVGNDにまたがって接続され、また低電圧レールVとバイアス点Pで交差する抵抗バイアスネットワーク74が追加されている。先の説明は、図2aについて故障検出のチョップフィードバック法に関連する場合を除き、図7に等しく当てはまる。
抵抗バイアスネットワーク74は、一緒に直列に接続された第1、第2、および第3の抵抗器(R、R、R)を含む。第1の抵抗器Rは、高電圧レールVと低電圧レールV上のバイアス点Pとの間に接続され、第2の抵抗器Rおよび第3の抵抗器Rは、バイアス点PとグランドレールVGNDの間に直列に接続される。第2の抵抗器Rは、バイアス点Pと第3の抵抗器Rの間に接続され、第3の抵抗器Rは、第2の抵抗器RとグランドレールVGNDの間に接続される。
抵抗バイアスネットワーク74は、選択されたアクチュエータ16aまたは16bにかかる電圧を、充電段階t直後に、またその充電段階tの終了後に続く所定の期間Δt後に再度、求めるために使用される。2つの測定値間の任意の電圧降下の傾きが、選択されたアクチュエータ16aまたは16bに短絡があるか否か、およびその短絡の程度を特定する。電圧降下の傾きは、正しく機能していて短絡のないアクチュエータ16aまたは16bの場合、実質的にゼロであるべきである。所定量よりも大きな電圧降下の傾きがあればそれが、選択されたアクチュエータ16aまたは16bに短絡があることを示す。
選択されたアクチュエータ16aまたは16bにかかる電圧は、関連する噴射器選択スイッチSQまたはSQが閉じられているとき、バイアス点Pでの電位V引く低電圧レールV上の電圧(この例では55V)である。抵抗バイアスネットワーク74は、第2の抵抗器Rと第3の抵抗器Rとの間の点Pでの電位Vを、(第3の抵抗器Rの両端間の電圧を測定することによって)測定するために使用され、測定された電圧Vが、バイアス点Pでの電位Vを以下のように
=V×R/(R+R) (1)
したがって、
=V×(R+R)/R (2)
のように計算するために使用される。
例えば、第1の噴射器12aのアクチュエータ16aに短絡があるか否かを、抵抗バイアスネットワーク74を使用してテストするために、テスト段階t中に以下の方法が使用される。
−充電段階tの直後、第1の噴射器12aが、噴射器選択スイッチSQを閉じることによって選択される。充電スイッチQおよび放電スイッチQが開いた状態であり、第3の抵抗器Rの両端間の電圧VM1が測定される。
−充電段階tの直後のバイアス点Pでの電位、したがって選択された第1の噴射器12aのアクチュエータ16aにかかる電圧Vが、VM1から計算され、Vの値がマイクロプロセッサ24のメモリ26内に、変数VB1として記憶される。
−噴射器12aが、噴射器選択スイッチSQを開くことによって選択解除され、充電段階の終了後に続いて所定の期間Δtが経過することが可能にされる。所定の期間Δtは、先に説明されたように、クランク軸の角度、したがってエンジン速度に依存することができる。
−所定の期間Δtの後、噴射器12aが、噴射器選択スイッチSQを閉じることによって再度選択され、Rの両端間の電圧VM2が測定される。
−この所定の期間Δt後のVの値がVM2から計算され、マイクロプロセッサ24のメモリ26に、変数VB2として記憶される。
−電圧降下VB2−VB1が計算され、所定の電圧降下値と比較される。計算された電圧降下(VB2−VB1)が所定の電圧降下値を超える場合、マイクロプロセッサ24が短絡警告信号を出力する。
電圧降下(VB2−VB1)の大きさは、短絡の抵抗および電圧測定間に経過する期間Δtに依存する。期間Δtが長い方が、故障しているアクチュエータが放電するのにより長い期間を有するので、より高抵抗の短絡を測定することができる。これは、期間Δtがより長くなるより低いエンジン速度において、短絡検出の分解能が最大にされることを意味する。
電圧降下(VB2−VB1)を所定の電圧降下値と比較するのに代わる一手段として、電圧傾度をそれに代わって以下のように計算することができる。
(VB2−VB1)/Δt
この電圧傾度は、電圧測定間に経過する期間Δtに依存しない。電圧傾度は、所定の電圧傾度値と比較され、計算された電圧傾度が所定の電圧傾度値を超える場合、マイクロプロセッサ24が短絡警告信号を出力する。
どちらのケースでも、マイクロプロセッサ24が短絡警告信号を生成した場合、選択された噴射器12aがディスエーブルにされる。計算された電圧降下が、所定の電圧降下値未満である、または計算された電圧傾度が、所定の電圧傾度値未満である場合、短絡警告信号が生成されず、駆動回路が通常どおり動作を続けることができる。残りのアクチュエータ16b〜16Nがそれぞれ、今説明されたのと同じ方式で短絡があるか否かテストされる。

Claims (15)

  1. エンジン内にある、圧電アクチュエータ(16a、16b)を有する少なくとも1つの燃料噴射器(12a、12b)を備える噴射器配列における故障を検出する方法であって、
    前記圧電アクチュエータを、充電段階(t)中に充電するステップと、
    前記圧電アクチュエータを、前記充電段階の終了後に続く時間間隔(Δt)後に開始するテスト段階(t)中に再充電するように試みるステップと、
    前記テスト段階中に前記圧電アクチュエータを流れる電流(I)を感知するステップと、
    前記感知電流(I)が、前記圧電アクチュエータに短絡があることを示す第1の所定の閾値電流(ISC)に到達する場合、短絡故障信号を生成するステップと、
    を含む方法。
  2. 前記テスト段階中に第1の制御信号(40)を生成するステップと、前記第1の制御信号(40)が、前記感知電流に応答して第1の状態と第2の状態の間で可変であり、
    前記感知電流が前記第1の所定の閾値電流に到達する場合、前記第1の制御信号を、前記第1の状態と前記第2の状態の間でチョップするステップと、
    前記テスト段階中に、前記第1の制御信号にチョップ(46)が生じたとき、前記短絡故障信号を生成するステップと、
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記圧電アクチュエータを放電段階(t)中に放電させるステップと、
    前記放電段階中に前記圧電アクチュエータを流れる前記電流を感知するステップと、
    前記放電段階中の前記感知電流が、第2の所定の閾値電流(I、IOC)に到達しない場合、開回路故障信号を生成するステップと
    をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記放電段階(t)中に第2の制御信号(40)を生成するステップと、前記第2の制御信号は、前記放電段階中の前記感知電流に応答して第1の状態と第2の状態の間で可変であり、
    前記感知電流が前記第2の所定の閾値電流(I、IOC)を超える場合、前記第2の制御信号を、前記第1の状態と前記第2の状態の間でチョップするステップと、
    前記放電段階中に前記第2の制御信号にチョップが生じない場合、開回路故障信号を生成するステップと
    をさらに含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記放電段階の開始(t)に続く所定の時間間隔後に、前記第2の制御信号にチョップが生じていない場合、前記開回路故障信号が生成される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記時間間隔(Δt)は、前記エンジンのクランク軸の回転角に依存する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記時間間隔は、エンジン速度に依存する、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 圧電アクチュエータ(16a、16b)を有する少なくとも1つの燃料噴射器(12a、12b)を備える噴射器配列における故障を検出するための装置であって、
    前記圧電アクチュエータを充電するための充電手段(C)と、
    前記圧電アクチュエータを通る電流(I)を感知するための電流感知手段(28)と、
    前記充電手段を、充電段階(t)中に前記圧電アクチュエータに接続させるように、また前記充電段階に続く時間間隔(Δt)後に開始するテスト段階(t)中に、前記圧電アクチュエータに再接続させるように構成された制御手段(24)とを備え、
    前記制御手段は、前記テスト段階中の前記感知電流(I)が第1の所定の閾値電流(ISC)に到達する場合、短絡故障信号を生成するようにさらに配列される、
    故障を検出するための装置。
  9. 前記テスト段階(t)中の前記感知電流(I)が前記第1の所定の閾値電流(ISC)に到達したときに第1の状態と第2の状態の間でチョップされる、第1の制御信号(40)を生成するための手段(28)をさらに備え、前記制御手段(24)が、前記テスト段階(t)中に前記第1の制御信号(40)内にチョップ(46)が生じる場合に、前記短絡故障信号を生成するように構成される、請求項8に記載の装置。
  10. 前記圧電アクチュエータを放電段階(t)中に放電させるための放電手段(C)をさらに備え、前記制御手段は、前記放電段階中の前記感知電流(I)が第2の所定の閾値電流(I、IOC)を超えない場合に、開回路故障信号を生成するように構成される、請求項8または請求項9に記載の装置。
  11. 前記放電段階中の前記感知電流は前記第2の所定の閾値電流(I、IOC)を超える場合に第1の状態と第2の状態の間でチョップされる、第2の制御信号(40)を生成するための手段(28)をさらに備え、前記制御手段は、前記放電段階中に前記第2の制御信号にチョップが生じない場合に、前記開回路故障信号を生成するように構成される、請求項10に記載の装置。
  12. 前記制御手段は、前記放電段階の開始(t)に続く所定の時間間隔後に前記第2の制御信号にチョップが生じていない場合、前記開回路故障信号を生成するように構成される、請求項11に記載の装置。
  13. 実行環境内で実行されると、請求項1から7のいずれか一項に記載の前記方法を実施するように動作可能な少なくとも1つのコンピュータプログラムソフトウェア部分を備える、コンピュータプログラム。
  14. 請求項13に記載の前記または各コンピュータソフトウェア部分がその上に記憶された、データ記憶媒体。
  15. 請求項14に記載のデータ記憶媒体が設けられたマイクロコンピュータ。
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