JP2011169767A - 超音波顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】 超音波顕微鏡において、音響レンズの収差を抑制しつつ高周波の超音波を用いてサブμmオーダの空間分解能を実現する。
【解決手段】本発明の超音波顕微鏡1は、パルス光を照射するパルス光照射手段5から照射されたパルス光を吸収して熱弾性効果による超音波を発し超音波を試料に送出する超音波送波部4と、超音波送波部4から送出された超音波を試料に集約しつつ放射するレンズ面10を備えた音響レンズ2と、を具備していて、超音波送波部4に送出されるパルス光の位相を変化させることで音響レンズ2の収差補正を行う収差補正部40がパルス光照射手段5と超音波送波部4との間に設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、パルス光を用いて発生させた超音波を試料に照射し、試料で反射した反射超音波を用いて、当該試料を観察する超音波顕微鏡に関するものであり、特に試料の微小領域の弾性的性質を超音波を利用して評価する超音波顕微鏡に関する。
従来より、パルス光を用いて超音波を発生させ、発生した超音波を音響レンズを通して収束して試料に照射し、その試料で反射した反射超音波を用いて試料の微小部分の弾性的性質を検出する装置として超音波顕微鏡が知られている。
超音波顕微鏡では、光学顕微鏡や電子顕微鏡では得られない試料内部の情報が非破壊で得られることから、試料の弾性等の力学的性質の評価だけでなく、内部欠陥の検出等にも多く用いられている。
このような超音波顕微鏡としては特許文献1や特許文献2に開示されたものがある。
特許文献1や特許文献2の超音波顕微鏡は、超音波を発生するトランスデューサと、試料台と、走査手段とを備えている。トランスデューサは、音響レンズと圧電薄膜とから構成されている。音響レンズは、サファイアや石英ガラスなどの円柱状結晶からなっており、一方の端面は光学研磨された平面であり、他方の端面には、微小な凹半球状のレンズ面が設けられている。試料台上に載置された試料と音響レンズとの間には、純水のような超音波の伝播媒体が充填される。
圧電薄膜は、前述した音響レンズの光学研磨された平面上に設けられ、パルス発振器からの高周波パルスで励起されると超音波を発生させる。圧電薄膜から放射された超音波は、音響レンズの内部を通ってレンズ面に達し、レンズ面で収束されて試料の微小部位に入射される。この微小部位で反射された超音波は、反射超音波として再び音響レンズを通じて圧電薄膜に到達する。圧電薄膜は、試料からの反射超音波である超音波エコーを電気信号に変換して、この電気信号を受信器に与える。
受信器は、この電気信号を検波及び増幅してビデオ信号に変換し、該ビデオ信号を表示器に出力する。表示器は、受信器からビデオ信号を受信し、試料の内部状態を画像として表示する。
特開平9−43208号公報 特開2002−243710号公報
ところで、近年、半導体デバイスや電子部品のような極めて微小な試料の評価が必要となっており、超音波顕微鏡にも例えば数μm以下のオーダーといった高い分解能が要求されることが多い。
超音波顕微鏡で高い分解能を実現するためには、検出波である超音波の周波数を高くする必要がある。ところが、超音波の周波数を高くして高分解能を実現しようとすると、低周波数では問題にならなかった音響レンズの収差が問題となる。例えば、周波数帯域が数百MHz程度になれば、せっかく波長を小さくしても音響レンズの収差の影響が無視できなくなるため高分解能の実現が困難になる。
つまり、超音波顕微鏡でサブμmの分解能を実現するためには、超音波の周波数を高くするだけでなく、音響レンズの収差を確実に低減しなければならないのである。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、音響レンズの収差を抑制しつつ高周波の超音波を用いて数μm〜サブμmオーダの分解能を実現することができる超音波顕微鏡の提供を目的としている。
上述の目的を達成するため、本発明は以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明の超音波顕微鏡は、パルス光を照射するパルス光照射手段から照射されたパルス光を吸収して熱弾性効果による超音波を発し、当該超音波を試料に送出する超音波送波部と、超音波送波部から送出された超音波を、試料に集約しつつ放射するレンズ面を備えた音響レンズと、を具備する超音波顕微鏡であって、超音波送波部に送出されるパルス光の到達時間を変化させ前記音響レンズの収差補正を行う収差補正部が、パルス光照射手段と超音波送波部との間に設けられていることを特徴とするものである。
なお、前記収差補正部は、パルス光照射手段から照射されたパルス光を透過できるように光透過性を備えており、内部を透過するパルス光に対して音響レンズの光軸からの距離に応じて光路長を変化させる構成とされているのが好ましい。
また、このような収差補正部としては、軸心からの径方向距離に応じて軸心に沿った方向の厚みや屈折率を段階的に異ならせた構成とされ、前記軸心が音響レンズの光軸と一致するように配備されているものを用いることができる。
本発明に係る超音波顕微鏡によれば、音響レンズの収差を抑制しつつ高周波の超音波を用いてサブμmオーダの空間分解能を実現することができる。
本発明の第1実施形態による超音波顕微鏡の構成を示す図である。 第1実施形態の超音波顕微鏡の音響レンズの側面図である。 (a)は第1実施形態の収差補正部を上方(反レンズ面側)から見た平面図であり、(b)は収差補正部を側方から見た側面図である。 第1実施形態の収差補正部を透過するパルス光の透過状態を説明する説明図である。 超音波が焦点に到達するまでの時間を第1実施形態の収差補正部の有無で比較したグラフである。 (a)は第2実施形態の収差補正部を上方(反レンズ面側)から見た平面図であり、(b)は収差補正部を側方から見た側面図である。 超音波が焦点に到達するまでの時間を第2実施形態の収差補正部の有無で比較したグラフである。 第3実施形態の収差補正部の一部断面斜視図である。 他の実施形態の収差補正部を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明の第1実施形態による超音波顕微鏡1について詳しく説明する。図1は、本実施形態による超音波顕微鏡1の構成を示す図である。図2は、本実施形態による超音波顕微鏡1の音響レンズ2の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る超音波顕微鏡1は、試料が載置されるX−Yステージ3と、X−Yステージ3上の試料にレンズ面10を向けて配置された音響レンズ2を備えている。この音響レンズ2の上部には、照射されたパルス光を吸収して熱弾性効果による超音波を発し、当該超音波を試料に送出する超音波送波部4が形成されており、超音波送波部4にパルス光を照射するパルス光照射手段5も備えられている。
加えて、超音波顕微鏡1は、試料で反射した超音波である反射超音波を受波するとともに、その反射超音波から受ける応力に応じて量子特性を変化させる半導体薄膜を有する超音波受波部6を有する。
また、超音波顕微鏡1は、超音波受波部6の量子特性の変化を検出する特性変化検出手段7と、検出された量子特性の変化を基に試料内部の情報を得る内部情報取得手段8と、を具備する。
以下、第1実施形態の超音波顕微鏡1について、その構成を詳細に説明する。
超音波顕微鏡1は、試料が載置されるX−Yステージ3を備えている。このX−Yステージ3は、試料を支持し、音響レンズ2に対する試料の位置を水平方向(超音波の照射方向に対して直交する方向の位置)に変化させて位置決めするためのものであり、直交するボールネジ機構等から構成される。X−Yステージ3は、コンピュータ等で構成されたステージ制御部21により、試料の水平方向位置や送りピッチなどが制御される。
X−Yステージ3の上方には、音響レンズ2が配備される。この音響レンズ2は、例えば純水であって超音波を伝播するカップリング媒体9を介して、X−Yステージ3上の試料と対向している。
図2を参照して、音響レンズ2について詳細に説明する。
音響レンズ2は、例えばSi単結晶からなる円柱状部材であって、その内部には空間を有しない中実な構造となっている。この円柱状部材の一つの底面、すなわちX−Yステージ3と対向する底面側に、音響レンズ2の内部に向かって湾曲した窪み状のレンズ面10を形成している。このレンズ面10は、当該底面での開口部がほぼ円形であり、レンズ面10は凹凸のない平滑な略球面となっている。レンズ面10が形成されないもう一方の底面(反レンズ面、すなわち反X−Yステージ3側)は、光学研磨された平面である。
音響レンズ2は、超音波をできるだけ減衰させずに伝播するために硬質材料で形成されるので、音響レンズ2の材料として石英ガラスやサファイヤなどを用いてもよい。また、音響レンズ2の形状を円柱状であるとしたが、円錐台形状、角柱形状、又は角錐台形状でもよい。
係る音響レンズ2の反レンズ面側の平面には、試料で反射して音響レンズ2を通って戻った反射超音波を受波するための半導体薄膜(超音波受波部6)が積層されている。
この半導体薄膜の上部には、加熱用のパルス光(加熱パルス光)の吸収及び発熱によって発生する熱応力によって高周波の超音波を発生する金属膜(超音波送波部4)が、超音波受波部6の一部を覆うように設けられている。
まず、超音波送波部4について説明する。
音響レンズ2の反レンズ面には、AlN(窒化アルミニウム)からなる緩衝層11が設けられ、この緩衝層11上にGaAs膜が積層される。このGaAs膜の上に、金属膜であるMo(モリブデン)が積層されている。この金属膜(Mo)は、超音波送波部4としての機能を果たすものである。
この超音波送波部4である金属膜(Mo)に対して加熱パルス光が照射されると、金属膜(Mo)は、パルス光のエネルギーの吸収及び発熱によって熱膨張し、そのときに発生する熱応力(熱弾性効果)によって、加熱パルスと同じパルス幅(時間幅)の熱弾性波を発生する。例えば、パルス幅が0.5ns以下の加熱パルスが照射されると、2GHz以上の周波数の超音波を発生させることができる。超音波送波部4に用いる金属膜の材料としては、モリブデン(Mo)の他に、金、銅、アルミニウム等を用いることができる。
音響レンズ2の上方側には、加熱パルス光を発生するパルス光照射手段5が設けられている。このパルス光照射手段5は、短パルス幅のパルスレーザ光を発する光源(YAGレーザ等)であるパルス光照射部12と、加熱パルス光を超音波送波部4に対して略垂直方向に照射するように導くミラー13と、加熱パルス光のビーム径を調整するレンズ系14とを備えている。これらパルス光照射部12、ミラー13、及びレンズ系14でパルス光照射手段5を構成している。
パルス光照射部12は、例えば波長532nm、パルス幅0.5nmのパルス状のレーザ光を、加熱パルス光として発する光源(YAGレーザ等)である。ここで加熱パルス光の波長は、超音波送波部4の材質に応じて選択することができ、パルス幅は、発生させたい超音波の周波数に応じて選択することができる。
次に、超音波受波部6について説明する。
前述したように、音響レンズ2の反レンズ面には、AlN(窒化アルミニウム)からなる緩衝層11が設けられ、この緩衝層11上にGaAs膜が積層される。このGaAs膜は、超音波受波部6としての機能を果たすものであって、固有のバンドギャップ(量子特性)を有する混晶半導体の薄膜である。GaAs膜のバンドギャップの大きさは、GaAs膜が受ける応力によって変化することが知られており、このGaAs膜が超音波を受波するとGaAs膜内に応力が発生するので、GaAs固有のバンドギャップの大きさが変化する。
つまり、超音波受波部6の上部には、超音波受波部6の一部を覆うように、超音波送波部4である金属膜(Mo)が積層されている。反レンズ面では、金属膜である超音波送波部4と半導体薄膜である超音波受波部6の一部が露出している。
一方、図1に示すように、音響レンズ2の上方の両側部には、特性変化検出手段7が設けられている。この特性変化検出手段7は、測定光として例えばHe−Neレーザを発する測定光レーザ光源15と、測定光を反射して超音波受波部6に対して斜め方向から入射させるミラー16と、超音波受波部6で反射した反射測定光を、後述する高速光検出器18に向かって反射させるミラー17と、ミラー17からの反射測定光を検出する高速光検出器18と、高速光検出器18が検出した反射測定光の強度信号の時系列変化を検出する高速オシロスコープ19とを備えている。
これらのうち、測定光レーザ光源15及びミラー16で測定光照射手段を形成し、ミラー17、高速光検出器18、及び高速オシロスコープ19で測定光検出手段を形成している。
図1の紙面に向かって音響レンズ2の左上方には、測定光レーザ光源15が配備されている。この測定光レーザ光源15は、上記した超音波受波部6のGaAs膜のバンドギャップに対応する波長又は該波長よりも短い波長を含むHe−Neレーザ光を、測定光として出力するものである。
本実施形態において測定光レーザ光源15から発せられる測定光は、少なくとも超音波受波部6のGaAs膜のバンドギャップに対応する波長を含んでいるので、本実施形態では、GaAsのバンドギャップに対応する赤外の波長が含まれている。なお、測定光は、加熱パルス光とは、異なる波長を有するのが好ましい。
図1の紙面に向かって音響レンズ2の右上方には、高速光検出器18が配備されている。この高速光検出器18は、超音波受波部6で反射した反射測定光を検出するものであり、検出した反射測定光を光電変換して、当該反射測定光の強度信号を生成し、後述する高速オシロスコープ19に出力するものである。
高速オシロスコープ19は、高速光検出器18から出力された反射測定光の強度信号を受け取るとともに、強度信号をサンプリングして一次記憶し、その強度信号の時系列変化を検出する装置である。
例えば、高速オシロスコープ19は、熱パルス光が出力されたことを示すパルス光出力開始信号をパルス光照射部12から取得し、当該パルス光出力開始信号を取得した時点から、反射測定光の強度信号の強度のピークE1、E2、E3、・・・(エコー)が検出された時点までの時間を検出し、その時間の情報を計算機20に出力する。ここで、最も早く検出されたピークE1は、音響レンズ2とカップリング媒体9との界面からの反射エコーを示し、ピークE2は、試料表面からの反射エコーを示し、以降に続くピークは試料内部からの反射エコーを示している。
高速オシロスコープ19は、例えば1〜10psec程度のサンプリング周期での信号入力機能を有しているので、熱パルス光のパルス幅よりも十分に短い間隔で反射測定光の強度信号をサンプリングすることができる。
内部情報取得手段8である計算機20は、高速オシロスコープ19から得られるピークE1、E2、・・・の検出時間の情報から、2番目のピークE2の発生時間と3番目以降の前記ピークE3、E4・・・発生時間との時間差を算出し、試料内での超音波の伝播速度から、試料内部に存在する欠陥等の深さや、音速等を算出する。このとき、加熱パルス光を複数回繰り返し照射することで試料内の同一測定点の測定を繰り返し、同期加算平均化処理を行うことで測定精度(S/N比)を向上させる。
以上のように構成された超音波顕微鏡1の動作について、以下に説明する。
測定光レーザ光源15が測定光を照射すると共に、パルス光照射手段5のパルス光照射部12が加熱パルス光を発すると、加熱パルス光を受けた超音波送波部4が超音波を発生する。発生した超音波は、超音波受波部6、及び緩衝層11を経て音響レンズ2内をレンズ面10に向けて伝播する。音響レンズ2を伝播した超音波は、レンズ面10で集束され、試料表面及び内部に入射する。試料表面及び内部で反射した超音波は、入射とは反対の経路を経てレンズ面10に戻り、音響レンズ2内を超音波受波部6に向けて伝播する。音響レンズ2内を伝播した超音波は、緩衝層11を経て超音波受波部6に到達する。
超音波受波部6に到達した超音波は超音波受波部6内に応力を発生させるので、超音波受波部6の半導体薄膜のバンドギャップが変化(量子特性が変化)する。このとき、超音波受波部6に照射されている測定光は、超音波受波部6の半導体薄膜に入射した際に、変化したバンドギャップに対応する波長の光が吸収される。
よって、超音波受波部6で反射した反射測定光は、吸収された光の分だけ強度が低下して、高速光検出器18に入射する。その後、高速オシロスコープ19が、当該反射測定光の強度信号の時系列変化を検出し、計算機20が上述のように試料内部に存在する欠陥等の深さや、音速等を算出する。
X−Yステージ3によって試料における観測部位の位置決めがなされるごとに、加熱パルス光及び測定光の照射と、高速光検出器18による反射測定光の検出と、計算機20による試料内部に存在する欠陥等の深さの算出とが行われる。
以上のような動作を経て、試料内部における3次元方向の状態の分布を観測することができる。
なお、超音波送波部4に用いられるMo等の金属膜は、音響レンズ2を経て戻った超音波を受波すると光弾性効果によって光反射率が変化する(屈折率が変化する)という性質がある。よって、半導体薄膜を用いずに、超音波送波部4における加熱パルス光の照射位置以外の部分に、測定光レーザ光源15からの測定光が照射されるようにし、そこからの反射測定光を高速光検出器18で検出するように特性変化検出手段7を構成してもよい。
また、上記構成に代えて、超音波受波部6として、圧電素子を採用することも可能である。
ところで、超音波顕微鏡1では、上述したように音響レンズ2のレンズ面10に到達した超音波は、レンズ面10から試料の表面や内部に設定された焦点に収束されつつ照射されることになる。
ところが、一般的にレンズには球面収差等の収差がつきものであり、超音波顕微鏡1のレンズ面10から照射された超音波にもある程度の収差が発生する場合がある。このような収差があると焦点に超音波を精度良く収束することができず、試料に加えられる超音波の強度が低くなるため、超音波を効率良く送信できて高分解能を実現できる超音波顕微鏡を得るためには収差補正を行うことが必要不可欠となる。
特に、本発明の超音波顕微鏡1のように高周波数の超音波を用いて高分解能を実現しようとすると、検出されたデータに及ぼす収差の影響が無視できなくなるため、高分解能を実現するためには音響レンズの収差を可能な限り抑制(補正)するのが好ましい。
そこで、本発明の超音波顕微鏡1では、収差補正部40を設けて音響レンズ2の収差補正を行うようにしている。この収差補正部40は超音波送波部4に送出されるパルス光の位相を変化させることにより音響レンズ2の収差補正を行うものである。
本発明の収差補正部40はパルス光照射手段5と超音波送波部4との間に設けられている。この収差補正部40は、パルス光照射手段5から照射されたパルス光を透過できるように光透過性の材料から形成されていて、内部を透過するパルス光に対して音響レンズ2の光軸Pからの距離に応じて光路長を変化させるものである。
まず、第1実施形態では、パルス光が透過する材料の厚みを変えることで光路長を変化させる収差補正部40を説明する。
図3に示すように、第1実施形態の収差補正部40は、外形(外周)が略円筒形状に形成されていて、その内部は軸方向に沿って上方から下方に向かってえぐられた形状となっている。このえぐられた部分の内周面は、階段状(棚田状)に形成されていて、下側よりも上側の方が径方向に広くなるように形成されている。この外周円筒状の収差補正部40は、その軸心が音響レンズ2の光軸Pと一致するように配備されている。
詳しくは、収差補正部40は、空気より屈折率の大きなガラスやサファイヤなどの光透過性の材料から均質に形成されていて、一方の端面(図例では上端面)から入射されたパルス光を軸方向に沿って案内し他方の端面(図例では下端面50)から外部に導けるようになっている。
収差補正部40は、軸心(音響レンズ2の光軸P)から径方向の距離に応じて軸方向の厚みが段階的に異なる形状に形成されている。
具体的には、図3(a)及び(b)に示すように、収差補正部40の中央には収差補正部40の内部を軸方向に貫通する貫通孔41が形成されており、この貫通孔41は軸方向上下にそれぞれ円形の開口部42、43を備えている。この貫通孔41の上開口部42からは、径方向にリング状平面部(第1上端面44)が形成されていて、この第1上端面44の径方向外周縁から垂直に壁部が形成され、この壁部の上縁からは、径方向にリング状平面部(第2上端面45)が形成されている。同様に、この第2上端面45の径方向外周縁から垂直に壁部が形成され、この壁部の上縁からは、径方向にリング状平面部(第3上端面46)が形成されており、この第3上端面46が収差補正部40の上端面となっている。
収差補正部40の直径は、この収差補正部40の上部から照射される円筒状に照射されるパルス光の直径と略同じとされていて、第3上端面46にパルス光の外周部が達する直径とされている。
次に、第1実施形態の収差補正部40を用いた収差補正方法について説明する。
図4(a)に示すように、収差補正を行う際は、収差補正部40をその軸心が音響レンズ2の光軸Pと一致する位置であって、パルス光照射手段5と超音波送波部4との間に配備する。そうすると、パルス光照射手段5から照射されたパルス光が収差補正部40の上方から軸方向に沿って入射される。
このとき、開口部42に入射されたパルス光は空洞とされた貫通孔41をそのまま通過するが、リング状平面部から入射されたパルス光は屈折率が大きな光透過性の材料内を進むことになる。つまり、貫通孔41を通過する経路に比べれば光透過性の材料内を進む経路の方が光路長が長くなるので、第1上端面44から入射されたパルス光の方が貫通孔41を通るパルス光より超音波送波部4に到達する時間が遅れることになる。
また、第1上端面44より厚みがある第2上端面45から入射されたパルス光は、第1上端面44より厚くなっている分だけ光路長が長くなり、第1上端面44から入射されたパルス光より超音波送波部4に到達する時間がさらに遅れることになる。そして、これは第1上端面44や第2上端面45よりさらに厚みがある第3上端面46から入射されたパルス光についても同じである。このようにして収差補正部40では、入射した部分に応じて異なった大きさの位相差がパルス光に対して付与される。その結果、収差補正部40を透過したパルス光は、貫通孔41を通過したパルス光を先頭にして、次に第1上端面44から入射したパルス光、その次に第2上端面45から入射したパルス光、第3上端面46から入射したパルス光の順に軸方向に差をつけながら超音波送波部4に向かうことになる。
その結果、図4(b)に示すように、収差補正部40を通過したパルス光の中では、貫通孔41を通過したパルス光と第1上端面44から入射したパルス光だけが超音波送波部4に到達し、パルス光が照射された超音波送波部4の一部から発生した超音波だけが音響レンズ2内に伝播される。しかし、第2上端面45や第3上端面46から入射したパルス光は超音波送波部4に到達しておらず、超音波は発生していない。
図4(c)に示すように、超音波送波部4ではパルス光の到着順に従って超音波が音響レンズ2内に順次伝播されていくため、音響レンズ2内を伝播した超音波も、開口部42、第1上端面44、第2上端面45、第3上端面46に入射したものの順でレンズ面10に近くなるように下方に向かって凸形状に並び、この並びを維持したままレンズ面10に向かう。それゆえ、第1実施形態の収差補正部40では、レンズ面10から焦点に達する超音波の位相が光軸Pからの距離に合わせて変更(補正)され、収差の補正が可能となるのである。なお、収差補正部40が無い場合は、図2に示すように、音響レンズ2内を伝播する超音波は水平方向に位相がそろった平面波となっている。
次に、この収差補正部40が備える作用効果を具体例を挙げてさらに詳しく説明する。
例えば、収差補正部40が備えられていない超音波顕微鏡であって、図5(の白抜きの丸)に示すように、レンズ面10の中でも光軸Pから離れた部分から照射される超音波ほど、焦点に到達する時間が短くなる収差を備えた音響レンズがあったとする。
この超音波顕微鏡では、レンズ面10の光軸Pから遠い側から照射される超音波は、光軸Pに近い側から照射される超音波より遅れて焦点に到着する。図例ではこの到着時間の遅延は最大で0.2nsにも達する。そのため、超音波を試料の1点に収束させることが困難となり、試料を高解像度で検査することや試料に高強度の超音波を照射することが不可能になる。
ところが、パルス光照射手段5と超音波送波部4との間に、第1実施形態の収差補正部40をその軸心が音響レンズ2の光軸Pと一致するように配備すると、光軸Pまでの距離に関わらずレンズ面10から照射される超音波が焦点に到達するまでの時間はほぼ一定になる。つまり、レンズ面10の光軸Pに近い側から照射される超音波が焦点に到達するまでの時間と、光軸Pから遠い側から照射される超音波が焦点に到達するまでの時間との差は小さくなり、図5(の黒抜きの丸)に示すように0.05ns程度の時間差となる。その結果、試料に照射される超音波がレンズ面10の収差の影響を受け難くなり、高周波数の超音波を用いて試料を高解像度で検査することが可能になる。また、試料に瞬間的に加えられる超音波の照射エネルギが増加するため、低出力のレーザでも高強度の超音波を発振することが可能となるのである。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の超音波顕微鏡1を説明する。
図6に示すように、第2実施形態の超音波顕微鏡1は、光軸Pから径外側に向かって段階的に光路長が短くなるような収差補正部40を採用している点で、第1実施形態と異なっている。
具体的には、第2実施形態の収差補正部40は、図6に示すように上方に向かうにつれて段階的に外径が細くなるような多段円筒形状(円筒体の上にこれより小さな径の円筒体を軸心を揃えて重ねることを繰り返すことで、外周面が棚田状に形成された円錐形状)に形成されていて、第1実施形態と異なり中央には貫通孔41がなく中実に形成されている。
つまり、第2実施形態の収差補正部40では、中央から径外側に向かうにつれて上端面が段階的に低くなるように形成されている。この収差補正部40の上端面を中央から径外側に向かって第1上端面44、第2上端面45、第3上端面46・・・第6上端面49とすると、これらの上端面44〜49はそれぞれ下端面50からL1>L2>L3>L4>L5>L6の厚みになっていて、収差補正部40の厚みが径外側に向かうにつれて徐々に薄くなるようになっている。
それゆえ、第2実施形態の収差補正部40では、中央を通る光軸Pに近い場所ほど光路長も大きくなり、パルス光が超音波送波部4に到達する時間も遅れることになる。
第2実施形態の収差補正部40は、第1実施形態とは逆の収差(分布)を起こす音響レンズ2に対して収差補正を可能としている。このような音響レンズでは、図7(の白抜きの丸)に示すようにレンズ面10の光軸Pに近い側から照射される超音波の方が遠い側から照射される超音波より焦点に早く(図例では1.5ns程度早く)到着する。ところが、第2実施形態の収差補正部40をパルス光照射部12と超音波送波部4との間に配備すると、図7(の黒抜きの丸)に示すように超音波が焦点に到達するまでの時間にほとんど差がなくなり(図例ではほぼ0.3ns)、収差補正が可能となる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の収差補正部40を説明する。
図8に示すように、第3実施形態の収差補正部40は、径内側から径外側に向かうにつれて屈折率が徐々に変化するように、互いに屈折率が異なる円筒部材を同心状に組み合わせて形成されたものであって、厚みは径方向に略一定となっている。
例えば、径内側から径外側に向かうにつれて屈折率が徐々に大きくなるようにすれば(複数の屈折部を設ければ)、収差補正部40の径内側に比べて径外側の方が光路長が長くなる。その結果、径内側を透過したパルス光の方が径外側を通過するものより超音波送波部4に早く到達し、超音波送波部4からレンズ面10に到達する超音波に光軸Pからの距離に応じた位相差を付与することができる。
この第3実施形態の収差補正部40は、第1実施形態の収差補正部40と同様な作用効果(収差補正の効果)を可能とする。
なお、第3実施形態の収差補正部40において、径内側から径外側に向かうにつれて屈折率が徐々に小さくなるように円筒部材を同心状に組み合わせることもできる。このようにすれば、収差補正部40の径内側に比べて径外側の方が光路長が短くなる。その結果、径外側を透過したパルス光の方が径内側を通過するものより超音波送波部4に早く到達し、音響レンズ2内の超音波に位相差を付与することができる。
この場合の収差補正部40は、第2実施形態の収差補正部40と同様な作用効果(収差補正の効果)を可能とする。
以上、第1実施形態〜第3実施形態を示しつつ本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
例えば、円盤状の収差補正部40の表面に、径内側から径外側に向かうにつれて屈折率が徐々に変化するようなコーティングを施すことで、複数の屈折部を形成でき、第3実施形態と略同様な収差補正部40とすることができる。
また、第1及び第2実施形態では厚みのみを変えた収差補正部40を、また第3実施形態では屈折率のみを変えた収差補正部40を例示した。しかし、本発明の収差補正部40は、厚みと屈折率との双方を変えることもできる。
なお、図9に示すように、収差補正部40は、超音波送波部4に接するように(音響レンズ2の上面に接するように)設置することも可能であって、奏する作用効果は第1実施形態〜第3実施形態と略同様である。この場合、受信レーザが光路差作成用の加工部分で反射しないように、加工部の下部の厚みを厚くとるのが望ましい。
1 超音波顕微鏡
2 音響レンズ
3 X−Yステージ
4 超音波送波部
5 パルス光照射手段
6 超音波受波部
7 特性変化検出手段
8 内部情報取得手段
9 音響結合材
10 レンズ面
11 緩衝層
12 パルス光照射部
13 ミラー
14 レンズ系
15 測定光レーザ光源
16 ミラー
17 ミラー
18 高速光検出器
19 高速オシロスコープ
20 計算機
21 ステージ制御部
40 収差補正部
41 貫通孔
42 貫通孔の上開口部
43 貫通孔の下開口部
44 第1上端面
45 第2上端面
46 第3上端面
49 第6上端面
50 下端面
P 光軸

Claims (4)

  1. パルス光を照射するパルス光照射手段から照射されたパルス光を吸収して熱弾性効果による超音波を発し、当該超音波を試料に送出する超音波送波部と、超音波送波部から送出された超音波を、試料に集約しつつ放射するレンズ面を備えた音響レンズと、を具備する超音波顕微鏡であって、
    超音波送波部に送出されるパルス光の到達時間を変化させ前記音響レンズの収差補正を行う収差補正部が、パルス光照射手段と超音波送波部との間に設けられていることを特徴とする超音波顕微鏡。
  2. 前記収差補正部は、パルス光照射手段から照射されたパルス光を透過できるように光透過性を備えており、内部を透過するパルス光に対して音響レンズの光軸からの距離に応じて光路長を変化させる構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の超音波顕微鏡。
  3. 前記収差補正部は、軸心からの径方向距離に応じて軸心に沿った方向の厚みを段階的に異ならせた構成とされ、前記軸心が音響レンズの光軸と一致するように配備されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波顕微鏡。
  4. 前記収差補正部は、軸心からの径方向距離に応じて軸心に沿った方向の屈折率を段階的に異ならせた構成とされ、前記軸心が音響レンズの光軸と一致するように配備されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波顕微鏡。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106770690A (zh) * 2016-12-16 2017-05-31 贵州航天计量测试技术研究所 一种超声扫描显微镜成像分辨力特性校准装置及校准方法

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