JP5078755B2 - 超音波検査装置および原子力プラントの非破壊検査方法 - Google Patents
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Description
この圧電素子は、たとえば、直径20mm程度と比較的大きいため、装置が大型となっていた。このため、狭隘部あるいは複雑形状の部材の測定が難しい。また、圧電素子の固有周波数により超音波の周波数帯域が制限されるので、たとえば、部材表面の画像表示等の用途にはあまり適さないという問題があった。
これは、光ファイバを使いレーザ光を被検体に照射し、このレーザ光で被検査体表面に超音波を励起させ、被検体中を伝わった超音波を受信レーザ光で検出するものである。この超音波の変化を感知することで、欠陥を検出し、受信した超音波の周波数分析をすることで深さの同定も行なえる。
すなわち、超音波発生に細い光ファイバを用いるので、装置が小型化でき、狭隘部あるいは複雑形状の部材の測定に対応できるものである。
これは、一端が金属板で閉じられ、内部にガスが封入された筒状体内にレーザ光を照射し、内部ガスの熱膨張および金属板の熱応力による変化を発生させ、この変化を外部に伝播させ、超音波を発生するものである。
また、これによりレーザ光の強度が制限され、十分な調査が行えない、あるいは、検査対象である被検体の範囲が制限されるという問題点がある。
さらに、レーザ光が通過できないところ、たとえば、高速増殖炉の冷却材であるナトリウム中では、検査することができないという問題がある。
特許文献3に示されるものはレーザ光が被検体に直接照射されないので、被検体を劣化、変形させることは解決されている。ところで、超音波によって非破壊検査を行うには、超音波の強度を十分に高める必要があるが、特許文献3では、この点について具体的に示されていないし、所定の周波数を得るための具体的な手法について示されていないので、このままで実施することはできない。
本発明による超音波検査装置は、調整された出力のレーザ光を発射するレーザ装置および該レーザ装置が発射する前記レーザ光を照射され、超音波を発生する送信ダイヤフラムを有する超音波送信部を備え、該超音波送信部の該送信ダイヤフラムが発生する超音波を被検体に照射して検査を行う超音波検査装置であって、開口部材が前記送信ダイヤフラムへ入射する前記レーザ光の光路に設置され、該開口部材は前記レーザ光の周辺部がカットされた状態で通過させる開口部を有していることを特徴とする。
これにより、高出力のレーザ光が取り扱えるので、発生する超音波の強度を強くすることができる。このため、良好な検査を行うことができる。
また、被検体との距離を大きくしても十分な検査が行えるので、指向性を大きくすることができる。これにより、分解能を小さくできるので、検査精度を向上させることができる。
本発明によれば、レーザ光の周辺部分が開口部材によってカットされるので、中央部分の強度の強い部分が開口部を通ってダイヤフラムに照射される。言い換えると、ダイヤフラムに照射されるレーザ光の強度分布の周端部は鋭く切り立った形状となる。
ダイヤフラムにおけるレーザ光が照射される部分は温度が上昇し、それが周辺に伝播される。このとき、中央部分の強度の強いレーザ光が照射されるので、レーザ光の照射域端部におけるダイヤフラムの温度上昇は急激となる。これにより、ダイヤフラムにおけるレーザ光の照射域端部とその外側部との温度勾配が急峻となるので、発生する超音波の周波数を高くすることができる。
この開口部の大きさを適宜選定することによって発生する超音波の周波数を所定の高さとすることができる。
すなわち、開口部材をダイヤフラムに近づけると、ダイヤフラムにおけるレーザ光の照射域端部とその外側部との温度勾配が急峻となるので、発生する超音波の周波数を高くすることができる。一方、開口部材をダイヤフラムから遠ざけると、ダイヤフラムにおけるレーザ光の照射域端部とその外側部との温度勾配が小さくなるので、発生する超音波の周波数を低くすることができる。
このように、開口部材をレーザ光の光路に沿って移動させることによって発生する超音波の周波数を変化させることができるので、周波数の高さを容易に調節することができる。これにより、被検体の種類、検査種類に対応して最適な周波数を有する超音波を発生することができるので、検査の多様性に対応することができる。
また、レーザ光の中央部分ではその強度の変動は少ないので、開度をその範囲で調整すると発生する超音波の周波数はほとんど変化しない。たとえば、この範囲で開度を調整すると、ダイヤフラムに入射されるレーザ光のビーム径が異なることになるので、略同一の周波数を持つ超音波の指向性を調整することができる。すなわち、ビーム径を小さくすると、指向性が高くなる、言い換えると、広い範囲に強度の高い超音波を出力でき、一方、ビーム径を大きくすると、指向性が低くなる。
さらに、この開口部材をレーザ光の光路に沿って移動するようにすると、被検体の種類、検査種類に対応して周波数の高さおよび指向性について調整することができ、一層検査の多様性に対応することができる。
たとえば、体積検査および表面検査というように、性格の異なる検査、すなわち、ハイブリッドな検査を行うことができる。
しかも、発生する超音波の周波数を調整できる超音波検査装置を用いているので、検査の多様性に対応することができる。
超音波検査装置1には、超音波を送受信する検査体3と、超音波送信用のレーザ光を発信するレーザ装置5と、超音波受信用のレーザ光を受発信する受信レーザ部7と、送受信したデータを保管するとともにレーザ装置5および受信レーザ部7の動作を指示するデータ収集装置9と、送受信したデータを処理し、表示するデータ処理・表示装置11とが備えられている。
検査体3には、略直方体形状をした箱体である本体13と、本体の一面の略中央部に取り付けられた円筒形状をし、光ファイバを挿通させる通路部15と、本体13の内部に取り付けられた体積検査用超音波送信部(超音波送信部)17と、表面検査用超音波送信部(超音波送信部)19と、複数の超音波受信部21とが備えられている。
複数の超音波受信部21は、略等間隔にマトリックス状(たとえば、10列×10行)に設置されている。
体積検査用超音波送信部17および表面検査用超音波送信部19は、それぞれ超音波受信部21群の略中央部に設置されている。
レーザ装置5には、レーザ発振器25と、レーザ光路27と、レーザ光を光ファイバ23に導入する、たとえば、光スイッチ等で構成される導入部29とが備えられている。
NDフィルタ33は、複数のフィルタが交換可能に備えられており、これらを交換することによってレーザ光の光量、すなわち、出力を調節するものである。
集光レンズ35は、レーザ光路27に沿って移動可能とされ、光ファイバ23に入射するレーザ光の径(後述する送信ダイヤフラム39への入射されるレーザ光の径)をある程度調整できるようにされている。
体積検査用超音波送信部17には、中空の略円筒形状をした本体37と、本体37の一端部に取り付けられた送信ダイヤフラム39と、耐熱ダンパ41と、送信ダイヤフラム39の他端側に設置されこれを支持するバックアップリング43と、バックアップリング43の他端側に配置された光ファイバ23を所定位置関係に設置する連結部材であるフェルール45と、フェルール45の他端側に配置され、フェルール45を押える偏心孔リング47と、本体37の他端部の中空部に螺合され、一端側に配置された部材を押える押さえネジ49と、フェルール45と送信ダイヤフラム39との間に設置された開口部材51と、が備えられている。
開口部材51は、図6に示されるように中心部に略円形の開口部52を有するドーナツ形状をした板部材である。
開口部材51は、その面が図4および図5に示されるように送信ダイヤフラム39へ入射されるレーザ光48の光路に略直交するように配置され、かつ、それに沿って移動可能とされている。
体積検査用超音波送信部17および表面検査用超音波送信部19は、送信ダイヤフラム39が本体13の通路部15に対向する面に向くように設置されている。
このとき、発生する超音波の強度は、レーザ光出力あるいはレーザ光48のエネルギー密度に対応して図8の実線で示されるように変化する。
レーザ光出力あるいはレーザ光のエネルギー密度等が小さいところ(低エネルギー域)では、レーザ光48のエネルギーが送信ダイヤフラム39等の温度の上昇に使われ、発生する超音波の強度が小さい。この部分はサーマルモードと称される。
レーザ光出力あるいはレーザ光48のエネルギー密度等がさらに大きくなると、送信ダイヤフラム39への侵食作用が大きくなって一部ガス化し、レーザ光48を散乱または吸収するので、レーザ光48が送信ダイヤフラム39へ供給するエネルギー割合が低下することになる。
こうなると、発生する超音波の強度の増加率が小さくなるので、レーザ光48のエネルギー効率が低下することになる。この状態はエアブレークダウンモードと称される。
この意味で、送信ダイヤフラム39の材料としては、ステンレス(SUS)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)が好ましい。
このサファイアガラスあるいは粘性体は、レーザ光が送信ダイヤフラム39に照射されることによって送信ダイヤフラム39に発生する振動の内、レーザ入射側へ向かう振動を打ち返すので、それらがレーザ入射側と反対方向、すなわち、超音波発生方向に向かうことになり、送信ダイヤフラム39が発生する超音波の強度を強くする。
超音波受信部21は略円筒形状をし、一端側に、光スイッチ8と連結される光ファイバ53が接続されている。超音波受信部21の他端部には、受信ダイヤフラム55が取付けられている。
超音波受信部21は、受信ダイヤフラム55が本体13の通路部15に対向する面に向くように設置されている。
検査体3を検査対象となる構造部材(被検体)57に対向して配置する。構造部材57の内部のキズ59を検査する体積検査を行う場合には、体積検査用超音波送信部17を用いる。
レーザ発振器25がレーザ光を発振すると、レーザ光はレーザ光路27を通って導入部29に入射される。レーザ光は導入部29で体積検査用超音波送信部17側の光ファイバ23を通過できる形に変換される。この変換されたレーザ光48が光ファイバ23を通ってフェルール45から送信ダイヤフラム39に照射される。
このとき、レーザ光48の強度分布Kは断面をみると、たとえば、図4および図5に示されるように放物線を示している。
この強度分布Kでは、強度はレーザ光48の周辺部分から徐々に強くなっているので、送信ダイヤフラム39におけるレーザ光48の照射域端部とその外側部との温度勾配が小さくなり、発生する超音波の周波数の高さは制約される。
すなわち、送信ダイヤフラム39に入射されるレーザ光48の照射域端部での強度は、中央部分の強度の強い強度JK1となる。
この開口部52の大きさを適宜選定することによって発生する超音波の周波数を所定の高さとすることができる。
すなわち、送信ダイヤフラム39に入射されるレーザ光48の照射域端部での強度は、略中央部分の強度の強い強度JK2となるが、図4に示される開口部材51が送信ダイヤフラム39に近いときの強度JK1よりも小さくなる。
したがって、その分送信ダイヤフラム39におけるレーザ光48の照射域端部とその外側部との温度勾配が小さくなるので、発生する超音波の周波数は図4に示されるものよりも低くなる。
これにより、被検体の種類、検査種類に対応して最適な周波数を有する超音波を発生することができるので、検査の多様性に対応することができる。
この超音波Cは、周波数が2〜5MHzを主体となるように調整されている。言い換えると、発生する超音波Cの周波数は2〜5MHzが主体となるように、送信ダイヤフラム39の材質、寸法、レーザ装置5のレーザ光の強度、開口部材51の位置、開口部52の開度等の条件が設定されている。
このとき、受信レーザ部7のレーザ発振器6からレーザ光が発振され、光スイッチ8、光ファイバ53を介して受信ダイヤフラム55に照射されている。照射されたレーザ光は受信ダイヤフラム55に反射され、逆ルートを通ってレーザ干渉計10に戻される。
このデータをデータ収集装置9に保管し、保管されたデータをデータ処理・表示装置11が処理し、キズ59の有無、有る場合はその位置等を算出して、表示する。
この場合、表面検査用超音波送信部19の送信ダイヤフラム39で発生する超音波Cは、周波数が10MHzを主体となるように調整されている。言い換えると、発生する超音波Cの周波数は10MHzが主体となるように、送信ダイヤフラム39の材質、寸法、レーザ装置5のレーザ光の強度、開口部材51の位置、開口部52の開度等の条件が設定されている。
なお、検査動作については、体積検査と同様であるので、ここでは重複した説明を省略する。
このように超音波検査装置1は発生する超音波Cの周波数が異なる体積検査用超音波送信部17および表面検査用超音波送信部19を備えているので、これらを切換えて用いることによって、体積検査および表面検査という性格の異なる検査、すなわち、ハイブリッドな検査を1台で行うことができる。
これにより、高出力のレーザ光が取り扱えるので、発生する超音波Cの強度を強くすることができる。このため、良好な検査を行うことができる。
また、構造部材57との距離を大きくしても十分な検査が行えるので、指向角を大きくすることができる。これにより、分解能を小さくできるので、検査精度を向上させることができる。
また、検査に超音波Cを用いているので、レーザ光が通過できないところ、たとえば、高速増殖炉の冷却材であるナトリウム中でも検査することができる。
図9および図10は、開口部材61を示す正面図である。図11は、開口部材61部分を示す側面断面図である。
この開口部材61は、内側が曲線で構成された複数、たとえば、13枚の小片63で構成されている。各小片63は、周方向に相互に重なり、それぞれ揺動可能に取り付けられている。各小片63を揺動し、その傾斜角度を変化させることによって内側に形成される開口部65の大きさ、すなわち、開度が調整できる。
一方、送信ダイヤフラム39に入射されるレーザ光48のビーム径が異なるので、略同一の周波数を持つ超音波の指向性を調整することができる。
さらに、この開口部材61をレーザ光48の光路に沿って移動するようにすると、被検体の種類、検査種類に対応して周波数の高さおよび指向性について調整することができ、一層検査の多様性に対応することができる。
すなわち、体積検査用超音波送信部17のみで、体積検査および表面検査というように、性格の異なる検査、すなわち、ハイブリッドな検査を行うことができる。
たとえば、体積検査用超音波送信部17および表面検査用超音波送信部19を同時に備える必要はなく、目的によってはいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
また、開口部52,65は円形とされているが、これは任意の多角形、それらの各辺の少なくとも一部が曲線で形成された形状、楕円形、長円形等任意の形状とされていてもよい。
5 レーザ装置
17 体積検査用超音波送信部
19 表面検査用超音波送信部
39 送信ダイヤフラム
48 レーザ光
51 開口部材
52 開口部
57 構造部材
61 開口部材
65 開口部
Claims (4)
- 調整された出力のレーザ光を発射するレーザ装置および該レーザ装置が発射する前記レーザ光を照射され、超音波を発生する送信ダイヤフラムを有する超音波送信部を備え、
該超音波送信部の該送信ダイヤフラムが発生する超音波を被検体に照射して検査を行う超音波検査装置であって、
開口部材が前記送信ダイヤフラムへ入射する前記レーザ光の光路に設置され、該開口部材は前記レーザ光の周辺部がカットされた状態で通過させる開口部を有していることを特徴とする超音波検査装置。 - 前記開口部材は、前記光路に沿って移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の超音波検査装置。
- 前記開口部材は、前記開口部の開度が調整可能とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波検査装置。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された超音波検査装置を用いて原子力プラントの非破壊検査を行うことを特徴とする原子力プラントの非破壊検査方法。
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