JP5078487B2 - 電界発光素子用材料、及びそれを用いた電界発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、一対の電極間に有機化合物を含む膜(以下、「電界発光膜」と記す)を設けた素子に電界を加えることで、蛍光又は燐光が得られる電界発光素子に関する。特に導電性の高分子材料(電界発光素子用材料)をその一部に用いた電界発光素子に関する。
自発光、薄型軽量、高速応答性、直流低電圧駆動などの特徴を有する材料を発光体として用いた電界発光素子は、次世代のフラットパネルディスプレイ、特に携帯機器への応用が期待されている。なお、電界発光素子をマトリクス状に配置した発光装置は、従来の液晶表示装置と比較して、視野角が広く視認性が優れる点に優位性があると考えられている。
電界発光素子の発光機構は、一対の電極間に電界発光膜を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が電界発光膜中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
このような発光装置を携帯機器に応用する場合において、低消費電力が要求されるため、電界発光素子の駆動電圧を低減することは重要な課題の1つである。
これまで駆動電圧を低減させるための手法として、バッファー層を電極と電界発光膜との界面に設けるという試みがなされている。バッファー層には、低分子系材料を用いた場合と高分子系(ポリマー系)材料を用いた場合とがあり、具体的には低分子系では、陽極との界面に銅フタロシアニン(Cu−Pc)、m−MTDATAに代表されるスターバーストアミンと呼ばれる高分子量アリールアミン(文献1:Y.Shirota,Y.Kuwabara,H.Inada,T.Wakimoto,H.Nakada,Y.Yonemoto,S.Kawami and K.imai.:Appl.Phys.Lett.,65,807(1994))を用いたバッファー層を設けるという報告がなされている。なお、これらの材料はHOMO準位が高く、陽極を形成する電極材料の仕事関数に近い値を有するので正孔(ホール)の注入障壁を小さくすることができる。
また、高分子系では、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)(文献2:J.M.Bharathan and Y.Yang:Appl.Phys.Lett.,72,2660(1998))を陽極との界面にバッファー層として用いた例が報告されている。なお、PEDOTには、通常、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドーピングされており、導電性高分子として機能する導電性を有している。
なお、高分子系の場合においては、電極との接合面積の大きい導電性高分子からなるバッファー層を設けることで、バッファー層を介して電極上に形成される発光層との密着性が増し、正孔注入効率を向上させることができるので、結果的に駆動電圧を低下させることができる。
また、最近では、高分子系材料であるトリフェニルアミン誘導体にルイス酸として機能する無機材料を作用させ、ラジカルカチオンを形成し、導電性を高くした層を電極との界面に用いるという方法も報告されている(文献3:A.Yamamori,C.Adachi,T.Koyama and Y.Taniguchi:Appl.Phys.Lett.,72,2147(1998))。
高分子系材料は、低分子系材料よりも取り扱いが容易で耐熱性が高いことから、バッファー層の形成において好ましい材料であるが、高分子系材料としてPEDOTを用いる場合には、導電性を得るためのドーパントとして有機スルホン酸を用いるため、溶媒として水を用いることが必須条件となっている。
しかし、通常、電界発光素子は水によって著しい劣化を受けることが知られていることから、素子の信頼性向上のためには水を溶媒とすることなく高分子系材料を用いたバッファー層の作製が要求される。
なお、高分子系材料に導電性を与えるためには、上述したように無機材料をドーパントとする方法があるが、この場合には、アンチモン(Sb)等の環境に対して有害な物質を用いる必要が有り、産業上好ましくない。
そこで、本発明では、従来のバッファー層に用いた高分子系材料とは異なり、水を溶媒とせずにバッファー層を形成することができる環境に優しい電界発光素子用材料を提供し、さらにこのような電界発光素子用材料を用いることにより電極からのキャリアの注入性を向上させ、素子の駆動電圧を低減させると共に信頼性を高めることが可能な電界発光素子を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は、上記課題を解決するために図1(A)に示すような第1の電極101、バッファー層102、電界発光膜103、および第2の電極を有する電界発光素子において、第1の電極101上に形成されるバッファー層102を形成する材料として有機溶媒に可溶で、主鎖、または側鎖に共役を含む高分子化合物(いわゆる共役系高分子)と、有機溶媒に可溶で、なおかつ前記高分子化合物に対してアクセプター性またはドナー性を有する化合物とを含む導電性の材料を用いることを考えた。
なお、本発明におけるバッファー層102の作製において、有機溶媒に可溶なアクセプター性またはドナー性を有する化合物としては、非プロトン性、または中性の化合物を用いることが特徴である。また、共役系高分子化合物としては、有機溶媒に溶解すれば何でも良いが、特にアクセプター性の化合物、もしくはドナー性の化合物のいずれかをドーピングすることにより陽極からの正孔(ホール)の注入性、もしくは陰極からの電子の注入性の高いバッファー層の両方が形成可能となるレドックスポリマー(酸化還元性高分子)を用いることが好ましい。
なお、上記有機溶媒に可溶であり、主鎖、または側鎖に共役を含む高分子化合物(共役系高分子)には、構造単位の繰返しの数(重合度)が2〜20程度の低重合体(オリゴマー)を含むこととする。
ここで、本発明のバッファー層102において生じる反応を図1(B)に示す。なお、バッファー層102が共役系高分子とアクセプター性の化合物(図中では、アクセプターと略す)からなる場合には、アクセプター性の化合物により共役系高分子中の電子が引き抜かれ、その結果、共役系高分子がキャリア(ホール)として存在することになる。つまり、この場合には、バッファー層102と接して形成される電極は陽極となる。一方、バッファー層102が共役系高分子とドナー性の化合物(図中では、ドナーと略す)からなる場合には、ドナー性の化合物により共役系高分子に対して電子が与えられ、その結果、共役系高分子がキャリア(電子)として存在することになる。つまり、この場合には、バッファー層102と接して形成される電極は陰極となる。
図1(C)には、バッファー層102が共役系高分子とアクセプター性の化合物とから形成される場合の概念図を示す。この場合、第1の電極(陽極)101は、共役系高分子中に存在するアクセプター準位から電子の引き抜きを行い、同時にアクセプター準位にホールをバッファー層中に注入する。なお、注入されたホールは、バッファー層におけるHOMO準位に移動し、さらに、電界発光膜103のHOMO準位に移動する。なお、この場合において、第1の電極101からバッファー層への移動は、エネルギー差がほとんどないところで行われるために容易に行われる。また、注入されたホールがアクセプター準位から電界発光膜103のHOMO準位へ移動する場合も直接第1の電極101から注入される場合に比べてエネルギー差が緩和されているので、第1の電極からのホールの注入性を向上させることができる。
また、図1(D)には、バッファー層102が共役系高分子とドナー性の化合物とから形成される場合の概念図を示す。この場合、第1の電極(陰極)101から共役系高分子中に存在するドナー準位に電子の注入が行われる。なお、注入された電子は、バッファー層102におけるLUMO準位に移動し、さらに、電界発光膜103のLUMO準位に移動する。なお、この場合において、第1の電極101からバッファー層への移動は、エネルギー差がほとんどないところで行われるために容易に行われる。また、注入された電子がバッファー層102におけるLUMO準位から電界発光膜103のLUMO準位へ移動する場合も直接第1の電極101から注入される場合に比べてエネルギー差が緩和されているので第1の電極からの電子の注入性を向上させることができる。
本発明の構成は、 主鎖、または側鎖に共役を含む高分子化合物と、下記一般式〔1〕〜〔7〕で示されるアクセプター性を有する化合物のうちのいずれか一とを組み合わせてなる電界発光素子用材料である。
一般式〔1〕
一般式〔2〕
一般式〔3〕
一般式〔4〕
一般式〔5〕
一般式〔6〕
一般式〔7〕
また、本発明の別の構成は、 主鎖、または側鎖に共役を含む高分子化合物と、下記一般式〔8〕〜〔11〕で示されるドナー性を有する化合物のうちのいずれか一とを組み合わせてなる電界発光素子用材料である。
一般式〔8〕
一般式〔9〕
一般式〔10〕
一般式〔11〕
さらに本発明の別の構成は、陽極、バッファー層、電界発光層、および陰極を有する電界発光素子であって、 前記陽極と接して形成される前記バッファー層に主鎖、または側鎖に共役を含む高分子化合物と、上記一般式〔1〕〜〔7〕で示されるアクセプター性を有する化合物のうちのいずれか一とを組み合わせてなる電界発光素子用材料を用いたことを特徴とする電界発光素子である。
さらに本発明の別の構成は、陽極、バッファー層、電界発光層、および陰極を有する電界発光素子であって、 前記陰極と接して形成される前記バッファー層に主鎖、または側鎖に共役を含む高分子化合物と、上記一般式〔8〕〜〔11〕で示されるドナー性を有する化合物のうちのいずれか一とを組み合わせてなる電界発光素子用材料を用いたことを特徴とする電界発光素子である。
本発明の電界発光素子用材料を用いることにより、従来の高分子系材料を用いてバッファー層を形成する場合と異なり、水を溶媒とすることなくバッファー層を形成することができる。なお、本発明の電界発光素子用材料を用いて形成された電界発光素子において、電極からのキャリアの注入性を向上させ、素子の駆動電圧を低減させると共に信頼性を高めることが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1においては、図2に示すように第1の電極上にバッファー層202が形成され、バッファー層202の上には、電界発光膜203および第2の電極204がそれぞれ形成される場合であって、バッファー層202は、本明細書中の課題を解決するための手段で示したように主鎖、または側鎖に共役を含む化合物(以下、共役系高分子という)と、アクセプター性を有する一般式〔1〕で示されるパラベンゾキノン誘導体、一般式〔2〕で示されるナフトキノン誘導体、一般式〔3〕で示されるテトラシアノキノジメタン誘導体またはジシアノキノジイミン誘導体、一般式〔4〕で示される化合物、一般式〔5〕で示される化合物、一般式〔6〕で示される化合物、または一般式〔7〕で示される化合物のうちのいずれか一とを組み合わせて形成することを特徴とする。
なお、一般式〔1〕〜〔7〕で示されるアクセプター性を有する化合物の具体例について、以下の化学式(A1)〜(A8)にそれぞれ示す。
なお、本実施の形態1の場合には、バッファー層202は、アクセプター性を有する材料で形成されるので、第1の電極201は陽極として機能する。また、第1の電極201は陽極として機能する電極であるため、仕事関数の大きい陽極材料で形成されるのが好ましいが、バッファー層202の形成により正孔(ホール)の注入性が向上しているため、必ずしも仕事関数の大きい材料を用いる必要はない。
しかし、ここでは素子特性をより向上させるために第1の電極201を形成する陽極材料として酸化インジウム・スズ(ITO:indium tin oxide)からなる透明性導電膜を用いることとする(図2(B))。
次に、第1の電極201上にバッファー層202が形成される。なお、バッファー層202を形成する材料としては、先に示した材料を組み合わせて用いることができるが、ここでは、図2(B)に示すように共役系高分子としてエメラルディン・ベース・ポリアニリン(以下、EB−PAniと示す)を用い、アクセプター性分子としてテトラシアノキノジメタン(以下、TCNQ)を用い、20〜50nm(好ましくは30nm)の膜厚で形成される。
次に、バッファー層202上に電界発光膜203が形成される。電界発光膜203は、単一の材料で形成されていても良いが、複数の材料によって形成された積層構造としても良い。
なお、積層構造の場合には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層(ブロッキング層)、電子輸送層、電子注入層などの各機能を有する層を組み合わせて、少なくとも発光性を有する層を含む構成にすればよい。
本実施の形態1では、図2(B)に示すように電界発光膜203を正孔輸送層211および電子輸送層212との積層構造で形成することとする。具体的には、正孔輸送層211は正孔輸送性の材料である4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(以下、α−NPDと示す)を30nmの膜厚とし、電子輸送層212を電子輸送性の材料であるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Alq3と示す)を50nmの膜厚とすることにより形成する。なお、この積層構造の場合には、電子輸送層212を形成するAlq3が発光性を有する。
次に、電界発光膜203上に第2の電極204が形成される。なお、第2の電極204は陰極として機能する電極であるため仕事関数の小さい陰極材料(具体的には、仕事関数が3.5eV以下の材料)で形成される。なお、第2の電極204は、単一の材料で形成された単層構造であっても良いが、複数の材料からなる積層構造で形成されていても良い。本実施の形態1では、図2(B)に示すようにフッ化リチウム(LiF)を2nm、アルミニウム(Al)を100nmの膜厚としたものを積層することにより陰極204が形成される場合について示す。なお、この場合には、LiFを用いることにより陰極204の仕事関数を小さくすることができると共に、Alを用いることにより陰極204の導電性を高めるという2つの機能を兼ね備えた電極形成が実現できる。なお、陰極材料としては、仕事関数の小さい公知の材料を自由に組み合わせて用いることができる。
以上より、電界発光素子のバッファー層に、主鎖、または側鎖に共役を含む化合物(以下、共役系高分子という)と、アクセプター性を有する一般式〔1〕で示されるパラベンゾキノン誘導体、一般式〔2〕で示されるナフトキノン誘導体、一般式〔3〕で示されるテトラシアノキノジメタン誘導体またはジシアノキノジイミン誘導体、一般式〔4〕で示される化合物、一般式〔5〕で示される化合物、一般式〔6〕で示される化合物、または一般式〔7〕で示される化合物のうちのいずれか一とを組み合わせた材料(電界発光素子用材料)を用いることにより、水を溶媒としないバッファー層を形成することができる。なお、このバッファー層を形成することにより電極(本実施の形態1では、陽極)からのキャリア(正孔)の注入性が向上するため、素子の駆動電圧を低減させると共に信頼性の高い電界発光素子が形成される。
(実施の形態2)
本実施の形態2においては、図3に示すように第1の電極301上にバッファー層302が形成され、バッファー層302の上には、電界発光膜303および第2の電極304がそれぞれ形成される場合であって、バッファー層302は、主鎖、または側鎖に共役を含む化合物(以下、共役系高分子という)と、ドナー性を有する一般式〔8〕で示される化合物、一般式〔9〕で示される化合物、一般式〔10〕で示される化合物、および一般式〔11〕で示される化合物のうちのいずれか一とを組み合わせて形成することを特徴とする。
なお、上記一般式〔8〕〜〔11〕で示されるドナー性を有する化合物の具体例について、以下の化学式(D1)〜(D4)にそれぞれ示す。
なお、本実施の形態2の場合には、バッファー層302は、ドナー性を有する材料で形成されるので、第1の電極301は陰極として機能する。また、第1の電極301は陰極として機能する電極であるため、仕事関数の小さい陰極材料で形成されるのが好ましいが、バッファー層302の形成により電子の注入性が向上しているため、必ずしも仕事関数の小さい材料を用いる必要はない。
なお、ここでは第1の電極301を形成する陰極材料として120nm程度の膜厚で形成したAlを用いることとする(図3(B))。
次に、第1の電極301上にバッファー層302が形成される。なお、バッファー層302を形成する材料としては、先に示した材料を組み合わせて用いることができるが、ここでは、図3(B)に示すように共役系高分子としてEB−PAniを用い、ドナー性高分子としてテトラチオフルバレン(以下、TTFと示す)を用い、20〜50nm(好ましくは30nm)の膜厚で形成される。
次に、バッファー層302上に電界発光膜303が形成される。電界発光膜303は、単一の材料で形成されていても良いが、複数の材料によって形成された積層構造としても良い。
なお、積層構造の場合には、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層(ブロッキング層)、電子輸送層、電子注入層などの各機能を有する層を組み合わせて、少なくとも発光性を有する層を含む構成にすればよい。
本実施の形態2では、図3(B)に示すように電界発光膜303を電子輸送層311、正孔輸送層312、および正孔注入層313との積層構造で形成することとする。具体的には、電子輸送層311は電子輸送性の材料であるAlq3を50nmの膜厚とし、正孔輸送層312は正孔輸送性の材料であるα−NPDを30nmの膜厚とし、正孔注入層313は正孔輸送性の材料である銅フタロシアニン(以下、Cu−Pcと示す)を20nmの膜厚とすることにより形成する。
なお、この積層構造の場合には、電子輸送層311を形成するAlq3が発光性を有する。
次に、電界発光膜303上に第2の電極304が形成される。なお、第2の電極304は陽極として機能する電極であるため仕事関数の大きい陽極材料(具体的には、仕事関数が4.0eV以上の材料)で形成される。なお、第2の電極304は、単一の材料で形成された単層構造であっても良いが、複数の材料からなる積層構造で形成されていても良い。本実施の形態2では、図3(B)に示すように金(Au)を20nmの膜厚としたものを積層することにより第2の電極304が形成される場合について示す。なお、第2の電極304に用いる陽極材料としては、仕事関数の大きい公知の材料を自由に組み合わせて用いることができる。
以上より、電界発光素子のバッファー層に、主鎖、または側鎖に共役を含む化合物(以下、共役系高分子という)と、ドナー性を有する一般式〔8〕で示される化合物、一般式〔9〕で示される化合物、一般式〔10〕で示される化合物、および一般式〔11〕で示される化合物のうちのいずれか一とを組み合わせた材料(電界発光素子用材料)を用いることにより、水を溶媒としないバッファー層を形成することができる。なお、このバッファー層を形成することにより電極(本実施の形態2では、陰極)からのキャリア(電子)の注入性が向上するため、素子の駆動電圧を低減させると共に信頼性の高い電界発光素子が形成される。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、本発明の電界発光素子についてその電気特性を測定した結果を示す。なお、測定に用いる電界発光素子の構造は、実施の形態1で説明したように陽極上にバッファー層が接して形成された構造とする。
また、本発明の材料を用いて形成されたバッファー層を設けることによる効果を比較するために(1)バッファー層なしの場合、(2)バッファー層にCu−Pcを用いた場合、(3)本発明のバッファー層(EB−PAni+TCNQ)
を有する場合の3通りの電界発光素子を作製し、その特性を測定した。
上記3通りの素子としては、(1)バッファー層なしの場合には、ITO(120nm)(陽極)/α−NPD(50nm)/Alq3(50nm)/CaF(2nm)/Al(100nm)(陰極)の順に積層形成された素子を用い、(2)バッファー層にCu−Pcを用いた場合には、ITO(120nm)(陽極)/Cu−Pc(20nm)(バッファー層)/α−NPD(30nm)/Alq3(50nm)/CaF(2nm)/Al(100nm)(陰極)の順に積層形成された素子を用い、(3)本発明のバッファー層(EB−PAni+TCNQ)を有する場合には、ITO(120nm)(陽極)/(EB−PAni+TCNQ)(30nm程度)(バッファー層)/α−NPD(30nm)/Alq3(50nm)/CaF(2nm)/Al(100nm)(陰極)の順に積層形成された素子をそれぞれ用いる。
測定結果は、図4に示す通りであり、(3)の本発明のバッファー層を有する電界発光素子が最も駆動電圧が低いという結果が得られた。(2)に示すCu―Pcを用いた場合よりも駆動電圧が低いことは、(3)のバッファー層に導電性があること(アクセプターのドープによる)、さらに高分子膜で形成されることによる膜の平坦性等が起因しているものと思われる。
本発明の電界発光素子について説明する図。 陽極側にバッファー層を有する電界発光素子について説明する図。 陰極側にバッファー層を有する電界発光素子について説明する図。 電界発光素子の電気特性について測定した結果を示す図。
符号の説明
101 第1の電極
102 バッファー層
103 電界発光膜
104 第2の電極

Claims (4)

  1. 有機溶媒に可溶で、主鎖または側鎖に共役を含む高分子化合物、および下記一般式〔12〕で示されるドナー性を有する化合物からなる電界発光素子用材料。
    一般式〔12〕
  2. 請求項1において、
    前記有機溶媒に可溶で、主鎖または側鎖に共役を含む高分子化合物は、エメラルディン状態のポリアニリンであることを特徴とする電界発光素子用材料。
  3. 陽極、電界発光層、バッファー層、および陰極を有する電界発光素子であって、
    前記陰極と接して形成される前記バッファー層として、有機溶媒に可溶で、主鎖または側鎖に共役を含む高分子化合物、および下記一般式〔12〕で示されるドナー性を有する化合物からなる電界発光素子用材料を用いたことを特徴とする電界発光素子。
    一般式〔12〕
  4. 請求項3において、前記有機溶媒に可溶で、主鎖または側鎖に共役を含む高分子化合物は、エメラルディン状態のポリアニリンであることを特徴とする電界発光素子。
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