JP5078741B2 - 超音波検査装置および原子力プラントの非破壊検査方法 - Google Patents
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Description
この圧電素子は、たとえば、直径20mm程度と比較的大きいため、装置が大型となっていた。このため、狭隘部あるいは複雑形状の部材の測定が難しい。また、圧電素子の固有周波数により超音波の周波数帯域が制限されるので、たとえば、部材表面の画像表示等の用途にはあまり適さないという問題があった。
これは、光ファイバを使いレーザ光を被検体に照射し、このレーザ光で被検査体表面に超音波を励起させ、被検体中を伝わった超音波を受信レーザ光で検出するものである。この超音波の変化を感知することで、欠陥を検出し、受信した超音波の周波数分析をすることで深さの同定も行なえる。
すなわち、超音波発生に細い光ファイバを用いるので、装置が小型化でき、狭隘部あるいは複雑形状の部材の測定に対応できるものである。
これは、一端が金属板で閉じられ、内部にガスが封入された筒状体内にレーザ光を照射し、内部ガスの熱膨張および金属板の熱応力による変化を発生させ、この変化を外部に伝播させ、超音波を発生するものである。
また、これによりレーザ光の強度が制限され、十分な調査が行えない、あるいは、検査対象である被検体の範囲が制限されるという問題点がある。
さらに、レーザ光が通過できないところ、たとえば、高速増殖炉の冷却材であるナトリウム中では、検査することができないという問題がある。
特許文献3に示されるものは、レーザ光が被検体に直接照射されないので、被検体を劣化、変形させることは解決されている。ところで、超音波によって非破壊検査を行うには、超音波の強度を十分に高める必要があるが、特許文献3では、この点について具体的に示されていないので、改善の余地がある。
本発明による超音波検査装置は、調整された出力のレーザ光を発射するレーザ装置と、一端に該レーザ装置からのレーザ光が絞られて導入され、伝送される光ファイバと、該光ファイバの他端から射出されるレーザ光を照射され、超音波を発生する送信ダイヤフラムを有する超音波送信部と、を備え、該超音波送信部の該送信ダイヤフラムが発生する超音波を被検体に照射して検査を行う超音波検査装置であって、前記光ファイバの前記一端側における絞られる前記レーザ光の焦点領域を包含する空間を、前記レーザ光の通過を許容するように密閉する密閉容器が備えられ、該密閉容器内が高真空とされていることを特徴とする。
これにより、高出力のレーザ光が取り扱えるので、発生する超音波の強度を強くすることができる。このため、良好な検査を行うことができる。
また、被検体との距離を大きくしても十分な検査が行えるので、指向性を大きくすることができる。これにより、分解能を小さくできるので、検査精度を向上させることができる。
本発明では、レーザ光の焦点領域を包含する空間が密閉容器で密閉されているので、この密閉容器内を高真空とすることにより、密閉容器内のチリ、気体分子等の量を大幅に削減することができる。これにより、焦点領域でエネルギー密度が集中してもブレークダウンが発生する対象物がほとんど存在しないことになるので、ブレークダウンの発生を抑制することができる。
したがって、密閉容器はレーザ光の通過を許容するようにされていることも相まって、一層高出力のレーザ光が取り扱えるので、発生する超音波の強度を強くすることができる。このため、一層良好な検査を行うことができる。
なお、密閉容器は、その取り付け時に内部を高真空にして、その状態を維持するように開口を封じ切るようにしてもよい。
このようにすると、必要の都度、たとえば、真空ポンプ等の吸引部材によって密閉容器内の雰囲気を吸引し、密閉容器内を高真空とすることができる。
これにより、高出力のレーザ光が取り扱えるので、発生する超音波の強度を強くすることができる。このため、良好な検査を行うことができる。
また、被検体との距離を大きくしても十分な検査が行えるので、指向性を大きくすることができる。これにより、分解能を小さくできるので、検査精度を向上させることができる。
本発明では、レーザ光の焦点領域を包含する空間が密閉容器で密閉され、かつ、密閉容器内に希ガスが封入されているので、焦点領域には電離し難い希ガスが存在していることになる。これにより、焦点領域でエネルギー密度が集中してもブレークダウンが発生する対象物が電離し難いので、ブレークダウンの発生を抑制することができる。
したがって、密閉容器はレーザ光の通過を許容するようにされていることも相まって、一層高出力のレーザ光が取り扱えるので、発生する超音波の強度を強くすることができる。このため、一層良好な検査を行うことができる。
これにより、高出力のレーザ光が取り扱えるので、発生する超音波の強度を強くすることができる。このため、良好な検査を行うことができる。
超音波検査装置1には、超音波を送受信する検査体3と、超音波送信用のレーザ光を発信するレーザ装置5と、超音波受信用のレーザ光を受発信する受信レーザ部7と、送受信したデータを保管するとともにレーザ装置5および受信レーザ部7の動作を指示するデータ収集装置9と、送受信したデータを処理し、表示するデータ処理・表示装置11とが備えられている。
検査体3には、略直方体形状をした箱体である本体13と、本体の一面の略中央部に取り付けられた円筒形状をし、光ファイバを挿通させる通路部15と、本体13の内部に取り付けられた体積検査用超音波送信部(超音波送信部)17と、表面検査用超音波送信部(超音波送信部)19と、複数の超音波受信部21とが備えられている。
複数の超音波受信部21は、略等間隔にマトリックス状(たとえば、10列×10行)に設置されている。
体積検査用超音波送信部17および表面検査用超音波送信部19は、それぞれ超音波受信部21群の略中央部に設置されている。
レーザ装置5には、レーザ光26を発振するレーザ発振器25と、レーザ光26を案内処理するレーザ光路27と、レーザ光26を光ファイバ23に導入する、たとえば、光スイッチ等で構成される導入部29と、レーザ光26を包囲する真空容器(密閉容器)30と、が備えられている。
真空容器30は、略中空円筒形状をした鋼製の容器であり、その一端面に集光レンズ35が取り付けられ、他端面に、光ファイバ23が挿着されている。
図4は真空容器の概略構成を示す断面図である。真空容器30は、レーザ光26が集光レンズ35により集光される焦点の前後である焦点領域32を覆うように設置されている。
真空容器30には、真空ポンプ(吸引部材)34の吸引部36が接続されている。
体積検査用超音波送信部17には、中空の略円筒形状をした本体37と、本体37の一端部に取り付けられた送信ダイヤフラム39と、耐熱ダンパ41と、送信ダイヤフラム39の他端側に設置されこれを支持するバックアップリング43と、バックアップリング43の他端側に配置された光ファイバ23を所定位置関係に設置する連結部材であるフェルール45と、フェルール45の他端側に配置され、フェルール45を押える偏心孔リング47と、本体37の他端部の中空部に螺合され、一端側に配置された部材を押える押さえネジ49と、フェルール45を押さえネジ49側へ常時付勢する圧縮バネ51と、が備えられている。
体積検査用超音波送信部17および表面検査用超音波送信部19は、送信ダイヤフラム39が本体13の通路部15に対向する面に向くように設置されている。
これにより、フェルール45の先端と送信ダイヤフラム39との間隔が変化することになる。この間隔が変化すると、フェルール45の先端から発射されるレーザ光の放射角によって送信ダイヤフラム39に到達するレーザ光のビーム径が変化することになる。
なお、光ファイバ23の出射端(たとえば、フェルール45の先端)と送信ダイヤフラム39との間隔を変化させる構造は図3のものに限らず、適宜構造とすることができる。
このとき、発生する超音波の強度は、レーザ光出力あるいはレーザ光のエネルギー密度に対応して図6の実線で示されるように変化する。
レーザ光出力あるいはレーザ光のエネルギー密度等が小さいところ(低エネルギー域)では、レーザ光のエネルギーが送信ダイヤフラム39等の温度の上昇に使われ、発生する超音波の強度が小さい。この部分はサーマルモードと称される。
レーザ光出力あるいはレーザ光のエネルギー密度等がさらに大きくなると、送信ダイヤフラム39への侵食作用が大きくなって一部ガス化し、レーザ光を散乱または吸収するので、レーザ光が送信ダイヤフラム39へ供給するエネルギー割合が低下することになる。
こうなると、発生する超音波の強度の増加率が小さくなるので、レーザ光のエネルギー効率が低下することになる。この状態はエアブレークダウンモードと称される。
この意味で、送信ダイヤフラム39の材料としては、ステンレス(SUS)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)が好ましい。
このサファイアガラスあるいは粘性体は、レーザ光が送信ダイヤフラム39に照射されることによって送信ダイヤフラム39に発生する振動の内、レーザ入射側へ向かう振動を打ち返すので、それらがレーザ入射側と反対方向、すなわち、超音波発生方向に向かうことになり、送信ダイヤフラム39が発生する超音波の強度を強くする。
超音波受信部21は略円筒形状をし、一端側に、光スイッチ8と連結される光ファイバ53が接続されている。超音波受信部21の他端部には、受信ダイヤフラム55が取付けられている。
超音波受信部21は、受信ダイヤフラム55が本体13の通路部15に対向する面に向くように設置されている。
検査体3を検査対象となる構造部材57に対向して配置する。構造部材57の内部のキズ59を検査する体積検査を行う場合には、体積検査用超音波送信部17を用いる。
真空ポンプ34を作動し、真空容器30内を高真空とする。
この状態でレーザ発振器25がレーザ光26を発振すると、レーザ光26はレーザ光路27を通って導入部29に入射される。レーザ光26はミラーで進路を調節され、NDフィルタ33によって調整された光量とされる。
このように、真空容器30の部分では、レーザ光26は集光レンズ35から入り、光ファイバ23に導入されて出て行くので、これ以外の部分はレーザ光26の通過に関係が無くなる。
したがって、真空容器30はレーザ光26の通過を許容しない材料、たとえば、鋼製等不透明な材料で形成することもできるので、真空容器30の形成を多様化することができる。
焦点流域32ではエネルギー密度のレーザ光が集中するので、さらに高エネルギー密度となる。
真空容器30内は真空ポンプ34によって高真空とされているので、内部に気体分子、チリ等がほとんど存在していない。このため、焦点領域32でエネルギー密度が集中してもブレークダウンが発生する対象物がほとんど存在しないので、ブレークダウンの発生を抑制することができる。
送信ダイヤフラム39にレーザ光が照射されると、送信ダイヤフラム39は超音波を発生する。
この超音波Cは、周波数が2〜5MHzを主体となるように調整されている。言い換えると、発生する超音波Cの周波数は2〜5MHzが主体となるように、送信ダイヤフラム39の材質、寸法、レーザ装置5のレーザ光の強度等の条件が設定されている。
このとき、受信レーザ部7のレーザ発振器6からレーザ光が発振され、光スイッチ8、光ファイバ53を介して受信ダイヤフラム55に照射されている。照射されたレーザ光は受信ダイヤフラム55に反射され、逆ルートを通ってレーザ干渉計10に戻される。
このデータをデータ収集装置9に保管し、保管されたデータをデータ処理・表示装置11が処理し、キズ59の有無、有る場合はその位置等を算出して、表示する。
この場合、表面検査用超音波送信部19の送信ダイヤフラム39で発生する超音波Cは、周波数が10MHzを主体となるように調整されている。言い換えると、発生する超音波Cの周波数は10MHzが主体となるように、送信ダイヤフラム39の材質、寸法、レーザ装置5のレーザ光の強度等の条件が設定されている。
なお、検査動作については、体積検査と同様であるので、ここでは重複した説明を省略する。
このように超音波検査装置1は発生する超音波Cの周波数が異なる体積検査用超音波送信部17および表面検査用超音波送信部19を備えているので、これらを切換えて用いることによって、体積検査および表面検査という性格の異なる検査、すなわち、ハイブリッドな検査を1台で行うことができる。
このように構造体57の種類、検査種類に対応して、最適な送信ダイヤフラム39を備えている超音波検査装置1を用いることで、検査精度、検査効率等を向上させることができる。
これにより、高出力のレーザ光が取り扱えるので、発生する超音波Cの強度を強くすることができる。このため、良好な検査を行うことができる。
また、構造部材57との距離を大きくしても十分な検査が行えるので、指向角を大きくすることができる。これにより、分解能を小さくできるので、検査精度を向上させることができる。
また、検査に超音波Cを用いているので、レーザ光が通過できないところ、たとえば、高速増殖炉の冷却材であるナトリウム中でも検査することができる。
すなわち、フェルール45を送信ダイヤフラム39に近づけ、ビーム径を小さくすると、指向性が高くなる、言い換えると、広い範囲に強度の高い超音波を出力できるので、たとえば、表面を画像化して検査する表面検査に有効となる。一方、フェルール45を送信ダイヤフラム39から遠ざけ、ビーム径を大きくすると、指向性が低くなる、言い換えると、強度の高い超音波は限定された範囲に集中して出力されるので、たとえば、内部の欠陥を検査する体積検査に有効となる。
すなわち、体積検査用超音波送信部17のみで、体積検査および表面検査というように、性格の異なる検査、すなわち、ハイブリッドな検査を行うことができる。
なお、たとえば、送信ダイヤフラム39をその面内で凸凹に変形させることによって指向性を変化させることができる。
たとえば、体積検査用超音波送信部17および表面検査用超音波送信部19を同時に備える必要はなく、目的によってはいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
また、真空容器30内に、たとえば、アルゴン等の希ガスを封入するようにしてもよい。このようにすると、焦点領域32には電離し難い希ガスが存在していることになる。これにより、焦点領域32でエネルギー密度が集中してもブレークダウンが発生する対象物が電離し難いので、ブレークダウンの発生を抑制することができる。
たとえば、集光レンズ35および光ファイバ23のいずれか一方のみ取り付けられる、あるいは両者の間に介装されるようにされていてもよい。この場合、真空容器30は、たとえば、透明材料で構成し、レーザ光の通過を許容するようにする。
5 レーザ装置
17 体積検査用超音波送信部
19 表面検査用超音波送信部
23 光ファイバ
26 レーザ光
30 真空容器
32 焦点領域
34 真空ポンプ
35 集光レンズ
39 送信ダイヤフラム
57 構造部材
Claims (5)
- 調整された出力のレーザ光を発射するレーザ装置と、一端に該レーザ装置からのレーザ光が絞られて導入され、伝送される光ファイバと、該光ファイバの他端から射出されるレーザ光を照射され、超音波を発生する送信ダイヤフラムを有する超音波送信部と、を備え、該超音波送信部の該送信ダイヤフラムが発生する超音波を被検体に照射して検査を行う超音波検査装置であって、
前記光ファイバの前記一端側における絞られる前記レーザ光の焦点領域を包含する空間を、前記レーザ光の通過を許容するように密閉する密閉容器が備えられ、該密閉容器内が高真空とされていることを特徴とする超音波検査装置。 - 前記密閉容器に、前記密閉容器内の雰囲気を吸引するように接続されている吸引部材が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波検査装置。
- 調整された出力のレーザ光を発射するレーザ装置と、一端に該レーザ装置からのレーザ光が絞られて導入され、伝送される光ファイバと、該光ファイバの他端から射出されるレーザ光を照射され、超音波を発生する送信ダイヤフラムを有する超音波送信部と、を備え、該超音波送信部の該送信ダイヤフラムが発生する超音波を被検体に照射して検査を行う超音波検査装置であって、
前記光ファイバの前記一端側における絞られる前記レーザ光の焦点領域を包含する空間を、前記レーザ光の通過を許容するように密閉する密閉容器が備えられ、該密閉容器内に希ガスが封入されていることを特徴とする超音波検査装置。 - 前記密封容器の一端側には、前記レーザ光を絞るレンズが取り付けられ、他端側には、前記光ファイバの一端側が装着されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波検査装置。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された超音波検査装置を用いて原子力プラントの非破壊検査を行うことを特徴とする原子力プラントの非破壊検査方法。
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